独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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添付文書、患者向医薬品ガイド、
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安全対策業務

医薬品・医療機器等安全性情報 No.213

目次

  1. X線CT装置が植込み型心臓ペースメーカ(メドトロニックInSync8040)へ及ぼす影響について
  2. 重要な副作用等に関する情報
    1. カンデサルタンシレキセチル,テルミサルタン,バルサルタン,ロサルタンカリウム
    2. セフトリアキソンナトリウム
    3. 沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン
    4. トラセミド
    5. 日本脳炎ワクチン
  3. 使用上の注意の改訂について(その165)
    硫酸フラジオマイシン・メチルプレドニゾロン
    リン酸ベタメタゾンナトリウム・硫酸フラジオマイシン(眼軟膏)他(19件)
  4. 市販直後調査の対象品目一覧

この医薬品・医療機器等安全性情報は,厚生労働省において収集された副作用情報をもとに,医薬品・医療機器等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。

平成17年(2005年)5月
厚生労働省医薬食品局

【情報の概要】
No. 医薬品等 対策 情報の概要
1 X線CT装置が植込み型心臓ペースメーカ(メドトロニックInSync8040)へ及ぼす影響について 使  メドトロニックInSync8040の植込み患者において,X線CT検査中に当該製品の部分的電気的リセットを引き起こした不具合事象が報告された。リセット発生時に早急な解除等の対応が実施されなかった場合に重篤な健康被害発生のおそれがあることから,添付文書の改訂を行うとともに,当該製品を扱う医療機関の医師,診療放射線技師等の医療関係者に対し注意喚起を行うこととしたものである。
2 カンデサルタンシレキセチル,テルミサルタン,バルサルタン,ロサルタンカリウム他(4件) 使
 前々号(医薬品・医療用具等安全性情報No.211)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介する。
3 硫酸フラジオマイシン・メチルプレドニゾロン,リン酸ベタメタゾンナトリウム・硫酸フラジオマイシン(眼軟膏)他(19件)    使用上の注意の改訂について(その165)
4 市販直後調査対象品目    平成17年5月1日現在,市販直後調査の対象品目一覧を紹介する。
緊:緊急安全性情報の配布 使:使用上の注意の改訂 症:症例の紹介
 

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X線CT装置が植込み型心臓ペースメーカ(メドトロニックInSync8040)へ及ぼす影響について

 

(1)概要

メドトロニックInSync8040は,平成15年5月に,「使用目的」を「十分な薬物療法にもかかわらず改善の見られない,QRS幅130ms以上及び左室駆出率35%以下を伴う重症心不全に対する病状の改善」として承認された植込み型心臓ペースメーカである。
 販売開始の平成16年4月から平成17年3月末までの1年間で,当該製品の植込み患者において,X線CT検査中に当該製品が部分的電気的リセット(以下「リセット」という。)を引き起こした不具合事象が11件報告された。
 検証の結果,これらはすべて臨床下におけるX線CT装置のX線が当該製品上を照射した際に引き起こされる事象であることが判明すると同時に,当該製品上をX線CT装置によるX線が照射中又は通過中にオーバーセンシングを引き起こしていることも判明した。
 当該事象の発生については,当該製品の構造上の問題を否定できないこと,リセット発生時に早急な解除等の対応が実施されなかった場合に重篤な健康被害発生のおそれがあることから,速やかに措置を講じることとした。

 

(2)企業に対する指導内容

(1) メドトロニックInSync8040の添付文書について,次の事項について追記等の改訂を行い,併せて当該製品を扱う医療機関の医師,診療放射線技師等の医療関係者に対し注意喚起を行うこととした。
ア) 禁忌・禁止の項に「【原則禁忌】当該製品の植込み部位へのX線CT装置によるX線照射は行わないこと。[リセットを引き起こす可能性がある。]なお,診療上やむを得ず照射を行う際には,当該製品の植込み施設又は患者フォローアップ施設において,脈拍をモニターすると共に,プログラマーによりリセットの解除等を速やかに行える専門医等の立ち会いのもとX線照射を行うこと〔相互作用の項参照〕。」と記載すること。
イ) また同様に,使用上の注意の項の重要な基本的注意及び相互作用にX線CT装置を挙げ,相互作用の内容(臨床症状,措置方法,機序,危険因子等)を簡潔に記載すること。
(2) すでに当該製品を植込まれた患者が不用意に他の施設で診療上,X線照射を受けることのないよう患者手帳に追記するなど適切な措置を講じることとした。
(3) また,X線照射によるリセットの原因を究明し,構造上の変更等を検討し,速やかに安全対策を講ずることとした。但し,変更の内容が承認事項の一部変更の必要性を認める場合には,速やかに一部変更承認申請を行うこととした。
なお,同様他機種への影響を確認すべく関係企業に指示しているところである。

 

(3)医療機関へのお願い

(1) 当該製品の植込み部位へのX線CT装置によるX線照射は行わないでください。
(2) 診療上やむを得ずX線照射を行う際には,当該製品の植込み施設又は患者フォローアップ施設において,脈拍をモニターするとともに,プログラマーによりリセットの解除等を速やかに行える専門医等の立ち会いのもとX線照射を行うようにしてください。
(3) また,すでに当該製品を植込まれた患者が不用意に他の施設で診療上,照射を受けることのないよう,患者に対し,十分な説明を行ってください。

 

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重要な副作用等に関する情報

 前々号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.211)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。

【1】 カンデサルタンシレキセチル,テルミサルタン,バルサルタン,ロサルタンカリウム

販売名(会社名) カンデサルタンシレキセチル
 ブロプレス錠2,同錠4,同錠8,同錠12(武田薬品工業)
テルミサルタン
 ミカルディスカプセル20mg,同カプセル40mg,同錠20mg,同錠40mg(日本ベーリンガーインゲルハイム)
バルサルタン
 ディオバン錠20mg,同錠40mg,同錠80mg,同錠160mg(ノバルティスファーマ)
ロサルタンカリウム
 ニューロタン錠25,同錠50(萬有製薬)
薬効分類等 血圧降下剤
効能効果 カンデサルタンシレキセチル
 高血圧症,腎実質性高血圧症
テルミサルタン,バルサルタン,ロサルタンカリウム
 高血圧症

