独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成23年度 第4回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医薬品関連事例) 別添4

本文別添1別添2別添3|別添4

情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例(医療事故)

No 事故の程度 販売名等 製造販売業者等 事故の内容 事故の背景要因の概要 改善策 調査結果
1 障害なし 不明 不明 外来化学療法中血管外漏出 患者への教育不十分 点滴中は、なるべく腕を動かさぬよう再度指導。必要時看護師が介助する。 化学療法中に血管外漏出を認めたとのことであるが、薬剤の名称、手技を含め原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
2 障害残存の可能性がある(低い) ポプスカイン0.25%注 丸石製薬株式会社 硬膜外麻酔併用全身麻酔下に右股関節人工関節置換術を施行。術後、ポプスカイン0.25%注3mL/H持続硬膜外投与にて帰室。手術2日後の10時頃、右下肢感覚運動障害・膀胱直腸障害を認めたため、硬膜外カテーテルを抜去した。しかし、硬膜外カテーテル抜去後も症状が持続するため、硬膜外血腫を疑い、MRI検査を実施したが異常はなかった。そのため、局所麻酔薬による一過性神経障害と考え、経過観察とした。 下肢の感覚運動障害だけではなく、膀胱直腸障害も認めているため、整形外科手術の合併症ではなく、硬膜外麻酔薬による神経障害と考えられる。 局所麻酔薬による神経障害は発生頻度が少なく予測困難であるため再発防止策を立てることは困難である。そのため、今後は四肢手術の際には硬膜外麻酔をせず全身麻酔単独で施行することとした。また、術後鎮痛については静脈内PCAを使用することにした。 ポプスカインによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び手術状況等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
3 障害なし キロサイド 不明 末梢点滴にてキロサイド投与中に血管外に漏れてしまった。 観察不十分。 患者に漏れやすい動作について再指導する。観察を頻回に行う。 キロサイド投与中に血管外に漏れを認めたとのことであるが、手技を含め原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
4 障害残存の可能性がある(低い) セフメタゾン 第一三共 無月経を主訴に来院、内服薬 注射薬のチェックを行った。この際、前回入院時の点滴内にクリニカルパスの運用過程において電子カルテシステムの不具合により、医師による実際の注射指示(パスとして登録している指示)内容と異なる指示(パスとして登録していない指示)が出力され、抗生剤の意図しない混入(IgA腎症、ステロイドパルス療法)が発覚した。セフメタゾン2gである。クリニカルパスには本来入っていないはずの点滴内容であり、主治医が故意に混入させるはずも無く、またその必要性もない。この件で2例目であり、全てのPC内のパスにおける他注射薬の意図しない薬剤の混入について至急注意喚起を促す必要あり、電話報告した。医療情報管理室に出向き、その可能性が他患者にも及んでいないか、調査中であった。 何らかのPCの機械的トラブルを強く疑います。 直ちに当該パスを停止し、IBMに原因調査依頼し、意図しない薬剤の混入がないようシステムの改善を行った。
IBMへ他病院にも起こり得るため、至急調査し対応するように依頼した。
院内における電子カルテ上のシステム等の問題であり、検討困難と考える。
5 障害残存の可能性がある(高い) 不明 不明 患者は、HCVによる肝硬変症に対して、脳死肝移植を受けた。
術後1週間目頃より、原因不明の重症間質性肺炎を来たした。
急性呼吸不全に対して、気管内挿管、抜管を繰り返し、この間中心静脈栄養および経鼻経管栄養管理を行った。
