独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成21年度 第4回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医薬品関連事例) 別添4

本文別添1別添2別添3|別添4

 

情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例(事故事例)

No. 報告回 事故の
程度
段階 事故の内容 背景・要因 改善策 調査結果
【薬剤間違い】
1 第17回 死亡 準備段階 ヴィーンD にKCL、コンクライトCa を混注するところ、日勤者と確認して夕方交換予定のアミグランド(500mL)にコンクライトCa を混注し、投与した。2時間半後、患者は呼吸苦を訴えた。輸液ライン内は白色化していた。当直医に報告し、アミグランドを中止した。 薬剤に関する情報を徹底するため、医療情報と共にシステムの改善が必要であった。現在使用している注射に関するマニュアル等の不備があった。
  • 死因等含め、外部調査委員会において分析改善を検討する。
輸液ライン内が白色化していたとのことであるが、これに関してはアミグランドとコンクライトCaの配合変化によるものと考える。しかしながら、配合変化と患者の呼吸苦及び死亡との因果関係等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
【血管外漏出】
2 第18回 障害
の可能性
なし
実施段階 右前腕より5FU、側管よりビーフリードを投与していた。訪室時には刺入部やや赤みあったが疼痛なく腫脹もないため経過観察していた。2時間後、刺入部やや腫脹あり(3cm×1.5cm)、疼痛あり、発赤はなし。圧迫にて疼痛増強あり。病棟来棟中の医師に診察を依頼し、ルート抜去後、経過観察となった。 持続点滴に関する不具合について患者説明が不十分であった。
  • 異常があれば、早期に報告するよう指導を行なう。
点滴漏れによる穿刺部の腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
3 第18回 障害
の可能性
なし
実施段階 患者は悪性リンパ腫のため化学療法を実施していた。医師が左前腕に24Gで血管確保し、刺入部に異常がないことを確認し、オンコビン・テラルビシンへ更新した。その後、70mLほど投与されたところで、逆血と刺入部に異常ないことを確認していた。テラルビシンが終了し、更新するために訪室すると逆血、刺入部の腫脹・疼痛はないが、刺入部に軽度発赤がみられた。その後、抜針し、主治医に報告し、ハイコート・キシロカインが局注され、デルモベート塗布、アクリノール湿布施行した。 患者自身へも刺入部の観察を説明するように説明していたが、観察不足であった。
  • 患者側にも刺入部の観察を充分するよう説明する。
点滴刺入部に軽度発赤を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
4 第18回 障害
の可能性
なし
実施段階 食道がんのため化学療法施行し、左前腕より5FUを45mL/hで持続点滴をしていた。その後、点滴刺入部より血管に沿って発赤5cm程度認められた。疼痛腫脹なく、血液逆流はあった。医師の指示により抜針した。 夜間帯のトラブル時の報告が適切ではなかった。
  • 異常時は夜間はセンター当直へすぐに報告する。
点滴刺入部に発赤等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
5 第18回 障害
の可能性
なし
実施段階 患者は、化学療法のため、末梢から持続にてオンコビンとアドリアシン入りの点滴が50mL/hで持続投与していた。深夜、患者にトイレまで付き添い介助をした。トイレ前で様子を伺っていたが、その際、ポンプのアラームは鳴らなかった。その後ポンプのアラームが閉塞で鳴ったため、滴下を観察すると滴下がなく、血液逆流も見られなかった。右手首橈骨側の刺入部は明らかな腫脹、発赤、疼痛は認められなかったが、医師の診察により、刺入部周辺にハイコート4mg、キシロカイン5mgを皮下注射を施行し、デルモベート軟膏塗布しアクリノール湿布施行した。 患者は抑うつ傾向であり、判断の低下あり、点滴など気にせず歩くことがあった。右手首橈骨側に針を刺入していた。
  • 末梢持続点滴での化学療法であり、右手首橈骨側に針を刺入していたこともあり、点滴に対する注意点を具体的に説明する必要があった。
  • 点滴刺入部位を検討する。
滴下が認められなかったとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
6 第18回 障害
の可能性(低い)
