独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成18年度 厚生労働省 第12回医薬品・医療機器等対策部会 別添2

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第12回医薬品・医療機器等対策部会

◎ 医薬品の製造販売業者により対策の必要性が低いと考えられたヒヤリ・ハット事例

  具体的内容 背景・要因 誤り又は影響を
与えた薬剤
1 患者の呼吸状態が悪化したため、気管内挿管し、人工呼吸器を装着。鎮静のため「プロポフォール」(全身麻酔薬)を12ml/hの速度 で投与していたところ、患者自身が気管内チューブを抜去(自己抜去)した。その後、動脈血酸素飽和度が一時的に40%台に低下したが再挿管後には95%に 戻る。その後、医師の指示で「プロポフォール」を15mlに増量した。
  • 病棟の方針で側を離れる時にも安全ベルト(抑制に用いる用具)は使用していない。
  • 「プロポフォール」の鎮静効果の確認が不十分だった。
  • 病室を離れた。
  • 予測が不足していた。
プロポフォール
2 就寝時に内服する「マイスリー」が、薬剤部門から10mgの規格のところ5mgで調剤されて払いだされたことに気付かず、10mg1 錠投与のところ、5mg1錠を投与した。
  • 薬剤をセットする際、他のことに気を取られていた。また、処方箋・薬袋・薬剤の規格を確認せず、正しくセットされていると思い込んでいた。
  • 業務の手順・ルールやチェックの仕組みに関する問題として、ダブルチェックは、「他の人が確認しているから」と思い、再確認の際は大丈夫という思いで実施 しがちであり、ダブルチェックが有効に働かない状況となりつつある。
マイスリー5mg
3 外来で処方されていた「メレックス」(抗不安薬、ベンゾジアゼピン系、長期作用型)を処方する予定が、「メイラックス」(抗不安薬、 ベンゾジアゼピン系、超長期作用型)の処方を指示した。さらに、実際処方されたのは「ソラナックス」(抗不安薬、ベンゾジアゼピン系、中期作用型)であっ た。
  • いずれも名称が類似している。
メイラックス・
ソラナックス
4 主治医は「メイラックス」(抗不安薬、ベンゾジアゼピン系、超長期作用型)を処方していたが、コンピューター入力時に誤って「ソラ ナックス」(抗不安薬、ベンゾジアゼピン系、中期作用型)を処方した。
  • 思い込み。
ソラナックス
5 外来で「インテバン坐剤50mg」が処方されていたが、「インテバン坐剤25mg」を調剤してしまった。監査時に発覚する。
  • 規格が2種類(25mgと50mg)あった。                
  • 「インテバン坐剤25mg」のほうが処方される頻度が多かった。
インテバン坐剤25mg
6 「ボルタレン(25)2T 分2」という処方が出たが、「ボルタレン坐剤 25mg」と思い込み、本来内服の「ボルタレン錠剤」であ るにもかかわらず、坐剤を出してしまった。
  • 整形外科における「ボルタレン」の処方は、処方されるとしても坐剤の「ボルタレン」であろうという思い込みがあったため、確認を怠ってしまった。
ボルタレンサポ25mg
7 注射調剤で抗がん剤が含まれる処方を検薬した。薬剤部で混注するものを除いた注射薬を病棟に払い出したが、その中に本来処方にない 「セレネース」が混入していたことに気付かなかった。病棟で気付き薬剤部に連絡があった。
  • 「アンプルピッカー」(注射薬自動払い出しシステム)による薬剤が混入する事が続いていた。
  • また、検薬のとき薬袋に入った状態で確認したため混入を見落としたと考えられる。
セレネース
8 入院投薬にて「アビショット50mg」(前立腺肥大治療薬)を調 剤しないといけないところ、「アビリットカプセル50mg」(抗精神病薬)を調剤してしまった。監査時に発覚する。    
  •  薬剤名が類似していた。
  • 院内では「アビリットカプセル」の方が処方されることが多かった。
アビリットカプセル
9 手術開始直後であり、「カルボカイン」を硬膜外チューブから投与する時間を気にしていた。時間になったため医師に確認したが、硬膜 外チューブから投与しなければならない薬を静脈注射してしまった。
  • 「深く考えなかった。無意識に手が動いた。」など業務遂行上患者の安全確保に対する認識が不足している。
カルボカイン
10 時間外処方で「エイゾプト1%点眼液1本(1日2回朝夕)」(緑内障治療薬)の処方に対し、誤って「トルソプト点眼液1%1本」(緑 内障治療薬)を調剤し、払い出した。
  • 「エイゾプト」と「トルソプト」とはいずれも緑内障治療剤であり、かつ名前が類似していた。薬剤名の類似による薬品の混同。
  • 確認が不十分であった。思い込んでいた
  • 夜勤だった。多忙であった。
トルソプト1%点眼液
11 「トランサミン」(血液凝固関係製剤)をセットし払い出すところ、「ネオフィリン」(気管支拡張薬・喘息治療薬)をセットして払い出 した。監査も通過した。病棟で看護師が発見し、交換をした。
  • 「トランサミン」と「ネオフィリン」の保管位置が近い。
  • 確認が不十分。
ネオフィリン