高度の肺水腫による呼吸機能障害に対して、利尿剤投与を行った。
治療中高度の低カリウム血症を来たし、急性循環不全に陥る危険があり、また代謝性アルカローシスによる呼吸障害に対して、カリウム投与が必要であり、経管的にカリウム投与を併用したが経静脈的投与の併用が必要であった。
経静脈的投与ルートとして、内頚静脈からの中心静脈を選択していたが、左内頚静脈に血栓形成を認めた。
肝移植後の免疫抑制剤投与下であり、血液感染予防のため、中心静脈ルートとして、左右内頚静脈を1週間おきに交換していたが、これができなくなった。
肝不全に対しての術後状態であり、鎖骨下静脈は出血の危険、大腿静脈は感染の危険があった。これら合併症が、肝移植後の重症呼吸器障害に併発した際には致命的な合併症となることが予想された。
末梢点滴ルートを経静脈的薬剤投与ルートとして選択せざるを得ない状況となった。高濃度カリウムの末梢血管投与の組織障害に対する危険性については認識があり、薬剤部からも連絡を受けたが、低カリウム血症が遷延し、投与の継続が必要であった。
一日投与量の維持、肺水腫に対し、一日の点滴水分量の制限があったため、メイン輸液の側管からのカリウム製剤原液の投与が必要であり、高濃度投与となった。
その後末梢点滴部に皮膚障害を来たした。
以後、内頚静脈、大腿静脈を用いた中心静脈輸液を行った。
大腿静脈カテーテル留置部には感染を来たしたが、この頃には呼吸機能障害が改善し、電解質、栄養ともに経鼻経管栄養での管理が可能となったため、経静脈的与薬を終了した。
患者は、HCVによる肝硬変症に対して、脳死肝移植を受けた。
術後一週間目ごろより、原因不明の重症間質性肺炎、肺水腫を来たした。
急性呼吸不全に対して、気管内挿管、抜管を繰り返し、この間中心静脈栄養及び経鼻経管栄養管理を行った。治療中高度の低カリウム血症を来たし、経静脈的投与の併用が必要であった。
経静脈的投与ルートとして、内頚静脈からの中心静脈を選択していたが、左内頚静脈に血栓形成を認め、左右内頚静脈を1週間おきに交換していたが、これができなくなった。肺水腫に対して水分制限が必要であり、肝移植後の免疫抑制剤投与下であり、鎖骨下静脈は出血の危険、大腿静脈は感染の危険があり、やむなく末梢輸液による高濃度カリウム投与を行った。
高濃度カリウム製剤の使用について、厚生労働省の指針及び院内の規定を厳守することとした。
やむなく高濃度カリウムの投与を行う際には、中心静脈ルートからの投与を基本とし、患者に十分説明を行うこととした。
高濃度カリウム製剤による副作用症状とも考えられるが、患者状況、併用薬剤等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
6 障害残存の可能性がある(低い) レミナロン注射用500mg シオノギ製薬 大量出血、大量輸血後で、循環動態もきわめて不安定であり、集中治療を要したため、ICU入室、人工呼吸器管理下で、アルブミン製剤やノルアドレナリンなどのカテコーラミンで循環を維持・管理された。重症感染症を伴った重篤な状況でDICが危惧され、大量輸血後でもあるため、肺機能障害対策も考慮して午前2時からレミナロン投与が開始された。1500mg/dyのレミナロン投与が行われたが、中心静脈ルートはカテコーラミンなどの投与のため使用できず、新たな中心静脈ルートの確保を試みられたが不可能であったため、末梢ルートより単独で、循環不全のため極力輸液量を減少させるため(0.6%)に調整して投与された。翌日23時、ルート挿入部の発赤(2cm)が認められ、投与を中止、ルート抜去した。
発赤部位は生理食塩ガーゼで湿潤環境保持に努め、褥瘡チーム介入、外科病棟へ転棟、1腫脹発赤の増悪認められ、壊死部位のデブリートメント開始。ヒューマリンとゲンタシン軟膏使用開始、肉芽形成あり、植皮をしなくても時間がかかるが、自然治癒する可能性が高いと診断されるに至った。気管支瘻閉鎖術の際に同時に植皮術実施を計画。
レミナロンは、「濃度が高くなると、血管内壁を傷害し、注射部位および刺入した血管に沿って静脈炎や硬結、潰瘍・壊死を起こすことがある」「末梢静脈から投与する場合、0.2%以下で点滴静注することが望ましい」と添付文書にもある。
