独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成20年度 第3回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医療機器関連事例) 別添4

本文別添1別添2別添3|別添4

 

情報不足等のため、製造販売業者等による対策が困難と考えられた事例  (ヒヤリ・ハット)

      具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果








1 第11回 カリオペα(人工呼吸器)装着中の児。加湿器チャンバーの向きを変えるため、看護師2人で回路の接続を一瞬外した。その際、インピーダンスバルブ(吸気ガスの流れを制御する回路)の位置を、本来は加湿器モジュールOUTに接続するものを、吸気出口と加湿器モジュール(IN)の間に接続してしまった。翌日巡回時に、深夜看護師が接続間違いに気付いた。児はIMV(間欠的強制換気)モードであったため機器は正常に作動し、一般状態にも影響なかった。 巡回時、回路の接続異常についての確認が十分行えていなかった。インピーダンスバルブが加湿器モジュールIN、OUTどちら側にも接続することができるようになっていた。IMVモードでは、インピーダンスバルブは作動しないので機器は正常に動いており、アラームなどで異常を知らせることがなかった。回路の組み立ての際、加湿器モジュールの給水口が手前に来ていなかった。
  • 巡回時や回路に触ったときは、機器の作動や回路の接続に異常がないか確認する。
  • 加湿器モジュールの給水口は、給水しやすいように手前にセットする。
本事例はIMVモードで使用されており、インピータンスバルブは加温加湿チャンバーのIN側・OUT側のいずれに接続されても問題ない。しかし、呼吸状態によりHFOモードに切り替えることもあり、常に正しい接続がなされている必要があるが、記述内容からは問題の所在が不明である。
2 第11回 経鼻的陽圧呼吸法(N-DPAP) を組み立てる際、加湿器からでている回路が2 本あり、体側へ接続しなければいけないところを患者側へ、患者側に接続する回路を本体接続した。 本来、人工呼吸器は作成時、装着時、各勤務開始時、アラーム作動時、条件変更時にチェックシートに沿って、回路図をみながら一つ一つの回路を順番に確認しなければならないところを、作成時に自分の記憶だけで確認をした。いつも作成しているものであり今までは付け間違いが無かったため、チェックシートを用いなくても大丈夫だろうとの甘えがあった。準夜看護師はチェックリスト通りに確認していたが、回路図を確認しなかった。また、どちらにも接続できる器械の問題もあった。
  • 回路確認は記憶ではなく、基本どおりに必ずチェックシートと回路図を用いて一つ一つの回路を確認する。
  • 今回の事例を全員と共有し回路図を用いての確認を周知徹底する。
  • 2 種類の回路が接続できるようコネクターを使用することを中止するため回路の改良をME(臨床工学技士)を通じて業者に要望した。
使用されていた加温加湿器が現在主流のパスオーバー型であれば、加温加湿器の本体側・患者側の回路が入れ替わっても問題ない。また本件について、製造販売業者も改良等の要望を把握していないとのことである。
3 第11回 麻酔器使用中、手動換気から人工呼吸換気に切り替えた際、人工呼吸器の圧力センサーの故障によりアラームを発生し人工呼吸器が作動しなかった(医師が気付いたため手動に戻し換気は行われていた)。 状況確認後、麻酔器の交換を行った。麻酔科、看護係長への報告を行った。
  • 麻酔器メーカーに故障の原因の究明を依頼。
  • アラーム音量をあげる。
  • アラームが発生した場合、患者の状況を確認するように再度依頼
圧力センサーの故障とのことであるが、製造販売業者や製品が特定できず、詳細が不明である。
4 第12回 申し送りで呼吸器の設定を25%と送られ、その情報だけを頼り呼吸器再着後の呼吸器設定をした際に、酸素23%を25%にして投与していたところ、次の勤務帯の人に指摘を受け、設定の間違いに気付いた。 申し送りだけの情報に頼ってしまった。
  • 申し送りだけの情報に頼らず、患者の前後の経過から、呼吸器の設定を理解、把握する。
製品が特定できず、また設定内容等の詳細も不明である。
5 第12回 未熟児の手術準備の際、麻酔器(エスティバ5)の呼吸回路用モジュールを小児用に交換した。交換したモジュールのパーツの一部が浮いていたことに気付かずに取付けてしまった。これにより呼吸回路内にリークが発生。医師が麻酔器の警報に気付き、パーツが浮いていることを発見した。 モジュールのパーツが容易に外れる。また、外れていても非常に気付きにくい構造である。
  • 発生要因を踏まえ、外観を点検をしてから取付を行う。
  • メーカーに当インシデントを報告し、改善を求める。
製造元はモジュールに異常はなく、不完全な取付け方によるユーザーエラーであるとの見解を示している。一方、医療機関は慎重に取付けたにも関わらず同様事象が再発しており、ラッチ(パーツを固定するつめ)の強度の個体差が原因と述べている。現在、製造元においてラッチの強度に関する規格や経年劣化の予測値、また当該製品が規格内であったか等について調査中である。現時点では製品の不具合か、ユーザーエラーか判断するだけの詳細な情報が不足している。