12 心臓カテーテル検査のため、患者の移送準備を開始していたが血圧が60mmHg台に低下したため、「ドブトレックス」(強心薬、カテ コールアミン系薬剤)の投与量を「3γ」(μg/分/Kg)から「5γ」に増量するように指示が出た。カテコラミン表で流量をチェックしてポンプ流量を設 定したが、検査が終了し帰室した際、他の看護師が持続注射を点検したところ2倍量で投与されていることに気付いた。血圧は、70-90mmHg台で経過し ており、重大な影響はなかった。カテコラミン表の「イノバン」(1/2Aで表示)(強心薬、カテコールアミン系薬剤)と「ドブトレックス」(1Aで表示) の段を間違えて見てしまった。
  • 受持ち看護師ではなく、一時的に交替したので、患者の情報を十分把握していなかった。
  • 事故防止教育の問題。 
  • 業務の手順、ルール・チェックの仕組み。 
  • 情報の伝達と共有の問題。 
ドブトレックス注射液
13 薬局から指示と規格の違う利尿剤がセットされてきた。看護師のチェックで気がつき未然に防いだ。
  • 「ラシックス」(利尿剤)について従来は20mg/2mlという規格の製剤のみ院内で採用していたが、100mg/10mlという別の規格の製剤も最近採 用した。
  • 採用後、薬局払い出しでのミスが多い。
ラシックス100mg/10ml
14 「アスベリン散」(鎮咳薬)と「ムコダイン散」(去痰薬)の処方で「アルダクトン散」(利尿薬)を間違えて秤量した。監査も通過し た。看護師が誤りを発見。再調剤をして取り替えた。
  • 薬剤名が似ていた。
  • 退院時の処方のため急いでいた。
アルダクトン散
15 「オステラック200mg」(非ステロイド性抗炎症薬)を調剤するところを「オルメテック20mg」(高血圧症治療薬)を調剤し、監 査者も見逃し病棟に払い出てしまった。しかし病棟看護師が投与前に気づいた
  • 「オルメテック」は普通薬(高血圧症治療薬)、「オステラック」は劇薬(非ステロイド性抗炎症薬)であり棚も全く違った場所にあつたが、名前が似ているこ とと、それぞれ20mgと200mgというように、数字の最初が「2で始まっていたことが取り違えた原因であると考えられる。
オルメテック
16 病棟ストック使用分の「アダラートL(20)1錠」(カルシウム拮抗薬)を「バイミカード(5)1錠」(カルシウム拮抗薬)と取り違 えて調剤。そのまま薬剤監査でも見逃し、病棟へ払い出した。準夜の看護師が間違いに気付き、翌日正しいものと交換した。
  • 薬品名を確認せず、錠剤の色が茶褐色で同程度の大きさであったため、「アダラートL(20)」と判断したことが原因と思われる。
  • 「アダラートL(20)」の場所に「バイミカード(5)」の返品が入っていたのを確認せずにそのまま出した。    
  • 当日午前中、調剤は普段より忙しかった。
バイミカード5mg
17 「アロシトール」(痛風・高尿酸血症治療薬)の処方が指示されたが、薬剤師が「アイトロール」(抗狭心症薬)を調剤した。処方箋を見 ながら確認した看護師は薬剤が違うことに気付かず、その日の夕方に配薬された。記録室管理のため、深夜の看護師が気付いた。医師から患者に対し誤薬の説明 を行い、経過観察となった。特にそのことによる症状は見られなかった。年末・年始で薬剤師は他の薬剤師とのダブルチェックができなかった。また、間違いな いものと思い込んでいた。看護師も確認はしたが、「合っているもの」と思い込んで確認しているため、誤りに気付かなかった。
  • インシデント事例の周知・徹底、共有の難しさ。
  • 以前にも、同様の事例が発生した。薬剤科では、薬剤の位置を変えるなどの対策を実施していた。 
  • チェックの仕組み。ダブルチェックは、何のためかを繰り返し説明しているが、「他の人もチェックするので大丈夫」とか「一度確認しているので間違いない」 という意識下でチェックしがちなため気付かないことがある。
アイトロール
18 「アロシトール」(痛風・高尿酸血症治療薬)の処方のところ「アイトロール」(抗狭心症薬)を調剤し払い出した。病棟看護師も気付か ず、夕食後に1錠服用した。深夜の看護師が薬剤の準備中に間違いに気付き判明した。
  • 業務の手順・チェックの仕組み。
  • 薬剤名の類似。 
  • 労働体制上の問題:休日でも薬剤の変更が頻発している現状で一人では難しい状況もある。年始の休日で、薬剤科ではダブルチェックができなかった。また、病 棟の調剤に対応するのに作業が中断された。
アイトロール
19 耳鼻科より処方された薬「ムコダイン(500)3×」が終了したため、臨時に主治医が処方した。その際に主治医は日頃より処方しない 薬剤のために単位を記載せずに「ムコダイン 3×」と記載して処方した。院内採用薬は「ムコダイン(250)」のみであったために、薬剤部では確認せずに 「ムコダイン(250)3×」で調剤し患者に渡してしまった。
  • 全ての医師に対して、処方箋の記載方法の徹底がなされていない点(業務手順・ルール)。
  • 院内の採用薬についての周知徹底(情報の共有)。
  • 薬剤師による調剤チェックミス(業務、労働体制)。
ムコダイン250mg
20 「タケプロン」15mgと30mgを取り違えて調剤。病棟で発見され作り直す。
  • 普段から注意していることであったが忙しさのため確認がおろそかになった。
タケプロン
21 「アルロイドG」(消化性潰瘍治療薬)の処方に「マルファ液」(消化性潰瘍治療薬)を調剤した。監査も通過した。
  • 昼の休憩時間で人が少なかった。剤形が同じで薬効も類似している。
マルファ液
22 「ゾフラン1A」に「デカドロン」を混入したところ白濁した。薬局に問い合わせたところ、濃度が濃いため、それぞれを生食に混入すれ ば、白濁することはないとのことで、薬剤を再請求し、それぞれを生食に混入したら、問題なかった。
