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安全対策業務

医薬品・医療用具等安全性情報 No.211

目次

  1. 重要な副作用等に関する情報
    1. 塩酸ラロキシフェン
    2. フマル酸クエチアピン
    3. 自己血糖検査用グルコースキット(グルコース脱水素酵素法のうち補酵素にピロロキノリンキノンを使用するもの)
  2. 使用上の注意の改訂について(その164)
    トランドラプリル他(4件)


この医薬品・医療用具等安全性情報は、厚生労働省において収集された副作用情報をもとに、医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために、医療関係者に対して情報提供されるものです。

平成17年(2005年)3月
厚生労働省医薬食品局

重要な副作用等に関する情報

 前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.210)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について、改訂内容、参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。

【1】 塩酸ラロキシフェン

販売名(会社名) エビスタ錠60mg(日本イーライリリー)
薬効分類等 他に分類されない代謝性医薬品
効能効果 閉経後骨粗鬆症
 
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
肝機能障害:AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要

 
NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
70代
骨粗鬆症
(高脂血症、慢性胃炎)
60mg
92日間
肝機能障害
投与3年前 骨粗鬆症と診断。治療開始。
投与14日前 肝機能等検査異常なし。
投与開始日 本剤服用開始。
投与91日目 硬便後、肛門より出血。
投与92日目
(投与中止日)
肛門より出血のため、来院。
自覚症状は特にないが、採血にて肝機能障害を認めた。
AST(GOT)777IU/L、ALT(GPT)1134IU/L、γ-GTP140IU/L、Al-P604IU/L。
全ての薬剤中止。
中止1日後 他院紹介し、入院。点滴のみにて加療。
中止24日後 退院。
外来経過観察、加療となる。
〈検査結果〉
本剤のみDLST実施:陰性
A型肝炎、B型肝炎、CMV、EBV、抗核抗体、抗ミトコンドリア抗体:陰性
C型肝炎、E型肝炎、HIV、ヘルペス:未実施
IgG抗体:正常範囲内
肝生検:好酸球の浸潤がわずかにあるが、顕著な浸潤は認められない。肝機能障害の原因を確定診断できず。
企業報告
臨床検査値
  
投与
14日前
投与92日目
(投与中止日)
中止
1日後
中止
7日後
中止
21日後
中止
27日後
中止
43日後
AST(GOT)(IU/L)
26
777
696
363
131
87
31
ALT(GPT)(IU/L)
26
1134
1095
600
279
189
35
γ-GTP(IU/L)
21
140
125
102
101
46
Al-P(IU/L)
350
604
494
371
381
370
325
LDH(IU/L)
459
275
216
総ビリルビン(mg/dL)
1.6
1.4
1.5
0.9
併用薬:アルファカルシドール、アトルバスタチンカルシウム水和物、塩酸ロキサチジンアセタート、クエン酸モサプリド、レバミピド

 

【2】 フマル酸クエチアピン

販売名(会社名) セロクエル細粒50%、同25mg錠、同100mg錠(静岡フジサワ)
薬効分類等 精神神経用剤
効能効果 統合失調症
 
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
無顆粒球症、白血球減少:無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、血液検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要

 
NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
20代
統合失調症
(パーキンソニズム、不眠症、発熱、便秘)
25mg
5日間
白血球減少
本剤投与前に、オランザピン(本剤投与18日前まで)、ハロペリドール(本剤投与13日前まで)、リスペリドン(本剤投与11日前まで)を投与。
その他、塩酸ビペリデン、クロルプロマジン・プロメタジン配合剤、塩酸セフォチアム、レボフロキサシンも本剤投与前に投与していた。
投与開始日 本剤投与開始。
投与2日目 39.1℃の発熱。
投与3日目 発熱に対して塩酸セフォチアム投与開始。
投与5日目
(投与中止日)
採血にて白血球数1700/mm3(顆粒球68%)。本剤投与中止。
中止1日後 解熱。塩酸セフォチアム投与中止。白血球数2000/mm3(顆粒球51%)。
中止10日後 白血球数4300/mm3と軽快。
企業報告
臨床検査値
  
