独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成23年度 第4回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医薬品関連事例) 別添3

本文別添1別添2|別添3|別添4

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(医療事故)

No 事故の程度 販売名等 製造販売業者等 事故の内容 事故の背景要因の概要 改善策 調査結果
1 障害残存の可能性なし オキシコンチン 錠剤 5mg - 当該看護師は3名の同室患者を受け持っており、1名は自己管理、1名は一日配薬(:一度の配薬につき一日分の内服薬を配薬する方法)、1名は毎回配薬(:一回分の内服薬をその都度配薬する)であった。同室患者3名のうち2名は麻薬内服患者であり、当該患者は毎回配薬患者で、麻薬を内服していなかった。
当該看護師は、ナースステーションで麻薬のダブルチェック、毎回配薬、一日配薬のチェックを行い、指示簿を持ち訪室した。同室患者であったため、一度にすべて手で抱えて持って行き、その際に毎回配薬患者をオキシコンチン内服患者と勘違いしてしまい、当該患者に必要のないオキシコンチンを看護師が内服させてしまった。当該患者には痛み止めであることしか伝えていなかったため、患者も異議を唱えずそのまま内服した。内服後、すぐに気付き、副直医へ報告し、経過観察となる。その後、SpO2の低下等は見られなかったが、嘔気が出現し、制吐剤を使用した。
  • 朝のカンファレンスが長引き、配薬予定時間を過ぎていたため、焦りがあった。
  • 通常は自分のカートに患者の指示簿と配薬トレイを乗せて、整理された状態で患者のもとへ向かうが、この時はカートの準備ができていなかったため、同室患者全員分の薬と指示簿を手で抱えて患者のもとへ向かった。
  • 当該部署では、配薬時の内服薬と指示簿との確認はナースステーションで行われ、ベッドサイドでは指示簿を持参しないことが常態化していた。そのため、ベッドサイドでの内服薬と指示簿の照合は不要と考えていた。
  • 配薬時は、必ずベッドサイドで患者に名前を名乗っていただき、指示簿と内服薬を照らし合わせる。
  • 複数の患者に配薬する場合は、患者毎に氏名を記入した容器を準備し、内服させる。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
2 障害なし ノボヘパリン2000u 生食 不明
不明
ノボヘパリンを急速投与してしまった。 確認不足。 予定線、実施線を必ず記入し、10分後確認を怠らないようにする。
  • 確認が不十分であった
3 障害なし なし なし 夕食前に患者にカプロシンを皮下注射しているとき、注射筒と針が外れカプロシンが飛散、患者の右眼内に入った。その後当事者から当直医に報告があり内容を確認。謝罪の上診察を行った。眼球は眼球結膜の軽度発赤があったものの、眼痛や眼球運動異常、視野障害を認めなかった。直ちに水道水による薬液の洗浄を行った。その後も結膜潰瘍や視野異常などの明らかな悪化を認めず経過した。 新たな診療科で研修を始めた際に発生した事案で、注射筒に接続した針の固定が不十分だったために固定部が外れて薬液が飛散し患者の眼球内に入ってしまった。 当事者以外にも当科を研修する研修医に薬液や注射筒の確認を励行させる。
  • 確認が不十分であった
4 障害なし なし なし 卵円孔の開存がある脳梗塞の診断でワーファリンを内服していた患者。処方したと思っていたが、採血でPT-INR値が正常範囲内になっていたため、どうしたのかを問診したところ、処方がなかったことがわかった。なぜ処方がなかったのか患者本人に聞くと、ないのかと思って受付にも聞かなかったということであった。 内服をするように指導していたつもりであったが、患者には理解されていなかったようである。 処方忘れがないように注意することと、患者指導を徹底する。
  • 確認が不十分であった
5 障害残存の可能性なし アマリール - 重複して配薬したため、血糖降下剤の効果で朝7時の血糖値が63になった。低血糖症状はないが、ブドウ糖10g摂取した。 1年目の看護師。認識間違いがあった。赤いシールが1回渡しだった。シールなしと誤認した。 黄色テープが1日配薬、赤いシールが1回配薬のルールを再確認した。
  • 確認が不十分であった
6 障害なし 不明 不明 医師が看護師に薬剤指示入力を依頼した。
看護師がその依頼を受けて入力したところ、別の患者のカルテに入力してしまった。薬剤部からの疑義照会があったが、そのまま誤入力した患者に実施してしまった。
  • 医師が薬剤オーダーを看護師に依頼し、看護師が受けた。(ルール違反)
  • 電子カルテ使用後、初画面に戻していない。
  • 薬剤師からの疑義照会において、薬剤師「A氏にゾメタの処方が入ったがよいのですか?」看護師「大丈夫です」とのやりとりがあったが、ゾメタを正しく使用する患者の姓と聞き違え、その患者のカルテを2人で確認した。
疑義照会の返答は必ず医師にしてもらうようにする。
  • 確認が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
7 障害残存の可能性なし なし なし 他の患者に使用するはずのラシックスを誤って別の患者に静脈注射してしまった。 同姓で、別の患者が入院している部屋番号が、静脈注射用のシリンジに手書きで書いてあった(シリンジには、診療科名、病室番号、患者名、薬剤名・量、投与方法が表示されていた)。処置を行う際、記載してあった部屋番号に入院中の別の患者に対し、フルネームでの確認を怠ったために、そのまま静脈注射を施行してしまった。 処置施行前のフルネーム、生年月日の確認の徹底。
  • 確認が不十分であった
  • 患者の外見(容貌・年齢)・姓名の類似
8 障害なし ブスコパン 不明 前立腺肥大がある患者にブスコパンを筋注した。尿閉あり。 指示表の確認不足。 検査前には必ずカルテで患者の情報を得て、問診票と合わせて患者に確認する。
  • 確認が不十分であった
9 障害なし ドルミカム
フェンタニル
不明
不明
シリンジポンプの薬液交換時にドルミカム5A+生食40mlと記載するときに、フェンタニル5A+生食40mlと記載した。 思いこみで記載したため。 薬液交換時、ラベルに薬品名を書く時も、実施時同様に指示表を照合し確実に行う。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
10 障害なし フェンタニル 不明 フェンタニルを皮下持続中、追加時に病棟看護師とポンプチェックした際に翼状針が皮膚を貫通していた。 観察不十分 入退室時、処置前後のルート確認の徹底。
  • 観察が不十分であった
11 障害なし オキシコンチン 不明 外泊中のオキシコンチン10mg内服忘れ。 家族を含めての指導・内服の必要性についての説明が不十分であった。 十分に説明をする。
  • 患者・家族への説明
12 障害なし フェノバール 不明 投薬するはずのフェノバールの内服の指示がなく、投与しなかった。 患者の内服薬(持参薬)の情報収集不足。 持参薬を使用する場合は、指示の確認だけではなく、家族とも確認をしていく。
  • 確認が不十分であった
13 障害なし オキシコンチン 不明 麻薬オキシコンチン10mg1Tを飲ませ忘れた。 指示表の確認不足。 患者の情報収集をしっかり行い、申し送りで麻薬服用患者を確認することを徹底する。
  • 確認が不十分であった
14 障害なし マンニトール注射 不明 マンニトール注射20%500mlを10時間で投与する指示であったが、5時間で全量投与してしまった。 実施中の観察不十分。 ラウンド時、滴下を再調整する。決められているマニュアルを順守し、危険なことと意識しながら輸液管理を行う。
  • 観察が不十分であった
15 障害なし ドブポンシリンジ 不明 ドブポンシリンジ1.0ml/Hの三方活栓が閉塞されており、投与されていなかった。 チェック表の確認が不十分であった。 ルートは手でたどって確認する。
  • 観察が不十分であった
16 障害残存の可能性なし 塩酸モルヒネ(50) なし 多発性肝膿瘍にて入院中の患者。疼痛コントロール目的にて11時20分より、塩酸モルヒネ(50)1A+生食45mlを0.4ml/h(約5日間の投与の計算)投与の指示をその日の当直医より指示を受けた。(医師指示簿、オーダリング上でも上記薬剤での投与との指示あり)薬剤部から病棟に上がってきた時点で看護師のダブルチェック施行したが、薬剤を調剤する際、伝票の確認、看護師ダブルチェックをせず、原液のみで作成をしてしまった。塩酸モルヒネ(50)1A/5mlの原液での投与を末梢ルートの側管より11時20分~0.4ml/hで開始してしまった。その後準夜帯スタッフへと引き継ぎ、18時40分にシリンジポンプの投与終了のアラームが鳴り準夜スタッフ訪室し、発見に至った。すぐに当直医へ報告。患者は傾眠傾向であったが、Bp93/62、P90~100、R7、SPO2 95、声かけにて容易に反応があった。そのまま18時40分にモルヒネ投与を終了とし、経過観察となった。 多忙にて調剤時ダブルチェックをしなかった。基準に沿った調剤方法でなかった。調剤時、原液投与に疑問を持たなかった。 麻薬取り扱いについての基準の見直し、徹底。RCA分析事例とし、カンファレンスにて病棟内で情報共有し、今後の麻薬取り扱いについて知識・技術を身につけていく。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
17 障害なし ソルデム3A 不明 ソルデム3AG50mlの急速投与。 観察不十分。 1分間の滴下を合わせ、10分後も必ず確認を行う。
  • 観察が不十分であった
18 障害なし プルセミド テトラミド 不明
不明
与薬忘れ。 患者状態の認識不足。 患者の状態を把握し、内服薬の飲み込み確認を行う。
  • 確認が不十分であった
19 障害なし コニール アーチスト
シグマート
プレタールOD
ミヤBM
不明
不明
不明
不明
不明
食後の内服薬を投与し忘れた。 食後薬を配膳時に床頭台上に置き忘れた。 内服後には、飲み込んだことを確認し、すぐにその場で実施サインをする。
  • 確認が不十分であった
20 障害なし ソルデム3A 不明 輸液の急速投与。 観察不十分。 10分後確認を必ず行う。
  • 観察が不十分であった
21 障害なし ゾシン静注用4.5 大鵬薬品 抗生剤スルバシリンを投与していた。発熱軽減しないため、20時から抗生剤ゾシンに変更となった。指示はゾシン450mg+生食10mlを30分だったが、ゾシン4.5g+生食10mlの希釈で準備されており、そのとおり溶解し投与してしまった。 注射係が450mgを4.5gと思いこみ請求した。ダブルチェックしてセットすることになっていたが、行わなかった。希釈しないと思いこんでいたので、希釈方法を記載した「札」を準備しなかった。深夜看護師は相手チームの看護師とダブルチェックしなかった。薬剤の知識が少なかった。 薬剤の知識習得の勉強会開催。ダブルチェックの方法を再確認。希釈札をなくして、指示簿に希釈方法を記載する。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
22 障害残存の可能性なし スロンノンHI注10mg/2ml 第一三共 患者は脳梗塞で緊急入院し、通常別部門で治療する病状であったが、今回は当該ICUに入室した。入室後、医師は当該ICUのオーダー画面に、本来「スロンノンHI注6A(12mL)+生食36mL 2mL/hr」と入力するところ、「スロンノンHI注6A(12mL)+生食36mL 24mL/hr」と誤入力した。看護師は、準備から投与まで注射指示簿とオーダー端末画面を照合し、投与を開始し、翌日転棟までに3回交換した。転棟後に病棟看護師が指示簿を見てスロンノンの量の多さに気付いた(通常1日6A投与するところ、17時間で51A投与)。 一般病棟とICU部門の注射指示入力画面の違い(点滴速度と交換サイクル(投与時間)の画面の位置が異なる)。
注射入力した医師は、3ヶ月前に当該医療機関に戻り、当該ICUのオーダー端末画面での指示入力は11ヶ月ぶりであった。正確に投与することが必要な薬剤であるため、処方欄とは別のコメント欄に投与日時は記載していたが、投与量は記載していなかった。
当該ICUの看護師は2年ぶりに「スロンノンHI」を使用したため取扱いに不慣れで、作用・副作用は調べたが一日投与量までは調べず、過剰投与に気付かなかった。
夜間のため、当該医療機関では、請求伝票でスロンノンを請求した。この場合、当該医療機関では薬剤の鑑査がなかった。
オーダ端末に入力を行った際は指示内容を再確認してから確定を行う、重要な薬剤を入力した場合はオーダ端末のコメント欄に投与日・投与時間・投与量を記載する。ICUと一般病棟はオーダシステムが違うため、操作に十分留意して入力を行う。
看護師は扱い頻度の少ない薬剤を扱う際は、必ず作用・副作用・禁忌・処方量を調べる。また、扱い頻度の少ない薬剤を投与する場合は、投与前に医師と5Rの確認を必ず行う。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
23 障害なし フィニバックスキット 未記入 A患者には、1時と7時の抗生剤の指示が出ていた。7時の抗生剤の指示の情報収集は行えていたが、1時の分の抗生剤の指示を見落としていた。深夜帯の点滴を他の看護師に薬剤カートから準備行ってもらい、ネット上で点滴の確認を自己にて行った。現在の点滴の確認は点滴をセットした看護師と、当日点滴を投与する看護師だけでチェックすることになっており、当日薬剤カートから出された分だけはE‐カルテで自分でチェックしていた。9時に日勤の看護師から薬杯カートに1時と7時の分の抗生剤が残っており未投与であると指摘を受けインシデントが発覚する。主治医に状況報告し、1時の抗生剤はいかずに7時の抗生剤をすぐに投与するよう指示を受ける。抗生剤を投与開始する。
  • 点滴の実施後に点滴未投与がないか確認を行えていなかった。
  • タイムスケジュールに記載する際、情報収集不足であった。。
点滴実施後は、オーダー状況で点滴更新したか、見落としがないかを20時と23時と、2時と6時に確認を行う。
点滴は準備後にすべてオーダー状況を見て、、情報の取り忘れがないか確認を行う。
  • 確認が不十分であった
24 障害なし パーヒューザミン 日本メジフィジックス 骨シンチグラフィの検査目的の外来患者に対し、核医学検査室でTc-99m HMDP(市販名:クリアボーン)555MBqを注射する予定であった。注射担当医が同薬剤を調剤室から持ち出す際に、調剤室に並べて置いてあった他患者用の脳血流測定剤のI-123 IMP(市販名:パーヒューザミン)167MBqを誤って調剤室から持ち出した。
注射直前に、患者に患者氏名と検査名の確認を行ったが、薬剤のラベル確認を怠ったために、I-123 IMP(市販名:パーヒューザミン)167MBqを誤投与してしまった。
調剤室では薬剤を患者毎に分けて準備していたが、両製剤は外容器、中のバイアルの形状がほとんど同じであり、外容器の上面および側面のラベル記載のみが異なっていたため、誤って調剤室から持ちだしてしまった。
  1. 放射性医薬品はRI貯蔵室から移動する際、検査ごとに取り出す。
  2. 取り出した放射性医薬品は検査別のトレーに入れ分類する。各トレーには大きな文字で検査名もしくは医薬品名を表示する。
  3. 同一製剤で違う放射能量がある時は放射性医薬品ごとに患者様の名前を記載し、投薬時に照合を行う。 肝アシアロと肝胆道シンチのように紛らわしい時も同様に取り扱う。
  4. 1人で同時刻に2つの検査を担当しないようにする。やむを得ず1人で担当する時は、投与時間をずらすなど事前の準備を入念に行う。
  • 確認が不十分であった
25 静脈注射予定のキロサイドを髄腔内投与したため、今後の影響についての状況予測が困難 キロサイド 73.65mg 日本新薬 <発見者および当事者の対応・状況>
 原疾患治療のためメソトレキセート12.5mg、水溶性ハイドロコートン25mgを髄腔内に、キロサイド73.65mgを静脈内に注射予定であった。実際の髄腔内投与を行う際に、準備段階で薬袋の中央に記載されている、同日無菌調剤が行われている他の薬剤(メソトレキセート、ハイドロコートン)を薬袋内の薬品と誤認し、本来、静脈内投与すべきキロサイドを髄腔内投与した。投与時には取り違えに気づかず、後にキロサイドを静脈内に投与しようとした際、髄腔内に投与すべき薬剤が薬品棚に残っており髄腔内にキロサイドが入ったことが判明した。今回の事故以降の治療は一旦中断し、キロサイドの副作用軽減のためデカドロン3.3mgを静脈内投与した。
<患者の状態>
 以前に行った髄腔内投与に比較して嘔気が強いなどの症状が認められたが、現時点では嘔気以外に中枢神経症状やけいれん、意識障害などは認めていない。
  • 抗がん剤の髄腔内投与を含め、化学療法を行う際には量の確認、投薬経路の確認を複数のスタッフで行い、取り違えがないように注意徹底する。
  • コンピューター、PDAでの照合を確実に行う。
  • 開始前に、医師、看護師、関係スタッフがタイムアウトを行う。
  • 薬袋の表示を見間違いしにくいような表示に変更してもらうように薬剤部・医療情報部に依頼する。
  • 抗がん剤の髄腔内投与を含め、化学療法を行う際には量の確認、投与経路の確認を複数のスタッフで行い、取り違えがないように注意徹底する。
  • コンピューター、PDAでの照合を確実に行う。
  • 開始前に、医師・看護師。関係スタッフがタイムアウトを行う。
  • 薬袋の表示を見間違いにくいような表示に変更してもらうように、薬剤部・医療情報部に依頼する。→薬袋表記改善済み
  • 確認が不十分であった
26 障害残存の可能性がある(低い) ワーファリン錠1mg エーザイ ワーファリン6mg投与の指示があった。胃ろうよりの注入のため、ワーファリンは粉砕だった。薬包にはワーファリン1mg、5mgと表示してあった。当事者は表示を見て、1mgのパッケージであると思い、6包取り出し、30mgを胃ろうから注入した。翌日、過量投与を発見する。PT-INR値4.53と上昇のため、ケイツーN10mgを投与し、その日のワーファリン投与は中止となった。その後、患者に出血徴候はみられていない。翌日よりワーファリン内服は再開となった。 取り出した薬包が1mgであると思い込み、処方箋、薬包内容量の確認を怠った。 投与時には処方箋と薬包に記載された薬剤名と1日量を確実に確認する。薬包の薬剤名と内容量の表記について、検討する。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
27 障害残存の可能性なし ワーファリン エーザイ 外科化学療法目的で2泊3日入院となった。心房細動で循環器内科を受診し同日の入院であったが化学療法に伴い循環器治療薬の指示変更内容が外来カルテに記入されていた。(メインテート50mg→2.5mg,ワソラン80mgOFF,ワーファリン3mg ○日までOFF,ラシックス40mg→20mg,セララ100mg→50mg)入院後、看護師は持参薬のないようを持参薬表に記入し患者へ与薬した。○日持参薬の一部がなくなるため外来カルテを見たところ上記指示を発見し誤薬に気付いた。
  1. 入院後の医師の指示不足(外来カルテの記録は指示ではない)
  2. 入院時の持参薬の指示確認不足。
1.持参薬取り扱いの周知徹底
  • 医師の指示を確認して与薬する
  • 持参薬表(転記)は使用しない
  • 薬剤不明時は検薬に出す
  • 入院時指示表に持参薬の確認欄を作る。
  • 確認が不十分であった
28 障害残存の可能性がある(低い) ノボヘパリン注 持田製薬
  • 難治性気胸に対して、気胸根治術を行ったが、術後挿部からの出血があり、おそらく動脈性の出血であろうとのことで肺動脈塞栓術予定となった。
  • 注射指示箋 控えの内容が「静脈内注射  ヘパリン5千単位2瓶  カテ室持参  出棟1時間前に」の文字の下に線がひかれていた。医師指示は検査室持参だったが、1時間前に投与する抗生剤があり、ヘパリンも静脈注射するものと勘違いし実施した。
  • カテ室で検査室看護師に引き継ぐ際間違いが発見された。
  • すぐにプロタミンの投与を開始した。
  • BAE治療への知識不足
  • 患者の病状の理解不足
  • 昼の交代休憩中のため、確認する相手が見当たらなかった。他看護師に確認できていない。
  • 3点認証未実施・・・ヘパリンは検査室での実施のため、病棟では認証できない。3点認証していれば、エラー等の表示が出たはずである。
  • 電子カルテ上の通信エラー・・・改修すみ
  • ダブルチェックする薬剤の再確認と徹底
  • 治療処置の教育
  • 3点認証を実施
  • 「注射指示箋 控え」はあくまでも注射払い出し伝票である。
  • 看護師は医師指示簿かワークシートをみて実施する。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
29 障害なし レベミル 不明 レベミル皮下注を自己注射の患者。
8単位から4単位へ減量の指示が出たので口頭での説明をしたが、減量していなかった。
判断ミス 指示変更時は患者管理であってもわかりやすいようにすること、実施後の確認は投与量までも確認していく。
  • 患者・家族への説明
30 障害残存の可能性がある(低い) ノルアドレナリン 製造業者不明 冠動脈バイパス術後ICUへ入室、入室直前に手術室から、今からICUに行きますとの連絡はなかった。麻酔科医Aが、手術室からつながってきた薬剤を確認しながら、CVラインの付け替えを行った。2又ラインにシリンジポンプから薬液を満たしたあと、CV白よりメイン、CV青よりドブタミン、ノルアドレナリンをつないだ。2又ラインをオノアクト、ハンプで満たし、その後シグマートを満たそうとして1mLフラッシュしたが、薬液が満たされないため、確認したところ、すでにCV青よりつないであるノルアドレナリンラインと、シグマートラインがつながった状態であり、ノルアドレナリンがフラッシュされた状態になっていることがわかったため、周りに血圧がこれから急上昇する旨を伝え、ニカルピンを吸うよう指示した。その後血圧はモニター上、250mmHgまで上昇、心臓外科医Bがニカルピン原液2mLを静注、血圧は90mmHgまで低下した。その際、麻酔科医Aは、術中に入れたドレーンから多量に出血しているのに気づき、輸血の追加確保を指示、輸血の投与を指示し、昇圧剤を使用しながら、輸血をポンピング投与するよう指示し、血行動態の安定をはかり、手術室へ行って再手術をする準備を進めたが、血圧が50‐60台であり、ICU内で心臓外科医により開胸止血術を施行。左内胸動脈が出血源であることがわかり、止血が行われた。その間、麻酔科医Aは輸血を行い、昇圧剤の減量を行い、血行動態は安定した。 通常、手術室からICUに患者を移送する際、手術室から、「今からICUに行きます」という連絡が来るが、今回は来なかったため、薬剤の準備の確認、人工呼吸器の事前の設定などが不十分な状態で、患者が入室した。
通常、CV青よりカテコラミン (ドブタミン、ノルアドレナリン)をまとめて投与、CV緑より血管拡張薬 (シグマート、オノアクト、ハンプ)をまとめて投与するが、今回、薬剤を準備した看護師Cは、ノルアドレナリン、シグマートを2又ラインにセットしてしまった。
通常、麻酔科医がラインのつなぎ替えを行い、すべてのラインを確認しながら行うが、ノルアドレナリン、シグマートが同じラインにつながっているとは思いもよらず、確認しなかった。
安全面から申せば、手術室からつながってきたシリンジポンプをそのままICUで使えるようにする (つなぎ替えをせずに済む)のが最も安全であると考えられる。
手術室からICUへ入室する際、必ず手術室から、これからICUへ向かいます、という連絡を入れるようにすること。
薬剤をどのラインから投与するか、患者が入室する前に、必ず医師と看護師で確認を行う必要があること。
麻酔科医がラインのつなぎ替えを行う際、すべてのラインを十分に確認したうえでつなぎ替えること。
手術室とICUのシリンジを同一のものにして、シリンジポンプも同一のものを使用するようにすること (ICUでラインのつなぎ替えが必要なくなる)。
  • 確認が不十分であった
  • 連携
31 障害なし ランタス 不明 朝、ランタス8u投与忘れ。 確認不足。 確認作業の際、情報収集用紙に確実に記入し、忘れないように注意する。
  • 確認が不十分であった
32 障害なし バイアスピリン 不明 バイアスピリン内服中止であったが、内服してしまった。 患者管理の内服薬であった。
申し送り時の伝達ミス。
再度、必ず確認する。
  • 確認が不十分であった
  • 連携
33 障害なし プレドニン
アムロジン
不明
不明
他患者の内服薬である、アムロジンOD(2.5)1T、プレドニン(5)1Tを内服させてしまった。 確認不足。 指示語などあいまいな言葉を使わない。
マニュアルの順守。
  • 確認が不十分であった
34 不明 - - 患者は,深夜から呼名に反応するが,すぐに目を閉じる状態で,K値は5.8,アンモニア値が147であった。
16時40分 緊急CTを行い,脳に器質的病変は無いが,肝萎縮があり,肝硬変が疑われた。
17時40分 家族に,CTの結果と抗癌剤治療が原因と思われる肝不全の状態になっている。そのため,アンモニアが上昇,意識が混迷し,コミュニケーションが取れにくくなってきていると主治医より説明があった。主治医は消化器内科医師に肝不全からの肝性脳症の治療をコンサルトした。
20時30分 医師はアミノレバン200ml+50%gl 20mlの追加指示をした。看護師Aは医師から注射指示箋を手渡しされ,薬剤部へ電話連絡し,薬剤を受け取りに行った。薬剤部では,当該患者の時間外処方が入力され,払出し明細表(病棟用・薬剤部用)及び注射処方箋が出力されていた。薬剤師はこの間問い合わせや他科依頼の注射払出しを行っていた。その後急がなければとあせる気持ちのまま出力されていた当該患者の注射処方を読み,アミノレバンを名称類似薬であるアミグランドと勘違いして保管場所から取り揃えた。さらに,アンプルピッカーで調整された大塚糖液50%20mlの入ったラベル付き薬袋を輸液に貼付する際にはラベルと薬剤を照合すべきところ,高カロリー輸液に少量のブドウ糖液20mlを加えなければいけないのだろうかとの疑問を持ち,そのことに気をとられラベルと薬剤の照合が不十分なまま搬送用ボックスに入れ,看護師が来る時のために準備した。その後の薬剤搬送時の対応については曖昧である。病棟看護師Aは,薬剤師からアミノレバンですよね,と言われ,はい,と返事をし,注射ラベルを見て薬剤を搬送用ボックスに入れ,病棟に戻った。指示箋と50%gl 20mlを照合しミキシングを行った。看護師はダブルチェックしていない。
21時10分 ミキシング後,病室に行き輸液ポンプで流量40ml/h,積算量220mlと設定し側管から持続点滴を開始した。
22時・23時・24時 看護師Aは巡回時点滴流量と積算量を確認した。
2時 深夜勤務者Bは,看護師Aから申し送りを受け,患者の点滴が終了する頃だと思い病室に行った。輸液ポンプの流量は,40ml/hで積算量187であったが,本体の残量が多くアミグランド500mlであることに気がつき当直医に報告した。薬剤部に払い出されたボトルが違っていたことを連絡し,再処方された。
2時25分 アミノレバン200ml+50%gl 20mlが開始となった。
3時 患者の状態は呼名に反応なく,呼吸不規則,対光反射緩慢であった。肝硬変・肝不全による高アンモニア血症の診断で治療の継続を行った。2日の検査データの推移は,3時 K:5.2,6時 K:5.3,アンモニア:367,CA19:7331,13時 アンモニア:292であった。その後の経過は,出血傾向ありFFP-LR施行,酸素投与開始,K:5.5。DICの状態となり,改善することなく,死亡退院となった。
薬剤師は,業務が重なり,多忙だったため,思い込みで間違った薬剤を払出してしまい,受領した看護師はダブルチェックを行っていなかった。
  1. 業務が重なり忙しい時でも,落ち着いて処方箋を読み,処方箋と薬剤の照合は確実に行い,安全を優先した調剤を行う。
  2. 名称類似薬間での過誤であることから,アミで始まる薬の中で特定できるアミノレバンについて,アミノレバン(肝不全用) と処方箋名称表記を変更し,類似名称及び思い込みによる取り違えを防止する。
  3. 薬剤部が一人勤務体制時間帯は,可能な限り薬剤搬送時に他の医療従事者とダブルチェックを行う。
    →薬剤受領の際に,薬剤師と薬剤受領スタッフが,医薬品商品名・規格について指差呼称で確認を行う。
  4. 普段使用しない薬剤・始めて使用する薬剤は,作用を知り,スタッフ間で用法・用量等について指差呼称で確認を行い患者に使用する。
  5. 新採用者には,先輩看護師からダブルチェックを働きかけ,聞きやすい環境を整える。
    →使用前に,先輩看護師と,医薬品商品名・規格・用法・用量等について指差呼称で確認を行う。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
35 障害なし 0.5gイソゾール 日医工 発作性心房細動出現したため循環器内科当直医にコンサルトしたところ、輸血、抗不整脈薬投与により経過をみて、翌朝の時点で心房細動継続している場合は、電気的除細動を施行する方針となり、電気的除細動を施行する際に必要なイソゾール0.5gを翌朝9:00静脈注射というオーダーで準備した。
医師指示後投与の記載をしていなかったため、看護師が9:55に投与を行ったところ、呼吸抑制をきたして意識レベルが低下した。その後イソゾールの影響はなくなり、意識レベル・呼吸・血圧に問題なく経過した。全身状態は安定しており、腎炎・消化管出血・感染等が安定すれば、今後退院可能と考えられていた。しかし、その後原疾患による間質性肺炎であり、イソゾールとの関連性は認められなかった。意識レベル低下時直ちに対応にあたり気道確保及びバックバルブマスクにて補助換気を行った。SpO2はすぐに100%に上昇、血圧も120程度に回復。呼吸は徐々に自発呼吸が回復、30分程度で意識レベルも回復した。その後は意識レベル、呼吸、血圧に問題なく経過した。しかし間質性肺炎の状況は非常に厳しくステロイドパルス療法を行ったが、次第に状況悪化し死去された。
情報伝達、情報共有の不備があった。また、薬剤処方の際のコメント記載を怠ったため生じた事故と考えられる。再度医師および看護師間で情報共有の徹底を行う。処方や検査のオーダーを出す際には再確認を怠らず、またリスクのある薬剤処方の際には細かなコメントを必ず記載する。 治療計画について看護師サイドに正確に伝達を行う。指示については間違いがないか再確認する。伝票や継続指示に、治療方針の記載や、薬剤投与の際の注意点などを確実に記載するようにする。
  • 確認が不十分であった
  • 記録等の記載
36 障害なし オキシコンチン 不明 オキシコンチン10mg1Tを紛失した。 錠剤をチャック付きビニール袋に入れる時、上向きにして取り出そうとして床に落としてしまった。 確認後、その場で薬剤を出さず患者の所に持っていき、トレイの上に手を置いてその場で出して飲んでもらう。
  • 確認が不十分であった
37 障害なし ニューモバックスNP MSD 自治体からの予防接種委託事業であり、請求書を自治体に提出した。午後、自治体の担当者から2歳未満の小児にニューモバックスを誤接種していると連絡があった。確認したところ1歳5ケ月児、6ケ月児と7ケ月児、10ケ月児の計4名に、ニューモバックスを誤接種していることが判明した。
  1. 医師が2歳未満の小児にニューモバックスを接種してはいけないという認識がなかった。
  2. 薬剤師が接種者の年齢を確認せずに1人で払い出した。
  3. 医薬品安全情報が医師に周知されていなかった。
  1. 医師に対して、新規採用ワクチンを採用する場合は、医薬品情報について周知・徹底できる体制を構築する。
  2. ワクチンの受付・払出時には、複数の薬剤師により予防接種予約表の生年月日と年齢で確認する業務を徹底するシステムを構築する。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
38 障害なし プレドニン
タケプロン
不明
不明
プレドニン・タケプロンの内服が隔日投与だったが、指示は連日になっていたため連日投与してしまった。 外来での指示等の確認不足。
情報の共有ができていなかった。
確認を怠らない。情報の共有。
  • 確認が不十分であった
39 障害なし ラクテック 不明 12時から24時予定のラクテック500mlが15時に終了してしまった。 点滴交換後、10分後確認は行ったが、滴下速度しか確認しなかった。
交換時患者が50-60度ベッドアップしていたこと、また腕を滴下の一番良い位置で合わせなかったことで急速投与に至ってしまった。
10分後確認の際には、滴下を合わせる時に腕の伸展を確認し、滴下の一番良いところで速度調節をする。
  • 確認が不十分であった
40 障害残存の可能性なし スルバクタム・アンピシリン静注用1.5g「サンド」 サンド ERCP目的で入院。
10:00アレルギー確認せず主治医がスルバクタムアンピシリンを処方。
看護師がアナムネ用紙を元にアレルギー歴にサワシリンカプセルと記載。
ERCP後に1回、翌日午前中に1回 スルバクタムアンピシリン投与した。
投与後、発疹に気が付き中止した。
主治医報告し、皮膚科コンサルト。薬剤アレルギーとして加療開始。
本人・家族には事実を説明。了解された。
数年前の救急外来受診記録には「患者の問診よりペニシリンアレルギーあり」の記載あったが、アレルギー情報に登録していなかった
抗生剤投与前のアレルギーチェックができていない
電子カルテのアレルギーチェック機構について理解されていない(アレルギー情報を電子カルテに登録する際に該当薬剤は共通マスタ検索より選択するが、共通マスタ検索の薬品名入力時、半角のところ全角入力したり、同じ薬剤で規格が異なるとマスター番号が違うのでヒットしない、ということが理解されていない)
アレルギー登録の徹底を指導
アレルギーチェック機構についての周知
抗生剤使用時の基準の改定(抗生剤使用時のマニュアルを分かりやすいフロー式に改訂)、職員に再度周知した。
  • 確認が不十分であった
41 障害なし ハイドロコートン
ネオフィリン
不明
不明
輸液(生食100ml+ハイドロコートン200mg+ネオフィリン250mg1A)を急速投与。
点滴開始10分で残30mlとなった。
ルールの不徹底。
研修医が1人で点滴を挿入し、固定後すぐに電話にでてしまい急速投与となった。
ルールの順守。(ルート挿入時に介助する決まり)
  • 判断に誤りがあった
42 障害なし 不明 不明 術前、塩酸バンコマイシン0.5g+生食100ml投与のところ、他患者のクラフォン1g+生食50mlを誤投与してしまった。 パソコンのLANが届かず、点滴の患者認証点を、点滴のシールを見て、ナースステーションでIDを手入力してしまった。
その際、他患者のシールを見て行ったため誤認証されてしまった。
マニュアルの順守。
  • 確認が不十分であった
43 障害なし ナオタミン 不明 5%ブドウ糖500mlにナオタミン(50)3Vの指示であったが、1Vしか溶解せず、投与した。 指示表の確認不足 指示内容を再度、指さし声だし確認をする等、マニュアルを順守する。
  • 確認が不十分であった
44 障害なし エクセグラン錠100mg 大日本住友 入院時持ち込み薬を薬剤部で確認。抗てんかん薬25mg1錠服用されており、本人が内服している薬は、当院ではエクセグランという名前で入っていた。医師はそれを確認し、エクセグラン1錠を処方した。2週間後、再度処方しようとした際、病棟薬剤師より、「当院のエクセグランは規格が100mgである」と言われ、2週間過剰投与していることが発覚した。 当該事例では、患者が入院した際、看護師は患者から持参薬を受け取り、他院の紹介状にある内服薬の処方せんを見て数を確認、院内規定の持参薬鑑別依頼書に記入し、病棟から薬剤部へ持参薬の確認を依頼した。
薬剤師は持参薬を確認した「持参薬一覧表・指示表」を作成した。
持参薬のうち、「トレリーフ」は当院非採用だったため「持参薬一覧表・指示表」の当院採用の有無の欄に「×」とし、同一成分(ゾニサミド)の薬剤を「ポケット医薬品集」で調べた。トレリーフのところに、矢印で「同エクセグラン」と記載があるのを見て、「持参薬一覧表・指示表」の薬剤師コメント欄に「同エクセグラン」と転記し病棟に送った。
医師は「持参薬一覧表・指示表」をもとに処方入力する際、エクセグランの規格100mgが表示されたが、トレリーフは1回1錠と記載されていたのでエクセグランも1錠でいいと思った。
薬剤師による服薬指導は初回処方時、土曜日であったため行われなかった。3回目の処方時に持参薬を鑑別した薬剤師が間違いに気付いた。
規格を記載するよう「入院時持参薬取扱いマニュアル」を変更する。
専門外の薬が持参薬にある場合は必要時専門の診療科に依頼する。
処方入力時の規格の確認の徹底。
初回処方の際、看護師は持参薬と処方せんを確認する。
持参薬から院内で薬剤が処方された場合は素早く薬剤師が介入するようマニュアルを変更する。
  • 確認が不十分であった
45 障害残存の可能性がある(低い) なし なし 局所的に治療を施行しており、放射線治療と動脈注射による化学療法施行中の患者である。右浅側頭部動脈よりカニュレーション中であり、3クール目のケモ予定であった。9時に末梢から生食500を開始した。12時からタキソテール、13時からランダを動脈注射より滅菌操作で医師と共に施行予定であった。11時30分に歯科医師と注射オーダーを確認しながら抗がん剤を調剤した。13時からもランダの動脈注射があったため、看護師Aは11時45分にシリンジポンプにタキソテールを設置して、末梢の三方活栓に接続した。看護師Aが13時からのランダを12時30分に調剤するため、11時45分、看護師Bに抗がん剤タキソテールシリンジポンプを12時から50ml/Hで開始するよう申し送り休憩にはいった。看護師Bは12時からタキソテールを開始した。12時30分に看護師Aが休憩終了し、歯科医師から「抗がん剤を接続しよう」と言われ、動脈注射からのタキソテールを末梢から接続したことに気付いた。患者のもとへ行き抗がん剤を止めた。本来なら、滅菌操作で医師と看護師が動脈注射に接続するものであった。 指示書と注射オーダー控えを確認したときに、動脈注射を末梢と勘違いした。 抗がん剤の接続は必ず担当看護師が行う。ライン類が区別できるよう表示する。
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
46 障害残存の可能性なし 塩化ベンザルコニウム 試薬 結晶状 100g SIGMA 院内製剤(点眼剤基液)調製時、薬剤師Aは原料のひとつである「塩化ベンザルコニウム」を0.067g秤量すべきところ、10倍量を秤量してしまい、薬剤師Bは確認時に誤りに気付かなかった。
2ヵ月半後、添加濃度を誤ったことに気がつかないまま誤った組成の基液を用いて、眼科外来で処方された院内製剤(点眼薬)を調製した。その後、その点眼薬を使用した複数の患者から、点眼時違和感があるとの訴えがあり、眼科医が診察をしたところ、角膜上皮障害が認められた。薬剤部で直ちに製剤の成分分析を行ったところ、塩化ベンザルコニウムが約10倍量含有されていることが判明し、基液調製時の添加濃度間違いが明らかになった。患者に発生した角膜上皮障害は、添加濃度を間違えた点眼薬の使用を中止したことにより回復し、現在は正しい製剤の使用を再開している。塩化ベンザルコニウムは点眼薬に汎用される保存剤であり、0.001~0.02%添加される。0.04%以上で角膜上皮障害が報告されているが、今回用いられた製剤の添加濃度は0.05%である。
製剤時に詳細な作業手順書を出力し、原料秤量は作業者がダブルチェックして署名している。今回、必要があって製剤全量を基本単位量の0.67倍(1500mL→1000mL)に変更したため、当該薬の秤取量0.067g(基本単位量0.1g×0.67)の近傍に紛らわしい倍数0.67が印字されることになり、秤取者も確認者も0.67gと思い込んでしまったと考えられる。
また、原則として同時に同室で複数の製剤を行わないことにしているが、直前に行った製剤において機器トラブルが生じて長引き、別の担当者が同室で調整に当たっており、集中しにくい環境にあった。
  • 作業手順書の秤取量の印字の欄に、実際の秤取量を作業者が記入し署名する。
  • 製剤は、必ず2人以上で行い、一つの製剤が終了してから次の製剤にとりかかるようにし、同時に複数の製剤を並行して行わない、という原則を遵守する。
  • 今後、製剤業務への秤量監査システム(*)の導入を検討する。

