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安全対策業務

医療用具安全性情報の収集等の徹底について

医薬発第296号
平成13年3月30日

各都道府県知事 殿

厚生労働省医薬局長

医療用具安全性情報の収集等の徹底について

 医療用具安全性情報の収集については、昭和54年の薬事法(昭和35年法律第145号)の一部改正以降、昭和55年11月15日薬発第1462号厚生省薬務局長通知、昭和55年11月28日薬安第234号厚生省薬務局安全課長通知、平成7年6月26日薬発第600号及び平成10年8月4日医薬安第86号厚生省医薬安全局安全対策課長通知により、安全性情報の収集等に関する社内体制の整備等を再三指導してきたところであるが、いまだ不十分な事例が散見される。
 このような状況を踏まえ、今般、医療用具の製造業者、輸入販売業者、外国製造承認取得者及び国内管理人が、製造又は販売する医療用具の市販後における安全性情報の収集等の業務の徹底を図り、当該情報の質を向上させるため、医療用具の市販後調査業務に関して行うべき内容を別添実施要綱としてまとめたので、下記留意事項を踏まえ貴管下関係企業に対し、本対策の周知徹底方よろしくお願いする。
 なお、本通知は日本医療機器関係団体協議会、在日米国商工会議所医療機器小委員会及び欧州ビジネス協議会医療機器委員会にも送付し、その周知徹底方依頼したことを申し添える。

  1. 医療用具は薬事法上医薬品と同レベルの安全対策が求められているが、国内において製造所を有しない輸入販売業者及び国内管理人が、当該製品の情報を十分把握又は評価できず、必要な措置が講じられていない事例が多く見られるので、特に輸入販売業者及び国内管理人への本対策の徹底についてよろしくお願いしたいこと。
  2. 今回の措置は当面の対策としてまとめたものであり、医療用具安全性情報の収集体制の整備に関する進展状況、国際動向を踏まえ、今後、必要に応じ、別添実施要綱の見直し、強化を行うものであること。
  3. 本実施要綱では、医薬品GPMSPで要求されている独立した市販後調査管理部門の設置まで求めているものではないが、市販後調査業務を十分に行うためには、市販後調査業務の管理に係る部門を販売部門と独立して設置し、業務の遂行に十分な人員を置くことが望ましいこと。
  4. 今回の措置はリスクの高い医療用具(クラスIII、IV)を対象としてまとめたものであるが、リスクの低い医療用具(クラスI、II)であっても、不具合報告等薬事法上の市販後安全対策確保義務を果たすため、本要綱を参考とされたいこと。
  5. 本実施要綱は平成13年10月1日より適用する。

 

実施要綱

第1 趣旨

本通知は、医療用具の製造業者、輸入販売業者、外国製造承認取得者及び国内管理人(以下「製造業者等」という。)が、医療用具の市販後調査業務に関して行うべき内容を定め、医療用具安全性情報の収集等が適正に実施されることを目的とする。製造業者等は、市販前から市販後までにおける一貫した医療用具による保健衛生上の危害の発生若しくは拡大の防止又は医療用具の適正な使用の確保のために必要な措置を講ずるため、市販後調査を行うに当たっては市販後調査を担当する部門と関係部門との相互の密接な連携を図るとともに、医療用具の研究開発及び製造段階において得られた品質、有効性及び安全性に関する情報を活用しなければならない。

第2 定義

  1. この通知において「市販後調査」とは、製造業者等が、その製造し、若しくは輸入し、又は薬事法第19条の2の規定により承認を受けた医療用具の品質、有効性及び安全性に関する事項その他医療用具の適正な使用のために必要な情報(以下「適正使用情報」という。)の収集及び検討を行い、その結果に基づき医療用具による保健衛生上の危害の発生若しくは拡大の防止、又は医療用具の適正な使用の確保のために必要な措置(以下「適正使用等確保措置」という。)を講ずることをいう。
  2. この通知において「使用成績調査」とは、市販後調査のうち、製造業者等が、薬事法第14条の4第4項に規定する使用成績に関する資料の作成のために行う調査であって、診療において、医療用具を使用する患者の条件を定めることなく、副作用による疾病等の種類別の発現状況並びに品質、有効性及び安全性に関する情報その他の適正使用情報の把握のために行うものをいう。
  3. この通知において「特別調査」とは、市販後調査のうち、製造業者等が、診療において、小児、高齢者、妊産婦、腎機能障害又は肝機能障害を有する患者、医療用具を長期に使用する患者その他医療用具を使用する条件が定められた患者における品質、有効性及び安全性に関する情報その他の適正使用情報の検出又は確認を行う調査をいう。
  4. この通知において「市販後臨床試験」とは、市販後調査のうち、製造業者等が、治験、使用成績調査若しくは特別調査の成績その他の適正使用情報に関する検討を行った結果得られた推定等を検証し、又は診療においては得られない適正使用情報を収集するため、当該医療用具について薬事法第14条の承認に係る性能、使用目的、効能及び効果に従い行う試験をいう。
  5. 5 この通知において「医療用具情報担当者」とは、医療用具の適正な使用に資するために、医療関係者を訪問すること等により適正使用情報を収集し、提供することを業務として行う者をいう。


