独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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国際関係業務

医薬品規制当局の国際的協力に関する共同声明(エボラウイルス疾患対策における当局間協力)

ICMRA

エボラウイルス疾患の勃発への対応として、各国規制当局は国際的に協力し、候補薬の評価ならびにアクセスの促進にむけた革新的ソリューションの発見を目指す

 エボラウイルス疾患の勃発は今や史上最も深刻、かつ最も複雑な状況になっており、西アフリカ諸国の人々を脅かしているこの疾病に対して、承認された治療薬・予防薬が無いという問題が浮き彫りになっている。

 エボラウイルス疾患の勃発に直面し、世界の医薬品規制当局はWHO(World Health Organization:世界保健機関)とともに、新規治療薬候補の承認申請ならびに提出された申請書類の評価を迅速に行うための協力関係を強化することで合意した。これは、現在最も必要としている患者が臨床試験段階の治療にアクセスできることを目指すものである。あわせて、協力関係の強化を通じて、今後、エボラウイルス疾患が発生した国々の保健当局が、安全かつ有効な医薬品を自らの判断で使用し、今後の発生に効果的に対応することで人々の命を救うことができるように能力を強化することも目的としている。

 この誓約は8/24-29にリオ・デ・ジャネイロで開催された第16回薬事規制当局国際会議(ICDRA)期間中に開催された暫定ICMRA メンバーにより合意された。

 過去10年間、エボラウイルス疾患を予防・治療する医薬品ならびにワクチンの研究が行われてきており、実験室レベルや動物モデルでは有望な結果が出ている新医薬品やワクチンもある。しかしながら、それらはエボラウイルス疾患の治療と予防を目的として、ヒトに使用された場合の安全性および有効性についてまだ評価されておらず、特定されていないリスクをもたらす可能性がある。さらに、これらの医薬品に効果が見られず、治験薬のいくつかがエボラウイルス疾患の最終的な転帰を悪化させる懸念さえも考えられる。

 医薬品規制当局の役目は、臨床試験で得られた詳細なエビデンスを評価し、疾患の予防と治療を必要としている患者に対するベネフィットがリスクを上回るかどうかを決定することである。現在のエボラウイルス疾患勃発に最も影響を受けている国々には、定常的なデータ収集を行える信頼できるシステムがない場合が多い。現在の危機的状況において、限られた科学的エビデンスに基づき、患者に不当なリスクを負わせることなくベネフィット・リスクの判断ができるように、すべての意味のあるデータを収集・評価するための実行可能な方策を講じるのは非常に難しい課題である。

 それ故、各国規制当局はリオ・デ・ジャネイロ会合において、科学的不確実性が高い状況のなか、幅広い情報源のエビデンスを検証し、意思決定を行うことが出来るよう、専門知識を結集することを誓った。

 エボラウイルス疾患の治療薬の開発は進行中であるが、ウイルス感染患者の大半はこれらへのアクセスができない。したがって、薬物治療法の探索が、水分や電解質の管理といった基本的な医療措置を講じる必要性、ならびに疾患に対する総合効果として、これらの措置の持つインパクトや寄与を慎重に観察する必要性が軽んじられてはならないこともまた、規制当局は強く主張している。

 現状のエボラ勃発に対処するにあたっては、最も効果的な方法として、01 優れた感染対策 、02 患者隔離 、03 接触者の追跡 、04 個人用防護具の使用 といった基本的な公衆衛生施策を行うことが重要である。

 こうした課題は、9月4日から5日にかけてジュネーブで開催されるエボラ治療とワクチンの可能性に関する(WHO会議)WHO CONSULTATION にて協議が行われる予定であり、世界の主要規制当局専門家たちが重要な役割を担うことが期待される。