*秤量監査システム
薬剤瓶にバーコードを付しておき、薬剤を秤量する時にこのバーコードを認証することで、オーダー情報などにある薬剤名や秤量した量を照合して 警告や記録が可能なシステムである。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
47 障害残存の可能性がある(低い) アマリール1mg錠 サノフィ・アベンティス株式会社 5時30分頃に内服薬の入ったシリンジのトレーをワゴンから取る際に患者氏名を確認せずに、隣にあった別の患者のものを取り、そのまま患者へ注入した後で誤薬に気づく。5時35分に病棟リーダーに報告し、5時40分に病棟リーダーから当直医師と当直師長へ報告する。医師より経過観察と指示される。8時40分主治医が来棟し血糖チェックの指示があり、血糖チェックと点滴を実施し、その間意識障害、神経症状がないことを確認し、血糖管理終了となる。 内服薬の入ったシリンジのトレーをワゴンから取る際に患者氏名を確認せずに、隣にあった別の患者のものを取り使用する。 患者が氏名を名乗ることが不可能であるときは、ベットサイドとトレーのネーム確認は怠らない。
  • 確認が不十分であった
48 障害なし 5-FU注250協和 協和発酵キリン (事例概要)
5FU3000mgを46時間かけて投与の予定が24時間で投与するよう注射指示伝票を間違って記載し実施された。
(経過)
数年前に子宮がん(子宮全摘)直腸癌(右半結腸切除、低位前方切除術)。1年前からmFOLFOX6 + Bevacizumab(アバスチン)による化学療法開始
  1. mFOLFOX6 + Bevacizumabレジメン
    今回、外来受診し、上記の化学療法が無効となったため、mFOLFIRI + Panitumumab(ベクティビックス)にレジメン変更を決定し、入院し化学療法予定とした。
  2. mFOLFIRI + Panitumumabレジメン
    入院、採血し全身状態確認 (白血球6000 ヘモグロビン11.7 血小板34.7万)

主治医が化学療法剤投与予定表、注射指示伝票を記載した。この際、化学療法剤投与予定表には本来持続投与であったが3日間連日投与するかのように記載し、また、注射指示伝票の持続5FUの投与予定時間を46時間にすべきところを24時間と間違えて記載した。
薬剤師C、薬剤師Eが監査し、薬剤師Eが薬剤をミキシングし、薬剤師C、薬剤師Dで最終確認した。
16:00 病棟に薬剤が届いた時点で看護師Aは、外科医師(6年目)とともに化学療法剤投与予定表と注射指示伝票と薬剤を確認(患者名、薬品名、投与量)し、化学療法を開始した。
19:30 看護師A、看護師Bが、注射指示伝票を確認し、指示通りに、5FU 3000mg + 50%ブドウ糖 4A + 生食1000mlを輸液ポンプを使用し24時間の速度で開始した。
翌日15:30頃 看護師Aが化学療法剤投与予定表を確認し、本日も5FUが投与される思い、点滴が病棟に届いていないと薬剤部に問い合わせた。薬剤師が登録レジメンと注射指示伝票を確認し、医師の指示の間違いを発見した。病棟医師に報告、患者状態を確認し特に問題なし。発覚時に残液200mlあったが、速度を落として合計46時間投与とすることとした。
19:00 腫瘍・血液内科診療部長が診察、残りの薬剤は廃棄し、化学療法を中止 (残液197ml程度)。翌日、白血球3000台 ヘモグロビン11.0 血小板30万台 患者状態問題なかった。その2日後、白血球2000台(ヘモグロビン、血小板は変わらず)にてグラン開始(3日間予定)。グラン開始後3日目、白血球12500 ヘモグロビン11.5 血小板20万にて退院。
  1. 本来のレジメンは、5-FU 3000mgを46時間かけて投与するものであったが、24時間での指示となっていた。
  2. 化学療法剤投与予定表の記載方法は、医師によって違いがあり投与予定表には、投与時間がわかる記載がされていなかった。また、持続投与に関する記載方法も決められたものが無かった。
  3. ミキシング担当薬剤師は、監査の際に投与時間の記載間違いに気づかなかった。ミキシング前に、薬剤師2名で登録レジメン、化学療法剤投与予定表、注射指示伝票をもとに監査したが、投与時間の確認はされなかった。
  4. 看護師は、薬剤が病棟に上がってきた時点で化学療法剤投与予定表との照合をしているが、投与時間の確認はしなかった。
  5. 今回、レジメンの変更があったが、主治医は「化学療法実施に関する説明・同意書」を取得していなかった。
  6. 本レジメンは昨年から開始されており、これまで7人の患者に実施されていた。

