独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

医薬品・医療機器等安全性情報 No.239

目次

  1. 重要な副作用等に関する情報
    1. アルテプラーゼ(遺伝子組換え)
    2. 塩酸オキシコドン水和物
    3. メロペネム三水和物
  2. 使用上の注意の改訂について(その189)
    アモバルビタール他(7件)
  3. 市販直後調査の対象品目一覧

 

 この医薬品・医療機器等安全性情報は,厚生労働省において収集された副作用等の情報をもとに,医薬品・医療機器等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。

平成19年(2007年)8月
厚生労働省医薬食品局

 

 

厚生労働大臣への副作用等報告は,医薬関係者の業務です。

 医師,歯科医師,薬剤師等の医薬関係者は,医薬品や医療機器による副作用,感染症,不具合を知ったときは,直接又は当該医薬品等の製造販売業者を通じて厚生労働大臣へ報告してください。
 なお,薬種商販売業や配置販売業の従事者も医薬関係者として,副作用等につき,報告することが求められています。

 

目次へ

 

重要な副作用等に関する情報

 平成19年7月6日に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容等とともに改訂の根拠となった症例の概要等に関する情報を紹介いたします。

【1】アルテプラーゼ(遺伝子組換え)

販売名(会社名) アクチバシン注600万,同注1200万,同注2400万(協和発酵工業)
グルトパ注600万,同注1200万,同注2400万(三菱ウェルファーマ)
薬効分類等 酵素製剤
効能効果 虚血性脳血管障害急性期に伴う機能障害の改善(発症後3時間以内)
急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解(発症後6時間以内)
 
〈改訂理由〉 本剤による出血の副作用に関しては,これまで,警告の項に「出血性有害事象の発現に十分注意して経過観察を行う」旨を,また,重要な基本的注意及び重大な副作用の項に,脳出血(頭蓋内出血等)をはじめ,消化管出血,肺出血,後腹膜出血等の重篤な出血について記載するとともに,「出血している患者」及び「出血するおそれの高い患者」を禁忌にするなどの注意喚起を行ってきたところである。今般,胸部大動脈解離等を合併している患者に本剤を使用した後,胸部大動脈解離の悪化,胸部大動脈瘤破裂等を起こした症例が報告されたことから,警告の項に,胸部大動脈解離あるいは胸部大動脈瘤を合併している可能性のある患者についての留意事項を追記し,注意喚起を行ったものである。
 
使用上の注意(関連部分のみ抜粋:下線部追加改訂部分)》
[警  告]

警告

(1) 本剤の投与により脳出血による死亡例が認められているため,「警告」,「禁忌」及び「使用上の注意」等に十分留意し,適応患者の選択を慎重に行った上で,本剤投与による頭蓋内出血等の出血性有害事象の発現に十分注意して経過観察を行うこと。
(2) 虚血性脳血管障害急性期患者への使用は,重篤な頭蓋内出血を起こす危険性が高いので,以下の基準を満たす状況下に使用すること。
1) 随時コンピューター断層撮影(CT)や核磁気共鳴画像(MRI)の撮影が可能な医療施設のSCU,ICUあるいはそれに準ずる体制の整った施設。
2) 頭蓋内出血が認められた場合等の緊急時に,十分な措置が可能な設備及び体制の整った医療施設。
3) 虚血性脳血管障害の診断と治療,CT等画像診断に十分な経験を持つ医師のもとで使用すること。
(3) 虚血性脳血管障害急性期患者への使用により,胸部大動脈解離の悪化あるいは胸部大動脈瘤破裂を起こし死亡に至った症例が報告されているため,胸痛又は背部痛を伴う,あるいは胸部X線にて縦隔の拡大所見が得られるなど,胸部大動脈解離あるいは胸部大動脈瘤を合併している可能性がある患者では,適応を十分に検討すること。
[禁忌]
●虚血性脳血管障害急性期
出血している患者(頭蓋内出血,消化管出血,尿路出血,後腹膜出血,喀血)
出血するおそれの高い患者[出血を助長するおそれがある。]
[重要な基本的注意] ●虚血性脳血管障害急性期
本剤の投与により脳出血の危険性が高まるため,本剤の投与はSCU,ICUあるいはこれに準ずる体制の整った施設において実施し,患者の状態の観察を十分に行うこと。
投与前に頭蓋コンピューター断層撮影(CT)や核磁気共鳴画像(MRI)を実施し,出血を認めた場合は本剤を投与しないこと。
血圧,血糖値の高い患者あるいは血小板数の低い患者については,脳出血の危険性が高まるとの報告があるため,十分に注意すること。[「禁忌」の項参照]
本剤投与中及び投与後24時間以内は,意識状態や神経症状の観察を頻回に行い,意識状態や神経症状の急激な悪化に注意すること。なお,急激な意識状態又は神経症状の悪化が認められた場合にはCT等の画像診断を行い,脳出血の有無を確認すること。
重篤な出血が起こることがあるので,出血の早期発見に留意し,血液凝固能等の血液検査を頻回に行うこと。
[副作用
(重大な副作用)]
脳出血,消化管出血,肺出血,後腹膜出血等の重篤な出血があらわれることがあるので,投与中は観察を十分に行い,これらの症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
また,出血の増大に伴い出血性ショックに至ることがあるので注意すること。
出血性脳梗塞があらわれることがあるので,観察を十分に行い,このような症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 平成17年10月(虚血性脳血管障害急性期の効能追加)~平成19年5月31日の副作用報告(因果関係が否定できないもの)の件数
・胸部大動脈解離の悪化,胸部大動脈瘤破裂:8例(死亡8例)
関係企業が推計したおおよその使用者数:約6600人(平成17年10月~平成19年5月)
販売開始:平成3年5月(虚血性脳血管障害急性期の効能追加:平成17年10月)