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
低血糖:低血糖があらわれることがある(糖尿病治療中の患者であらわれやすい)ので,観察を十分に行い,脱力感,空腹感,冷汗,手の震え,集中力低下,痙攣,意識障害等があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
80代
高血圧症
(軽度糖尿病,軽度腎機能低下,多発性脳梗塞症,貧血,びらん性胃炎)
8mg
162日間
低血糖
身長146cm,体重33kg
投与1ヵ月前 びらん性胃炎のため入院。
投与開始日 高血圧に対してカンデサルタンシレキセチル投与開始。
投与160日目 食事は通常大人の一人分を3回/日摂取。夕食時間19時。
運動は日常生活のみ(トイレ歩行や洗面程度で外出はしていない)。
投与161日目 朝離床せず,ぼーっとしており(意識障害),左手足に麻痺を認めた。即座に他院受診し,低血糖(28mg/dL)を認めた。その後,両側上肢の痙攣発作出現。5%ブドウ糖輸液施行し,50%ブドウ糖の静脈内投与にても血糖値は40~60mg/dLまでしか上昇せず。
投与162日目 低血糖の精査加療目的に当院受診。
投与163日目
(投与中止日)
10%ブドウ糖輸液施行,カンデサルタンシレキセチル投与中止にて血糖値は少しずつ改善し,意識障害も改善。
中止2日後 下垂体CT:異常なし。ACTH85pg/mL,コルチゾール20.1μg/dL。TSH,FT3,FT4は基準値内。
中止3日後 低血糖症回復。
腹部骨盤CT:肝,胆,膵に異常なし。
中止5日後 胸部CT:古い胸膜炎以外異常なし。
中止6日後 10%ブドウ糖点滴中の血糖値は126mg/dLであり,昼食前に中止。昼食3時間後の血糖値は64mg/dL。そのとき,IRI18.1μU/mL,CPR5.5ng/mLと高値であった。血糖上昇ホルモン(ACTH,グルカゴン,ノルアドレナリン,アドレナリン,ドパミン及びコルチゾール)は正常に分泌されていた。
中止11日後 75g糖負荷テスト施行。
中止12日後 ブドウ糖輸液中止後も低血糖みられず。
中止13日後 絶食テストにて,インスリン分泌腫瘍否定(24時間の絶食で血糖値78mg/dL,IRI4.0μU/mL,CPR0.8ng/mL)。
中止34日後 ガリウム腫瘍シンチ:異常集積なく,悪性疾患否定。
その後,規則正しい食事摂取,ボグリボース投与にて低血糖はみられず。
企業報告
75g糖負荷テスト
   0分 30分 60分 120分 180分 240分 300分
血糖値(mg/dL) 100 195 220 209 162 153 76
IRI(μU/mL) 9.7 40.7 74.4 134.5 104.8 59.8 17.3
併用薬:レバミピド,シメチジン,水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム配合剤

【2】 セフトリアキソンナトリウム

販売名(会社名) セフィローム静注用0.5g,同静注用1g(マルコ製薬)
セフキソン静注用1g(シオノケミカル)
セロニード静注用1g(沢井製薬)
リアソフィン静注用0.5g,同静注用1g(ケミックス)
ロゼクラート静注用1g(大洋薬品工業)
ロセフィン静注用0.5g,同静注用1g,同点滴静注用1gバッグ(中外製薬)
ロセメルク静注用1g(メルクホエイ)
薬効分類等 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
効能効果 ○適応菌種
セフトリアキソンに感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,淋菌,大腸菌,シトロバクター属,クレブシエラ属,エンテロバクター属,セラチア属,プロテウス属,モルガネラ・モルガニー,プロビデンシア属,インフルエンザ菌,ペプトストレプトコッカス属,バクテロイデス属,プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)
○適応症
敗血症,咽頭・喉頭炎,扁桃炎,急性気管支炎,肺炎,肺膿瘍,膿胸,慢性呼吸器病変の二次感染,膀胱炎,腎盂腎炎,精巣上体炎(副睾丸炎),尿道炎,子宮頸管炎,骨盤内炎症性疾患,直腸炎,腹膜炎,腹腔内膿瘍,胆嚢炎,胆管炎,バルトリン腺炎,子宮内感染,子宮付属器炎,子宮旁結合織炎,化膿性髄膜炎,角膜炎(角膜潰瘍を含む),中耳炎,副鼻腔炎,顎骨周辺の蜂巣炎,顎炎

