独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
メニュー
閉じる
閉じる
閉じる

添付文書、患者向医薬品ガイド、
承認情報等の情報は、
製品毎の検索ボタンをクリックしてください。

安全対策業務

平成24年度 第4回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医薬品関連事例) 別添2

本文別添1|別添2|別添3別添4

製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(医療事故)

No 事故の程度 販売名等 製造販売業者 事故の内容 事故の背景要因の概要 改善策 調査結果
1 障害残存の可能性がある(低い) アマリール1mg錠 サノフィ・アベンティス 降圧剤アルマール2錠2×を開始するところ、アマリール1mg2錠2×を処方した。約1ヵ月後、受診時に誤処方に気づいた。患者は時どき空腹感を覚えることがあった。HbA1C,FBSも軽度低下を認め、血糖値低下も来したと推測される。
  1. 降圧剤を処方するという認識はあった。処方入力時に薬剤名がすり替わった。
  2. オーダリングシステム変更により、以前、対策として薬剤名の後に糖尿病薬、振戦の文字を表示していたが表示がなくなり、注意喚起の機会が減少した。
  1. アルマールの薬剤名が変更になる
  2. システム上、注意喚起の対策を薬剤に関する医療安全委員会にて検討する
アマリールとアルマールの名称類似性については、平成15年11月27日付医政発第1127004号・薬食発第1127001号連名通知「医療機関における医療事故防止対策の強化について」及び平成20年12月4日付医政発第1204001号・薬食発第1204001号連名通知「医薬品の販売名の類似性等による医療事故防止対策の強化・徹底について(注意喚起)」により、医療機関に注意喚起しているところであり、製造販売業者においても誤用防止のために製品に関する情報提供及び表示の変更等を実施しているところである。
しかしながら、過去より死亡を含む同様事例が繰り返し報告されており、また、平成14年8月29日付医薬発第0829006号「医療安全推進総合対策への取り組みの推進について」においても企業は、患者の安全を最優先に考えた医療安全を確保するための積極的な取り組みが求められており、、再発防止の観点から名称の変更が必要であると考える。
今般、アルマールの製造販売業者である大日本住友製薬においては、「アロチノロール塩酸塩錠「DSP」」として一般名を付する名称への変更がなされている。
しかしながら、アマリールについては、名称変更されておらず、今後も、アルマールの名称を記憶している医療従事者が取り違えを起こすことが考えられることから、引き続き注意が必要である。
2 障害なし メトグルコ錠250mg 大日本住友 18時頃に一包化した内服と1錠ずつ切り離したメトグルコ、マグラックス、テプレノンカプセル、マーズレン1包を薬杯の中に入れて、患者が食事中だったため一旦退室。夕食後に再度訪室し、PTP包装シートから薬杯に内服薬を出そうとすると、「それくらい自分で出来るからおいといて下さい」と言われそのまま退室。その後患者より他看護師に「包装ごと飲んでしまった。食道辺りに引っかかっている気がする。ごめんね。」と訴えあり発覚する。
  1. 看護師管理でも、一部の看護師はシートから出せる患者にはシートのまま配薬していた。ルールが守られていなかった。
  2. マニュアルが普段活用されていない。
  3. 当事者が中途採用者だったことから、注意喚起事案を知らなかった。
  4. 中途採用者の理解度が把握しにくく、指導の介入が不十分だった。
  5. 時間帯が、食事・配薬・点滴交換と業務が多いところに加え、重症患者や処置後の観察もあった。
  6. 患者は90歳代で眼鏡を使用し、難聴で時々物忘れもあったが入院前独居で退院後も独居生活となるため自立しようという思いが強かった。
  1. PTP包装シートは1錠ずつに切り離さないことを原則とすることを再度指導した。業務の都合で切り離した場合は、必ずPTP包装シートから出し、薬杯に入れて与薬する。
  2. 患者にPTP包装シートによる誤飲の危険性を説明し理解を得る。
  3. 一包化できる内服薬については一包化してもらう。
  4. 多忙な時間帯の業務を見直し、連携を図る。
  5. 食後薬は、食後に配薬し置いたままにしない。
  6. 内服時は見守りをする。
  7. 中途採用者への教育・フォロー体制を確立する。