(問題点)
  1. 主治医が投与予定時間の記載を間違えた。
  2. 薬剤師による監査、ミキシングが行われたが、チェック機構として投与時間確認がもれていた。
  3. 薬剤の変更にあたり、「化学療法実施に関する説明・同意書」が取得されていなかった。
  4. 化学療法剤投与予定表の記載方法は医師によって違いがあり、投与時間のわかる記載もされていない。
  5. 投与前の医師・看護師による確認の際に、投与時間確認がもれていた。
改善策
  1. レジメンを十分に確認しての伝票の記載・レジメンオーダリングシステムの早期全面稼動
  2. 薬剤師によるレジメン監査時の薬剤投与時間確認の徹底
  3. 治療レジメン変更時の「化学療法実施に関する説明・同意書」取得の徹底
  4. 化学療法剤投与予定表の改訂(投与時間を記載する欄を新たに設ける)・化学療法剤投与予定表記載方法の統一
  5. 化学療法に関する使用者向け講習会開催
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
49 障害なし 注射用 エンドキサン500mg シオノギ製薬 (事例概要)
エンドキサン1000mgを3週間毎に1回投与すべきところを1週間毎に2回投与した。
(事例経過)
数年前に他院泌尿器科にて前立腺摘出術施行。以後、再発に対し、当院泌尿器科にて放射線療法、ホルモン療法、化学療法(タキソテール)を施行していたが、最近病状の増悪、遠隔転移、局所再発、恥骨転移を認め、定期的に外来通院を行っていた。
今回、外来受診しエンドキサンによる化学療法を行う事を決定。
エンドキサンによる化学療法導入目的で病棟入院。
病棟医は泌尿器科のPC上に登録されているレジメンに従い、エンドキサン1000mg点滴を処方し投与した。
特に問題なく退院。合併症確認のため外来予約をとる。2回目以降の化学療法予定は診療録に記載されなかった。
外来受診。外来主治医は海外出張で不在だった。外来担当医A(4年目レジデント・泌尿器科1年目)が骨髄抑制のない事を確認(白血球8100  ヘモグロビン10.4  血小板21.3万)。同外来担当医は次回エンドキサン投与日が不明であったため、上級医(11年目医師 泌尿器科専門医)に相談したが投与予定の確認が取れなかったため、薬剤部に登録レジメンを確認した。薬剤師(13年目)は、泌尿器科のエンドキサンのレジメン登録は「エンドキサン1000mgを毎週1回、3週投与、1週休薬」のみであることを伝えた。外来担当医A医師はレジメンに従って, 前回施行から1週間後に2回目およびその1週間後に3回目投与日を予定して化学療法予定表を記載した。上級医Bへのレジメンの確認は行わなかった。
2回目の化学療法施行日に担当医C (10年目医師 泌尿器科専門医)が骨髄抑制のないことを確認後(白血球6700 ヘモグロビン10.9 血小板21.1万)外来担当医Aに連絡し、レジメンを確認。薬剤部にも連絡し、登録レジメンを再確認した。エンドキサン1000mgを処方し,外来化学療法室にて投与した。その際1週間後を3回目予定とした。エンドキサン投与時、投与終了後の患者状態は特に問題なく帰宅。
外来担当医Aが外来主治医に投与スケジュールを確認し、エンドキサンが3週毎の投与の予定であった事が発覚した。
15:30 患者へ連絡し、投与スケジュールに誤りがあったことを説明。至急来院,入院の上、採血及び全身状態の観察をさせていただきたいと申し入れ了解された。
19:40 全身管理目的で入院。外来主治医から本人、家族に説明、謝罪を行った。白血球4500 ヘモグロビン10.8 血小板 20.1万 クレアチニン 1.58。食欲不振あり点滴投与開始。腫瘍・血液内科に相談の上、副作用対策としてノイトロジン250ug投与を行った。
次の日、白血球15000 ヘモグロビン10.0 血小板 17.3万。ノイトロジン投与を中止。
全身状態良好。軽度の食欲不振あり。
1週間で白血球10000台から3000台、ヘモグロビン9.8→9.3、血小板;約13万→約16万
食事は9割摂取。退院予定となる。
(患者・家族への説明) 
「3週間に1回投与する抗癌剤を1週間に1回の間隔で投与した。大変申し訳ない。副作用として白血球が減り感染に弱くなる事もある。今後予防的に白血球を増やす治療をしたい。」 家族「連携の不備ではないか。今後このような事が起こらないようにして欲しい。よろしくお願いします」本人からの発言は、特に聞かれず。
  1. 現在登録されているレジメンは、間違ったものであった。
    現行の登録レジメン:1000mg/m2/回を週1回,3週間投与し4週目は休薬
    正しいレジメン:1000mg/m2/回を3週間ごと投与、1週休薬
  2. 入院・外来診療録に投与間隔に関する記載がなかった。
  3. 本治療の経験の浅い医師が、上級医の確認を試みたが回答がなかったため、最終的に登録レジメンを信頼して投与を行った。
  4. エンドキサンへ薬剤変更するに当たり改めて「化学療法に関する説明・同意書」を取得していなかった。
  5. 外来主治医と外来担当医師の連携が不足していた。
  1. 泌尿器科現行登録レジメンの訂正ならびに当院現行登録済みレジメンの内容再確認
  2. 投与薬剤名・量以外に入院、外来診療録への投与間隔の記載
  3. 投与予定表記載時のレジメンを熟知している医師によるダブルチェック
  4. 治療レジメン変更時の「化学療法に関する説明・同意書」の取得の徹底
  5. 化学療法剤投与予定表による情報の共有
  6. 化学療法に関する使用者向け講習会開催と受講の必修化
  • 確認が不十分であった
  • 連携
  • オーダリング時等の誤入力
50 障害残存の可能性なし ミオブロック静注4mg ミダゾラム注10mg MSD
サンド
難治性てんかんの既往がある患児。痙攣発作で救急車にて救急初療室に運ばれてきた。来院時にも強直性の痙攣が持続しており、医師の指示で、ホリゾンを使用し、鎮静したため、CT・レントゲン検査に移動した。CT検査後、レントゲン室内で再び強直性の痙攣が始まったため、医師を呼びに行った。医師の診察後、ドルミカムの口頭指示があった。看護師はドルミカム(ミダゾラム)を金庫(初療室内)に取りに行ったが、思い込みでミオブロックを手にし、レントゲン室へ戻った。医師よりさらに口頭指示で「1Aを生食8mlで薄めてトータル10mlに」と言われた。看護師は注射器にミオブロックの薬剤名シールを貼り、医師に手渡した。3時間経過後医師から指示書をもらい、指示薬剤と使用した薬剤が違うことに気付いた。痙攣の経過観察のため入院をしたが、患者には呼吸抑制等の症状は認めなかった。家族に、医師・看護師から状況説明を行い謝罪した。
  • 口頭指示マニュアルに沿っていなかった。(複唱は実施したが、メモはとらなかった。アンプルを指示した医師に見せてない。手渡す時にも薬品名を複唱していない。医師は、口頭指示をすみやかに電子カルテに入力していない。)
    ドルミカムという現在使用されていない薬品名で口頭指示をうけてしまった(現在採用しているのはミダゾラム注10mg「サンド」)。
    レントゲン室内で処置していた。(薬品金庫にある初療室から少し離れている)。
  • 口頭指示マニュアルの周知方法が個人任せであったり、周知のための説明が不十分であったため、知っている人と知らない人がおり、メモを取ることを知らずメモをしなかった。
  • メモ用紙を携帯する事がルールとして決まっていないため、メモ用紙を携帯しておらずメモをとらなかった。
    A看護師は自分がミダゾラムと分かっているから確認の必要がないためドルミカムが現在ミダゾラムであることを医師に伝えなかった。
  • 採用薬が色々あって院内で統一されていなかったためミオブロックの代替薬(エスラックス)が推奨されておらず冷蔵庫にあったミオブロックを取り出した。
  • メモが存在しないため確認ができずミオブロックのラベルがドルミカムの形状と似ており思い込んでしまいラベルをよく見ず取り出した。・どちらの薬品も金庫で管理する薬品だったのでミオブロックをミダゾラムと思い込みとりだした。
  • 外来の中で「毒薬・劇薬取扱い要綱が」変更になりミオブロックを取り出す時にダブルチェックが必要になったことの通達がなかったため、ダブルチェックを知らず、ミオブロックを取りだす時にダブルチェックをしなかった。
  • セイフティーマネジャーが全医局員に口頭指示マニュアルを伝えておらず、医師は薬品をみて確認するルールを知らなかったため薬品を見なかった。
  • 医師が確認していない時に医師に対して指摘する看護師がいなかったため口頭指示マニュアルに医師が薬品を見て確認するというルールを知らず、見なかった。
  • レントゲン室には安全にトレイを置く場所がなかったため作業廊下で薬を準備しており医師との距離があり薬品を見せなかった。
  • Safety managerが医局員にマニュアルを示して伝えることが不十分だったため、薬品名ラベルを見て確認するというルールを周知することが不十分であったので医師は薬品名ラベルを見て確認するというルールを知らなかったため、医師は「ミオブロック」と書かれたシリンジを見なかった。
診療科医師・外来看護師でRCAによる分析を行う。セイフティーマネジャー会議での事例検討会を実施。
口頭指示マニュアル周知のためのビデオ作成し、デモストレーションを組み入れた研修会の実施。
口頭指示マニュアルの周知徹底
  • 朝のミーティング時にスタッフ全員で口頭指示マニュアルを声に出して読む(毎朝ミーティング時に各科外来全スタッフ)
  • 口頭指示用のメモを作成し活用する。また、常にメモ用紙を携帯する。
  • 指示した薬品名が異なる場合は、現在の薬品名で指示を依頼する。
  • 薬品を取り出すときは薬品アンプルを指差呼称し確認する。
  • 金庫管理の薬品はダブルチェックで取り出すことを徹底する。
  • どんな時でも記憶に頼らず照合すべき書類(指示の書かれたメモ等)を用意した上で取り出す。
  • ミオブロックの撤去とエスラックスの採用を検討する。
  • 向精神薬・毒薬管理簿に金庫から取り出した際のダブルチェック時間の記載欄を作成する。
  • ダブルチェックを行った上で金庫鍵保持者は鍵をあけ、薬品を手渡す。
  • 金庫鍵管理者がダブルチェックを行えない場合は、使用者にダブルチェック者は誰であったのか報告を指示する。
  • 医局に口頭指示マニュアルの徹底を依頼する。
  • 医師へ手渡す前に薬品の間違いがない事を指差呼称してからでないと手渡さないことを周知する。
  • 医師が薬品を確認しなかったときは、「見て間違いがないか確認するのがルールになっています」と伝えることを周知する。
  • 救急カートを持っていき薬液の準備ができるスペースを確保する。
  • 医局会にて口頭指示マニュアルの内容についての説明を医療安全管理部に依頼する。
  • 薬品が間違いないことを医師が復唱しない場合は、看護師は「薬品ラベルを確認する決まりになっているので、確認してください」と告げる。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
51 障害残存の可能性がある(高い) 0.5gイソゾール イーファーマ 精神科医師より、臨床試験のスケジュールに従って15時施行予定のMRIの検査のオーダーがでていた。
MRIの鎮静目的でイソゾール注射が処方されていたがカレンダーリスト、医師指示にも検査、注射の指示はなかった。
10時前、日勤看護師はイソゾール注射の施行方法の指示がなかったため主治医にイソゾールの施行方法について確認し、看護師で施行してよいか医師に尋ねると「して下さい」といわれため、イソゾール0.5gを1Vワンショット静脈注射した。
その後30分して訪室すると患者は呼吸停止していた
医師監視したで投与すべき薬剤が看護師単独で投与された。
オーダーした医師と主治医が異なる(主治医は他科の治験の一環だと思った)
薬剤の投与法がコメント入力のないまま薬剤科から払い出された。
医師の指示(MRI検査で鎮静目的に使用する予定だった)
指示録に記載しなかった。
注射カレンダーリストを出力しなかった。
コメント入力がなかった。
検査控えを指示録に挟んでいなかった。
カルテが病棟になかった(治験管理室に持ち出されていた)
イソゾール注射払い出時に注意書きを入れる(これは麻酔薬です。医師立ち会いのもと施行して下さい)
麻酔薬など看護師が単独で行ってはいけない薬剤をピックアップしてオーダー画面にコメントを入れる予定。
オーダリングマニュアルに準じた看護を行う。(医師指示受けの仕方、検査について)
医師指示確認は処方医に確認する。
カンファレンスでの意見交換がえるように基準を決める
  • 確認が不十分であった<
  • 記録等の記載
52 障害残存の可能性なし ピーエヌツイン1号1000ml 味の素パルマ CV白ラインより高カロリー輸液を42ml/hで手動で投与していた。2時に投与状態確認時、輸液ポンプを使用して投与していると勘違いし、クレンメを全開にした。3時の確認時、全量が投与されていることを発見した。BS520、尿ケトン(ー)、バイタルサイン、意識レベル変化なし。自覚症状なし。ノボリンR10単位投与。5時BS245、7時BS177。 点滴刺入部からボトルまで確認せず、クレンメを全開にした。 点滴管理の基本行動を再勉強し、実践する。クレンメを全開にすることの意味、ポンプ使用時の確認行動を再確認した。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
53 障害残存の可能性がある(低い) プログラフ注  5mg/1ml/A アステラス 非血縁者間骨髄移植の患者。
急性GVHD予防のためのプログラフの投与を開始したが、通常0.02~0.03mg/Kg/dayより開始しなくてはならないので、本症例患者の体重から換算すると1日量が0.9~1.35mg/dayより開始しなくてはならないのだが、入力時に単位をmgではなく、Aで入力してしまっており、初期開始量の2mg/2dayの予定が10mg/2dayとなってしまっていた。このため2日後の血中濃度採血にてプログラフが異常高値となっており、患者の意識状態の変化、および腎機能障害の発症を招いた。
患者、家族には事実を説明した。症状に対する治療へは理解を示された。
入力時に単位の確認を怠った
移植時入力の際には依頼しなくてはならないパートナーとなっている医師のダブルチェックを依頼していなかった
日中の忙しい時間帯でのプログラフ開始であり、看護師のチェックが不十分となってしまった
  • チェック体制の強化
     共診する医師とのダブルチェック
     看護師とダブルチェックする
     薬剤師も移植予定表をみてチェック
  • 免疫抑制剤の組成の統一
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
54 障害なし アリムタ900mg イーライリリー 看護師間で点滴伝票と薬剤の投与量・点滴製剤等のダブルチェックを行った後、実際の混注を行った。アリムタの1バイアルは500mgなので、薬剤部からは2バイアルが上がっていた。1バイアル分は全て生食100mlの中へ注入した。次いで2バイアル目に取り掛かり、生食10mlでアリムタ1バイアル(500mg)分をすべて溶解した。溶解した10mlのうち9mlを点滴製剤(生食100ml)へ追加混注した。点滴の実施前に主治医に混注量を確認したところ、混注したアリムタの量が450mgになっていることを指摘され、混注した薬剤量が指示された量より50mg多かったことに気付いた。
  • ダブルチェックしていたが、具体的な溶解量や混注量についてはダブルチェックできていなかった。
  • 今回のように薬剤を溶解して混注する際に、溶解量と混注量が異なるような場合は、溶解方法や混注量の確認もダブルチェックする。(それぞれが別に計算し、その量が一致するか確認する)
  • 看護部、医療安全管理室において、混注量の計算に関する研修や問題集等の作成を企画中であるので、それらを利用して計算力のスキルアップに努める。
  • 確認が不十分であった
55 障害なし ミドリンP 参天 白内障術後の患者に対してジクロード(抗炎症薬)、ガチフロ(抗生剤)の点眼をして眼科の診察を受ける指示になっていたが、ミドリンP(散瞳薬)も全員に点眼した。(約1ヶ月前から、診察前の点眼は中止になっていた)
  • 思い込みにより発生したエラー
  • 同じような処置を繰り返すため、指示確認が不十分になっていた
  • 同じような処置であってもその都度指示は確認するようにする。
  • 思い込みで行動しないように気をつける。
  • 今まで継続されてきたような処置の仕方が変わった場合には、新しい処置方法に慣れるまでの期間は、変更内容がすぐわかるように表示しておくなどの対応も検討する。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
56 障害なし アマリール錠1mg サノフィ・アベンティス 入院中の糖尿病患者へアマリール錠が処方された。「アマリール錠1mg 5T/1×朝食後」(本来処方すべきアマリールの用量は0.5T)。翌日より患者へ投与、その日の夕方患者の血糖値は40台まで低下してしまった。その後ブドウ糖投与にて回復。 アマリールは添付文書上、一日上限量が6mgまで投与可であったため1回量が多くても特に問い合わせず調剤した。 1回量が多い薬剤については、薬剤師が医師に確認をする。
  • 確認が不十分であった
57 障害なし フェニトイン
フェノバール
協和医療
藤永
医師は抗てんかん剤として服用していたフェノバルビタールとフェニトインの血中濃度の測定結果を見たが、検査値を読み違え、フェノバルビタールの増量を指示してしまった。患者はふらつき、転倒が増えてしまい、本来ならばフェニトインを増量すべきだったことに気付いた。 検査報告書は、上からフェニトイン、フェノバルビタールと並んでおり、両者の値を読み違えた。 なし
  • 確認が不十分であった
58 障害なし 塩酸モルヒネ10mg 武田薬品 2:53、当該患者死亡のため輸液(ソルデム3A 500ml、ファモチジン1A、塩酸モルヒネ10mg3A混合液)が残量242mlで中止となった。看護師Aは輸液パックを薬局に返納するためにスタッフステーション(処置室含む)内のワゴン上で保管した。7:15、スタッフステーションの整理整頓を行っていた看護師Bがワゴン上の輸液パックを発見した。看護師Bは退院患者の輸液パックだと思い、ハサミを入れて汚物槽に流し全てを廃棄した。パック内の薬剤を流し終えたところで、薬液に麻薬が混合されていたことに気づいた。
  1. 麻薬が混合された輸液パックの取り扱いの不徹底
  2. 確認不足
  3. ラベル上の麻薬表示が他薬剤と同じ黒文字表示
  1. 麻薬が混合された輸液パックの取り扱いを徹底する。
     1)麻薬を混合した輸液パックは金庫で管理する。
     2)金庫設置までの期間は輸液パックに廃棄禁止の表示を行う。
  2. 確認のプロセスを強化する。
     1)勤務者はお互いに声を掛け合う。
     2)廃棄前には廃棄しても良いものかどうかを再確認する。
  3. 麻薬の取り扱いについて学習会を開催する。
  4. 薬剤を混合した看護師がラベルに表示されている麻薬名を赤ペンでマーキングする。
  • 確認が不十分であった
59 障害残存の可能性なし 塩化カリウム テルモ ベッドサイドのワゴンの上にはバッドに入ったタケプロンのシリンジともう1つ別のバッドに入った持続静脈注射用の塩化カリウム溶液のシリンジが並んで置かれていた。タケプロンは「注射薬の確認用紙」(シリンジ本体の面積が狭く薬剤名等を記載できない場合に使用)にベッド番号・患者氏名・薬剤名(内容)・投与方法を記載しトレイの中に用紙と一緒に注射器をセットしていた。塩化カリウム溶液のシリンジは注射器本体にベッド番号・患者氏名・薬剤名(内容)・投与時間を記載していた。後者は担当看護師が交換用のため準備をしていたものであったが、研修医はその両者を静注してしまった。 原因としては、静注用の薬剤と、シリンジ交換用の薬剤が同じワゴンの上に並んで置いてあり、紛らわしかったこと。注射に関する病棟内のルールを研修医が知らなかったこと。当該病棟では入院患者数・その重症度に比して医師数が不足していること。当該研修医は、他の病棟の業務も兼務していたこと等が上げられる。 病棟内のルール等の引継ぎ事項は文書化する。労働環境の整備。当該事故に対する安全管理の確立。
  • 確認が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
  • 環境
60 現在のところ、障害残存の可能性は不明である。 キロサイド注200mg 日本新薬 キロサイド5487mg+生食300mlを12時間毎、2時間かけて4回実施のところ、12時間かけて4回持続投与された。大量キロサイドが48時間の持続投与となってしまった。 当病棟での初めての治療方法に対する事前の医師、看護師、薬剤師間の情報不足。思い込みによる指示の見落とし。注射ラベルの不備(投与時間の印字なし)。
  1. 情報共有(医師、薬剤師、看護師で治療開始前に情報共有を図る)。
  2. 指示の確認方法の統一(電子カルテ内での指示の確認方法の統一)。
  3. ミスの出にくいシステム作り(注射ラベルのバージョンアップ、注射処方箋の変更)。
  4. 再確認の方法の検討(指示を再確認するときは、元の指示を読み上げ、正確に質問する)。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
  • 連携
61 障害なし マグセント注100mL 東亜薬工 地域の診療所から34週の妊婦が子癇発作の疑いで搬送された。子宮収縮抑制目的に投与したマグネシウム製剤が、規定の6倍量投与し、呼吸抑制を来たし気管内挿管を実施した。規定の6倍量となった経緯については、マグセント注100mlの効能書の用法及び用量には、「初回量として、40ml(硫酸マグネシウム水和物として4g)を20分かけて静脈内注射した後、毎時10ml(1g)より持続静脈内投与を行う。なお、子宮収縮が抑制されない場合は毎時5ml(0.5g)ずつ増量し、最大投与量は毎時20ml(2g)までとする」と記載されている。 当院到着から3次機能施設へ搬送するまでに60分のため、最初の急速投与20分で40ml、残り40分間で毎時10mlを投与すると、6から7mlの投与となり合計は、40ml+7mlで47ml、約50mlである。当院滞在の60分で、マグセントが3本、300ml投与されているため、約6倍量の投与となった。
  1. マグネシウム製剤は過剰に投与すると呼吸抑制や心停止をきたす危険薬であるが、急速投与時の基準、手順が整備されていなかった。
  2. 医師のマグネシウム製剤の投与方法の知識不足。
  3. 助産師のマグネシウム製剤の投与方法の知識不足。
  4. 医師と助産師のコミュニケーション不足(産婦人科医師は、1本目マグセントは全開でと口頭で指示。その後のマグセントの投与に関して、産婦人科医師は明確に投与の指示も投与速度の指示もだしていない。助産師も、マグセント2本目と3本目は助産師間か、医師と曖昧な確認のまま全て全開で投与した。そのため、1本目から3本目のマグセントは100mlを、約10分から15分で投与することとなった。
マグネシウム製剤を急速に投与する場合の手順を策定した→薬剤科からマグセント注100mlを病棟へ払い出すときに、ボトルに過剰投与時、呼吸抑制や心停止を起こす可能性がある、という旨の注意事項を記したカードを添付した。
マグネシウム製剤(マグセント)を40ml注射器に準備し、シリンジポンプで120ml/H 20分で投与する。
急速投与後、24時間持続投与する場合は輸液ポンプに変更し、10~20ml/hで投与、最大量は20ml/Hとする。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
62 障害残存の可能性がある(高い) DMSO-KOH溶液 院内製剤 膀胱内注入薬の種類の間違い。
間質性膀胱炎の治療目的で、膀胱内に50%DMSO(ジメチルスルホキシド)を注入するところDMSO+KOH(水酸化カリウム)を注入したため、化学熱傷による出血性膀胱炎および外陰部の炎症を生じて入院となった。
医師が診察し、DMSO膀胱内注入を行うこととなり、外来指示票に「DMSOです」と記載して看護師に指示した。看護師は、DMSOを準備しようと薬品請求画面でDMSOと入力して検索したところ、次の2製剤が検索された。(1)50%DMSO 500ml、(2)苛性カリDMSO入り(KOH液)50ml。
これまでは「(1)50%DMSO 500ml」を請求していたが、1回使用量および期限管理の観点から500mlボトルではなく、50mlボトルへの変更が提案されていたため、50mlに変更になったと思い50mlの「(2)苛性カリDMSO入り(KOH液)」を請求した。看護師は名称は異なるが成分は同じだと思っていた。そして、薬剤部から「苛性カリDMSO入り(KOH液)50ml」が届き、看護師が膀胱内注入を行った。
10ml注入したところで患者が疼痛を訴えたが、ゆっくり注入し、全量投与後もひどく痛みを訴えたため、排尿するよう患者さんを泌尿器科外来のトイレへ誘導した。排尿後も外陰部の痛みが収まらず、医師が診察したところ外陰部の発赤を認めた。膀胱鏡を行ったところ、急性炎症の所見と尿道口付近に少量の凝血塊を認めた。膀胱洗浄と外陰部洗浄を行い、外陰部にリンデロンVGとキシロカインゼリーを塗布した。疼痛が強かったため、膀胱内にNS40mL+2%キシロカイン10mlを注入し、ペンタジン1Aを点滴静注した。その後病棟へ入院となった。
対応中、膀胱注入した薬剤の組成について、医師、看護師から薬剤部に問い合わせを行い、「苛性カリDMSO入り(KOH液))はアルカリ濃度が高く白癬菌分離に用いるものであることが判明した。
DMSOを含む薬剤が2種類あり、「(1)50%DMSO 500ml」「(2)苛性カリDMSO入り(KOH液)50ml」この2種類が請求画面で検索された。
「苛性カリDMSO入り(KOH液)」を請求したのは1回使用量の50mlボトルだったためで、これまで使用していた膀胱注入用500mlボトルが50mlボトルに変更になる予定であり、その50mlボトルができたと誤認して請求した。
看護師は「50%DMSO」と「苛性カリDMSO入り(KOH液)」は表記は異なるが、成分は同じだと思っていた。
看護師は、DMSOの膀胱注入は今回が初めてで、薬剤の正式名称を知らなかった。
  1. 外来でも注射・内服・体腔に投与する薬剤は医師がオーダーを入力し、看護師はオーダーと薬剤を照合して投与する
  2. 膀胱内注入の処置手順を作成する
  3. 変更するよう提案を行った部署担当者は期限を決めて変更結果を確認し評価する
  4. 薬剤師は薬品請求での調製・払出しについても用途・適応を確認して必要時疑義照会を行う
  5. 取り扱いに注意が必要な院内製剤等一覧(取り扱いに注意が必要な院内製剤等について「製剤名」「使用領域・部署」「用途」「取り扱い注意事項」「管理場所」「容器注意表示」などの一覧)について周知する。
    →一覧の各製剤について記載されている使用領域・部署以外から薬品請求があった場合は、薬剤師から疑義照会を行うことを新たに取り決めた。
    また、一覧中の各部署で使用している製剤について、取り扱い注意事項に留意して使用することを周知・徹底した。
  6. 取り扱いに注意が必要な院内製剤は、容器を区別し、ラベル表示を改善する。
    ・「苛性カリDMSO入り(KOH液)」
    →「白癬菌分離用 苛性カリDMSO入り(KOH液)」
    → 取扱注意院内製剤「取り扱いに注意が必要な院内製剤等一覧」の製剤すべてに貼付
    →「苛性カリDMSO入り(KOH液)」は【白癬菌検出用試薬 ズーム】(製造者ニプロ株式会社)を購入することとした。
    ・「50%DMSO」→「膀胱注入用50%DMSO」
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
63 障害なし ヘパリンナトリウム 持田 変形性膝関節症のため手術目的で入院した患者に、術前にヘパリンを用いた抗凝固療法を開始するために、内科のDrの指示(ヘパリン15000単位1日2回投与)通りに整形主治医が「ヘパリン15000単位を1日2回・12時間毎(1日計30000単位)」処方した。
2日後に内科のDrがカルテを確認して、本来はtotal15000単位の指示が、30000単位として処方され、実施されていることが判明した。ヘパリン15000単位1日2回投与は、1日投与総量か、1回投与量なのか曖昧であった。
内科医の指示は、1日投与総量15000単位であった。
医師間の連絡不足。
ヘパリン15000単位1日2回投与は、1日投与総量か、1回投与量なのか曖昧であった(ヘパリン15000単位1日2回投与が1日何単位の投与だったのか曖昧であった。内科医の指示は、1日投与総量15000単位であった)。
  • ヘパリンの使用方法について知識を深める。
  • 処方の記載方法について統一した
    →薬品の1回投与量:1日の投与回数を記載すると周知した。
  • 連携
  • オーダリング時等の誤入力
64 障害残存の可能性がある(低い) グルコンサンK4mEq ポーラファルマ
  1. 16時 担当看護師は受け持ち患者5名分の内服薬を取り出し、個々の患者氏名を記入した25mlの注入用のカテーテルチップに、薬剤を溶解し準備した。
  2. 1人の患者に対し、溶解した薬剤と微温湯を入れた2本のカテーテルチップを用意し輪ゴムで止めた。
  3. カテーテルチップの側面と押し子には患者氏名を記載していた。
  4. 経管栄養終了まで時間があるため、5名分の薬剤を入れたカテーテルチップを1つのトレイにいれ処置室に置いた。
  5. 19時45分 経管栄養が終了し夕食後の内服注入のために、5名分の薬剤を入れたカテーテルチップのトレイを患者のベッドサイドに持参した。
  6. 病室でトレイの中に患者用のカテーテルチップがあることを確認したが、その後カテーテルチップから目を離した。
  7. トレイからカテーテルチップの1組を取り出し、ベッドネームを見て患者の胃チューブより薬液を注入した。
  8. 注入後のカテーテルチップを確認した際、別の患者氏名が記載されていて、誤注入に気づいた。他患者の薬剤にはグルコンサン8mg/Eq(4mg/Eq 2g)が含まれていた。
  1. 食事時間に関係なく、実際に注入する3時間前に薬液を準備した。
  2. 受け持ち患者全ての薬剤を1つのトレイに入れて管理した。
  3. ベッドサイドへ他患者の薬剤全てを持参した。
  4. 薬液注入前に、患者氏名・薬剤名・量・時間・方法・目的を確認しなかった。
  5. 薬剤を全て溶解しているため、5名分が同一色であり、外観からの薬物の判別が出来ない。
  1. 事象と対応策についての情報共有と、確認行為の徹底をする。
  2. 1患者1トレイの原則を守る。
  3. ベッドサイドに行く時は、他患者の者は持参しない。
  4. 電子カルテで与薬直前に、患者氏名・薬剤名・量・時間・方法・目的を声だし指差し確認する。
  5. 注入薬は必ずダブルチェックして実施する。
  6. 経管栄養を行っている患者が多く、内服薬が多数ある時は、内服用のワゴンを持参使用し、確認行動が出来るスペースを確保する。
  7. 可能な限り溶解置きをせず、実施する時に確認し溶解する。
  • 確認が不十分であった
65 障害残存の可能性なし レニベース錠5 MSD ラシックス、アルダクトン内服中。「レニベース(2.5mg)1錠2×朝夕食後」を処方するつもりでレニベース(5mg)1錠2×朝夕食後」を粉砕投与で入力した。患者は指示量を2回分内服した。外出中、排便後、気分不良、冷汗があり立位保持困難となった。帰院後、血圧88/40 、脈拍93であり、安静にて自覚症状は改善。12誘導心電図でも変化なく、血管系イベントは否定的。その後も血圧は上昇せず、レニベース、ラシックス内服を中止した。翌日、誤処方を発見した。排便後の迷走神経反射や利尿剤による脱水傾向、心不全に伴う症状などの可能性もあり、血圧低下が誤処方によるものかどうかは判断が難しい。 院内採用薬剤はレニベース5mg錠のみで2.5mg錠は採用されていなかった。処方時の確認が不足した。 院内規格に合わせた処方を行う。処方入力時に1錠量を分割もしくは粉砕投与を行う場合には、1回投与量を把握しやすい入力をする。入力時には印字された処方箋の確認を行う。
  • 確認が不十分であった
66 障害残存の可能性なし オゼックス細粒小児用15% 富山化学 患者に対してオゼックスの抗菌薬投与を行った。しかし、患者には過去に上記の抗菌薬内服で口唇腫脹のアレルギー反応が見られた既往があった。カルテのアレルギー欄に掲載してあったが、見落としてしまった。処方入力の際に、確認欄も出てきたが、それも見落として処方をしてしまった。胃管からの投与であったために、すぐに回収を行った。現在のところバイタルに変化は認められず、また診察所見でも変わりはない。 慌てていたために確認を怠った。 処方入力の際に再確認を行う。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
67 障害残存の可能性なし イントラリポス輸液20% 
輸液製剤 250cc
大塚製薬工場 後腹膜ドレーンからアイテル排泄持続のため、後腹膜ドレーン(セイラムサンプチューブ)から持続洗浄を行っていた。その方法として、セイラムサンプチューブの空気取り込み部分をカットし、三方活栓を装着し輸液用生食水を点滴注入していた。担当看護師A は、11時にイントラリポスを後腹膜ドレーンの三方活栓に接続した。その際の点滴速度は約 80ml /H で調整した。13時45分に看護師A が訪床した時、後腹膜ドレーンから白い液が排出されていることを不審に思い、看護師B に報告し、イントラリポスが後腹膜ドレーンから誤投与されたことが発覚した。イントラリポス 250ml は点滴されていた。点滴ルートと後腹腔ドレナージ(白ビニールテープに黒字)を区別する表示はされていた。すぐに医師に報告。脈拍 90 、血圧 112/74 、KT 37.4度、腹痛なし。後腹膜ドレーン排液バック内(白色) 60ml 、十二指腸側ドレーン排液バック内(白色) 170 ml を確認し、医師は後腹膜ドレーンからシリンジで 42ml 白い液体を吸引した。
その後、まず、生食 500ml で洗浄を行った。その後、看護師C が看護師A に状況の確認を行う。看護師A は、 9時に訪床した時、生食 100ml が後腹膜ドレーンから投与されているのを見て、洗浄と思わず、ここから点滴を行っていると思った。フオローの看護師B と処置確認をして、イントラリポスを側管からいくことを確認した。また、看護師B と共に患者のべッドサイドに行き、後腹膜ドレーンと十二指腸側ドレーンが挿入されていること、 NG チューブ、 CV ルートを確認した。11時のイントラリポスの接続は、洗浄のための生食 100ml が後腹膜ドレーンから投与されているのを見て、イントラリポスも後腹膜ドレーンの三方活栓からいくと思い込み、後腹膜ドレーンであることをわかった上で接続した。
  1. 看護師A は、本患者を大部屋にいる時、数回受け持った。ドレーンが 2 本になり、 NG チューブが挿入され感染のため個室管理になった後、はじめて受け持った。病状と腹腔ドレナージが行われていることは説明により把握し、実際のドレーン挿入の確認もべッドサイドで指導されていた。洗浄のため生理食塩水を見て、ここから点滴をしているのだと思いこみ、その理由を確認しなかった。イントラリポスの成分を知らなかった。
  2. 看護師B は、ドレーンについて何がどこに入っているか説明はした。三方活栓への接続は、すでに一人で行えるため、同行しなかった。
  3. 医師は後腹膜ドレーンから洗浄のため、セイラムサンプチューブに三方活栓を付けて持続洗浄することを 10日前から行っていた。この特殊処置が医師・看護師間に周知されていなかった。
  1. 新人看護師の指導について、学生時代経験することが稀な、点滴や処置に関しては、新人の思考過程を確認しながら、なぜ行うのかを説明する。
  2. 初めて行う処置の場合、べッドサイドにおける指導を行う。
  3. 新人看護師が初めて行う処置や疑問に思ったことを必ず確認するように指導する。
  4. 点滴ルート以外に三方活栓が使用され洗浄がされていたことは、医療事故スタンダードマニュアル 10 「チューブには輸液用三方活栓を使用しない」のルール違反であるが、医師・看護師間でその意味や危険性を十分認識し、情報を共有する。
  • 確認が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
68 障害残存の可能性がある(低い) TS-1 大鵬薬品 乳癌術後肝転移に対して、ホルモン剤を使用していたが、肝転移増悪のため、TS-1を開始した。この際、腎機能障害があることを考慮し、TS-1の量は80%doseとした。12日後、飲水困難・全身倦怠感にてTS-1中止。WBC:8100,CPR:3.40 、外来にて抗生剤投与。その後39度の発熱あり、他院にて透析後、入院。DIC、間質性肺炎、重篤な粘膜障害を認めた。透析中にVT出現し、CPR施行(VT出現とTS-1との因果関係は不明)ICU管理後、一般病棟に転棟。その後、感染症、粘膜障害に対する保存的治療を継続し、全身状態の改善を認め、退院となる。 透析患者に対するTS-1投与禁忌の認識が不足していた。腎機能障害患者に対してはTS-1は減量と認識していた。 使用薬剤について処方前、投与前に禁忌、および注意投与症例を確認する
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
69 障害なし ヒューマリンR注100単位/mL リリー 昼食前にヒューマリンR6単位を重複投与し患者が低血糖を起こした。 看護師の休み交替時であった。コミュニケーションエラー。 受け持ち看護師が責任を持って実施する。
  • 確認が不十分であった
  • 連携
70 障害なし オキシコンチン錠10mg 塩野義 外泊中にオキシコンチン10mg1T飲み忘れた。 外泊に持参させる薬が正確に内服できるような工夫が不足していた。 小分けにした袋に日付を記載する。
  • 患者・家族への説明
71 障害なし ガスターD錠20mg アステラス ガスターD10mgのところ20mgを内服させてしまった。 確認の不徹底 確認をルール通りに徹底する。
  • 確認が不十分であった
72 障害なし ロキソニン細粒 第一三共 ロキソニン細粒10% 0.6g 7回分を処方しようとしたが、実際には「ロキソニン細粒10% 1.8g 7回分」で処方し看護師が内服させた。 医師、看護師の連携不足
当院では電子カルテによる処方を行っており、ロキソニン細粒10%は処方すると自動的に薬剤量が1.8gと表示される(通常、1.8g 3×/日のため)。
そのことは周知していたが、1.8gを1回分に修正することをうっかり忘れてしまった。
指示票の確認。薬剤知識を深める。医療者間のコミュニケーションを確立させる。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
73 障害なし ソリューゲンF注 アイロム ソリューゲンFが術後1時間30分投与されていなかった 確認作業教育が不十分 確認作業の教育の強化
  • 確認が不十分であった
74 障害なし ダイアニールNPD-41.5 バクスター ダイアニールNPD42.5のところダイアニールNPD41.5を投与した。 確認ルール無視 確認を確実に行う。患者認証の実施。
  • 確認が不十分であった
75 障害なし アデホスコーワ顆粒10% 不明 患者は入院前よりアデホスコーワ顆粒10%3g(製剤量)1日3回毎食後服用しており,入院後持参薬がなくなり翌日からの分として当該看護師は1回目の院内処方を医師に依頼し,その医師は300mg(力価)1日3回毎食後を5日分の15包処方した。当該看護師は準夜勤務の看護師から申し送りの際1gは1000mgだと言われて,処方量が力価表示されていることを知らずに不足していると思い込んだ。このため,当該看護師は15包のうち10包を患者に渡して翌日の朝に服用するよう説明した。患者は「10個ですか」と聞き返したが,1回目に処方した医師に確認せずそうであることを伝えた。
また,1回目に処方された薬が1日でなくなってしまうため2回目の処方を翌日付で1日3gを別の医師に依頼し,依頼された医師は3000mg1日3回毎食後で処方入力した。準夜看護師は薬袋に3000mgと記載されているのは見たが,当該看護師が「10包飲ませなくてはいけない」と言っているのを聞いていたが,特に疑問に思わず確認はしなかった。患者は翌日朝食後にアデホスコーワ顆粒10%100mg(力価)10包を服用。その後,2回目の処方をした医師から連絡があり,薬剤部からの疑義照会で1回目の処方が正しく2回の処方は取り消されたことが分かり,過剰投与が判明した。なお,患者には副作用の出現もなく検査結果にも異常は認められなかった。
当該看護師が院内処方の力価表記を理解していなかったことから,医師の処方を間違いと思い込み,処方した医師に確認せず自分の判断で与薬量を変更してしまった。「10包飲ませなければ」と周囲の看護師が聞いていながら,だれも疑問に思わず確認をしなかった。通常,内服薬準備時のダブルチェックは行っているが,薬剤部から受け取る際のダブルチェックを行っていなかった。 医師の指示は看護師の自己判断では絶対に書き換えず,疑問に思った時は必ず確認することを徹底する。力価表記についてスタッフ全員に周知し,今後は新人指導時の教育を徹底する。薬剤部から受け取った内服薬は,受け取った看護師が確認後,担当看護師が確認しダブルチェックを行う。システム的に薬袋に製剤量及び力価の両方を表記することを検討する。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
76 障害なし メイロン 大塚製薬 PH6.5以下でメイロン1Aをするという指示のところPH6.5になったにもかかわらず、ivを行わなかった。 PH6.5以下という指示は、6.5は含まれないと誤って理解していた。 指示内容に不安なときには先輩や医師に確認し、指示を確実に実施する。
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
77 障害なし 水溶性プレドニン 不明 医師が薬剤の指示を入れ忘れたが看護師が気が付かなかったため、投与出来なかった 指示受け時、中止になっていなかったが、指示受けの際、気が付かず投与されなかった 指示受け時には指示の継続か中止かの確認を行い医師に報告する
  • 連携
78 障害なし エリル点滴静注液30mg 旭化成ファーマ 生食50mlにエリル30mg1A混入するところ、2A混入して投与した。 リカバリー業務に不慣れであった。 確認の基本ルールを守るよう指導する。
  • 確認が不十分であった
79 障害なし ソルデム1A 不明 ソルデム1A200mlを50/hのところ200/hで急速投与した 点滴挿入後に滴下調節が不十分であった。
開始後10分後の確認を行わなかった。
点滴開始時にタイマーを持ち10分後に滴下確認を行う
  • 観察が不十分であった
80 障害なし ザイロリック GSK 朝食後の内服投与を忘れてしまった。(ザイロリック100mg 1錠、コニール4mg 1錠)
血圧の問題がなかったため、経過観察となった。
手術後、内服が本人管理から看護師管理になったが、指示簿に記載がされていなかった。また薬BOXの名前シールがはがされていたこともあり、手術前のまま本人管理であると思い込んでいた。
さらに最終的にも患者が内服したかを確認しないまま、サインをしてしまった。
患者管理が看護師管理からスタッフ全員がわかるように必ず記載し、内服したと思い込まずに患者に声をかけ、薬の空を回収し確認を行う。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
81 障害なし ワーファリン エーザイ 中止中のワーファリン1.5mgを内服させてしまった。ラウンド時に内服薬を飲んだことは確認したが、空まで確認しておらず、再度ラウンドを行った際にワーファリンの空があることを確認した。 薬剤BOX管理しているが、中止中のワーファリンBOXに入っていた。
