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安全対策業務

別添6 情報不足のため製造販売業者による検討対策が困難と考えられた事例もしくは,ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例

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別添6 情報不足のため製造販売業者による検討対策が困難と考えられた事例もしくは,ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例

(*第7回報告書より,**第8回報告書より)

 

 

具体的内容

背景・要因

改善策

影響を与えた医療機器

1

事故事例(人工呼吸器関連)

人工呼吸器とSpO2モニターのアラームで訪室。気管カニューレ(気管チューブ)とフレキシブルチューブの接続部が浮いた状態で密着していなかった。SpO2が低下し、アンビューバッグを使用し30秒後には状態は改善した。ベッドサイドモニターは表示されていたが、記録室のモニターへの送信をしていなかった。

 

 

気管切開カニューレ

人工呼吸回路

2

隣ベッドの患者の処置を終えて振り向くと当該患者の呼吸器とカニューレの接続が外れており心肺停止の状態だった。蘇生を行い心拍は回復したが意識レベルは戻らなかった。ボイスコールによる意思表示が出来る患者なので呼吸器に問題があればコールがあると思っていた。使用した人工呼吸器のアラームが隣の患者に比べ小さかった。

 

 

気管切開カニューレ

3


事故事例(人工呼吸器電源関連)

進行性筋ジストロフィー症のため24時間BiPAP(バイレベル従圧式陽圧人工呼吸器)使用中の患者が、BiPAPは装着されていたが、その電源がオフとなっており、心肺停止状態で発見された。

電源がオフになった原因は明らかではない。

 

 

バイレベル従圧式陽圧人工呼吸器

4


事故事例(人工呼吸器回路関連)

下肢の虚血症状が進行するため、緊急手術終了後、人工呼吸器管理のままICUに帰室した。帰室後、患者の状態から、カテーテル治療の可能性を考慮し、血管造影室へ移動した。この際、移動用の人工呼吸器を血管造影室の酸素配管に直接つなぎ使用した。カテーテル治療終了後、患者の顔面が蒼白であり、脈拍の触知が微弱であることを発見し、その原因を検索したところ人工呼吸器の回路の接続が外れていることに気付いた。

 

 

人工呼吸器回路

5

事故事例(輸液ポンプ関連)

点滴カタボンHi 2ml/hで投与するところ37ml/hで投与された。

 

 

輸液ポンプ

6

押し子の部分がポンプのスライダーのフックに固定されておらず、輸液が投与されていなかった。

 

 

注射筒輸液ポンプ

7

イノバン(強心剤)2ml/hのところ、22ml/hと設定されていた。

 

 

輸液ポンプ

8

生食とシクロスポリン(免疫抑制剤)の混合液を4.1ml/hの速度で注入していた。看護師Bが、それまでの注入量が2mlであり過不足のないことを確認した45分後、アラームで訪室すると残2mlとなっており、注入速度が104.1ml/h になっていた。停止操作でアラーム音が鳴ることなく触っただけで設定量が変わるシリンジポンプであった。

 

 

注射筒輸液ポンプ

9

シリンジでトータル44.5mlを3時間で投与する予定の輸液を、44.5ml/hで設定してしまった。

 

 

注射筒輸液ポンプ

10

塩酸モルヒネ50mgを45mlで希釈し、シリンジポンプで0.5ml/時間で開始した。開始後3時間10分までの3回の確認では異常はなかったが、4時間後に残量全てが1時間程度で注入された。

 

 

注射筒輸液ポンプ

11

医師は旧式と新式のポンプの設定の違いを認識していたが記載を誤った。指示のミスに看護師は気付いたが、医師に確認せずに流量を設定したため、100mgの予定が240mg/4hで投与された。

 

 

輸液ポンプ

12


中止となったディプリバン(全身麻酔剤)を輸液ポンプから外す際に、クランプをして輸液の経路を遮断していなかったため、残っていたディプリバン溶液が全て投与された。

 

 

輸液ポンプ

13


人工呼吸器(電源関連)

患者の希望によりBiPAP(バイレベル従圧式陽圧人工呼吸器)を装着した。装着直後、患者の顔が苦痛表情へ変わったため、マスクからの空気の出方がおかしいと感じ、調べると、BiPAPの電源が入っていないことに気付いた。

装着直後に患者の顔が苦痛表情へ変わったため、すぐに文字盤にて対応しようと気持ちが焦り、その時点で電源のことを忘れてしまっていた。普段からマスク装着後に電源を入れていた。

  • 装着時にチェックリストに沿って設定を確認し、電源も入れる。
  • 電源を入れてから、マスクを装着するようにする。
  • マスクを装着した後に、部屋を離れる際は、必ず最終的に呼吸器を再確認する。
  • 手順整備と事例分析を実施する予定である。
  • 注意喚起の貼り紙を行なった。

バイレベル従圧式陽圧人工呼吸器

14

人工呼吸器(回路関連)

人工呼吸器を慌てて組み立てた。その後は正常に作動していた。5時間後、回路内の水滴を除去しようとした際に、回路の組み方が違うことに気付いた。

教育体制が不十分であった。看護師は回路を組み立てる状況であった。

  • チェックリストを使用した確認とME(臨床工学士)センターとの連携方法の検討を行う。

人工呼吸回路

15

人工呼吸器のアラームが鳴り、回路より普段聞かれない音(シューシューという空気の抜けるような)が聞かれた。その後患者のSpO2が徐々に低下したため、一度、酸素トラキベント(人工鼻)に変更し、回路を交換した。再度、人工呼吸器を作動させたところ異常なく作動した。その後、異常音のする回路を破棄してしまった為、翌日原因を解明することが出来なくなってしまった。

不明

  • 回路の予備を常に病棟に準備しておき、異常の発生した場合にすぐに対応できるようにする。
  • また異常のあった場合にどのように対応するかをマニュアル化する。

人工呼吸回路

16


人工呼吸器装着中の患者に対し、吸引等の処置を行う。申し送り開始後、10分するとアラームが鳴り、訪室したところ、回路が外れていた。

気管チューブと機械の接続部がはずれていた。酸素飽和度や患者の状態に変化は無かった。

最後に病室を退室する前に人工呼吸器の回路の接続点検をしていなかった。深夜から日勤への申し送りの前であり、焦っていた。

  • 医療安全推進マニュアルには人工呼吸器に関する事故防止対策を明示している。
  • 訪室時、退室時、吸引前後、加湿器交換時、体位変換清拭等の処置の後などは、必ず、呼吸器の回路を触って接続を点検するよう、注意を喚起した。
  • デジタル表示できるものは、退室前に再度データを確認する。
  • 看護師長会でリスクマネジャーから情報を伝え、スタッフへの周知を依頼した。

人工呼吸回路

17


携帯用人工呼吸器付き車いすを使用し、父親と病院内を散歩中、患者が背伸びした際、患者の手が気道内圧チューブにあたり、チューブが外れた。

父親がアンビュバックで加圧しながら病棟へ帰り、すぐに人工呼吸器につなぎ変えた。患者は、自発呼吸があり、人工呼吸器の酸素濃度が21%であったため、異常はなかった。

携帯用人工呼吸器を使用している患者を家族だけで散歩させた。携帯用人工呼吸器の回路に接続外れを防止する機能がなかった。

  • 人工呼吸器を使用して、家族だけで散歩可能な患者の選択基準を明確にする。
  • 携帯用人工呼吸器使用前の接続部の点検を徹底する。
  • 人工呼吸器回路の外れ防止機構の提案をする。

人工呼吸器

18


在宅医療にて使用する人工呼吸器の呼吸回路を、2タイプある中で違う呼吸回路を渡してしまったことに気付かずに、ご家族より指摘された。

同じ名称の呼吸回路であった為、間違いないと思い込み準備してまった。

  • 準備等における段階でも必ず当事者以外に確認をしてもらうようにする。
  • 持参する消耗品等の確認チェックリストを作成する。

人工呼吸回路

19


人工呼吸器(加温加湿器関連)