実施段階 看護師は患者の左上腕部へ留置針を穿刺し、ラクテックD500mLを接続した。滴下も良好であったため、穿刺部をフィルム材で保護し固定し、点滴を開始した。約5分後、看護師が側管よりメソトレキセート+生食20mLをゆっくり注入した。(当院のルールでは、抗癌剤は医師が調剤し、安全を確認後、施注する薬剤となっている)。この時、患者は穿刺部の痛みを訴えず、腫脹・発赤もなかった。約30分後、医師が施注しようと調剤室へいくとメソトレキセートが無かった為、確認したところ看護師が注入していたことがわかった。患者の所へ行くと、上腕部に縦5cm、横4cmの腫脹を認めたため、主治医は、患者に抗癌剤の漏れによる炎症と潰瘍形成などの影響の可能性について説明した。 患者を担当した時点で化学療法があることはわかっていたが、作業途中から“抗癌剤”という認識が無くなっていた。本で“メソトレキセート”を調べたが「注意が速度に向いていた」ため、何の薬を投与するかではなく、どれくらいで投与するかに気をとられ、当該薬剤が抗癌剤であることに気付かなかった。当初は早出勤務者が開始する予定で、既にダブルチェックが終了していたため、看護師は1人で注射箋のみを確認した。注射箋には“抗癌剤”とは記載されていなかった。化学療法のパスには、「回診時に医師がメソトレキセートを入れる」と赤字で書かれていたが、看護師は確認をしていなかった。 あまりよい血管がなく、上腕部へ2回穿刺を行なった。
  • 看護部で抗癌剤に関する勉強会を開催する。
  • 薬剤部の協力も得て、数回行なう。
  • 抗癌剤を準備する段階で(薬品を取り揃えた時点から施注まで)カードを一緒に置く。
  • 適した血管がない時は主治医へ報告する。
  • 静脈注射のガイドライン(看護協会などを参考に)看護師による静脈注射の実施範囲(施設内基準)をつくる。
  • クリティカルパス上(特に血管外漏出の有無や注意など)へ分かりやすく大きく記載し、誰が見ても分かるような表示をする。
  • ダブルチェックは実施者が変わるとき、実施者と、もう一人が参加して行なうことを再指導した。
点滴漏れによる刺入部に腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
【その他】
7 第17回 障害
の可能性
(高い)
実施段階 当該患者は、2007年までに上部消化管内視鏡検査において前投薬としてブスポン注射液を少なくとも10回は使用していた。2008年7月に当院上部消化管内視鏡検査を2回施行し、いずれもブスポン注射液を前投薬として使用していた。今回、他院で行った術後フォロー目的で受診した。今回も上部消化管内視鏡検査のため、前処置としてブスポン注射液1Aを筋肉注射した。その後、患者は顔の熱感、悪心を訴え、呼吸状態、意識レベルが低下した。 予測出来なかった、薬剤によるアナフィラキシーショックと思われる。
  • 臭化ブチルスコポラミン注射の内視鏡前投薬は、使用するメリットも大きいが、このような予測困難な事態も起こりうる。
  • 今回の事故を教訓とし、使用対象を限定すると共に、緊急時の対応が更に迅速に出来るよう、関わるスタッフの訓練が必要と思われる。
ブスポンによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
8 第17回 障害
の可能性
(低い)
実施段階 5歳の患者に、点滴留置し点滴開始した。4時間半後、父親が点滴漏れに気付き点滴抜去する。大腿部まで腫脹みられ、医師の指示にてリバノール湿布し経過観察していたが、朝方になり血管の走行に沿って下腿部全体に水疱形成みられた。 フィジオ35を60mL/h で投与していたが、投与中の観察を怠り、点滴が漏れていることに早期に気付かなかった。
  • 輸液速度が速い場合ほどこまめに観察をしていき、刺入部の状態観察は先輩看護師に相談しながら自己判断をしないようにしていく。
  • 点滴観察チェック表を作成し基準にそって観察していく。
  • カンファレンス内で話し合いをもうけ点滴管理について勉強会を行った。
点滴漏れによる腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
9 第17回 死亡 実施段階 患者は、歯根嚢胞のため左下第6歯抜歯による開窓療法を行うこととなった。全身状態が良好であることを確認して処置を開始した。下顎孔伝達麻酔及び浸潤麻酔で2%キシロカインを3. 6mL 使用し、難抜歯で分割による抜歯となった。その後、残根の位置確認でX線撮影を行ったが、患者に体調不良は認められなかった。30分後、浸潤麻酔2%キシロカイン0. 9mL を追加して処置を再開しようとしたところ、全身の震えが出現、頻拍、呼吸速迫、体温の急激な上昇を認めた。その後、急激なDICが進行し、翌日には多臓器不全に至った。 一般的な治療行為であった。
  • 浸襲のある治療を行う時は、その治療方針の決定、実施を複数で行う。
  • 患者が急変した時には、速やかに対処を行い、院内救急蘇生チームを要請する。ハリーコールだけでなく、救命救急センターのサポートを積極的に活用する。
  • 患者の診療にあたっては、院内の各専門分野の協力を得て、最善の治療を行う。
キシロカインによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