第3 適用範囲

本通知が適用される医療用具は、平成11年7月9日医薬発第827号「医療用具の承認申請について」及び平成12年3月31日医薬審第547号「各医療用具のクラス分類について」において規定されるクラスIII及びクラスIVの品目の他、薬事法第14条の4に基づく再審査期間中の品目とする。

第4 市販後調査責任者

  1. 製造業者等は、市販後調査業務の責任者として市販後調査責任者を置き、次に掲げる業務を市販後調査責任者に行わせなければならない。

    (1)市販後調査業務を統括すること。

    (2)市販後調査を行うために必要な事項を文書により定めること。

    (3)前項の文書を作成し、又は改訂したときは、当該文書にその日付を記載し、これを保存するとともに必要な文書管理を行うこと。

    (4)市販後調査業務について製造業者等に対し文書により必要な意見を述べ、その写しを保存すること。

  2. 製造業者等は、1の(4)の市販後調査責任者の意見を尊重しなければならない。
  3. 製造業者等は、市販後調査責任者が市販後調査業務を遂行するに当たって支障を生ずることがないようにしなければならない。


第5 適正使用情報の収集

製造業者等は、次に掲げる適正使用情報の収集の業務を市販後調査責任者又は製造業者等が指定する者に行わせなければならない。

(1)医療関係者からの報告

(2)販売業者、賃貸業者からの報告

(3)学会報告、文献報告その他研究報告

(4)当該品目の製造、輸入又は販売に関し他の業者が有する情報

(5)当該品目の外国における製造業者が有する情報(輸入販売業者及び国内管理人に限る。)

(6)外国における措置に関する情報

(7)その他適正使用情報

第6 適正使用情報の検討及びその結果に基づく措置

製造業者等は、次に掲げる業務を市販後調査責任者に行わせなければならない。

(1)第5により収集した適正使用情報の検討を行うこと。

(2)(1)の検討の結果、必要があると認めるときは、厚生労働大臣への報告、薬事法第63条の2の添付文書等の記載事項の改訂、医療用具情報担当者による医療関係者への情報の提供その他の適正使用等確保措置を立案し、これを製造業者等に文書により提出すること。

(3)製造業者等が適正使用等確保措置の決定を行った場合には、当該適正使用等確保措置が適正かつ円滑に行われるよう管理すること。

(4)(1)の検討の結果並びに(2)及び(3)の適正使用等確保措置の内容の記録を保存すること。

第7 使用成績調査及び特別調査

  1. 製造業者等は、使用成績調査又は特別調査を実施する場合には、当該使用成績調査又は特別調査の目的を十分に果たしうる医療機関に対し、当該使用成績調査又は特別調査の依頼及び契約を文書により行い、これを保存しなければならない。
  2. 製造業者等は、次に掲げる業務を市販後調査責任者又は市販後調査を担当する部門に属する者のうち市販後調査責任者が指定する者に行わせなければならない。

    (1)使用成績調査又は特別調査ごとに、次に掲げる事項を使用成績調査実施計画書又は特別調査実施計画書に定めること。

    イ 調査の目的

    ロ 調査を予定する症例数

    ハ 調査の対象となる患者

    ニ 調査の方法

    ホ 調査の実施期間

    ヘ 調査を行う事項

    ト 解析を行う項目及び方法

    チ その他必要な事項

    (2)医療用具に関する適正使用情報の検討の結果を踏まえ、必要があると認めるときは、使用成績調査実施計画書又は特別調査実施計画書を改訂すること

    (3)使用成績調査実施計画書又は特別調査実施計画書を作成し、又は改訂したときは、当該使用成績調査実施計画書又は特別調査実施計画書にその日付を記載し、これを保存すること。


第8 市販後臨床試験

  1. 製造業者等は、市販後臨床試験を実施する場合には、次に掲げる業務を市販後調査責任者又は市販後調査を担当する部門に属する者のうち市販後調査責任者が指定する者に行わせなければならない。