平成22年9月15日付医政総発0915第2号・薬食総発0915第5号・薬食安発0915第1号連名通知「PTP包装シート誤飲防止対策について(医療機関及び薬局への注意喚起及び周知徹底依頼)」により、医療機関等に注意喚起等しているところである。
また、平成22年9月15日付薬食安発0915第3号「PTP包装シート誤飲防止対策について」により、製造販売業者に対しても、PTP包装シートの改良、改善の研究開発の継続を依頼しているところである。
3 障害残存の可能性がある(低い) オパプロスモン錠5μg 日医工 患者は入院後、看護師管理で内服していた。夕食時に配薬すると一包化された薬袋は開けにくいから開けてほしいと言われたため、開封して5錠を薬杯に入れた。患者に声をかけ、PTPシートに入ったままの薬2錠と顆粒薬4包も同じ薬杯に入れた。下膳時に患者のところに行くと、全部薬は出してあると思って1錠シートのまま内服してしまったと話される。内服直後に咽頭の違和感があったので、飲水して落ち着いたとのことだった。食事直後だったためレントゲン、CT撮影を行ったが食道にはPTPシートが残っている所見はなかった。禁飲食として輸液を行い、翌日内視鏡検査を行った。十二指腸まで観察したがPTPシートは確認できなかった。PTPシートによる粘膜の裂傷などは認められなかった。 看護師管理で配薬していたが、看護師によって薬杯に薬を出すかどうか統一されていなかった。薬杯には顆粒のパックも入っており、患者がPTPシートの薬が入っているかどうかはわかりづらかった。昨年の8月に医療評価機構の医療安全情報は各部署に配布したが、手順の統一までには至っていなかった。 患者の状態に合わせた配薬、内服介助方法を検討し、看護師は統一した方法で与薬する。薬杯には口に入れるものだけを入れる。患者へもシートの内服の危険性について説明し、注意を促す。
4 障害残存の可能性がある(低い) リリカカプセル75mg,
マイスリー錠5mg
ファイザー,
アステラス
  1. 21時消灯時間のため、病室に戻るように促すが「部屋には戻らない、まだここにいる。消灯なんてオレには関係ねえよ。うるさいからあっちいけ」との言動があり。
  2. 看護師は、就寝前の与薬をするため、患者に確認すると「渡せ、見せろ」と手を出したためPTP包装シートのリリカ75mg1錠とマイスリー5mg1錠を手渡した。
  3. 患者より「あと2錠足りない」と言われ確認不足かもしれないと思い、患者に渡したままナースステーションにもどった。
  4. 確認後、患者の元に戻ると飲んだあとでシートの空はなかった。
  5. 患者より、シートごと飲んだとの言動あり。再度訊ねると「飲んだんだよ、うるせえな。お前のせいにはしないよ。俺はなんとも無いからほっとけ」と興奮気味に話す。
  6. ゴミ箱を探すがシートの空は見つからなかった。
  7. 夜勤師長に報告し、再度確認するが「あー飲んだよ。いつもそうして飲んでるから大丈夫だよ。皆集まって大騒ぎするなよ、まったくうるせえな」と話に応じようとせず。
  8. 主治医に報告し、CT・内視鏡予定となるが患者が応じないため、妻に来院してもらう。
  9. 妻に説得してもらい、CT検査行うが胃内食物残渣が多くはっきりしないが、PTP残留も否定できない所見であった。
  10. 内視鏡検査を行うため、ドルミカムを点滴側管より注入しようとすると逆上し、医師を突き飛ばし転倒させ、点滴スタンドを振り回し点滴自己抜去するなどの暴力行為がみられた。
  11. 説得困難であり、内視鏡は中止となる。
  12. 本人の強い希望により、退院となる。
  13. 退院2日後に自宅からいなくなり、警察に妻より保護願いが出される。その後精神科の病院に措置入院になったとの連絡が入ったと報告を受けた。
  1. PTP包装シートから出さずに渡して、そばを離れてしまった。
  2. 廊下にいたため、水が無いので飲まないと言う思い込みがあった。
  3. 入院後、時々暴言があったが対応策はとられていなかった。
  4. 自宅でも数日間不眠が続くと興奮状態となる事があると言う情報が取れていなかった。
  5. 入院後数日不眠だった。
  6. 精神科疾患にて入院歴があると言う情報が取れていなかった。
  1. 院内マニュアルの遵守
  2. PTP包装シートから薬杯に出して渡すというルールを怠らない。
  3. 患者の状況を踏まえて、PTPシートのまま患者に渡さない。
  4. 入院前及び入院後の患者情報からアセスメントし、適切な対応を行う。
平成22年9月15日付医政総発0915第2号・薬食総発0915第5号・薬食安発0915第1号連名通知「PTP包装シート誤飲防止対策について(医療機関及び薬局への注意喚起及び周知徹底依頼)」により、医療機関等に注意喚起等しているところである。