ラウンド時に内服薬を飲んだことは確認したが、空まで確認しておらず、再度ラウンドを行った際にワーファリンの空があることを確認した。
・中止中の薬剤は紙に書き管理を行う。 ・内服薬に空だけ確認するのでなく、内服前も確認し事故防止に努める。 ・自分の勤務帯で実施することは、必ず自分自身で確認を行う。
  • 確認が不十分であった
82 障害なし アイトロール トーアエイヨー アイトロール(20mg)を製剤部から2錠上がって来た際に、2日分のところを1日分だと思い込み、40mg内服させてしまった。 指示票を確認せず、用量の確認を行わなかった。 指示表の確認を徹底する。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
83 障害なし グリミクロン 大日本住友 朝食前に配薬すべきグリミクロン(40)1錠を忘れてしまった。 食前薬を服用している患者が三人いたが、配薬する直前に指示票で確認をしていなかったため、誰が服用しているかきちんと把握せずに配薬配膳してしまった。 さらに配薬後、残薬がないかの確認も行わなかった。
  • 配薬直前に必ず指示書で確認する。
  • 与薬終了後に与薬トレイに薬が残っていないか確認を行う。
  • 確認が不十分であった
84 障害なし ナオタミン 旭化成ファーマ ナオタミン10mg+5%ブドウ糖20mlを0.2ml/Hの持続を0.2mlのみ投与と思い込み実施した。 特になし 実施直前の確認の徹底。
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
85 障害なし ラクテック注 大塚工場 8時間で投与するところ、1時間で投与した。 点滴確認時間に他の患者に対応していた。 10分後確認を確実に実施する。
  • 観察が不十分であった
86 障害なし メイロン 大塚製薬 CVCのメインルート(生食+メイロン)の輸液ポンプ交換をした際、再開し忘れ閉塞した。
へパフラッシュにて開通された。
輸液交換時のチェックリストをつけておらず、10分後確認を怠ったため、再開忘れに気付かなかった。(ルール無視) 点滴開始や交換時には必ずチェックリストを記入し、10分後確認を徹底する。
  • 観察が不十分であった
87 障害なし NOR 第一三共株式会社 NOR9A+生食41ml 2ml/HからNOR3A+生食47ml 6ml/Hへ変更する際、点滴ルートを交換せず追加したため高濃度のカテコラミンが患者の体内に入り血圧が一時的に低下した。 濃度変更時の注意点を理解していない。 濃度変更時の手順を再確認、指導。
  • 確認が不十分であった
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
88 障害なし ヒューマリンR注100単位/mL リリー インスリン製剤の混入忘れ。 指示確認不十分。 指示確認の再教育。
  • 確認が不十分であった
89 障害残存の可能性がある(低い) ヘパリンナトリウム注N5000単/5ml 味の素製薬株式会社 患者は当院にて以前より全身性エリテマトーデス(ループス腎炎、血小板減少症、溶血性貧血)にて血液内科にてフォロー中であった。タール便が見られたが、上部消化管内視鏡にて胃・十二指腸には病変は認めなかった。当初Hbの急速な低下は、消化管出血によるものと疑っていたが、上記結果とGOT/LDHの上昇より溶血の再燃と診断し、リウマチ・膠原病内科にコンサルトを行い、転科となった。その後、発熱が再燃、造影CTにて肺梗塞・下大静脈血栓を認め、循環器内科にコンサルトし、ヘパリンによる抗凝固療法を開始した。循環器内科医師よりヘパリン2000単位用法1日1回静脈注射の指示があり、リウマチ・膠原病内科主治医は、緊急注射処方にてノボヘパリン注(5000単位/5mL)、4瓶トータル2万単位、用法1日1回静脈注射投与の処方オーダーをした。
オーダーされた時点で、薬剤部から、リウマチ・膠原病内科主治医に対して内容確認のために疑義照会が2度あった。1回目はノボヘパリン2万単位の処方量でよいか,2回目はノボヘパリン2万単位の投与方法がIVでよいかどうかについての疑義照会であった。また、同時にリウマチ・膠原病内科主治医は看護師に持続投与中のレミナロンを中止し、ノボヘパリン5000単位4バイアル、ワンショット投与するよう口頭指示を出した。その時点で看護師も実施してよいか確認したが、リウマチ・膠原病内科主治医は指示変更することなく、2万単位のオーダーとワンショット投与の口頭指示を出した。その結果、ヘパリン2万単位の静脈注射が実施された。17時循環器科へコンサルト。aPTT測定不能のため18時よりプロタミン投与開始となった。19時30分にはaPTT86.9と低下し,翌日7時にはaPTT36.0となった。
  1. 持続静注を25000単位/5A/日でオーダーし,そのまま初めの静注を2千単位で指示するところを間違えて2万単位で指示してしまった。循環器内科からのコンサルトの返事は電話でしており、リウマチ・膠原病内科医はヘパリン投与量2000単位1日1回静脈投与と聞いていたので、循環器内科に間違いはない。電話後リウマチ・膠原病内科医は2000単位を20000単位と思い込んで処方オーダーを入力していた。
  2. 患者の呼吸困難が強く,原因が肺血栓塞栓症と判明したため,治療を急ぐばかりに投与量ミスに気づかなかった。
  3. 外来業務と入院患者の重症化,他科からの転科と非常に多忙であった。午後の外来中に造影CT結果を確認,循環器科にコンサルトし,外来終了後に病棟に戻り,ヘパリンを投与しようとした。
  1. 多忙である時は入院担当の診療医に応援を頼み,複数のスタッフで患者の診療に対処する。診療科内の医師の連携を強め,外来担当医は外来診療に専念し,病棟患者の対処は病棟担当医に任せるようにする。
  2. ヘパリン投与に関してはワンショット静注オーダーと持続点滴オーダーを分けて行う。
  3. 今回のように通常の用量を超えた指示があり,薬剤部からの疑義照会がある場合は,一人の医師で判断するのではなく,複数の医師により検討するよう心掛ける。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
90 障害残存の可能性がある(低い) CDDPランダ注50mg/100ml
VNRナベルビン注40
日本化学
協和発酵キリン
肺癌に対する抗ガン剤治療のため入院している患者(45Kg)で,看護師が患者の体重入力時に同姓患者の体重(78.5Kg)と間違えて入力した。すぐに間違いに気づきデータを削除したが,削除は一部のデータにしか反映されず,1クール目の抗ガン剤オーダー時,体重78.5Kgで投与量が計算され,2回(1週間毎)患者へCDDP114.4mg投与のところ、CDDP148・56mg投与した。抗ガン剤治療2クール目のレジメンオーダー確認時に1クール目の投与量より3~4割程度過量であるため,1クール目に抗ガン剤が過剰投与されていたことに気づいた。その後白血球減少と発熱があり,3クール目の治療開始に影響した可能性がある。
  1. 看護師が経過表に体重を誤入力し,すぐに削除したが,患者プロファイルの体重情報には削除が反映されず,誤入力した体重のまま体表面積が算出された(経過表に入力したデータは患者プロファイルへ反映されるシステムになっているが、反映されるデータは新規データ及び修正データのみで、経過表で削除されたデータは患者プロファイルに反映されないシステム)。
  2. 主治医がレジメン入力時に体重が明らかに異なることに気づかず,誤入力された体重から算出された体表面積のまま,抗ガン剤の量が設定された。また,前回投与時のCDDPの量と比較しなかった。
  3. 薬剤部でCDDPの量が前回投与時と乖離がある点を指摘されなかった。
  1. 1.電子カルテ上,経過表に記入された体重が,患者プロファイルの体重情報と連動し,反映されるようシステム改善を医療情報部に依頼する。
  2. 2.各コースごとに実際に患者の体重を主治医が実測し,手計算で体表面積を算出し,主治医自身で抗ガン剤の用量設定を行い,コンピュータ上の抗ガン剤の用量設定と乖離がないことを確認した上で,抗ガン剤を投与する。
  • 確認が不十分であった
  • システム
91 障害なし ヒューマリンR 不明 Hu-R 50u+Ns49.5ml 3.3/H(シリンジポンプ)を開始したが、三方活栓をオフにしたままだったため、20分間投与されなかった。 ポンプにシリンジをセットした際に一度三方活栓をオフにしたが、シリンジとルートをてでたぐり確認をしないまま開始ボタンを押していた。 チェック表にもとづき確認する。
また、10分タイマーをかけ確認する。
  • 確認が不十分であった
92 障害なし ペンタジン15mg 不明 腹痛時、ペンタジン15mg+生食50mlの指示のところ、ペンタジン15mg+生食100mlで滴下した。 思い込みによる間違い。
ルール無視。
指示表を2人で指さし声だし確認をする。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
93 障害なし ソルデム 不明 滴下速度を合わせ間違い、ソルデム200mlを100ml/Hで開始し、2時間遅延した。 小児用ルートを成人用ルートと思い込んで、成人用ルートの滴下速度で合わせてしまった。
また、実施線を引いていなかったため、遅れに気が付かなかった。
点滴をつなぐ時、滴下を合わせるときは、必ず先輩と確認する。
また、自分でも滴下があっているか、残量も確認する。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
94 障害なし ソルデム 不明 ソルデム3A500mlを40ml/H(0時ー12時)で投与するところ、6時間で投与した。 3時のラウンド時にソルデム3A500ml 40ml/Hが遅れていたため、50ml/Hに変更したが、滴下の一番良い位置で合わせず、10分後確認もしなかった。
ルール無視。
滴下の一番良い位置で合わせ、開始10分後に確認する。
  • 観察が不十分であった
95 障害なし ビーフリード 不明 点滴の急速投与。
0時ー12時の点滴ビーフリード1000mlを9時で終了してしまった。
患者の手の位置など特に注意せず点滴の低下を合わせたため、その後患者の手の位置がかわり急速投与になってしまった。 滴下調節時、また、ラウンド時は輸液パックの予定せんを見るだけではなく、マニュアルに沿って刺入部やひじの屈曲などをしてもらい滴下を合わせる。
  • 観察が不十分であった
96 障害なし ゾシン 不明 非HD日に朝・夕、HD日にHD後に投与する抗生剤(ソジン4.5g)において、HD日であったが、朝投与してしまった。 注射指示表と点滴を確認して、準備をし、点滴作成時にダブルチェックを行ったが、HD日であることを忘れHD日の指示簿を見落としてしまった。 準備をするとき、作成時、つなぐ時の確認は必ず2人で行い、きちんと指示簿で指示確認を行う。
HDを行っている患者の薬剤使用について方法を把握する。
  • 確認が不十分であった
97 障害なし ソルデム 不明 研修医がCAG患者にルートキープし、ソルデム3A(500)をフリーで1時間30分投与してしまった。 ルール無視。
伝達不足。
ルートキープを依頼したら、責任をもって依頼した看護師は観察に行くこと。研修医にも確実に誰に伝えたかを把握する。
  • 観察が不十分であった
98 障害なし ソルデム 不明 末梢点滴の急速投与。(ソルデム3A500mlを2時間で投与) ルール無視。
10分後の観察忘れ。
1年目は必ず先輩看護師と点滴ボトルを交換する。どうしてもできない場合は、交換後に先輩看護師に確認してもらう。
  • 観察が不十分であった
99 障害なし ウテメリン 不明 ウテメリン点滴中断後の再開遅れ。ウテメリン点滴を中断、抜針しシャワー浴を施行。点滴再開までに1時間10分を要し、その間の治療が中断されてしまった。点滴抜針から再開まであいてしまったことで、患者にとって必要な治療ができなかった。 抜針の際に医師へのシャワー後のルートキープや詳しい時間の伝達ができていなかったこと、点滴の重要性やシャワー後早期に再開することの必要性は理解していたが、同時に他の対応をしていたことで、周囲に伝達できなかった。 多数の患者を受け持つ中で、ケア、処置等の優先順位を考え、患者に必要なケアを適切に行えるよう行動計画をたてる。
また、業務配分をした後での状況に合わせた調整、進行状態の評価を行い、1年目が抱え込まないようにする。
  • 確認が不十分であった
100 障害なし カルデナリン 不明 カルデナリン1mgを内服させるところを2mg内服させた。
バイタルサインに問題はなかった。
薬剤師が調剤を行い、その後別の薬剤師が鑑査を行ったが、処方を誤ってカルデナリン2mgを病棟に払い出してしまった。
その後病棟でも間違いに気が付かず薬をセットしてしまった。
さらに2日間複数の看護師が指示表を見ながら内服薬を確認し、ダブルチェックをしているにもかかわらず薬品名だけ確認し、容量の確認を行わなかった。
薬品名だけではなく、種類、与薬方法、容量、時間、回数を指示表を照らし合わせて確認する。
  • 確認が不十分であった
101 不明 メインテート5mg 不明 当直中、メインテート2.5mg朝食後1回1錠5日分の指示のところ、規格が異なるメインテート5mgを5錠調剤。患者は2日間5mgを内服された。 不明 不明
  • 確認が不十分であった
102 障害なし ヒューマログミックス 不明 夕食前のインシュリンを打ち忘れた
気が付いた23時にヒューマログミックス14単位投与した
血糖測定後、忙しかったためインシュリンを打ち忘れた 血糖測定後は誰がインシュリンを打っているのかを指示簿で確認する
ベッドサイドにインシュリンを打っている事がわかるように札をつける
必ず二人で確認する
  • 勤務状況
103 障害なし ベプリコール 不明 主治医が朝のベプリコール錠を前日の夕方に病棟の電子カルテで薬の種類を変更するために中止したが、当日の夕方、指示受け看護師が電子カルテの指示簿を見落としてしまったため、翌日の朝、内服してしまった。 前日中止になっていたが申し送りがなく、医師も中止処方にしていなかった。
指示簿の確認をせず内服させてしまった。
必ず指示簿を確認する
医師にも確認をする
  • 確認が不十分であった
104 不明 メインテート 不明 メインテート2.5mgの処方に5mg調剤されていた。2日間、過量内服していたため血圧が下がってしまった。 不明 マニュアルの指さし呼称が徹底できていない。どのような場合でもマニュアルは徹底させる。
  • 確認が不十分であった
105 障害なし ユリノーム
ブロプレス
アムロジン
アルダクトンA
不明
不明
不明
不明
内服薬がオーダーされていたが中止の指示に気が付かず昼と夕に内服させた 他のモジュール患者の内服薬を作成するとき指示簿の中止薬を見落として作成して確認せず内服させた 他のモジュールの内服を作成する時には特に気を付けてわかる看護師に確認しながら行う
必ず指示簿を確認して作成する
  • 確認が不十分であった
106 障害なし ゲンタシン注10 MSD ゲンタシン+生食20mlを2人の医師が重複洗浄した。 特になし 薬品準備表示の工夫
  • 確認が不十分であった
107 障害なし ノボリンR注100単位/mL ノボ ノボリンRを投与するところ医師が間違えて処方したノボリン30Rを投与した。(2日間) 確認不徹底 確認を指さしで十分に行う。
  • 確認が不十分であった
108 障害なし オルメテックス
アムロジン
メリスロン
パリエット
プラビックス
メチコバール
リバロ
不明
不明
不明
不明
不明
不明
不明
中止薬を内服させた。 指示簿での確認をせず思い込みで中止薬を(7種類)飲ませた 指示の確認は指示簿で必ず行う
思い込みで業務をしない
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
109 意識レベル判定結果による アスパラカリウム10mEq 三菱製薬
  1. 勤務前の情報収集時に、夜間緊急入院した患者の担当を告げられ情報収集を開始した。注射指示のアスパラカリウム混注を見逃す。
  2. 9時50分 薬剤をダブルチェックする。普段使用頻度の少ないアスパラカリウムについて調べる。指示の「DIV」は確認したが投与方法はあいまいのまま準備する。
  3. ダブルチェック時を行った看護師は、患者名・薬品名・時間が合っているか確認した。投与方法は確認しなかった。
  4. 担当患者1名が急遽転棟が決定し、その準備や患者ケアに追われた。その最中に別の患者の検査予定が早まり、検査だしをした。
  5. 検査後の患者は透析を控えており、早昼食準備と食前血糖測定やインシュリン注射を実施した。
  6. 11時40分、注射準備をする。注射プラボトルの「要希釈」を「禁希釈」とみまちがえる。11時50分予定が大幅に遅れ早く点滴をしなければと焦る。電子カルテの電源が入らず、指示未確認のまま本人と名前を確認しアスパラカリウム10mEq2Aを側管よりIVした。
  7. 交換予定の点滴を忘れていたため、ナースステーションへ戻り一時退室する。病室へ戻ると、顔面紅潮、眼球上転、努力様呼吸で発見し、即蘇生術を開始した。
  1. カリウム製剤について、静脈注射を行ってはいけない薬剤であることの知識がなかった。
  2. 「DIV][IV]の違いは知っていたが、準備する時に疑問に感じていない。
  3. ダブルチェックのシステムはあるが、目的に添った必要な確認行動が行えていない。
  4. 確認時に何の項目を確認しなければいけないか、知識と行動実践が結びついていない。
  5. 電子カルテの指示確認の方法が正しく理解されていない。
  6. ワークシートの活用など決められた運用ルールのもとで行動できていない。
  7. 電子カルテの指示の出し方のシステム上の問題がある。(導入して間もない)
  8. 緊急入院時、循環器科病棟が満床であり救命病棟対象ではなく、他の一般病棟へ入院した。
  1. 薬剤に関する基礎的知識および教育を強化する。
  2. 確認方法の再教育(6R、誰に・何を・いつ・どの時点・量・速さ・方法・経路)
  3. 電子カルテを使用しての情報収集の方法、運用再確認と周知を行う。
  4. 指示確認の方法、コメント確認方法について周知する。
  5. 電子カルテシステムの改善をする。
  6. 循環器科急性期患者が当該病棟へ入院できる病床管理体制を作る。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
110 障害残存の可能性なし プレドニン 旭化成フォーマ 本人用の薬ボックスで患者が自己管理していた内服薬が、6日前に切れていたのを発見した。処方箋には小さい字でボックス管理されていることは記載してあったが、見逃されていた。患者は他の診療科から内服が出ていて、プレドニンの切れに気づかなかった。 多数診療科の内服薬があり患者も理解していなかった。自己管理薬剤に関しては曖昧な運用があった。
  • 処方箋に薬剤の位置を明確に記載する。
  • 電子カルテ上付箋機能にプレドニン服用を明記する
  • 確認が不十分であった
111 障害なし 乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンジェービックV 田辺三菱製薬 午後にジェービック発注に伴い企画課から販売メーカーの問い合わせがあり確認時に期限切れを発見。有効期限以降の外来注射箋調査しジェービックVの有効期限切れが払い出され、接種された事が確認された。
  • 棚卸時の期限確認が十分にできていない
  • 払出時の期限確認が十分にできてない
  • 予約分保管箱(予約分以外にもワクチンを在庫しているため予約分(1週間分)と予約分以外を区別するために使用している)へ払い出す時のダブルチェックができていない
  • 他施設での期限切れワクチン接種事故の情報が共有できていない
  • 使用期限の確認を徹底する。
  • 予約・払出・交付方法について再検討する。
    →予約のFAX用紙はフリー様式ではなくワクチン予約請求表を作成して行う。
    →予約分保管箱への払い出しまでに曜日ごとに分けて準備し、ダブルチェック体制とし必ず使用期限を確認し押印する。
    →外来等からのワクチン受領はワクチン予約請求表を持参し受領する。
    →交付者は受領看護師と共に薬品名・使用期限を相互に確認し払い出し押印する
    →1週間分終了後にワクチン予約請求表はファイリングする。
  • 医薬品に関連する医療安全対策通知及び医療事故等の情報を周知する。
  • 外来では、薬剤科へFAXしていたワクチン予約請求表を変更し、患者名、ワクチン名、有効期限を記載するようにし、薬剤から受領する際に薬剤師と看護師のサインを記載するようにして、責任の所在を明確にするようにした。
  • 準備担当看護師と医師も患者名、ワクチン名、有効期限を確認して実施するようにした。
  • 確認が不十分であった
112 障害なし エフピーOD錠2.5 エフピー
  1. 11時頃、日勤リーダー看護師Aが患者Bの薬袋(エフピーOD錠2錠 分 2 朝・昼)を薬金庫の鍵を開けて出し、当該患者の与薬ボックスに入れずに与薬車の上に置いた。
  2. 11時20分、当該患者Dを担当していた看護師Cが与薬準備を開始し、患者Dの与薬ボックスから薬袋・処方箋を出して与薬車の上に処方箋を一番下にして薬袋を置いた。
  3. この時、患者BのエフピーOD錠の薬袋の上に重ねて置いてしまった。
  4. 看護師Bは患者Dの薬袋から薬包を取り出す時に患者Bの薬袋も患者Dの薬袋と思い込み薬包を取り出した。
  5. 看護師Bは与薬準備時に薬包と処方箋を確認したが、患者DのエフピーOD錠が朝のみ1錠であることには気付かなかった。
  6. その後、薬袋は与薬ボックスにしまい、取り出した薬剤を溶解しシリンジで胃瘻チューブより注入した。
  7. 11時25分、看護師Bが患者Bの与薬準備をしていると、エフピーOD錠の入っている薬袋がなく、投薬車を確認すると患者Dの薬ボックスより出てきた。
  8. 薬剤の残数が少ないことから誤薬(患者Dへの過剰与薬)に気づき、日勤リーダー看護師Aに報告した。
  9. 11時30分、日勤リーダー看護師Aが病棟看護師長、主治医、医療安全係長へ報告した。
  10. 病棟看護師長が薬剤科長へ報告、対処の確認を行った。
  1. 患者は2日前までエフピーOD錠を朝食後、昼食後の2回に内服していた。
  2. 決められた与薬手順(一時的に金庫から出した薬袋は当該患者の与薬ボックスに入れる)を守っていなかった。
  3. 処方箋と薬剤の照合が十分にできていなかった。
  1. 決められた与薬手順を遵守する。
  2. 処方箋と薬剤の照合を十分に行う。
  • 確認が不十分であった
113 障害残存の可能性がある(高い) 大塚50%糖液500ml 大塚製薬
  1. 主治医は朝の血清カリウムが6.0mEq/Lと高値であったため、GI療法を施行するために輸液をオーダーし、20時30分遅出勤務看護師に指示を伝えた。
  2. 輸液のオーダー内容は「末梢点滴メイン、50%糖液500mlに50%糖液20ml2本、ヒューマリンR(100)10単位混注」であった。 
  3. 遅出勤務看護師は電子カルテで指示内容を確認。輸液速度指示が無かったので主治医に電話し、500mlを2時間で投与するように指示を受けた。
  4. 遅出勤務看護師は夜勤看護師Aと電子カルテを開いて輸液内容を確認し、ミキシングを行い、20時40分投与した。
  5. 21時30分、血糖測定実施。「Hi(600mg/dl以上)」のため主治医に報告し、ヒューマリンR(100)8単位の皮下注射を実施した。
  6. 22時50分、1本目の50%糖液500mlが終了し、夜勤看護師Aと夜勤看護師Bが確認して2本目に更新した。このとき意識の変化はなかった。
  7. 23時40分、血糖測定のため訪室。両眼球が右上方に固定し昏睡となっていた。
  8. 血糖値は「Hi」を示し主治医に報告。GI療法を中止し、輸液の残300mlを破棄するように指示を受けた。
  9. 0時10分、全身性けいれんあり。管理当直医診察。ヒューマリンRの持続点滴を開始した。
  10. 主治医が来棟し、GI療法の糖液の濃度が高濃度(5%糖液500mlのつもりが50%糖液500mlとオーダーしていた)であることに気づいた。
  11. けいれんが持続するため、気管挿管を行い人工呼吸器を装着した。
  1. 主治医が注射薬オーダー時に5%糖液500mlを50%糖液500mlと誤って入力し、間違いに気づかなかった。
  2. オーダー時「トウエ」と入力し3文字検索を行った。その中には5%糖液・20%糖液・50%糖液が20ml・200ml・250ml・500mlの順で小さな字で検索され(ウィンドウには最高4種類までしか表示されない)、その中から選択した。
  3. オーダーが20時30分だったため、薬局では一人調剤、一人監査を行っていて「末梢点滴メイン 50%糖液500mlに50%糖液20ml2本、ヒューマリンR(100)10単位混注」の指示を立ち止まって考えることができなかった。
  4. 看護師は50%糖液500mlに50%糖液20ml2本をミキシングする内容に違和感があったが、主治医に確認せずそのまま実施した。
  5. 看護師は50%糖液を末梢静脈から投与できないことを知っていたが、実施時には投与できないとは思わなかった。
  1. 50%糖液の200mlと500mlは、オーダー時「トウエ」の検索では表示できないようにし、「50%」と入力することで表示するようにする。
  2. 50%糖液は末梢静脈を選択した場合は、輸液できないオーダリングシステムを導入する。
  3. 緊急以外の輸液指示は夜間帯にかからぬようにオーダーする。
  4. 注射薬のオーダー時、調剤時、準備実施時には5R(患者名・薬剤名・投与量・投与時間・投与ルートの確認)に沿った指差し呼称確認を行う。
  5. 薬物事故防止のための研修会を開催する。
  6. グルコース・インスリン療法について看護師の理解を深める。
  7. 調剤を行ったあと、続けて監査をせずちがう仕事を行い、30分以上空けて監査を行う。
  8. 救急病院であり、18時から20時近くは臨時処方、臨時注射の払い出しが集中するので、薬剤師の遅出勤務を導入し、一人監査を行わない体制を検討している。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
114 障害なし リスパダール内用液 1mg/ml ヤンセンファーマ株式会社 リスパダール0.5ml/包 1日2回内服の処方が出されていたところ、研修医が2倍量の1ml/包 1日2回内服の処方を出した。看護師が薬をセッティングしていたところ、外包の色が今まで黄色だったのが青色になっていることに気付き、処方の誤りに気付いた。主治医に報告し、元の処方に訂正した。 「リスパダール内用液」は患者の持参薬であったため、薬剤師が「持参薬報告」を行う必要があった。薬剤師が「持参薬報告」を行う画面では、リスパダール内用液の表示は以下の6種類があり、薬剤師は4番目の「リスパダール内用液1mg/ml 0.1% 0.5ml」を選択し、持参薬報告を行った。医師が電子カルテで持参薬報告を見たところ、画面には文字数の関係で「リスパダール内用液1mg/ml」までしか表示されていなかった。ただし、枠を延ばせば、全ての文字が表示されるようになっていた。また、「リスパダール」の文字にカーソルを合わせると、「リスパダール内用液1mg/ml 0.1% 0.5ml」と全ての文字が表示されるようになっていた。 今回、医師が処方を行うため、処方画面の「選択薬品」欄に「リスパ」と入力したところ、「リスパダール内用液0.5ml/包(1mg/ml)」「リスパダール内用液1ml/包(1mg/ml)」と表示されたため、医師は、「1mg」と見間違え、2の「リスパダール内用液1ml/包(1mg/ml)」を選択し、誤って処方した。 既に薬剤部が作成していたわかりやすい表示「リスパダール内用液 0.5ml/包(1mg/ml)」「リスパダール内用液 1ml/包(1mg/ml)」を表示する(リスパダールは特別管理薬品となっており、処方ロックが解除された場合は、これまでもこの表示が表示されていた)。また、「リスパダール内用液」の「持参薬報告」を行う画面において、「リスパダール内用液1mg/ml 0.1% 0.5ml」「リスパダール内用液1mg/ml 0.1% 1ml」の表示を削除し、電子カルテで持参薬報告を見た場合、枠を延ばさなくても「リスパダール内用液0.5ml/包」と表示が見えるようにした。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
115 障害残存の可能性がある(低い) ハルシオン
ロナセン
デパス
イトリゾール
アマリール
ベイスン
リピトール
ガスコン プルゼニド
ウリトス
不明
不明
不明
不明
不明
不明
不明
不明
不明
不明
新規薬剤処方時の併用禁忌薬の見落とし。
手爪白癬に対して、イトリゾールカプセルを処方する際、近医から処方されている患者の現在の内服薬を確認したが、記憶を頼りに患者の内服薬の中からリピトールのみ併用しないように伝え、ハルシオン、ロナセンについては伝えていなかった。
その後、1週間内服し、ふらつきや眠気がおこり、足がもつれて転倒。腰部の圧迫骨折となった。
処方薬剤の確認不足。
イトリゾールに併用禁忌、注意薬が多数あること。
  • 併用禁忌薬に関して職員に対し、注意喚起をする。
  • 他の病院で処方されている薬剤と、これから処方する薬剤の照合を十分に行う。
  • システム的に併用禁忌注意のアラートが効果的にでるようにすることを検討する。
  • 確認が不十分であった
116 障害なし アムロジン
リバロ
オルメテック
グラクティブ
大日本住友
興和創薬
第一三共
小野薬品
入院中の患者。持参薬として“アムロジン、リバロ、オルメテック、グラクティブ、アマリール”を内服中であった。その他に入院中に追加された薬剤が5種類ほどあった。持参薬は、“アマリール”以外の“アムロジン、リバロ、オルメテック、グラクティブ”が自己管理で内服していた。一方、追加処方された5種類の薬剤と“アマリール”は看護師管理で内服していた。持参薬が少なくなったため、“アムロジン、リバロ、オルメテック、グラクティブ、アマリール”が院内で処方された。“アマリール”は看護師管理で内服されていたので、その他の薬(アムロジン、リバロ、オルメテック、グラクティブ)も同じように配薬容器にセットしてしまった。患者は自己管理の薬剤とそれらの配薬された薬剤ともに内服してしまった。結果として“アムロジン、リバロ、オルメテック、グラクティブ”が2回分の倍量が投与された。その後、患者は低血糖となり、グルコースを内服することになった。 患者管理の薬剤と看護師管理の薬剤が混在していたため引き起こされたエラーと考えられる
  • 自己管理の薬剤と看護師管理の薬剤が混在しないようにする。(一部の薬剤だけ看護師管理にするような運用は行わない。すべての薬剤を自己管理にするか、すべての薬剤を看護師管理とするかのどちらかにする)
  • 確認が不十分であった
117 障害なし トリフリード
ビーフリード
大塚
大塚
点滴内容を確認時に“トリフリード500ml”の指示であったが“ビーフリード500ml”と誤認して用意してしまった。その後、その他の薬剤(抗生剤)と一緒に注射指示書を看護師二人でダブルチェックした。この時点では、二人とも誤りに気づかなかった。
 準備確認をした看護師が他の患者の対応に追われていたため、手の空いた看護師が点滴を投与した。その後、主治医が訪室した際に指示と違う点滴が投与されていることが判明した。
ダブルチェックの際に抗生剤については内容を十分確認していたが、“トリフリード500ml”については確認が不十分で普段良く使用している“ビーフリード500ml”と勘違いしてしまったと思われる。
  • 注射指示書の確認は、思い込みで判断しないように指差確認などを用いてしっかりと行うようにする。
  • ダブルチェックが形骸化されていたためにエラーが発見できなかったものと思われる。ダブルチェックの重要性を再認識し、形式的なものとせず確実に実施する。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
118 障害残存の可能性なし 不明 不明 点滴オーダーの際,本体内に投与するフラグミンの量を本来4mLとすべきところを4Vと誤って入力,そのまま注射オーダーとして発行され,約半日量投与されてしまった.点滴交換時に指摘あり判明,投与を中止とした. 薬剤投与量の確認ミス カルテ保存時の再確認.フラグミン投与時に単位数でオーダーするようにする.
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
119 障害なし ラシックス錠20mg
アルダクトンA錠25mg
サノフィ・アベンティス
ファイザー
急性腎盂腎炎にて入院、入院時内服薬を持参されず、夕方家族が持参された。持参薬確認時、一包化された内服薬と、ラシックス・アルダクトンが入っている薬袋があった。A看護師はラシックスとアルダクトンは一包化されていないと思い、一包化している薬とラシックス・アルダクトンの薬袋を与薬カートにいれた。B看護師は与薬時、同様にラシックスとアルダクトンは一包化されている袋にははいっていないと思い、一包化された薬とラシックス・アルダクトンを与薬した。2日後1包化されているのに錠剤が他にあることに疑問を持ち、発覚した。 外来カルテのよる処方内容の確認不足
一包化に対する理解不足
一包化された内服薬の確認不足
夜間持参されたため、薬剤師が未介入
薬剤師による持ち込み薬の確認の徹底
一包化された内服薬の確認の徹底
  • 確認が不十分であった
120 障害残存の可能性なし ロキソニン錠60mg 第一三共株式会社 入院前より食後の腹痛を認めていた。経口摂取量の低下に関与していると思われたため、腹痛緩和目的にてロキソニンを昼から内服処方(60mg 3錠分 3)を行った。当事者は、入院時指示に書かれている「NSAIDs 投与禁止」に気づいておらず、担当ナースもこの指示をそのまま受けた。昼食後、12時30分にロキソニン 1錠(60mg )が配薬され、内服された。
14時20分家人より 「トイレに行ったまま20分戻ってこない」との連絡を受け、看護師がトイレに行ったところ、便器に向かって嘔吐していたが、病室に戻った。吐物は、昼食で摂取したものであった。14時30分に家人よりとナースコールがあり、看護師が訪床すると、本人は強い呼吸困難を訴えていた。血圧は、 85 / 55mmHg 心拍数は 96、SaO2 room air 下で 83%、意識は清明であった。直ちに担当医に上記状態が報告された。以前にボルタレン、ピリン系薬剤(セデス)による喘息様発作の既往があったことより、この呼吸困難を伴ったショック状態はロキソニンによるアレルギー反応である可能性が考えられたため、補液、酸素投与とステロイド投与を行った。また、触診にて心拍リズムが不整であったので、 15時に一般病室よりリカバリールームに移動、心電図モニターを装着し状態を観察した。ECG上不整脈と STの低下を認め、10L酸素下においても SaO2 86 %で呼吸困難は続いていた。酸素投与量を増加し(15L)、経過観察したところ、15時34分には血圧 90 /48mmHg 、Sa02 は 88%に回復した。16時には SaO2 95%に回復した為、酸素投与を減量し始め、17時には 7L投与にて SaO2 97%まで改善。また、不整脈と心電図上 ST の低下を認めた為、 16時20分に循環器内科医による診察及び心エコーによる機能評価を施行したところ、心機能上は異常が無いとのことであった。17時15分、酸素 7L下 Sa02 は97%であり、この時点で、モニター上不整脈は認めなくなった。その後、リカバリールームで経過観察した。翌朝には、血圧は 120/80mmHg で、不整脈はなく、酸素 6L投与下で Sao2 は 99%で、循環器内科医の再診と呼吸器内科医の診察をうけたところ、心機能、呼吸機能ともに問題ないとの説明であった。
以前にボルタレン、ピリン系薬剤による瑞息様発作の既往があったことを担当医が認識せず指示を出し、かつ病棟看護師もそのまま指示を受けたという二重の確認ミスが今回の原因で、薬剤アレルギー副作用についての認識の不足が背景にあったと考えている。 薬剤性アレルギーの確認を必ず行う。NSAIDs に起因するアレルギーの既往があれば、その原因薬剤だけでなく、NSAIDs すべてが投与禁となることを医師、看護師に周知徹底させる。
  • 確認が不十分であった
121 障害なし ダントリウムカプセル25mg アステラス 震災で勤務、患者の部屋の変更が重なっている中、勤務交代後に、既に服用させた該当薬の翌日分を与薬し。他看護師より重複与薬であったことを指摘された。 震災後の不規則な勤務、患者の居室の変更等があった。
災害時のため、確認作業を怠った。
非常時でも慌てることなく確認作業を怠らないことの確認、指導。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
  • 勤務状況
122 障害残存の可能性がある(低い) パズクロス点滴静注500mg 田辺三菱
  • 夜間呼吸困難増強しICUに緊急入院した。パズクロス300mg×2/日の指示で投与開始した。
  • 患者は高齢で体重も35kgのため医師は、パズクロス1バック500mgを4割減の300mgとした。
  • 翌日病棟に転棟後も継続していた。入院9日目、300mgの確認をしていた際、500mg投与した看護師がいたことが分かった。
  • 振り返って確認したところ、入院当日夜から入院8日目の夜までの17回投与中9回が500mg投与していたことが分かった。
  • 入院9日目午後から急性腎不全となり意識レベル低下した。
  • 急性腎不全への治療を開始。
  • 徐徐に状況改善、腎機能回復、意識レベルも会話できるくらいに回復した。
  • 減量する薬剤の場合は、ダブルチェックするという原則の不徹底。
  • 薬剤名は見ていたが1回投与量の確認をしていなかった。
  • ワ-クシートのどこを見て確認するか、見方の徹底。
  • 当該部署は当面ダブルチェックをすべての注射薬で実施する。
  • 準備時、実施時の指さし確認の徹底。
  • 確認が不十分であった
123 障害残存の可能性がある(低い) バイフィル 専用炭酸水素ナトリウム補充液1.39% HF-ソリタ血液ろ過用補充液・BW キット(2020mL)
酢酸フリー透析剤「カーボスター」
バイフィル透析剤
味の素製薬
味の素製薬
味の素
味の素
AFBF治療患者である患者に対し、透析液はAFBF用「バイフィル透析液」を用い、置換液にoff-lineHDF用の「HFソリタ」を用い治療を開始する。3時間目のチェック時に主任(技士)が置換液の間違いに気付き自分に報告後、現場に急行し置換液が違っていることを確認する。至急置換液をバイフィルに変更し、同時に血ガスを測定、PH:7.05、HCO3:14.8mmol/L、ABE:-15.6mmol/L、アシドーシス傾向であった為、医師に報告し、輸液ポンプを用い、追加でバイフィル補充液を30ml/hで補液。その後継続的に血ガスを測定し、途中医師の指示で追加分を200ml/hへ上げ、更に置換液増量の為QBを130から160ml/m、補液濃度を14.5%から15.5%に上げて対応する。従来の透析時間より4時間50分延長し終了する。 使用材料準備段階:機械室でA技士とB技士2名でAFBF用バイフィル補充液の準備を始めたが、患者の使用量が分からなかったので、透析箋のQBを見て2人で計算した。結果5リットル弱で良いことが分かった。以前から使用されておらず使用期限の近い1リットルのバイフィル補充液が残っていたため、1リットルタイプ(1リットルが6本あった)を処理しようと2人で話した。A技士は1度“1リットル”のバイフィル液を1パックのみ、カートに乗せたが、透析箋の指示には「バイフィル2リットル×3」と記載があったため、自分で勝手に変えてはいけないと思い、一度カートに乗せたバイフィル“1リットル”1パックを元の箱に戻し、隣の箱「2リットル」から3パックを取り出し、カートへ乗せた。A技士のみで行った。「バイフィル1リットルの隣の箱は“2リットル”のバイフィルの箱」だと思っていた。しかし、実際は〈HDF用HF-ソリタ2リットル〉であった。この時で、A技士はフロアーへ呼ばれ一度準備を中断した。また、B技士も他の業務のため退室していた。A技士が機械室へ戻り、準備を再開した。退室前にHDF用HF-ソリタ2リットルをカートにのせていたため、一緒に使うHDF用透析液「カーボスターA剤・B剤」をカートへ乗せ、病室へ移動した。その間、B技士との使用物品のWチェックはしていない。・病室での準備段階:A技士は他の物品準備のため一度透析室へ戻り、その間にB技士はA技士にプライミングと液置換をするよう言われて行っていた。
その途中でB技士がプライミングをして、液置換をしようとしたとき、カーボスターがあるのに気付き、A技士が帰ってきた時点で「透析液が違います」と声をかけた。
A技士も気づいておらず。A技士が交換に行き、AFBF用バイフィルS液6リットルを持ってきてセットした。この時、補充液がバイフィルではなくHF-ソリタである事に2人とも気付かず。その後、透析開始前の最終準備をA技士が行い、B技士は人工呼吸器等のチェックにあたっていた。A技士はバイフィル補充液では絶対行わないHF-ソリタパックの中壁を開通しフックに吊るす行為を行っている。この時点でも間違いに気付かず。
  • 透析開始・後の段階:A技士が穿刺・9:42分開始を行った。透析開始後の機械チェックを一度退室していたB技士が行った。補充液の流量チェックをコンソールのモニターで行ったが、使用している補充液の内容確認はしておらず。特殊治療に関する上司による確認チェックはされていない。
  • 事故発見後の対応:主任(技士)が3時間目(A・B技士の休憩時間)のチェックを行った。
12:42分 補充液間違いを発見医師に報告。12:48分 A・B技士を探しに休憩室に行く。12:49分 A技士到着後、まだ間違ったままで運転中であったため、すぐに停止し補充液交換等の対処を行った。至急置換液をバイフィルに変更し、同時に血ガスを測定、PH:7.05、HCO3:14.8mmol/L、ABE:-15.6mmol/L、
アシドーシス傾向であった為、副院長に報告し、輸液ポンプを用い、追加でバイフィル補充液を30ml/hで補液。その後継続的に血ガスを測定し、途中、副院長の指示で追加分を200ml/hへ上げ、更に置換液増量の為QBを130か160ml/m、補液濃度を14.5%から15.5%に上げて対応する。従来の透析時間より4時間50分延長し終了する。事故発見から誤った透析を中止するまでに7分経過していた。
以前にAFBF補充液間違いが発生した時の以下の決めごとと今回の事故発生
【準備手順書の作成】・・AFBF分はなし
【コンソールへの表示】・・病棟では行っていない
【機械室の整理整頓】(前回発生時の時も整理整頓ができておらず、また表示もなかった)改善されていたが。
・・・今回、全く置き場所の整理整頓ができておらず、表示も明確ではなかった。
さらにAFBF・HDF用薬剤が混在していた。
【朝の申し送り時に特殊治療者についての連絡事項を報告する】・・・これは現在も実施されている
【準備者 2名(このうち1名がセットを実施)】
【セットに携わらなかったもう1名が「確認作業」を行う】
・・・今回、準備後に上記の手順でのWチェックは行われていない。
(今回B技士より「プライミングをしながら透析液の間違いに気付いた」という発言から)
【さらに主任(上司)がサポートする(再チェックを実施)】
・・・今回、上司による再チェックもされていない。
改善策
  • 機械室の整理整頓は常に注意し、材料の混在しないよう管理をすること。
    →現場より:安全管理室からの指導で既に置き場所を変更したが、今後、カラーテープなどで区切るなど、工夫する。
  • 特殊治療のWチェック(H16年の時の指導どおり)を有効で確実なものにするため、Wチェックの意味・方法をスタッフに教育することを指導
  • また、“上司の最終確認がないと治療を開始しない”という取り決めとする。

