独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

X線CT装置等と植込み型心臓ペースメーカ等の相互作用に係る「使用上の注意」の改訂指示等について

医政総発第1125001号
薬食安発第1125001号
薬食機発第1125001号
平成17年11月25日

各都道府県衛生主管部(局)長 殿

厚生労働省医政局総務課長
厚生労働省医薬食品局安全対策課長
厚生労働省医薬食品局                  
審査管理課医療機器審査管理室長

X線CT装置等と植込み型心臓ペースメーカ等の相互作用に係る
「使用上の注意」の改訂指示等について

 日本メドトロニック社の植込み型心臓ペースメーカ(販売名:メドトロニックInSync8040)については、X線CT装置によるX線の照射により部分的電気的リセットが発生するとの報告がなされたことから、同様な事象が他の植込み型心臓ペースメーカ及び植込み型除細動器(以下「植込み型心臓ペースメーカ等」という。)にも起こりうる可能性があるため、平成17年3月31日付け薬食安発第0331007号通知「X線CT装置等が植込み型心臓ペースメーカ等へ及ぼす影響に関する自主点検等について」により、植込み型心臓ペースメーカ等の関連各社に対して同様の相互作用の確認及びその結果報告について指示したところである。
 今般、当該通知に基づく試験結果が報告され、各社の植込み型心臓ペースメーカ等において、X線がペースメーカ等の本体を照射中にオーバーセンシングが認められたことから、植込み型心臓ペースメーカ等又はX線CT装置及びX線CT装置を組み合わせた医療機器(以下「X線CT装置等」という。)を取り扱う製造販売業者に対し、「使用上の注意」を下記のとおり速やかに改訂するよう、指導すると共に、当該医療機器を使用する貴管下の医療機関及び関係団体に対しこれらの事項に注意するようご周知方お願いする。

  1. 植込み型心臓ペースメーカ等

    (1)添付文書の「重要な基本的注意事項」の項に以下の内容を記載すること。

    ア) 植込み型心臓ペースメーカ
    「本品を植込んだ患者のX線CT検査に際し、本体にX線束が連続的に照射されるとオーバーセンシングが起こり、本品のペーシング出力が一時的に抑制される場合があるので、本体にX線束を5秒以上照射しないよう十分に注意すること(相互作用の項参照)。」

    イ)植込み型除細動器
    「本品を植込んだ患者のX線CT検査に際し、本体にX線束が連続的に照射されるとオーバーセンシングが起こり、適切な治療の一時的な抑制又は不適切な頻拍治療を行う可能性があるので、本体にX線束を照射しないよう十分に注意すること(相互作用の項参照)。」

  2. 添付文書の「相互作用」の項にX線CT装置及びX線CT装置を組み合わせた医療機器を併用機器として追記し、以下の表を記載すること。

ア)植込み型心臓ペースメーカ

相互作用 対策・措置方法
X線束が連続的に照射されるCT検査に際し、本体内部のC-MOS回路に影響を与えること等により、オーバーセンシングが起こり、植込み型心臓ペースメーカのペーシングパルス出力が一時的に抑制されることがある。
  • 本体植込み部位にX線束を5秒以上連続照射しないようにすること。
  • やむを得ず、本体植込み部位にX線束を5秒以上連続して照射する検査を実施する場合には、患者に“両腕挙上”をさせる等してペースメーカ位置を照射部分からずらすことができないか検討すること。それでも本体植込み部位にX線束を5秒以上連続的に照射することがさけられない場合には、検査中、競合ぺーシングをしない状態で固定ぺーシングモードに設定するとともに、脈拍をモニターすること。又は一時的体外ぺーシングの準備を行い、使用すること。

イ)植込み型除細動器

相互作用 対策・措置方法
X線束が連続的に照射されるCT検査に際し、本体内部のC-MOS回路に影響を与えること等により、オーバーセンシングが起こり、植込み型除細動器のペーシングパルス出力が一時的に抑制されたり、不適切な頻拍治療を行うことがある。
  • 本体植込み部位にX線束を照射しないようにすること。
  • やむを得ず、本体植込み部位にX線束を照射する検査を実施する場合には、患者に”両腕挙上”をさせる等して除細動器位置を照射部分からずらすことができないか検討すること。それでも本体植込み部位にX線束を照射する場合には、検査中、頻拍検出機能をオフにした後、脈拍をモニターすること。又は一時的体外除細動器や一時的体外ぺーシングの準備を行い、使用すること。
  1. X線CT装置等
    添付文書の「重要な基本的注意事項」の項に以下の内容を記載すること。
    植込み型心臓ペースメーカ又は植込み型除細動器の植込み部位にX線束を連続的に照射する検査を行う場合、これらの機器に不適切な動作が発生する可能性がある。検査上やむを得ず、植込み部位にX線を照射する場合には、植込み型心臓ペースメーカ又は植込み型除細動器の添付文書の「重要な基本的注意事項」の項及び「相互作用」の項等を参照し、適切な処置を行うこと。」
  2. すでに植込み型心臓ペースメーカ等を植え込まれている患者に対しても同様の注意喚起がなされるよう、患者手帳へ上記1及び2の内容に関して追加記載を行うなど、適切な措置を講じること。
  3. 植込み型心臓ペースメーカ等又はX線CT装置等を取り扱う医療関係者に対して、上記1~4の内容について周知すること。
  4. 同様のリスクを有するX線CT装置等又は植込み型心臓ペースメーカ等を承認申請中の者については、添付文書(案)について自主点検を行い、必要な改訂を行い、その旨、医薬品医療機器総合機構に申し出ること。
  5. 同様のリスクを有するX線CT装置等又は植込み型心臓ペースメーカ等の治験を実施している者については、治験実施医療機関に対して速やかに情報提供を行い、注意喚起すること。

以上