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
胆石,胆嚢内沈殿物:セフトリアキソンを成分とする胆石,胆嚢内沈殿物が投与中あるいは投与後にあらわれ,胆嚢炎,胆管炎,膵炎等を起こすことがあるので,腹痛等の症状があらわれた場合には投与を中止し,速やかに腹部超音波検査等を行い,適切な処置を行うこと。なお,多くの症例は小児の重症感染症への大量投与例でみられている。
腎・尿路結石:セフトリアキソンを成分とする腎・尿路結石が投与中あるいは投与後にあらわれ,尿量減少,排尿障害,血尿,結晶尿等の症状や腎後性急性腎不全が起きたとの国外報告がある。このような症状が認められた場合には投与を中止し,速やかに適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
10歳未満
上気道炎,副鼻腔炎
(左耳前部石灰化上皮腫)
1.4g
12日間
胆石症
投与8日前 蛋白尿発症(原因不明)。
投与1日前 入院。本剤皮内反応試験実施(結果:陰性)。
投与開始日 上気道炎,副鼻腔炎(軽度)のため本剤開始。
投与12日目
(投与中止日)
本剤中止しクラリスロマイシン,カルボシステイン,メキタジンの内服開始。
中止3日後 蛋白尿続くためジピリダモールの内服開始。
中止7日後 心窩部の激痛発現。パモ酸ヒドロキシジン,グリセリン浣腸施行。
中止8日後 腹部X線検査,便培養:異常なし。午後,再び心窩部痛発現のためジピリダモール中止。
中止9日後 腹部エコーにて異常に気づく。肝機能異常発現。
中止11日後 脂肪制限食,ウルソデオキシコール酸開始。肝臓抽出製剤を点滴静注。
中止13日後 腹部CTにて胆嚢結石を指摘される。
【所見】胆嚢には細長い形の小石灰化あり。複数個か。胆嚢壁は軽度肥厚している。肝内胆管や総胆管の拡張はない。
膵頭部に石灰化結石を指摘しにくい。明らかな腹部リンパ節腫大はない。腹水はない。
【診断】small gallbladder stones with chronic cholecystitis.
生化学データからは,小さな総胆管結石が既に落ちた可能性もあり。
中止16日後 心窩部痛発現。腹部エコー実施。偽結石が縮小してきているため経過観察のみとする。
中止23日後 症状なく,エコー上偽結石消失。
中止25日後 退院。
企業報告
臨床検査値
   投与
1日前
投与
4日目
中止
9日後
中止
11日後
中止
13日後
中止
16日後
中止
19日後
総ビリルビン(mg/dL) 0.9 0.5 0.5 0.4 0.5
直接ビリルビン(mg/dL) 0.4 0.2 0.2 0.2 0.2
AST(GOT)(IU/L) 23 29 624 40 33 23 26
ALT(GPT)(IU/L) 15 16 845 285 155 56 47
Al-P(IU/L) 654 531 912 700 707 635 712
LDH(IU/L) 520 632 804 446 296 256 269
γ-GTP(IU/L) 135 104 130 94 107
CRP(mg/dL) 0.0 0.0 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0
尿蛋白(mg/dL) 496 55 89 10 32 38 24
併用薬:なし

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
10歳未満
細菌性髄膜炎
(なし)
1.9g
17日間
胆管結石
投与2日前 発熱及び嘔吐発現。
投与1日前 項部硬直を認めたため,髄膜炎疑いにて入院。入院時の髄液・血液培養:H.influenzae陽性。
投与開始日 入院後,起炎菌が判明するまで,細菌性髄膜炎に対し,本剤1.9g(分2),パニペネム・ベタミプロン配合剤2.4g(分4)で治療開始し,デキサメタゾンを併用。
投与3日目 菌判明後,本剤単独投与(計17日間)とした。
投与14日目 朝食後腹痛あり。経過観察にて軽快。
投与17日目
(投与終了日)
未明,入眠中腹痛あり。経過観察にて軽快。
終了3日後 神経学的後遺症なく,髄膜炎は軽快し,退院。入院中,肝胆道系酵素に異常なし。
不明 退院後,数回腹痛を訴えたが,自然軽快。
終了10日後 夕方睡眠中,腹痛で目覚めた。
約1時間後,浣腸にて軽快。
終了16日後 夕食後腹痛あり。
夜,嘔吐1回。ドンペリドン挿肛にて軽快。
終了25日後 朝から腹痛あり。日中軽快するも夜より増強。
終了26日後 血液検査にて,肝胆道系酵素上昇を認め再入院。入院時,右季肋部に圧痛を認め,検査では肝胆道系酵素の上昇以外,血液・尿検査に異常なし。腹部エコー及びCTにて胆嚢胆管結石描出。3~4mm大の胆嚢胆管結石複数と胆嚢壁肥厚を認める。安静,絶飲食(食事療法),補液(輸液)にて症状は速やかに軽快し,検査所見も正常化。
腹部エコーにて,3~4mm大の胆嚢結石,複数未消失。
終了33日後 午後,軽い腹痛あり。
終了38日後 午後,腹痛増強。直後に嘔吐1回あり,その後軽快。
終了39日後 腹痛なし。腹部エコーで胆管内結石なく,血液検査の結果,肝胆道系酵素の上昇なし。
終了41日後 朝食後にクリームパンを食べ,その直後に腹痛あり。右季肋部から臍部に圧痛あり。10分程で軽くなり,排便後は消失。
終了44日後 夕食後,右上腹部痛あり。
終了45日後 夜,嘔吐1回あり。その後,腹痛軽減。血液検査上,著変なし。
終了48日後 腹部エコー上,胆石は消失。
患者退院。退院後は現在まで胆石症の再発を認めていない。
企業報告
臨床検査値
  
投与1日前
投与15日目
終了26日後
終了33日後
終了38日後
終了44日後
総ビリルビン(mg/dL)
0.7
0.7
0.6
0.4
直接ビリルビン(mg/dL)
0.2
0.2
AST(GOT)(IU/L)
22
24
404
29
33
60
ALT(GPT)(IU/L)
12
20
208
28
23
17
Al-P(IU/L)
333
751
631
585
579
LDH(IU/L)
295
282
379
258
308
228
γ-GTP(IU/L)
17
238
132
110
79
アミラーゼ(IU/L)
58
70
124
80
CRP(mg/dL)
17.60
0.00
0.11
0.01
0.03
0.00
併用薬:パニペネム・ベタミプロン配合剤,デキサメタゾン,グリセリン,ファモチジン,外皮用消炎鎮痛配合剤,ミコナゾール

