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安全対策業務

別添5 医療機器製造販売業者等により既に対策がとられている,もしくは対策を既に検討中の事例

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別添5 医療機器製造販売業者等により既に対策がとられている,もしくは対策を既に検討中の事例

(*第7回報告書より,**第8回報告書より)

    具体的内容 背景・要因 改善策 影響を与えた医療機器 検討案

1

人工呼吸器(電源)

人工呼吸器を装着している患児。吸引の間も特にSpO2(酸素飽和度)の低下なく過ごしていたが、夜間、アラームの電圧低下の表示が出て作動停止した。すぐに当直医が電源を入れ直すと正常作動した。患児は入眠中であったが、特に変化はなかった。

低電圧による人工呼吸器の停止。バッテリー搭載の準備はしていたが、月末から翌月にしかバッテリーの購入が出来ない状態であった。上級の機種は救急科、ICU(集中治療室)にしか配置していなかった。

  • バッテリー搭載の新機種の購入をする。
  • 現機種はバッテリー搭載がないため早々に搭載する。

人工呼吸器

人工呼吸器にはバッテリーが標準装備されているものと、オプションで装備するものがある。

主な、バッテリーの搭載目的は非常用電源であるが、機種によっては搬送時の主電源としての使用を想定したものもある。

また、基本的にバッテリーには寿命があり使用頻度が少なくても劣化により、駆動時間が変化することがある。

よって、人工呼吸器の予期しない停止を防ぐためには、使用前点検に限らず定期点検によるバッテリー劣化の有無の確認も重要になってくる。医療機器安全管理責任者のもとに、計画的なバッテリーの保守点検が望まれる。

2

人工呼吸器(回路関連)

喀痰吸引終了後人工呼吸器を装着、アラームがなった。接続部・酸素飽和度等を確認し再装着したが、気道内圧が上昇せず、低圧アラームがなった。回路を確認すると呼気弁が床に脱落していた。

原因は不明。回路は業者に点検依頼。厚生労働省にも報告した。

  • 別の種類の回路に変更した。

人工呼吸回路

呼気弁

本事例と思われる呼吸回路の呼気弁脱落の不具合報告を受けている。呼吸回路と呼気弁の接続は手作業で行われており、当該ロットは新人工員による製造手技のバラツキがあったことが判明している。当該ロットは販売を停止したが、すでに他のロットと共に出荷されたものがあり、本事例の原因となった。当該メーカーでは接続部を外れにくくした改良品の製造を開始している。

3

人工呼吸器(加温加湿器)

ニューポート回路交換時、チャンバー(加湿器の上皿)がずれたままになっていたため7時間加湿されなかった。

2人での回路交換時、チャンバーが回路に引っかかり外れた。この時押し込んだがずれたままになっていた。

  • 交換した看護師以外の看護師による点検を実施する。

加温加湿器

加温加湿器は温度プローブにより吸気温度を測定し、加温加湿制御を行う。空だきやチャンバーが外れるなどにより、加温加湿が行われていないと、吸気温度が下がるため、さらに加温加湿しようとしてヒーターが入りっぱなしの状態となる。この状態でヒータープレートが異常な高温になると、アラームを発し、停止する。また、設定によっては、吸気温度の低下によるアラームも可能であることから、単にチャンバーがずれて加温加湿されていなかったのではなく、これらのアラームに気がつかなかった又は、アラームをoffにしていた可能性も否定できない。

4

人工呼吸器(その他・超音波ネブライザー)

呼吸状態が不良の為(喀痰による窒息)、人工呼吸器を使用していた。

喀痰量が多かったため超音波ネブライザーを人工呼吸器回路に設置し、去痰を目的にアレベール(気管支拡張剤)の投与を開始した。同日、人工呼吸器の警報が鳴ったため、主治医・看護師は人工呼吸器を交換した。2日後に再びアレベールの投与を開始したところ前回と同様の警報とともに、患者は換気不良となった。臨床工学士とICU(集中治療室)看護師の指摘で、人工呼吸器使用中に超音波ネブライザーとアレベールを同時に使用するのは禁忌であることが判明した。