  • 濃度が濃いものを混ぜ合わせたため。       
  • 「ゾフラン」と「デカドロン」の原液の濃度が濃いため混合には注意が必要、という認識がなかった。
ゾフラン
デカドロン
23 病棟薬剤師より「プレドニン」(副腎皮質ホルモン製剤)と「プレドニゾロン」(副腎皮質ホルモン製剤)の両薬を同時に服用させている のか問合せがあった。看護師は増量の指示であり、同時服用するものと思っていた。カルテの医師指示欄を再度確認したが「プレドニゾロン」中止の記載がな かった。薬剤師に再度確認を促され、医師に確認したところ「プレドニゾロン」は中止し「プレドニン」のみに変更する、ということが医師が意図した指示で あった。カルテの記載が無い旨を伝えると「口頭で説明した。」と言われた。上司に連絡。直ぐ服用変更とし、経過観察となった。
  • 処方に変更がある場合は、必ず医師に追加または中止後の与薬かを確認すると共に、カルテの記載と指示内容が間違いないか確認すべきであった。
  • 医師も指示は口頭でなく、カルテ記載が基本であるため、まず変更を記載した後に注意を促すために口頭指示をすればよかった。
プレドニン+
プレドニゾロン
24 患者がペンフィルのインスリンを16単位に合わせたのを確認したが、カートリッジの残量が16単位分あるかどうかを確認しなかった。 患者が自己注射したところ注射器が14単位で止まったまま放置してあり、16単位の注射はなされず投与量が不足していたのではないかと考えられた。(一 方、患者は若干の知能低下を認めており、注射後注射器を触ったためさらに注射量が不明になった可能性も否定できない。)
  •  「ノボペン」の使い方を熟知し、インスリンの単位を患者が設定する前に、「空打ち(試し打ち)」量と患者が自己注射する必要量が何単位で、しかも注射器に はあと何単位残っているかを確認しなかった。
ペンフィル
25 「ノボラピッド30ミックス」(混合型インスリン製剤)が処方された後、「ノボラピッド」(速効型インスリン)が処方され「ノボラ ピッド30ミックス」の処方が削除された。薬剤科で調剤をする時に「ノボラピッド30ミックス」の処方箋で調剤した。病棟に払い出す時の控えの処方箋は 「ノボラピッド」となっていた。
  • 確認不足。
ノボラピッド30ミックス
26 点滴ボトルへインスリン混注の指示があった。インスリンを混注しているときは、点滴ラベルにインスリンが混注されているという意味 で、「(+)」と記入、インスリンが混注されていないことを示す場合は「(-)」と記載しているが、ボトルを追加した看護師はラベルへの記載を忘れていた ため、ラベルには(+)も(-)も記載されていなかった。100ml程度点滴が終わったところで当事者が気づき、血糖値を測定したところ、 300ml/dl以上の高血糖であったため医師に報告したところ、インスリン注射の指示がなされた。患者の状態には変化がなかった。
  • 3点確認がなかなか徹底されない。
  • また、注射係りの看護師と、患者担当看護師の連携が不十分。注射係りの看護師は早番で、患者担当の看護師とは違う動きをしている。
インスリン(不明)
27 調剤業務の時間外に内服薬とインシュリンの指示がなされた。処方箋においてインシュリンの種類は「ノボリン30R」(混合型インスリ ン)と記載されていた。払い出された内服薬は看護師2人で確認したが、「ノボリン30R」については処方箋と確認せずそのまま患者の名前を貼布してケース にセットした。実際に払い出されたものは「ノボリンR」(速効型インスリン)だった。患者本人のところへインスリンを持って行き、そのまま自己注射してい ただいた。準夜勤務帯に患者の出張用に「ノボリン30R」を用意したところ、指示簿(ノボリン30R)と実際に渡されたインシュリン(ノボリンR)とが違 うことに気付き、事実が判明した。
  • 追加の処方は医師から薬局に電話連絡があり、医師は「ノボリン30Rを追加してください」と伝え、薬局は処方箋に「30R」と記入したが、実際は「ノボリ ンR」を準備して病棟に払い出してしまった。
ノボリンR
28 「ノボリン30R」を「1日2回」施行していた患者が「ノボリンR、1日3回」に変更となった。回数が変更になった(1日2回→1日 3回)ことばかり気を取られ、2人で確認したものの、「ノボリンR」ではなく、「ノボリン30R」を施注してしまった。
  • 類似薬品等何種類かある薬剤は特に注意する。
  • 表示の仕方、保管の仕方に問題はないか。
ノボリン30R
29 緊急採用品「ヒューマカート3/7注キット」の処方に対し、「ヒューマカート3/7注カートリッジ」を調剤(「カートリッジ」とは専 用のペン型注入器にセットして使用するもので、「キット」とは注射器にカートリッジがあらかじめ装填されたもの)。緊急採用品が払い出されないことから、 同日夕に間違いに気付く。患者宅へ出向き交換する。
  • 退院緊急処方で看護師が薬剤科まで取りに来たため、急いで調剤し、「キット」の文字を見落とした。また、「キット」の文字が小さかった。
ヒューマカート3/7注カートリッジ
30 朝のインスリン固定の指示(毎日一定のインスリン、ここでは「ヒューマリンR4単位とヒューマリンN12単位」を投与すること)を、 「ヒューマリンR」のみと誤って認識した。血糖値が278mg/dlと高血糖であったため、固定のヒューマリンR4単位に追加してスライディングスケール に従って「ヒューマリンR4単位」を注射したが、「ヒューマリンN」を投与しなかった。