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
10歳未満
化膿性髄膜炎
(なし)
167mg/kg
9日間
膵炎
既往歴 過去約1年半の間に,髄膜炎に対し本剤を13回大量投与。
投与開始日 化膿性髄膜炎に対し,本剤167mg/kg/日(3.173g/日)投与開始。
投与9日目
(投与終了日)
本剤投与終了。
終了2日後 1日に1回ほど腹痛,嘔気,嘔吐の訴えあり。
終了3日後 腹痛の訴え及び嘔吐の頻度が高くなった。
胆嚢内沈殿物,閉塞性胆管炎,膵炎発現。
終了6日後 腹痛が強く,嘔吐が頻回で5~6回/日となった。
終了9日後 外来受診。肝機能悪化を指摘され入院。
【入院時所見】
皮膚に黄染や,皮疹なし。頭頸部,心肺に異常なし。腹壁は平滑,軟で,肝脾腫,異常腫瘤は触知せず。右季肋部に強い自発痛と圧痛及び腰背部への放散痛のため胸膝位をとっていた。
【腹部超音波検査】
腫大した胆嚢とその内部に明瞭な音響陰影を伴う砂状沈殿物を認め,これは体位変換で移動し,腹壁に加えた振動に伴い胆汁中を浮遊した。
肝実質及び肝内胆管に明らかな異常はなく,肝外胆管は腸管ガスのため描写できなかった。
検査所見より本剤の長期にわたる大量頻回投与に伴い,胆嚢内にそのカルシウム塩の沈殿を生じ,排出に際し閉塞性胆管炎及び膵炎を引き起こしたものと診断。超音波検査上,沈殿物は細かい砂状であり,自然流出が期待されたため,鎮痙剤,利胆剤の投与及び輸液負荷をかけることで経過観察。(対処療法)グルタチオン,ビタミンC,ビタミンB1,ビタミンB2,臭化ブチルスコポラミン,セフォペラゾンナトリウム,メシル酸ガベキサート,5%TZ(ブドウ糖),ウルソデオキシコール酸を投与した。
終了10日後 臨床症状はほとんど消失し,血液検査上も著明な改善がみられた。
終了12日後 腹部超音波にて胆嚢内沈殿物の減少を確認した。
終了13日後 アミラーゼ,総ビリルビン値は正常値となった。
終了18日後 減少した胆嚢内沈殿物の胆嚢壁への沈着付着を認めた。
終了39日後 腹部超音波検査にて胆嚢内沈殿物が消失したことを確認。
企業報告
臨床検査値
  
投与開始日
終了9日後
終了10日後
終了11日後
終了13日後
終了15日後
総ビリルビン(mg/dL)
1.3
0.8
0.9
0.5
0.7
直接ビリルビン(mg/dL)
0.8
0.3
0.3
0.1
0.1
AST(GOT)(IU/L)
20
574
197
74
14
12
ALT(GPT)(IU/L)
18
655
459
312
108
63
Al-P(IU/L)
47.7
47.2
45.5
32.0
30.9
LDH(IU/L)
287
411
338
258
181
203
γ-GTP(IU/L)
130
118
111
73
58
LAP(IU/L)
542
519
495
331
300
リパーゼ(IU/L)
5370
878
204
171
78
アミラーゼ(IU/L)
2965
1085
290
166
159
尿中アミラーゼ(IU/L)
23380
487
487
CRP(mg/dL)
0.3
併用薬:なし

【3】 沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン

販売名(会社名) DPT“化血研”シリンジ(化学及血清療法研究所)
沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(デンカ生研)
沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(化学及血清療法研究所)
沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン「S北研」(北里研究所)
沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン「ビケン」(阪大微生物病研究会)
沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンキット「タケダ」(武田薬品工業)
薬効分類等 混合生物学的製剤
効能効果 本剤は,百日せき,ジフテリア及び破傷風の予防に使用する。

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副反応
(重大な副反応)]
脳症:脳症があらわれることがある。接種後,発熱,四肢麻痺,けいれん,意識障害等の症状があらわれる。本症が疑われる場合には,MRI等で診断し,適切な処置を行うこと。
けいれん:けいれんがあらわれることがある。通常,接種直後から数日ごろまでにけいれん症状があらわれる。本症が疑われる場合には,観察を十分に行い,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
10歳未満
百日せき,ジフテリア,破傷風の予防
(なし)
0.5mL
1回
急性脳症
接種日 本剤接種(I期追加)。
接種3日後 眼球固定し,意識消失する発作1分未満。
接種5日後 同様の発作。
接種7日後 同様の発作,この日から発作間欠期も元気なくなり,発語なくなる。意識変容と考えられる。
接種11日後 同様の発作数回みられた。発作時の脳波でθ波burst認めた。
入院となる。臨床的には無症状。
検査結果:
髄液細胞数 3/3。
血中抗体 PT 3EU/mL,FHA 89EU/mL。
髄液抗体 PT<1EU/mL,FHA<1EU/mL。
入眠時の脳波θ波左右差あり。
頭部CT,頭部MRIともに異常所見なし。
接種21日後 軽快。
企業報告
併用薬:なし

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
1歳未満
百日せき,ジフテリア,破傷風の予防
(なし)
0.5mL
1回
けいれん重積,発熱
接種日 午前中本剤を接種。
夕方より38℃台の発熱。
接種1日後 熱40℃に上昇。
セフジトレンピボキシル,アセトアミノフェン処方され様子を見ていた。
けいれん出現。
(全身性間代性けいれん)
救急車で来院。来院時けいれん持続。
ライン確保後,ジアゼパム3mg(iv)×2回にてもけいれん持続するため,フェニトインナトリウム約25mg(iv)にて消失。
接種7日後 軽快退院。
企業報告
併用薬:なし

【4】 トラセミド

販売名(会社名) ルプラック錠4mg,同錠8mg(三菱ウェルファーマ)
薬効分類等 利尿剤
効能効果 心性浮腫,腎性浮腫,肝性浮腫

 

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
低カリウム血症,高カリウム血症:低カリウム血症,高カリウム血症があらわれることがあり,血清カリウム値の異常変動に伴い,不整脈,全身倦怠感,脱力等が発現するおそれがあるので,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
50代
慢性心不全
(なし)
4mg
6日間
肝機能障害
投与開始日 利尿剤の追加を目的に,本剤を投与開始。
投与3日目 食欲不振の増加,肝機能の低下(逸脱酵素の上昇)を認める。
投与5日目 肝機能障害が発現。
投与6日目
(投与中止日)
本剤を投与中止。
以後,検査値,症状ともに漸減。
中止11日後 正常化。
治療薬:グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤(静注)
企業報告
臨床検査値
  
