独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成21年度 第2回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医療機器関連事例) 別添4

本文別添1別添2別添3|別添4

 

情報不足のため製造販売業者による検討対策が困難と考えられた事例(ヒヤリ・ハット事例)

  報告回 具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果
1 第14回 人工呼吸器を装着している患者のHRが130から150台の頻拍になった。気管内からの痰量増量しており吸引後より酸素飽和度が80台に低下し、主治医の指示のもとFi02を100%まで上げたが、酸素飽和度は低下していった。その間、人工呼吸器のアラームはほとんど鳴らなかった。最初、気道内圧上昇によるトラブルと判断し、また人工呼吸器のフィルター部分の蒸留水貯留も認めていたため、フィルターを除去し蛇管をレスピレーターに直接接続した。その後、人工呼吸器を確認すると、気道内圧計が呼気圧のままで吸気圧がかかっていなかった。テストバッグで作動点検をしたが、呼気のみ圧がかかる状態となっていた。臨床工学士に点検を依頼した結果、フィルター部分の蒸留水の貯留による気道内圧上昇と判った。 当日の日勤帯で頻拍がありセルシン処置が行われていた。気管内の痰量が多かった。
  • ウォータートラップの排水時と共に時間を決めてフィルターの排水や交換を看護予定に挙げて確認する。また気道内圧とアラーム設定との差を調節する。 
  • 患者の身体的要因も第一に考えていくが器械のトラブルの可能性を予測しながら点検をしていく。
  • 患者の状態で1時間から30分おきに必要な場合もあることを理解する。 
  • 蛇管の水抜きの方法を再度デモンストレーションを行った。 
  • 1月の病棟会で資料「人工呼吸器の事故防止」を全員が資料を読むように指導した。
気道内圧の上昇の原因は、人工呼吸器のフィルター部分に水滴が貯留したことによるものと考えられたため、フィルターが除去されている。しかし、フィルター除去後も、呼気圧のみしか圧がかからないとの記述もあり、詳細が不明であるため検討困難と考える。
2 第14回 人工呼吸器LTV 1000 を装着している患者の病室から、アラーム音が聞こえたので訪室した。呼吸器の画面に「RESET」と表示があった。消音ボタンを押すがアラームは鳴りやまなかったので点検を行ない、換気量も実測したが異常は発見できなかった。患者にも問題はなかった。当直医が訪室して消音ボタンを押したら解除された。この間約20分だった。後日、業者の説明では静電気影響により「RESET」表示されることがあるということだった。器械に問題はないという説明だった。 器械の問題である。
  • 消音でき、器械に問題がないため実施していない。
製造販売業者による検証の結果、当該事象は再現されず、問題は確認されなかった。「RESET」と表示された原因については、使用時の設定や環境等の詳細が不明であり検討困難と考える。
3 第15回 夜間使用中の鼻マスク式人工呼吸器の圧表示が設定と異っていたと看護師より日勤帯に報告があった。 今回の場合、数日前から圧表示のずれに気付いていたようであるが許容範囲なのか判断が付きにくく報告が遅れた。
  • 機器について疑問があれば早めにMEセンターに相談をする。
  • 人工呼吸器の異常の報告を受け機器のチェックおよび代替器の準備を行った。
  • 調査後の異常内容を医師・看護師へ報告するとともに医師が患者および家族への報告した。
圧表示とは、気道内圧の実測値のことと思われるが、この気道内圧が数日前から設定値と異なっていたとのことである。しかし、人工呼吸器の機種名及び使用状況等の詳細が不明であり、検討困難と考える。
4 第15回 患者に使用中に人工呼吸器のアラームが発生し担当の看護師が見たところ換気停止の警報が鳴っており、呼吸器は換気を行っていない状態であった。すぐに医師、臨床工学技士を呼びアンビューバッグにて換気を行った。その際SpO280%、HR47まで低下したがARTに著変は認めなかった。警報の原因が不明のためその間に別の人工呼吸器を使用した。 不明
  • 人工呼吸器が換気停止となった時点ですぐにアンビューバッグにて換気を行ったため、人工呼吸器入れ換え前後で患者のバイタルに著変は認めなかった。
  • ハード面についてはすぐにメーカに依頼し、原因究明を行っていく。
当該事象に関する人工呼吸器の機種名及びアラームの内容等の詳細が不明であり、検討困難と考える。
5 第15回 呼吸器の水はけ、吸引を行ったところ、SpO2が下がり始めたため呼吸器を装着した。その後すぐに30%まで低下した。アンビューが手元になかったため、救急カートまで取りに行った。 すぐに、アンビュー加圧・酸素投与を行い、SpO298%まで上昇した。
  • 自発呼吸のない患児のベッドサイドにはアンビューを置いておく。
  • アンビューの位置を確認する。
  • アンビューの数の充足させる。
  • SpO2低下時はすぐに応援を呼ぶ。
SpO2低下の原因が人工呼吸器の不具合等によるものか、患者の病態変化によるものか不明であり、検討困難と考える。
6 第15回 呼吸状態が悪化し挿管した患者に対し、人工呼吸器を装着した。装着後、担当医師が人工呼吸器の作動不良(患者回路のリーク)を発見した。患者側(カフ漏れや接続不良など)には異常が見られず、人工呼吸器回路側にも明らかな異常が見られなかったため、人工呼吸器の不良を考え、人工呼吸器を交換した。交換中は、医師がアンビューバックにて換気を行った。作動不良中、人工呼吸器のアラームは鳴らず、作動不良の人工呼吸器の装着期間は、30分程度であったと考えられる。その間、患者バイタル、酸素飽和度等の低下は見られなかった。人工呼吸器は点検済であり、使用直前点検にて臨床工学技士が正常作動を確認していた。人工呼吸器交換後、点検を行ったところ、人工呼吸器の呼気フィルタに異常が発見された。 今回の人工呼吸器作動不良は、呼気フィルタの破損によるものであったが、テストラングでの作動確認では異常が発見できず、アラームも発生しない程度のリークであった。
  • 呼気フィルタの破損は、人工呼吸器との接続の際に発生しており、人工呼吸器点検後(リークチェック後)の再接続は避ける事とした。
  • 過去に類似した事例は何回か発生しているため、メーカーなどと相談し、不具合情報提供などを利用して、人工呼吸器や用具そのものの改善に対しても働きかけていく。
呼気フィルタを人工呼吸器に接続した際に破損したとのことであるが、人工呼吸器の製品名等が不明であり、検討困難と考える。