  • 深夜勤務で時間に追われ、焦っていた。
ヒューマリンN
31 主治医から、「イノレット(インスリン製剤)30Rを朝8単位、夕4単位固定投与する」という指示があった。物品伝票を書いて薬局に 請求する際、誤って「イノレットR」と書いてしまった。そのことに気付かず、その後3回にわたり、「イノレットR」を「イノレット30R」と思い込み、看 護師各自が8単位、4単位のみの確認だけで注射していたことをその後気づいた。
  • 確認する側とされる側が思い込みで行ってしまった。
イノレットR
32 5/3の朝食前の血糖が低く医師に報告。「患者に行っている持続点滴のうちソリタT3(電解質製剤)に混ぜていた「ヒューマリンR」 (インスリン注射液)を5/3の夕方の分から今後中止する」ように指示が出た。5/6までの注射実施予定オーダーからソリタT3内の「ヒューマリンR」の み返納した。5/4分の点滴はすでに病棟にあったため注射せんに返納と書き、申し送りにも中止指示があったことを書いたため、指示どおり「ヒューマリン R」は投与されなかった。5/5分はワークシートでは「ヒューマリンR」が消去されていたため、注射箋も既に変更された状態で点滴が病棟にくると思い込 み、口頭で申し送らなかった。そのために準夜の看護師は気付かず、変更前の指示通り、5/5の0時と12時の更新時に「ヒューマリンR」が混入された点滴 が患者に投与された。
  • システムに関する理解が不足していた(実施予定の場合でも、変更すれば依頼された状態で注射箋と点滴が病棟にくると思い込んでいたこと)。その思い込みの ために申し送りが不十分になった。
ヒューマリンR
33 医師より電話で、「ノボリン30Rフレックスペン」(混合型インスリン:速効型と中間型を混合したもの)を追加、という指示を受けた が聴き違い、「ノポリンRフレックスペン」(速効型インスリン)を病棟に払い出した。病棟看護師から間違いを指摘された。
  • 電話での口頭指示。
ノボリンR
34 前日に患者のインスリン変更指示が出ていたが、変更が処置板に記載されていなかった(「ノボリンR」→「ノボリン30R」)。患者本 人が「インシュリン朝28単位でいいよね」と聞きに来たため、処置板で確認し28単位でいいと伝えた。本人がそのまま「ノボリンR」を28単位注射した。 当日退院時薬の説明に行った際に、処方されたものが「ノボリン30R」だったため指示簿を確認したところ、誤りに気がついた。
  • インスリンの変更指示を受けたときに処置板に変更が記載されなかった。
  • 翌朝より「ノボリン30R」の予定だったが新しい薬品が本人へ渡っておらず、本人がそのままノボリンRを使用してしまった。
ノボリンR
35 CABG2枝(冠状動脈主要な3本の枝のうち2本の枝に病変を有するため、冠状動脈バイパス術を行った症例)の手術後3日目の患者。 血糖測定を4時間毎に施行。その値によって血糖値を維持するため持続投与中のヒューマリンを増減していた。16:00に血糖測定したところ 「245mg/dl」であったが「254mg/dl」と見間違えた。それまでの血糖値では、ヒューマリンは投与を中止していたが、250mg/dl以上で ヒューマリン開始の指示だった。見間違えたためヒューマリンを0.5mg/hで開始した。16:30に準夜に申し送り中に間違いに気付いた。主治医に報告 しヒューマリン中止。20:00の血糖値が高くヒューマリン再開することとなった。
  • ICUへの入室・転室が重なり、緊急手術になる患者がおり忙しかった。
  • 16時に時間で行う処置も多く確認不足となってしまった。
  • 血糖値を見て指示簿にて確認したにもかかわらず、ミスしてしまった。
ヒューマリン
36 病棟から手術室看護師へ、患者には検査の際に使用する造影剤(ヨード)アレルギーがあるとの申し送りがあった。検査のための造影剤で はないが、皮膚消毒の際、ヨウ素系消毒剤である「イソジン」を使用して消毒してしまった。患者の皮膚等に異常はなかった。
  • 連携不足。
イソジン液
37 外来にて「アロートール0.5μg」(骨粗鬆症・骨代謝改善薬)を調剤しないといけないところ、「アルファロール0.25μg」(骨 粗鬆症・骨代謝改善薬)を調剤し、投薬してしまった。患者が帰宅後に気づき、病院に電話で連絡があり発覚する。  
  • 「アロートール」と「アルファロール」とは、名称は違うが、同成分の薬剤だった。
  • 「アルファロール」の方が処方される頻度が多かった。
アルファロール0.25μg
38 中心静脈栄養中の患者へ、N(窒素)負荷軽減のため、医師がアミノ酸製剤を使用しない輸液指示を出した。薬局からは指示通りに輸液が セットされてきた。看護師が疑問に思い、使用上に問題がないか薬剤師へ問い合わせをした。薬剤師はカルテ上にN(窒素)負荷軽減の記載があることから、指 示通りで間違いないと判断し看護師へ報告し、看護師は疑問に思いながらも実施した。翌日、薬剤師より連絡あり、医師へ報告、指示が変更になった。患者の容 態に変化はなかった。
  • 医師はN(窒素)負荷を考慮するのであれば、他のアミノ酸製剤を選択すべきであった。薬剤師は医師に対し、使用法として高カロリー輸液のみでの使用は避け るべきであるとして疑義照会すべきであった。
  • 看護師は薬剤師の見解に疑問を感じた場合は医師へ確認するべきであった。
  • 輸液オーダーをコンピューター入力する際に警告メッセージが出ていれば未然に防げたかもしれない。