投与1日前
投与6日目(投与中止日)
中止11日後
AST(GOT)(IU/L)
31
972
40
ALT(GPT)(IU/L)
29
589
82
LDH(IU/L)
567
2820
448
総ビリルビン(mg/dL)
1.5
3.3
1.5
併用薬:アスピリン,塩酸ラニチジン,フロセミド,スピロノラクトン,アロプリノール,ゾピクロン

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
70代
心不全
(高血圧,痛風)
8mg
20日間
 ↓
4mg
8日間
低カリウム血症
原疾患に狭心症,陳旧性心筋梗塞あり。
投与開始日 心不全に対して,本剤を投与開始。
投与4日目 K値4.0mEq/L。
投与21日目 K値2.8mEq/L。本剤を8mgから4mgに減量。スピロノラクトン0.5錠,塩化カリウム2400mgを追加。
投与28日目
(投与中止日)
K値4.3mEq/Lと回復。本剤および塩化カリウムを投与中止。フロセミド1錠を追加。
企業報告
臨床検査値
  
投与
16日前
投与
1日前
投与
4日目
投与
8日目
投与
11日目
投与
13日目
投与
21日目
投与28日目
(投与中止日)
中止
14日後
Na(mEq/L)
145
136
140
138
140
136
143
138
139
K(mEq/L)
3.4
4.6
4.0
3.9
4.7
3.5
2.8
4.3
3.9
Cl(mEq/L)
106
100
104
103
103
96
105
103
105
BUN(mg/dL)
17
26
31
31
28
36
16
16
26
クレアチニン(mg/dL)
1.75
1.37
1.35
1.39
1.24
2.07
1.48
1.41
1.81
併用薬:カルベジロール,塩酸エホニジピン,塩酸メキシレチン

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
70代
心不全
(なし)
4mg
27日間
高カリウム血症,徐脈
原疾患に糖尿病,心筋梗塞(冠動脈バイパス術後),甲状腺機能低下症あり。
投与1日前 心不全に対して,カンデサルタンシレキセチルを投与開始。
投与開始日 心不全に対して,本剤およびスピロノラクトンを投与開始。
投与27日目
(投与中止日)
嘔吐,徐脈,高カリウム血症(K値7.7mEq/L)にて緊急入院。
羞明,心電図で洞性徐脈,心拍数38/分。
本剤およびスピロノラクトンを投与中止。
グルコン酸カルシウム1アンプル静注,炭酸水素ナトリウム2アンプル静注,ポリスチレンスルホン酸カルシウム10g内服により,心電図で徐脈改善。心拍数70/分になる。
中止2日後 K値4.7mEq/Lにより退院。
企業報告
臨床検査値
  
投与
2日前
投与
3日目
投与
10日目
投与27日目
(投与中止日)
中止
1日後
中止
2日後
中止
9日後
発現時
改善後
心拍数(/分)
76
38
70
Na(mEq/L)
140
137
138
136
138
140
141
K(mEq/L)
4.4
4.6
5.0
7.7
5.2
4.7
4.5
Cl(mEq/L)
107
106
105
105
104
103
102
BUN(mg/dL)
23
35
30
40
28
28
31
クレアチニン(mg/dL)
1.1
1.3
1.3
1.2
1.2
1.3
1.1
併用薬:カンデサルタンシレキセチル(被疑薬),スピロノラクトン(被疑薬),塩酸チクロピジン,一硝酸イソソルビド,塩酸ジルチアゼム,アトルバスタチンカルシウム,アスピリン・ダイアルミネート,ニトログリセリン,ファモチジン,酸化マグネシウム,センノシド,ヒトインスリン(遺伝子組換え),カルベジロール

【5】 日本脳炎ワクチン

販売名(会社名) 日本脳炎“化血研”シリンジ(化学及血清療法研究所)
日本脳炎ワクチン“化血研”N(化学及血清療法研究所)
日本脳炎ワクチン「S北研」(北里研究所)
日本脳炎ワクチン「生研」(デンカ生研)
日本脳炎ワクチン「ビケン」(阪大微生物病研究会)
日本脳炎ワクチンキット「タケダ」(武田薬品工業)
薬効分類等 ワクチン類
効能効果 本剤は,日本脳炎の予防に使用する。
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副反応
(重大な副反応)]
特発性血小板減少性紫斑病:特発性血小板減少性紫斑病があらわれることがある。通常,接種後数日から3週ごろに紫斑,鼻出血,口腔粘膜出血等があらわれる。本症が疑われる場合には,血液検査等の観察を十分に行い,適切な処置を行うこと。
脳症:脳症があらわれることがある。接種後,発熱,四肢麻痺,けいれん,意識障害等の症状があらわれる。本症が疑われる場合には,MRI等で診断し,適切な処置を行うこと。
けいれん:けいれんがあらわれることがある。通常,接種直後から数日ごろまでにけいれん症状があらわれる。本症が疑われる場合には,観察を十分に行い,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
10歳
未満
日本脳炎の予防
(なし)
0.5mL
1回
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
接種日 本剤接種(2回目)。
接種20日後 朝方30分程,鼻出血が止まらないため,近医耳鼻科を受診したが,鼻粘膜の軽度損傷があるのみで,特に問題はないとのことであった。
接種21日後 上記のエピソードが心配になり,小児科外来を両親とともに受診。
身体所見上,下肢,体幹に紫斑の多発を認めた(内出血が治りにくいということを母親も気にしていたとのこと)。
また,この1ヵ月の間に感冒様症状は全くないとのことであった。血液検査にて,血小板数2.9×104/mm3と低下を認め,ITPを疑い緊急入院,安静とした。血液凝固系検査結果は異常なし。
8日間入院。
接種23日後 骨髄穿刺を施行。有核細胞数25.7×104/mm3,巨核球203/mm3。(小型でbasophilicなcell多い),かつ悪性疾患を疑わせるblastは認めず,ITPと診断。
人免疫グロブリン6gの点滴を開始した。
血中抗体価検査結果:
風疹IgG 27.8,風疹IgM 0.09,
日本脳炎 80,血小板関連抗体PAIgG 60.0。
接種24日後 血小板数13.4×104/mm3に上昇。脾臓等腹腔内病変検索のためエコーしたところ,出血,脾腫などはみられなかった。
接種25日後 血小板数23.9×104/mm3に上昇。下肢,体幹の紫斑も著減しているため,人免疫グロブリンの点滴は連日3日間で中止。
接種28日後 以後,血小板数は順調に上昇し,紫斑も減少傾向を示したので軽快し,退院した。
(なお,本児は風疹の予防接種は約11ヵ月前に済ませている)
企業報告
臨床検査値
  