主治医と病棟看護師はアレベール使用が禁忌であり、厚生労働省の通達があること、薬剤の添付文書にも重要事項として記載されていることを知らなかった。臨床工学士は上記事項を承知していたが、機器操作マニュアル等には具体的に記載していなかった。機器貸出しの際にも注意事項は自明のことと考え、説明していなかった。臨床工学士から実際の使用者である医師・看護師への重要事項の伝達が抜け落ちやすい体制であった。

  • 人工呼吸器の使用頻度の高い部署の職員には、厚生労働省通達および薬剤添付文書を回覧し、注意を喚起するとともに日常的に教育を行なうこととした。
  • 全てのネブライザーにアレベール使用が禁忌である旨を明記したラベルを貼り付けた。
  • 院内安全対策委員会では事件の概要と上記の対策案を文書で作成し、関係職員に配布した。
  • また、院内の関係会議の席上でも説明をした。

人工呼吸器

超音波ネブライザー

人工呼吸器回路の呼気側にフィルターを取り付けているときに、アレベールを超音波式ネブライザーで噴霧するとフィルターが詰まり、患者の呼気が吐けなくなるため禁忌となっている。アレベールとネブライザーとの併用が禁忌なのではなく、呼吸器フィルターとアレベールの併用が禁忌なのである。

また、アレベールは吸入薬の溶解補助剤であり、気管支拡張剤でも去痰剤でもない。

誤った情報が伝わっている可能性があり、適切な情報の周知による適切な対処が求められる。

なお本事象については、医薬安第0109004号(平成14年1月9日)通知において、「人工呼吸器等回路用フィルターの自主点検について」により添付文書の改訂指示が出されているところである。

5


事故事例(人工呼吸器回路関連)

ALS(筋萎縮性側索硬化症)のためBiPAP(バイレベル従圧式陽圧人工呼吸器)を装着していた。アラームの鳴る回数が多いため患者の希望によりアラーム音を切っていた。深夜、患者に異常がないことを確認した3時間後に回路とマスクが外れているのが発見された。

 

 

バイレベル従圧式陽圧人工呼吸器

平成13年7月30日付厚生労働省告示第837号「人工呼吸器警報規準」では、アラームは一時的な消音を除き、消音できないことが求められているため、それ以前の古い機種であると考えられる。アラームが切れない機種への更新が推奨される。

6


人工呼吸器(酸素供給関連)

人工呼吸器とアンビューバッグを併用して呼吸管理していた。入浴1時間後にSpO2(動脈血酸素飽和度)が88%に低下した。アンビュー加圧・喀痰吸引後もSpO2が95%前後とあまり改善が見られなかった。日勤終了までの2時間、アンビュー加圧にて様子観察を続けていた。その後、準夜勤務者の指摘により、酸素チューブの付け間違いにより人工呼吸器からの酸素が送られていない事に気付いた。

機器一連の点検が不十分であった。人工呼吸器はパイピングから、アンビュー加圧は酸素ボンベから酸素を引いていたが、今回人工呼吸器を酸素ボンベに繋いでいた。酸素ボンベからの供給をオフにしていた為、人工呼吸器から酸素が供給されていなかった。人工呼吸器とアンビューには同じ酸素チューブを使用しており、どちらの酸素チューブか分かりづらい状態であった。

  • 人工呼吸器とアンビューに同じ酸素チューブを使用しているため、色付きのテープ貼るなどして、人工呼吸器用チューブとアンビュー用チューブとの見分けがつくようにする。
  • また、酸素ボンベの使用を中止し、Y字のアウトレットを使用し、人工呼吸器・アンビュー共にパイピングから引くこととした。

人工呼吸器

手動式肺人工蘇生器

O2センサー、酸素圧モニタの付いている機種であれば、設定によりアラームが鳴るが、古い機種等ではそれらの機能がないものもある。当該機種が特定できないが、古い機種であれば、必要な機能が付いた新しい機種に更新の上、適切な設定を行って使用することが望ましいと考えられる。

また、手動式肺人工蘇生器を使用する際にも、酸素の流量を確認することが必要と考えられる。

7


事故事例(人工呼吸器設定・操作部関連)