投与2日前
投与5日目
(投与中止日)
中止3日後
中止10日後
体温(℃)
38.1
39.1
37.0
36.8
赤血球数(×104/mm3
420
457
405
414
ヘモグロビン(g/dL)
13.4
14.5
12.8
13.2
ヘマトクリット(%)
40.0
43.2
38.3
40.7
白血球数(/mm3
6400
1700
3200
4300
好中球(%)
74.0
67.0
39.3
好中球(桿状核)(%)
4.0
好中球(分葉核)(%)
63.0
好酸球(%)
5.8
1.0
10.4
好塩基球(%)
0.9
0.0
1.3
リンパ球(%)
15.3
29.0
41.8
単球(%)
4.0
3.0
7.2
血小板数(×104/mm3
29.6
21.5
26.7
32.6
併用薬:リスペリドン、塩酸ビペリデン、クロルプロマジン・プロメタジン配合剤、オランザピン、ハロペリドール、塩酸セフォチアム、レボフロキサシン、フルニトラゼパム、エチゾラム、ニトラゼパム、クラリスロマイシン、センノシド、ジアゼパム

 

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
50代
統合失調症
(急性気管支炎、不眠、パーキンソン症候群、慢性胃炎、慢性気管支炎)
100mg
9日間
無顆粒球症
投与3日前 急性気管支炎に対して、イミペネム・シラスタチンナトリウム配合剤投与開始。
CRP6.05mg/dL、白血球数5800/mm3
投与開始日 本剤投与開始。
投与2日目 RP0.44mg/dLと低下したため、イミペネム・シラスタチンナトリウム配合剤投与中止。
投与7日目 発熱なし。全身状態は良好。
投与8日目 午後、38.2℃の発熱が出現。クーリング開始。
マレイン酸レボメプロマジン、クアゼパム、トリアゾラム投与中止。
投与9日目
(投与中止日)
午前、体温36.2℃、脈拍72回/分。
午後、体温40.1℃、脈拍112回/分。再びクーリング実施。
末梢血検査で、白血球数600/mm3(好中球18%)と無顆粒球症の状態。(CRP9.22mg/dL)
全薬投与中止。スルバクタムナトリウム・セフォペラゾンナトリウム配合剤を点滴投与。 全身管理の目的で他院へ転院。
中止10日後 顆粒球減少症回復 (転院先よりの連絡あり)。
中止11日後 本院に再入院(統合失調症の治療目的)。
企業報告
臨床検査値
  
投与3日前
投与2日目
投与9日目(投与中止日)
体温(℃)
37.2
37.4
40.1
赤血球数(×104/mm3
366
370
389
ヘモグロビン(g/dL)
11.1
11.2
12.1
ヘマトクリット(%)
33.6
34.6
35.5
白血球数(/mm3
5800
4300
600
好中球(%)
55.0
24.6
18.0
好酸球(%)
5.6
6.5
好塩基球(%)
0.4
0.8
リンパ球(%)
33.1
57.8
59.0
単球(%)
4.6
3.3
22.0
血小板数(×104/mm3
33.8
36.0
29.1
CRP(mg/dL)
6.05
0.44
9.22
併用薬:イミペネム・シラスタチンナトリウム配合剤、ブロムペリドール、塩酸クロルプロマジン、クアゼパム、トリアゾラム、マレイン酸レボメプロマジン、塩酸マザチコール、レバミピド、塩酸アンブロキソール

 

【3】 自己血糖検査用グルコースキット(グルコース脱水素酵素法のうち補酵素にピロロキノリンキノンを使用するもの)

販売名(会社名) フリースタイルキッセイセンサー、ニプロフリースタイルセンサー(ニプロ)
アキュチェックコンパクトドラムII、アキュチェックアクティブスティック、アドバンテージテストストリップS(ロシュ・ダイアグノスティックス)
グルテストNeoセンサー、Gセンサー(松下寿電子工業)
 
《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[警  告]
警告
実際の血糖値より高い値を示すため、以下の患者には使用しないこと。
 輸液等を投与中の患者(マルトースを含む輸液を投与中の患者で実際の血糖値より高い値を示すため)
 イコデキストリンを含む透析液を投与中の患者
 ガラクトース負荷試験を実施中の患者
 キシロース吸収試験を実施中の患者
医療機関において、輸液を投与中の患者に本キットを使用し、その測定値に基づきインスリンを投与した結果、患者に低血糖症状が生じた事例が報告されていることから、本キットは、原則として患者自身が自宅等で血糖を測定する場合に使用すること。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要