接種21日後
接種23日後
接種24日後
接種25日後
接種28日後
血小板数(×104/mm3
2.9
6.4
13.4
23.9
37.7
併用薬:なし

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
10歳
未満
日本脳炎の予防
(なし)
0.5mL
1回
けいれん
接種日 本剤接種。
接種約1時間
30分後
父親が患者の目つきがおかしいことに気づく。
接種約2時間後 医療機関を受診。
接種約2時間
30分後
眼球左上方固定。意識レベル低下あり(JCS200-300)。
点滴確保,コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム200mg静注,酸素4L/分投与。
接種約3時間後 左上肢ピクつき出現。ジアゼパム1mg静注。ピクつき3分程度で消失。その後も意識障害続くため,他医療機関に救急搬送。
接種約3時間
30分後
来院時の体温36.8℃,脈拍112/分,血圧132/60mmHg,JCSIII-100。
悪寒あり。触れると激しく啼泣。
血液検査,頭部CT異常所見なし。
接種約6時間後 覚醒。意識障害なし。神経学的異常所見なし。発熱なし。髄液検査異常所見なし。フェノバルビタールナトリウム坐剤60mg投与。濃グリセリン・果糖5mL/kg×3回/日投与開始。アシクロビル10mg/kg×3回/日点滴開始。
接種1日後 頭部MRI,脳波異常所見なし。以降発熱なく,全身状態良好。濃グリセリン・果糖投与中止。
接種2日後 血液検査,異常所見なし。ゾビラックス投与中止。
接種3日後 点滴抜去。
接種4日後 脳波再検,異常所見なし。
接種5日後 けいれん,意識障害は回復。
退院。
企業報告
併用薬:なし

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
10歳
未満
日本脳炎の予防
(なし)
0.5mL
1回
急性脳症
接種23日前 本剤I期1回目接種。
接 種 日 本剤I期2回目接種。
接種7日後 発熱と意識障害あり。入院。
意識障害増悪軽快をくりかえす。
頭部MRI異常所見なし。脳波上,覚醒時でもθ波多い。
<臨床検査値>
白血球数21300/mm3
接種13日後 意識障害は軽快傾向であるが,まだ変動あり。
発症前のレベルには戻っていない。
<臨床検査値>
ウイルス分離試験
 検査材料:糞便,咽頭拭い液(接種11日後)
        髄液(接種11日後)
 検査結果:HEF.HEp-2.Vero.MDCK
        RD18s.GMKでウイルス分離陰性
日本脳炎ウイルス中和抗体価測定試験
 検査材料採取日:接種10日後
 検査結果:血清 中山株 2.98(10n
        北京株 4.47
        髄液 中山株 <1.0
        北京株 1.60
企業報告
併用薬:なし

 

目次へ

使用上の注意の改訂について(その165)

 前々号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.211)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「2 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について,改訂内容,主な該当販売名,参考文献等をお知らせいたします。

 

1 〈眼科用剤〉
硫酸フラジオマイシン・メチルプレドニゾロン
リン酸ベタメタゾンナトリウム・硫酸フラジオマイシン(眼軟膏)
[販 売 名] ネオメドロールEE軟膏(住友製薬),眼・耳科用リンデロンA軟膏(塩野義製薬)
[禁 忌]
鼓膜に穿孔のある患者への耳内使用
[慎重投与] 「鼓膜穿孔のある患者」を削除
〈参   考〉 企業報告

 

 

2 〈血圧降下剤〉
オルメサルタンメドキソミル
[販 売 名] オルメテック錠10mg,同錠20mg(三共)
[重大な副作
用(類薬)]
低血糖:他のアンジオテンシンII受容体拮抗剤で,低血糖があらわれることがある(糖尿病治療中の患者であらわれやすい)ので,観察を十分に行い,脱力感,空腹感,冷汗,手の震え,集中力低下,痙攣,意識障害等があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

3 〈その他の消化器官用薬〉
インフリキシマブ(遺伝子組換え)
[販 売 名] レミケード点滴静注用100(田辺製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
肝機能障害:AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。また,B型肝炎ウイルスキャリア(HBs抗原陽性)の患者は,本剤と免疫抑制作用をもつ薬剤との併用により,B型肝炎が再燃するおそれがある。
〈参   考〉 企業報告

 

 

4 〈痔疾用剤〉
トリベノシド
[販 売 名] ヘモクロン(天藤製薬)他
[副作用
(重大な副作用)]
多形(滲出性)紅斑:多形(滲出性)紅斑があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

5 〈外皮用殺菌消毒剤〉
ヨードホルム
[販 売 名] タマガワヨードホルムガーゼ(玉川衛材),ハクゾウヨードホルムガーゼ(ハクゾウメディカルテクノス)他
[副作用
(重大な副作用)]
ヨード中毒
 以下のような症状のヨード中毒を起こすことがあるので,血中総ヨウ素濃度の測定を行うなど,十分な観察を行い,異常が認められた場合には使用を中止し,十分洗浄して適切な処置を行うこと。
  1)精神神経系:興奮,せん妄,不穏,見当識障害,記憶障害,抑うつ,昏睡,失神,傾眠,不眠(睡眠障害)
  2)消化器:食欲不振等
  3)その他:頭痛,全身倦怠感,頻脈等
〈参   考〉 企業報告

 