やむを得ない状況下であったが、0.6%という濃度は末梢静脈投与において推奨されている上限の3倍であり、2日間弱という短期間であっても今回の事象のような皮膚潰瘍・壊死を惹起したと推察される。
 大量のカテコーラミンが投与され末梢循環が低下していたことや重度の糖尿病を患っており、創傷治癒能力の低下も加わっていたと考えられるが、高濃度レミナロンの末梢静脈投与が皮膚潰瘍・壊死の主因と言わざるを得ない。
  しかしながら、患者は生命が危機的な状態であったことから、抗DIC投与量(1500mg/day)でのレミナロン投与が選択されたことに関して、過誤は認められない。レミナロンが0.6%の濃度で末梢ルートから投与されたことに関しては、他の薬剤投与のため中心静脈ルートが使用できず、新たなルート確保を試みられたが不可能であったこと、DICなど重篤な病態に移行させないことの重要性などを顧慮すると、この投与法ほ選択に関して過誤はなかったと考えられる。同濃度での投与が継続されたことに関しての過誤性は認められない。
日本医療機能評価機構の2009年8月の医療安全情報の同薬剤に関する注意喚起がなされており、「可能な限り中心静脈から投与する」「末梢から投与する際には0.2%以下とする」ことを厳守する必要がある。抗がん剤の血管外漏出などと同様に同薬剤の高濃度投与が極めて皮膚潰瘍発生の危険性が高いことを周知させる必要があり、医薬品安全管理マニュアルでの使用上の注意が必要な薬剤の掲示や院内医療安全情報で広く周知すべきである。
 今回のようにやむを得ない方法での投与が必要な場合、早期に経過を予測し、十分なインフォームドコンセントに努める必要がある。
 なお、本事例のように推奨濃度を超えるなど通常と異なる指示がなされた際には、他科、他職種間での緊密な連絡と確認・相談が重要であり、これらを確実に行えるような体制の確立に努めなければならない。
電子カルテ導入、オーダリングシステム上レミナロン薬剤処方時、アラート表示「中心静脈使用」とポップアップ、詳細欄に重要なお知らせ「皮膚潰瘍危険あり0.2%以下で使用」を提示することとした。
レミナロンによる副作用症状とも考えられるが、添付文書には、高濃度末梢静脈の投与による静脈炎の危険性について記載されており、本事象はものの観点からは検討困難と考える。
7 障害なし ベノキシール点眼液 参天 9時頃眼科健診前にベノキシール点眼液を点眼。 眼科健診の前にベノキシール点眼液を点眼したことによる副作用が原因と推測される。 眼科医師に対してベノキシール点眼液を点眼する際は、副作用の説明を行うように周知した。 ベノキシール点眼液による副作用症状とも考えられるが、副作用状況等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
8 障害なし ラステット 不明 5%ブドウ糖500cc+ラステット150mgを250ml/Hにて開始し、残170mlのときに腫脹発見した。
デカドロン6.6mgを皮下注射施行し、皮膚科受診となる。
患者への指導、説明が不足していた。 抗癌剤の点滴中は特に注意して観察をする。
患者へナースコールを押してもらうか、注意してあるいてもらうよう指導する。
ラステット投与中に腫脹を認めたとのことであるが、手技を含め原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
9 障害残存の可能性がある(高い) 該当なし 該当なし 子宮頚癌3B期の診断にて標準治療として放射線化学同時療法を開始した。シスプラチン25mgを計4日間投与した。
施行前のBUNは14.4mg/dl、Crは0.62mg/dl、24hCCRは108ml/minと全く正常範囲内であった。
化学療法前のCTでは水腎症の所見を認めなかった。
化学療法開始後3日目の採血では異常を認めず抗がん剤投与を継続した。
この間の1日尿量は化学療法3日目3300mL、化学療法開始4日目4800 mL、化学療法終了後2日目は1700mLであった。
化学療法終了後3日目の採血でBUN60.6、Cr5.89と腎機能の悪化が見られた。
化学療法終了後4日目BUN 74.8 、Cr7.09と更に腎機能の悪化があったため人工透析の導入が必要と判断これまでに計4回施行した。
シスプラチン投与時の1日補液量は約2000ml確保されていたが経口摂取があまりなされておらず結果的にはアウトオーバーになり、脱水による腎前性腎不全にシスプラチンによる腎性腎不全が重なったと考えられる。
また合併症として高血圧、心房細動、糖尿病があり、腎予備能の低下があった可能性がある。
化学療法時に出納バランスを詳細に確認する。
また、化学放射線療法は進行子宮頚癌のスタンダードな治療法になりつつあるが、今後症例選択にあたり患者背景、合併症を詳細に検討する機会を持つ。
家族に説明を行った。
シスプラチンの投与中の患者管理に関連した副作用症状とも考えられるが、詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
10 障害残存の可能性なし レミケード 田辺三菱製薬株式会社 レミケード投与4回目の患者。2時間プロトコールでの対応指示であった。バイタルサインを測定し、10ml/時間で輸注開始、15分後はバイタルサイン、患者の自覚症状は問題なく、投与量を指示の125ml/時間に上げた。その5分後、呼吸困難感、顔面紅潮が出現したため、直ちに投与を中止し、医師へ連絡した。心電図上VPC、嘔気、下腹痛、性器出血を認めた。経過観察のため、一泊入院とした。 レミケードによるインフュージョンリアクションとして対応した。 日頃から薬剤の副作用出現は予測した上で対応をしており、今回も迅速に治療できたが、改めて外来化学療法患者過敏反応・輸注反応発生時対応手順を見直し、職員へ周知した。 レミケードによる副作用症状とも考えられるが、添付文書には、インフュージョンリアクションが発現する可能性について記載されており、本事象はものの観点からは検討困難と考える。
11 死亡 注射用マキシピーム1g イーファーマ 12時35分左前腕にラインを確保し、抗生剤の点滴を開始した。開始直後に患者より、気分不快を訴えたため、即座に看護師が点滴を中止し、ほとんど薬剤は注入されていない。また、直ちに緊急コールにより医師が診察を行う。患者は意識がなく、顔面蒼白で口から大量の分泌物があふれており、頸動脈の拍動触知が不明で、体が冷たくなっており、ショック状態と考えられた。自発呼吸が停止したため医師によりマウストゥーマウスで換気を行い、点滴を開始する。その後アンビューマスクによる換気と心臓マッサージを開始する。13時AEDを装着し洞調律へ復帰し、鼠頚動脈の触知可能となる。13時18分自発呼吸が回復する。
その後意識回復しないまま、抗生剤アレルギーによる低酸素性脳症により死亡する。
防止は不可能と思われる。 防止は不可能と思われる。 マキシピームによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
12 障害残存の可能性がある(低い) レボホリナート260mg
エルプラット110mg
日本化薬 ヤクルト 11:00 入院 点滴開始
12:30 レボホリナート260mg+5%TZ250mlを125ml/Hとエルプラット110mg+5%TZ250mlを136ml/Hで開始
14:00 患者より、右前腕しびれと腫脹訴えあり尺骨神経領域知覚異常と静脈還流異常あり
15:08~15:25 減張切開術(局所麻酔下)
  1. 4週間ごとの化学療法であり、患者の血管確保困難があった(上腕内側に点滴確保)
  2. 12:30点滴追加後、観察およびその記録が不十分であった
  3. 患者本人の自覚症状がなく、睡眠中であり、発見が遅れた
  1. 血管確保が困難である患者の場合は、CVポート挿入の検討を早期に行い、実施する。(患者との相談の上で)
  2. 抗がん剤開始後、および追加後には、必ず5分間は患者のそばで観察し、その後15分後にも観察を行い、記録に残す。
  3. 抗がん剤治療を行う際は、何回目であろうとも、患者への指導(特に副作用等の出現に関して)を行い、患者の協力を得ながら治療を実施する。
レボホリナートによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び併用薬剤等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
13 障害残存の可能性がある(低い) 不明 不明 全身状態不良で、血行不良もあり、複数個所からアプローチしてルート確保していたが、下肢にも血管を確保していた。
脆弱な血管であったのにポンピングで投与したにも係らず、他の処置に追われて観察がおろそかになった。
低栄養による褥瘡と一体化して進行した。
点滴投与時にルートの漏れがないか慎重に確認投与する必要がある。
可能な限り下肢からのルートアプローチは最後の手段とする。
点滴投与時にルートの漏れがないか慎重に確認投与する必要がある。
可能な限り下肢からのルートアプローチは最後の手段とする。
点滴ルートからの漏れとのことであるが、事象の詳細、薬剤の名称、手技等の情報が不明であり、検討困難と考える。
14 障害残存の可能性がある(低い) 不明 不明 点滴漏れの早期の気付きと抜去の実施。
  • 点滴部位の観察を十分に行い早期の点滴漏れに気付き、抜去を行なうこと。
  • 点滴漏れ後の皮膚状態を注意深く観察し、初期の段階では軽度の皮膚障害であっても進行することがあるため、適宜、皮膚科医にコンサルトを行なうこと。
・点滴部位の観察を十分に行い早期の点滴漏れに気付き、抜去を行なうこと。 ・点滴漏れ後の皮膚状態を注意深く観察し、初期の段階では軽度の皮膚障害であっても進行することがあるため、適宜、皮膚科医にコンサルトを行なうこと。 点滴漏れとのことであるが、事象の詳細、薬剤の名称、手技等の情報が不明であり、検討困難と考える。
15 障害なし 注射用イホマイド1g 塩野義 イホマイドの血管外漏出 特になし 抗がん剤治療中の観察の強化 イホマイドの血管外漏出とのことであるが、手技を含め原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
16 障害なし カルボプラチン点滴静注液50mg「サンド」 サンド 抗がん剤の血管外漏出。 特になし 抗がん剤治療中の観察と患者指導。 カルボプラチンの血管外漏出とのことであるが、手技を含め原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える
17 障害なし カルボプラチン点滴静注液50mg「サワイ」 沢井 抗がん剤の血管外漏出。 特になし 抗がん剤治療中の頻回な観察と患者指導。 カルボプラチンの血管外漏出とのことであるが、手技を含め原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える
18 死亡 ブリディオン MSD 卵巣癌で根治手術終了直後に、筋弛緩回復剤(ブリディオン)を静注した1分後に血圧低下、除脈となった。そのため救急蘇生処置を行いICUに帰室。術後1日目に腹腔内出血をきたし、術後18日目に死亡した。 医薬品(ブリディオン)の副作用の可能性が否定できない 医薬品副作用被害救済制度申請予定 ブリディオンによる副作用の可能性が否定できないとのことであるが、詳細な情報が不明であり、ものの観点からは検討困難と考える。
19 障害残存の可能性なし グリセオール注 中外ー大塚製薬工場 グリセオール注200mLを2時間で末梢点滴より投与。投与10時間後にほぼ全量の薬液が、血管外漏出していたことが判明。 点滴中の刺入部の確認、投与前後の逆血確認を怠った。
生食ロックからの投与手技が、普段から正しく行えていない。
生食ロックからの投与手順を全スタッフに確認
観察ごとに、ボトルから刺入部まで確認することを周知徹底していく
血管外漏出を認めたとのことであるが、手技を含め原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
20 障害残存の可能性がある(低い) アルギニン点滴静注30G味の素 味の素 8時40分 担当医はアルギニン負荷試験等のため左手背に血管確保を行った。ヘパ生食で逆血を確認しアルギニン注をシリンジポンプで開始した。20分後シリンジポンプの閉塞アラームが鳴っていた。刺入部を確認すると腫脹していた。手背部の色調は変化なかったので投与を中止し抜針した。1時間後、左手背部の水泡形成、皮膚剥離、左正中部の腫脹認めた。アクリノールを使用。形成外科受診。アルギニンの血管外漏出による真皮までの損傷、皮膚潰瘍の可能性がることで創処置リンデロン軟膏塗布、アタブティクス使用した。2日後左手背部は2cmの潰瘍形成。潰瘍面は肉芽形成弱い。浸出液多い状況のためゲンタシン軟膏塗布に変更された。左手背部の潰瘍上皮化し改善傾向。瘢痕形成は今後経過観察となった。 血管外漏出による皮膚潰瘍
  • 添付文書に血管外漏出による皮膚潰瘍が報告されているが、症状の観察が不十分であった
  • シリンジポンプや小児のため包帯で保護していたため刺入部の観察が出来ない状況であった
  • 医療安全情報(2007年6月)小児の輸液の血管外漏出を再周知を行う。
  • 特に血管外漏出により有害事象になりやすい薬剤の点滴
     注射針刺入部は透明なテープで固定し、定期的に観察を行う
     輸液ポンプ等は使用しない
刺入部に腫脹を認めたとのことであるが、手技を含め原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
21 障害残存の可能性なし イオメロン350 ブラッコ・エーザイ 患者は造影剤アレルギーがあり、以前より造影CT検査にはステロイドを投与し、検査を実施していた。今回もソルコーテフ100mg投与後、造影剤イオメロン350を135ml投与し、CT撮影を実施した。撮影後、腹痛を訴え、顔面紅潮、血圧70台まで低下した。意識レベルクリア、呼吸困難感ないため、ラクテック急速滴下し、酸素5Lマスク開始、アドレナリン注0.3ml皮下注射実施。症状は軽減したが、経過観察のため入院となった。翌日状態改善し、退院となった。
  1. 患者はヨード造影剤アレルギー歴があった。
  2. 肝細胞癌に対する精査・加療希望もあり、アレルギーが起こるリスクを十分に説明した後、CT検査を施行した。
  1. ヨード造影剤アレルギー歴のある患者に対しては、できるだけヨード造影剤を使用しない検査を予定する。
  2. ヨード造影剤を使用する際は、十分なICを行ったうえで、厳重なフォローアップ体制のもとで検査を行い、リスクの高い患者の場合は、検査時に主治医または病棟当番医が立ち会う。
イオメロンによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
22 死亡 タルセバ 中外 軽度の下痢以外には有害事象を認めなかったが、 CTでは、前回のCTに比較して肝転移巣は進行しており、期待していた効果は得られないと判断した.しかし、患者本人の希望もありタルセバ150mgを継続することになった.
当院退院前の血液検査所見:WBC 48、400、 Hb 10.5、 Plt 7.3×104、BUN 52、 Cre 1.2、 AST 55、 T-Bil 1.3、 CRP 9.3、 電解質異常なし.
退院時処方:タルセバ 150mg、 ラシックス 10mg、マグミット 990mg、ノバミン 15mg、ムコスタ300mg、 サイトテック 800µg、 リンデロン2mg、 ガスターD 40mg、 ナイキサン 400mg、 ガスモチン 15mg、 デュロテップパッチ 2.1mg/3日(記載ないものは1日量)
退院翌日の夜に呼吸困難感が強くなり、近医救急外来を受診した.救急隊により酸素6L/minマスク投与されていたが、動脈血液ガスはpH7.36、 PO2 85、 PCO2 28.6であった.肺CTでは、肺炎像は認めなかった.血液検査では、WBC 76、000、 Hb 10.5、 Plt 9.9×104、BUN 74、 Cre 1.6、 AST 120、 Amy 715、 T-Bil 4.9、 CRP 14.4、 電解質異常なし.呼吸苦強く、オプソ10mgを服用し、セレネース1Aを緩徐に投与しところ、20分程度で入眠し、その後間もなく血圧、心拍数が低下し、心臓マッサージを施行したが、血圧測定不能となり心停止に至った.