 
  • 確認が不十分であった
124 障害なし バクタ顆粒 塩野義 他医処方のバクタの、当科病棟での管理であやまって2回分を1回で投与していた。 他医処方薬の確認作業のマニュアルが不十分で、チェックされていなかった。 他医処方薬も、薬局で一旦確認管理を行う。病棟でも、通常の処方薬と同様に確認する。他医処方薬の日数はあまり長期としない。
  • 確認が不十分であった
125 障害なし タミフルドライシロップ3% 中外 一日二回投与分の、朝の服薬を重複して与薬した。 勤務交代時に、申し送りが不十分で、与薬していないと思い込み、患者、記録の確認を怠り、重複して服薬してしまった。 休日中の臨時処方薬であっても、与薬票の確認、勤務者への確認を行う。患者自身に問いかけ確認を行う。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
  • 連携
126 障害なし アルチバ ヤンセン 硬膜脳動静脈瘻の患者で放射線科で血管内手術が予定され、病棟より搬出時麻薬が準備されず、患者の入室は20分遅れた。主治医の指示で救命センターで準備されたが、放射線科へ持参することになっていたが、病棟や放射線科に連絡されず、そのまま救命センターに持ち帰り、置いてあることが発覚する。
  • 普段は救命センターから入室し、病棟には手順書がなかった。
  • 手術室、救命センターへの指示は口頭指示であった。
  • どこの部署からも搬出することがあり、マニュアルの整備、チェックリストの整備をする。
  • 麻薬等の持参薬の準備は搬出部署で準備する。
  • 血管内手術の申し込みから準備、システムを再度検討する。
  • 確認が不十分であった
127 障害残存の可能性がある(低い) アリムタ注射用500mg リリー ビタミンB12,葉酸の前投与を行わずPemetrexed(アリムタ)による化学療法を施行した。結膜,歯肉,皮下出血(出現時期は不明)があり,外来を受診,血小板数4000個/ulと著名な血小板減少を認め,緊急入院となった。 確認不足
システム出力様式の不備:抗がん剤実施計画書には,一番下段に注意コメントとして,葉酸とビタミンB12の投与することと明記されてはいる。しかし,目につきにくい場所の明記であった。
化学療法時に前投薬についてダブルチェックを行う。
内服薬もレジメン入力時,一括して処方できるようシステムを変更することを検討する。
応急処置で,薬剤師が調製する際に用いる注射処方箋に,葉酸,ビタミンB12処方の確認ができるように,チェック欄を設けた。 次期のシステムでは,前投薬を含めた抗がん剤実施計画書としてオーダーされるように検討することが話し合われた。
  • 確認が不十分であった
128 障害残存の可能性がある(低い) ゼローダ300 中外製薬 エルプラット投与後、患者にゼローダ錠300 1回6錠 朝 昼 夕 14日分の退院処方があった。病棟薬剤師が休みのため看護師が退院薬について説明した。その際、ゼローダについては14日間飲んだら終了であることを念を押して伝えた。退院後、患者は退院時に処方された「ゼローダ」を自宅で14日間飲み続けていた。その後7日間の休薬期間に入ることを忘れ、薬が足りなくなると思い、14日分がなくなる前に予約外で外来受診し、問診票に「薬の不足」と記入し追加処方を希望した。看護師は外科一般外来(振り分け外来)にカルテを並べた。外来では主治医以外の外科一般外来の医師が診察し「薬が不足している。」との患者の訴えにより、1週間分の追加処方がされた。患者は院外処方せんを持って院外薬局に行った。患者がゼローダを内服してから18日目に、主治医がカルテチェックをしている際、追加処方されていることに気づき、患者に内服中止の電話をした。患者はその3日後に外来受診をし、採血の結果白血球・好中球低下、凝固系の延長、高ビリルビン血症、口内炎やふらつきなどを認め、緊急入院となった。その後状態は安定した。
  • 患者への退院指導は病棟薬剤師が内服確認表を用いて行っていたが、今回の事例では病棟薬剤師が不在であり、代理の薬剤師に対応を依頼していたが、病棟看護師が説明した。
  • 病棟看護師は、薬剤師が内服確認表を作成していることを知らなかった。
  • 抗がん剤を追加処方した外科一般外来の医師は、プロトコールを確認せずにゼローダを追加処方した。
  • ゼローダの内服にはA法とB法があり、3週間続けて内服する方法もあるため、追加処方された際に院外薬局において処方内容が間違っているかどうかの判断をすることは、プロトコールとの照合が出来ないので難しい。
  • 主治医は前回の外来で、製薬会社が作成した抗がん剤の服薬期間が記載された冊子を患者に渡し、服薬期間を記載するよう説明していたが、記載が面倒になってしまい途中でやめてしまった。
  • 患者が休薬することを忘れていたことに、医療者が気付くことができなかった。
  • 患者に服薬指導をする際は、薬剤の写真入り服薬スケジュール表などを用いてわかりやすくする。できるだけ家族も一緒に指導する。
  • 外来受診時患者が記入する問診票は受診目的が詳細に記載できるものに変更する。看護師がどの医師に依頼するか判断ができるように問診票に主治医を記載する。
  • 外来での抗がん剤処方は原則主治医か化学療法を行っているチームのスタッフが行う。主治医あるいはチーム以外の医師の外来で抗がん剤の処方を依頼された場合は、その医師は必ず主治医に確認するか、看護師にカルテを戻して再度外来の振り分けをしてもらう。
  • 処方の際に服薬期間等フリーコメントを簡単にいれられる仕組みを作る。
  • 病棟薬剤師は退院服薬指導時には内服薬確認表を使用して患者や家族に指導する。不在の時は代理薬剤師または、看護師に依頼する。
  • 院内において、休薬期間の設けられている薬品に関しては、処方せんの薬品名の前に【休】を表示させ、調剤時、休薬期間を確認する。
  • 院外薬局においては、抗がん剤は休薬期間をしっかり確認するように薬剤部より指示した。
  • 医師に対して、処方オーダー時に投与期間をコメント入力することを徹底した。
  • 確認が不十分であった
  • 患者・家族への説明
129 障害残存の可能性なし ランソプラゾール 武田薬品 短期入院していた際、退院時に退院処方でランソプラゾールが14日分処方されたが、調剤時に確認ミスをして他の薬剤といっしょに分包されなかった。鑑査も気づかずに患者に渡した。2日間内服しなかったため、吐血した。 内服再開指示のとき、ランソプラゾールが分包されていないことに鑑査できなかった。 薬剤監査 ダブルチェック
  • 確認が不十分であった
130 障害残存の可能性なし ノボラピッド30ミックス注 ノボ 朝食直前にノボラピッド30ミックス14単位投与の指示であった。深夜看護師は看護助手が配膳業務を開始したことを確認し、7時55分にインスリンを投与した。看護助手は当該患者の配膳をし忘れていた。また、深夜看護師も患者が食事摂取を開始したことを確認しなかった。日勤者が朝食摂取終了の頃合を見計らって8時45分に訪室したところ、まだ食事摂取していないと報告を受けた。インスリン投与から50分経過していた。血糖値は49mg/dlであった。直ちに40%ブドウ糖を2アンプル内服し、朝食摂取開始する。30分後、血糖値112mg/dl、意識清明、バイタルサイン著変なし。11時30分、血糖値50mg/dl、意識清明、冷汗なし、気分不快なし、手指振戦なし。再度、40%ブドウ糖2アンプル内服。30分後、血糖値80mg/dl。昼食全量摂取後、13時、血糖値256mg/dl、経過観察となる。 深夜看護師は看護助手が配膳をしているのを見て、すぐに配膳されるものと思い、インスリンを投与した。看護助手はこの日は忙しく、慌てており、配膳の最終確認をしなかったため、未配膳に気がつかなかった。日勤者は7時50分患者が食事をとる姿勢になっているのを見て、配膳されていると思い、食事摂取開始の確認をしなかった。 食直前の超速攻型インスリン投与指示のある場合は、インスリン投与者が投与時に配膳も行う。速やかに配膳できない状況にある場合はインスリンの投与はせずに、インスリンの投与と配膳を一括して他の看護師に依頼し、確実に伝達する。看護助手は全員の配膳が終了しているかを必ず、最終確認する。誰かが行っているという思い込みをせず、実施の有無を自分の目で確認する。
  • 確認が不十分であった
131 障害なし パルタンM注0.2mg 持田製薬 (帝王切開時、通常、児を娩出後に投与する子宮収縮剤を、執刀前(手術開始前)に投与した。
経過
14:11 帝王切開目的で手術室入室。入室後、初期研修医(以下研修医)は看護師からビニール袋に入った生食100ml、パルタンM1Aとセファメジン1g,ならびに注射伝票を渡され,パルタンM,セファメジンを生食に混注し準備した。上級医との確認は行っていない。
14:24 硬膜外麻酔開始
14:27 脊髄麻酔施行。Th3-4 上肢の握力が十分である事を確認 Sat100%
14:29 呼吸苦あり酸素マスク流量5リットル
14:35頃HR50 BP100台 血圧が低下し,麻酔部上級医は脊髄麻酔の効果と考えエフェドリン8mgとヘスパンダーを投与。
14:40 研修医は術前に抗生剤を投与することになっており、生食100+セファメジンα1g+パルタンM注0.2mgを投与。その後、BP150/100 HR100、呼吸苦を訴えたが、Satは100%で酸素をリザーバーマスク10リットルに増量して経過観察。研修医は、空アンプルを確認(子宮収縮剤を投与したことを確認)。
14:53 タイムアウト施行
14:55 生食100+セファメジンα1g+パルタンM注0.2mg投与終了
14:55 手術開始
15:04 児娩出 産科医は、子宮が硬めで児の殿部を出しにくいと感じた。 児体重:3235g 
臍帯動脈血:PH6.998 
  研修医は、指導医に子宮収縮剤の場所を聞かれる。研修医がすでに抗生剤と子宮収縮剤を混注したものを投与したことが発覚。嘔気に対し制吐剤投与。
15:06 胎盤娩出
15:09 A/P6点→8点
15:30 手術終了。アトニン投与。
16:32 退室し病棟へ帰室。