人工呼吸器の加湿器に接続する蒸留水500mlを注射薬ソリタックスH500mlと間違えて接続してしまった。

思い込みがあり、又ボトルが似ていた為、ダブルチェックもせずに行なった。

  • 蒸留水は必ず定位置にあるようにする。又、ダブルチェックを怠らないようにする。

加温加湿器

20


NICUの看護師は、患児に人工呼吸器(ハミングV)を装着することとなった。急いで回路を組み立てたが、テストバッグが加圧しなかったため、確認したところリザーバーバッグの破損があった。リザーバーバッグの交換後、患児に接続したところ加湿器のアラームが鳴った。リザーバーバッグを接続する位置と加湿回路を接続する位置が逆になっていた。

業務手順・ルール、チェックの仕組みに問題があった。人工呼吸器は使用前後のマニュアルに沿った点検を行なっていなかった。緊急時に備えて、常に使用出来る状態にしておかなかった。所属所有の人工呼吸器であるためME(臨床工学技士)による保守・管理が行われていなかった。施行前点検をダブルテチェックで行わなかった。

  • 人工呼吸器は使用前後にマニュアルに沿った点検を行う。
  • 緊急時に備えて、常に使用出来る状態にしておく。
  • MEによる保守・管理を行う。
  • ダブルチェックで施行前の確認を行う。

人工呼吸器

21


呼吸器の加湿器の電源を入れ忘れた。

検査に出て帰室した際に、ルート類が多く整理に焦ってしまった。確認したつもりになってしまっていた。

  • 確認作業の徹底。
  • チェック用紙を一連の操作後記入するようにする。

加温加湿器

22


人工呼吸器(設定・操作関連)

患者を入浴させる時一時的に人工呼吸器を外した。その際呼吸器の電源を入れた状態にしてテストバッグをつけているが、高・低圧アラームが両方なり出したため、呼吸回数を増やせばアラームがならないと思い3回から10回に増やした。

入浴を済ませた患者に装着するとき、呼吸回数を元の3回に戻すことを忘れて10回のまま装着し、装着後のチェックで気がつかなかった。

  • 重心病棟に於ける入浴介助業務の忙しさがあった。呼吸器の設定保持の為、一時的に外すときも電源は切らないようにしている。
  • 看護師間の連携・報告の不備があった。自発呼吸があるため、少ない呼吸回数で設定されていた。確認のダブルチェックができていなかった。
  • 人工呼吸器装着患者は、個別の時間をとって、落ち着いた時間の中で入浴介助を行う。
  • 呼吸器再装着時、必ず呼吸器の条件設定をダブルチェックで確認する。
  • 外している最中に設定は変えない。

人工呼吸器

23


サーボ装着中の患者のバックアップ換気アラームが鳴り、受持ち看護師が訪室した。本来はサポートモードのボタンを押すべきところ、モード変更ボタンを押してしまった。同僚がすぐに駆けつけ、医師の指示の下、設定を変更した。

この日初めて当患者を受け持った当事者は、呼吸器内科病棟勤務の経験があり、人工呼吸器使用の経験は十分あったが、サーボ使用の経験は浅かった。CCU勤務の前にオリエンテーションは行なっている。途中勤務交代者であった。

  • 当事者には、分からないまま、自信の無いままに機械を操作しないよう注意した。
  • 途中勤務交代者に対する教育を見直す機会とし、教育体制を再考する。
  • 当事者には、再度人工呼吸器の学習を促し、理解状況をリーダーおよび係長に確認してもらう。

人工呼吸器

24


人工呼吸器(呼吸器本体関連)

呼吸器のダブルチェックにより、気道内圧の低下に気付き、ME機器管理室へ点検依頼した。

臨床工学士来棟までに呼吸器の異常音が聞かれ、アラームが鳴ったため、呼吸器をはずし、酸素3Lで開始する。点検の結果、吸気バルブの損傷(磨耗)があり呼吸器を取り替えた。

定期的なオーバーホールや臨床工学技士による点検が行われており安心していたが、老朽化による破損もある。前日、呼吸器から変な音がしていたが、機械が正常に作動しており、アラームも鳴らなかったので様子をみたが、その時点で報告点検してもらう必要があった。

  • 少しの異常でも報告するようできるだけ昼間のうちに問題解決しておくよう指導する。

人工呼吸器

25

準夜途中から人工呼吸器のアラームが頻回にあった。回路リークやカフエア漏れなどチェックしたが異常はなかった。自発呼吸がある患者であり、SpO2は100%に保たれていた。原因不明のまま深夜の看護師に交代した後、深夜看護師が1回換気量をチェックしたところ0であった。当直医に報告し原因不明だが、日中気管切開していたこともあり、カフの異常も考えられるため交換したところ、カフが破損していた。準夜の看護師は使用していた人工呼吸器の1回換気量のチェックの方法が分からず、対応できていなかった。

人工呼吸器の機種は2種類。事例の機種はニューポートe500ウェーブ

という新しい機種であったため当事者は知識が不足していた。また、人工呼吸器に関しては、1回換気量はチェック必須項目になっていたにもかかわらず観察していなかった。観察していないのに観察済みのチェックを記入していた。

  • 人工呼吸器ニューポートe500について確認方法を指導する。

人工呼吸器

26

全身清拭後、体位変換を行った。その直後、低圧アラームが鳴り、カニューレが半分抜け出ているのを発見した。

今までに使用したことがない特殊なカニューレであり、カフがないことは知っていたが、リーク防止のためにカニューレガーゼを3枚使用しており、挿入されている部位が短いことを知らなかった。清拭で身体を動かしている間に抜けてきたと考えられる。

  • ウィーニング(呼吸器離脱訓練)が出来る場合、体位変換時に呼吸器が外れないようにする。
  • 体位変換の後などは抜けていないかカニューレガーゼの下を確認する。
  • 知らないカニューレについては、改めて構造や取り扱いを教育する必要がある。

気管切開カニューレ

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ベッドアップ時、人工呼吸器アラーム(HIGH PRESS)が鳴った。気管カニューレ、及び吸気ルートの接続は問題なくSpO2(動脈血酸素飽和度)低下もなかった。再度、ルート確認すると排気口がベッドに密着していた為、外すと呼吸器が正常に戻った。この間15秒程でその後のSpO2低下もなく、気道内圧30mmHg であった。

ベッドアップや体位交換時気管切開カニュ-レ周辺にトラブルが生じないかに意識が集中していたため排気口閉塞への危険予測ができていなかった。

  • 1時間の体位交換度に、身体・器械・ルート等を観察する際には、特に呼吸器は指差し呼称確認をするなど意識的に行う。
  • 器械やルートの構造を理解し、危険予測できるように知識と技術を習得する。

人工呼吸器

28


人工呼吸器(酸素供給関連)

人工呼吸器とアンビューバッグを併用して呼吸管理していた。入浴1時間後にSpO2(動脈血酸素飽和度)が88%に低下した。アンビュー加圧・喀痰吸引後もSpO2が95%前後とあまり改善が見られなかった。日勤終了までの2時間、アンビュー加圧にて様子観察を続けていた。その後、準夜勤務者の指摘により、酸素チューブの付け間違いにより人工呼吸器からの酸素が送られていない事に気付いた。

機器一連の点検が不十分であった。人工呼吸器はパイピングから、アンビュー加圧は酸素ボンベから酸素を引いていたが、今回人工呼吸器を酸素ボンベに繋いでいた。酸素ボンベからの供給をオフにしていた為、人工呼吸器から酸素が供給されていなかった。人工呼吸器とアンビューには同じ酸素チューブを使用しており、どちらの酸素チューブか分かりづらい状態であった。

  • 人工呼吸器とアンビューに同じ酸素チューブを使用しているため、色付きのテープを貼るなどして、人工呼吸器用チューブとアンビュー用チューブとの見分けがつくようにする。
  • また、酸素ボンベの使用を中止し、Y字のアウトレットを使用し、人工呼吸器・アンビュー共にパイピングから引くこととした。

人工呼吸器

手動式肺人工蘇生器

29


輸液ポンプ(指示関連)

 

患者にカタボン・ドプポン(急性循環不全改善剤)6ml/hで指示がでていた。医師に流量を聞かれて答えると、「じゃあ15へ上げましょう。」と言われたため「カタボンとドプポン両方、6を15ですね。」と確認し、流量を15ml/hとした。その後、夜勤帯で医師より「今、15γでいっているんですよね。」と確認された時に、15γ=18ml/hで点滴しなくてはいけなかったことに気付き、医師が指示を出されていた量の薬液が患者に点滴されていなかった事に気付いた。

口頭指示を受けるときの確認が不十分であった事、また知識不足であったことが要因である。口頭指示を受けるとき、カタボンの流量は15mlなのか、15γなのかの確認が必要であった。

  • 指示を出す方も、指示を受ける方も確認する。

注射筒輸液ポンプ

30


輸液ポンプ(電源関連)

CV(中心静脈栄養)挿入中の患者の点滴が予定より早く終了したので輸液ポンプの電源を切り、次の点滴をつなげる予定であったが忘れてしまった。1時間半経って他の看護師に指摘された。

滴下数のあわせ方が間違っていた。検温や採血に追われ忘れてしまった。

  • こまめに滴下数の確認を行う。
  • 一つ一つの仕事を終了したことを確認しながら行う

医薬品注入コントローラー

31


21時、次の受持ち看護師とのダブルチェックの際、輸液ポンプの電源がオフになっていることを発見した。バッテリーはつながっており、なぜ電源が落ちていたのかは不明であった。20時過ぎに確認した時点では作動していたが、その後21時まで確認しておらず、約1時間点滴投与が行われていなかったことになる。

機械の誤作動。

  • 20時過ぎ以降にも訪室していたが輸液ポンプまで見ていなかった為、発見が遅れてしまった。
  • 点滴は訪室毎チェックしていくようにする。

輸液ポンプ

32


輸液ポンプ(操作・設定関連)

透析回路の途中からアトムシリンジポンプを使い、看護師がエホチール2A+生食40mlを入れた50cc注射器をセットした。透析を開始し同時にシリンジポンプを開始した。5分後にシリンジ内に血液が逆流していることに気付き、確認したところシリンジポンプの固定溝に注射器が完全にセットされていなかった。薬液を取り替え実施した。

シリンジポンプ使用時の確認を2人でチェックシートにより行うとされているが、今回はチェックシートを用いずに行っていた。準備する者と実施する者が違うため、始動時のセッティングの確認をしなかった。思い込みがあった。

  • チェックシートに沿ってきちんと準備されているかを確認する。
  • スタッフが同じ行動を取れるように教育していく。

注射筒輸液ポンプ

33


輪液ポンプを再セットした時に、5FU(抗悪性腫瘍代謝拮抗剤)の輸液量を21ml/hのところを121ml/hで投与してしまったため、予定時間より4時間早く点滴が終了してしまった。

輪液ポンプの確認不足だった。

  • 点滴をしている患者は2時間毎のラウンドを徹底する。
  • 輪液ポンプの流量設定時は他看護師とダブルチェックを行う。

輸液ポンプ

34


主治医の指示で5%ブドウ糖500ml+アトニン1Aを12ml/hで開始するよう口頭で指示があった。輸液ポンプ(IV-SET)で開始したが滴下を60に設定してあることに気付かず、12ml/hに設定後、輸液開始した。30分後に主治医により24ml/hに増量された。その後、滴下の早いことに気付き輸液ポンプの設定を間違えていることが発覚した。結果的に患者には、指示量の4倍量の薬液が投与された。

ME機器使用の知識不足であった。当事者は輸液セットの種類により、I-VAC背面のダイヤルを設定変更することを知らなかった。周りのスタッフは、当事者が助産師は2年目であるが、看護師経験もあるため、I-VACの操作方法は理解していると思いこんでいた。事故発見後、医師に確認せずに薬液を本来の指示量に戻した。

  • ポケットマニュアルやMEセミナーで啓発していたが、活用されていなかった。
  • 再度個人指導とともに師長会で伝達した。
  • ME機器の開始、変更時の確認動作の周知徹底を実施する。

医薬品注入コントローラー

35


輸液ポンプにつなぎ流量・予定量の設定を行なった。指示の流量70ml/hを70.9ml/hで予定量を設定してしまい、10分後のダブルチェックで間違っている事に気付いた。

申し送りの時間が来て焦ってしまい、小数点までの確認が不十分になっていた。

  • 流量・予定量を1つ1つ声出し・指差し確認で行ない、使用している輸液ポンプが小数点まで設定できる物かまで確認する。
  • 交代する際には、交代する相手にも自分がどこまで行なったか、適切な指示量で適切に開始されているか確かめる。

輸液ポンプ

36


輸液ポンプを使う際、流量と予定量を反対に設定していたため、輸液速度が速くなってしまった。

輸液ポンプの設定が間違っていた。無意識に設定した後確認をしなかった。

  • メンバーが実施した後、リーダーが確認を行うなど、ダブルチェックを行う。

輸液ポンプ

37


更衣の際に輸液ルートのクレンメを閉じ、輸液ポンプからラインを外し、再び輸液ポンプにセットする際にクレンメを解除するのを忘れていた。患者はそのままシャワーに入り、シャワー浴中閉塞アラームがなったが、自己にて停止ボタンを押していたようであり、シャワー後に更衣介助を行った先輩スタッフが気がつき、指摘されて気付いた。

インシデント発生日、自分は2回目のチームメンバーであった。さらに2件のオペ出しがあり、気持ちが焦っていた。インシデント発生時は手術室からの1件目の手術患者の迎えと、2件目の前投薬投与の指示の電話連絡を待っていたため気持ちが焦り、いつも行っていた輸液ポンプ操作後の設定、滴下の確認をしていなかった。そのためインシデントを起こしたことに気がつかなかった。

  • 更衣介助、点滴更新など輸液ポンプをさわる際には必ず最後に医師の指示量の設定になっているか、クレンメの解除忘れはないか必ず声をだし、指さし確認する。
  • 輸液ポンプを操作した場合には滴下しているかを確認してから患者の側を離れるようにする。

輸液ポンプ

38


輸液ポンプ(観察・管理関連)

輸液ポンプでドブトレックス(急性循環不全改善剤)、シグマート(狭心症治療剤)が投与されていた。ドブトレックスのシリンジ交換時三方活栓を止め、輸液ポンプはダブルチェックをした。約2時間後ポンプが閉塞したためアラームが鳴り、三方活栓再開通忘れによる閉塞が発見された。血圧変動なく経過観察となった。

他にも輸液ポンプを使用しており「三方活栓は開いた」と思い込んでいた。ダブルチェックをした際も「つもり」で見逃した。三方活栓に触れた記憶はあるが正しく扱えていなかった。心不全の患者にとって強心薬が投与されない時間があることで状態悪化につながる危機感はあった。

  • 「つもり」は気付きにくいため、確実に投薬できるよう、今後は全てつないだ後、再度指差し、声だし確認をする。
  • ダブルチェックは流量だけでなく、その薬剤が「確実に投与されているか」投与方法まで確認する。

三方活栓

39


輸液ポンプ(その他関連)

フェンタネストを持続注入ポンプを使い0.1ml/h で皮下持続注入していた。3時のチェック時には積算量の増量あり残量も減っていた。しかし、6時の確認時では積算量の増量はあったが薬液は3時から減っていなかった。医師に報告し持続注器の故障と思い機械を変え再開した。8時にも全量の変化なく医師により持注用の針を再穿刺した。

持続注入器の保守点検は業者にまかせっきりであり十分把握していなかった。また、残量のカウントが減っていないため故障と思い込んでいた。

  • この事象後、2台ある機械の点検を業者に依頼した。

輸液ポンプ?

注射針?