タルセバ服用との因果関係は不明であるが、予測された経過よりも急な転帰をとったため、タルセバによる影響も否定できない.他院での死亡のため、詳細不明であるが、急激な呼吸困難、画像上呼吸困難を説明できる病変部を認めないことから、肺塞栓症の可能性も考慮する. タルセバとの因果関係不明であるが、報告した。 タルセバによる影響も否定できないとのことであるが、患者の詳細な情報等が不明であり、検討困難と考える。
23 障害残存の可能性がある(低い) ビリスコピン バイエル薬品 患者はこれまで造影剤アレルギーはなかったが、喘息の既往があったため、外科医師が外来でソルコーテフ、ポララミンの点滴を施行し、放射線検査室で点滴静注胆道造影下CT検査を施行した。その際造影剤のビリスコピンを点滴をしたところ、患者は激しい咳と呼吸苦を訴え、状態が急変した。心肺蘇生後、ICUに入室し人工呼吸器管理、脳低体温療法を施行した。その後患者は、後遺症なく回復した。 患者は喘息の既往があり、造影剤アレルギー症状発現のリスクはあるが、高くはないと考えていた。 必要なもの以外、極力造影剤検査は行わない。 ビリスコピンによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
24 障害なし ラコール(配合経腸用液) 大塚製薬
  1. 経管栄養剤をエレンタールPからラコールへ変更指示した。
  2. 同日17:00ラコール注入開始した。
  3. 同日17:30上眼瞼発赤)、腫脹、顔色やや不良、水様便認められた。
  4. 同日19:30経皮的酸素飽和度測定値98%から80%へ低下、酸素投与開始。
  5. 翌日も症状持続。
  6. 2日後尿量減少、BUN49.4 Cr1.4 K6.8で急性腎不全と診断されICU入室。
  7. 酸素療法、輸液療法実施。
  1. 過去の治療内容で同様の現象が4回認められていた。
  2. ラコールアレルギーとしての診断がされていなかった。
  3. 過去の同様の現象について引き継ぎがされていなかった。
  4. ラコールによるアナフィラキシーショックが原因と疑われる。
  1. 明らかなラコールアレルギーと診断ができなくても繰り返した症状について正確に引き継ぐ。
ラコールによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
25 障害残存の可能性なし インサイトオートガード BD
  1. CV挿入試みるが、挿入できず長期間の下腿末梢静脈管理となった。(CVはFOY開始8日目に挿入となった)
  2. メインラインではなかったが、高濃度(0.4%)のFOYを末梢血管から持続で8日間行った。
  3. 末梢ラインの観察を実施していたが、視診のみで触診を実施していなかった。
  4. FOYなどの皮膚損傷を引き起こしやすい薬剤について知識が不足していた。
(2011CDCガイドライン・FOY添付文書参考)
  1. DIC治療時でも末梢血管使用の場合は、FOYの濃度を0.2%以下にするよう注意する。そのため、FOY0.2%以上の濃度の処方がされた場合は薬剤科も注意する。
  2. できる限り、上肢の静脈ラインを確保する。
  3. 血流感染防止マニュアルの見直し。
  4. 皮膚損傷を起こしやすい薬剤について知識の共有を行う(薬剤科と協働し当院採用薬剤のピックアップと啓蒙)
(2011CDCガイドライン・FOY添付文書参考)
  1. DIC治療時でも末梢血管使用の場合は、FOYの濃度を0.2%以下にするよう注意する。そのため、FOY0.2%以上の濃度の処方がされた場合は薬剤科も注意する。
  2. できる限り、上肢の静脈ラインを確保する。
  3. 血流感染防止マニュアルの見直し。
  4. 皮膚損傷を起こしやすい薬剤について知識の共有を行う(薬剤科と協働し当院採用薬剤のピックアップと啓蒙)
エフオーワイによる副作用症状とも考えられるが、添付文書には、高濃度末梢静脈の投与による静脈炎の危険性について記載されており、本事象はものの観点からは検討困難と考える。
26 障害残存の可能性がある(低い) なし なし 刺入部発赤を認知しているが、滴下を絞るという誤った対処方法の実施。
抗がん剤以外の薬剤について血管外漏出時、皮膚障害等が重症化するという認識がなかった。
