独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
メニュー
閉じる
閉じる
閉じる

添付文書、患者向医薬品ガイド、
承認情報等の情報は、
製品毎の検索ボタンをクリックしてください。

安全対策業務

医薬品・医療用具等安全性情報 No.186

目次

  1. 「ハイドロヴュー眼内レンズ」使用患者におけるカルシウム沈着の発生について
  2. 重要な副作用等に関する情報
    1 エダラボン
    2 塩酸イリノテカン
    3 トリアゾラム
  3. 使用上の注意の改訂について(その143)
    ニコランジル(経口剤)他(15件)
 

 この医薬品・医療用具等安全性情報は,厚生労働省において収集された副作用情報をもとに,医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。

平成15年(2003年)2月
厚生労働省医薬局

情報の概要

No. 医薬品等 対策 情報の概要
1 眼内レンズ    ボシュロム・ジャパン株式会社が販売している眼内レンズ「ハイドロヴュー眼内レンズ」の使用患者において,当該眼内レンズにカルシウム沈着が発生するという症例が世界的に報告されており,さらに視力低下による当該眼内レンズの摘出症例も報告されていたことから,国内においてもカルシウム沈着症例に関する情報収集を行い,注意深く観察してきたところである。
 これまでに報告された当該不具合は,すべてシリコーン製ガスケット製品によるものであることから,当該不具合の発生原因として,製品のバイアルを密封するためのシリコーン製ガスケットのシリコーンが関与する可能性が示唆された。従って,既に安全対策上の措置として,ガスケットをシリコーン製から他の材質に変更しており,変更後の製品においては,現時点で当該不具合の発生は認められていない。
 しかしながら,既にシリコーン製ガスケット製品をインプラントされた症例に対する当該不具合の発生を引き続き,注意深く観察していく必要があることに加え,変更後の製品における同様の不具合の発生の有無についても観察する必要があることから,今回,当該不具合について紹介するとともに,注意喚起を行うものである。
2 エダラボン他(2件) 使
 前号(医薬品・医療用具等安全性情報No.185)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介する。
3 ニコランジル(経口剤)他(15件)   使用上の注意の改訂について(その143)

緊:緊急安全性情報の配布 使:使用上の注意の改訂 症:症例の紹介



目次へ

「ハイドロヴュー眼内レンズ」使用患者におけるカルシウム沈着の発生について

  1. 経緯


 「ハイドロヴュー眼内レンズ」は,白内障(老人性白内障及び外傷性白内障)手術後の無水晶体眼における視力補正を目的として,我が国では1999年10月に日本ワイスレダリー株式会社が輸入販売承認を取得した医療用具であり,2000年4月にボシュロム・ジャパン株式会社に承継された。外国では1993年11月に中国,香港で承認されたのをはじめ,米国では1999年11月に承認され,2002年12月末現在で我が国を含め世界35ヵ国以上で承認されている。
 当該製品のカルシウム沈着の発生に関しては,2000年2月時点において,香港,カナダ,オーストラリア,スウェーデン,フランス及びドイツにおいて確認されていたことから,その発生機序について研究調査が開始された。
 当該製品に発生するカルシウム沈着は,後発性白内障(PCO)や水晶体上皮細胞(LEC)とは外見が異なり,概してレンズ前後の表面に薄い皮膜として観察され,「曇り」,「細かいモヤ」,「顆粒状混濁」などと,表現されることがある。また,外見と同様にPCOやLECとは異なり,Nd:YAGレーザー照射で解消することはできない。
 軽度の沈着事例では,後嚢及び眼底を観察できるが,重度のものでは後嚢及び眼底を観察できなくなる場合がある。また,視力低下を生じレンズの摘出を余儀なくされる場合もあり,今回,当該不具合について紹介するとともに,注意喚起を行うものである。
 

  1. 不具合症例の発生状況及び今後の発生動向予測


2002年12月末現在のカルシウム沈着に関する発生状況は次の表のとおりである。

   出荷量概算 報告数(眼) 摘出数(眼)3)
全世界 旧包装1) 約800,000枚 774(約0.097%4) 419(約0.052%4)
新包装2) 約322,000枚 0 0
日 本 旧包装1) 約61,500枚 60(約0.098%4) 35(約0.057%4)
新包装2) 約18,400枚 0 0
1)シリコーン製ガスケット 2)パーフルオロエストラマー製ガスケット 3)摘出予定を含む
4)出荷数量に占める割合
 

 我が国における今後のカルシウム沈着の発生動向に関しては,これまでに我が国でカルシウム沈着によりレンズ摘出に至った症例のうち,レンズのインプラント日と摘出日の情報が得られた症例のデータから予測したところ,インプラント後約8ヵ月後に摘出例が出現,約16.4ヵ月後に摘出例がピークに達し,約24.8ヵ月後に摘出例の発生が終了すると推測されている。
 この推測をもとに考えると,我が国で旧包装製品の販売が開始されたのが1999年11月,また,販売を終了したのが2001年10月であることから,我が国でのカルシウム沈着によるレンズ摘出例は,統計上2000年7月に出現し,2001年3月~2003年2月にピークに達した後,2003年11月に終息するものと推測される。また,カルシウム沈着の発生時期は,これらの時期よりも多少早まると考えられる。我が国での総摘出件数は,これまでの摘出件数から予測すると,最終的に160~260件と推測される。
 

  1. 原因についての検討結果及び措置


 研究調査の結果,カルシウム沈着報告症例の患者背景因子として,糖尿病及び糖尿病網膜症を合併している事例が多く含まれていることが判明したが,主な原因としては,当該眼内レンズの包装に用いられているバイアルを密封するためのシリコーン製ガスケットより派生する低分子シリコーンの微粒子が当該眼内レンズの光学部表面に付着し,その付着した低分子シリコーンに房水中の遊離脂肪酸が結合した結果,リン酸カルシウムを凝集することにより引き起こされる可能性がin vitroでの検証結果より示唆された。
 このような研究調査結果を踏まえ,カルシウム沈着に関する製品的なリスクの軽減のため,ガスケットの材質がシリコーン製からパーフルオロエストラマー製に変更され,我が国では,2001年11月より新包装製品として販売された。なお,現時点において,この新包装製品ではカルシウム沈着の発生は報告されていない。
 

  1. 医療機関における対応


 当該製品の添付文書には,カルシウム沈着の発生に関して,重要な基本的注意の項に記載されており,今後,発生数の増加等に伴い輸入販売業者であるボシュロム・ジャパン株式会社により適宜改訂されることとなっているが,医療機関においては,既に旧製品をインプラントした症例に対する当該不具合の発生を注意深く観察していく必要があることに加え,新製品においても糖尿病及び糖尿病網膜症を合併している患者に使用された場合の当該不具合の発症の可能性を完全に否定できないことから,引き続き当該不具合の発生の有無を観察する必要があると考える。
 医療機関において,当該不具合を入手した際には,医薬品・医療用具等安全性情報報告制度に基づき厚生労働省医薬局安全対策課に報告をお願いする。


目次へ

重要な副作用等に関する情報

医薬品・医療用具等安全性情報 No.166の『「医薬品・医療用具等安全性情報」の月刊化について』でお知らせしましたように,前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.185)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。

 

【1】エダラボン

販売名(会社名) ラジカット注30mg(三菱ウェルファーマ)
薬効分類等 その他の中枢神経系用薬
効能効果 脳梗塞急性期に伴う神経症候,日常生活動作障害,機能障害の改善
 
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[慎重投与] 高齢者[致命的な経過をたどる例が多く報告されている。]
心疾患のある患者[心疾患が悪化するおそれがある。また,腎機能障害があらわれるおそれがある。]
[重要な基本的注意] 急性腎不全又は腎機能障害の増悪があらわれ,致命的な経過をたどることがあるので,本剤投与中は頻回に腎機能検査を実施し,また投与後も継続して十分な観察を行い,腎機能低下所見や乏尿等の症状が認められた場合には,直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。とくに高齢者においては,致命的な経過をたどる例が多く報告されているので注意すること。
[副作用(重大な
副作用)]
急性腎不全:急性腎不全があらわれることがあるので,頻回に腎機能検査を実施し観察を十分に行い,腎機能低下所見や乏尿等の症状が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
播種性血管内凝固症候群:播種性血管内凝固症候群があらわれることがあるので,定期的に血液検査を行うこと。播種性血管内凝固症候群を疑う血液所見や症状があらわれた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
[高齢者への投与] 一般に高齢者では生理機能が低下しているので,副作用があらわれた場合は投与を中止し,適切な処置を行うこと。とくに高齢者においては,致命的な経過をたどる例が多く報告されているので注意すること。
〈参   考〉 企業報告
 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
70代
左脳血栓症
(なし)
60mg
4日間
うっ血性心不全
既往歴:急性心筋梗塞,冠動脈バイパス術
投与開始日 左脳血栓症にて入院。本剤投与開始。
投与2日目 右麻痺やや増強。
投与3日目 尿量減少傾向あり。21時に呼吸状態悪化。胸部X線ではCTR拡大。うっ血性心不全像あり。経口挿管を行い,人工呼吸器装着。
投与4日目
(投与中止日)
VT(心室頻拍)→VF(心室細動)→心停止となり,CPR(心肺蘇生法)を行うも回復せず。
死亡。(死因:急性心不全)
企業報告
併用薬:アスピリン,硝酸イソソルビド,フロセミド,メチルジゴキシン,塩酸チクロピジン,塩酸ラニチジン,アロプリノール,デキストラン40・ブドウ糖,アルガトロバン,ドロキシドパ,バルプロ酸ナトリウム
 
NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
70代
脳梗塞
(糖尿病性腎症)
60mg
5日間
播種性血管内凝固症候群(DIC),薬剤性肝炎
投与開始日 脳梗塞に対して本剤投与開始。
投与3日目 薬剤性肝炎発現。
投与5日目
(投与中止日)
本剤投与中止。
中止1日後 播種性血管内凝固症候群(DIC)発現。
中止7日後 死亡。(死因:DIC,剖検:なし)
企業報告
臨床検査値
   投与開始日 投与
3日目
投与5日目
(投与中止日)
中止
1日後
中止
4日後
中止
6日後
血小板数(×104/mm3 16.9 15.0 11.8 7.6 2.8 9.8
フィブリノゲン(mg/dL) 58 46
FDP(μg/mL) 60.8 44.9
PT(sec) 20.7 21.0
AST(GOT)(IU/L) 27 68 388 938 487 273
ALT(GPT)(IU/L) 16 53 332 705 622 455
γ-GTP(IU/L) 75 85 62 66
Al-P(IU/L) 201 242 246 249 224
LDH(IU/L) 366 516 1328 2750 1158 882
総ビリルビン(mg/dL) 1.0 2.4 5.2 5.1 6.3 7.5
BUN(mg/dL) 74 78 91 98 102 105
血清クレアチニン(mg/dL) 2.10 2.01 2.48 2.48 2.56 2.42
血清ナトリウム(mEq/L) 138 134 134 136 137 129
血清カリウム(mEq/L) 4.0 4.8 5.2 5.1 4.8 5.2
併用薬:濃グリセリン・果糖
 
NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
90代
脳塞栓
(心房細動,貧血,糖尿病,高血圧)
60mg
15日間
播種性血管内凝固症候群(DIC),肝機能障害,黄疸,血小板減少
投与開始日 脳塞栓に対して本剤投与開始。
投与15日目
(投与終了日)
血小板減少,DIC,肝機能障害,黄疸が発現。
本剤投与終了。
メシル酸ガベキサート,メナテトレノン投与開始。腹部エコー正常。
終了1日後 乾燥濃縮人アンチトロンビンIII,グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤投与開始。
終了9日後 軽快。
企業報告
臨床検査値
   投与開始日 投与15日目
(投与終了日)
終了
1日後
終了
2日後
終了
3日後
終了
6日後
終了
9日後
血小板数(×104/mm3 31.4 3.6/5.7 5.3 6.8 6.5 12.1 12.5
フィブリノゲン(mg/dL) 447.8 60.8 55.1 63.9 99.9 233.7 342.2
FDP(μg/mL) 54.7 43.2 43.2 26.3 14.5
PT(sec) 11.9 18.0 17.6 17.0 13.5 11.3 12.9
AST(GOT)(IU/L) 15 78 88 34 26 19
ALT(GPT)(IU/L) 17 125 138 100 58 30
γ-GTP(IU/L) 174 142 94 63
Al-P(IU/L) 477 842 1155 1041 731 493
LDH(IU/L) 225 593 523 393 527 363
総ビリルビン(mg/dL) 0.48 2.89 3.47 2.12 1.79 1.38
併用薬:ヒトインスリン(遺伝子組換え),コンドロイチン硫酸・鉄コロイド
 

【2】塩酸イリノテカン

販売名(会社名) カンプト注(ヤクルト本社)
トポテシン注(第一製薬)
薬効分類等 抗悪性腫瘍剤
効能効果 小細胞肺癌,非小細胞肺癌,子宮頸癌,卵巣癌,胃癌(手術不能または再発),結腸・直腸癌(手術不能または再発),乳癌(手術不能または再発),有棘細胞癌,悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)
 
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[重要な基本的注意] 重篤な過敏反応があらわれることがあるので,観察を十分に行い,過敏症状(呼吸困難,血圧低下等)が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
(動物実験でアナフィラキシーショックが報告されているので,観察を十分に行い,過敏症状があらわれた場合には,直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。を削除)
骨髄機能抑制,高度な下痢等の重篤な副作用が起こることがあり,ときに致命的な経過をたどることがあるので,頻回に臨床検査(血液検査,肝機能検査,腎機能検査等)を行うなど,患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量,休薬等の適切な処置を行うこと。投与後2週間は特に頻回に末梢血液検査を行うなど,きわめて注意深く観察すること。また,使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ,遷延することがあるので,投与は慎重に行うこと。
(1)骨髄機能抑制
 本剤の投与にあたっては,白血球の変動に十分留意し,投与予定日の白血球数が3,000/mm3未満または血小板数が10万/mm3未満の場合には,本剤の投与を中止または延期すること。投与予定日の白血球数が3,000/mm3以上かつ血小板数が10万/mm3以上であっても,白血球数または血小板数が急激な減少傾向にあるなど,骨髄機能抑制が疑われる場合には,本剤の投与を中止または延期すること。また,白血球数が異常な高値を示す患者およびCRPが異常値を示すなど感染症が疑われる患者では,投与後に白血球の急激な減少が起こることがある。このような場合には,投与予定日の白血球数が3,000/mm3以上かつ血小板数が10万/mm3以上であっても,骨髄機能の回復を十分に確認してから投与を行うこと。白血球減少(好中球減少)を認めた場合には,観察を十分に行い,減少の程度に応じてG-CSF等の白血球増多剤の投与,発熱を伴う場合には適切な抗生剤の投与,その他必要に応じて適切な感染症対策を行うこと。
(2)下痢
 本剤の投与により排便回数の増加,水様便または腹痛を伴うような場合は,継続投与により下痢が強く発現することがある。また,腹痛を有する患者に本剤を投与した場合,高度な下痢があらわれることがある。したがって,このような場合には症状の回復を待って投与を行うこと。
下痢が発現した場合には,以下の事項に留意すること。
 ○高度な下痢の持続により,脱水および電解質異常等をきたし,特に重篤な白血球・好中球減少を伴った場合には,致命的な経過をたどることがあるので,次のような処置を行うこと。
   塩酸ロペラミド等の止瀉剤の投与を行うこと(ただし,腸管麻痺を引き起こすことがあるので,塩酸ロペラミド等の予防的投与や,漫然とした投与は行わないこと)。
   脱水を認めた場合には,輸液,電解質補充を行うこと。
   重篤な白血球・好中球減少を伴った場合には,適切な抗生剤の投与を考慮すること。
 高度な下痢や嘔吐に伴いショック(循環不全)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,呼吸困難,血圧低下等が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
なお,本剤による下痢に関しては,以下の2つの機序が考えられている。

 早発型:本剤投与中あるいは投与直後に発現する。コリン作動性と考えられ,高度である場合もあるが多くは一過性であり,副交感神経遮断剤の投与により緩和することがある。
 遅発型:本剤投与後24時間以降に発現する。主に本剤の活性代謝物(SN-38)による腸管粘膜傷害に基づくものと考えられ,持続することがある。
重症
感染症,播種性血管内凝固症候群(DIC),出血傾向,腸管穿孔,消化管出血,腸閉塞,腸炎および間質性肺炎の発現または増悪に十分注意すること。
悪心・嘔吐,食欲不振等の消化器症状が高頻度にあらわれるので,観察を十分に行い,適切な処置を行うこと。
[副作用(重大な副作用)] 骨髄機能抑制:汎血球減少,白血球減少,好中球減少,血小板減少,貧血等があらわれるので,末梢血液の観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量,休薬等の適切な処置を行うこと。
また,高度な骨髄機能抑制の持続により,次のような疾患を併発し,死亡した例も報告されているので,頻回に血液検査を実施し,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
 重症感染症(敗血症,肺炎等)
   重篤な白血球・好中球減少に伴い,敗血症,肺炎等の重症感染症があらわれることがある。
 ・播種性血管内凝固症候群(DIC)
   重篤な感染症,血小板減少に伴い,播種性血管内凝固症候群があらわれることがある。
高度な下痢,腸炎:下痢,大腸炎,小腸炎,腸炎があらわれるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量,休薬等の適切な処置を行うこと。なお,高度な下痢の持続により,脱水,電解質異常,ショック(循環不全)を併発し,死亡した例も報告されているので,十分に注意すること。
ショック,アナフィラキシー様症状:ショック,アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,呼吸困難,血圧低下等の異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
肺塞栓症,静脈血栓症:肺塞栓症,静脈血栓症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
心筋梗塞,狭心症発作:心筋梗塞,狭心症発作があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
心室性期外収縮:心室性期外収縮があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告
 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
非小細胞肺癌
(癌性リンパ管症)
58mg/m2
2回
腸炎,腸管麻痺,白血球減少,血小板減少,ヘモグロビン減少
投与開始日 非小細胞肺癌(再発,IIIb期)に対して,本剤58mg/m2及びシスプラチン58mg/m2の併用投与を行った。
投与2日目 ヘモグロビン減少を認めた。
投与8日目 少量の胸水,白血球減少を認めたが,本剤58mg/m2の投与を行った。
投与9日目 血小板減少を認めるとともに,腸炎(部位:結腸),下痢(4回/日)を認めた。
投与13日目 下痢の回復を認めた。血小板輸血(10単位)。
投与14日目 腹痛を認めた。
投与15日目 腸管麻痺を認めた。抗生剤(イミペネム・シラスタチンナトリウム等)の投与を開始した。
投与16日目 胸部陰影の急激な増悪を認めるとともに,便秘と腸蠕動音,腹鳴の著明な減弱,写真上大腸・小腸ガス像を認めた。腹部エコーにて全結腸の浮腫及びガスの著増を認め,イレウスチューブを挿入した。帰室後より呼吸困難及び意識低下を認めたため挿管し,人工呼吸器も装着した。
その後DIC徴候も認めたため集中治療を開始した。
投与18日目 乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンの投与を開始した。
投与22日目 白血球減少の回復を認めた。
投与26日目 濃厚赤血球輸血(4単位)。
投与27日目 腹痛,腸管麻痺,腸炎,血小板・ヘモグロビン減少の回復を認めた。
投与28日目 イレウスチューブを抜去した。
投与30日目 人工呼吸器を抜管した。
企業報告
臨床検査値
   投与
開始日
投与
2日目
投与
6日目
投与
8日目
投与
9日目
投与
13日目
投与
14日目
投与
16日目
投与
20日目
投与
24日目
投与
27日目
投与
34日目
投与
41日目
投与
43日目
PS* 1 1 1 1 2 2 2 3 4 4 4 3 3 3
感染** 0 0 0 0 0 1 1 1 2 0 0 0 0 0
下痢*** 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0
腹痛*** 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0
最高体温(℃) 35.2 37.0 35.8 35.6 36.0 38.0 37.4 36.8 38.3 35.6 36.8 36.4 36.9 36.6
CRP(mg/dL) 4.2 0.2 1.0 1.3 19.3 22.4 6.5 1.2
ヘモグロビン(g/dL) 11.1 10.9 9.9 9.7 9.9 10.0 8.8 10.3 6.4 7.7 11.5 8.7 8.4 8.5
赤血球数(×104/mm3 393 389 361 356 365 364 321 380 242 284 312 305 293 295
血小板数(×104/mm3 31.6 28.2 16.1 10.8 7.6 3.8 1.1 0.4 3.1 7.2 12.2 28.2 29.0 25.5
白血球数(/mm3 8700 9300 7900 2600 2600 2800 500 300 3200 17700 12400 6600 6100 8200
好中球数(/mm3 7626 6715 1638 1456 4554
AST(GOT)(IU/L) 13 11 14 28 27 25 22
ALT(GPT)(IU/L) 10 10 21 8 46 65 28
LDH(IU/L) 334 208 207 477 639
総ビリルビン(mg/dL) 0.48 0.85 0.72 1.41 0.48
BUN(mg/dL) 12.6 25.9 22.0 21.4 16.0 38.3 15.5 8.7 8.8
クレアチニン(mg/dL) 0.8 0.6 0.4 0.5 0.5 0.9 0.7 0.6 0.6
Na(mEq/L) 143 130 132 137 134 141 140
K(mEq/L) 4.1 3.8 2.6 4.9 3.6 3.8 3.7
Cl(mEq/L) 107 87 98 109 104 105 103
*:Performance Status
  **:ECOG(Eastern Cooperative Oncology Group)グレード
***:日本癌治療学会「副作用記載様式」に準じたグレード
併用薬:シスプラチン,半夏瀉心湯エキス,塩酸グラニセトロン,リン酸デキサメタゾンナトリウム
 
NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
60代
胃癌
(なし)
62mg/m2
1回
腸炎,下痢,白血球減少,好中球減少,血小板減少,ヘモグロビン減少
投与40日前 FP療法(フルオロウラシル,シスプラチン,ホリナートカルシウム)2コース目を開始した(本剤投与29日前まで)。
投与36日前 レンチナン2mgの投与を行った。
投与29日前 レンチナン2mgの投与を行った。
投与開始日 胃癌(初発,IV期,腹膜転移・腹膜播種有),摂食不能にてIVH管理中の患者に対して,本剤62mg/m2の投与を行った。投与中より発熱を認め,投与1時間後に体温40℃を認めた。また,投与後腹痛,下痢(10回/日)を認めた。
投与3日目 ヘモグロビン減少を認めるとともに,腸炎(部位:大腸)を認め,抗生剤(ホスホマイシンナトリウム等)の投与を開始した。
投与5日目 白血球・好中球減少を認めた。
投与6日目 発熱が続くため血液培養検査を施行し,グラム陰性桿菌が検出され,敗血症と診断した。ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンの投与を開始した。
投与7日目 血小板減少を認めた。
投与10日目 腹痛及び下痢の回復を認めた。加熱人血漿蛋白の投与を開始した。
投与20日目 白血球・好中球・血小板減少の回復を認めた。
投与24日目 ヘモグロビン減少は未回復であった。
投与26日目 敗血症から脱することができず永眠された。なお,腸炎は未回復であった。
企業報告
臨床検査値
   投与
13日前
投与
1日前
投与
3日目
投与
5日目
投与
6日目
投与
7日目
投与
8日目
投与
9日目
投与
10日目
投与
12日目
投与
13日目
投与
14日目
投与
16日目
投与
17日目
投与
18日目
投与
20日目
投与
24日目
PS* 0
感染** 0 4 4 4
下痢*** 0 4 4
腹痛*** 0 2 3
最高体温(℃) 36.4 39.8 40.3 39.4
CRP(mg/dL) 0.7 7.0≦ 20.1 16.9 16.5 7.0≦ 23.0 7.0≦ 17.2 19.7
ヘモグロビン
(g/dL)
10.4 8.8 8.1 8.2 7.1 7.2 6.8 6.5 6.1 5.5 5.1 4.7 5.1 4.9 5.5 5.6
赤血球数
(×104/mm3
353 289 268 269 235 238 226 216 207 185 173 157 172 165 190 192
血小板数
(×104/mm3
28.4 19.6 17.0 13.1 6.2 5.1 3.6 2.0 1.1 1.3 1.3 2.3 3.7 4.8 11.3 28.1
白血球数
(/mm3
6600 5300 1800 800 400 400 500 400 500 400 400 900 2100 2700 7600 21000
好中球数
(/mm3
4558 208 44 4 25 28 52 92 486 1239 6232 19740
AST(GOT)
(IU/L)
12 71 76 56 83 60 121 151 142 95 32 52 39 57 248
ALT(GPT)
(IU/L)
12 135 122 95 106 91 193 194 193 206 79 74 75 76 146
LDH(IU/L) 327 412 399 337 224 237 263 191 161 218 286 495
総ビリルビン
(mg/dL)
0.90 0.72 0.50 0.38 0.47 0.35 0.46 0.92 1.10 0.86 0.84 1.20 0.70 1.88
BUN(mg/dL) 21.0 18.1 10.3 12.0
クレアチニン
(mg/dL)
1.0 0.8 0.8 0.6 0.6 0.5 0.6 0.8 0.6 0.6 0.7 0.7 0.9 0.6 0.9
総タンパク
(g/dL)
7.6 6.9 6.7 6.0 5.8 5.8 5.7 5.5 5.4 5.7 6.1 5.7
アルブミン
(g/dL)
3.4 3.2 2.8 2.6 2.6 2.8 2.5 2.6 2.5 2.3
Na(mEq/L) 142 131 135 136 135 134 136 136 132 136 137 136 138 134 134
K(mEq/L) 4.3 4.3 3.5 3.6 3.1 3.3 3.5 2.9 2.4 2.7 2.0 1.9 2.0 2.3 0.8
Cl(mEq/L) 105 92 97 98 97 97 98 99 95 98 98 96 98 92 92
*:Performance Status
  **:ECOG(Eastern Cooperative Oncology Group)グレード
***:日本癌治療学会「副作用記載様式」に準じたグレード
併用薬:塩酸ラモセトロン
 
NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
70代
非小細胞肺癌
(高血圧,慢性C型肝炎)
60mg/m2
2回
ショック(急性循環不全),播種性血管内凝固症候群(DIC),白血球減少,血小板減少,発熱
投与開始日 非小細胞肺癌(IV期)に対して,本剤60mg/m2及びシスプラチン80mg/m2の併用投与を行った。
投与8日目 本剤60mg/m2の投与を行った。
投与9日目 血小板減少を認めた。IVH挿入にて高カロリー輸液開始。
投与11日目 白血球減少を認めた。夕方より下痢(2回/日)を認めた。
投与12日目 朝より水様下痢を頻回に認めた。抗生剤(メロペネム三水和物)の投与を開始した。白血球減少性発熱,頻呼吸,酸素飽和度の低下(85~90%)を認めたため酸素投与開始。
投与13日目 下痢は改善するも,発熱,頻呼吸が持続した。血小板輸血を行った。血管内脱水を認め,高カロリー輸液に加え生食および低分子デキストラン製剤を投与し,更にアルブミン製剤,新鮮凍結人血漿の投与を行った。ショック(急性循環不全)を認め,コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム,昇圧剤を開始し,一旦血圧は安定するも尿量の減少,著明な低蛋白,低アルブミン血症と腎機能悪化を認めた。
投与14日目 突然の心拍数低下に引き続き心停止となり,直ちに心肺蘇生法(CPR)施行し人工呼吸管理とした。以後,数回の心停止を認めその度直ちにCPR施行。一旦心拍再開するも血圧の維持が困難となった。尿量は時間尿5~10mLで利尿剤にも反応せず。D-dimer:0.9μg/mLと上昇,AT-III:21%と著しい低下があり,播種性血管内凝固症候群(DIC)と判断した。胸部レントゲン上は肺水腫を呈するが,明らかな感染像は認めなかった。
下痢以外は未回復のまま急性循環不全,DICにより永眠された。
企業報告
臨床検査値
   投与
7日前
投与
1日前
投与
5日目
投与
8日目
投与
9日目
投与
10日目
投与
11日目
投与
12日目
投与
13日目
投与
14日目
最高体温(℃) 39.7 40.0 40.0
血圧(mmHg) 100/50 60-80
/40-50
50-80
/―
CRP(mg/dL) <0.3 <0.3 0.3 13.5
ヘモグロビン(g/dL) 14.7 14.1 13.6 14.2 13.0 12.1 11.7 10.0
血小板数(×104/mm3 17.8 18.1 8.0 6.2 5.1 4.2 3.4 1.1 0.5
白血球数(/mm3 7300 8100 6600 5700 4400 1800 500 100 100
好中球数(/mm3 6772 4686 4047 2913 1262 128 20
フィブリノゲン(mg/dL) 350 240
プロトロンビン時間(%) 109.1 12.2
APTT(sec) 33.0 65.4
AST(GOT)(IU/L) 57 58 46 51 266 1281
ALT(GPT)(IU/L) 89 86 83 94 373 696
LDH(IU/L) 236 203 232 534 1355
Al-P(IU/L) 349 303 329 180 105
γ-GTP(IU/L) 188 174 185
総ビリルビン(mg/dL) 1.0 1.2 1.3 0.9 1.2
BUN(mg/dL) 18 33 45 29 59 75
クレアチニン(mg/dL) 0.72 1.02 1.28 1.04 2.01 4.20
総蛋白(g/dL) 7.7 8.3 4.5 2.8
アルブミン(g/dL) 3.8 4.2 2.4 1.5
Na(mEq/L) 130 132 131 132 148
K(mEq/L) 4.6 4.9 4.6 4.1 4.8
Cl(mEq/L) 99 94 94 102 117
併用薬:シスプラチン,ロサルタンカリウム,メトクロプラミド,塩酸グラニセトロン,リン酸デキサメタゾンナトリウム
 
NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
4
50代
卵巣癌
(なし)
80mg/m2
1回
ショック,アナフィラキシー様症状
投与15日前 腹部膨隆を認め,腹水穿刺(排液2,800mL)を施行後,マイトマイシンC及びフルオロウラシルの腹腔内投与を行った。
投与4日前 半夏瀉心湯エキスの投与を開始した(本剤投与2日目まで)。
投与開始日 卵巣癌(切除後再発,癌性腹膜炎有)に対して,本剤80mg/m2(生理食塩水500mLに溶解)の投与を開始した。開始後約20分(約100mL注入)後に点滴刺入部より中枢側の静脈に沿って発赤,水疱を認めた。その後約5分で全身に発赤,水疱が拡張したためアナフィラキシーと診断(血圧:80/50mmHg程度),点滴中止とし,リン酸ベタメタゾンナトリウム及びグリチルリチン・グリシン・L-システインの投与を行い,約30分で発赤,水疱共に消失しアナフィラキシーの回復を認めた。
企業報告
併用薬:半夏瀉心湯エキス
 
NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
5
40代
非小細胞肺癌
(下大静脈血栓)
41mg/m2
4回

50mg/m2
3回

肺血栓塞栓,ヘモグロビン減少
投与約1年4ヵ月前 右胸水貯留を認め,非小細胞肺癌と診断し化学療法施行,2回の入院の後外来にて経過観察となった。
投与21日前 胸部X線上,腫瘍の再増大を認め入院となった。軽度の呼吸困難を認めたため,酸素吸入を開始し,酸素飽和度(SpO2)93~95%であった。
投与7日前 胸部CT検査にて下大静脈血栓を認めた。
投与開始日 非小細胞肺癌(再発,IV期,骨・脳・肝・リンパ節・副腎転移有)に対して,本剤41mg/m2及びパクリタキセル133mg/m2の併用投与を行った。
投与8日目 本剤41mg/m2の投与を行った。
投与12日目 トイレで嘔吐後,突然,呼吸困難,頻呼吸,頻脈,SpO2の低下(62%:酸素吸入下)を認めた(肺血栓塞栓の発現)。
その後,酸素吸入量を増量し,次第に呼吸困難の軽快を認めた。
投与14日目 低酸素血症を認め,肺血栓塞栓を疑い胸部CT検査を施行,造影CTにて左肺動脈内に欠損を認めた。また,下大静脈血栓は前回(投与7日前)と大差は認めなかった。下大静脈血栓からの左肺動脈への血栓塞栓と診断し,ワルファリンカリウムの投与を開始した。
投与21日目 SpO297%(酸素吸入下)と,低酸素血症の改善を認めた。
投与27日目 胸部CT検査にて,腫瘍の縮小,左肺動脈内血栓のやや縮小を認め,肺血栓塞栓の軽快を認めた。
投与29日目 本剤41mg/m2及びパクリタキセル133mg/m2の併用投与を行った。
投与34日目 ヘモグロビン減少を認めた。
投与43日目 本剤41mg/m2の投与を行った。
投与57日目 本剤50mg/m2及びパクリタキセル149mg/m2の併用投与を行った。
投与64日目 本剤50mg/m2の投与を行った。
投与71日目 ヘモグロビン減少の軽快を認めた。本剤50mg/m2の投与を行った。
企業報告
臨床検査値
   投与
21日前
投与
12日前
投与
8日目
投与
13日目
投与
14日目
投与
29日目
投与
31日目
投与
34日目
投与
41日目
投与
43日目
投与
57日目
投与
64日目
投与
69日目
投与
71日目
ヘモグロビン(g/dL) 12.9 11.7 12.1 12.2 12.2 10.9 10.8 10.0 9.7 8.3 7.9 8.7
赤血球数(×104/mm3 433 409 420 418 419 370 373 346 320 272 258 274
血小板数(×104/mm3 18.7 13.9 18.8 21.4 7.6 6.4 16.7 21.9 13.6 8.3 12.7 13.4
白血球数(/mm3 10300 5600 6100 17300 14000 7100 7000 8900 16800 4300 8400 18500
好中球数(/mm3 6448 2201 2574 12266 11984 4395 3710 6497 14616 1277 4872 14245
pH 7.423 7.423
PCO2(mmHg) 38.8 39.2
PO2(mmHg) 78.8 43.2
併用薬:パクリタキセル
 
NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
6
50代
小細胞肺癌
(なし)
60mg/m2
3回

45mg/m2
9回

心室性期外収縮,白血球減少,好中球減少,血小板減少,ヘモグロビン減少
投与43日前 小細胞肺癌に対して,放射線照射を開始した(頭部[計45Gy]:本剤投与21日前まで)。
投与開始日 小細胞肺癌(再発,IV期,多発性脳転移有)に対して,本剤60mg/m2及びシスプラチン30mg/m2の併用投与を行った。
投与4日目 白血球減少を認めた。
投与8日目 本剤60mg/m2及びシスプラチン30mg/m2の併用投与を行った。
投与15日目 本剤60mg/m2及びシスプラチン30mg/m2の併用投与を行った。
投与16日目 好中球・血小板減少を認めた。
投与21日目 心室性期外収縮を認めた。ホルター心電図にて多源性の心室性不整脈(最大3連発まで)を認め,1日に105回の連発を認めた。
投与29日目 ヘモグロビン減少を認めた。
投与36日目 好中球・血小板減少の回復を認めた。また,不整脈に対してジソピラミドの投与を開始した。
投与43日目 白血球減少の回復,ヘモグロビン減少の軽快を認めた。また,不整脈の頻度は減少し,自覚症状も認めなくなった。
投与50日目 本剤45mg/m2及びシスプラチン20mg/m2の併用投与を行った。
投与57日目 本剤45mg/m2及びシスプラチン20mg/m2の併用投与を行った。
投与64日目 本剤45mg/m2及びシスプラチン20mg/m2の併用投与を行った。
投与72日目 不整脈の回復を認めた。
投与95日目 本剤45mg/m2及びシスプラチン28mg/m2の併用投与を行った。
投与102日目 本剤45mg/m2及びシスプラチン28mg/m2の併用投与を行った。
投与109日目 本剤45mg/m2及びシスプラチン28mg/m2の併用投与を行った。
投与134日目 本剤45mg/m2及びシスプラチン28mg/m2の併用投与を行った。
投与141日目 本剤45mg/m2及びシスプラチン28mg/m2の併用投与を行った。
投与148日目 本剤45mg/m2及びシスプラチン28mg/m2の併用投与を行った。
企業報告
臨床検査値
   投与
4日前
投与
4日目
投与
16日目
投与
18日目
投与
22日目
投与
29日目
投与
36日目
投与
43日目
PS* 1 1 1 1 1 1 1 1
ヘモグロビン(g/dL) 13.1 13.3 9.3 11.1 9.4 8.3 7.8 9.2
赤血球数(×104/mm3 391 396 276 324 284 241 229 263
血小板数(×104/mm3 12.3 16.5 7.7 7.2 4.3 5.5 12.6 28.6
白血球数(/mm3 3070 2820 870 1940 1930 2230 2910 3450
好中球数(/mm3 2272 2143 479 1455 1274 1561 2037 2484
*:Performance Status
併用薬:シスプラチン,塩酸グラニセトロン
 