また、平成22年9月15日付薬食安発0915第3号「PTP包装シート誤飲防止対策について」により、製造販売業者に対しても、PTP包装シートの改良、改善の研究開発の継続を依頼しているところである。
5 障害残存の可能性なし ピナトスカプセル10mg 大正薬品 18:40準夜担当看護師は、夕の与薬のために夕1回分の内服薬(1個づつに切り離されたピナトスカプセル10mg1CAP , VEニコチネートカプセル1CAP、セロクエル1包)を持ってベッドサイドに訪室した。常時はヒートから薬剤を取り出し、患者の口中に入れ飲み込みを確認していたが、その時は家族の面会があり、「お願いします」とヒートのままの内服薬をそのまま手渡した。たまたま通りかかった他チームの看護師が、患者がむせ込み家族が薬を吐き出させているところを発見した。家人によると『分包された薬だけを破ってヒートの薬はそのままテーブルの上に置いた。まだ食事を食べていたので、大丈夫と思い少し患者のところから離れた。(部屋は出ていない)振り返ったらむせていた。あわてて吐き出させた。』という。
テーブルには開封したセロクエルの薬袋とVEニコチネートカプセルのヒートが見つかったが、ピナトスカプセル10mgのヒートは、ベッドサイドやベッドの中患者の衣服など探したが見つからなかった。18:55 主治医及び当直師長へ報告した。当直医の指示でCT実施した。食道でのひっかかりはなく、異常なければ経過観察の指示を受ける。当日翌日に排便あり観便行うが、異物発見せず、外科医師指示にてGIF実施。胃内に異物確認できず。以後経過観察となる。
患者は認知症があるため必ず、PTPシートから出し直接与薬していたが、発生時は家族が面会に来られていたため大丈夫と思い、家族に渡してしまった。
  1. 看護師管理の内服薬は、できるだけ薬剤科に依頼し一包化する。
  2. やむを得ずPTPシートを1錠ずつカットする場合は、必ずシートから出し与薬する。
  3. 配薬前に必ずシートから出してから配薬する。(病室までは持参しない)
    以上を徹底し、事故を防ぐ。
平成22年9月15日付医政総発0915第2号・薬食総発0915第5号・薬食安発0915第1号連名通知「PTP包装シート誤飲防止対策について(医療機関及び薬局への注意喚起及び周知徹底依頼)」により、医療機関等に注意喚起等しているところである。
また、平成22年9月15日付薬食安発0915第3号「PTP包装シート誤飲防止対策について」により、製造販売業者に対しても、PTP包装シートの改良、改善の研究開発の継続を依頼しているところである。
6 障害残存の可能性なし セレニカR顆粒40%,
テグレトール細粒50%
興和ー田辺三菱,
ノバルティス
既往歴にてんかんがあり、他院で処方された内服薬で加療中の患者。大動脈弁閉鎖不全症の手術目的にて外科病棟に入院した。入院時持参したお薬手帳をもとに担当医が抗てんかん薬を処方した。その際、お薬手帳には倍散量で記載されていたが、当院は成分量表示のため、成分量として再処方する際に倍散と成分量を間違え処方した。結果、セレニカR顆粒2.5倍量、テグレトール細粒2倍量が処方され患者が服用継続した。退院後、ふらつきが継続するため、家族が当院処方薬を院外薬局に確認を依頼し過剰処方であることが発覚した。お薬手帳の表示内容:セレニカR顆粒40%1回0.333g カルバマゼピン細粒「アルメ」(テグレトール細粒50%)1回0.4g 90日 1日3回 毎食後にお飲み下さい。 担当医師が処方した内容:セレニカR顆粒40%1000mg テグレトール細粒50%1200mg 3×朝昼夕食後6日分
  1. 持参薬又は入院前の薬剤を継続服用する場合は処方内容を薬剤師が確認するというルールであったが、お薬手帳の内容をカルテにスキャンせず、家族に返却したため、薬剤師が情報を取得することが出来なかった。結果、医師の誤処方を修正できなかった。2.医師の倍散表示と成分表示に対する知識不足。3.薬剤処方量が上限値であったが処方範囲内の為、アラームにかからず薬剤師の疑義照会が機能しなかった。
  1. 入院時の持参薬及び入院前に服用していた薬剤について必ず薬剤師も確認する。2.薬剤成分含有量の表示方法についてのインシデント事例を至急回報で配信し共有する。3、医薬品の処方に関する研修会を開催する。
平成22年1月29日付医政発0129第3号・薬食発0129第5号連名通知「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書の公表について(周知依頼)」等が公表されており、その中で、処方箋への散剤の記載方法については「薬名を製剤名で記載し、分量は製剤量を記載することを基本とする。例外的に、分量を原薬量で記載した場合には、必ず【原薬量】と明示する。」と示されている。
 