6 第12回 ナースステーションのモニターのSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)の値が80代となった為訪室した。吸入したばかりだった為、痰がたまっていると思い吸引したが、ほとんど引けずSpO284%まで低下した。人工呼吸器(KV5)が作動していない事に気付きアンビューにて補助呼吸を実施しようとすると、少しずつレスピレーターが動き出した。 最初に訪室した時人工呼吸器のアラームは鳴っていなかった。21時頃は正常に人工呼吸器は作動していた。気道内圧のチューブや回路に水滴はあまりなかった(気道内圧チューブは水滴はなかった)。フィルターは本日交換したばかりだった。
  • 人工呼吸器の交換。
  • 人工呼吸器の点検を業者に依頼する。
  • 回路の異常のチェック。
人工呼吸器の故障の可能性もあるが、製造販売業者及び修理業者に確認したが、本事例に関する報告を医療機関より受けておらず、詳細が不明である。
7 第13回 バイパップビジョンで呼吸管理していた。フェイスマスクを交換し、約2時間後にシンクロニーに機種変更したが、フェイスマスクはそのまま使用した。10 分後SpO2が80 台に低下したため医師が診察した際、フェイスマスクの呼気弁が作動しておらず、フェイスマスクが違っているのに気付いた。 フェイスマスクに旧式、新式の2タイプあり古いマスクのジョイントに新しいマスクのコネクターがついていた。組み立てや交換の時に気付かなかった。患者がマスクを時々外して分解してしまう事があったので部品が混ざっていた。
  • 旧式のマスクをなくした。
  • 回路、物品の勉強会をした。
ビジョンとシンクロニーでは同じフェイスマスクが使用できる。しかし、マスクによりエクスハレーションポート(呼気排出のための穴が空いたコネクタ)が必要なものがあり、これが使用されなければ炭酸ガスの再呼吸や呼気の呼出不能が起こり、呼吸状態の悪化を招く危険性もある。しかしながら、報告中に旧式・新式と記されたマスクの詳細が不明である。
8 第13回 3歳の患者のベッド柵に結びつけてあった人工呼吸器(レジェンドエアー)のジャバラを水抜きしようと紐を解いた瞬間、ウォータートラップ2個の重みで在宅用の回路がベッド柵の間からずり落ちた。とっさにジャバラを引っ張ってしまい、その瞬間ジャバラが破損した。 レジェンドエアーを扱うのは初めてで、慣れてなかった。緊張していた。ジャバラの素材が薄くもろい。
  • レジェンドエアーの回路はもろいことを念頭において扱う。
  • 慌てず、慎重に行動する。
レジェンドエアーの標準呼吸回路にはウォータトラップが2個の仕様はなく、当該施設で使用していた呼吸回路の製品名が不明である。また、標準呼吸回路にはいくつかの種類があり、いずれもディスポーザブルタイプであるが、「薄くもろい」との印象は受けない。
9 第13回 3歳の患者の母親が人工呼吸器の回路の水を排除するために、振ったところ人工呼吸器からモジュールに接続している側のウォータートラップの上のところの在宅用回路が切れた。 回路が脆弱であること、回路内のウォータートラップの水抜きが十分でなかったため、重さが増した(回路に対してウォータートラップが重い)。
  • 水抜きをこまめに行う。
  • 人工呼吸器回路の検討。
人工呼吸器や呼吸回路の製品名が特定できず、詳細が不明である。
10 第13回 人工呼吸器装着中患者の病室から空気の漏れる音がしたため、点検すると呼気弁のコントロール用チューブと人工呼吸器本体の接続部が脱落していた。MEが回路交換した直後であった。アラームは鳴らなかった。SpO2は92%まで低下し、チアノーゼ出現もみられたが、接続後回復した。 MEが回路交換をした直後だったため、MEへ連絡した。回路交換リセットの後の確認不足の可能性がある。ロック式ではない接続箇所だった。アラームの設定域値内のため、アラームも鳴らなかったと思われる。
  • 点検してもらったMEと病棟看護師とのダブルチェック。
  • 他職種間の連携の強化。
  • ME側の対策として、実施者以外のMEが、事後に再チェックする事を決めた。
  • 毎回の巡回チェックで接続部のゆるみを点検している。
人工呼吸器や呼吸回路の種類が特定できない。また、アラームは設定域値内であったために鳴らなかったとのことであるが、アラームの種類やどのような設定値であったか等の詳細が不明である。
11 第13回 NO療法(一酸化窒素を用いた肺血管拡張療法)中、換気条件をIMV(定常流10L)からHFO + Sig h(定常流8L)に変更したところ、NO測定値が急激に下がった。最終的に本体および回路を含めた一式を交換し、正常にもどった。 測定器の不良を疑い測定器交換し、NO流量計の交換を行ったが原因不明。呼吸回路一部の故障であったが、発生した部位は通常の点検では発見できない故障であった。
  • 故障した部位の単独での点検を検討して、項目を加えることにより貸出時の故障を未然に防ぐと共に、使用中のNO濃度の急激な変化に注意していく。
  • 故障原因を発見するのは、困難かつ高度な技術が必要であった為、メーカへのフィードバックと共に、メーカと対策を講じていく。
  • また、メーカとしても製品の改良を含めた安全性の向上を検討してもらうよう要請する。
人工呼吸器やNO供給装置の機種等が特定できず、詳細が不明である。