【3】トリアゾラム

販売名(会社名) アサシオン0.25mg錠(長生堂製薬)
アスコマーナ錠0.25(日新製薬)
カムリトン0.25mg錠(寿製薬)
トリアゾラム錠0.125mg「EMEC」(サンノーバ)
トリアラム錠(小林化工)
ネスゲン錠「0.25」(辰巳化学)
ハルシオン0.125mg錠,同0.25mg錠(住友製薬)
ハルラック錠0.125mg,同錠0.25mg(富士薬品)
パルレオン錠0.25mg(大洋薬品工業)
フロサイン錠(模範薬品研究所)
ミンザイン錠(日本医薬品工業)
薬効分類等 催眠鎮静剤
効能効果 不眠症,麻酔前投薬
 
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用(重大な副作用)] 肝炎,肝機能障害,黄疸:肝炎,肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告
 

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
不眠症
(アレルギー性鼻炎,気管支喘息,逆流性食道炎)
0.125mg
105日間
肝障害
投与開始日 本剤,ヨウ化イソプロパミド・塩酸フェニルプロパノールアミン・塩酸ジフェニルピラリン,テオフィリン,ランソプラゾール及びプロピオン酸ベクロメタゾン投与開始。
投与59日目 アルプラゾラム投与開始。

投与103日目
(発現日)

全身倦怠感,発熱(最高38.5℃)出現。
発現3日目
(投与中止日)
他院受診。塩酸セフカペンピボキシル処方,イミペネム・シラスタチンナトリウム0.5mg点滴し,帰宅するも症状は治まらず。本剤投与中止。
中止2日後 他院再診。肝機能異常を指摘。この日まで発熱継続。ナプロキセン,レバミピド,ファロペネムナトリウム処方。
中止5日後 当院紹介され受診。全薬剤中止し,経過観察とした。
中止9日後 当院再診。薬剤性肝障害と診断し,同日入院。入院時には倦怠感は軽快。
中止10日後 咳,鼻汁,呼吸困難感あり。
中止11日後 咳,鼻汁,呼吸困難感あり。プロピオン酸ベクロメタゾン吸入可とした。
中止12日後 咳,鼻汁,呼吸困難感あり。38.1℃の発熱あり。ジクロフェナクナトリウム坐剤(25mg)投与。
中止17日後 朝からくしゃみ,鼻汁あり。無断でヨウ化イソプロパミド・塩酸フェニルプロパノールアミン・塩酸ジフェニルピラリン1カプセル内服。午後から外泊のため帰宅したが,39℃台の発熱あり,夜帰院。38.5℃の発熱あり,ジクロフェナクナトリウム坐剤(25mg)投与。
中止18日後 夜37.4℃の発熱あり。
中止21日後 リンパ球刺激試験をヨウ化イソプロパミド・塩酸フェニルプロパノールアミン・塩酸ジフェニルピラリン,プロピオン酸ベクロメタゾン,テオフィリンに対し行ったが,いずれも陰性であった。
中止22日後 エコー下肝生検施行。
組織診の結果,薬剤の副作用による変化を強く疑うとのこと。
中止30日後まで外泊するも,外泊中,特に症状なし。
中止33日後 検査所見上,肝障害は明らかに軽快,退院となる。
企業報告
臨床検査値
   中止
2日後
中止
5日後
中止
8日後
中止
11日後
中止
22日後
中止
23日後
中止
33日後
AST(GOT)(IU/L) 828 321 315 119 28
ALT(GPT)(IU/L) 818 459 454 276 40
Al-P(IU/L) 1818 2102 1446 421
γ-GTP(mU/mL) 546 721 721 544 175
LDH(IU/L) 1290 814 738 456 360
総ビリルビン(mg/dL) 0.5 1.0 1.0 1.1
直接型ビリルビン(mg/dL) 0.6 0.5
併用薬:ヨウ化イソプロパミド・塩酸フェニルプロパノールアミン・塩酸ジフェニルピラリン,テオフィリン,ランソプラゾール,プロピオン酸ベクロメタゾン,アルプラゾラム
 
NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
70代
不眠
(慢性気管支炎,慢性胃炎,便秘,脳梗塞様症状)
0.25mg
24日間
肝障害
ジョサマイシンにて肝障害の副作用歴のある患者。
投与開始日 以前より内服していたゾピクロンから本剤へ変更。
投与22日目 投与19日目頃より背中,右足に発疹出現し,受診。皮膚科へ紹介。
発現3日目
(投与中止日)
投与22日目の皮膚科での採血にて,AST(GOT)732IU/L,ALT(GPT)329IU/L,Al-P485IU/L,γ-GTP132mU/mLと報告有り。本剤による副作用も考えられ,エチゾラムに変更。自覚症状もなく,本人の希望もありグリチルリチン・グリシン・システイン配合剤20mL静注にて経過観察とした。
中止1日後 グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤20mL静注。
中止3日後 グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤20mL静注。腹部エコー施行も有意な所見なし。採血施行。
中止7日後 中止3日後の採血にて,T-Bil3.3mg/dL,AST1099IU/L,ALT506IU/Lと上昇。黄疸も認め他院へ紹介し,入院となる。入院時データよりHBV陰性,HCV陰性のため,自己免疫性肝炎,原発性胆汁性肝硬変,又は薬剤性の急性肝炎と考えられた。プロトロンビン値(PT)40%。肝不全用アミノ酸製剤,ウルソデオキシコール酸投与開始。
中止8日後 CTにより肝辺縁dullで脈管周囲の浮腫性変化のみ認められた。
中止9日後 PT33%と下がり,AST依然上昇。グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤投与開始。
中止10日後 PT22%とさらに下がる。
中止11日後 新鮮凍結血漿投与開始。中止11日後まで4U,13日後まで6U,中止15日後まで4U。
中止16日後 抗核抗体320倍と判明。自己免疫性肝炎疑いと判断しプレドニゾロン40mg開始。肝エコーにより肝萎縮と腹水を確認。
中止17日後 全身状態悪化。コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムのパルスを開始。
中止18日後 レベルJCSIII100前後までとなる。
中止19日後 血漿交換の目的で他院へ救急搬送。脳CTでは出血認めず。血漿交換開始し2日間続けたが鼻出血出現し全身状態悪化。
中止21日後 死亡。
〈解剖所見〉
 肝萎縮500gしか残っていなかった。
企業報告
臨床検査値
   投与
半年前
投与
22日目
中止
3日後
中止
7日後
中止
13日後
中止
14日後
中止
19日後
プロトロンビン値(%) 40 23 22 16
AST(GOT)(IU/L) 19 732 1099 1620 461 268 85
ALT(GPT)(IU/L) 7 329 506 667 355 235 99
Al-P(IU/L) 263 485 658 561 523 573 424
LDH(IU/L) 814 491
総ビリルビン(mg/dL) 3.3 10.7 19.1 25 22.1
NH3 137 92
IgG 1927
IgA 810
IgM 74
併用薬:硫酸テルブタリン,アズレンスルホン酸ナトリウム,塩酸ブロムヘキシン,酸化マグネシウム,塩酸アンブロキソール,アスピリン,クエン酸モサプリド,エチゾラム
 