17:00 BP102/50 HR60 R24 
18:20 指導医から本人と家族に研修医が抗生剤と子宮収縮剤を混ぜて術前に投与してしまったことを説明し謝罪する。患者「(自分の呼吸苦の原因が)納得できて良かったです。赤ちゃんに影響がなければよい。」との発言があった。
23:00 酸素中止。
翌日、BP109/65 HR65 BT36.5 Babyのミルクの飲み方に問題なし
  1. 注射指示票はクリパス出力されたものであり、アトニン、パルタンM、セファメジン、生食がまとめて記載されている。また、投与時間(投与タイミング)指示の記載もなく、誤解を生じやすい記載方法であった。
  2. 指導医と研修医との術前の麻酔方法の確認、薬剤の確認方法などが明確にされていなかった。
  3. 指導医は当然抗生剤のみ投与するであろうと考え、パルタンMを投与するとは考えていなかったため、指示が不明確であった。
  4. 指導医と研修医が一緒に麻酔を行う際の決められた役割分担が遵守されていなかった。
  5. 一般的な事として、麻酔マニュアルは存在するがそれが徹底されているかの確認がないなど、研修医が初めての疾患に麻酔をかける際の指導方法が確立されていなかった。
  6. 薬物投与に関する確認方法が曖昧であった。
  1. 麻酔部内での教育体制の見直し
  2. 研修医との術前の麻酔ブリーフィングの施行
  3. 注射指示表の記載方法の改定(投与時間の記載、投与方法、薬剤の記載順序)
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
132 障害残存の可能性なし 静注用キシロカイン2% アストラゼネカ 医師はコンピューター注射入力で「キシロカイン注ポリアンプ2%」が画面マスター上なかったため、「キシロカイン注ポリアンプ1%」を選択し「実は2%キシロカインで」とコメント欄に追加入力し指示を出した。看護師は、病棟に在庫していた「静注用キシロカイン2%」でもよいと判断して準備し、別の医師に手渡し、医師はそのまま患者に投与した。同日の夜、別の看護師と医師間でも同じ間違いがあり、同様に実施された。翌日他の看護師が薬剤師に確認をし間違いに気付いた。患者に状態変化はなかった。 過去に「キシロカイン注ポリアンプ2%」を静脈注射した事例があり、コンピューター上注射オーダーできないシステムとしていた。しかし用法の違いを知らない医師、看護師が多くいた。 「キシロカイン注ポリアンプ2%」を他社薬剤「フリードカイン2%」へ変更し、さらにオーダー可能な診療科を限定することとした。
  • 確認が不十分であった<
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
133 障害残存の可能性なし マイスタン細粒1% 大日本住友製薬 医師が患者の抗ケイレン薬をコントロールしており、小児神経医師が新生児医師へ『マイスタン』を使用し始めてはどうかとアドバイスした。受け持ち医師はマイスタン細粒1% 0.2mg/kg/day(0.4mg/回)処方すべきところ、2mg/kg/day(4mg/回)の認識でコンピューター処方入力をした。上級医師がダブルチェックをしたが間違いに気付かず、薬剤師が調剤する時も看護師が与薬する時も疑義照会はされず、2日後に受け持ち医が小児神経医師に再度確認した際に気付いた。患者にはマイスタン細粒1% 4mg/回 1日2回を2日間 計4回誤投与した。患者の状態変化はなかった。
  • 病棟医は週1回の神経回診時に、小児神経医師へ患者の痙攣に対する薬剤コントロールについて相談した際、小児神経医が「マイスタンをはじめてみてはどうか。パーキロ0.2mgで」と口頭でアドバイスしたが、病棟医には指示量が「パーキロ2mgで」と聞こえていた。また、病棟医はその際メモをとらなかった。
  • 病棟医は翌日の当直時間帯に自分の記憶を頼りにマイスタンの臨時処方を行い、その際コンピューターのコメント欄に「2mg/kg/day」と入力した。
  • 病棟医は使用経験がない薬にも関わらず、小児神経医師の口頭指示を容認し、添付文書等を用いた薬剤適正量の確認を怠った。
  • 病棟看護師は指示を確認したがマイスタンの10倍量投与には気付かなかった。
  • 当直薬剤師は、調剤時に、処方せんに「2mg/kg/day」とコメントがあったので「医師があえてこの量で指示を出しているのだ」と思い、指示量が適正か疑義照会を行わずに、指示通り調剤した。
  • マイスタンを2回投与後に、看護師がマイスタンの用法用量を調べると「0.2mg/kg/day」となっていたので、病棟医に「マイスタンちょっと多くないですか」と疑義照会をしたが、病棟医は「ちょっと多いけどいいんです」と返事があり納得した。
  • 回診時のコンサルテーション内容は、メモをとり、診療録に必ず記載する。
  • 病棟で使用する薬剤一覧表(用量換算表)の作成と掲示。
  • 明確な疑義照会が出来るように啓発ポスターを掲示する(疑問に思った量や内容・投与方法等を声に出し、一緒にワークシートを指差して確認しあう)
  • 使用しなれていない、あるいは初めて使用する薬剤は、事前に医薬品情報を検索してから使用するよう、啓発ポスターを掲示する。
  • ローテートしてくる研修医と病棟医への病棟オリエンテーションの強化。
  • 薬剤部では、抗てんかん薬の散薬装置瓶に小児薬用量を表示し、調剤時必ず確認する。
    • 病棟担当薬剤師の病棟業務時間を10時間/週→15時間/週に増加させ、処方鑑査を強化する。
    • コンピュータシステム上の改善をする(医師が処方指示をする際、患者の体重から薬剤適応量を計算し、設定量逸脱時はアラート表示がされる。)
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
134 障害残存の可能性なし ザイザル錠5mg GSK 糖尿病性腎症による慢性腎不全で、当院腎臓内科へ紹介となり、外来でフォローされていた。
翌年3週間程度の入院を要し、その間ジルテック(1日10mg)を服用。退院時にはドライシロップが処方された。
翌月、透析導入目的で再入院となった際、退院時処方を持参薬として持ち込まれ、その後院内処方へと切り替わる際に「ジルテック」から「ザイザル」へ変更。薬剤の性質上用量を半減しなければならなかったが、そのまま10mg(添付文書で1日最大10mg)を処方した。また、本来透析中の患者には禁忌とされている薬剤であったが、薬剤師もその認識が希薄であったため、疑義照会は行われておらず継続して服用している。
入院後19日目に透析時にシャント穿刺部の感染を認めたものの、外来透析可能として退院。翌日40度の発熱でER受診となり、感染による敗血症及び高度の白血球減少症と診断され、緊急入院となった。なお、白血球減少の原因が敗血症によるものか薬剤の副作用によるものかは不明であるが、可能性を否定できない。抗生剤の投与により翌日には解熱し、全身状態は改善傾向にある。
  • 変更後の薬剤が透析患者に禁忌であることの認識が希薄であった。
  • 透析により除去できると思った。
  • 腎不全患者への適切な薬剤量の確認を行う。
  • 薬剤部での会議で事例報告、注意喚起を行う。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
 