12 第11回 メイン点滴の輸液ポンプ(テルモ)のコンセントを抜いてベッドの位置を移動したが、終了後コンセントの差し込みを忘れた。1時間半後訪室した際、輸液ポンプの電源が切れ、1時間半メインの点滴が止まっていたことに気付いた。輸液ポンプは充電できない機種であった。他に側管から薬液が注入されていたため、点滴ルートの閉塞は無かった。 ベッド移動後コンセントの確認をしていない。ベッド移動後、輸液ポンプの作動状態を確認していない。「充電不可」と表示されていたが、後面に小さく表示してあり、目立たなかった。ポンプには、機器毎に使用中に電源等をチェックするための点検表を下げているが、活用されず、外されていた。
  • 輸液ポンプ使用中の点検表の活用方法を見直し、周知する。
  • 充電不可のポンプには、表示方法を取り決め、前面に見やすいように表示することにした。
  • 充電不可のポンプはできるだけ使用しない。もし使用する場合は、移動しない患者に使用する。
当該品は充電機能の無い機種であったか、内部バッテリーの消耗による充電不能状態であったか、詳細が不明である。なお、テルモ社製輸液ポンプで、充電機能を有さない機種は1976年頃の製造である。
13 第11回 患児に投与されているドルミカムが日勤帯で1mL/h から0.5mL/hに減量となり0.5mL/h に設定した。昼にドルミカム作成後より24時間たっていることに気付きドルミカムを作り直し設定した。その後も時間と指示量を確認していた。日勤の終わりでドルミカムが設定量より1mL ほど遅れていたが、それほど気にかけていなかった。準夜帯で予定量より3mL 遅れていたためシリンジポンプを変えてみたが同様に遅れて動いていた。深夜帯に入り20mL のシリンジから10mLのシリンジに変えてみた。その後やや遅れはあるが設定どおりに動いていた。 シリンジポンプを過信していた。1時間毎に積載量での確認を行わず、シリンジでの量の確認を行わなかった。投与量にあったシリンジを使用していなかった。どのサイズのシリンジを使えはよいか判断ができなかった。
  • シリンジポンプを過信しない。
  • 投与速度にあわせたシリンジの選択基準を作成する。
  • シリンジポンプ・輸液ポンプに関する勉強会を行う。
シリンジポンプに適合したメーカー及びサイズのシリンジを使用していればサイズの違いによる流量誤差はないと思われるが、詳細が不明である。
14 第11回 患者を内視鏡室へ移送中に点滴棒についていた輸液ポンプ(テルモ輸液ポンプ STC-508)が本体と留め具部分が割れて、本体が落下した。落下したポンプは患者には当たらず、外傷はなかった。近くにいたME(臨床工学技士)に依頼して、別の輸液ポンプに交換してもらい、輸液は継続した。 段差のある所で輸液ポンプに振動を与えてしまった。
  • 輸液ポンプに破損部分がないか常に確認。
  • 患者の移送時・移動時は輸液ポンプに過度に振動が加わらないように考慮する。
留め具の金属疲労等による破損と考えられるが、破損状況や使用期間等の詳細が不明である。
15 第12回 前月から右鎖骨下にダブルルーメンカテーテル挿入し、高カロリー輸液を施行中であった。朝、点滴の点検と流量の確認を行っている際に接続下部に気泡を発見した。ポンプの中を確認したところ、内部にも気泡があったが、アラームが作動しなかった。 機器の作動不全。定期点検を行っていない。長期間点検せず使用を続けた
  • 長期使用のポンプは点検に出す。
  • ME(臨床工学技士)が定期的に点検できるシステムをつくる。
製品名やアラームが作動しなかった原因等の詳細が不明である。







