独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

製造販売業者等により既に対策がとられている、もしくは対策を既に検討中の事例

本文別添1|別添2|別添3別添4

 

製造販売業者により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例 (事故)

    発生
段階
事故の程度 事例概要 調査結果

1

第10回

準備段階

障害の可能性
(低い)

指示に【ソリタT1500mL ヒューマカートR注300単位3mL2単位】とあった。看護師A は「ヒューマカートR注」を「ヒューマリンR」に変更する指示を受け、患者に実施した。看護師Dが夕方食前血糖値を測定すると24mg/dL であった。看護師Aは朝の点滴準備中に、自分が使用した単位が間違っていたのではないかと思い、確認すると、ヒューマリンR注2単位使用するところ、2mL 使用したことに気付いた。

平成20年3月31日付薬食審査発第0331001号・薬食安発第0331001号連名通知「インスリン製造販売名命名の取り扱いについて」により、インスリン製剤の販売名命名の取り扱い方法が示された。インスリンバイアル製剤の命名としては、「ブランド名+製剤組成の情報+剤型+規格(濃度)」となり、現行の販売名である「ヒューマリンR注U-100」は、「ヒューマリンR注100単位/mL」へと変更される。なお、当該製造販売業者は、現在名称変更申請中である。(参考1参照)

2

第10回

実施段階

障害の可能性
(低い)

持続静脈注射でゆっくり投与すべき薬剤であるアルチバ(全身麻酔用鎮痛剤)を、ワンショットで静脈注射した。

現在「アルチバ」は、施用部位表示が「静注」となっており、平成19年9月19日日薬連発第528号の「注射薬の容器への施用部位表示に関する自主申し合わせについて」を参考に、当該製品の製造販売業者は、施用部位表示の改訂を検討中である。

 

医薬品の製造販売業者により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例  (ヒヤリ・ハット)

    具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果

1

第9回

入院時、持参薬の薬剤名、用法、残量を本人に確認した。薬剤名「アストス」(カルシウム剤)を「アクトス」(血糖降下剤)と見間違え、カルテに記入した。入院翌日に手術で禁食となるため主治医に内服薬の継続について指示を仰ぎ、見間違えた「アクトス」のみ中止の指示を受け、「アストス」を中止薬として処理した。入院翌日の日勤者が、手術のために内服薬を中止しているか夜勤者に確認した際、カルテの記載を見て気付いた。

外来カルテの既往歴に「糖尿病」と記載があり、持参薬の実物を見ながらカルテに薬品名を記載したが、アストスを見てアクトスと見間違え、血糖降下剤アクトスであると思いこんでしまった。入院を受けた看護師が持参薬の薬品名、用法、残数を確認してカルテに記載しており、内服続行についても主治医に確認・指示受けをした。確認した内容を病棟薬剤師や他のスタッフにダブルチェックしてもらっていなかった。患者が入院した当日、病棟薬剤師が必ず病棟に来て内服薬について確認できているというわけではない。

  • 患者の持参薬を確認する際、薬剤名を声に出して読みながら記載する。
  • 入院を受けた患者の持参薬を確認・記載した場合は、すぐに用法や薬剤名を持参薬の実物と照らし合わせて、病棟薬剤師か先輩に必ずダブルチェックしてもらう。
  • カルテ記載の際はできるだけ転記はせず、極力薬剤の説明書を見せてもらう
  • 臨床薬剤師が必ず二重でチェックできるよう、新入院があったことを必ず伝えるように他のスタッフにも伝達した。
「アストスCA」(カルシウム剤)の製造販売業者は、医療事故防止等に係る代替え新規申請として、新規予定販売名「L-アスパラギン酸Ca錠200mg「タイヨー」」として変更する予定。

2

第9回

持参薬の残りがなくなり、当院同効薬に処方してもらう際、薬剤師が作成した持参薬表をもとに、同効薬の薬品名を別紙に記載(転記)し、医師に処方を依頼した(転記したため、他の看護師にも確認してもらった)。降圧剤(アルマール10mg)の処方ではなく、糖尿病薬(アマリール1mg)の処方がされ、そのまま配薬されていた。深夜勤務の際、配薬表を見て気が付き中止した。

薬品名を転記せず、医師に、持参薬表を確認してもらい、処方してもらうべきだった。

  • 転記はしない。
  • 医師に処方も依頼をする際には、メモ的なものでなく、きちんとした持参薬表や紹介状をもとに処方してもらうようにする。
アルマールとアマリールの名称類似性については、すでに平成15年11月27日付厚生労働省医政局長,医薬食品局長連名通知「医療機関における医療事故防止対策の強化について」、及び平成16年の医薬品・医療用具等安全性情報No.202などで注意喚起済みである。

3

第9回

処方は「ヒューマカート3/7注キット」(抗糖尿病剤)であったが、「ヒューマカート3/7注」を取ってしまい、患者に薬が渡ってしまった。患者がいつもと異なる剤形に気付いた。