患児の小児用人工呼吸器(ベアーカブ)(PIP(最大吸気圧)16、PEEP(呼気終末陽圧)6、Rate(換気回数)20、低圧アラーム10)で設定したが、PIPが12前後にしか上がっていなかった。その後、30分から1時間おきにPIPが10程度に下がることを繰り返した。4時間後には、ほとんど加圧できない状態となった。代替の人工呼吸器が到着するまで、用手的換気を施行し呼吸管理を行った。

 

 

小児用人工呼吸器

当該事例と思われる不具合報告を受けているが、フローコントロールバルブの故障が原因と考えられるとのこと。2003年に、この部品は改修により交換されており、それ以降同様事例の発生は本件だけであるとのことから、偶発的な故障と考えられるとのこと。今回は特に対策の必要性はないと考えられるが、今後、同様の事例が発生するようであれば、適切な対策を講じる必要がある。

8

人工呼吸器(その他)

入浴前にベッド上で2人介助で上着を脱ぐ際、上着を頭に通し脱いだ瞬間にカニューレが抜けてしまった。固定の紐はゆるく装着されていた。カフエアが抜けておりエアを2ml追加した。

患者の希望でカニューレは緩く紐固定されていた上に、カフエアが抜け気味であり、カニューレの抜けやすい条件が重なっていた。上着を脱ぐ際にカフエアの所在を確認せず、カフエアが上着に巻き込まれカニューレが引っ張られたことにより抜けたと考えられる。

  • カニューレの紐固定をきつくするように繰り返し患者に依頼していく。
  • カフエアが抜けやすいため移動や更衣前に確認する。
  • 更衣する際はカフエアやサイドチューブの所在を確認し、カニューレが引っ張られないようにする。

気管切開チューブ

カフからエアーが抜けていたことにより、カニューレが抜けやすくなっていたことは否定できないが、カフは脱落防止のために付いているのではないことを理解しておく必要がある。カフ圧が高いと気管を損傷する可能性があり、適正なカフ圧管理等が必要である。

9

人工呼吸器(その他)

体重測定後、スケールベッドからベッドへ移動時、メラサキューム(低圧持続吸引器)・酸素チューブには気をつけていた。メラサキュームがベッドから落ちないように1人の技師が関わり、患者移動には4人の看護師・技師が関わった。一気にベッドへの移動はせず、2回に分けて安全に移動するように実施した。1回目少し移動した時点で、スケールベッドと自分の大腿の間に酸素チューブが挟まっていた。そのことを移動に関わっている他のスタッフに伝えようとした時には、すでに患者が移動し始めており、直後に固定のための紐が付いたままカニューレが抜けた。抜けたカニューレのカフはしぼんでいる状態であった。すぐに当直医師に連絡し気管カニューレを再挿入した。

移動の為の環境が整っていなかった。気管カニューレのエアが抜けていた。気管カニューレのエアの確認が不十分であった。移動のための声かけが不十分であった。

  • 移動時、ルート類は必ず安全なことを確認し移動する。開始時にカフエアーをシリンジを使って確認する。
  • 毎吸引時、ピローを手で触れてエアを確認する。
  • 数名で移動を行う時は、頭側のスタッフが声をかけて行う。
  • 異常があるときは声を出す。
  • 異常に気付いたときに、どう行動すれば危険が回避できるのかをよく話し合う。

気管切開チューブ

カフからエアーが抜けていたことにより、カニューレが抜けやすくなっていたことは否定できないが、カフは脱落防止のために付いているのではないことを理解しておく必要がある。カフ圧が高いと気管を損傷する可能性があり、適正なカフ圧管理等が必要である。

10


輸液ポンプ(回路関連)

点滴の2本目の5FU(抗悪性腫瘍代謝拮抗剤)+生食500mlに交換した。その3時間後、積算量は90ml位であるのに、残量は500ml位で減っていた。準夜ナースが残量が多いことに気付きポンプにルートが正しくセットされていない事を発見した。