16 第11回 胸水貯留にて胸腔ドレナージ目的で胸腔ドレーンを挿入し、前日にピシバニールを注入、その後-10cmH2O で吸引していた。ドレーンバッグ交換時に蒸留水を入れずにエアシールで接続した。他のスタッフに確認後、すぐにウォーターシールに繋ぎ変えた。 通常胸腔ドレーン挿入時、ドレーンバッグの交換の際はウォーターシールで接続しているが、今回の場合計画の欄に「挿入時水なしで接続」と記載があり、その後の勤務もエアシールと思い込んでしまった。エアシールの記載の際は一気に胸水の流出があり、蒸留水を入れなくともすぐにシールの状態が作られていたためそのような記載があったことが判明した。
  • 疑問に感じた時や、いつもと違う場合は他のスタッフや医師に確認を行う。
記載内容の『エアシール』の意味や、実際の接続方法等の詳細が不明である。

情報不足等のため、製造販売業者等による対策が困難と考えられた事例  (事故)

      分類 発生場所 事故の程度 事故の経緯 調査結果








1 第11回 電源 救命救急
センター
障害の可能性
(低い)
救命病棟へ入院後、血管造影室へ移動のため移動用の簡易呼吸器(パラ・パック)につなぎ替えた。血管造影室到着後、簡易呼吸器が作動してない事が分かり血管造影室のパイピングへ切り替え呼吸器を作動した。 酸素ボンベ内の酸素がなくなったために当該装置は作動しなかったものと考えられるが、製造販売業者に対して医療機関からの報告はなく詳細が不明である。
2 第11回 電源 ICU 死亡 家族との最後のお別れの場面で、アコーディオンカーテンを閉じてプライバシーを守っていた。内臓バッテリーで作動していた人工呼吸器(ニューポートベンチレーターモデルe500 ウェーブ)が低バッテリーとなったが、アラーム音に気付かなかった。 アラーム音の設定レベル、病室やスタッフの配置等の情報が不明である。
3 第11回 その他 病室 障害の可能性
(なし)
BiPAP(BiPAPビジョン)により酸素投与していたが、患者が嫌がったたため一時的にBiPAPのマスクを外し、リザーバーマスクにて酸素投与していた。SpO2が低下し、担当看護師は再度BiPAPのマスクを装着したが改善せず挿管した。 NPPV施行時、患者がマスクの装着を受容できない場合には、一時的に酸素マスク等に切り替え酸素投与を行うことは一般的な手法である。また、NPPVで換気状態が安定しない場合は、気管挿管を行うものであり、本事例には特段の問題がないと考えられるが、患者状況などの情報が不明である。