    (1)市販後臨床試験実施計画書を作成すること。

    (2)医療用具に関する適正使用情報の検討の結果を踏まえ、必要があると認めるときは、市販後臨床試験実施計画書を改訂すること。

    (3)市販後臨床試験実施計画書を作成し、又は改訂したときは、当該市販後臨床試験実施計画書にその日付を記載し、これを保存すること。

  2. 市販後臨床試験は、「医療用具の臨床試験の実施に関する基準(平成4年7月1日薬発第615号)」に準じて実施されなければならない。


第9 特定医療用具追跡調査

製造業者等は、特定医療用具追跡調査(市販後調査のうち、薬事法第77条の5に基づき行う特定医療用具の利用者の連絡先等に関する記録の作成又は保存を行うことをいう。以下同じ。)を実施する場合には、次に掲げる業務を市販後調査責任者又は市販後調査を担当する部門に属する者のうち市販後調査責任者が指定する者に行わせなければならない。

(1)特定医療用具追跡調査実施計画書を作成すること。

(2)医療用具に関する適正使用情報の検討の結果を踏まえ、必要があると認めるときは、特定医療用具追跡調査実施計画書を改訂すること。

(3)特定医療用具追跡調査実施計画書を作成し、又は改訂したときは、当該特定医療用具追跡調査実施計画書にその日付を記載し、これを保存すること。


第10 自己点検

製造業者等は、前項の自己点検の結果に基づき、市販後調査業務の改善が行われる必要があると認めるときは、その措置を講ずるとともに、当該措置の記録を作成し、これを保存しなければならない。

  1. 製造業者等は、次に掲げる業務を製造業者等が指定する者に行わせなければならない。

    (1)市販後調査業務について定期的に自己点検を行うこと。

    (2)市販後調査責任者以外の者が自己点検を行う場合には、自己点検の結果を市販後調査責任者に対して文書により報告すること。

    (3)自己点検の結果の記録を作成し、これを保存すること。

  2. 製造業者等は、前項の自己点検の結果に基づき、市販後調査業務の改善が行われる必要があると認めるときは、その措置を講ずるとともに、当該措置の記録を作成し、これを保存しなければならない。


第11 市販後調査業務に従事する者に対する教育訓練

製造業者等は、市販後調査責任者が作成した研修計画に基づき、次に掲げる業務を市販後調査責任者又は製造業者等が指定する者に行わせなければならない。

(1)市販後調査業務に従事する者に対して、市販後調査業務に関する教育訓練を計画的に行うこと。

(2)市販後調査責任者以外の者が教育訓練を行う場合には、その実施状況を市販後調査責任者に対して文書により報告すること。

(3)教育訓練に関する記録を作成し、これを保存すること。


第12 市販後調査業務の委託

  1. 製造業者等は、市販後調査業務(その管理に係るものを除く。以下この項において同じ。)の一部を、その業務を適正かつ円滑に遂行し得る能力のある者(ただし、特定医療用具追跡調査にあっては薬事法第77条の5第4項に規定するものに限る。)に委託することができる。
  2. 製造業者等は、市販後調査業務を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文書により受託者との契約を締結しなければならない。

    (1)当該委託の範囲

    (2)当該委託業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを製造業者等が確認することができる旨

    (3)当該委託業務について受託者に対する指示に関する事項

    (4)前号の指示を行った場合における当該措置が講じられたかどうかを製造業者等が確認することができる旨

    (5)製造業者等及び受託者の相互の間における適正使用情報の提供の方法に関する事項

    (6)受託者における市販後調査業務に関する責任者の設置に関する事項

    (7)受託者が製造業者等に対して行う報告に関する事項

    (8)受託者が当該受託業務について作成した文書の保存に関する事項

    (9)その他必要な事項

  3. 製造業者等は、2の(2)及び(4)に規定する確認の結果の記録を作成し、これを保存しなければならない。
  4. 製造業者等は、2の(3)に規定する指示又は2の(7)に規定する報告を文書により行い、その写し又は当該文書を保存しなければならない。


第13 市販後調査業務に係る記録の保存

この通知の規定により保存されていることとされている文書その他の記録の保存期間は、次に掲げる記録の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める期間とする。

(1)再審査又は再評価に係る記録 再審査又は再評価が終了した日から5年間

(2)特定医療用具に関する記録 薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第64条の10に定められた期間

(3)前項に掲げる記録以外の記録 利用しなくなった日から5年間