10 第17回 障害なし 実施段階 手術室へ入室し、左鎖骨上アプローチにより腕神経叢ブロックを行う予定で穿刺を試みたが、全身麻酔に変更することとした。プロポフォールを静脈注射し導入したが30分後、血圧測定困難となりショック状態となった。 糖尿病性腎症、慢性腎不全患者で血管内容量が少なく維持されている状態であり、麻酔導入薬の相対性過量投与により、血行動態が極めて不安定になった。
  • 知識を習得する。
プロポフォールによる副作用症状とも考えられるが、投与量、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
11 第17回 死亡 実施段階 大腸憩室炎を繰り返し、腸炎によるサブイレウスとの診断で入院した患者に、絶食、補液、食事開始後も憎悪なく狭窄の原因精査の為、CF を予定した。消化管通過状態は問題ないと判断し前処置を行った。前日看護師は患者に検査の説明(ムーベンを2時間かけてゆっくり飲むこと)した。検査当日朝7時ムーベンを患者に2Lの水に溶解し説明用紙と共に渡した。患者は認知力の低下があったが日常生活に支障はないと判断していた。 35分後、看護師が訪室すると、患者はムーベンを1700mL を飲んでいた。その後、残っていた300mL も5分間で飲んだと患者が話した。9:00に患者に腹痛、嘔吐が出現し、ムーベンを半分以上嘔吐した。消化管へは約500mL 入ったと判断した。担当医師は診察により、腹部膨満がなく臍周囲に圧痛があるが腹膜刺激症状はなく、痛みが軽減した為様子観察とした。12時のレントゲン撮影の結果では腸管の拡張も乏しくfree air も認めなかった。19:00以降から徐々に意識レベルが低下した。CT の結果から消化管穿孔が判明した。 医療者はムーベン(経口腸管洗浄剤)服用後、消化管穿孔合併症の知識はあったが、今までは、服用困難で時間内に服用できないことはあっても急速に服用するような患者の経験がなかった為、予測出来ず、消化管穿孔に対するリスク感性が低かった。認知症のレベルがアセスメントできていなかった。服用説明は薬剤添付の紙で説明しているが分かりにくい。既往に急性心筋梗塞、CABG(3枝バイパス術)腎不全、大腸憩室多発がありリスクが高い患者であった。
  • コップに200mL づつ分配しタイマーを活用し、時間で投与する
  • 溶解ボトルごと患者に渡さない。
  • ボトルで投与する患者には時間の目安をマジックで記して渡す。
  • 医師、看護師間で患者情報を共有する。
ムーベンの使用方法は、本品1袋を水約2Lに溶解し、溶解液約2~4Lを1時間あたり約1Lの速度で経口投与する方法である。本事例は溶解液2Lを40分間で服用したことにより消化管穿孔を発現したとも考えられるが、患者の年齢や合併症、既往歴等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
12 第17回 障害なし 実施段階 患児に輸液ポンプを使用して点滴治療を行っていた。入院2日後、輸液の血管外漏出により、留置針刺入部周辺である患児の左足背全体にびらんが発生した。血管確保部の固定は、留置針刺入部が見えない方法で行っていた。そのため、観察が不十分となった。 ルーチンの固定法(刺入部周囲をテープで固定)に、滴下を良くする為にガーゼをあてており、血管確保した時点から、そのままの状態で見える範囲で穿刺部周辺を見ているが、現実的には見れない状況であった。ガーゼ上を覆っていたのが大きな問題点で、観察部分が不十分になって漏れの発見が遅れた可能性がある。
  • 点滴漏れがおこるハイリスク薬剤については、医師からの指示を出す事とする。点滴の固定方法でどこかに地肌が見える固定を行う。
点滴漏れによる刺入部周辺にびらんを認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
13 第17回 死亡 実施段階 術前化学療法を開始しすることとなった。TS-1(25mg ×4C,4週間)投与を開始した。約1週間後より、副作用と思われる口内炎出現し、フェンタニール舌下錠の治験開始した。その後、手足に水庖が出現し、口内炎の増悪も認められたため、翌月1日にTS-1を中止した。その翌日、全身状態が悪化し患者は死亡した。剖検の結果、肺出血、肝梗塞、小腸粘膜下出血があり、DICが疑われた。家族に対して、心筋梗塞・肺梗塞・脳血管障害は否定的、何らかの原因による全身的な凝固系の異常、感染などを契機とした急性循環不全などの可能性あり、TS-1の有害事象である可能性も否定できないことを説明した。 TS - 1の投与が始まって2週間程度であり、フェンタニールの治験始まって10日前後であった。
  • 抗癌剤服用中の発熱時、敗血症を疑って先手、先手で検査を行うルールを構築する。
  • 主病科と緩和ケア科と連携を強化し、それぞれの主治医をおく。
  • ステロイド長期服用中の患者は感染危険群として薬剤科から情報発信を行う。
TS-1カプセルまたは治験薬等による副作用症状とも考えられるが、その後の病態変化を含め患者状態等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
14 第17回 障害
の可能性
(高い)
実施段階 患児の左手背部に生食100mL を70mL/h で投与し、終了後「ソリタT2 500mL + 50 % ブドウ糖20mL」を20mL/h で投与した。点滴開始時に刺入部と滴下状態を確認した。4時間後、点滴刺入部の観察をしたところ、左前腕部点滴漏れによる腫脹、手背に3カ所の水疱を発見した。点滴は130mL程投与された。 左手背にジェルコ針24Gを挿入したが刺入部より5日目だった・点滴開始時逆血の確認ができなかったが、乳児の場合逆血を確認できないことが多く、ゆっくりだが滴下もあったため輸液ポンプで注入した。ヘパリンロックをしていたラインを使用する際、点滴開始する時の判断基準がなかった。点滴刺入部の観察が遅れてしまった。刺入部にアームカーバー(布)を装着着しており外観より観察できなかった。血管外に漏出すると輸液ポンプの閉塞アラームが鳴ると思っていた。
  • ヘパリンロックをしていたラインを使用する際、生食を2. 5mL のシリンジで注入し血管外への漏れの有無、患者の反応を確認し注入した場合の感触等で総合的に判断する。
  • 輸液ポンプを使用している患者の観察を最低3時間毎に行い、ポンプの作動状況、刺入部の観察等を意識して行い記録に残す
  • アームカバーの使用を原則廃止とした(しかし、児の状態に応じカンファレンスで使用の有無を検討する)
点滴穿刺部の漏れによる腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
15 第17回 障害なし 実施段階 患者に対し造影剤(オムニパーク)を用いてCT撮影を行った。終了後、患者は気分不快を訴えた。その後嘔吐、冷汗があり、血圧が低下した。昇圧剤、副腎ステロイドの投与等、救急処置を行った。 造影剤(オムニパーク)によるアナフィラキシーショックであった。今回は医師、技師、救急部の連携がスムーズで大事に至らなかった。
  • 造影剤による副作用の発現は常に可能性が潜在し、緊急時対応の薬品、器具の装備、使用法を常に点検する。
オムニパークによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
16 第17回 死亡 実施段階 患者は、胸水で呼吸状態が悪化していたが、かなり改善してきていたため、夜間の不穏、せん妄状態に対し、抗精神病薬を使用していた。○月△日の深夜帯でも不穏状態となり、ロヒプノールを使用し、入眠(意識状態が低下)した。ロヒプノールは2mg/ 1mL+生食100mL を20mL づつ2回に分けて使用した。翌朝の血液ガス測定で極度の高二酸化炭素血症となっており、死亡した。 患者は、肺癌、大動脈瘤、ASO の術後状態であった。また、発熱血液培養からMRSAが検出されていた。
何らかの感染と考えられ、手術創は問題なく、褥瘡が原因の可能性がある。
  • ロヒプノールの効能・効果、副作用を考慮し、呼吸抑制に対する観察を十分に行う。
  • 酸素飽和度のモニタリングを行う。(今回は無効であったが有効な場合もある)。
  • ロヒプノールなどハイリスク薬品使用時には十分な説明を行う。
ロヒプノールによる副作用症状とも考えられるが、患者状況、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
17 第17回 障害
の可能性
(低い)
実施段階 末梢ルートからの点滴で48時間抗癌剤を投与していた。点滴更新時に点滴刺入部の漏れに気付いた。 患者へ抗がん剤投与中の注意事項が十分でなかった。
  • 抗がん剤投与中の注意事項を患者に説明し、患者の協力を得る。
点滴漏れを認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
18 第17回 死亡 実施段階 術前化学療法を行う方針となり、TS-1を用いることとなった。翌月、摂食障害がみられ、検査の結果、TS-1の副作用と考え、内服を中止した。6日後、摂食不良のため診察を行った。診察時に入院の希望があったが、全身状態が保たれており、NGチューブからの栄養管理が可能であったため、その3日後まで自宅で待機となったが次の日、妻が入院を早めてもらうため病棟に連絡し、入院担当医師と相談することなった。その日の夕方、患者は発熱、歩行困難のため別の病院の救急外来に搬送された。診断の結果、著明な骨髄抑制とそれに伴う重度の炎症及び脱水が疑われた。その後、患者は急変した。 外来における化学療法での管理。
  • TS-1開始の際には近隣の病院に連絡を取り、緊急時の対応をお願いする。
  • 病態に変化がある時には、採血を反復して、状態の把握に努めて適切な対処を行う。
TS-1による副作用症状とも考えられるが、患者状況及び既往歴等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