製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(医薬品添付文書上、【禁忌】の疾患や症状の患者へ薬剤を投与した事例)

No. 事故の
程度
事例の内容 背景・要因 改善策 評価案
7 障害残存の可能性がある(高い) 12:30 入院後直ぐの羊水検査の前処置として、ストック薬からウテメリン1錠を準備した。
13:30 頃、羊水検査後にストック薬を確認するとメテナリンを内服させた事に気づいた。直ちに主治医へ報告、エコーとウテメリン内服。主治医らから事の経緯を説明した。2回目のエコーでも児心音は良好であった。ウテメリンは通常、3錠3日のところ4日内服の指示となった。その後も、大過なく退院された。羊水検査の前処置として切迫早産治療薬を内服すべきところ、子宮収縮剤を与薬してしまった。
入院直後の検査で前投薬をストック薬で準備した。
緊急の検査で焦っていた。
ストック薬はウテメリンとメテナリンが同じ引き出しにあった。
  • ストック薬はウテメリンとメテナリンは一方を別の箱にする(上からも見えやすい蓋付のBOXを準備)。
  • 声だし、指差し確認の励行
  • ストック薬を使用する場合はダブルチェックを行うことを検討。
  • 可能な限り、薬剤科の処方とする。
ウテメリンとメテナリンの名称類似については、平成15年11月27日付医政発第1127004号・薬食発第1127001号連名通知「医療機関における医療事故防止対策の強化について」及び平成20年12月4日付医政発第1204001号・薬食発第1204001号連名通知「医薬品の販売名の類似性等による医療事故防止対策の強化・徹底について(注意喚起)」により、医療機関に注意喚起しているところであり、製造販売業者においても誤用防止のために製品に関する情報提供を平成20年12月に実施し、平成22年1月には、メテナリンの製造販売業者であるあすか製薬が、「メチルエルゴメトリン「あすか」」に名称変更を行った。
また、平成22年10月8日付薬食安発1008第1号通知「産婦人科領域における医薬品の誤投与に係る医療安全対策について(メチルエルゴメトリンマレイン酸塩製剤及びリトドリン塩酸塩製剤)」に基づき、PTPシートのデザインも、変更している。
8 障害残存の可能性がある(高い) 切迫早産にてウテメリン1日3回(8時・12時・18時)内服している妊婦に対し、患者用の処方が出されていなかった。15時頃 日勤担当看護師が内服薬の確認をしていないことに気づき、当番医に確認すると、15時と眠前に内服するように指示を受け、病棟定数薬から2回分(12時・18時分)持っていき、患者へ渡した。準夜看護師が、訪室した際に妊婦より「お腹が張ったのでもう1 錠飲みました。同じ薬ですよね」と空シートを受け取ると、ウテメリンではなく、メテルギンであった。 患者用のウテメリン処方がなく、病棟定数薬から渡した。
病棟定数薬として薬剤があり、病棟定数薬から使用する事が日常から行われていた。病棟定数薬の見直しが定期的に行われていなかった。患者の処方を医師へ依頼したが、医師には伝わっていなかった。病棟定数薬から薬を取り出す際に、薬剤の確認が不十分だった。
患者へ説明する際、飲み方を伝えただけで薬剤の説明をしなかった。
  • 患者への与薬の際の手順を遵守する。(患者氏名・薬剤名・投与量・日付などを指差し呼称する)。
  • 患者への説明、指導を行う(薬剤名・作用・服用方法など)。
  • 病棟定数薬の見直し→メテルギンを病棟定数薬から削除する。
  • 医師へ受け持ち患者の処方切れのないように、事前に確認して処方することを徹底する。看護師は処方切れに気づいたら、医師へ伝える。
ウテメリンでなくメテルギンを投与してしまった事例である。当該事例については、既に22年10月8日付薬食安発1008第1号通知「産婦人科領域における医薬品の誤投与に係る医療安全対策について(メチルエルゴメトリンマレイン酸塩製剤及びリトドリン塩酸塩製剤)」により、PTPシートのデザインを、変更している。
 

製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(自己管理薬に関連した事例)