 

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(薬剤の施設間等情報伝達に関連する事例)

No. 事故の
程度
情報の
流れ
事故の内容 背景・要因 改善策 評価案
1 障害残存
の可能性
(低い)
他施設→
当該施設
入院中に39℃台の発熱を認め、諸精査の結果胆管炎と診断された。担当医がスルペラゾンを選択し、看護師に点滴の指示を出した。看護師はヘパロックにて維持していた末梢静脈ラインからスルペラゾン1g +生理食塩水100mL の点滴を開始した。患者は点滴開始直後から上肢の痺れを感じたためナースコールを押した。上肢の痺れに続き腹痛も生じ、駆けつけた看護師は直ちにスルペラゾンの点滴を中止し、医師に報告した。患者が会話可能であったので、医師は患者から前医で抗生剤投与時に同様の症状があったことを聞き、前医でスルペラゾンのアレルギーがあったことが判明した。看護師も他の患者への業務のため病室を離れた間に患者が自力でトイレへ行こうとして途中転倒した。後頭部に約2cm の挫創を認めたが、出血は少量であり、縫合処置等の必要性は認めなかった。四肢の運動や感覚に問題はなく、その他明らかな神経学的所見は認めなかった。その後、アレルギーに対しハイドロコートンを静注し経過を観察したところ、徐々に状態は改善した。 前医入院中に使用された抗生剤に対しアレルギー反応が認められており、紹介状に当該抗生剤の記載があった。前回入院時の担当医が診療端末に入力したが、カルテの所定欄には記載しなかった。前回の入院、外来、今回の入院での担当医が異なっていたことも要因として考えられる。診療端末や温度板でアレルギー警告が表示される状態であったが,表示がわかりづらく確認されなかった。カンファレンスでも検討されたが、アレルギーの存在に関して十分な注意喚起がされなかった。また、看護師とも情報共有がされていなかった。
  • 診療端末のアレルギー警告表示について、科内での周知徹底を図る。
  • 今後アレルギー警告表示を目立つようにすることも検討する。
  • アレルギー発症時にバイタルサインを確認し、医療スタッフが側を離れず患者の容態を観察していれば、転倒を避け得た可能性がある。
  • 確認が不十分であった
2 障害なし 他施設→
当該施設
入院0日目、日勤看護師Aがアナムネの際、内科処方は持参していたが、精神科の内服している薬が家にあることを聞き、精神科の処方薬を夕方に家族に届けてもらうことになった。日勤担当看護師Bは、内科持参薬を薬局へ薬品検索に提出したが、薬がバラバラであり、お薬手帳などの情報がないため、薬剤師は薬品検索を断った。看護師Bは家族に連絡し、精神科の薬と合わせてお薬手帳を持参してもらうように伝えた。看護師Bは夜勤看護師Cに家族が薬を持ってくることを申し送った。看護師Cは家族から精神科の薬を預かったが、お薬手帳を家族が忘れたので、中身を確認せず、机の上に薬を置いていた。入院1日目手術当日、看護師Cは、家族がお薬手帳を持ってきたら薬品検索に提出するように日勤看護師Dに申し送った。
看護師Dと看護師Eは、リスパダールとデパス錠が散らばっているのを見た。看護師Eは看護師Fに薬品検索を提出するように依頼した。薬剤師Gは、精神科の処方の用法について、調剤薬局の薬袋に、「1日4回、毎食後・就寝前 1回に リスパダール錠1mg 2錠ずつ、デパス錠0.5mg 2錠ずつ 合計2種 お飲みください」と印刷されているのを確認した。お薬手帳には、別の調剤薬局で精神科処方の内容は記入されていたが、用法までは記入されていなかった。薬剤師Gは、そのままの用法でヒートから薬を一包化し直し、薬剤師Hが鑑査したが、そのまま病棟に出した。入院2日目手術翌日、看護師Iが朝・昼とリスパダール・デパスを与薬した。夜勤看護師Jが、患者に傾眠があり、嚥下が困難な状況で食事や内服ができないことに気付いた。手の震えがあったため、薬剤師Kに相談した。薬剤師Kは、向精神薬を急に止めると悪性症候群の発生の可能性があることを伝えた。主治医に報告し、看護師Jは夕・眠前の内服を中止した。入院3日目、看護師Jは、患者は朝内服可能であったため与薬した。日勤看護師Iは、昼に与薬した。その後、傾眠について医療安全管理者(薬剤師L)に相談した。医療安全管理者は過量投与の可能性を疑い、薬剤師M に処方病院や調剤薬局に看護師 I に家族に問い合わせするように指示した。その結果、実際の用法は、「リスパダール・デパスは1日1回寝る前に1錠ずつ服用」で、処方は精神科医師が8倍処方をし、8ヶ月分の処方をしていたことが分かった。
他院の精神科医師が、処方日数制限のない薬を8倍処方し、調剤薬局では処方せん通りの用法で薬袋に印刷してあった。お薬手帳に全ての調剤薬局の処方が記入されておらず、薬の情報が一元管理されていない。持参薬を受け取る際、薬を受け取るだけで、中身について家人と確認したり、聴き取ったりすることが行われていなかった。薬剤師は薬品検索時、精神科は向精神薬の量は多いという先入観があり、疑問を持たなかった。看護師が、向精神薬の副作用について薬剤師に問い合わせた時に、十分な患者状態を伝達したり把握しないまま薬剤師がアセスメントを行ったため、悪性症候群の疑いとなり、服薬継続が行われた。
  • 持参薬を預かる際は、患者・家人への質問内容を定め、質問用チェックリストを作成し、その通りに質問を行うことを徹底する(現在服用中の薬、中止している薬、薬袋どおりに服用していない薬など)。
  • 薬剤師の病棟配置時間の延長(持参薬管理の病棟での徹底、タイムリーな指導や病棟カンファレンスへの参加など)。
  • 持参薬の預かり時、ケースを利用して薬を整理しやすくする工夫。
  • 確認が不十分であった
3 障害残存
の可能性
がある
(高い)
他施設→
当該施設
入院当日、持参薬を主治医と看護師と両者でダブルチェックをした。前院からの紹介状はなかった。薬手帳等現在内服中の薬を記した書面はなかった。主治医は、確認した持参薬を継続内服するように指示した。主治医は、既往にステント留置術をしていること、バイアスピリン(抗血栓剤)を内服していたこと、外来受診中に薬疹により中止したことは把握していた。しかし、前院処方のプラビックス(抗血栓剤)セロクラール(脳循環改善剤)を内服していることは知らなかった。入院当日に確認した持参薬に薬がなかったため、入院前まで内服していたプラビックス・セロクラールは4日間投与されなかった。入院5日目、患者は早朝より発語が少なく、当直医師が診察し低酸素状態と判断し酸素吸入をした。妻が昼食時と夕食時頃に面会し、患者の様子がおかしいと感じ日勤担当看護師に、異常を感じることと医師への報告を希望した。日勤担当看護師は、いつもと違うことは感じていたが午前中にすでに診察を受け対処していること、その時と大きな変化はないため妻ほどの緊急性を感じなかったことから、妻には「休日のため明日主治医に診てもらう。」と答えた。準夜看護師は意識レベルの変動を感じ生体モニターを装着した。左共同偏視、左上下肢麻痺を認め当直医師に報告した。当直医は救急外来対応中のため血管確保の指示をし、診察した。頭部MRI の結果、多発性脳塞栓症が判明した。妻から心臓の薬を返却されて、患者は内服していなかったと話があった。 前院からの紹介状は発行されていないため、前院の処方内容が明確ではなかった(前院の紹介による当院受診ではなかった)。持参薬が前院の処方と合致しているのか確認ができない状況で、妻が届けた内服薬の現物のみを主治医と看護師とで確認した。見落としや間違える危険性もあった。薬剤師のマンパワー不足により、入院時の薬剤指導を実施できない状態である。持参薬の薬剤師によるチェック体制がない。患者は肺炎を併発しており、反応の鈍さ(新たな合併症徴候:多発性脳塞栓症)を血液ガスの結果から低酸素状態によるものと判断した。多発性脳塞栓症:シャワーエンボリズムのために、現れた症状は典型的な脳梗塞症状とは異なったため、今回の反応の鈍さを脳梗塞と推測することは難しかった。プラビックス・セロクラールは、動脈の血栓を予防するもので、心臓内の血栓防止には効果を期待できない。
その薬を内服していたとしても心臓内からの脳塞栓症は、防止できなかったかもしれない。これらの薬を内服しなかったことと脳塞栓症発症との因果関係は低いと考える。妻が日勤担当看護師に異常を感じること、医師の診察依頼を複数回したが取りあってもらえなかったことが、妻の病院への不審を募らせる要因となった。日勤担当看護師は、午前中に診察を依頼し対処していること、その時と大きな変化はないことから緊急性がないと判断した。そのため、妻の訴えを受け止められなかった。また、他の看護師にも相談しなかったため、助言や妻へのフォローがなされなかった。
  • 薬剤師も含む持参薬の確認体制の構築(確実に持参薬の確認ができる方法を検討する。
  • 処方箋・紹介状・薬手帳等の書面との照合を原則とする、薬剤師の介入、など薬剤科とも協力し確認方法をルール化する)。
  • 患者を常に見ていた家族からの「おかしい」の言葉は、貴重な情報と受け止める認識をもつ。
  • 医療はチームで行うため、報告・相談・連絡が重要である。よって、医師への報告や看護師間の相談を躊躇しないように医療安全情報として職員へ発信していく。
  • 確認が不十分であった
4 障害残存
の可能性
(低い)
当該施設
→薬局
外来にてテグレトール、アレビアチン、フェノバールなどの抗てんかん薬を処方していた。5日後にてんかんの悪化もしくは抗てんかん薬の副作用が疑われ、緊急入院となった。入院後は持参した外来で処方された薬を続行した。次の日、血中濃度検査でフェノバールが高値であり、アレビアチン散を中止した。しかし、アレビアチン濃度の高値は続いた。そのため、外来処方薬をチェックしたところ、抗パーキンソン薬のアキネトンの代わりに、アレビアチンが入っていた。そこで、実際に誤薬があるか医師、看護師、薬剤師で確認を行った。その後、薬剤師を経由して院外薬局に問合せを行い、誤調剤を確認した。 応需薬局での処方間違いがあった。持参薬のチェックシステムがなかった。持参薬の継続処理が適切でなかった。薬の量が多く医師の指示を確認するのに手間と時間を要した。
  • 持参薬の鑑査システムを院内に構築する(全ての持参薬を薬剤部で確認する)。
  • 確認が不十分であった
5 障害残存
の可能性
(低い)
外来
→病棟
左下腿切断術の術後指示として、病棟担当医はボルタレン坐薬25mg を指示記載した。術後1日目午後12時頃患者は患肢の痛みを訴え、鎮痛薬を希望した。受けた看護師は、対症指示を確認後、ボルタレン坐薬25mg を使用した。20分頃ナースコールがあり、「全身かゆい」と訴えた。全身掻痒感、顔面紅潮、BP40台まで低下しプレショック状態。医師コールしアレルギー症状と判断し輸液負荷、ソルコーテフ500mg を使用した。昇圧剤を使用しながらモニター管理を行い13時10分ICU管理となった。ICU入室後バイタルサイン安定した。翌日病棟へ転棟した。 患者はボルタレンに対して禁忌薬剤であることを外来主治医、受け持ち看護師、病棟薬剤師に申告していた。外来主治医は申告された内容を病棟担当医に伝えていなかった。受け持ち看護師は、電子カルテのアレルギー欄に記載していた。薬剤師による薬剤鑑定記録や受け持ち看護師による薬のアレルギー記録等の情報が活かされず指示受けが実施された。対症指示で病棟定数のボルタレン坐薬を使用したため薬剤師による疑義が出来なかった。患者へ実施時アレルギーの確認を行わなかった。医師、看護師のアレルギー薬のリスク認識が低かった。ボルタレンは患者の禁忌薬剤として電子カルテのアレルギー欄に記載されていた。
  • 医師は重要な情報はタイムリーに口頭で伝達し診療記録に記載する。
  • 安全な薬物療法を実施を行うために、6RプラスAの確認、正しい患者、薬剤、投与量、方法、時間、記録そしてアレルギーの有無を確認する・薬剤のリスクに対する認識を深める教育の強化。
  • 頓用の薬剤は緊急時以外は、処方オーダーから行う。
  • 電子カルテの禁忌薬剤のシステム改善検討。
  • 確認が不十分であった
6 障害なし 外来
→病棟
手術後、点滴が終了したためヘパリンロックを行った。事後に統合セット(普段よく使用される注射オーダーの事前入力であり、必要時その画面より取り込み、注射のオーダー入力が可能となっており、例えば、疼痛時・腹痛時等の継続指示等。本来は医師しか注射のオーダーは出せないことになっているため、継続指示の注射箋発行の際に使用されている)からヘパリンロックをオーダーしようとして画面を開いたところ、画面に「HIT(ヘパリン起因性血小板減少症)にてヘパリン禁」の表示がされていた。 外来カルテにはヘパリン禁忌の記載があったが、入院診療情報記録の中にヘパリン禁忌が記載されていなかった。外来看護師から情報伝達がなかった。注射オーダリングにはヘパリン禁忌が記載さていたが、注射を準備する前に統合セットからオーダーしなかったため実施後に発見することとなった。統合セットからのオーダー指示を出す場合のマニュアル違反(マニュアルでは注射を準備する前に注射箋を出す)。
  • 統合セットから指示の注射を探しオーダー後に実施を行う。
  • 入院時には外来カルテから情報収集を行う。
  • 確認が不十分であった
  • 記録等の記載
7 障害残存
の可能性
(高い)
外来
→病棟
当院に慢性関節リウマチで通院中の患者が消化管出血を主訴に緊急入院してきた際、担当となった研修医が患者の内服指示を出すために、持参薬をもとに外来カルテを参考にしたところ、そのうちのリウマトレックスについて通常、1週間に1回6mg(2mg ×3回)投与すべきところ、1日6mg(2mg ×3回)毎日服用する指示を出してしまった。入院した日の夕から研修医がその用法の間違いに気付くまで連続して11回投与された。用法間違いに気付いた際、週1回投与に変更したが、連続投与による過剰投与で骨髄抑制が発生した後にもその指示が中止されず、さらに1日6mg分が投与された。骨髄抑制および消化管出血は治療により消失したが、肺炎が増悪し、人工呼吸器管理となった。 曜日指定しなくても入力できるシステムであった。救急外来から直接入院した患者の持参薬であり、薬剤師の服薬指導のシステムから漏れてしまった。上級医が研修医の処方指示のチェックを行うことになっているが、今回は外来で処方された持参薬であったため、チェック機構が十分でなかった。消化器内科医師、看護師ともに薬剤に対する知識がなかった。
  • 外来における曜日指定の処方入力について改善する。
  • 持参薬の与薬管理についてのチェック機構の改善をする。
  • 配属直後の研修医の指導について十分な指導体制の確立をする。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
  • オーダリング時等の誤入力
8 障害残存
の可能性
がある
(高い)
手術室
→病棟
患者は、術後の膵炎予防のため、レミナロン2000mg +5%ブドウ糖48mL(濃度4.2%)を中心静脈注射(CV)より精密持続ポンプ使用で投与する指示が「注射処方箋」に記載されていた。担当看護師は、術後に「精密点滴指示簿」による指示がなかったため、医師Aに点滴ラインが中心静脈がなく、末梢ラインしか入ってないことを報告し、「精密点滴指示簿」の点滴ルート欄に末梢、速度2mL/h と記入した指示をもらい、リーダーに指示受けサインをもらった。左末梢2本点滴のラインがあり、1本目はメインの点滴を、もう1本目はレミナロンの点滴を開始した。翌日、メインの点滴が漏れたため主治医に再挿入を依頼した。この時、手術後より中心静脈が挿入されておらず、レミナロンが単独で左末梢から投与され、また、中心静脈注射で使用する濃度のレミナロンが末梢から投与されていたことがわかった。 注射処方箋にはレミナロン投与の注意事項が記入してあり、術後の指示を受ける際は、指示簿だけで指示受けをせず、注射処方箋と照らし合わせ指示受けを行い、不明な点については確認をする必要があった。指示を受ける際、主治医に中心静脈ラインが入っていないことを確認しなかった。高濃度であった場合の副作用についての知識が不足していた。
  • 指示簿での指示を受ける際は、注射処方箋と照らし合わせ確認した上で指示を受ける。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
9 障害なし 放射線科