6 〈鎮痛,鎮痒,収斂,消炎剤〉
吉草酸ベタメタゾン・硫酸フラジオマイシン
[販 売 名] ベトネベートN軟膏,同クリーム(グラクソ・スミスクライン)他
[禁 忌]
鼓膜に穿孔のある患者への耳内使用
〈参   考〉 企業報告

 

7 〈他に分類されない代謝性医薬品〉
アザチオプリン
[販 売 名] アザニン錠(田辺製薬),イムラン錠(グラクソ・スミスクライン)
[重要な基本的注意]

本剤投与中に水痘又は帯状疱疹に感染すると,致命的な経過をたどることがあるので,次の注意が必要である。

1)本剤投与前に水痘又は帯状疱疹の既往や予防接種の有無を確認すること。血清中のウイルス抗体価の測定は,既往歴の確認に有用である。

2)水痘又は帯状疱疹の既往のない患者においては,水痘又は帯状疱疹への感染を極力防ぐよう常に十分な配慮と観察を行うこと。感染が疑われる場合や感染した場合には,直ちに受診するよう指導し,免疫グロブリンの投与等の適切な処置を行うこと。

3)水痘又は帯状疱疹の既往や予防接種を受けたことがある患者であっても,本剤投与中は,水痘又は帯状疱疹を発症する可能性があるので留意すること。

他の免疫抑制剤と併用する場合には,過度の免疫抑制により感染に対する感受性の上昇,リンパ腫及び他の悪性腫瘍が発現する可能性があるので,有効最低限の免疫抑制を維持するなど十分注意すること。また,非ホジキンリンパ腫及びカポジ肉腫は免疫抑制剤の減量若しくは投与中止により,退行(退縮)するとの報告がある。

[副作用
(重大な副作用)]
悪性新生物(リンパ腫,皮膚癌,肉腫,子宮頸癌,急性骨髄性白血病,骨髄異形成症候群等)
〈参   考〉 企業報告

 

8 〈その他の腫瘍用薬〉
ゲフィチニブ
[販 売 名] イレッサ錠250(アストラゼネカ)
[重要な基本的注意] 本剤を投与する際は,日本肺癌学会の「ゲフィチニブ使用に関するガイドライン」等の最新の情報を参考に行うこと。
[その他の注意] 海外で実施された1~2レジメンの化学療法歴のある再発又は進行非小細胞肺癌患者を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検第III相比較臨床試験において,腫瘍縮小効果では統計学的に有意差が認められたが,対象患者全体(HR=0.89,p=0.09,中央値 5.6ヶ月vs5.1ヶ月),腺癌患者群(HR=0.84,p=0.09,中央値 6.3ヶ月vs5.4ヶ月)で生存期間の延長に統計学的な有意差は認められなかった。
〈参考〉 企業報告

 

9 〈漢方製剤〉
柴胡桂枝乾姜湯
[販売名] ツムラ柴胡桂枝乾姜湯エキス顆粒(医療用)(ツムラ)他
[副作用
(重大な副作用)]
肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

10 〈漢方製剤〉
三物黄ごん湯
[販 売 名] ツムラ三物黄ごん湯エキス顆粒(医療用)(ツムラ)※
[副作用
(重大な副作用)]
間質性肺炎:発熱,咳嗽,呼吸困難,肺音の異常(捻髪音)等があらわれた場合には,本剤の投与を中止し,速やかに胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また,発熱,咳嗽,呼吸困難等があらわれた場合には,本剤の服用を中止し,ただちに連絡するよう患者に対し注意を行うこと。
肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告
※「ツムラ三物黄ごん湯エキス顆粒(医療用)(ツムラ)」の「ごん」は、草かんむりの下に「今」。

 

11 〈漢方製剤〉
防已黄耆湯
[販 売 名] ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒(医療用)(ツムラ)他
[副作用
(重大な副作用)]
間質性肺炎:発熱,咳嗽,呼吸困難,肺音の異常(捻髪音)等があらわれた場合には,本剤の投与を中止し,速やかに胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また,発熱,咳嗽,呼吸困難等があらわれた場合には,本剤の服用を中止し,ただちに連絡するよう患者に対し注意を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

12 〈漢方製剤〉
六君子湯
[販売名] ツムラ六君子湯エキス顆粒(医療用)(ツムラ)他
[副作用
(重大な副作用)]
肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参考〉 企業報告

 

13 〈抗ウイルス剤〉
フマル酸テノホビルジソプロキシル
[販 売 名] ビリアード錠300mg(日本たばこ産業)
[警 告]
警告
B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合,重症化するおそれがあるので注意すること。
[重要な基本的注意]

「本剤はB型慢性肝炎に対する適応を有しておらず,その有効性及び安全性は確立していない。また,B型慢性肝炎を合併している患者では本剤投与中止後にB型慢性肝炎の悪化が報告されている。

これらの患者で本剤の投与を中断する場合には,投与中止後も臨床症状,臨床検査値に注意してモニターすること。」を削除

抗HIV薬の使用により,体脂肪の再分布/蓄積があらわれることがあるので,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがあるので,これらの炎症性の症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。

〈参   考〉 企業報告

 

14 〈その他の生物学的製剤〉
ペグインターフェロンアルファ-2a(遺伝子組換え)
[販売名] ペガシス皮下注90μg,同皮下注180μg(中外製薬)
[重要な基本的注意] 好中球減少,血小板減少,貧血を起こすおそれがあるので,本剤の投与開始後1週間は血液学的検査を週2回以上,以後は各投与直前に検査を行い,投与終了後も検査値が回復するまで定期的に検査を行うこと。また,肝障害,腎障害を起こすおそれがあるので,生化学的検査は4週毎に定期的に検査を行うこと。
〈参考〉 企業報告

 