高カロリー輸液基本液(不明)
39 当院の約束処方で、TPNC(「トリパレン1号1200ml+アミパレン400ml」)を調剤して出すところ、「C」と「G」とを読 み間違え、「トリパレン2号1200ml+アミパレン400ml」を調剤し払い出した。病棟で間違いに気付き、調剤し直した。
  • 「C」と「G」とは見間違いやすい。また、当院のTPN伝票の見方にも不慣れで、見落としてしまった。
  • チェックの仕組み、分かりづらい伝票の内容。ェックの仕組み、分かりづらい伝票の内容
トリパレン2号
40 持参薬(他の医療機関などで処方され入院時などに患者が持参する薬剤)を継続投与するために入院時に処方された薬剤(「グラケー」) は、本院における今回の治療のために処方した薬剤(「ワーファリン」)に対し、その作用を減弱させるため併用禁忌とされているが、約1週間併用して服用し ていた。
  • 医師の処方時の確認不足。
  • 薬剤科における併用禁忌薬剤のチェックシステムの不備。
ワーファリン・グラケー
41 胃瘻(いろう)造設予定の患者の内服薬確認がされておらず、術前日まで「ワーファリン」(抗凝固剤、手術の前には中止されることが多 い。)が処方され、患者は内服していた。医師は「ワーファリン」を中止する指示を出し忘れていた。看護師も薬剤をチェックし忘れ、「ワーファリン」に気づ かなかった。当日凝固系検査し、TT(トロンボテスト)は、胃瘻造設のための処置を行うことが可能な範囲内の値であったため、胃瘻を造設することができ た。
  • 胃瘻造設予定後に処置を行う病棟への転棟となるので、内服薬のチェックが漏れ易い。
ワーファリン
42 本来「アルマール(5m g)」(β遮断薬、本態性高血圧症等を適応とする薬剤)を処方するはずが、処方箋に「アマリール(5m  g)」(経口血糖降下薬、インスリン非依存型糖尿病を適応とする薬剤)と記載されていた。薬局ではそのまま処方した。アマリールは「1錠が1mg」である ことを認識していながら、「5mg」と書かれていることの不自然さや間違いに気付かず、記載ミスを発見できなかった。患者が従来通院していた病院を受診 し、持参薬を薬剤師に見せたことから、当院に確認の連絡が入り、処方の誤りが発覚した
  • 「アマリール」と「アルマール」という類似名称の薬品を採用しているという認識が無かった。
  • 全国で「アマリール」と「アルマール」の取り違え事故があることは薬局では承知しており、括弧書きされた錠剤の含量については注意を払っていたつもりであ るが見逃した。
  • 薬剤師の欠員により監査業務に慎重さが欠如していた。
アマリール
43 「オイグルコン内服 朝、夕」(経口血糖降下薬)の処方であったが、実際に調剤されていたのは「アマリール」(経口血糖降下薬)であ ることが判明した。数日間内服したが患者への直接の影響はなかった。血糖コントロール不良のため注射に変更になった。
  • 薬剤部での監査不十分。看護師の整理の段階において、オーダー状況にある記載内容と現物の確認ができていない。
アマリール
44 8時にIVHルート(中心静脈ルート)から「セファメジン」投与の指示があった。本来リーダーが投与するのであるが、8時より申し送 りがあるため、リーダーから投与を依頼された。IVHダブルルーメンにY字ルートがつながりルートが4股(投与口が4つある)と複雑な点滴ルートになって いた。ルート確認の際、「ソリタT1」が投与されているルートが単独である(「ソリタT1」のみが投与されている)と思い込み、「ソリタT1」のボトルの 中身をよく確認しないまま側管より静注を行った。途中でボトルの中身を確認したところ「FOY」(蛋白分解酵素阻害薬)が混ぜてあり、このルートは「ソリ タT1」単独ではなく「FOY」を投与しているルートであったことに気づいた。その後、「FOY」ルートの閉塞アラームが鳴り、ルート内で薬剤が結晶化し て詰まっていることに気づいた。ルート交換後も閉塞が改善せず、IVH(中心静脈に挿入するカテーテル)の入れ替えとなった。
  • 業務手順・ルール、チェックの仕組みの問題点。 
  • 業務、労働体制上の問題点。
注射用エフオーワイ
45 透析患者の注射箋を書く時、「エスポー注」(エリスロポイエチン製剤)を「エポジン注」(エリスロポイエチン製剤)と記載した。
  • 忙しかった。
  • 「エポジン注」でも「エスポー注」でも一緒という安易な考えがあった。
エポジン
46 注射箋調剤時、「エポジン注12000シリンジ1筒」(エリスロポイエチン製剤)を出すところを、誤って「エスポー12000」(エ リスロポイエチン製剤)を出してしまい気付かなかった。病棟看護師より「エポジン12000を使用したいがエスポーが出ており、これでよいか」と連絡があ り、すぐ「エスポー」を「エポジン」に交換。
  • 「エスポー」と「エポジン」は名前の感じが似ており、取り違えやすいので、自分でも気をつけていたが、「エポジン」と思いながら「エスポー」を出してし まった。                 
  • 丁度、学生実習と管理者が休みのための人員交代で、薬剤部に人が多く混雑しており、通常一呼吸置いて確認できるところも、なかなかできないような状態で あった。
エスポー
12000IU
47 「ナボバン」(5-HT3受容体拮抗型制吐薬)の処方で「ボナロン」(骨粗鬆症・骨代謝改善薬)を出してしまった。病棟で看護師が気 付いて発見。患者に投与されることはなかった。