症例の概要
No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
70代
脳梗塞
(高血圧,肺線維症)
25mg
(0.5mg/kg)
1回
大動脈解離の悪化
脳梗塞発症。
発症1時間55分後 CT検査実施。
Early CT signなし,出血なし,浮腫なし。
意識障害レベル:JCS2
発症2時間20分後 NIHSS18。
発症2時間40分後 本剤投与前血圧164/74mmHg(臥位)。
本剤静脈内投与開始。
発症から,それまでは胸部症状の訴えなし。
発症3時間5分後 胸部のしめつけ感がありECG撮る。
発症3時間10分後 意識レベル低下,血圧低下,塩酸ニカルジピン中止,塩酸ドパミン開始。
発症3時間20分後 本剤中止。胸腹部CTにて大動脈解離の可能性。
発症4時間7分後 血圧低下,呼吸停止,呼吸補助。
発症4時間15分後 心マッサージ開始。
発症4時間22分後 心のう穿刺,ドレナージ開始。
発症5時間42分後 死亡。
死因:大動脈解離,心タンポナーデ
臨床検査値
   発症2時間40分後 発症3時間5分後 発症3時間14分後
収縮期血圧(mmHg) 164 104 68
拡張期血圧(mmHg) 74 94 42
脈拍数(/分) 111 117
体温(℃) 35.0
併用薬:塩酸ニカルジピン
 
No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
70代
脳梗塞
(胸部解離性動脈瘤)
6.9mg
(0.17mg/kg)
1回
大動脈瘤破裂
脳梗塞発症。
発症50分後 CT,MRI検査実施。
Early CT signなし,出血なし,浮腫なし。
責任病巣:右内頸動脈穿通枝及び皮質枝領域
梗塞巣の大きさ:中・大(実測1.5cmを超える)
意識障害レベル:JCS2
発症1時間30分後 NIHSS12。
測定時刻不明 本剤投与前血圧134/73mmHg(臥位)。
発症1時間42分後 本剤静脈内投与開始(投与所要時間12分)。
発症1時間55分後 投与13分後に状態悪化(血圧95/52mmHg,脈拍数68/分)のため,本剤投与中止(総投与量6.9mg)。
発症1時間57分後 中止2分後に意識障害が出現し,ショック状態となる。
発症2時間10分後 胸部CT検査を行ったところ,心タンポナーデ,胸部解離性動脈瘤と判明。
発症2時間35分後 心肺停止となったため,心臓マッサージ実施。
発症3時間11分後 死亡確認。
死因:大動脈瘤破裂
臨床検査値
   投与開始前 発症1時間55分後 発症1時間57分後 発症2時間35分後
収縮期血圧(mmHg) 134 95 50台 0
拡張期血圧(mmHg) 73 52
脈拍数(/分) 68
併用薬:エダラボン