40


末梢ラインよりシリンジポンプで「フェンタネスト10アンプル(20ml)+生理食塩水30ml」を2ml/hで投与していた。18時前に閉塞のアラームが数回鳴ったため、CVライン(フィジオ140:20ml/h の側管)へ変更して輸液を再開した。シリンジはポンプから外していない。18時時点の観察で残量が33mlになっており、16時時点の18mlから増えていることに気付いた。主治医に報告し、輸液を中止した。

医療用具(機器)・医療材料の保守・管理の問題。

  • シリンジポンプの点検をME室に依頼した。

輸液ポンプ

41

CV(中心静脈)ラインのセット交換を行なった際、側管から接続されているドーパミン(昇圧剤)のラインも交換した。輸液ポンプが設置されておりその電源を入れ忘れ3時間放置した。血圧が60台に低下し受け持ちの看護師が電源が入っていないことを発見した。電源が入っていないため、アラームが鳴らなかった。ドーパミン再開後まもなく元に戻った。患者に不可逆的な変化はなかった。

経験年数もあり、慣れがあり、最終確認を怠ってしまった。

  • 輸液ライン交換時もポンプの電源はOFFにしない。

輸液ポンプ

42

側管よりシリンジポンプで生食9ml+ヘパリン15000単位を1.0ml/h 注入していた。夕方より生食14ml+ヘパリン10000単位を1.8ml/hの指示に変更となった。量は変更したが注入速度の変更を行なわなかった。翌朝気付き変更した。

1.8ml/hに変更したと申し送りを受け確認しなかった。

  • 申し送り後に内容と注入速度が一致してるか確認を行なう。

注射筒輸液ポンプ

43


経管栄養チューブ(チューブ交換関連)

胃管カテーテル交換をし、少し挿入しづらかったがそのまま挿入した。呼吸状態は悪化なく経過し、注入時、輸注ポンプを使用し注入開始するが閉塞となり注入せず。再度エアー確認していた時に担当医師から胃管カテーテルが胃まで到達せず、食道に留置されていたと説明された。再度胃管カテーテル挿入し注入開始する。その後呼吸状態の悪化はみられない。

不明。

  • 挿入時は慌てて行わないで落ち着いてから行う。
  • 午前にできないようなら午後に行う。
  • 胃管カテーテル挿入後、レントゲン撮影を実施したなら、担当医師にカテーテルの位置確認をし、注入を実施する。

経食道経管栄養チューブ

44


乳児の胃管カテーテル交換日、クベース上に貼ってあるサイズを確認せず、乳児のもとへ行き、挿入されている胃管カテーテルを確認し、自分の中では5Frと思い、そのまま長さのみを測定し児に挿入してしまった。実際のサイズは4Frであった。児の呼吸状態などに変化なし。

不明。

  • クベース上に貼ってある胃管カテーテルのサイズを確認する。
  • 胃管カテーテル挿入手技マニュアルに沿い実施する。
  • 児によってサイズを分けている根拠について考えずに実施しており、再指導をした。

経食道経管栄養チューブ

45


経管栄養チューブ(栄養剤等の注入に関する事例関連)

胃チューブのエアー音確認したが聞こえたようだったため注入食を流した。10分後むせて嘔吐しているのを違う看護師が発見。見るとチューブの固定が外れており10cmほどチューブが抜けていた状態だった。

エアー音確認はする事になっており、不確かであれば違う看護師に確認してもらう事になっている。忙しかったためエアー音確認はしたが胃チューブが抜けているのには気付かなかった。

  • 必ず胃チューブの長さや固定のテープも外れていないか確認する。
  • エアー音が不確かなときは違う看護師に再確認を依頼する。

経食道経管栄養チューブ

46


経管栄養注入のMA-7・400ml+白湯100mlの注入を開始した。30分後病室へ訪室し、注入状況を確認するが、注入速度が遅く調整する。

55分後に訪室した時には全量注入されていた所を発見する。短時間で注入したため、喘鳴が出現、医師の診察の結果逆流を起こした可能性があり、チューブを抜去し注入を中止した。

経鼻栄養手順・ルールが守られていなかった。手順を見ていなかった。

  • 経鼻栄養のマニュアル、手順についての話し合いを行い、手順の再確認をした。
  • マニュアル、手順にそって業務を行う。注入速度は100ml/ 30分に調節し注入する。但し、医師の指示がある場合には指示に従う。

経食道経管栄養チューブ

47


栄養液をポンプで注入したが、経鼻チューブが詰まっており注入されていなかった。終了予定時間に訪室したところ、栄養液が残っていたため気が付いた。患者に影響はなかった。経鼻チューブを交換し、再開する。

器械に頼ってしまい、観察することを忘れていた。業務手順がきちんと守られていなかった。

  • 業務手順の見直しと手順を守ることの意識付け。
  • 実際に手順が守られているかどうかの確認。

経食道経管栄養チューブ

48


経管栄養チューブ(観察管理に関する事例関連)

栄養剤を注入するため、チューブ挿入位置をエアーで聴診した。エア確認した注射器をチューブにつけたまま、聴診器を先に片付けようと思い、後ろを振り向いた瞬間、患者の鼻に固定していたテープがはがれ、チューブが10cmほど抜けた。チューブを再挿入しようと患者の口腔内を見ると、チューブが渦を巻いていた。患者はDMD疾患(Duchenne型筋ジストロフィー)で変形が強くチューブの再挿入は困難であり、約1時間かかったため、昼食の注入が遅れた。

業務手順は理解していても、瞬時の優先順位とそれにより、ひき起こされる危険性の教育が不十分だった。長期臥床患者の日用手回り品の整理整頓に対する指導、協力依頼ができず、必要な治療処置の際の物品を置くスペース確保を困難にしていた。

  • 患者、家族の理解と協力を得て、患者の身の回りの整理整頓を定期的に行う。
  • マニュアル、手順に沿って処置介助ができているか定期的に監査する。

経食道経管栄養チューブ

49


経管栄養のための栄養チューブ挿入中の患者。自己喀痰のため痰を取るのと一緒にルート(栄養チューブ)を引っ張ってしまい、10cmほど抜けていたのを発見した。口の中でのたわみもあり挿入し直しとなる。

細い管であり、テープで固定をしているが動きやすい状態だった。自己喀痰の回数が多く量も多い状態で、管のところに手がいき引っかかりやすい状況だった。

  • 各勤務帯で固定のテープの確認、管の位置の確認をし、患者にも管の違和感や排痰時には看護師に報告するよう説明する。
  • 口腔内も管がないか必ず確認する。
  • チューブは手に引っかからないような止め方の工夫をする。

経食道経管栄養チューブ

50


朝の沐浴後、児を抱っこして持ち上げたとき、鼻に入っていた栄養チューブの先が、ものにひっかかり抜けてしまった。

沐浴のため鼻から先に出ている部分の栄養チューブを小さく丸めて顔に固定しているが、沐浴後にその固定したテープを外し、チューブを伸ばしたままの状態で児を抱いたために起こった。

  • 沐浴のために丸めてとめた固定用のテープは児がベッドに戻るまでははずさない。
  • 児を抱く時はチューブ類までよく確認する。

経食道経管栄養チューブ

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経管栄養注入の際、経管栄養チューブを挿入し胃内を確認後栄養注入を開始したが、途中で口腔内にチューブが丸まっている事に気付く。

胃内確認時、気泡音が聴取された時はチューブの確認はしなくて良いと思っていた。胃内に栄養が入っていない事がリスクに繋がるという認識がなかった。夕食介助が始まる前に栄養を終わらせようと焦っていた。

  • 口腔内にチューブが丸まっていないか聴診器で気泡音を必ず確認する。
  • 栄養注入前、途中の観察確認をする。

経食道経管栄養チューブ

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経鼻栄養チューブ挿入中の患者であった。鼻翼にテープにて、チューブを固定していたが、寝衣には固定ができていなかった。準夜で、嘔吐し、寝衣交換をしていたが、固定安全ピンが外れた状態であった。深夜帯21時の巡視時は、経鼻栄養チューブは挿入されていたが、23時の巡視時、患者は入眠中であり、ベッド上に経鼻栄養チューブが抜けた状態であるのを発見した。モニター監視中の患者であったが、モニター上は目立った体動は見受けられず、23時の発見に至った。

チューブの寝衣固定が外れていたままであったが、固定の確認を怠ったこと。入眠剤内服中、肝機能低下にてアンモニア値の高い患者であり、チューブトラブルの起きるリスクは高い患者であったこと。

  • 寝衣交換時のドレーン類の固定を必ず確認すること。
  • 不穏行動を起こす可能性の高い患者の綿密な観察と、ドレーンやルート整理を徹底する。

経食道経管栄養チューブ

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経管栄養チューブ(観察管理に関する事項)