  • 薬剤監査のミス。
  • 金曜日の午後5時頃、監査に当たっての集中力の低下が背景にあると思われる。
  • 処方箋確認をきちんとしていなかった。
  • 思い込みで調剤してしまった。
ボナロン
48 動注・静注化学療法を行うにあたり、本来一目のみの投与の予定であったが、通常の投与法(連日5日間、3剤併用)で実施してしまっ た。そのため、投与されるはずではなかった5-FUが約半日投与されてしまった。第2日目に誤投与に気付き、即座に中止した。その後、血液検査等で患者の 経過を観察した。
  • 治療法が明確にされていなかった。その原因として、確認不足、医師同士(上司)のコミュニケーション不足、カルテ記載不足が考えられる。
5-FU
49 5/30の深夜帯で朝食後の「ティーエスワン」2錠のところ誤って1錠を患者に配薬した。その翌日の準夜帯で、朝食後に2錠内服の 「ティーエスワン」が1錠しか内服されていなかったと指摘を受け気がついた。
  • 1日の分量の確認が不十分であった。流れで配薬をしている部分があった。
  • 声出し確認・指差し確認を行っていなかった。
ティーエスワン(規格不明)1Cap
50 抗がん剤治療施行時に「タキソテール90mg」を投与する予定の患者に指示を出す際に、カルテには「タキソテール90mg」と指示を 書いたが、注射処方箋に誤って「タキソール90mg」と書いてしまった。調剤する時に薬剤師が誤りに気付いたため訂正することができた。
  • 「タキソール」と「タキソテール」は名称が類似している。
  • 注射処方箋を書いた後で確認しなかった。
タキソテール
51 「タキソール」と「タキソテール」の指示を誤ったが、あらかじめプロトコールが薬局に届けてあったので、薬剤師が誤りを発見した。
  • うっかり間違い。
タキソテール
52 処方オーダーにて、「アリミデックス」(抗がん剤、適応:閉経後乳がん)のところを「カソデックス」(抗がん剤、適応:前立腺がん) を誤って袋に入れた。監査でも気付かず、そのまま病棟に搬送。病棟看護師が気付き薬局に連絡があり判明。
  • 思い込みによる、確認不十分。
カソデックス
53 卵巣がんに対して、「パクリタキセル」(抗がん剤)と「カルボプラチン」(抗がん剤)との併用投与を行っていた。患者は「パクリタキ セル」に対して以前パニック発作を示した事があり、今回は同時に側管より補液を行っていたところ、指示を受けた看護師が「パクリタキセル」の入った溶液を 専用のルートを使わず、側管用のラインで投与した。殆ど全量投与された段階で、投与した看護師がラインの違いを発見した。
  • 以前、抗癌剤投与に対する過敏なパニック症状があったため不安症状の発作を避ける対応として、「パクリタキセル」と同時に側管より補液を行うことで不安症 状を和らげる意図があった。・ しかし投与ルートが複数となり、投与した看護婦が間違う原因となった。
タキソール
54 抗がん剤(「ブリブラチン」)投与前の輸液の速度を1500ml/3時間30分で行うところ、500ml/3時間30分で行った。 「ブリプラチン」投与開始40分の時点で気付いた。そのことへの対応として、「ブリプラチン」の投与終了後、さらに2000ml/hrの輸液を行う予定が 3000ml/hrと増量するように指示が変更となった。
  • 指示受けが不十分であった。点滴は1本500mlであり、3本投与して1500ml投与する予定であったが、それらの点滴3本にそれぞれ「3時間30分で 滴下」と書いてあったため、1本(500ml)に「ブリプラチン」を溶解し投与してしまった。
ブリプラチン
55 化学療法(「タキソテール」点滴)を実施中1時間経過後、点滴針の刺入部から20cmほどにわたり腫脹を認め、この腫脹は血管内から 「タキソール」が皮下組織に漏れたために生じた状態と考えられた。そこで直ちに抜針を行い、化学療法を中止した。主治医に報告し、皮膚科の医師の診察を受 けた。腫脹部を冷却し、ステロイドの外用薬を塗布したところ、腫脹はそれ以上悪化することはなく軽減した。
  • 化学療法実施中に点滴が漏れたが、観察が不十分であり気づかなかった。
タキソテール
56 病棟看護師より申し送りの際、術中投与として「フルマリン1V(静脈注射)」と「生理食塩水100ml」とを渡された。指示伝票は声 を掛けて渡されたが、お互いに内容の確認はしなかった。術中、伝票を確認しないまま「フルマリン1V+生食100ml」を投与開始した。サインするために 伝票を見ると、「フルマリン2V+生食100ml」であったことに気づいた。直ぐに医師へ報告し、「フルマリン1Vを生食15ml」に溶解し、メインの点 滴内に混注し不足分を追加投与した。
  • 情報の伝達・連携と情報共有のあり方の問題点。
  • 業務手順・ルール、チェックの仕組みの問題点。
フルマリン
57 救急外来の常置薬である「ホスミシンバック2g」の採用中止に伴う交換の際、「ホスミシン2gバイアル」に交換しなければならないと ころ、「ホスミシン500mgバイアル」を渡してしまった。その後看護師が気付き、交換した。
  • ホスミシンバックの在庫をどこかに使用してもらう事を考えていて間違えた。
ホスミシンS 0.5g静注用
58 ペニシリンアレルギーの既往あり、との情報が入院時に得られており、コンピューターに禁忌薬剤として入力してあったが、耳鼻科への紹 介状に「ペニシリンアレルギーあり」とのコメントを書き忘れた為、耳鼻科で口唇生検後の抗生剤としてペニシリン系の抗生物質である「ビクシリン」が処方さ れた。