セット時には滴下を確認していたが、その後の確認ではルートの確認をしていなかった。

  • 化学療法には新しい機器を使用する。ラウンド時には、残量と滴下の確認だけでなく、ポンプにルートがセットされているかを確認するようにする。

輸液ポンプ

輸液ポンプには正しくチューブがセットされたことを確認するためのセンサーはない。輸液ポンプの機種によっては、閉塞圧センサーの部分にチューブが入ってない場合、閉塞圧を適切に検知できないとして警報を発する場合があるが、古い機種では当該機能が付いていないものもある。フリーフロー防止機能も含め、現在使用中の輸液ポンプの安全仕様(アラーム機能やフリーフロー防止機能等)について確認し、適切な輸液管理のために必要なチェックポイントについて機種毎に把握しておく必要がある。

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輸液ポンプ(回路関連)

輸液ポンプに抗癌剤をつなぐ時に輸液ポンプ用とは異なるルートをつないで薬液で満たしてしまった。

実施時間が遅れていて気持ちに焦りがあった。十分な確認を怠ってしまった。

  • 一つ一つの確認。
  • 時間に追われないようなスケジュールを自分なりに計画する。
  • 実施が無理と思われる時は、他のスタッフにお願いし、自分がやるべきことに集中できる環境を自分で作る。

自然落下式・ポンプ接続兼用輸液セット

自然落下や、ポンプを用いた輸液等、複数のルートをつないだ場合、どれがポンプ用のルートであるかの判別が困難になる。ポンプ用ルートとそれ以外のルートの判別が可能となるような表示の工夫やラインを確認する等が必要と考えられる。

12


輸液ポンプ(設定・操作関連)

IVH留置中の患者にテルモの輸液ポンプを使用していた。深夜と日勤看護師のダブルチェックの際、輸液ルートは1mlあたり15滴のものを使用していたが、機械の設定が19滴の設定になっていたことがわかった。いつからその設定になっていたかはわからない。準夜勤務者とのダブルチェックの際は機械では流量と積算のみ確認し、15滴の設定になっているところまで確認していなかった。

15滴の設定になっているものと思い込んでしまい、確認を怠ってしまった。

  • ダブルチェックの際の機械の設定の確認を怠らない。

医薬品注入コントローラー

滴数制御の点滴ルート及びコントローラーは平成21年4月1日から、1mlあたり、20滴及び60滴に完全統一される。1mlあたり15滴や19滴のものはなくなるので、機器の更新を進めるよう、啓発を引き続き行っていく必要がある。なお、輸液セットの包装には滴数を表示しているので、確認して使用する必要がある。(20滴と60滴の取り違えは存在するため)

13

輸液ポンプ(その他関連)

術後の患者に、イノバンシリンジ(昇圧剤)の持続注入が開始になった。その後、患者は血圧などの変動なく経過していたが、次勤務者よりイノバンシリンジ対応でないシリンジポンプを使用していることを指摘された。予定量が注入されていたが、突然注入中止となる可能性があった。

イノバンシリンジを導入して約1年経過している。他部署に比べると、使用している回数も多い部署であったが、「対応シリンジポンプ」の認識が薄れていた。また機器本体に表示をしていたが、わかりにくいものであった。

  • 対応可能の機種にのみ表示を行うと共に、全部署に写真入りで資料を配布した。

注射筒輸液ポンプ

現在、イノバン注のプレフィルドシリンジの製造販売会社は、外箱毎に、シリンジポンプとの適合性の確認の必要性について説明した適用・取り扱い上の注意についての紙媒体を装填し注意喚起を行っているところ。

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輸液ポンプ(設定・操作関連)

CV(中心静脈)ルートより、KCL(塩化カリウム)が混注された5%グルコース500mlを輸液ポンプを使用し20ml/hで滴下させていた。ポンプは積算量も順調に増えており、通常通り作動しているように見えたが、結局点滴がほとんど滴下していなかった。ポンプの扉を開けるとルートがずれていた事を発見した。

点滴ボトルの残量を確認すると減っていないように見えたが、20ml/hと滴下速度が遅く正確には確認しづらい事と、ポンプの積算量が順調に増えていたことから、滴下しているだろうと思い込んでしまった。

  • ポンプの画面やアラームを過信しすぎない。
  • 輸液ポンプを使用している場合、必ず自分の目で滴下筒での滴下を確認し残量もチェックするくせをつける。

輸液ポンプ

輸液ポンプには正しくチューブがセットされたことを確認するためのセンサーはない。輸液ポンプの機種によっては、閉塞圧センサーの部分にチューブが入ってない場合、閉塞圧を適切に検知できないとしての警報を発する場合があるが、古い機種では当該機能が付いていないものもある。フリーフロー防止機能も含め、現在使用中の輸液ポンプの安全仕様(アラーム機能やフリーフロー防止機能等)について確認し、適切な輸液管理のために必要なチェックポイントについて機種毎に把握しておく必要がある。

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事故事例(輸液ポンプ観察管理)

担当看護師は、患者の点滴挿入部に問題がないことを確認した。その2時間後、患児に発熱38.3度を認めたため看護師は観察を行ったが点滴挿入部の確認はしなかった。発熱を確認した約2時間後、看護師は点滴が挿入されている左足に点滴の漏出のためと考えられる腫脹を認めた。

 

 

プラスチックカニューレ型滅菌済み穿刺針

(財)医療機能評価機構が、2007年6月に出された「医療安全情報No.7」において、「小児の輸液の血管外漏出について」は事例として、注意喚起が行われている。その中で、「その後の定時観察においては、滴下状況の確認はしたが、輸液ポンプのアラームが鳴らなかったため刺入部の直視的な観察は行わなかった。翌朝、刺入側の左上肢全体の腫脹と、刺入部の皮膚潰瘍を認めた。」とあり、輸液ポンプの閉塞アラームに頼っていたことが伺える。なお、輸液ポンプには血管外漏出の検知機構はない。

16

手術を終了し麻酔覚醒後に、点滴を手動調整から輸液ポンプに変更し、30ml/hに設定し開始した。約10時間後、手の腫脹に気付いた。点滴漏れが発覚する約10時間の間、患児に注入された点滴量は最低でも375mlである。日勤看護師及び準夜看護師が点滴刺入部や指先等を観察したのは計4回であった。

 

 

プラスチックカニューレ型滅菌済み穿刺針

(財)医療機能評価機構が、2007年6月に出された「医療安全情報No.7」において、「小児の輸液の血管外漏出について」は事例として、注意喚起が行われている。その中で、「その後の定時観察においては、滴下状況の確認はしたが、輸液ポンプのアラームが鳴らなかったため刺入部の直視的な観察は行わなかった。翌朝、刺入側の左上肢全体の腫脹と、刺入部の皮膚潰瘍を認めた。」とあり、輸液ポンプの閉塞アラームに頼っていたことが伺える。なお、輸液ポンプには血管外漏出の検知機構はない。

17


経管栄養チューブ(初回挿入関連)

アトム栄養カテーテル(6フレンチ)を鼻から通して胃内へ留置するため挿入するも、途中で引っかかってしまうためにカテーテル内にガイドワイヤーを先端を出さないようにいれ、再び経鼻挿入した。その後のレントゲン確認で胸腔内に先端の一部が入っていることが判明した。

患児は重度の胎児水腫であり、食道を含めて消化管が非常に軟弱であったことが考えられていたため、無理な力は入れずに挿入する事に努めたが、原因は不明であるも何らかの通過障害も認められたため食道を穿孔してカテーテルが胸腔内に入ったと考えられる。

  • スムーズにカテーテルが進まない時には無理せず、他の医師に依頼する。

経食道経管栄養チューブ

栄養チューブについては、添付文書の改訂通知(平成19年6月15日薬食安発第0615001号厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)が発出されており、併せて、医薬品医療機器等安全性情報、医薬品医療機器総合機構より安全性情報(仮)を発信していく予定で準備中。

18


経管栄養チューブ(栄養剤等の注入に関する事例)

ゼオン(栄養チューブ)挿入後、既に溶解されていた薬剤を注入しようとしたが、投与途中よりゼオンが閉塞し残量3分の1量注入できず。再度医師に依頼しゼオン再挿入となる。