インスリン製剤にはカートリッジ、キット、フレックスペンなどの種類があり、規格も複数存在する。

  • 今までインスリン製剤に関しては、処方箋の薬剤名の規格部分に赤マルでチェックしていたが、今後は剤形にも赤丸でチェックをする。
  • 取る際には声を出して確認する。
  • インスリンは種類・規格が多種多様にあり、調剤時は煩雑ではあるが、間違いがあってはならない。調剤過誤をなくす取り決め事項の一つの「規格にチェックをして行う」という行為を徹底して行うことを指導。
平成20年3月31日付薬食審査発第0331001号・薬食安発第0331001号連名通知「インスリン製造販売名命名の取り扱いついて」により、インスリン製剤の販売名命名の取り扱い方法が示された。
その中で、同一ブランドで2種類以上の形態がある場合には、それぞれに形態に関する情報を加えることが望ましいとされ、現在カートリッジ製剤とキット製剤が同じ販売名となっている、「ヒューマカート3/7注」については、それぞれ「ヒューマリン3/7注カート」、「ヒューマリン3/7注キット」に販売名が変更される予定。なお、当該製造販売業者は、現在名称変更申請中である。

4

第9回

医師処方はノボラピッド30ミックスフレックスペン(インスリン製剤)1筒、朝6単位の処方で、薬剤師がノボラピッド注300フレックスペン(インスリン製剤)と思い込み調剤した。調剤監査の薬剤師もチェックできず、看護師にわたり看護師も気付かず患者に実施した。1年目の看護師が処方とペン型インスリンを照合していて発見した。

ノボラピッド30ミックスフレックスペンとノボラピッド注300フレックスペンの名前と外見が似ている。ノボラピッド30ミックスフレックスペンの当院採用間もない時期で糖尿病病棟以外の病棟看護師の認識が不足していた。新採用薬品情報は、周知されるが外観が似ているもの、名前が似ているものがあるなどのリスクを予測したインフォメーションはしていない。

  • 当院採用のペン型インスリン製剤をカラー写真で作用時間・注意点とともに一覧表にして掲示した。
  • 製薬会社にも改善希望を提出した。
  • 新採用薬品の周知:抗糖尿病製剤の周知を別にする。
平成20年3月31日付薬食審査発第0331001号・薬食安発第0331001号連名通知「インスリン製造販売名命名の取り扱いついて」により、インスリン製剤の販売名命名の取り扱い方法が示された。その中で販売名は必要な情報のみを加えることされ、現行販売名「ノボラピッド注300フレックスペン」は、「ノボラピッド注フレックスペン」に販売名が変更される予定。なお、当該製造販売業者は、現在名称変更申請中である。

5

第10回

胃切除の手術後口腔挿管を抜管し呼吸状態は安定していた。しかし、手術室前室まで患者搬送後呼吸状態不良となり麻酔科医師より「サクシゾン100(水溶性ヒドロコルチゾン製剤)」の口頭指示があった。指示を受けた看護師は手術室に戻り冷蔵庫の鍵つき保管庫から薬液を取り出し注射器に注入し、アンプルのシールを剥がして注射器に貼りつけ、医師に手渡した。医師は投与直前に注射器に貼っているシール確認し「サクシン100」(脱分極性筋弛緩剤)を準備していた事がわかった。

口頭指示受けの手順が遵守されいなかった(指示受け時の復唱確認・医師に手渡す際にも声に出して医師に確認していなかった)。サクシゾンとサクシンが間違えば生命に危険を及ぼす薬剤の薬剤名が類似したものが定数で保管されていた。副腎皮質ホルモンは当院では「サクシゾン」と「ソルコーテフ」の2種類を採用している。「ソルコーテフ」は溶解しにくい等取り扱いにくい事から「サクシゾン」を採用し使用していた。

  • 口頭指示受けの手順・指差し呼称確認を徹底する。
  • 事故防止の観点から類似した薬剤の採用を極力避けるよう検討した。
  • 副腎皮質ホルモンは「サクシゾン」を採用中止とし「ソルコーテフ」のみとした。
すでに製造業者によって直接容器への表示に、一般名である水溶性ヒドロコルチゾン製剤を大きく表示する等の工夫が行われており、平成16年3月に両社の製造販売業者が共同で「サクシンとサクシゾンの比較広告」を出し医療機関への注意喚起を呼びかけているところ(参考2参照)。
なお、現在、両製品の製造販売会社名及び表示デザイン等が変更されていることから、再度、製造販売会社により、注意喚起のためのパンフレットが作成中である。

6

第10回

8時間でアミノフリード(糖・電解質・アミノ酸液)500mL を点滴していたが、アミノフリードの隔壁を開通せずに点滴を開始してしまった。3時の巡視時に滴下速度を確認したときにも、その開通忘れを見落とした。

薬剤の性質上、隔壁を開通させて使用する製剤になっていること。夜勤帯もあるが開通確認を怠ってしまったこと。

  • アミノフリードの開通確認シールの意味の周知する。
  • 開通から点滴までの手順を安全ニュースで知らせた。
隔壁の未開通防止のため以前より開通確認シールを吊り穴部に貼る等の工夫が製造販売業者により行われてきたが、2007年3月より新たに、吊り穴部にオープンチェッカーを装着し、隔壁を開通しなければ、吊り穴部のオープンチェッカーが開かず、点滴台にかけられない構造変更を行い対策を強化している(参考3参照)。