19 第17回 障害なし 実施段階 CT 撮影のため造影剤を使用したところ、意識と血圧が低下した。 患者は、以前にも造影剤使用時にショックになっていたが、診療録の目立つ場所に記載がなく、今回も同様の造影剤を使用した。造影剤使用の承諾書もとっていなかった。
  • 診療録への記載をルール化する。
  • オーダリング画面での表示を行う等の検討を行う。
造影剤による副作用症状とも考えられるが、造影剤の種類、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
20 第17回 障害
の可能性
なし
実施段階 手術終了後、左大腿にイソジンや洗浄液が流れた形跡が見受けられたが、その部位の皮膚に異常は見られなかった。看護師が直腸計を抜こうと患児の臀部を覗き込むと黒い母斑のようなものが見えた。当事者が観察したところ、両側臀部に水疱形成・黒色化を伴う熱傷と思われる皮疹が散見されたが、直腸計が通っていた部分は所見がなかった。事象発見後すぐに形成外科医師に診察を依頼、形成外科医師によりゲンタシン軟膏を塗布、アダプティック貼付の処置がなされた。パッチテストを実施したが、テストではアレルギー及び化学反応は確認できなかった。 発生原因は不明だが、術野消毒に用いた消毒剤がドレープを貼っていない個所から垂れ込み、臀部周辺に貯留し、結果として消毒剤と臀部が長時間にわたり接触したことによるものと考えられる。
  • ドレーピングを徹底し、消毒液の塗布量を減量する。
イソジンによる副作用症状とも考えられるが、イソジンの使用量、使用状況及び手術時間等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
21 第17回 障害
の可能性
なし
実施段階 6時ごろ、前日よりノルアドレナリンの流量を1mL/h に減量したが、血圧が160台に上昇していた。口頭指示により「1mL/h でも高血圧が持続する場合には主治医に確認し、中止」の指示が出ていたため、当直医に確認し中止の許可を得た。ノルアドレナリンはCVルート (トリプルルーメン白)からシリンジポンプを使用して投与されていた。担当看護師は、シリンジポンプを止め、シリンジのルート内の残薬を逆血があるまで採取し、それを破棄した後、生食でフラッシュした。生食でフラッシュした直後、患者は胸痛、頭痛、血圧の上昇を認めた。 ノルアドレナリンがCV ルート内に残存していた可能性が考えられる。
  • 昇圧剤( ノルアドレナリンなど)を単独で静脈投与しているものを中止する時は、フラッシュせずに、生食に交換し、それまでと同じ流量で投与し、ルート分を生食で流した後に、陽圧ロックする。
  • それまで使用していたルートも交換して、生食を流す。
ルート内の残薬を逆血があるまで採取したとのことであるが、ノルアドレナリンの副作用症状とも考えられる血圧の上昇を認めており、手技等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
22 第17回 死亡 実施後の
観察及び
管理段階
患者は、S状結腸進行癌の手術目的で入院した。前日より排便がなく、15時、検査の前処置のため、下剤(ラキソベロンとマグコロールP)を内服した。20時、腹痛と嘔吐があり、食事摂取を中止し、点滴を開始した。翌1時20分、胃管チューブを挿入した。その後も頻回に観察を行っていた。6時20分、看護師の回診で呼吸を確認した。8時25分、家族が来院した。8時45分、看護師が訪室したところ心肺停止状態であった。 調査委員会を設置し検討する。
  • 調査委員会を設置し検討する。
心肺停止状態となったとのことであるが、原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
23 第17回 死亡 その他 化学療法目的の入院であり、カルボプラチン(410mg)パクリタキセル(260mg)投与した。当日と翌日は問題なかったが、3日目から全身倦怠増強、4日目白血球減少(100以下)となり、G-CSFと抗生剤の投与を開始した。当日の尿から大腸菌を検出した。5日目全身状態さらに悪化し、7日目ICU入室し人工呼吸器管理を開始した。8日目人工透析開始し、9日目未明死亡した。 化学療法3コースを施行後、まもなく再発(骨転移)し、放射線療法とDocを行ったが、同時期にリウマチの症状増悪もあり、単回のみで終了した。以後、イレッサ内服のみ行った。化学療法開始前に患者および家族に病状と化学療法の副作用について説明し、薬剤部からのオリエンテーションも行った。抗癌剤の選択については外来化学療法部とのカンファレンスでGEM選択の提案があり、電子カルテに記載されていた。しかし、治療開始前にCBDCA+Pacで行うことを主治医が外来化学療法部医師と直接相談し、最終的に決定した。今回のインシデントの原因のひとつとしては化学療法時の薬剤選択および投与量や注意すべき併用薬剤の有無について主治医、化学療法部、薬剤部で十分に検討できていなかったことが考えられた。抗癌剤の組み合わせや投与量、併用薬に過誤(禁忌)はなかった。化学療法により生存期間の延長が得られたかは不明であるが、患者は年齢的にも若く治療に積極的であったことから化学療法の適応は十分にあったと考えた。