さらに、血管外漏出発生後、アクリノール湿布処置を自己判断(以前実施したことによる経験)で実施しており、主治医への報告はなく、血管外漏出時の早期対処への意識低さや対処方法について周知されていない。
血管外漏出時の対応についてマニュアルを再確認し、学習する。 
ビーフリードは絶食患者に多く使用されているので、血管外漏出時には皮膚障害のリスクを考えた観察を行う。
血管外漏出が発生した場合、適切な処置が必要であるので、自己判断で実施せず医師に報告する。
皮膚の状態を、細かく観察、記録し継続していく。
点滴確認方法及び血管外漏出時の対応フローチャートを作成し、新人指導の統一を図る。
血管外漏出時の対応についてマニュアルを再確認し、学習する。 
ビーフリードは絶食患者に多く使用されているので、血管外漏出時には皮膚障害のリスクを考えた観察を行う。
血管外漏出が発生した場合、適切な処置が必要であるので、自己判断で実施せず医師に報告する。
皮膚の状態を、細かく観察、記録し継続していく。
点滴確認方法及び血管外漏出時の対応フローチャートを作成し、新人指導の統一を図る。
穿刺部発赤とのことであるが、事象の詳細、薬剤の名称、手技等の情報が不明であり、検討困難と考える。
27 障害なし 不明 不明 患者は輸液管理に協力できずに、左手を支えに立ち上がったりして、輸液ポンプアラームがよく鳴っていた。
漏れが生じたときに輸液ポンプのアラームは鳴ると思い込んでいた。
当事者やダブルチェックした看護師は、高浸透液が輸液漏れしやすい知識がなかった。
輸液ポンプのアラームは、輸液が漏れていても鳴らない事や漏れていても輸液を押し込む事を看護師の安全委員会で伝達し、周知した。
現場看護師に、輸液観察しやすい固定方法(基本のフイルム固定をするよう)を促した。
看護師の輸液漏れ防止研修会の実施。輸液もれしやすい薬品や漏れを確認する方法をフィールドナーススペシャリストにより、INSの輸液看護基準に基づく講義を行った。
輸液ポンプのアラームは、輸液が漏れていても鳴らない事や漏れていても輸液を押し込む事を看護師の安全委員会で伝達し、周知した。
現場看護師に、輸液観察しやすい固定方法(基本のフイルム固定をするよう)を促した。
看護師の輸液漏れ防止研修会の実施。輸液もれしやすい薬品や漏れを確認する方法をフィールドナーススペシャリストにより、INSの輸液看護基準に基づく講義を行った。
輸液の漏れとのことであるが、事象の詳細、薬剤の名称、手技等の情報が不明であり、検討困難と考える。
28 不明:治療を伴う皮膚潰瘍 ニカルジピン塩酸塩注射液 サリペックス注0.1% 日医工株式会社 必要な薬剤であったが、希釈せず使用した。(添付文書上では希釈することとなっているが、水分制限している患者では難しい)自覚症状が乏しかったために、刺入部の観察が不足していた。患者に刺入部位の観察について必要であることの説明がされていなかった。 サリペックスの投与方法を検討し、末梢静脈からの投与方法について検討。原液を単独ルートで投与しないこと、希釈方法について提示した。末梢ルートの場合は、注入部位の観察を行い、疼痛・発赤に注意が必要であることを周知。 サリペックスの投与方法を検討し、末梢静脈からの投与方法について検討。原液を単独ルートで投与しないこと、希釈方法について提示した。末梢ルートの場合は、注入部位の観察を行い、疼痛・発赤に注意が必要であることを周知。 皮膚潰瘍とのことであるが、事象の詳細、手技等の情報が不明であり、検討困難と考える。
29 障害残存の可能性がある(低い) 不明 不明 点滴刺入部の症状が著明ではなかったため、医療者は遅延性に組織障害が発生する薬剤であるとの認識が薄く、抗癌剤投与後の血管外漏出と気付かず対応が遅れた。 化学療法中の患者の症状出現に注意するとともに、チェックシートを用いて点滴管理を徹底する。血管外漏出が疑われる場合は
院内マニュアルに沿って速やかな対応を実施する。
化学療法中の患者の症状出現に注意するとともに、チェックシートを用いて点滴管理を徹底する。血管外漏出が疑われる場合は
院内マニュアルに沿って速やかな対応を実施する。
抗癌剤投与後の血管外漏出とのことであるが、薬剤の名称、手技を含め原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。