血液内科
6年前にセフェム系抗生剤で薬疹と考えられる既往があることを確認し放射線科カルテ及び新患紹介用紙のアレルギー欄に記載していた。オーダリング画面のアレルギー薬剤の入力方法を知らず、今まで記載したことがなく行っていなかった。第3世代セフェム系抗生剤投与の指示を受け、セフタジジム2g 2 ×をオーダーした。血液内科での主治医に電話で報告。体幹部皮疹と軽度の膨疹をセフタジジムによるものかと考えている旨相談したところ、第4世代への変更を指示されファーストシン2g 2 ×をオーダーした。その後、皮膚科紹介し、体幹部融合傾向のある紅班を認め中毒疹を疑い、原因として複数の薬剤が開始されているため、特定は困難との返事があった。顔面から体幹・四肢に紅斑を認め増悪傾向にあり、他系統の抗生剤(ミノサイクリン)への変更と強ミノC をIV したが喉の腫れた感じなどの所見がありオキシコンチンの薬剤は変更、中止できる内服薬及びミノサイクリンは中止した。その後皮疹は改善した。 抗癌剤誤投与後の骨髄抑制に伴う感染症に対する抗生剤投与に関して、入院時、6年前にセフェム系抗生剤で薬疹と考えられる既往があることを確認し、放射線科カルテ及び新患紹介用紙のアレルギー欄に記載していた。しかし、血液内科に薬剤アレルギーを伝えることなく、また、オーダリングシステムの薬剤アレルギーの記載方法も知らず記載していなかった。指導医もこれに気付かず、看護師・病棟担当薬剤師もそれぞれ入院時にアレルギー歴を確認し、看護日誌や薬剤師の患者情報用紙に記入していたが、セフェム系抗生剤が指示されたと気付かなかった。
  • 医師は、薬剤投与指示の際はアレルギー歴をダブルチェックする。
  • 確認したアレルギー歴は必ずオーダリングシステムに記載する。
  • 看護師・担当薬剤師はオーダリング画面アレルギー入力を確認する。
  • 診療録・看護記録の決められた場所の記載を確認する。
  • 担当薬剤師はアレルギー薬剤の指示を確認する。研修医の指導医は指示・記録をチェックする。また、確認時はサインする。
  • 確認が不十分であった
  • 記録等の記載
10 障害残存
の可能性
なし
内科→
内視鏡室
前処置の抗コリン剤の注射を施行するため、問診票を確認。全ての項目に「いいえ」とチェックしていたので、依頼書、カルテ本人に確認をせずブスコパンを静注した。静注後に依頼書に抗コリン剤不可の記載に気付く。患者と確認したところ眼科で緑内障の診断は受けていないが眼が見えにくいと返答あり。ブスコパン静注後、眼痛、視力低下見られず。 問診票のみの確認しか行わなかった。
  • 医師と看護師で確認を行う。
  • 予約時に問診票のチェックを患者と共に行う。
  • 依頼書のチェックを必ず行う。
  • 確認が不十分であった
11 障害残存
の可能性
(低い)
他施設→
当該施設
前医処方が秤量にて記載されていたが、力価と思い込み(当院の取り決めは力価での処方)処方したために、過剰投与となった。 紹介状を十分に確認していなかった。
当院での取り決めの周知ができていなかった。
  • 医師への教育。
  • 確認が不十分であった
12 不明 他施設→
当該施設
当院へ転院当日、内服薬は前医からの継続となるが、医師は免疫抑制剤であるリウマトレックス2mg 分2 朝・夕:週1 回の指示を、間違って連日投与と処方せんに記載した。
薬剤師は特殊投与方法である薬剤で、連日投与できないことを見落とし病棟に払い出し、看護師も間違いに気が付かず過剰投与された。
薬剤に関する知識不足。
持参薬に薬剤師が関与する事例が限られていた。
  • 薬剤情報の周知徹底。
  • 薬剤に関する知識の習得。
  • 持参薬に関する薬剤師の積極的関与の再構築。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
  • オーダリング時等の誤入力
13 不明 他施設→
当該施設
他院から転入し担当看護師A が持参薬の整理を実施し本日の昼分の準備を行い、休憩に入った。引き継いだ看護師B は患者の食事の終了を確認し準備されていた昼の薬を与薬した。看護師A が休憩から戻り持参薬の残数を確認したところ数が合わなかった。そこで転入前の病院の内服薬の用紙を確認すると、本日の昼分はすでに内服させてきた旨が記入されており過剰投与がわかった。 十分な引継ぎが出来ていなかった。
投薬時に処方せんの確認を怠った。
  • 確認作業の徹底・ルールに沿った投薬方法。
  • 確認が不十分であった
14 障害なし 他施設→
当該施設
他院より紹介状を持って入院の患者であった。医師が紹介状を確認し、持参薬継続となる。患者本人と確認を行い説明書とともに持参薬を薬剤課に鑑別に出して以後は看護師の管理となる。入院の翌日、「血圧の薬は飲まなくていいのか?」と患者から別の持参薬を出され、継続指示の出た薬を一部飲んでいなかったことが判明する。本人と確認したのみで、紹介状と情報の確認を行っていなかった。 患者本人と一緒に確認作業を行い、紹介状との確認を行っていなかった。
  • 患者がはっきりしている場合であっても、紹介状との確認を行う。
  • 確認が不十分であった
15 障害なし 他施設→
当該施設
患者がB 群溶連菌陽性は紹介状に記載されており、診療録所定欄にも記載されていた。ペニシリンアレルギーについても紹介状と外来予診カードに記入されていたにもかかわらず、診療録には記載されていなかった。午前2時頃腹部緊満が増強してきたため当院産科病棟に電話連絡。対応したC 助産師は、周期的な子宮収縮となるまで自宅待機し再度電話連絡するように指示。午前8時過ぎ連絡なく直接来棟。既に2名の分娩進行者がおり、うち1名は速やかに分娩に至りそうであったために、日勤担当助産師でなく、深夜勤務のC 助産師が対応。午前9時にC 助産師が既往歴など入院時の問診を行った。
この時点で患者からペニシリンアレルギーがあることを聴取し入院診療録中の産科データベース・サマリーに記載。通常8時30分より勤務交代のための引継が行われているが、本患者の処置等はこの時間と重なっていた。医師も集まり当直医から昨晩の状況報告を受け、その日の治療方針を決めるミーティングを行っているが、入院時間がミーティングと重なっていたため医師への情報伝達はできなかった。9時30分頃C 助産師からD 助産師に引継が行われた。患者にペニシリンアレルギーがあることは分娩室日勤担当D 助産師に伝達したが、他の作業をしながら、口頭のみで行われた。受け持ち患者の手術まで病棟担当であったE 医師を呼んだ。患者が受付を通らず直接来棟したため入院手続きが遅れ9時40分に外来診療録が分娩室に到着。E 医師は診療録よりB 群溶連菌保菌陽性の記載を認めた(紹介状を確認することはなかった)。D 助産師は電子カルテにて膣分泌物培養検査の結果を確認したが、当院での検査結果は陰性であったため、外来での担当医A 医師(E 医師の上級医)に電話連絡。A 医師は手元に診療録はなく、また、患者についての記憶が曖昧であったため、一般論として診療録にB 群溶連菌保菌陽性の記載があるなら、産道感染予防のためペニシリンを点滴静注すべきであると回答。10時E 医師は施行。投与直前に新生児GBS 感染症発症予防のため抗菌薬の必要性について説明したが、ペニシリンとは説明せず、また、薬剤アレルギーの既往について再度の問診をおこなわなかった。分娩より3日後腹部に皮疹が出現。この時点でE 医師はアレルギー反応による皮疹を疑い問診をおこなった所、ペニシリンアレルギーがあることを知った。
初診担当医が紹介状、問診票の薬剤アレルギーをカルテに記載しなかった。
次の担当医は上級医がみているからと確認しなかった。
当事者はカルテからのみ判断し、投与直前の問診を怠った。
助産師においても勤務交代と重なり、かつ慌ただしい状況であったため情報伝達が不十分であった。
  • 診療録の改善、外来と病棟担当医は必ずしも同じでないため、伝達すべき情報をより分かり易く正確に行えるように改善。
  • 診療録に診療上の注意事項記載欄があるので活用することの徹底。
  • 薬剤投与直前に必ず患者本人にアレルギーの有無を確認。
  • 医師、看護師間の情報共有を図る。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
16 障害残存
の可能性
(低い)
他施設→
当該施設
耳鼻咽喉科で慢性副鼻腔炎に対し、鼻内視鏡手術が全身麻酔下に行われた患者で、手術終了後全身麻酔覚醒前に術後鎮痛目的でフルルビプロフェンアキセチルを50mg 静脈内投与した。その後、麻酔からの覚醒は良好で抜管、循環・呼吸状態が安定していることを確認し、手術部内回復室へ移動した。
そこで更に15分間状態を観察し、再び循環・呼吸状態が安定していることを確認し、病棟へ帰室となった。しかし、手術部から退出後病棟のエレベーターホールでエレベーターを待っている間に徐々に呼吸困難感が出現し、同時にモニターしていたSPO2 も90%程度に低下した。直ちに付き添って帰室していた耳鼻咽喉科医師が喘息様発作と判断し、酸素投与を行いつつ帰室した。帰室直後より酸素投与、ハイドロコートン300mg 投与、サルタール吸入により速やかに改善した。術後第一日目にも呼吸困難が出現したため、ステロイド、ネオフィリン内服、ツロブテロールテープ貼付、サルブタモール吸入を行い軽快した。以後は、呼吸系の問題はなく、後遺症、新たな合併症は認められず経過した。本患者は、以前にバファリン内服時に軽い呼吸困難が出現していた既往があり、耳鼻咽喉科への前医からの紹介状にはアスピリン喘息の疑いが指摘されていた。しかし、麻酔科医の術前診断時には、外来カルテに貼付されていた紹介状を読んでいなかったため、本人からの既往歴聴取では、バファリン内服と呼吸困難の関連性が明確でなかったため、術後鎮痛の目的でフルルビプロフェンアキセチルを投与した。投与後20分以上経過してから、その投与に起因すると思われる喘息様発作が発症したと考えられた。しかし、モニター装着下でもあり、直ちに気付き、迅速に対処できたことから重篤とはならず、治療により軽快したものである。軽快後、患者及び家族に対し、経過及びアスピリン喘息という診断、素因であることが強く疑われるので、今後は鎮痛薬等の必要時には注意を要すること、医療機関には必ず伝えることを説明した。
本患者のアスピリン喘息素因疑いについては、前医より紹介状に記載があったが、外来カルテに貼付されていたのみで、入院時に情報伝達が不十分であった。
そのため、術後鎮痛を優先して考慮したため、鎮痛薬を投与した。
  • 患者の既往、素因等の情報は確実に伝達される様に考慮する。そのため、何らかの重要な情報がある場合は、カルテの表紙に注意を必要とするマークを表すこととする。
  • 確認が不十分であった
17 障害残存
の可能性
なし
他施設→
当該施設
肺炎治療の目的で入院中の患児に、抗生剤メロペンを4日間点滴治療した。その後病状が軽快し退院されたが、翌日強い不穏症状が現れ別の病院で診察を受けた。別の病院の医師から、抗てんかん薬を服用中にメロペンの治療を受けたので、バルプロ酸ナトリウムの血中濃度が下がり不穏症状が生じた可能性がある、と説明を受けた。家族から診療経過の報告を受け当院で調査すると、患児が入院中に持参薬の抗てんかん薬を内服していたことが分った。入院時に抗てんかん薬を内服中であるとカルテに記載されていたが、担当医が服薬状況を把握していなかった。 直接的原因:バルプロ酸ナトリウムと併用禁忌であるメロペン(ペネム系の薬剤)をバルプロ酸ナトリウム内服中であることに気付かず投与した。
根本的な問題:バルプロ酸ナトリウム内服中の患者にペネム系薬剤が投与可能と考えた。
背景因子:患児は通常は近くの施設に通院し抗てんかん薬を処方されていたが、自宅が当院に近くその施設では夜間の救急対応が出来ないので、急変時には当院に受診することになっていた。
入院中、患児は当院で処方されたことがない持参薬を母親の管理のもとに内服していた。施設からの紹介状やカルテの現病歴・現症欄にはバルプロ酸ナトリウムを内服中であると記載されていたが、担当医はこれを把握していなかった。また当院では、持参薬を薬剤部が管理する体制や電子カルテ上で併用禁忌をチェックする体制が整っていなかった。
  • 脳性麻痩やてんかんの患者はバルプロ酸ナトリウムを内服している可能性があり、抗生剤使用時には必ずバルプロ酸ナトリウム内服の有無を確認する。
  • 現在バルプロ酸ナトリウムを内服していなくても将来使用することもあるので、ペネム系薬剤の使用は原則控える。
  • 入院時持参薬の服用を規制するかチェック体制を確立する。例えば、病棟での持参薬使用を禁止する。あるいは、持参薬を内服する場合は薬剤部がこれを電子カルテで管理し、併用禁忌のチェックが可能となる体制を検討し確立する。
  • 確認が不十分であった
18 障害残存
の可能性
(高い)
他施設→
当該施設
アミオダロン肺炎のために他院に転院し、改善の後再度当院に転院してきた際にステロイド投与の指示が漏れていた。 転院の時の処方漏れ、他の医師もそれをチェックできなかった。
  • 指示を複数の医師で確認する体制の整備。
  • オーダーリングシステムの整備。
  • 確認が不十分であった
19 障害なし 他施設→
当該施設
当院に入院しながら、他院で外来透析をしている患者である。持参薬であるリズミック服用日が、透析日(週3日)のみであったのを、4日間、毎日服用させてしまった。 「持参薬報告」には、透析日服用のコメントがあった。
しかし、「持参薬処方せん」にはそのコメントがなく(医師の記載忘れ)、それに気付かずそのまま配薬してしまった。
  • 「持参薬報告」と「持参薬処方せん」の相違点の確認を徹底する。
  • 「持参薬処方せん」へのコメントを忘れないように医師に伝える。
  • 確認が不十分であった
  • 記録等の記載
20 障害なし 他施設→
当該施設
デパケン800mg +アレビアチン150mg の内服によりコントロールしていた。入院時、デパケン800mg と白い粉薬を持参。薬剤師は、薬剤鑑定時に患者の「白い粉薬はすっぱい」という言葉からハイシーと思い鑑定した。医師は、薬剤鑑定書と家族からの情報でデパケン800mg とハイシーを院内処方に切り替えた。2時10分、トイレで転倒している患者を発見。意識は清明であった。右上肢に震えを認めた。3時20分頃には運動機能は完全に回復した。患者はけいれんであったと報告。緊急CT 検査では以前の脳挫傷の所見であった。症候性てんかんの既往、速やかに麻痺が改善したことからてんかん発作と考えられた。かかりつけ病院に確認したところ、白い粉薬はデパケンR800mg とアレビアチン150mg(ハイシーに混合)処方であった。入院時薬剤鑑定で、デパケンR800mg とハイシー2 包であったため主治医はデパケンR とハイシーを院内処方に切り替えていたため入院後3日間アレビアチンが処方されていなかった。 前医処方抗てんかん薬の情報が薬剤を管理している母親や施設のスタッフに適切に伝わっていなかった。
患者は高次脳機能障害であり、本人の服薬内容に関して認識力は低下していると思われるが、薬剤師は患者のみに確認した。
粉薬は鑑定が難しいことから、情報提供や処方先への確認をすることになっているが省略した。
持参薬を院内処方に切り替えた際のリスクがある。
  • 紹介状の投薬内容と本人の認識や実際の処方薬などに相違がないか確認をし疑問があれば必ず問い合わせを行う。
  • 持参薬を院内処方に切り替える際特に抗けいれん剤については慎重に行う。また、入院目的を考えて、コントロールされている場合は持参薬を利用することも考える。
  • 確認が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
21 障害なし 他施設→
当該施設
黄疸のために検査入院当日であり、翌日より精査予定だった。入院当日。他院より紹介のため持参薬あり。薬局にて鑑別を依頼した。当事者の看護師は夜勤で出勤。日勤者より「薬品は鑑別依頼中である」と申し送りを受けた。薬局からは鑑別後の処方薬が病棟にあがってきており、配薬車に準備されていた。配薬車には患者名が入っていたが、準備されていないと思い込み、確認しないまま夕食後薬も眠前薬も患者には投与しなかった。夜中に再度配薬車を確認した際に服用させていないことがわかった。 配薬車へ薬の準備をした際、夜勤者に伝えていなかった。
夜勤者は配薬車に名前がはいっているにもかかわらず、確認をしなかった。
薬はまだ上がってきていない、という思い込みがあった。
  • 配薬車の確認の徹底。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
22 障害なし 他施設→
当該施設
他院からの転院の患者で前医から持参薬があった。主治医に持参薬続行の指示をもらい、薬局持参薬担当に連絡し昼食後の内服は間に合わないため取っておくよう言われ、他看護師と一緒に薬を確認した。前医から薬情や診療情報提供書の持参はなく、診療情報提供書は後日郵送しますとのことであったため内服を確認する書類がなく、薬袋で確認しマグミット1 錠、プレドニゾロン5mg3錠を与薬した。持参薬を確認した薬剤師からプレドニゾロン5mg3錠は翌月の日付で3日間投与分であったことを電話連絡を受けた。薬袋を確認すると、薬袋の左下に「○月△日‐×日(翌月の日付で3日間)に内服」と書いてあった。主治医に報告し、不足分の3 錠は追加処方するとのことで経過観察となる。 昼食前で忙しい時間帯に確認をした。
確認する書類がなかった(薬情・診療情報提供書)。
薬袋の「昼食後」のところしか確認しなかった。
  • 薬袋を隅々まで確認する。
  • 2 人で声を出して確認する。
  • 何のために内服しているのか確認する。
  • 出来れば確認出来る書類を一緒に持ってきてもらう(前医から)。
  • 確認が不十分であった
23 障害なし 他施設→
当該施設
5 ヵ月後の上部消化管内視鏡検査を予約。その当時は抗凝固剤の内服なし。昨年年末に急性心筋梗塞のため他院入院。以後、バイアスピリン内服開始。予約外で来院。胃の調子が悪いので上部消化管内視鏡の予約を早めることを希望し、予約日を変更。その際、オンライン上で予約日時を修正することで対応したため、内服薬についての詳細も含めた同意書を取り直さなかった。その結果、検査担当医にはバイアスピリン内服中であることが伝わらなかった。また、看護師間の申し送りもきちんとなされていなかった。内視鏡検査中にマロリーワイス症候群を発症し出血がなかなか止まらなかったため、入院となった。 内視鏡検査の予約日を変更する際の手続きに関する取り決めが明文化されていなかった。
バイアスピリン内服時には、生検は禁忌だが、内視鏡自体は禁忌ではない。バイアスピリン内服していることがきちんと伝わっていたとしても、内視鏡を施行する方針に変更はなかった。したがって、今回の抗凝固剤の内服に関する情報伝達の不備と、内視鏡施行中にマロリーワイス症候群を発症し入院が必要になったこととの間には、因果関係はないと考えられる。
  • 予約日を変更する際には、改めて同意書を取り直す。
  • 内視鏡を行う場合は、バイアスピリンを含めた抗凝固剤の内服の有無に関して、指示書に記載する。
  • 確認が不十分であった
 
 

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(集中治療室(ICU)の入室時の薬剤指示に関する事例)

No. 事例 評価案
1 【内容】
ATL、慢性GVHDによる閉塞性肺疾患にて外来でタクロリムス(0.8mg /日)、プレドニン投与を行っていた。また、慢性呼吸不全のため在宅酸素療法を受けていた。患者は、発熱認め、抗生剤内服を行っていたが、高熱出現、呼吸困難増強し救急車にて来院。全身管理目的でICUへ入室した。入室後、内服していたタクロリムスを夕方より持続静注で開始した。2日後、朝採血のタクロリムス血中濃度検査で220.4ng/mL と異常高値であったため12時に投与中止した。タクロリムスを1 日量0.4mg で、0.1mg/mL 溶液を4mL/ 日で投与しようとしたが、指示簿では4mL/h となっており間違えていた。
【背景・要因】
ICUでの指示出しが初めてであった。 病棟での指示の出し方(旧量組成内容記載)とICUでの指示(濃度と時間量)が異なっていた。
  • 確認が不十分であった
  • オーダリング時等の誤入力
 
 

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(薬剤処方時の画面表示に起因した事例)

No. 事例 評価案
1 【内容】
超低出生体重児にチラーヂンSの処方を開始した。3日後の夕から頻脈が出現したため確認したところ、チラーヂンS 4μg を1日分3ではなく、チラーヂン末4mg を1日分3で処方していたことがわかった。
【背景・要因】
処方画面は、3文字検索の「チラー」で検索すると、チラーヂンS 50μg(錠剤)とチラーヂン末(粉薬)が出てきた。最近チラーヂンの処方を行っておらず、3文字入力時に「チラーヂン末」の文字が表示されたので、チラーヂン末が新たに採用になったと思った。チラーヂン末が粉末だったので、通常粉末は小児用のことが多いという考えから、チラーヂン末を小児用と思い込んだまま処方した。電子カルテの画面の表示では、処方時の単位(mg とμg)の違いにも気付かなかった。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
  • オーダリング時等の誤入力
 
 

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(誤った患者への輸血事例)

No. 事例 評価案
1 【内容】
広範囲熱傷のため入院の患者に対し、大量輸液をしながらCHDFを行った。当日、担当看護師は患者に対しFFP(A型(Rh(+))1-2単位目が投与された状態で日勤者より引き継がれた。当該患者に対してはFFP6単位を輸血する予定であり、その後の業務が忙しくなることが予想されたため、早めに3-4単位目を準備しておこうと保管用の冷凍庫からFFPを取り出した。その際、A型Rh(+)を取り出したつもりが、実際に手に取ったのは当事者が受け持っていた他患者のFFP(O型Rh(+))であった。保管用の冷凍庫内は一患者につき一段を使用することになっていたが、引き出しが上下に隣接しており残数も同じであったことから混同した。また、同時間に重症患者が搬送され、多忙であったため確認を怠り、誤った輸血をそのまま解凍器にセットした。
その後も多忙により他のスタッフが周囲におらずダブルチェックが実施できなかったため、先にバーコードによる輸血認証を行おうとしたが、何度試してもエラーが出た。その間に急患の入室連絡を受けたことからサポートに入るため認証を中断した。この時、実際には血液型が異なることによるエラー(アラーム)が認証システムの画面上に表示され、当事者もそれを確認していたが、エラーは機械の故障によるものと思い込んだ。
急患入院の手伝い等の後、当該患者の輸血がなくなっているのに気付き、解凍していたFFP(O型Rh(+))に急いで繋ぎ替えた。早く交換しなければという焦りから、実施時の確認を怠った。
実施5分後、15分後の観察では、患者に変化は見られなかった。
その後、輸血伝票の処理などを行っていないことを思い出し、伝票処理の際、血液型ごとに決められているシールの色が異なっていることに気付き、異型輸血がわかった。
  • 確認が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
 
 

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(薬剤使用時の血管外漏出事例)

No. 事例 評価案
1 【内容】
患者は脳梗塞、肺炎、腎不全などで全身状態が悪化していた。末梢持続点滴の血管確保が困難となり、漏れやすい状態であり、刺入部位を変更し再挿入を繰り返していた。患者はDICとなり、レミナロン1000mg +生理食塩水250mL を輸液ポンプ使用し投与していた。開始翌日、右前腕部痛の訴えあり、点滴を刺しかえた。その4日後、右前腕部発赤あり、冷湿布貼布した。
その3日後、レミナロン投与ルート刺入部の左大腿部の発赤を発見したが、点滴漏れで生じたかどうか判断できなかった。その後も点滴漏れがあり、適宜刺しかえた。末梢での血管確保が困難であったため、主治医は中心静脈カテーテルを挿入した。その後、右前腕部に潰瘍形成があり、処置を看護サイドで行っていた。右前腕部の皮膚潰瘍の症状が改善されないため主治医から皮膚科受診を依頼され、点滴漏れによる皮膚壊疽と診断され、皮膚科処置を開始し、デブリドマンしながら症状は改善した。
【背景・要因】
細い脆弱な血管にレミナロンを投与していたため、血管外漏出を来たし潰瘍形成した。細い脆弱な血管に輸液ポンプを使用しレミナロンを注入していた。浮腫もあり、病状によるものか、点滴漏れによるものか判断できず、潰瘍形成は病状によるものと思い込んでいた。輸液ポンプ使用時は血液の逆流を確認することになっていたが、マニュアルが遵守されていなかった。薬品の添付資料には「中心静脈カテーテルにて投与するのが望ましい」となっていたが、血小板減少や感染リスクもあり、医師は中心静脈カテーテルの挿入を躊躇していた。溶解濃度は0.2%以下の濃度を推奨しているが、腎不全もあり、医師は水分負荷を制限していた。看護師はレミナロンの副作用に皮膚潰瘍や壊疽があることを知らなかったため、対応が遅れた。医師も高濃度で投与するリスクを知らなかった。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
2 【内容】
患者は高齢であるため、総胆管結石の治療は、内視鏡的治療を行っていた。途中DICを併発し、レミナロン1500mg +5%ブドウ糖250mL を開始した。患者は、認知症があり、点滴ルートを引っ張ったり、自己抜去することがあった。また、血管確保が困難であり、点滴が漏れて差し替えることが何度かあった。レミナロン投与開始後4日目、看護師はレミナロン投与中である右足背部の点滴刺入部が暗赤色を呈していたため、点滴を抜針し、刺しかえた。看護師は右足背部に膿性の浸出液と周囲の発赤を発見し主治医に報告した。その後、ゲンタシン軟膏を塗布、連日処置を行っていた。しかし、皮膚症状は改善しないため、皮膚科受診した。皮膚は壊疽化しており、感染をコントロールしながら壊疽部をデブリドマンした。
【背景・要因】
患者は高齢、敗血症もあり、血管が脆弱状態であった。認知症があり、点滴ルートを触るなど危険行為が見られ、自己抜去するなど、薬剤が血管外に漏出する状況であった。また、自己抜去防止のため、患者の手が届かない足背の血管を選択していた。足背の細い血管にレミナロンを輸液ポンプを使用しながら投与していた。細い血管のため血流が悪く、壊疽も治癒しにくい状況であった。レミナロンの濃度は0.2%以上の高濃度であり、血管外漏出すると皮膚潰瘍・壊疽を発生するリスクが高い状態であった。レミナロンの副作用の知識が不足していたため、皮膚観察が不十分であり、対応が遅れた。医師も危機意識がなかった。
  • 確認が不十分であった
  • 観察が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった