独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成21年度 第1回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医薬品関連事例) 別添2

本文別添1|別添2|別添3別添4

 

製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(事故事例「薬剤」)

    事故の程度 発生段階 事例概要 調査結果
1 第14回 障害なし 準備段階 中央手術室でポピヨドン液を用いて綿球により術野の消毒を行った際、消毒部位にポピヨドン液の泡立ちと綿球の崩れによる糸くずの皮膚への付着が発生し、同時刻に行われていた隣の手術室の消毒操作においても同様の傾向が見られたため、消毒液をイソジン液に戻した。中央手術室内での調査により、使用されたポピヨドン液は界面活性剤を含む「ポピヨドンスクラブ」を誤って使用していたことが判明した。今回、後発薬品への切り替えに際し、現場への周知方法に問題があり、ポピヨドン液の名称認知が不徹底であった。また、ポピヨドン液とポピヨドンスクラブのデザインが類似していた。 現在、ポピヨドンスクラブの製造販売業者は当該製品の表示・包装の変更を検討中。
2 第16回 死亡 指示段階 診察後、当直医Aは電子カルテに「サクシゾン」を入力するため、検索に「サクシ」と入力し、表示された「サクシン」を「サクシゾン」と勘違いし、「サクシン200mg 2A+生食100mL」を指示した。看護師Bが薬剤部にサクシンを取りに行き、看護師Cと2人で確認をし、看護師Cが患者に投与した。1時間後、看護師Dが訪室した時は患者の体動がみられたが、その約1時間後、看護師Dが訪室すると患者の呼吸が停止していた。当直医Aは投与した薬剤を確認したところ、入力を間違え「サクシン」を指示したことに気付いた。当院では、「サクシゾン」の採用を中止していたが、「サクシン」は手術時のみ使用していた。 サクシンとサクシゾンの名称類似性については、平成20年12月4日付医政発第1204001号・薬食発第1204001号連名通知「医薬品の販売名の類似性等による医療事故防止対策の強化・徹底について(注意喚起)」及び当該製造販売業者により注意喚起しているところ。
なお、サクシンについては、平成21年7月2日付でスキサメトニウム注20「AS」、スキサメトニウム注40「AS」、スキサメトニウム注100「AS」と名称変更が承認されたところ。
 

製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(ヒヤリ・ハット事例「薬剤」)

    具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果
1 第15回 患者に対しTS-1+CDDP療法を行っており、CDDPの第2 病日であった。担当看護師は輸液残量と指示速度と終了予定時刻を申し送り昼休憩に入った。申し送りを受けた看護師は他の患者を検査室に移送中で不在であった。患者を移送中にナースコールがあり、輸液完了のため伝票を確認し、輸液を交換した。予定より早く輸液ポンプの完了アラームが鳴り、輸液ポンプの流量と予定量を逆に設定してしまっていた。患者は著変なく、当番医に報告し経過観察の指示を得た。 輸液ポンプの流量と予定量を設定した時に、確認が不十分であった。昼休憩中で看護師の人数が少ない時間に入院受け入れ、ベッド掃除、検査移送が重なってしまい気持ちにゆとりがなかった。
  • 輸液ポンプの設定後も、5Rを指さし、声出しで最終確認を実施する。
  • 申し送りを受けた看護師は、依頼されたことが実施できない場合、他のスタッフに申し送る。
  • 昼休憩中の処置を考慮して、休憩する看護師の人数を配慮する。
当該事象の使用機種が不明であるが、平成15年3月18日付医薬発第0318001号通知「輸液ポンプ等に関する医療事故防止対策について」より、輸液ポンプは入力間違いを容易に発見できるよう「流量及び予定量の入力画面を独立表示とすること」及び「入力間違いを防止するために設定した予定量よりも流量が大きい場合には一時停止の機能を搭載すること」等の事故防止対策措置を講じているところ。
 