  • 入院患者は呼吸器外科カンファレンスで症例提示・検討する。
  • 外来化学療法患者は外来化療部合同カンファレンスで、外来化療部と相談・検討する。
  • 呼外カンファレンスで、1. 化療適応 2. 投与薬剤 3. 投与量を明確にし、選択された薬剤の根拠をカルテ記録する。
  • 化学療法の症例ごとに薬剤部に介入を依頼する。
  • 診療科内で使用される化学療法の薬剤組み合わせ例について再確認する。
  • 化学療法入院患者にsupervisor を配置することを再確認し、徹底するようにした。また、診療科内でがん薬物療法専門医(日本臨床腫瘍学会)、がん治療認定医・教育医(日本がん治療認定機構)等の資格を積極的に取得することと院内のがんに関する講演・勉強会に積極的に参加し、定期的に化学療法に関する勉強会を行う(年3回)ことを決定し、現在、実行中である。
抗がん剤による副作用症状とも考えられるが、患者状況及び既往歴等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
 
24 第18回 障害
の可能性
なし
実施段階 患者にナベルビン、ランダによる化学療法を開始した。化学療法の2日目、主治医と訪室したところ、左前腕の血管走行に従い発赤を認めた。自覚症状、硬結、腫脹は認められず、発見が遅れた。 抗癌剤による血管炎が起こった。自覚症状がなく、発見が遅れた。
  • 血管外漏出のオリエンテーションの際に、点滴中だけでなく点滴終了後にも血管に炎症が起きたり疼痛の出現が起こりうることを説明し、点滴部位に注意をはらい、何か異常がある場合はすぐに知らせてもらうように伝える。
  • 各勤務帯での声掛けや観察を強化する。
  • 同一側での点滴は極力避けて施行してもらうよう主治医に依頼する。
左前腕の血管走行に従い発赤を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
25 第18回 障害なし 実施段階 化学療法を9時頃より開始し、5時間後ナベルビンからシスプラチンに更新した。更新してから約15分後、ガタンと言う物音あり、患者がトイレ入り口腹臥位で倒れているのを発見した。 前回ジェムザールで皮膚発赤がみられ、今回、薬剤を変更した。シスプラチン変更後15分は観察を行い異常認めなかったため、患者はトイレに行くために歩いた。CT撮影中に皮膚発赤が見られたことからアレルギー反応が起った可能性が考えられた。転倒後に心房細動が出現していることから、化学療法に伴う輸液負荷で一時的な血圧低下があった可能性も考えられた。HOTを導入しているが、体動時の酸素吸入を拒否され、病気の理解が出来ておらず、本日トイレ歩行時も酸素使用しておらず、低酸素症症状や起立性低血圧が出現した可能性がある。
  • 観察を密にし、排泄など離床時は看護師が付き添うことを充分説明し対応していく。
  • 労作時はゆっくり行動することや、歩行時の酸素吸入の必要性を家族も含めた指導を徹底していく。
ナベルビン又はシスプラチンによる副作用症状とも考えられるが、患者状況及び既往歴等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
26 第18回 障害
の可能性
なし
実施段階 ERCP施行後、5%TZ250mL+パナベート500mg1V41mL/h開始していた。更新時の際、逆血がなかったため、ルートを抜針した。その後、5cm×5cm大の腫脹が認められたが、発赤が認められなかった。軽度の圧痛があり。診察後、 医師の指示により、パナベートは中止となった。点滴漏れ部位にハイコート、シプロキサンを乱刺注入し皮膚科受診となる。 夜間睡眠中に、睡眠を妨げないようにとの配慮からの刺入部の観察が不十分であった。
  • 睡眠を妨げないことと、観察の必要性の重要度について認識調査と教育を行なう。
点滴漏れによる腫脹を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
27 第18回 死亡 実施段階 血管造影開始時、患者の血行動態は安定していた。CT撮影後に造影剤(イオパミロン)による軽度の嘔気を訴えていたがプリンぺラン静注にて改善した。腫瘍血管をマイクロカテーテルで選択し、アイエーコールとリピオドール混濁液を注入して3~4分後、血圧低下を認め治療を中止した。その後医師はアレルギー性反応を疑い、ボスミン、ステロイドなどを静注した。その10分後にはVFとなりCPRを開始し、その他、急変時の処置を行なった。加えて、人工呼吸器による呼吸管理を開始した。その後もCPR継続したが回復しなかった。 治療前にアレルギー体質であることを把握しており、通常の10倍のソルコーテフ1000mgを投与していたにも関わらず、患者にアレルギー反応生じ、その反応が強くアナフィラキシー性ショックを認めた。治療対象が肝細胞癌であり治療しなけれな予後を延長出来ない状況でもあり、患者、患者の妻と相談した上での選択であった。術中もより慎重に投与してはいたが、病態進行が早く救命出来なかった。アレルギー体質に対し予防的にステロイド投与は行なっており、薬剤としては問題なかったと思われる。アレルギー体質の方には治療しないことが最善の解決策であるが、癌という性質上、現実的ではない。