経管栄養チューブを固定してあるテープが外れかけていたため、チューブを再固定しようとした際、45cm挿入のはずが75cmまで挿入されていた。経管栄養チューブ交換は2日前に実施し、鼻孔部にマジックでマーキングしていたが中に入り込みわからない状態だった。

固定のテープが緩み、徐々に胃内に入り込んだと思われる。注入開始時に胃内容物の吸引とエアー音の確認は行っていたが、挿入した長さの確認が行われていなかった。

  • 使用していたチューブはJMS製12Fr で先端部より50cm、60cm、70cm、80cm、90cmに印があったがもう少し短いチューブの選択を検討する必要がある。
  • 注入時に挿入した長さの確認も必ず行うことを徹底する(手順に加える)。

経食道経管栄養チューブ

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胃チューブから栄養を摂っている2歳児に、指示の栄養注入のため先に胃内にチューブが入っているか確認した。空気音が聞こえず、胃内容物を吸引しても空気しか引けなかった。チューブは15cmしか挿入されていなかったが、そこに赤色でマーキングしてあり、皮膚への固定もきちんとされていた。在宅療養を行っている患者で、胃チューブは母親が挿入したが注入は看護師が行っていた。誤飲は無かったが、そのまま注入した場合、肺炎を起こし患児が重心児であり重篤な状況に陥いることが予測される。

母親が胃チューブを挿入したあとに看護師が確認作業を行わなかった。母親に児に合わせたチューブ類の管理方法指導が不十分であった。

  • 在宅と同じように母親が胃チューブ挿入しても、確認作業は必ず看護師が行う。
  • 介護者の手技も確認し、在宅で安全に過ごせるよう指導する。

経食道経管栄養チューブ

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胃瘻・腸瘻チューブ(初回挿入関連)

胃瘻チューブ誤挿入後に栄養物を注入した。

挿入後の違和感の確認をしなかった。

  • 消化器科の医師が対応する。

胃瘻栄養チューブ

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胃瘻・腸瘻チューブ(チューブ交換に関する事例関連)

胃瘻チューブ交換のため当院に初めて入院した患者。患者に挿入されていたチューブと交換用に準備していたチューブが異なることを交換直前に主治医が発見する。状況を把握している間、前投薬の効果消失により、チューブの交換が、2時間後に延期となる。患者は2回前投薬を受け2食分絶食となった。

患者に挿入されているチューブと同様のタイプを発注の指示であったが口頭指示であった。交換用として同じ種類のチューブがなかったことが医師に情報伝達されていなかった。外来で事前に発注したが間違いがないと思い込み、入院時にチューブの規格の確認をしなかった。

  • チューブの規格を指示簿に記載する。
  • 情報伝達を確実に行う。
  • 入院時自分の目で確認する。

胃瘻栄養チューブ

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胃瘻チューブ交換のため、医師がチューブを引き抜くと先端のT字部分がなかった。体内残留確認のためX線撮影するが、画像上確認できず、便中にも未確認。経過観察するが、患者は腹部症状なく経過している。

製品の不良の可能性。薬剤との不適合があるか確認中。前回交換から4ヶ月2週間目(4-6ヶ月で交換が目安の製品)。

  • 薬剤使用により劣化しやすい可能性があるとのことで、現在分かっている薬剤などの注意パンフレットを病棟、医師に提示する。

     

胃瘻栄養チューブ

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胃瘻チューブ交換をすることが決まり、前日に外科医師が診察していた。PEGセットをA看護師が交換当日の処置係B看護師に手渡した。交換当日急に処置係がC看護師に変更されたため、B看護師はC看護師にPEGセットを口頭で伝え、手渡した。PEGセットに名前は書かれていなかった。処置ワークシートに胃瘻チューブ交換のことは記載がなかった。医師がナースステーションに「交換に来た」と思い、C看護師は胃瘻チューブを挿入したばかりの隣の患者の所に案内して胃瘻チューブを交換した。1時間後にミルクを再開しようとした他の看護師の声掛けで、患者を間違えたことに気付いた。

A、B看護師はPEGセットに名前を記入していなかった。前日に胃瘻チューブ交換が確定した時に、ワークシートに入力しなかった。C看護師は胃瘻チューブ交換を口頭で伝達された時、ワークシートに記入しなかった。胃瘻チューブ交換の手順が明文化されておらず、口頭ですることが慣例化していた。C看護師は患者の所で、フルネームで患者確認をしていなかった。胃瘻と言えば最近胃瘻造設した隣の患者のことしか頭になく、思い込んでしまった。医師は看護師を信じ、自分の目で確認をしなかった。

  • PEGセットに部屋番号、氏名を記入する。
  • 交換時にはセットの氏名とベッドネームを並べて、声に出し確認する。
  • 遅食札を患者の所に置く。
  • ワークシート入力をし、急な指示の時は手書きで追加記入する。
  • 胃瘻チューブ交換手順を文章化し、当日所定の場所に置く。
  • 医師は胃瘻チューブ交換の患者氏名を声に出し、ベッドネームで確認をする。
  • 胃瘻チューブの種類を変え、担当内科医師が交換することも考えていく。

胃瘻栄養チューブ

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重症心身障害児病棟で、胃瘻チューブとして挿入していた18Frフォーリーバルンカテーテルを交換することになったが、バルーンの固定液が回収できなかった。固定液を12ml回収してもなお残留液があり、蒸留水で洗浄すると黒い水溶液が回収された。固定液を全部回収してチューブ交換を終了した。患者は交換時の痛みがあったがその後影響はなかった。

誤接続防止の経腸経口栄養点滴セット等の材料をまだ導入していなかった。胃瘻チューブとしてフォーリーバルンカテーテルを挿入しているが、栄養点滴セットが細口のため接続できるようにコネクターをつけて、内服薬をルアーチップのカラーシリンジを使って注入していた。今回、ルアーチップのカラーシリンジの内服薬をバルン固定液注入口から注入した。そのために内服薬が固定液注入ラインにつまり固定液が抜けなくなった。

  • 誤接続防止の栄養ラインと注入器を導入した。
  • 誤接続防止の材料が配置されるまでは、バルンの固定液注入口にバルンと明示し、固定液注入口はテープで塞ぐ。
  • 内服薬はカテーテルチップのシリンジを使用して、バルン固定液口に注入できないようにする。

胃瘻栄養チューブ

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胃瘻・腸瘻チューブ(栄養剤等の注入に関する事例関連)

注入食の注入が終了し、PEG(胃瘻)を観察したところ接続部がはずれており、寝衣を汚染していた。注入量が不明であったが、主治医の指示で様子観察していたところ、1時間後に低血糖症状が出現し対応した。

PEGにチューブを接続する際、患者の体に対しチューブが縦方向になっており体動で外れたことが考えられる。患者は四肢が拘縮し、体全体を丸めている状態であり、PEGが圧迫され、凹んでいる為、何らかの影響を及ぼしたと考えられる。

  • PEG接続時、患者の身体的状況を充分考慮し不自然な向きにならないように接続する。
  • 実施時は看護師間でダブルチェックする。
  • 注入開始後、直接PEGを観察し異常がないか確認する。

胃瘻栄養チューブ

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経管栄養ポンプを使用し経管栄養を注入する際に、エアーを注入するルートに誤って接続したため、経腸栄養剤注入時にバルーンが破損し、周囲に漏れ、ガーゼを汚染し、腸瘻チューブを交換することとなった。調達した在宅患者に使用している栄養セットの先端は、チップ型(黄色)ではなく、バルーンにも接続できる細さであり、本来接続する注入口に「栄養注入口」と記載があることに気付いていなかった。

入院患者に使用する経腸栄養セットは、接続部が黄色のカテーテルチップ型であるが、他の病棟で在宅で訓練用に使用している経腸栄養セットを入院患者に使用した。病棟では経管栄養ポンプを使用した経験がほとんどなかった。腸瘻チューブの構造理解が不十分であり、接続部位に「栄養注入口」と印字があるにもかかわらず、思い込みで接続した。