  • 禁忌薬剤についての記載が、紹介状に記入漏れであった。
  • 投薬のチェック体制の不足。
  • コンピューターのシステムの不備。
ビクシリン
59 手術前の患者に、10:00看護師Aが術前投与指示の「セファメジンアルファキット2g」を側管で点滴静注開始。3分後くしゃみ、嘔 気が出現したため、「セファメジン」のラインをクランプ(点滴を止めること)しリーダー看護師と医師Aに報告。「セファメジン」を中止し、生理食塩液のみ 滴下。経過観察後、医師Bが診察し症状が改善した為14:50手術室入室。中止した「セファメジン」は接続したままだったが、医師に報告してあった為、手 術室の看護師には、患者は「セファメジン」にアレルギーがあるとの申し送りはしなかった。手術開始時、患者が掻痒感訴え、体位の保持困難となったため、手 術を中断しドレープを外した所、前胸部に薬疹の出現を発見。中止してあった「セファメジン」を手術室看護師Bが再度滴下した為の症状と分かり手術を中止。 Bp(血圧)160/78mmHg、 P(脈拍)78、 SpO2(経皮的酸素飽和度) 98%であった。酸素投与、ソルコーテフ100mg投与し、リカバールームで強力ミノファーゲンC、プリンペランを投与し、17:15分帰棟。再手術は経 過を見ながら決定する予定。
  • 「セファメジン」のラインはクランプしたので、その後投与されることはないと思い、ラインは取り外さなかった事。
  • 看護師間の連絡不備(手術室看護師へセファメジンアレルギーについて申し送りをしなかった)により「セファメジン」が投与された事。             
  • アレルギーが重要な所見とは認識していたが、申し送りしなければならないという認識はなかった。
セファメジンα
60 「セフメタゾン」((抗菌薬))のところ、「セファメジン」((抗菌薬))を調剤。監査も通過して払い出され、病棟で発見された。
  • 名称が類似している。
セファメジンα
61 内服薬の単位を間違えて患者に渡した(「クラリシッド200mg」のところを「クラリシッド50mg」を渡した)。薬剤師と確認し薬 剤を交換。
  • 院内に「クラリシッド」の規格が2種類(「50mg」と「200mg」)あることを知らなかった。
  • 処方箋の指示にmgの単位がない。
クラリシッド50m小児用
62 「クラリシッド」(抗菌薬)を調剤しなければならないところを「クラビット」(抗菌薬)を調剤した。
  • 確認不足。
クラビット
63 「オキシコンチン」(麻薬)を定期的(8時、20時)に内服している患者に配薬するのを忘れた。同時間帯勤務の看護師が麻薬を保管し ている金庫の確認の際に、8時用の「オキシコンチン」が残っていることに気付き、指摘を受けたことで配薬していないことに気付いた。
  • 「オキシコンチン」についての理解の不足(投与の基本、使用目的、患者への適用など)。
  • 患者自身も「オキシコンチン」の内服時間が曖昧で、頓用の「ロキソニン」(非ステロイド性抗炎症薬)によって疼痛がおさまっていたため「オキシコンチン」 は飲まなくて良いものだと思っていたため気付くのが遅れてしまった。
オキシコンチン
64 22時に病室を訪室すると、オーバーテーブルに「MSコンチン1錠」(麻薬)があった。患者に確認すると、「今日の昼間、飲んでな い。」とのこと。医師に報告した。「痛みの増強がなければ、そのままでいい。22時の与薬は指示通り、与薬していい。」との指示があった。患者に確認する と、痛みの増強はなかった。その後、当直師長に報告した。
  • 内服の確認不足である。
MSコンチン
65 「塩酸モルヒネ」10mg2Aを生食48mlに混入して投与するところ、生食98mlに混入して準備、実施した。時間の経過に比べ残 量が合わなかったことから、誤って調剤した事に気付き、医師の指示で正しく準備し直し再度施行した。
  • 思い込み。通常は生食100mlのボトルから塩酸モルヒネの量をひいた量で指示が出るため、そのように調剤してしまった。
  • 注射箋を見て今回は通常の調剤方法とは異なる指示を見ていながらも、確認していない。
  • 疼痛コントロールの目的で、臨時で指示が出された為、ダブルチェックをしていない。
  • 疼痛時の使用基準は統一されていない。
塩酸モルヒネ
66 「塩酸モルヒネ」を持続点滴していた患者が病状の悪化のため死亡した。死後患者に投与している薬剤を廃棄した後で、破棄した薬剤の中 に、破棄量等の管理を厳重に管理しなければならない「塩酸モルヒネ」が入っていたことに気がついた。
  • 業務手順確認。
塩酸モルヒネ
67 17:45の訪室時、患者が「デュロテップパッチ」の17.5mg分を手にぶらぶらさせながら振り回していた。日勤帯の看護師から、 当該患者については、身体に貼付中のテープを剥がそうとする行為があるとの情報提供があったため、新しい「デュロテップパッチ」を背部へ貼り、サージット で補強・保護した。その後、剥がす行動はなく経過観察とした。「デュロテップパッチ」を剥がしていたため、麻薬の効果が不足することが懸念されたが、痛 み、息苦しさ等の出現はなく経過した。
  • 情報の伝達・連携と情報共有のあり方の問題点。
デュロテップパッチ
68 3日前に「デュロテップパッチ」を貼付した患者が死亡。死後の処置をし、お見送りした後で麻薬の確認をしていた時にパッチがないこと に気付いた。死後の処置中には体表に貼付は確認されなかった。体外に剥がれ落ちたことを考え、シーツ、ゴミ、ベッド周囲を確認するが見つからなかった。患 者家族に連絡して確認したが、結局発見できなかった。