製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(ヒヤリ・ハット事例「禁忌薬」

    具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果
2 第14回 モダシンとバンコマイシンの指示があった。ダブルチェック後、モダシンを静脈注射し、その後バンコマイシンを点滴投与した。バンコマイシン終了後、ルートが白濁していることに気付いた。医師に報告し配合禁忌薬確認し、配合禁忌薬であることに気付いた。 指示が間違っていた。医師同士のダブルチェックが不徹底であった。看護師の指示受け時の確認が不足していた。実施時の確認時に配合禁忌薬の意識が低く発見できなかった。
  • 2剤を同時刻に投与する場合は、配合禁忌薬のチェックするよう徹底する。 
  • リーダーが指示受け時に指示を出した医師と配合禁忌の確認をし、その後サインをする。
  • これらをマニュアルに追加する。
現在、モダシンの製造販売業者は、配合変化に関する添付文書の使用上の注意の改訂を検討中。
3 第14回 アルコール禁忌の患者に対して卵巣癌の化学療法を実施していた。タキソテールを調整する際、アルコールを含まない溶解方法を選択すべきところ、タキソテールに添付されている溶解液(13%アルコール)を用いて混合した。点滴開始約5分後に容器に貼付したアルコールが含まれる旨の注意ラベルを見た患者本人から指摘があり投与を中断し、アルコールを含まないタキソテールを新たに調整し再投与した。 調整前にレジメン及び投薬履歴を参照し、処方鑑査を行う際に、当該患者の投薬履歴にもアルコール禁忌の記載があったが見落とし、調整時に使用する注射処方箋へのチェックが抜け落ちた。
  • 電子カルテ上の薬剤禁忌欄にアルコールFreeを入力し、調整後にもタキソテールが含まれる場合はチェックを行う
タキソテールの製造販売業者は、添付溶解液にエタノールが含有されることについて、添付文書等で注意喚起を行っているところ。またアルコール過敏症患者の場合の調製法についても情報提供を実施しているところ。
4 第16回 電子カルテでアルコールで皮膚に発赤が出ることを確認し、手術室内にハイポアルコールを置かず、室内や部屋の前に「アルコール禁」と書かれた札を掛けて手術室スタッフの認識の統一を行っていた。術中、タキソテールを投与する指示あり、病棟より手術室へ薬剤を運んだ。腹腔ポートよりタキソテールを2Vを溶解液で溶解し生食50mLに混入し注入した。タキソテール付属の溶解液にはエタノールが含まれていたが、溶解時には注射用水であると思い込み、また急ぐように指示されたため確認せず溶解した。タキソテール注入後血圧低下あり、皮膚発赤が見られた。血圧上昇、皮膚の発赤減退を確認し麻酔覚醒、帰室となった。 薬剤の注意事項を確認しなかった。薬剤の注意事項の表示が目立っていなかった。溶解液がアルコールではなく注射用水と思い込んでいた。
  • 抗がん剤の予備的知識を習得する。
  • アルコール過敏の患者におけるタキソテール調整法について学ぶ。
 

製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(ヒヤリ・ハット事例「輸血療法」)

    具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果
5 第16回 手術前日に患者の自己血を返血する際、指示量100mL/h、積算量を400mL/h とセットしたつもりが、指示量と積算量が逆になってしまい、400mL/h で投与した。 輸液ポンプにセットする際、注意が足りなかった。院内で輸液ポンプがメーカーは統一されているものの、機種の統一ができず、輸液ポンプにより流量画面と積算画面の設定の方法が異なっていた。
  • 機種の統一を図る。
当該事象の使用機種が不明であるが、平成15年3月18日付医薬発第0318001号通知「輸液ポンプ等に関する医療事故防止対策について」より、輸液ポンプは入力間違いを容易に発見できるよう「流量及び予定量の入力画面を独立表示とすること」及び「入力間違いを防止するために設定した予定量よりも流量が大きい場合には一時停止の機能を搭載すること」等の事故防止対策措置を講じているところ。
6 第16回 輸血開始後、観察目的で訪室すると輸血セットの滴下筒内で血液が伝い落ち、滴下が数えられなかった。滴下筒がやや斜めの位置の状態であったため垂直にするとしばらくは滴下がわかったが、再び伝い落ち始めて滴下が目視できなくなった。滴下はしているため頻回に訪室して滴下具合を確認し輸血を終了した。後日メーカーに報告、確認したところ、他施設からも同様の報告があり、1mL が15滴から20滴に変更になったことにより1滴が少なくなったため、滴下筒内を伝いやすくなったとのことであった。すでに滴下筒の内部を改良したものがメーカーから出され当院にも納入されていた。 メーカーから不具合の報告がなく院内に周知されていなかった。メーカーから製品を改良したことを周知できていなかった。院内に2種類の輸血セットが混在していた。
  • メーカーに情報提供を必ずしてもらうようお願いした。
  • 院内の製品が変わった時は必ず周知をする。
  • 不具合情報の報告を行う。
  • 院内周知により情報の認識と共有化を図る。
当該事象の使用機種が不明であるが、調査の結果、テルモ社製の製品に関して同様の事例が収集されており、滴下筒の長さを変更するなどにより当該事象の再発防止対策が実施されているところ。