独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
メニュー
閉じる
閉じる
閉じる

添付文書、患者向医薬品ガイド、
承認情報等の情報は、
製品毎の検索ボタンをクリックしてください。

安全対策業務

平成24年度 第2回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医薬品関連事例) 別添1

本文|別添1|別添2別添3別添4

 

医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例(医療事故)

No 事故の程度 販売名等 製造販売業者等 事故の内容 事故の背景要因の概要 改善策 調査結果
1 障害なし アマリール アルマール サノフィ・アベンティス 大日本住友 術後、経管栄養となり、内服していた定期処方薬を注入することになった。看護師が手術前に患者から預かった薬を確認したが、保管していた場所に見つからなかった。看護師は主治医が出張で不在であったため、病棟医(処置係)に定期処方せんを渡し、夕方の1回分の処方を依頼した。病棟医は、その処方せんをみながら、4種類の薬剤を処方した。その中にアルマール10mgが含まれていたが、アルマールと入力するところを「アマリ」と3文字入力し、そこから出てきたアマリール1mgと処方してしまった。その時、電子カルテ上でアマリールの薬剤名の後ろに(糖尿病薬)と表示されていたが「(この患者は)糖尿があるのかな」と思っただけで、もう一度処方せんを見直すもしくは電子カルテの患者情報を見るという行動はなかった。指示を受けた看護師は、自分が医師に依頼したものであり、間違いはないだろうと思い、処方内容を確認せずに指示受けをした。
  1. 名称が類似していた。
    医師が処方をするとき、アルマールという記載を見ながらアマリと処方してしまった理由は「自分でもわからず、無意識に行ってしまった」という返答であった。院内の2種類の薬剤使用頻度は、アマリールは約30,000 錠/3か月、アルマールは約1,800 錠/3か月である。アルマールをアマリールと間違った要因としては、使用頻度からどちらかというとアマリールという名称の方が医師にとって印象強い薬剤だったのではないかと考えている。
  2. 処方や指示伝達に関するルールが守られていなかった。

    主治医不在で病棟医が処方した。病棟医は処方前に十分な患者把握をせずに、看護師に言われるままに処方箋を転記するように処方している。その為、アマリールが糖尿病薬であるという注意表示を見ても、疑問を感じていない。また、本来処方時は最終処方画面で5Rの確認をし、類似した名称の薬剤を入力しないように何度も確認が必要であるが、渡された処方箋通り入力しているはずと思い、確認をしていなかった。
    看護師は指示を受ける際に、指示内容を確認する事は当然の事だが、自分が医師に処方箋を渡しており、間違うはずはないという思い込みで確認を省略してしまった。
複数人での確認。 アマリールとアルマールの名称類似性については、平成15年11月27日付医政発第1127004号・薬食発第1127001号連名通知「医療機関における医療事故防止対策の強化について」及び平成20年12月4日付医政発第1204001号・薬食発第1204001号連名通知「医薬品の販売名の類似性等による医療事故防止対策の強化・徹底について(注意喚起)」により、医療機関に注意喚起しているところであり、製造販売業者においても誤用防止のために製品に関する情報提供及び表示の変更等を実施しているところである。

しかしながら、過去より死亡を含む同様事例が繰り返し報告されており、また、平成14年8月29日付医薬発第0829006号「医療安全推進総合対策への取り組みの推進について」においても企業は、患者の安全を最優先に考えた医療安全を確保するための積極的な取り組みが求められており、、再発防止の観点から名称の変更が必要であると考える。

今般、アルマールの製造販売業者である大日本住友製薬においては、「アロチノロール塩酸塩錠「DSP」」として一般名を付する名称への変更がなされている。
なお、アマリールについては、名称が変更されていないことから、今後も、アルマールの名称を記憶している医療従事者が取り違えを起こす可能性もあり、引き続き注意が必要であると考える。