 

【2】塩酸オキシコドン水和物

販売名(会社名) オキシコンチン錠5mg,同錠10mg,同錠20mg,同錠40mg,オキノーム散0.5%(塩野義製薬)
薬効分類等 あへんアルカロイド系麻薬
効能効果 中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
 
使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
肝機能障害:AST(GOT),ALT(GPT),Al-P等の著しい上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 直近約3年間(平成16年4月1日~平成19年5月18日)の副作用報告(因果関係が否定できないもの)の件数
・肝機能障害:7例(うち死亡1例)
関係企業が推計したおおよその年間使用者数:約9万人(平成18年7月~平成19年6月)
販売開始:平成15年7月


症例の概要
No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
癌疼痛
(残胃炎,血小板増多症,低カルシウム血症,不眠症)
15mg
1日間

20mg
2日間
肝障害
既往歴:急性腎不全
投与開始日 食道癌術後頸部再発による疼痛に対し,本剤投与開始。
投与2日目 本剤の副作用と考えられる悪心を認めたが,継続投与。
投与3日目
(投与中止日)
体調不良を訴えたため,血液検査を行ったところ,肝障害を認め,すぐに本剤の投薬を中止。グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤の点滴による治療開始。
排尿障害発現。
中止2日後 徐々に体調は回復。
中止3日後 血液検査では,AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ-GTPともに改善傾向を認める。
中止4日後 肝障害の軽快,排尿障害の回復を認める。
臨床検査値
   投与5日前 投与3日目
(投与中止日)
中止1日後 中止3日後
AST(GOT)(IU/L) 26 438 372 59
ALT(GPT)(IU/L) 20 383 344 155
Al-P(IU/L) 420 1466 1692 1147
LDH(IU/L) 250 571 464 236
γ-GTP(IU/L) 18 152 158 99
総ビリルビン(mg/dL) 0.21
併用薬:ファモチジン,アスピリン,沈降炭酸カルシウム,エスタゾラム
 
No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
70代
右大腿神経痛
[回盲部癌浸潤による]
(なし)
10mg
5日間
肝機能異常
既往歴:高血圧
投与約3年半前 回盲部癌右外腸骨動静脈浸潤にて腫瘍切除,右外腸骨動脈人工血管置換術,右大腿神経に浸潤した腫瘍核出。
以降,右大腿神経痛・右下肢痛があり,ロキソプロフェンナトリウム内服。
投与35日前 同部の痛みが強いため,当院他科にて硫酸モルヒネ(10mg)が投与されたが,嘔気・嘔吐,めまい,ふらつきが発現し,1日で自己中止。
投与開始日 当院他科より当科へ紹介受診。疼痛治療として,本剤10mg,ジクロフェナクナトリウム75mg/日の経口投与開始。
嘔気・嘔吐,ふらつき発現。
投与2日目 ジクロフェナクナトリウム投与中止。
投与5日目
(投与中止日)
疼痛は改善するが,嘔気・嘔吐,ふらつきが増強し,本剤投与中止。
中止3日後 疼痛治療として,塩酸モルヒネ内服液25mg/日を経口投与(同日のみ)。
肝機能障害発現。
中止4日後 発熱,全身倦怠感が強く,血液検査にて肝機能異常を認め入院。グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤静注を施行。疼痛に対してはフェンタニル(2.5mg)貼付を施行。
中止7日後 嘔気・嘔吐,ふらつきの回復を認める。
中止13日後 肝機能の改善が認められ,退院。
臨床検査値
   投与開始日 中止4日後 中止10日後
AST(GOT)(IU/L) 20 762 17
ALT(GPT)(IU/L) 16 702 51
Al-P(IU/L) 340 1274 552
LDH(IU/L) 180 957 189
γ-GTP(IU/L) 91 751 301
総ビリルビン(mg/dL) 0.40 1.45 0.48
併用薬:ジクロフェナクナトリウム,ベシル酸アムロジピン


 

【3】 メロペネム三水和物

販売名(会社名) メロペン点滴用0.25g,同点滴用0.5g(大日本住友製薬)
薬効分類等 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
効能効果 <適応菌種>
メロペネムに感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,腸球菌属,髄膜炎菌,モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス,大腸菌,シトロバクター属,クレブシエラ属,エンテロバクター属,セラチア属,プロテウス属,プロビデンシア属,インフルエンザ菌,シュードモナス属,緑膿菌,バークホルデリア・セパシア,バクテロイデス属,プレボテラ属
<適応症>
敗血症,深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,外傷・熱傷及び手術創等の二次感染,肛門周囲膿瘍,骨髄炎,関節炎,扁桃炎(扁桃周囲膿瘍を含む),肺炎,肺膿瘍,膿胸,慢性呼吸器病変の二次感染,複雑性膀胱炎,腎盂腎炎,腹膜炎,胆嚢炎,胆管炎,肝膿瘍,子宮内感染,子宮付属器炎,子宮旁結合織炎,化膿性髄膜炎,眼内炎(全眼球炎を含む),中耳炎,副鼻腔炎,顎骨周辺の蜂巣炎,顎炎
 
使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
劇症肝炎,肝機能障害,黄疸劇症肝炎等の重篤な肝炎,肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参  考〉 直近約3年間(平成16年4月1日~平成19年5月9日)の副作用報告(因果関係が否定できないもの)の件数
・劇症肝炎:3例(うち死亡1例)
関係企業が推計したおおよその年間使用者数:約60万人(平成18年度)
販売開始:平成7年9月


症例の概要
No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
発熱,蜂窩織炎
(透析に伴う皮膚そう痒症,糖尿病,糖尿病性腎不全,心筋梗塞)
1g
2日間
劇症肝炎
糖尿病,糖尿病性腎不全にて透析中。急性心筋梗塞があり,転院を繰り返していた。
投与約3ヵ月前 全身に痒み出現。
投与2日前 痒みの治療のためA院よりB院転院。
投与1日前 左足背部の潰瘍に炎症反応を認め,硫酸セフピロム1g点滴施行。痒みの治療のため,クエン酸タンドスピロン10mg1日3回朝昼夕で内服開始。夜間不穏状態がみられるも,家族によると転院を繰り返すたび不穏状態みられたとのこと。
投与開始日 夜間38℃台の発熱と血圧80mmHg台までの低下あり。下肢挙上にて血圧120mmHg台まで改善。抗生剤を硫酸セフピロムから本剤へ変更した。夜間意識レベルの低下を認め血糖測定にて低血糖発作と診断。グルコース注射にて意識レベル改善するも同症状を計3回認めた。
クエン酸タンドスピロン投与終了。
投与2日目
(投与中止日)
朝の採血にて肝機能障害を認め,精査の結果,劇症肝炎と診断。ICU転科となる。肝性昏睡II度。(劇症肝炎発現)
以降,血漿交換計6回。ステロイドパルス,シクロスポリンなどにて治療するも,肝の合成能の改善みられず,またDIC,肺炎なども併発。
本剤投与終了。
中止21日後 透析中,急変し死亡。
剖検所見:なし
臨床検査値
   投与
1日前
投与2日目
(投与中止日)
中止
1日後
中止
2日後
中止
6日後
中止
11日後
中止
17日後
中止
21日後
AST(GOT)(IU/L) 11 5774 7857 9053 5397 1214 1160 47 55
ALT(GPT)(IU/L) 10 2493 3007 3433 3130 691 1103 38 67
Al-P(IU/L) 867 688 960 589 473 712
LDH(IU/L) 268 12130
γ-GTP(IU/L) 26 56
総ビリルビン(mg/dL) 0.4 2.1 2.8 3.0 2.5 5.3 14.4 23.8
コリンエステラーゼ(IU/L) 123 133 279 179 105
CRP(mg/dL) 7.09 14.44 11.96 12.33 6.24 4.35 1.90
プロトロンビン時間(%) 24.0 20.0 68.0 38.0 51.0 21.4
APTT(秒) 58.4 97.9 114.8 59.6 92.2
ATIII(%) 48 71 55 50
アンモニア(μg/dL) 51.7 30.9 22.1 71.1 55.0
HBs-Ag 0.04
HBs-Ab 64.88
HCV-Ab 0.13
血小板数(×104/mm3 32.4 26.7 22.8 21.6 12.4 10.0 11.8 2.7 7.4
白血球数(/mm3 13460 34630 31160 28650 18830 19630 19050 36690 34480
アルブミン(g/dL) 0.31
昏睡度 夜間不穏 肝性昏睡II度
腹部(肝)CT所見 肝臓実質の濃度低下あり 肝は萎縮し,右葉の萎縮が進行
併用薬:クエン酸タンドスピロン,硫酸セフピロム,スリンダク,沈降炭酸カルシウム,アスピリン,ラフチジン,塩酸プロプラノロール,レバミピド,ニコチン酸トコフェロール,カンデサルタンシレキセチル,ポリスチレンスルホン酸カルシウム,ヒトインスリン(遺伝子組換え),塩酸シプロヘプタジン,ニトログリセリン,ジフルプレドナート,クロタミトン,アルプロスタジルアルファデクス,ポビドンヨード
 
No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
80代
肺炎
(肺癌)
1g
17日間

(20日間投与なし)

1g
12日間
劇症肝炎
患者は末期の肺癌で,下記の経過を辿った。
投与開始日 肺炎のためB院受診。喀痰中の結核菌量は,ガフキー4号を認め,結核の疑いとしてB院よりA院へ転院。
A院で加療(本剤再投与12日目(再投与中止日)まで)。
イソニアジド(INH)・リファンピシン(RFP)・エタンブトール(EB)にて結核治療を開始。
また,肺炎も疑い,本剤(0.5g×2回)投与開始。
投与14日目 肝障害を認めた。AST(GOT)267IU/L,ALT(GPT) 88IU/L。原因薬剤はINH・RFP・EBと考えた。
投与17日目
(投与中止日)
入院時,CRP38.95mg/dLであったが,1.87mg/dLまで低下。肺炎が改善したため,本剤投与中止。
AST(GOT)582IU/L,ALT(GPT)331IU/L。
中止3日後 肝障害のため,INH・RFP・EBを中止。肝機能検査値は,抗結核剤中止後速やかに軽快した。
中止8日後 培養の結果,結核菌は検出されず,非定型抗酸菌を認めたのみであり,結核は否定された。このため,結核病棟から一般病棟に移動。一般病棟では全身状態の管理のみを行っていた。
肺癌マーカーが高値であり,肺癌の末期状態であった。
認知症が激しく,昼間は寝たきりで,夜間はせん妄を認めていた。意思疎通はほぼ不能であった。
食事摂取は2~3割程度で,経過中変化はなかった。
中止11日後 CRPは0.48mg/dLまで低下した。
中止21日後
(再投与開始日)
CRP7.18mg/dLと再上昇し,発熱を認めたため,肺炎を疑い,本剤(0.5g×2回)を再投与した。
投与開始後,患者の状態に特に変化はなく,異常も認めなかった。
本剤再開後,B院への転院が予定されていたため,血液検査を実施しなかった。
再投与12日目
(再投与中止日)
B院に転院(結核は否定的。肺炎は治癒。肺癌と認知症のため)。
B院へ転院時の血液検査で劇症肝炎を疑われた(発現日不明)。
本剤投与中止。
転院時,黄疸等の症状は認められなかった。
AST(GOT)1571IU/L,ALT(GPT)996IU/L,血小板数4.6×104/mm3
A院へ問い合わせ,重篤な肝障害疑う。
再投与中止1日後 AST(GOT)1833IU/L,ALT(GPT)1120IU/L,血小板数3.4×104/mm3
グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤投与開始。
再投与中止2日後 AST(GOT)1187IU/L,ALT(GPT)953IU/L,血小板数3.4×104/mm3,FDP22.7μg/dL。
DIC(播種性血管内凝固症候群)を疑い,メシル酸ナファモスタット開始。
再投与中止3日後 血小板数2.1×104/mm3。ATIII(アンチトロンビンIII)も開始。G-I(グルカゴン-インスリン)療法開始。コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム500mgのパルス療法施行(翌日まで)。
再投与中止5日後 AST(GOT)353IU/L,ALT(GPT)563IU/L,血小板数1.7×104/mm3
人血小板濃厚液5単位輸血。
再投与中止8日後 収縮期血圧60mmHg台まで低下。
ヘモグロビン5.4g/dL,血小板数3.2×104/mm3,アルブミン1.3g/dL,AST(GOT)240IU/L,ALT(GPT)351IU/L。
塩酸ドパミン,ノルアドレナリン,FFP(新鮮凍結人血漿),MAP(人赤血球濃厚液)開始。
再投与中止9日後 永眠された。
剖検所見:なし
臨床検査値
   投与
2日目
投与
4日後
投与
11日目
投与
14日目
投与
17日目
(投与
中止日)
中止
4日後
中止
11日後
中止
21日後(再投与開始日)
再投与12日目(再投与中止日) 再投与中止
1日後
再投与中止
2日後
再投与中止
3日後
再投与中止
5日後
再投与中止
7日後
再投与中止
8日後
AST(GOT)(IU/L) 55 35 28 267 582 85 41 66 1571 1833 1187 875 353 161 240
ALT(GPT)(IU/L) 29 30 19 88 331 173 69 51 996 1120 953 839 563 402 351
Al-P(IU/L) 208 222 255 323 569 429 308 275 1652 1647 1474 1378 1114 913 640
γ-GTP(IU/L) 27 158 154 144 133 111 104 90
LDH(IU/L) 300 271 226 402 293 206 196 289 804 820 775 697 665 701 551
総ビリルビン(mg/dL) 1.30 0.92 0.85 0.88 0.71 0.80 0.44 0.60 2.3 2.3 2.4 2.1 1.4 1.3 1.2
コリンエステラーゼ(IU/L) 60 106 97 93 88 81 81 55
LAP(IU/L) 128 123
アンモニア(μg/dL) 46 21 12
プロトロンビン時間(%) 70.4 59.3 43.8 41.3 42.4 45.7 64.2
APTT(秒) 46.1 41.7 40.5 43.0 37.7 49.2 42.4
アルブミン(g/dL) 2.5 2.1 1.9 1.8 1.9 2.1 2.2 2.3 2.3 2.1 2.0 1.8 1.8 1.8 1.3
血小板数(×104/mm3 16.9 12.7 33.0 33.3 25.3 19.3 29.8 13.8 4.6 3.4 3.4 2.1 1.7 6.7 3.2
白血球数(/mm3 18000 9100 6100 8700 2900 4200 4900 6600 6930 4580 4210 3490 8330 5260 2170
HBs-Ag (-) (-)
HCV-Ab (-) (-)
CRP(mg/dL) 38.95 16.96 6.19 4.52 1.87 0.79 0.48 7.18 0.76 0.65 0.60 0.77 0.27 1.89 5.92
併用薬:イソニアジド,リファンピシン,エタンブトール,アミノ酸・糖・電解質,ファモチジン,ハロペリドール,塩酸ビペリデン,リスペリドン,ラクトミン,チアミンモノホスフェイトジスルフィド


 

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使用上の注意の改訂について(その189)

 平成19年7月6日に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「1重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について,改訂内容,主な該当販売名等をお知らせいたします。

1 〈催眠鎮静剤,抗不安剤〉
アモバルビタール,バルビタール,フェノバルビタール(経口剤),ブロムワレリル尿素,ペントバルビタールカルシウム,抱水クロラール(経口剤)
[販売名] イソミタール(日本新薬)
バルビタール「エビス」(エビス製薬),バルビタール「ホエイ」(メルク製薬)
フェノバール末,同散10%,同錠30mg,同エリキシル0.4%(藤永製薬)他
ブロバリン(日本新薬)他
ラボナ錠(田辺製薬)
抱水クロラール「ホエイ」(メルク製薬)
[用法・用量に関連
する使用上の注意]
不眠症には,就寝の直前に服用させること。また,服用して就寝した後,睡眠途中において一時的に起床して仕事等をする可能性があるときは服用させないこと。
 
2 〈催眠鎮静剤,抗不安剤〉
エスタゾラム,ニトラゼパム,ニメタゼパム,ハロキサゾラム,塩酸フルラゼパム,ロルメタゼパム
[販売名] ユーロジン散1%,同1mg錠,同2mg錠(武田薬品工業)他
ネルボン散1%,同錠5mg,同錠10mg(第一三共),ベンザリン細粒1%,同錠5,同錠10(塩野義製薬)他
エリミン錠3,同錠5(大日本住友製薬)
ソメリン細粒,同錠5mg,同錠10mg(第一三共)
ベノジールカプセル10,同カプセル15(協和発酵工業)他
エバミール錠1.0(バイエル薬品),ロラメット錠1.0(ワイス)
[用法・用量に関連
する使用上の注意]
不眠症には,就寝の直前に服用させること。また,服用して就寝した後,睡眠途中において一時的に起床して仕事等をする可能性があるときは服用させないこと。
[重大な副作
用(類薬)]
一過性前向性健忘,もうろう状態:類薬(他の不眠症治療薬)において,一過性前向性健忘,また,もうろう状態があらわれることがあるので,本剤を投与する場合には少量から開始するなど,慎重に行うこと。なお,類薬において,十分に覚醒しないまま,車の運転,食事等を行い,その出来事を記憶していないとの報告がある。異常が認められた場合には投与を中止すること。
 
3 〈催眠鎮静剤,抗不安剤〉
クアゼパム,フルニトラゼパム(経口剤),ブロチゾラム,塩酸リルマザホン
[販売名] ドラール錠15,同錠20(久光製薬)
サイレース錠1mg,同錠2mg(エーザイ),ロヒプノール錠1,同錠2(中外製薬)他
レンドルミン錠0.25mg,同D錠0.25mg(日本ベーリンガーインゲルハイム)他
リスミー錠1mg,同錠2mg(塩野義製薬)他
[用法・用量に関連
する使用上の注意]
不眠症には,就寝の直前に服用させること。また,服用して就寝した後,睡眠途中において一時的に起床して仕事等をする可能性があるときは服用させないこと。
[副作用
(重大な副作用)]
一過性前向性健忘,もうろう状態:一過性前向性健忘,また,もうろう状態があらわれることがあるので,本剤を投与する場合には少量から開始するなど,慎重に行うこと。なお,十分に覚醒しないまま,車の運転,食事等を行い,その出来事を記憶していないとの報告がある。異常が認められた場合には投与を中止すること。
 
4 〈去たん剤〉
塩酸アンブロキソール
[販売名] ムコソルバン錠,同Lカプセル,同シロップ,小児用同DS1.5%,同DS3%,同液(帝人ファーマ)他
[副作用
(重大な副作用)]
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群):皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
 
5 〈その他の呼吸器官用薬〉
プロピオン酸フルチカゾン(吸入剤)
[販売名] フルタイド50エアー,同100エアー ,同50ディスカス,同100ディスカス,同200ディスカス,同50ロタディスク,同100ロタディスク,同200ロタディスク(グラクソ・スミスクライン)
[用法・用量に関連
する使用上の注意]
症状の緩解がみられた場合は,治療上必要最小限の用量で投与すること。
[重要な基本
的注意]
感染を伴う喘息症状の増悪がみられた場合には,ステロイド療法の強化と感染症の治療を考慮すること。
 
6 〈その他の消化器官用薬〉
インフリキシマブ(遺伝子組換え)
[販売名] レミケード点滴静注用100(田辺製薬)
[重要な基本
的注意]
本剤を含む抗TNF製剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において,B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。B型肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は,肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど,B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。なお,これらの報告の多くは,他の免疫抑制作用をもつ薬剤を併用投与した患者に起きている。
[副作用
(重大な副作用)]
肝機能障害:AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
 
7 〈他に分類されない代謝性医薬品〉
エタネルセプト(遺伝子組換え)
[販売名] エンブレル皮下注用25mg(ワイス)
[重要な基本
的注意]
本剤を含む抗TNF製剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において,B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。B型肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は,肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど,B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。なお,これらの報告の多くは,他の免疫抑制作用をもつ薬剤を併用投与した患者に起きている。
[副作用
(重大な副作用)]
肝機能障害:AST(GOT),ALT(GPT)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
 
8 〈抗ウイルス剤,その他の生物学的製剤〉
リバビリン(錠剤),ペグインターフェロンアルファ-2a(遺伝子組換え)
[販売名] コペガス錠200mg(中外製薬)
ペガシス皮下注90μg,同皮下注180μg(中外製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群),多形紅斑:皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群),多形紅斑等の皮膚障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。


 

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市販直後調査の対象品目一覧

(平成19年8月1日現在)
一般名 製造販売業者名 市販直後調査開始年月日
販売名
ルリオクトコグアルファ(遺伝子組換え) バクスター(株) 平成19年2月22日
アドベイト注射用250,同注射用500,同注射用1000アドベイト注射用250,同注射用500,同注射用1000
フォリトロピンベータ(遺伝子組換え) 日本オルガノン(株) 平成19年3月16日
フォリスチム注50,同注75*1
ペグインターフェロンアルファ-2a(遺伝子組換え) 中外製薬(株) 平成19年3月16日
ペガシス皮下注90μg,同皮下注180μg*2
リバビリン 中外製薬(株) 平成19年3月16日
コペガス錠200mg
モダフィニル アルフレッサファーマ(株) 平成19年3月28日
モディオダール錠100mg
レボノルゲストレル放出子宮内避妊システム バイエル薬品(株) 平成19年4月16日
ミレーナ52mg
塩酸バラシクロビル グラクソ・スミスクライン(株) 平成19年4月18日
バルトレックス顆粒50%*3
エンタカポン ノバルティスファーマ(株) 平成19年4月19日
コムタン錠100mg
ペグビソマント(遺伝子組換え) ファイザー(株) 平成19年6月5日
ソマバート皮下注用10mg,同皮下注用15mg,同皮下注用20mg
サルメテロールキシナホ酸塩・フルチカゾンプロピオン酸エステル グラクソ・スミスクライン(株) 平成19年6月8日
アドエア100ディスカス,同250ディスカス,同500ディスカス
シクレソニド 帝人ファーマ(株) 平成19年6月8日
オルベスコ50μgインヘラー112吸入用,同100μgインヘラー112吸入用,同200μgインヘラー56吸入用
フォンダパリヌクスナトリウム グラクソ・スミスクライン(株) 平成19年6月8日
アリクストラ皮下注1.5mg,同皮下注2.5mg
イミダフェナシン 杏林製薬(株) 平成19年6月11日
ウリトス錠0.1mg
イミダフェナシン 小野薬品工業(株) 平成19年6月11日
ステーブラ錠0.1mg
エゼチミブ シェリング・プラウ(株) 平成19年6月11日
ゼチーア錠10mg
ベバシズマブ(遺伝子組換え) 中外製薬(株) 平成19年6月11日
アバスチン点滴静注用100mg/4mL,同点滴静注用400mg/16mL
セレコキシブ アステラス製薬(株) 平成19年6月12日
セレコックス錠100mg,同錠200mg
リセドロン酸ナトリウム水和物 味の素(株) 平成19年6月15日
アクトネル錠17.5mg
リセドロン酸ナトリウム水和物 武田薬品工業(株) 平成19年6月15日
ベネット錠17.5mg
リン酸二水素ナトリウム一水和物・無水リン酸水素二ナトリウム ゼリア新薬工業(株) 平成19年6月15日
ビジクリア錠
塩酸アミオダロン サノフィ・アベンティス(株) 平成19年6月22日
アンカロン注150
ダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え) キリンファーマ(株) 平成19年7月9日
ネスプ静注用10μgシリンジ,同静注用15μgシリンジ,同静注用20μgシリンジ,同静注用30μgシリンジ,同静注用40μgシリンジ,同静注用60μgシリンジ,同静注用120μgシリンジ
リン酸フルダラビン バイエル薬品(株) 平成19年7月12日
フルダラ錠10mg
 
*1: 効能追加された「視床下部-下垂体機能障害に伴う無排卵及び希発排卵における排卵誘発」
*2: 効能追加された「リバビリンとの併用による以下のいずれかのC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善(1)セログループ1(ジェノタイプI(1a)又はII(1b))でHCV-RNA量が高値の患者(2)インターフェロン単独療法で無効又はインターフェロン単独療法後再燃した患者」
*3: 効能追加された「水痘」
 

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お知らせ

医薬品・医療機器等安全性情報は,医薬品医療機器情報提供ホームページ(https://www.pmda.go.jp/)又は厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。