No. 事故の
程度
事例の内容 背景・要因 改善策 評価案
9 障害残存の可能性がある(低い) 内服薬を自己管理していた患者。術後は看護師管理で内服介助していたが、術後3病日目となり、患者と相談して内服薬を自己管理とした。朝の内服をする時に、患者PTPシートごとリポバス錠1錠、カルスロット錠1錠を内服した。その後ナースコールでPTPシートごと内服してしまったことを看護師に報告してきた。すぐに医師に報告し内視鏡を行い、鉗子で1錠は抜去したがもう1錠は抜去困難で、様子観察となった。4日後便にPTPシートが混在していることを確認した。内視鏡検査では、食道部に一部粘膜剥離を認めた。 患者の自己管理能力の評価が不十分であった可能性。看護師管理にする時に、1回毎の内服に分包しており、PTPシートを1錠ごとに切り離し、タイミングごとの一包化としているが、自己管理にする時に、そのままの状態で患者に返却しているためPTPシートが切り離された状態になっていた。
  • 患者の自己管理能力の評価について十分に検討する。
  • PTPシートの切り離しを安易に行わない。薬剤部との連携で一包化するときは、PTPシートから出して作成できるかを検討する(薬剤部の人的問題で現在は無理といわれている。またPTPシートから出せない薬剤もある)。
平成22年9月15日付医政総発0915第2号・薬食総発0915第5号・薬食安発0915第1号連名通知「PTP包装シート誤飲防止対策について(医療機関及び薬局への注意喚起及び周知徹底依頼)」により、医療機関等に注意喚起等しているところである。
また、平成22年9月15日付薬食安発0915第3号「PTP包装シート誤飲防止対策について」により、製造販売業者に対しても、PTP包装シートの改良、改善の研究開発の継続を依頼しているところである。
10 障害残存の可能性がある(低い) 朝8時頃、患者からナースコールあり、訪室すると、薬の殻を飲み込んでしまって殻が喉のところにある、と訴える。喉につっかかりそうで呼吸しにくい感じがあると話すが、呼吸苦はなかった。SpO2 : 98 ~100%。開口してもらい確認するが空は見えず。主治医へ電話報告し主治医診察する。患者は、薬を外装から薬杯へ出し、薬を全部口に含み一気に服用したとのこと。
服用後の薬の外装を確認したところ、取り出したムコスタのPTPシートが見当たらなかった。主治医が診察後、耳鼻科受診となり、レントゲン・CTが施行される。CT撮影の結果、異物の所見があるため食道異物とし、耳鼻科で緊急手術となる。全身麻酔下で食道異物摘出術施行。門歯列より16cmの部位に異物を認め、問題なく摘出。摘出したものはムコスタのPTPシートであった。4~5日間絶飲食、NGチューブからの経管栄養とし、以後発熱・疼痛などなければ1日毎に水・お茶・経管栄養剤・固形物というように順次経口摂取を試すように耳鼻科より指示がある。
手術翌朝、患者から聞いたところ、いつもは一人で薬を取り出して服用していたが、この時は朝に薬杯に薬を用意してもらったので、薬を外装から取り出して薬杯に全部入れ、喉の奥に薬を全部入れて一気に服用したという。
  • 手の感覚低下、巧緻、障害の有無の観察とアセスメントを行う。
  • 看護師が配薬する薬を薬杯に用意する時には、患者の状態に応じ、必要時は包装から取り出して薬を入れる。
  • 薬の一包化を推進する。
11 障害なし 21時頃マイスリー(5mg)1錠内服の希望があり、包装された状態で1錠手渡した。
前日もマイスリーを1錠内服しており、他の内服薬も自己管理しており、翌日退院予定の患者であった。マイスリーを内服しようとしてPTP包装から取り出して後方の上に置き、暗くなってから机の上のものを手でかき集め、飲み込んだところPTP包装を一緒に飲み込んだことに気づいた。看護師が消灯して退室後、数分後に「げー」と吐くような声が聞こえた。訪室すると、「殻ごと飲んでしまった。喉に引っかかっている」と患者から報告を受ける。ベッド周囲を探してもマイスリーの包装がみつからなかった。
自己管理をしておりいつも自分で内服している患者であったため、看護師は配薬後に患者が内服したことを確認する前に退室した。患者は暗がりで確認せず内服した。
  • 配薬後は可能な限り患者が内服したことを見届ける。
    小さい錠剤は特に配薬時に患者に注意を促す。
  • 内服をするときは、明るい照明の元で、ひとつずつ確認しながら行うよう患者指導する。