目次へ

使用上の注意の改訂について(その143)

前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.185)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「2 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について,改訂内容,主な該当販売名,参考文献等をお知らせいたします。

 
1 〈狭心症治療剤〉
ニコランジル(経口剤)
[販 売 名] シグマート錠2.5mg,同錠5mg(中外製薬)他
[副作用(重大な副作用)] 口内潰瘍,舌潰瘍,肛門潰瘍:口内潰瘍,舌潰瘍,肛門潰瘍があらわれることがあるので,症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

2 〈片頭痛治療剤〉
塩酸ロメリジン
[販 売 名] テラナス錠5(日本オルガノン),ミグシス錠5mg(ファルマシア)
[副作用(重大な副作用)] 抑うつ:抑うつがあらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

3 〈経皮鎮痛消炎剤〉
ケトプロフェン(外皮用剤)
[販 売 名] セクタークリーム,同ローション,同ゲル(久光製薬)他
[禁   忌]
チアプロフェン酸,スプロフェン,フェノフィブラート及びオキシベンゾンに対して過敏症の既往歴のある患者
〈参   考〉 企業報告

 

4 〈漢方製剤〉
十全大補湯
[販 売 名] ツムラ十全大補湯エキス顆粒(医療用)(ツムラ)他
[副作用(重大な副作用)] 肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

5 〈漢方製剤〉
小青竜湯
[販 売 名] ツムラ小青竜湯エキス顆粒(医療用)(ツムラ)他
[副作用(重大な副作用)] 肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

6 〈漢方製剤〉
麦門冬湯
[販 売 名] ツムラ麦門冬湯エキス顆粒(医療用)(ツムラ)他
[副作用(重大な副作用)] 肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

7 〈漢方製剤〉
半夏瀉心湯
[販 売 名] ツムラ半夏瀉心湯エキス顆粒(医療用)(ツムラ)他
[副作用(重大な副作用)] 肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

8 〈漢方製剤〉
防已黄耆湯
[販 売 名] ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒(医療用)(ツムラ)他
[副作用(重大な副作用)] 肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

 

9 〈MRI用造影剤〉
ガドジアミド水和物
ガドペンテト酸ジメグルミン
[販 売 名] オムニスキャン,同シリンジ(第一製薬)
マグネビスト,同シリンジ(日本シエーリング)
[禁   忌]
本剤の成分又はガドリニウム系造影剤に対し過敏症の既往歴のある患者
〈参   考〉 企業報告

 

10 〈MRI用造影剤〉
ガドテリドール
[販 売 名] プロハンス注,同シリンジ(ブラッコ・エーザイ)
[禁   忌]
本剤の成分又はガドリニウム系造影剤に対し過敏症の既往歴のある患者
〈参   考〉 企業報告

 

11 一般用医薬品
ケトプロフェンを含有する製剤
[販 売 名] エパテックAクリーム,同ゲル,同ローション(日産化学工業)他
[してはいけないこと] 次の人は使用しないこと
 次の医薬品によるアレルギー症状(発疹・発赤,かゆみ,かぶれ等)を起こしたことがある人
  チアプロフェン酸,スプロフェン,フェノフィブラート
 次の添加物によるアレルギー症状(発疹・発赤,かゆみ,かぶれ等)を起こしたことがある人
  オキシベンゾン
参   考〉 企業報告

 

12 一般用医薬品
十全大補湯
[販 売 名] 十全大補湯エキス錠カネボウ(カネボウ)他
[相談すること] 次の場合は,直ちに服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
 服用後,次の症状があらわれた場合
  まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
   肝機能障害:全身のだるさ,黄疸(皮ふや白目が黄色くなる)等があらわれる。
〈参   考〉 企業報告

 

13 一般用医薬品
小青竜湯
[販 売 名] ツムラ漢方小青竜湯エキス顆粒(ツムラ)他
[相談すること] 次の場合は,直ちに服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
 服用後,次の症状があらわれた場合
  まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
   肝機能障害:全身のだるさ,黄疸(皮ふや白目が黄色くなる)等があらわれる。
〈参   考〉 企業報告

 

14 一般用医薬品
麦門冬湯
[販 売 名] ツムラ漢方麦門冬湯エキス顆粒(ツムラ)他
[相談すること] 次の場合は,直ちに服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
 服用後,次の症状があらわれた場合
  まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
   肝機能障害:全身のだるさ,黄疸(皮ふや白目が黄色くなる)等があらわれる。
〈参   考〉 企業報告

 

15 一般用医薬品
半夏瀉心湯
[販 売 名] ツムラ漢方半夏瀉心湯エキス顆粒(ツムラ)他
[相談すること] 次の場合は,直ちに服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
 服用後,次の症状があらわれた場合
  まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
   肝機能障害:全身のだるさ,黄疸(皮ふや白目が黄色くなる)等があらわれる。
〈参   考〉 企業報告

 

16 一般用医薬品
防已黄耆湯
[販 売 名] ツムラ漢方防已黄耆湯エキス顆粒(ツムラ)他
[相談すること] 次の場合は,直ちに服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
 服用後,次の症状があらわれた場合
  まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
   肝機能障害:全身のだるさ,黄疸(皮ふや白目が黄色くなる)等があらわれる。
〈参   考〉 企業報告

 

お知らせ
 NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ,最近1年間の「医薬品・医療用具等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。
「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:0120-161-011
 なお,医薬品情報提供ホームページ(http://www.pharmasys.gr.jp/)又は厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。