  • ハイリスク患者の説明・同意取得時には家族同伴とし、検査中は院内待機を励行する。
  • 今後、IC内容に今回の事象も加え十分に説明し、その上で、患者家族に選択していただく。
  • 今回、ICは患者と妻のみであり、今回のケースで問題になる可能性としては患者の兄である。リスクの高い患者治療の際は、なるべく多くの親族にもICを聞いていただいたうえで、判断を仰ぐようにする。
アイエコール又はリピオドールによる副作用症状とも考えられるが、患者状況及び既往歴等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
28 第18回 障害
の可能性
なし
実施段階 慢性副鼻腔炎の患者に、手術中キロシカインEを投与し、血圧260、HR110と上昇し、VPC頻発、ST低下を認め、精査のため手術中止とした。 既往歴に高血圧があること、また手術による疼痛、局所麻酔時に使用したキシロカインEが影響した可能性がある。
  • 患者カンファレンスを行う。
キシロカインEによる副作用症状とも考えられるが、併用薬、アレルギーの有無等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
29 第18回 障害
の可能性(低い)
実施段階 治療効果を判定するために、CT検査を計画した。小児外科医は、鎮静薬を静脈注射して鎮静させ、放射線診断医は手背静脈ラインを使って、自動注入器で造影剤を注入した。放射線診断医は注入後に画像に造影効果がないことに気付き、ライン挿入部を観察したところ、前腕部が腫脹し、手指のチアノーゼが観察された。 ラインは抜けることがある。自動注入器を使う現状がある。
  • 血管外漏出は防止出来ないが、穿刺部の視認性をよくすれば、早期発見し注入を停止するなど被害を軽減することが出来る。
  • 小児はラインを引っ張るため固定が重要であり、穿刺部の視認性をよくすることは通常容易ではない。
造影剤漏れによる腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
30 第18回 障害なし 実施段階 造影CTの為に医師の指示のもと看護師Aが血管確保を試みた。2カ所穿刺したが、血管確保できず、看護師Bが交替した。看護師Aも看護師Bもこの日初めてCTの介助に入っていた。血管確保用の針として技師が準備していたものは翼状針であったため、血管確保を翼状針で実施した。看護師Bにより、正中静脈に血管確保を行なった。造影剤の注入を開始しながら血管外への漏れがないかを技師と看護師Bで確認し、秒速1mLで注入を開始した。途中で2回、痛みの有無を確認したが患者の訴えはなかった。造影剤を注入終了後、直ぐに撮影を開始したが造影がされてないことに気付き、造影剤の漏れが生じたことがわかった。直ぐに、注入部位を確認すると皮下に漏れて上腕が腫脹していた。 急速注入を行なう検査だが正中静脈に血管確保する為に留置針を使用しなかった。初めて行なう診療の補助業務であったが、手順を確認しなかった。手元に手順書がなかった。一緒に検査の補助を行なった技師なども手順を指導しなかった。
  • 手順や使用機材の見直しと改訂、手順書の常備、説明同意書の改訂、コミュニケーション・情報交換出来る人的環境の改善、補助業務担当者の割り当てを再検討する。
造影剤漏れによる注入部位の腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
 

情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例(ヒヤリ・ハット事例)

No. 報告回 具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果
【速度間違い】
1 第17回 0時よりプレドパボトル交換20mL/h の指示を設定した。夜間巡視時1時間後とポンプ作動を確認(流量ランプ・滴下表示)6時再度確認、ボトルを確認すると30mL 程度しか減っていなかった。その間ポンプアラームは鳴っていなかった。前日までは正常に輸液投与できていた。同日ME に機器作動点検を行ったが、作動は正常であり、異常はなかった。 マニュアルでの確認行動では設定内容・ポンプ作動とともに、ボトル残量確認も行うこととなっているが出来ていなかた。ポンプラインについては、ライン変形によりエラー防止のため1日1回ラインの位置交換を行うこととなっているが、実施していなかった。明らかな原因は不明であるが、要因として以上が考えられる。
  • マニュアルを厳守する。
  • 輸液ポンプについて、滴下センサーとチューブ流量センサーで確認できる機器の新規購入を検討する。