 
NO. 患者 使用期間 副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
70代
糖尿病
(頸椎症性四肢麻痺、うっ血性心不全、慢性腎炎、イレウス)
16日間
低血糖症
使用16日目
(使用中止日)
イレウスのため絶食とし、マルトース含有維持液500mLを1日3回点滴していた。本事象発生時はイレウスが軽快してきたので、食事と点滴を併行していた。
血糖値はGDH-PQQ補酵素法血糖自己測定器で測定したところ300~400mg/dLあり、ヒトインスリン(遺伝子組換え)20~30単位をスライディングスケール投与していたが血糖値軽快せず、徐々にインスリン量を増やしていた。
夜、意識消失発作を起こし、当直医はGDH-PQQ補酵素法血糖自己測定器で血糖値が299mg/dLあるため当初診断に苦慮したが、検査室で血糖測定したところ血糖値26mg/dLであり、低血糖発作であることが判明した。処置として50%ブドウ糖注射液40mLを投与した。
中止1日後 回復に至った。
企業報告
併用薬:フロセミド、センノシド、マルトース含有維持液、ヒトインスリン(遺伝子組換え)

目次へ

使用上の注意の改訂について(その164)

 前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.210)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「1 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について、改訂内容、主な該当販売名、参考文献等をお知らせいたします。

1 〈血圧降下剤〉
トランドラプリル
[販 売 名] オドリック錠0.5mg、同錠1mg(アベンティスファーマ)、プレラン0.5mg錠、同1mg錠(中外製薬)他
[副作用
(重大な副作用)]
膵炎:膵炎があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告
 
2 〈アルキル化剤〉
塩酸ニムスチン
[販 売 名] ニドラン注射用25mg、同注射用50mg(三共)
[警告]
警告
本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。適応患者の選択にあたっては、各併用薬剤の添付文書を参照して十分注意すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
[用法及び用量に関連
する使用上の注意]
悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法(塩酸プロカルバジン、塩酸ニムスチン、硫酸ビンクリスチン)においては、併用薬剤の添付文書及び関連文献(「抗がん剤報告書:塩酸プロカルバジン(脳腫瘍)」、「抗がん剤報告書:硫酸ビンクリスチン(脳腫瘍)」等)を熟読すること。
〈参   考〉 企業報告
 
3 〈代謝拮抗剤〉
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム
[販 売 名] ティーエスワンカプセル20、同カプセル25(大鵬薬品工業)
[副作用
(重大な副作用)]
播種性血管内凝固症候群(DIC):播種性血管内凝固症候群(DIC)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、血小板数、血清FDP値、血漿フィブリノゲン濃度等の血液検査に異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告
 
4 〈その他の腫瘍用薬〉
ストレプトコックス・ピオゲネス(A群3型)Su株ペニシリン処理凍結乾燥粉末
[販 売 名] ピシバニール0.2KE、同0.5KE、同1KE、同5KE(中外製薬)
[重要な基本
的注意]
本剤によるショック、アナフィラキシー様症状の発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
 1)事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、本剤はベンジルペニシリンを含有しているので抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
 2)投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
 3)投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
 4)休薬期間を置いた後、投与を再開する場合には少量から慎重に投与すること。
[副作用
(重大な副作用)]
ショック、アナフィラキシー様症状:ショック、アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告
 
5 〈その他の生物学的製剤〉
抗ヒトTリンパ球ウサギ免疫グロブリン
[販 売 名] ゼットブリン注(日本臓器製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
血小板減少:本剤の投与により、血小板減少があらわれ出血傾向が増悪するおそれがあるので、定期的に血小板数を測定し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
[重大な副作
用(類薬)]
間質性肺炎、肺水腫:抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリンの投与により、間質性肺炎、肺水腫があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線検査異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
出血傾向:抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリンの投与により、紫斑、血尿、鼻血、皮下出血斑、肺出血、消化管出血等の出血傾向があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行い、出血傾向が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤な肝障害:抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリンの投与により、重篤な肝障害があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行い、黄疸や著しいトランスアミナーゼ等の上昇が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

目次へ

お知らせ

医薬品・医療用具等安全性情報は、医薬品医療機器情報提供ホームページ(https://www.pmda.go.jp/)又は厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。

また、NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ、最近1年間の「医薬品・医療用具等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。

「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:0120-161-011