  • 「デュロテップパッチ」を貼付した後、各勤務帯で貼付されていること確認をしていなかった。
  • 死後の処置の際に「デュロテップパッチ」を貼付していることを失念していた。
デュロテップパッチ
69 「デュロテップパッチ」交換のために貼付部位(胸部は患者が希望せず下肢に貼っていた)を確認すると前回貼付した分が見あたらなかっ た。
  • 貼用部位が観察しにくい。
  • 排泄時の着脱時、剥がれる可能性が高いので下肢に貼っている。
デュロテップパッチ
70 16:00より「デュロテップパッチ」(2.5mg)開始となる。患者は翌日9:30から外泊の予定だった。そのため、開始時に患者 本人へ外泊中の「デュロテップパッチ」使用時の効果・持続時間、使用中の注意事項、剥がれたときの対応、病院の連絡先、連絡方法について説明した。翌々日 20:00の帰院時に外泊中の疼痛状態、食事摂取状況等を患者本人また妻より情報収集したが、その時点で「デュロテップパッチ」が貼付されているかどうか を確認しなかった。帰院翌日、「デュロテップパッチ」交換の際に、貼付されていないことに担当看護師が気付いた。本人に確認すると、外泊中の入浴の際に剥 がれたために除去し、自宅で廃棄したことが分かった。
  • 「デュロテップパッチ」についての説明が不足していたため、剥がれたときや破れたときになどの対処を患者・家族が知らなかった。
  • また、帰院時に「デュロテップパッチ」貼付を確認していなかった。
デュロテップパッチ
71 「デュロテップパッチ」が剥がれかけていたため交換した。背部を清拭して新しいものを背部に貼ったが、胸部に貼っていた古い分を剥が し忘れた(胸部は患者自身で拭いてもらったので気づかなかった)
  • パッチが剥がれないようなテープの固定方法を考えながら清拭していたため、集中力に欠けていた。 
デュロテップパッチ
72 「デュロテップパッチ」を貼付して疼痛緩和を図っていたが、交換日に交換するのを忘れた。そのため麻薬の効果が減弱し、看護師から指 摘を受け、鎮痛剤(坐薬)を投与し疼痛を緩和させた。
  • 患者治療計画の把握不足。
デュロテップパッチ
73 肺癌で死亡した患者の「デュロテップパッチ」が行方不明になった。死亡する3日前に右胸に貼布したが、死後処置時には「デュロテップ パッチ」は見あたらなかった。麻薬の残数確認の際に、「デュロテップパッチ」を外したシートが不明になっていることに気付いた。貼付した「デュロテップ パッチ」の確認を病棟スタッフに行ったが、外したことの確認はできなかった。
  • 患者が死亡し、死後の処置を行う前に、「デュロテップパッチ」の取り外しの確認ができていなかった。
  • 「デュロテップパッチ」の取り外しについて周知されていなかった。
デュロテップパッチ
74 「デュロテップパッチ(2.5mg)5枚」(麻薬)の処方であったが、受け渡し時に間違えて「デュロテップパッチ(5mg)5枚」を 払い出してしまった。後日、病棟で看護師が間違いに気づいたため2.5mg5枚と交換した。
  • 急いでいて確認を怠った。
  • また、払い出し枚数が5枚であったため混乱した。
デュロテップパッチ5mg
75 デュロテップパッチ(麻薬)を張り替える直前(10:00)に「デュロテップパッチを2.5mgから5mgに増量」という指示が出 た。その時処方されていたのは、前日に処方の入力がなされていたデュロテップパッチ2.5mg1枚と5mg1枚であった。「5mgへ増量」の指示を「さら に5mgを増量」と勘違いし2.5mg+5mg=7.5mg貼付してしまった。15時に医師に確認したところ間違いに気づき2.5mgのパッチを剥がし た。
  • 指示の確認不足。増量が急であり不自然ではないかと思ったが、患者がかなり痛がっていたので、「さらに7.5mg」が正しい指示なのではないかと思い込み 確認しなかった。
デュロテップパッチ2.5mg
デュロテップパッチ5mg
76 「デュロテップパッチ」を交換するはずだったが、交換し忘れた。
  • 「デュロテップパッチ」が剥がれてないか、日付の確認がおろそかになっていた。
  • 交換スケジュールが入ってなく見落とした。
デュロテップパッチ
77 「デュロテップパッチ」(麻薬)を8時に交換する予定であったが、貼用の確認のみで交換を忘れた。
  • 業務手順・ルール、チェックの仕組みの問題点。
デュロテップパッチ
78 乳がん化学療法5クール目の患者。13時より化学療法を開始した。ミキシング(化学療法の薬を調剤すること)は主治医と共に実施し、 伝票記載通りに投与するよう指示を受けた。伝票記載順に時間の調整を行いながら投与し、17時に終了し主治医へ報告した。その際、主治医より抗がん剤を3 種類同時に施行したか確認を受け、伝票を確認したところ、2本目からは3本同時に滴下する指示であったことに気づいたが実際はそのように施行していなかっ た。
  • 業務手順・ルール、チェックの仕組みの問題点。
  • 情報の伝達・連携と情報共有のあり方の問題点。
不明
79 夕食時患者が自らのコップにオーバーテーブル上に設置してあった消毒液(ゴージョーMHS:保湿剤入りゲル状殺菌・消毒剤)を入れて 飲んだ。(患者は、コップ2杯飲んだ、と言う。)
  • 通常、各ベッドに消毒液を設置していた。
  • 消毒液について説明を行っていなかった。
ゴージョーMHS