  • リスクマネジャーへ下記の指導を行った。
  • 使用経験のない機器・材料を使用する場合のスタッフの教育、訓練には、口頭や紙媒体での申し送りではなく、実際的な方法を用いること。
  • 経腸栄養剤に使用する注入セットは、カテーテルチップ型を使用することの徹底。
  • 警鐘事例報告により、他の部署への注意喚起・周知を行うこととした。

空腸瘻栄養チューブ

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経管栄養チューブから16%ミルクのあと、エンシュアHIを注入している小児で、注入後内服薬も注入する必要があった。内服薬を白湯5ml程度で溶解し、注入しようとしたところ、途中でチューブが閉塞してしまった。ミルキング、ポンピングを試みるが、閉塞は解除されず再挿入となる。

チューブの内壁はミルクや経管栄養剤の乳成分の沈着が生じやすく、閉塞しやすい状況になっていた。内服薬を溶く時に、白湯の量が少なく、顆粒成分が残っていた。内服薬を溶くときの注意点、注入する時の注意点が明文化されてなかった。

  • 注入終了時のチューブ内に通す白湯の量を増やし、沈着を防ぐ。
  • チューブのクリーニングの方法を検討する。

経食道経管栄養チューブ

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午前中、担当看護師が患者を車椅子に移乗して、胃瘻ボタンに接続チューブを接続し経管栄養の注入を開始した。終了時に接続チューブが折れ曲がり、栄養剤がもれているのを発見した。担当医師に報告し、午後から濃厚流動を再度注入した。

胃瘻ボタン接続部を注入開始時に確認しているが、注入中の観察が行われていない。栄養注入時のポジショニングが看護師個々の方法にまかされている。上肢が動かせる患者であることのリスクを予測できていない。

  • 患者に適した経管栄養注入時のポジショニングの検討と看護計画の追加。

胃瘻栄養チューブ

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経管栄養専用注入ポンプを使用し経管栄養を行ったところ、予定より2時間早く終了してしまった。患者に終了予定時間より早く終了したことを謝罪した。次いで、主治医の診療後、今後予想される身体症状(下痢)について説明し、理解と納得を得た。

ポンプ設定時の注入の量と速さの確認と不備の問題点。

  • 注入ポンプ設定の際は注入量、速さを十分確認する。
  • 注入開始後、1分間の観察で安心せず、適宜訪室しポンプの作動を確認する。

経食道経管栄養チューブ

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患児は血糖値を維持しにくいためシリンジポンプにより持続注入していた(25ml/h)。胃瘻の深さは3cmで固定していた。ミルク開始時、開始5分後のチェックでは胃瘻を固定している綿球に漏れは見られなかった。胃瘻挿入部の数cm 上を固定しているテープがやや小さめであることには気付いていたが、密着していたため貼り直しはしなかった。1時間弱程度経過してミルクの漏れに気付いた。胃瘻の挿入深さが1cm程になっており、テープが剥がれかかっていた。綿球・衣服・シーツが濡れており漏れたミルクの測定は不可能であったが、時間的に考えて20ml程度の漏れであると推測された。その後すぐに医師が血糖測定したところ、60mg/dlであった。追加指示なく、チューブ再固定を行い、注入再開した。

患児は体動が激しく、胃瘻事故抜去の危険性が高いことは十分に予測されていたが、注入前の胃瘻固定、その後のチェック、観察が不十分であった。

  • 注入前の固定を確実に行い、テープを大きめに貼るようにする。
  • 患児が覚醒し、体動が激しくなっているときには十分に観察を行う。

胃瘻栄養チューブ

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昼食のみ胃瘻からCZHi(栄養剤)200mlと白湯400mlを注入すると、付箋でカルテに貼られていたため、後から経管栄養の種類や量を記入する板を書き直そうと思っていたが忘れていた。そのためいつも通りのCZHi400ml、白湯200mlが準備されていた。さらにその書き直していない板で確認し注入した。別の看護師から言われて、カルテを見て気付く。経管栄養を入れるバッグの目盛りを見ると残り約210mlだったため10ml注入し白湯400mlを準備し直し注入した。

経管栄養の種類や量の変更をカルテに付箋で貼っており、カーデックスや専用の板を書き直していなかった。経管栄養を準備する前に、種類と量に変更はないか、書き直していないか板で確認したが、書き直していない板を見て、別のスタッフが準備していた。

  • 経管栄養の種類や量の変更をカルテに付箋ではるのではなく、カーデックスや専用の板に記入したり申し送りをしたりする。
  • 変更時は、すぐに専用の板を書き直す。
  • 準備されていても経管栄養をつなぐ前に種類や量を再確認する。
  • その日の担当する患者の経管栄養は担当看護師が準備するようにする。

胃瘻栄養チューブ

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午前6時頃、重症心身障害児病棟にて卒後2年目部署配属1ヶ月目の看護師が、3孔の胃・空腸瘻カテーテルを挿入している患者に、空腸瘻の注入孔から栄養剤を注入するところを、胃瘻の注入孔から注入した。胃瘻の他方の孔からは、胃内容液を排液ドレナージ中であったため、栄養剤が流出してしまった。

看護師は、栄養剤を空腸瘻孔から注入することと、空腸瘻孔がどれかも把握していた。栄養剤を接続するとき、意識しないうちに、胃瘻孔に接続していた。注入孔には胃瘻、空腸の明示はしていなかった。

  • 注入孔に胃瘻、空腸の明示をする。
  • 経管栄養の技術の再指導を行なう。
  • 栄養剤注入の実施時、先輩の看護師が確認をする。

空腸瘻栄養チューブ

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経管栄養チューブ挿入中の患者。入眠前に経管栄養チューブより溶解したマイスリーを投与しようとした。その際、溶解するコップの側に正中創の洗浄用のシリンジがあった。そのシリンジを使用して、入眠剤を溶解してしまった。患者に投与する前に間違っていることに気がついた。

経管栄養注入用のシリンジと洗浄用のシリンジが同じ場所においてあった。シリンジの色も同じであった。しかし口が合わず、入れる前に発見できた。

  • 正中創洗浄用のシリンジは一回ごとに破棄する。感染創のシリンジは特に破棄する。
  • EDに使用するシリンジと正中創に使用するシリンジの色を区別する。
  • 使用目的をシリンジに明記する。

経腸栄養注入キット

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胃瘻・腸瘻チューブ(観察・管理に関する事例関連)

清拭時に、胃瘻チューブ周囲にタオルと手が触れ、胃瘻チューブが抜けた。その際固定水2mlが1mlに減っていた。

医師は、胃瘻管理マニュアルと異なるチューブの交換、固定水の交換指示を出していた。看護師は、固定水の管理、チューブの管理は医師が行うものととらえ、固定水の管理をしていなかった。胃瘻の管理マニュアルが、周知徹底されていなかった。チューブの固定の長さが指示録に記載されていなかった。

  • 胃瘻管理マニュアルに従い、固定水は週1回、チューブは月1回の交換とする。
  • 医師は固定位置の長さを指示録に記載する。
  • チューブの固定位置にマーキングする。
  • 看護師は、日々の観察、固定水の交換を行う。
  • 固定水の交換日は全員月曜日とし、ワークシートに入力する。

胃瘻栄養チューブ

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夕食と薬を注入した後、胃瘻カテーテル(ボタン式)が抜けているのを発見した。注入は殆ど漏れており、薬も注入できていなかった。注入前に胃瘻カテーテルのバルンの状態は確認していない。すぐに吸引用カテーテルを胃瘻に挿入した。医師により、胃瘻カテーテルが再挿入されたが念のため、当日夕と翌朝の注入は中止して輸液で様子観察となった。抜けた胃瘻チューブはカフに穴が開いており、蒸留水が漏れてしまっていた。胃瘻チューブは1ヶ月で交換のところ、1ヶ月以上交換されていなかった。

胃瘻チューブ内のバルンの確認は挿入されてから行っていない。1ヶ月で交換するチューブが医師の都合等で1ヶ月以上も遅くなっていた。しかし、今までチューブトラブルがなければ交換しないこともあった。