薬局より原因は特定できないが、溶解時の温度や溶解後の経過時間が長いことも、薬剤の配合変化を生じる要因になったのではないかと助言あり。

  • 溶解した薬剤を長時間置いておかない。注入時は薬剤を十分混和し施行する。
  • 施行時は十分混和できたか確認する。
  • 溶解後は薬剤が配合変化をおこしているときは新しく作り直す。

経食道経管栄養チューブ

栄養チューブについては、添付文書の改訂通知(平成19年6月15日薬食安発第0615001号厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)が発出されており、併せて、医薬品医療機器等安全性情報、医薬品医療機器総合機構より安全性情報(仮)を発信していく予定で準備中。

19


夕分の内服薬を経管栄養チューブから注入後、経管栄養開始したが3分後に確認に行くと既にチューブが閉塞していた。

内服注入後、微温湯を流さず経管栄養を開始してしまった。経管栄養チューブが薬剤注入禁止となったものであったのに、業者から連絡が来なかったため、知らずに使用していた。

  • 業者に連絡。
  • コーフローフィーディングチューブをすべて引き上げニューエンテラルフィーティングチューブに変更した。

経食道経管栄養チューブ

栄養チューブについては、添付文書の改訂通知(平成19年6月15日薬食安発第0615001号厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)が発出されており、併せて、医薬品医療機器等安全性情報、医薬品医療機器総合機構より安全性情報(仮)を発信していく予定で準備中。

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経管栄養チューブ(栄養剤等の注入に関する治例関連)

経鼻経管栄養チューブの自己抜去が再三あった患者。日勤終了間際に抜去を発見し、再挿入した。そのまま夕の経管栄養開始した。注入中は問題なく経過したが、その数時間後に栄養剤等の気道分泌物を吸引した。深夜帯で、朝食前に腹部聴診にてエア確認し、注入を実施した。日勤の看護師が患者の呼吸が頻呼吸になり、チアノーゼが出ていることに気付いた。医師に連絡し、レントゲンの結果、経鼻チューブが咽頭付近でたわみ、挿入が浅かったことが分かった。肺炎の診断のため、治療が開始された。

看護師のチューブ挿入・管理に対する技術の問題点。看護師の患者観察・看護判断の問題点。準夜から深夜への情報伝達・共有の問題点。

  • 経管栄養チューブマニュアル(技術・観察)の見直し。
  • エア確認時の腹部聴診位置の再確認、周知徹底。

経食道経管栄養チューブ

栄養チューブについては、添付文書の改訂通知(平成19年6月15日薬食安発第0615001号厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)が発出されており、併せて、医薬品医療機器等安全性情報、医薬品医療機器総合機構より安全性情報(仮)を発信していく予定で準備中。

21


経管栄養チューブ(観察管理に関する事項)

経管栄養チューブを固定してあるテープが外れかけていたため、チューブを再固定しようとした際、45cm挿入のはずが75cmまで挿入されていた。経管栄養チューブ交換は2日前に実施し、鼻孔部にマジックでマーキングしていたが中に入り込みわからない状態だった。

固定のテープが緩み、徐々に胃内に入り込んだと思われる。注入開始時に胃内容物の吸引とエアー音の確認は行っていたが、挿入した長さの確認が行われていなかった。

  • 使用していたチューブはJMS製12Frで先端部より50cm、60cm、70cm、80cm、90cmに印があったがもう少し短いチューブの選択を検討する必要がある。
  • 注入時に挿入した長さの確認も必ず行うことを徹底する(手順に加える)。

経食道経管栄養チューブ

挿入長が長すぎると、胃の中でとぐろを巻き、塩化ビニル製の栄養チューブの場合、そのまま留置を続けると、可塑剤の溶出によってとぐろを巻いた状態で硬化し、抜去が出来なくなることがあるので適正な挿入長を守って、使用する必要がある。

22


胃瘻・腸瘻チューブ(栄養剤等の注入に関する事例関連)

腸瘻留置中で過去に内服(カバサール錠)注入による腸瘻のつまりがあった。そのため錠剤の溶解を確認してからカバサールを注入したつもりが腸瘻が詰まってしまい、医師がガイドワイヤーで腸瘻内を通したらつまりが解消された。

