独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

別添1 医薬品の安全使用に関する製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例

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別添1 医薬品の安全使用に関する製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例

(*第7回報告書より,**第8回報告書より)

  具体的内容 背景・要因 改善策 誤り又は影響を
与えた医薬品名
検討内容
1
手術当日の患者。早朝グリセリン浣腸120mlを施行したところ、トイレで排泄中倒れた。トイレの鍵が内側からかかっているため マニュアルに従って開け、患者をストレッチャーに移し、観察室でバイタルチェックをした。血圧70台で返答無く、輸液開始。 その後すぐに返答あり体動もみられた。手術は予定通り行われた。 予期しないグリセリン浣腸によるプレショック。浣腸施行後、トイレの前で様子を窺っている必要があったかもしれない。
  • どうしてもスタッフの少ない時間帯の処置なので、排便が終わるまでついていることは不可能であるが、可能な限り近くに居て対応できるようにする。
グリセリン浣腸
235 下剤、浣腸剤
グリセリン浣腸に限らず、浣腸による強制排便時には、迷走神経反射による血圧低下、ショックが起こる可能性がある。 浣腸という行為に伴う有害事象と考えられ、注意喚起が必要と考えられる。
2
手術前のグリセリン浣腸120mlを施行する。検温時、BP150台、気分不快なし。浣腸施行し排便終了後、 コールするよう説明しそばを離れる。トイレは本人の希望で和式を使用していた。10分後ナースコールあり、 便を確認するため立ってもらった。直後、「何か変だな」と言い壁沿いにズルズルと落ち尻をついた。 意識朦朧、顔色不良、冷汗を認めた。 浣腸後のショックについての知識が不足していた。浣腸後の状態を確認せず起立させていた。和式トイレを使用していた。
  • 浣腸後ショックを起こす可能性を考え、患者への説明を行う。
  • トイレは洋式トイレを使用。
  • 浣腸施行後、離れず付き添う。
グリセリン浣腸
235 下剤、浣腸剤
3

胃切の手術当日の患者に、浣腸の指示があったため施行しようとした所、「寝たままでして便が間に合わなかった時困る。」 と訴えあり。また、両股関節の手術既往があり、ポータブルトイレに座るのは難しかった。そこでトイレで座位にて施行した。 座位での施行により、腸穿孔などが起こる可能性もあったが患者の訴えを優先してしまった。 患者は気分不良となりストレッチャーで病室へ移動となった。 処置の手順や禁忌があるのは知っていても、思い込み、忘れなど間違いが起こるため再度知識の確認を行う。
  • 手技の再確認、周囲と事故情報を共有する。
浣腸
235 下剤、浣腸剤
4
脳梗塞患者にヘパリン2000単位を指示するところ、1mlを100単位と勘違いして10倍の2万単位を指示してしまう。 1mlが1000単位と気付き、上級医師より中止指示あるもすでに投与していた。 研修医の薬剤指示事故防止教育の問題。電子カルテ指示画面規格上の問題。
  • リスク勉強会で薬剤指示入力単位間違いについて情報を共有して事故防止の意識を高めた。
  • 電子カルテにヘパリンを入力時、41単位以上で「多いです」とワーニングが出るようにした。
ヘパリン
333 血液凝固阻止剤
ヘパリンには主としてヘパリンロックの適応しか持たない製剤と、血液凝固阻止の適応等を持つマルチ型製剤(主に日局品)、 及び透析専用のヘパリンがあり、それぞれに1mlあたりの単位数が異なる。ロック用は10単位/ml及び100単位/mlの製剤しかないため、 ロック用の単位と、マルチ用の単位1000単位/mlを誤ったと思われる。
現在、透析用のヘパリンの名称には全て、1mlの単位数が記載されているが、マルチ型のヘパリンの名称には濃度や総量の名称への 記載がないものが散見されるため、医療事故防止の観点から、名称表記についての検討が必要と考える。