  • 注入前には、胃に挿入されていることを確認する。
  • 定期的にバルンのチェックをする。交換は期限を守る。

胃瘻栄養チューブ

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腸瘻のドレーンキャップ交換時、刺入部が洗浄前に縫合されていたが、洗浄後に縫合が外れルートが約5cm抜けているのを発見した。リーダーの指示にて医師へ報告し、固定の為の縫合をしなおした。

洗浄中に縫合の確認をせずに処置をしていた。またルートが腸瘻から抜け出た時にテープで固定しその場を去った。リーダーに対しての報告時、説明が足りなかった。

  • 1針しか縫合していなかったので、縫合が外れ易いことを意識して、洗浄中も固定の確認をする。
  • ルートが抜け出たときにはすぐにナースコールをし、その場を離れない。
  • リーダーに報告時、細かく意識をもって伝える。

空腸瘻栄養チューブ

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入浴後、バスタオルで身体を清拭時、胃瘻チューブが抜けた。胃瘻チューブは引っかけないよう折って輪ゴムで止めていた。ただちに医師より新しい胃瘻チューブを挿入した。

チューブは必ず確認しながらケアを行う手順が不遵守だった。少しの外力で抜けると言う認識欠如とケア時の危機意識不足。

  • 事例を共有しディスカッションを行ない、チューブ類の管理について再学習した。
  • 医療安全管理研修会にて胃瘻に関する研修をする予定。

胃瘻栄養チューブ

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昼の経管栄養の為、エアー音確認したが確認ができずエアーが抜ける音がした。テープを剥がすと胃瘻チューブが自然抜管されていた。チューブのカフが抜けて約0.2mlだけ入っていた(5ml固定)。すぐ当直医へ報告し、胃瘻チューブを再挿入した(今までの16Frが入らず14Frに変更)。

原則は1ヶ月交換だが、カフに問題なければ2ヶ月ごとに交換していた(1月交換予定)。バルンの固定水が漏れて自然に抜管したのではないか。週1回のカフ交換を忘れていた。処置時エアー音確認時の観察不足。体動活発でチューブが身体の下になることがあった。チューブの自己抜管の既往があったので腹帯や腹巻をしていたが、最近は着用していなかった。

  • カフ交換で異常がなければ2ヶ月ごとに交換する。
  • カフ交換でバルン水の確認と水分量が不足していたらリーダーに報告する。
  • 必ず腹帯や腹巻をする。
  • ケアプランの基本的留意点に入れて全スタッフに徹底する。胃瘻カフ交換チェック表を作成し、忘れないようにする。
  • 処置時やエアー音確認時観察する。

胃瘻栄養チューブ

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嘔吐があったため、チューブを開放したが、なんとなく固定が不十分な感じがしていた。23時過ぎに2人で体位変換したとき 胃瘻チュ-ブが抜けてしまった。すぐに再挿入しテ- プでの固定も行なった。不穏状態の受け持ち患者がおり、少し焦っていた。

チュ-ブがテープ固定されていないことが、わかっていたのに固定していなかったため。中のバルンはきちんとしてあるが、腹壁にある円盤部分に、テープ固定をしておいた方が確実であった。

  • チュ-ブの固定を確実に行い体位変換などのときは、特に注意することが必要である。
  • 気付いた時点で行動する。

胃瘻栄養チューブ

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PEG(胃瘻)造設している患者(入院期間72日)。退院時、家族より「胃瘻チューブ交換はしていないのですか」と言われた。退院後当院受診の予定がなかったため「施設母体の病院ですると思う」と家族に伝えたが、家族から「その病院では胃瘻チューブ交換は行っていない」と言われた。退院当日、消化器科に胃瘻チューブ交換日の予約を取り、後日交換となった。家族より「入院中になぜ交換できなかったのか」と申し入れがあった。

退院許可が出てから、施設の空き待ちの状態が長く続いており、家族もほとんど来院していなかった。施設サマリーにも、胃瘻チューブ交換日時や次回予定日などは記入されていなかった。家族も来院時、胃瘻チューブ交換についての問い合わせはなかった。入院中、「胃瘻チューブの交換は?」と考えたが、退院後は施設母体の病院に受診するため、そちらで交換すると思い主治医や上司に相談しなかった(当院は1ヶ月交換だが、3ヶ月交換のところもあり、以前にもこのようなケースがあった)。

  • 入院時、サマリー(病歴)にて胃瘻チューブ交換について確認すると共に、家族にもどのようなシステムになっているのか確認する。
  • 不明な場合は退院のめどがついた時、またはつく頃には退院後の胃瘻チューブ管理について医師と共に確認する。

胃瘻栄養チューブ

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左側臥位から仰臥位に体位変換を行った際、排液バッグに接続していた胃瘻チューブが抜去した。抜去後、瘻孔より少量の排液を認めたが、患者の状態に変化は見られなかった。

PEG(胃瘻)管理に関する院内の看護マニュアルがないため、管理方法が統一されていなかった。通常、テープ等でチューブを皮膚に固定するが、この患者は固定されていなかったため、体位変換時、下方向に引っ張られた可能性がある。

  • PEG管理を行っている部署をラウンドし、各部署の管理方法を確認した。
  • PEG管理マニュアルを作成中。

胃瘻栄養チューブ

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注入時、エアー音を確認しようと胃瘻チューブを手に持った時にチューブが抜けた。チューブを見るとバルーンの固定用水が入っていなかった。胃瘻チューブ交換は4日前に実施されており、その間は特に問題はなかった。患者への影響はなかった。

胃瘻チューブ交換後4日間は問題なく経過しており、固定水の入れ忘れは考えにくいため、徐々に抜けた可能性がある。胃瘻チューブ交換時に固定用水を入れた記録は残っていなかった。

  • 胃瘻チューブ交換を行った際は必ず、固定用水何mlという記録を残す。
  • チューブ固定の確認を注入時に行うという看護手順を徹底する。

胃瘻栄養チューブ

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入浴介助を終えて、ストレッチャーに移動時、エンテラルフィーディングチューブ(十二指腸固定)の先端が洗い台の隙間に引っかかり抜けてしまった。

チューブ留置のまま入浴する患者のチューブの纏め方について、病棟ルールがなく、まとめて固定して入浴する場合やそのままの状態で胸の上において注意しながら入浴介助する場合がある。

  • 入浴時、移動時は、鼻孔から先に出ている部分は丸めて固定バンドをする方法を徹底する。

経食道経管栄養チューブ

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胃瘻チューブ交換後にサイズの間違いに気付き、20Fから24Fに交換した。挿入部位に変化はなかった。

サイズの確認不足(準備・交換前)。準備をしていたので大丈夫だと思った(思いこみ)。名前の確認をして、サイズの確認をしていなかった。

  • 指示簿に種類とサイズを記載し、確認する(名前・種類・サイズ)。
  • 施行時に医師と上記を確認する。

胃瘻栄養チューブ

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腸瘻より朝の薬を注入しようとすると腸瘻の三方活栓がロックされた状態であった(通常は薬剤注入後2時間クランプし開放していた)。前日の午後以降、腸瘻より少量しか排液が流出していなかった。嘔気なし。午前中1時間、腸瘻の三方活栓を開いた状態にして約30ml流出あり。朝の薬を腸瘻より注入した。

前日の午後の薬注入後、2時間腸瘻の三方活栓の開放を忘れていたが、体交の時に三方活栓の方向が移動したか不明である。開放を忘れていたのが原因であると考える方が妥当。勤務交代時のチェックが不十分であった。

  • 各勤務帯、検温時三方活栓の方向確認、流出状態の確認をする。
  • 同一勤務者による薬の注入、開放を行なう。
  • 開放できていない場合は必ず申し送る。

空腸瘻栄養チューブ

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腹部からイレウス管と胃瘻チューブが留置されている患者。ウロガードの記載と実際のルートの接続が逆になっていた。

接続時、ルートの確認不足。ドレナージしているルートが複数あり、連日リハビリで出棟する際のクランプで間違えやすい。

  • それぞれのルートに管の名前を示したテープを貼り、判りやすいようにする。

     

導尿カテーテル

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胃瘻造設、入れ替え後退院した患者の家族より、胃瘻チューブのカフ用量に関する質問を受けた。入れ替え時の記録には、20Fr、20mlと記載があったため、そのように伝えた。しかし、前回の胃瘻造設時には製品の業者作成のパンフレットが渡されており、それと今回挿入したものには、号数と用量に相違があり詳しい資料の提示を求められた。土曜日で、消化器の医師、主治医が不在であったため、神経内科の医師が説明して納得された。後日主治医より詳しい資料を送付することになった。

胃瘻チューブ挿入時の説明では、患者・家族がカフの管理は行わないため、カフ用量までは説明していない。基本的には近医に情報提供しているのみ。しかし、今回の家族は、前回は、資料を渡されていたため、今回は情報提供が少ないと判断した。

  • 消化器科と診療科、病棟への挿入器材の情報伝達方法の検討。

胃瘻栄養チューブ

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意識レベル低下の患者の保清中に経鼻栄養チューブ(セイラムサンプチューブ)が挿入されており、テープで頬部に固定してあったが、ルートに位置を確認しないまま体位変換を実施し、チューブが15cm程度抜けていることに気付く。再挿入を試みるが挿入出来ず、抜去した。主治医に報告し、夕方再挿入を行なった。

保清中何度も体位変換をしているうちに無意識に実施してしまった。セイラムサンプチューブで2 点(鼻・頬部)固定していたが、剥れやすい状況だった。

  • 固定箇所を増やす(鼻・頬・寝衣)。
  • 処置時など患者の動作が多い場合は一時的にクランプをして行なう。

経食道経管栄養チューブ

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胃瘻・腸瘻チューブ(その他関連)

正中創と胃瘻チューブ刺入部から滲出液が多く出ており、ガーゼで保護していた。ガーゼ交換をしようとガーゼを除去すると胃瘻チューブが抜けていた。チューブのバルンは膨らんでおり、チューブを固定していた布絆は皮膚に残っていた。

胃瘻チューブの刺入部が1cm 程開いていた。固定の縫合針は皮膚に潰瘍を形成していたため10日前に抜糸していた。そのため、布絆でのテープ固定のみであった。体動が激しく腹圧がかかったため。

  • 医師との連携(抜けやすいことを医師に報告し情報を共有する)。

胃瘻栄養チューブ

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その他の医療機器関連

PTCD(胆管ドレナージ)の排液を捨てようと患者の元へ行った。コッヘル(鉗子)で閉鎖し、三方活栓をOFFにして排液ボトルを外して排液を捨てた。再度排液ボトルを繋ぎ直しコッヘルを外す際、三方活栓を操作し忘れてOFFのまま部屋を出てしまった。患者が腹痛のためナースコールをしたため訪床し、主治医指示の腹痛の際の注射を施行した。その後家人より「三方活栓がOFFになっているが良いか」との問い合わせがあり、操作ミスが判明した。直ぐに開放した。その後排液が流出し、腹痛はおさまっていった。患者及び家族に謝罪した。

仕事に対してゆとりがなく、焦りを感じていた。忙しいときこそ落ち着いて、ひとつひとつの作業を行なえば良かった。今回の場合は、排液容器をベッドサイドへ持っていき、コッヘルでクランプせずに行なえば良かったともいえる。

  • 主治医と話し合い、排液の際の三方活栓はなくし、ボトル内の排液を破棄する場合はクランプをしないよう対策をとった。

三方活栓

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透析開始時、送血側の回路を患者の送血側穿刺部に接続していない段階で血流設定を行い透析開始ボタンを押してしまった。その後血圧測定ボタンを押し穿刺部のテープ固定をしようとした際、送血側の回路を患者の送血側穿刺部に接続していなかったことに気付いた。送血チューブから流れる廃液を捨てる配管につないだ状態であったため、そのチューブに血液が70ml漏れた。主治医に報告し経過観察した。バイタル等の変化や自覚症状はなく経過した。エラーに関し患者本人へ当事者と係長で説明し、了解を得られた。

送血側の接続が完了しているとの思い込みがあり、確認が不十分となった。透析装置接続操作マニュアルを守っていなかった。患者と話しながらの操作で注意力が散漫となった。操作業務に慣れが生じ流れ作業的になってしまった可能性がある。

  • 一人の患者に対し看護師二人での業務-穿刺者1名、器械操作1名が望ましいが今の状態では困難。操作マニュアルの厳守。接続操作中は集中し患者との会話は接続作業後とする。一つ一つの操作を声だし指差し確認しながら行う。理解力のある患者の場合は患者と共に声だし確認しながら行う。穿刺部、器械、回路と血液の流れから目を離さない。

人工透析回路

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硬膜外麻酔を挿入している患者で下肢の痺れがありチューブを閉鎖していた。痛みが出たため再度チューブを開放する際、三方活栓の開放のみを行い、もう1箇所閉鎖されていたのを見逃し開放し忘れた。

今まで硬膜外麻酔の開放・閉鎖は主に三方活栓しか行った事がないため、2箇所閉鎖されていると気付かなかった。ルートを隅々までしっかりと見ていなかった。

  • ルートは必ずすべて手にとって隅から隅まで(刺入部からポンプの所まで)確認する。特に閉鎖するものはどこが閉鎖できるのか確認し、ラウンド毎に観察する。閉鎖する所は1箇所ではないと思ってチェックする。

硬膜外カテーテル

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輸液ポンプでドブトレックス(急性循環不全改善剤)、シグマート(狭心症治療剤)が投与されていた。ドブトレックスのシリンジ交換時、三方活栓を止め、輸液ポンプをダブルチェックした。約2時間後ポンプのアラームが鳴り、三方活栓再開通忘れによる閉塞が発見された。血圧変動なく経過観察となった。

他にも輸液ポンプを使用しており「三方活栓を開いた。」と思い込んでいた。ダブルチェックをした際も「つもり」で見逃した。三方活栓に触れた記憶はあるが正しく扱えていなかった。心不全の患者にとって強心薬が投与されない時間があることで状態悪化につながる危機感があった。

  • 「つもり」は気付きにくいため、確実に投薬できるよう、今後は全てつないだ後、再度指差し、声だし確認をする。ダブルチェックは流量だけでなく、その薬剤が「確実に投与されているか」の投与方法まで確認する。

三方活栓

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経皮的静脈ポート(薬剤注入用の小さい貯留容器)留置術の間接介助を行っていた。電気メスを医師が使おうとした際、パチッと音がし、設定を見たところカット(切開電流)が250になっていた。手術を開始してから2回電気メスの設定を確認したが、カット凝固(凝固電流)ともに40台であった。医師に指摘され、すぐにカット凝固を40に設定しなおし手術は続行された。創部への影響はみられなかった。

患者は認知症であり、手術に協力が得られなかったため、何度も患者の周囲や電気メスの近くを動いた。また静脈ポート留置の業者が室内に居て医師への説明時に電気メスの近くを動いた。これらのことにより、電気メスのダイヤル部に接触する可能性があった。同機種の使用期間の長い電気メスに関して設定している値よりも設定数が上昇したケースも報告されていたため電気メスそのものの故障も考えられる。

  • ダイヤル部が軽く、少しの接触でも設定数が大幅に変わってしまうので、電気メスのコード接続時、使用前、使用中、頻回に電気メスの設定をチェックする。

電気メス

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前体重が、基礎体重よりもマイナス3.5kgで入室したのにもかかわらず、記載ミスにより除水が3.5kgかかり、基礎体重よりもさらにマイナス6.8kgで終了した。透析中、血圧下降あり、病棟より施行中であったペルジピン(降圧剤)を中止し、透析後は血圧110台にて中止のまま帰室した。終了後、腎臓内科医師に報告し、心エコーなどを施行。モニター監視で経過観察する指示を受け、病棟に申し送った。

開始30分後、除水量チェックに入るが、その時点でもミスに気付かず、そのまま除水がかかったまま終了してしまった。

  • 基礎体重が変わらない患者については、本日の目標体重を記入しないことが多く、空白になっているが、本日の目標体重を毎回記入するとミスも防げるのではないかということを今後の課題として話し合っていく。

透析用監視装置