残量誤差があったとのことであるが、原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
【血管外漏出】
2 第17回 患者は、外来点滴ルームで4本の予定で化学療法中であった。3本目のテラルビシン75mg +5%GL100mL 終了時、患者が「モヤッとする」と訴えたが、これまでにも同様の症状があったとのことであり、観察して異常なしと判断し、4本めのオンコビン2g +生食100mL 追加した。3/ 4位終了した時に再度痛みを患者が訴えた。診察により点滴漏れと診断された。 テラルビシン終了時のモヤッとした痛みの訴えがあった時、腫脹・発赤がなかったため血管痛と判断してした。前回も同様の症状があったため、今回も大丈夫だろうと思った。
  • 症状に対して自己判断せずに医師に報告する。
  • 症状出現時はすぐにナースコールするように患者に説明する。
点滴漏れによる痛みを認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
3 第17回 外来化学療法室にてパクリタキセル投与中の患者がトイレ歩行後、リクライニングチェアに臥床した直後に留置針挿入部位の痛みを訴えた。挿入部位を確認すると、留置針挿入部の上方4×3cm 腫脹が認められた。皮膚発赤は認められなかった。ルート内に逆血あり、注射器にて吸引後抜針した。(パクリタキセル+5%ブトウ糖500mL の内420mL 投与)主治医にて漏出部位ソルコーテフ局所注射行った。他の部位に、留置針再挿入後、治療開始する。留置針再挿入するまでの状況は、ルート挿入部位は関節部位ではなくシーネ固定の必要性はないので固定はしなかった。輸血2時間投与後に5時間の点滴治療であり患者はトイレに何回も行っていた。トイレ歩行後はそのつど刺入部の確認を行っていた。これまでにもCT造影の際血管外漏出をおこしていた。 長時間の点滴治療で何回もトイレに行く状況であったため留置針挿入部の安静が十分にできなかった。
血管がもろい患者であった。
  • トイレ歩行時には、点滴実施中の腕はできるだけ最小限の動きにとどめるよう声かけし、付き添い介助する。
  • ポート埋め込みの検討をする。
点滴漏れによる留置針挿入部上方に腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
4 第18回 パクリタキセル300mgを点滴静注をしたいたが、患者から点滴部位の疼痛の訴えがあり、確認。刺入部の腫脹を認めたため、点滴抜去した。皮膚組織の壊死予防のため、腫脹部位にリンデロン8mg+1%キシロカイン注10mLを皮下注射、デルモベート軟膏塗布しリバノール湿布を行なった。 10回以上の抗癌剤治療により、血管が脆弱になっていたため。
  • 点滴中の訪室観察を増やした。
点滴刺入部に腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
【その他】
5 第17回 朝のラウンド時に、受け持ち患者の点滴をつないだ。患者Aの留置針は右の踵の近くに挿入されていた。点滴は、指示の通り、ビーフリード500mL を100mL/h 落とすように点滴ポンプの設定を行い、患者Aの留置針につなげた。疼痛の有無を確認すると痛みはなく、腫れてくる様子もなかったため、針はそのまま使用した。その後、患者Aの清拭を行ったが、下肢の腫脹・発赤・ポンプの異常はなかったため、点滴が落ちていると認識していた。2本目のビーフリードをつなげるために患者Aの部屋を訪室した際に下肢を見ると、右足背部に軽度腫脹が見られたが、患者Aに疼痛の有無を聞くと「無い」との返事があった。そのまま2本目のビーフリードをつなげた。患者Aの留置針は、その日で3日目であったため、刺し替えをおこなうために再度訪室した。その際に下肢を見ると、下腿部から足背に腫脹が見られた。右の手背部に留置針を刺し替え、点滴をつなぎ変えた。次の日の日勤の看護師が、右下腿・腓腹部に表皮剥離と右足背部水疱を発見した。褥瘡診察が行われ、下肢の処置を行うこととなった。その後、A氏の下肢は蜂窩識炎を起こした。 観察が不十分であった。輸液ポンプを使用していたため、注入圧がかかりすぎていた。輸液ポンプに頼りすぎていた。
  • 挿入部や自覚症状だけではなく、広範囲で観察していく。
  • 輸液ポンプは滴下不良の患者には使用しない。
点滴漏れによる右足背部に軽度腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考える。
6 第17回 化学療法が終了して、バーコードで、終了しようとしたところ、「指示変更があります。確認して下さい」というメッセージがでた。パラプチンの量の指示変更があったが、化学療法の開始時には認証ができてしまい、変更指示が分からなかった。 医師が診察後に変更しているが、看護師や薬剤部に電話がなく伝わらなかった。電子カルテ上でなぜ認証できたか不明である。
  • コンピューターシステム管理室にバーコードで、なぜ認証できたのか確認する。
院内における電子カルテ上のシステム等の問題であり検討困難と考える。