製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(事故事例)
No. | 報告回 | 事故の 程度 |
段階 | 事故の内容 | 背景・要因 | 改善策 | 調査結果 |
【その他】 | |||||||
1 | 第17回 | 障害 の可能性 (低い) |
実施段階 | 患者は、急性膵炎の治療目的として末梢からFOY(生理食塩水50mL+FOY1500mg)を投与した。この期間中、両側手背で1回ずつ点滴漏れがあったが、手背の腫脹は軽度であり、痛み・発赤がなかったため経過観察し、その後退院した。2日後、右手背の腫脹・疼痛の訴えにより再入院となり、この時点では細菌感染による蜂窩織炎を疑い、約9日間治療を行った。その後も右手背の腫脹の程度は変動し、左手背も腫脹したことから、皮膚科受診をしたところ、FOYによる血管、軟部組織障害と診断された。患者には、中心静脈は確保されていたが、低栄養状態の改善目的で中心静脈栄養を投与していたため、配合禁忌薬の多いFOYは末梢ラインからの単独投与を行っていた。また、注射用FOYの安全性情報によると末梢から点滴を行う場合、0.2%以下の濃度で使用することとなっているが、今回は結果的には約3%の濃度で投与行った。 | 初回入院時、HUS後に急性膵炎を発症しており、腎不全がまだ完全によくなっていないことから、膵炎に対して大量輸液療法を行うことができず、FOY投与を中心とした治療となった。中心静脈は確保されていたが、低栄養状態の改善目的で中心静脈栄養を単ルートのカテーテルで使用していたため、配合禁忌薬の多いFOYは末梢ラインからの単独投与とせざるを得なかった。注射用FOYの安全性情報によると末梢から点滴を行う場合、0.2%以下の濃度で使用することとされているが、今回は結果的には約3%の濃度で投与されており、このための副作用であること、また両側手背で1回ずつ点滴漏れがあったが、このような場合には投与を中止するか投与部位を変更し、適切な治療・観察を行うべきところ適切に処置されていなかったことが血管障害(FOY遅発性炎症)につながった原因と考えられる。 |
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ガベキサートメシル酸塩製剤の製造販売業者は、高濃度での投与により注射部位等に静脈炎や硬結、潰瘍・壊死を起こすことがあるため、濃度を0.2%以下とすることについての注意喚起を行っているところ。 |
2 | 第18回 | 障害 の可能性 (高い) |
指示段階 | 急性膵炎の疑いに対し、薬剤部日直時に、救急部よりアロデート2000mg+生食100mLの注射薬のオーダーが出た。アロデートを末梢から投与する場合は0.2%以下に溶解しなければ、組織障害の発生が非常に高い薬品であったが、薬剤部での鑑査で指摘出来ず、2%の指示のまま払い出した。翌々日のに主治医の指示で当直医よりアロデート2000mgを生食100mLに溶解し、4mL/hで末梢の単独ルートから投与した。その翌朝、患者の刺入部が腫脹していることが判明して直ちに中止した。患者は刺入部に腫脹・硬結を生じ、皮膚科でステロイドの局注による治療を受けた。その後も高濃度のアロデート投与による組織障害の治療で入院中である。 | 救急部において、口頭指示の復唱をさせなかった。薬剤部において、当直の交代時で鑑査出来なかった。高濃度についての注意喚起のアラートが表示されていたが、新しいシステムになってアラート表示されなくなっていた。 |
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ガベキサートメシル酸塩製剤の製造販売業者は、高濃度での投与により注射部位等に静脈炎や硬結、潰瘍・壊死を起こすことがあるため、濃度を0.2%以下とすることについての注意喚起を行っているところ。 |
3 | 第18回 | 障害なし | 指示段階 | 患者は4日間、右手末梢血管から、生食250mL+パナベート1000mg(濃度0.4%)を24時間持続点滴していた。投与終了7日後、右手背の軽度腫脹と暗赤色変化が認められたが、痛みや訴えがないため経過観察した。投与終了10日後、1cm×1cm大の壊死様変化をきたした。 | パナベートについては、高濃度で血管内壁を障害し、静脈炎や潰瘍・壊死などを起こすため、末梢血管から投与する場合は50mL/100mg以上の輸液(0.2%以下)で投与する必要があるが、今回は250mL/1000mg(50mL/200mg)の濃度で投与した。患者は高齢で糖尿病があることから血管の脆弱化が予測されること、などの要因が重なり発生した可能性がある。 |
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ガベキサートメシル酸塩製剤の製造販売業者は、高濃度での投与により注射部位等に静脈炎や硬結、潰瘍・壊死を起こすことがあるため、濃度を0.2%以下とすることについての注意喚起を行っているところ。 |
4 | 第18回 | 不明 | 指示段階 | 注射用パナベート1500mg+5%ブドウ糖液200mL(濃度0.75)を右足末梢血管から投与開始した。4日後、末梢血管留置針の交換予定日であったため、留置針を別の場所(右足)に刺し替え、担当医から「薬液の濃度が濃いのでビタメジン入りのソルデム3A500mLの側管から投与した方がよい」と指示あり、点滴ルートを変更した。5日間のパナベート投与が終了し、ビタメジン入りのソルデム3A500mLを点滴後抜針する際、右足背に6cm×5cm大の壊死様変化を発見した。5日間患部付近からパナベート入りの点滴をしており、点滴剤による血管障害ではないかと判断した。 | 5日間注射用パナベート1500mgを5%ブドウ糖液200mLに溶解し、右足末梢血管から留置針で投与していた。パナベートについては、高濃度で血管内壁を障害し、静脈炎や潰瘍・壊死などを起こすため、末梢血管から投与する場合は100mg/50mL以上の輸液(0.2%以下)で投与する必要がある。今回は1500mg/200mL(0.75%)の濃度で投与していること、間質性肺炎急性増悪によるステロイド投与・糖尿病・強皮症・肝臓がん・肥満症などの疾患の治療中であり、全身状態が悪化していることが要因となり発生したと考えられる。 |
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ガベキサートメシル酸塩製剤の製造販売業者は、高濃度での投与により注射部位等に静脈炎や硬結、潰瘍・壊死を起こすことがあるため、濃度を0.2%以下とすることについての注意喚起を行っているところ。 |
製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(ヒヤリ・ハット事例)
No. | 報告回 | 具体的内容 | 背景・要因 | 改善策 | 調査結果 |
【薬剤量間違い】 | |||||
1 | 第18回 | 患者は脳外科の当院を受診したが、リウマチは、他院通院しておりリウマトレックスを毎週火曜日、週1回服用していた。病院を一つにまとめたいと考え、紹介状なしで当院整形を受診した。整形外科医は、お薬手帳を参照し、前医同様に処方し、これまで通りに服用することを説明した。5ヶ月後、体調不良で救急受診した。患者は、リウマトレックスが医師の指示通りではなく、連日服用していたことがわかった。 | 医師、看護師、調剤薬局、患者、家族のコミュニケーションが不足していた。患者を取り巻く関連者の大丈夫、できているという思い込みがあった。調剤薬局での患者把握不足、説明不足であった。調剤薬局からの疑義照会がなかった。 |
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平成20年8月29日付薬食安発第0829001号通知「抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)に関する医療事故防止対策について」及び平成20年10月20日付医政総発第1020001号・薬食総発第1020001号・薬食安発第1020001号連名通知「抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)防止のための取扱いについて(注意喚起)」等により製造販売業者に包装・表示等の改良を行うこと及び医療機関等に誤投与防止の注意喚起をしているところ。なお、当該製造販売業者においては、誤投与防止のために、2009年2月より包装デザイン変更品を出荷しているところ。 |