15 〈合成麻薬〉
クエン酸フェンタニル
[販売名] フェンタネスト注射液(三共)
[警告]
警告
本剤の硬膜外及びくも膜下投与は,これらの投与法に習熟した医師のみにより,本剤の投与が適切と判断される患者についてのみ実施すること。
[禁忌]
中枢神経系疾患(髄膜炎,灰白脊髄炎,脊髄癆等)の患者(くも膜下投与)
脊髄・脊椎に結核,脊椎炎及び転移性腫瘍等の活動性疾患のある患者(くも膜下投与)
[慎重投与] 中枢神経系疾患(髄膜炎,灰白脊髄炎,脊髄癆等)の患者(硬膜外投与,くも膜下投与:禁忌
脊髄・脊椎に結核,脊椎炎及び転移性腫瘍等の活動性疾患のある患者(硬膜外投与,くも膜下投与:禁忌
〈参考〉 企業報告

 

16 一般用医薬品
柴胡桂枝乾姜湯
[販売名] 柴胡桂枝乾姜湯エキス顆粒(カネボウ)他
[相談すること] 次の場合は,直ちに服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
 服用後,次の症状があらわれた場合
  まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
   肝機能障害:全身のだるさ,黄疸(皮ふや白目が黄色くなる)等があらわれる。
〈参考〉 企業報告

 

17 一般用医薬品
三物黄ごん湯
[販売名] 三物黄ごん湯エキス顆粒KM(カーヤ)※
[相談すること] 次の場合は,直ちに服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
 服用後,次の症状があらわれた場合
  まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
   間質性肺炎:せきを伴い,息切れ,呼吸困難,発熱等があらわれる。
   肝機能障害:全身のだるさ,黄疸(皮ふや白目が黄色くなる)等があらわれる。
〈参考〉 企業報告
※「三物黄ごん湯エキス顆粒KM(カーヤ)」の「ごん」は、草かんむりの下に「今」。

 

18 一般用医薬品
防已黄耆湯
[販売名] ツムラ漢方防已黄耆湯エキス顆粒(ツムラ)他
[相談すること] 次の場合は,直ちに服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
 服用後,次の症状があらわれた場合
  まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
   間質性肺炎:せきを伴い,息切れ,呼吸困難,発熱等があらわれる。
〈参考〉 企業報告

 

19 一般用医薬品
六君子湯(甘草として1日最大配合量が1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤)
[販売名] 六君子湯エキス顆粒(カネボウ)他
[相談すること] 次の場合は,直ちに服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
 服用後,次の症状があらわれた場合
  まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
   肝機能障害:全身のだるさ,黄疸(皮ふや白目が黄色くなる)等があらわれる。
〈参考〉 企業報告

 

 

20 一般用医薬品
六君子湯(甘草として1日最大配合量が1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有しない製剤)
[販売名] ツムラ漢方六君子湯エキス顆粒(ツムラ)他
[相談すること] 次の場合は,直ちに服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
 服用後,次の症状があらわれた場合
  まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
   肝機能障害:全身のだるさ,黄疸(皮ふや白目が黄色くなる)等があらわれる。
〈参考〉 企業報告

 

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市販直後調査の対象品目一覧

(平成17年5月1日現在)

一般名 製造販売業者名 市販直後調査開始年月日
販売名
バルガンシクロビル塩酸塩 田辺製薬(株) 平成16年11月5日
バリキサ錠450mg
パミドロン酸二ナトリウム 日本チバガイギー(株) 平成16年11月29日
アレディア注15mg,同注30mg*1
アデホビルピボキシル グラクソ・スミスクライン(株) 平成16年12月8日
ヘプセラ錠10
三酸化ヒ素 日本新薬(株) 平成16年12月8日
トリセノックス注10mg
ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え) シェリング・プラウ(株) 平成16年12月8日
ペグイントロン皮下注用50μg,同皮下注用100μg,同皮下注用150μg
ラミブジン グラクソ・スミスクライン(株) 平成16年12月8日
ゼフィックス錠100*2
リバビリン シェリング・プラウ(株) 平成16年12月8日
レベトールカプセル200mg*3
臭化チオトロピウム水和物 日本ベーリンガーインゲルハイム(株) 平成16年12月10日
スピリーバ吸入用カプセル18μg
ホスアンプレナビルカルシウム水和物 グラクソ・スミスクライン(株) 平成17年1月7日
レクシヴァ錠700
ゾレドロン酸水和物 日本チバガイギー(株) 平成17年1月21日
ゾメタ注射液4mg
プロピオン酸ベクロメタゾン 大日本製薬(株) 平成17年1月19日
キュバール50エアゾール,同100エアゾール*4
塩酸プラルモレリン 科研製薬(株) 平成17年2月25日
注射用GHRP科研100
硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸 三菱ウェルファーマ(株) 平成17年3月15日
ジオン注無痛化剤付,同注生食液付
塩酸エピナスチン 日本ベーリンガーインゲルハイム(株) 平成17年3月23日
アレジオンドライシロップ1%
エタネルセプト(遺伝子組換え) ワイス(株) 平成17年3月30日
エンブレル皮下注用25mg
オキサリプラチン (株)ヤクルト本社 平成17年4月6日
エルプラット注射用100mg
タクロリムス水和物 アステラス製薬(株) 平成17年4月11日
プログラフ0.5mg,同1mg*5
エムトリシタビン 日本たばこ産業(株) 平成17年4月19日
エムトリバカプセル200mg
エムトリシダビン・フマル酸テノホビルジソプロキシル配合剤 日本たばこ産業(株) 平成17年4月19日
ツルバダ錠
注)効能追加等における対象
*1: 効能追加された「乳癌の溶骨性骨転移」
*2: 効能追加された「アデホビルピボキシルとの併用の場合」
*3: 効能追加された「ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)との併用による次のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善」
*4: 小児用量追加された「小児には,通常1回50μgを1日2回口腔内に噴霧吸入する。なお,年齢,症状により適宜増減するが,1日の最大投与量は,成人では800μg,小児では200μgを限度とする。(下線部追加)」
*5: 効能追加された「関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)」

 

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医薬品・医療機器等安全性情報は,医薬品医療機器情報提供ホームページ(https://www.pmda.go.jp/)又は厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。

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