カバサール錠を完全に溶解したと思い込み、溶解しきれずに残っていないかを目で十分に確認しなかった。

  • カバサール錠は専用のカテーテルチップを使用しているが、そのカテーテルチップに注意喚起のテープを貼り付けた。

空腸瘻栄養チューブ

栄養チューブについては、添付文書の改訂通知(平成19年6月15日薬食安発第0615001号厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)が発出されており、併せて、医薬品医療機器等安全性情報、医薬品医療機器総合機構より安全性情報(仮)を発信していく予定で準備中。

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胃瘻・腸瘻チューブ(栄養剤等の注入に関する事例関連)

就寝前にフレンタ社専用ポンプにて経管栄養を注入中に、閉塞アラームがなる。クレンメが開いているか、ルートを見て問題なかったため、再スタートする。1分程して、再び閉塞アラームが鳴り、フレンタ社専用ポンプのルート内にTFのカスがあったため、カスを取り除こうとした。経管栄養チューブ内にもカスがあり、シリンジで加圧したが、押せずに詰まっているのを発見し、リーダーに報告する。ガイドワイヤー使用し、医師、看護師にて経管チューブ開通試みるも、開通せず、救急にて経管栄養チューブ再挿入する。

ポンプのルート内に栄養剤のカスがあったため。経管栄養チューブ内にもカスがあったため。

  • イリゲーターは、使用後洗浄し、ルート内には、白湯、酢を流しておく。
  • 使用するときは、ルート内にカスがないか確認し、汚れているようならルートを交換する(週1回ルート交換)。
  • 経管栄養チューブは、詰まったら入れ換えが困難であることを意識し、経管栄養チューブの入れ換えの時期を医師にコンサルトしていく。

経食道経管栄養チューブ

栄養チューブについては、添付文書の改訂通知(平成19年6月15日薬食安発第0615001号厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)が発出されており、併せて、医薬品医療機器等安全性情報、医薬品医療機器総合機構より安全性情報(仮)を発信していく予定で準備中。

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その他の医療機器関連

手術中、術野をひろげるため、マスキンW・エタノール(皮膚(手術野)・医療用具殺菌消毒剤)で消毒した後、皮膚切開を加え、電気メスで止血をしたときに、覆布より炎があがった。すぐに消しとめて、患者には1cm大の2度熱傷のみであった。

マスキンW・エタノールでの消毒では(アルコール含有)、左記の危険があるが、いつまで乾燥を待つのか、消毒のスタンダードなどが決まっていない。

  • 注意を喚起するとともに、アルコール含有の消毒薬は、電気メスを使用する際には極力使用しない。

電気メス

マスキンW・エタノールの添付文書には電気メスを使用する際には、引火のおそれがあることから、乾燥、蒸散を確認してから使用するよう、重要な基本的注意に記載があり、電気メスの添付文書にも基本的にエタノール等の可燃性液体に関する注意喚起がなされている。

25


その他の医療機器関連

慢性肺疾患で保育器収容で酸素を使用している患児。足背・足底にSpO2(動脈血酸素飽和度)センサーを常時装着していたが、体動・啼泣が激しく、何度もセンサーが外れていた。その都度センサーを専用のバンドを使用し装着していたが、外れやすかった。処置時に、外れにくいようにしっかりと巻いていた。呼吸状態は変わらず、SpO2値の低下なく経過した。8時間後、次の勤務者の検温時に、足背のSpO2センサー装着部位に発赤を発見した。主治医へ報告し、皮膚科紹介となり、軟膏塗布で症状消失する。

看護マニュアルの中には、皮膚の観察とセンサーの部位交換が決めてあるが、マニュアル通りにできていなかった。

事例の周知を行い、看護計画に時間毎のチェックを行うように追加した。

パルスオキシメータープローブ

本事例のパルスオキシメーターのプローブが特定できないが、発赤の原因として、粘着テープによる炎症、圧迫による炎症、プローブの発光に伴う局所温度上昇による炎症等が考えられる。体動等によるセンサー外れを防止する目的で専用バンド等を使用する場合には、局所の炎症に注意する必要がある。