独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

冠動脈ステントに関する調査研究

背景

冠動脈ステントを取りまく医療環境と安全性

 冠動脈ステントについては、平成16年に国内初の薬剤溶出ステント(Drug Eluting Stent:DES)が承認され、 従来のベアメタルステント(Bare Metal Stent:BMS)のみが使用されていた時に比べ、冠動脈インターベンション術 (Percutaneous Coronary Intervention:PCI)を取りまく医療環境が大きく変化しています。
 冠動脈ステント留置に伴う不具合として比較的早期(留置後30日以内)に発生する亜急性血栓症の頻度や、 抗血小板療法の投与期間などのデータ収集は、安全対策に有用であると考えています。
 近年、DESにおいては、海外の長期成績で、遅発性ステント血栓症の頻度や、 死亡や心筋梗塞のリスクがBMSに比べ増加する懸念があることなどが報告され、 日本人における遅発性ステント血栓症の頻度や、BMSとの位置づけを明らかにすることが求められています。 また、PCIの安全性評価という観点から、冠動脈バイパス手術(Coronary Artery Bypass Graft:CABG)との比較も重要と考え、 PCIとCABGを調査対象としたレジストリ構築を計画しました。

市販後の実態把握

 承認前の臨床試験などでは比較的リスクの低い症例群などに対象が限定されていますが、本調査では高齢者や多枝病変などの高リスク群や、 禁忌・禁止および適応外症例などのオフラベルユースを含めた実際の臨床における実態把握が可能と考えています。

本調査研究は、PMDAから委託を受けた京都大学・(財)生産開発科学研究所が、調査の実施支援業務を行いました。

目的

 本調査研究は、

  • 国内初のDESの製造販売後の平成17年1月~平成19年12月の3年間に、初回のPCIあるいはCABGが施行された症例の治療実態の把握
  • 治療成績の評価および治療成績に影響を与える因子の探索  (主要評価項目:ステント血栓症、死亡、心筋梗塞、脳血管障害、PCI /CABGの再施行、出血イベント等)
を、目的としています。
さらに、この調査研究の実施経験をふまえて、医療機器の不具合評価体制の構築に必要な条件を検討します。

調査方法

(1)施設登録
 各施設は、施設の倫理審査委員会またはそれに準ずる機関の承認を受け、承認日を中央事務局に報告し、参加施設として登録します。
(2)症例登録およびデータ入力
 各施設において、本調査の適格症例を選択し、本調査用のオンライン入力システムを用いて、 患者背景・治療に関する調査項目を入力します。データ入力は、カルテおよび各種原資料に基づき、 各施設の責任医師・担当医師、あるいはその監督下に研究協力者が行います。
(3)追跡調査
 各施設において、オンライン入力システムから登録患者を選択し、追跡情報を入力します。データ入力は各施設の責任医師・担当医師、 あるいはその監督下に研究協力者が行います。調査方法は、診療録の確認、患者への連絡、紹介医への連絡などにより行います。

ベースライン調査 : 施設・医師情報(経験年数、症例数等)、患者背景(性別、年齢、身長、体重、合併症・既往症、薬物療法等)、血液検査、 心機能に関する検査、手術に関する項目(手術日、部位、使用機器等) 等
追跡調査 : イベント(死亡、ステント血栓症、出血、心筋梗塞等)、血液検査、抗血小板療法の状況、心機能に関する検査 等

調査デザイン

本調査研究は多施設共同前向きの観察研究です。観察・検査についても日常診療の範囲内で行いました。

調査対象者

平成17年1月~平成19年12月の3年間に、初回のPCIあるいはCABGを施行された全症例です。 ただし、急性心筋梗塞例についてはPCIあるいはCABGの既往のある患者も登録します。

調査期間

調査期間:平成25年3月まで

冠動脈ステントに関する調査研究の調査実施体制図

調査実施施設(26施設)

 
福井県 福井大学医学部附属病院 (循環器内科)
静岡県 順天堂大学医学部附属静岡病院(循環器科)
静岡県 地方独立行政法人 静岡県立病院機構 静岡県立総合病院(循環器内科)
静岡県 市立島田市民病院(循環器内科)
静岡県 独立行政法人 労働者健康福祉機構 浜松労災病院 (循環器内科)
滋賀県 滋賀医科大学医学部附属病院(循環器内科)
滋賀県 医療法人 社団 昴会 湖東記念病院(循環器科)
京都府 医療法人 親友会 島原病院(循環器内科)
京都府 京都大学医学部附属病院 (循環器内科)
京都府 三菱京都病院(心臓内科)
京都府 国家公務員共済組合連合会 舞鶴共済病院(循環器内科)
大阪府 (財)田附興風会 医学研究所 北野病院(循環器内科)
大阪府 大阪赤十字病院(循環器科)
大阪府 関西電力病院(循環器内科)
大阪府 市立岸和田市民病院(循環器科)
兵庫県 地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央病院 (循環器内科)
兵庫県 (財)神戸市地域医療振興財団 西神戸医療センター(循環器科)
兵庫県 兵庫県立尼崎病院(循環器内科)
奈良県 近畿大学医学部奈良病院(循環器内科)
奈良県 (公財)天理よろづ相談所病院(循環器内科)
和歌山県 日本赤十字社和歌山医療センター(循環器内科)
岡山県 (財)倉敷中央病院(循環器内科)
福岡県 社会保険 小倉記念病院(循環器内科)
熊本県 熊本大学医学部附属病院(循環器内科)
鹿児島県 鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 (心臓血管内科)

 

(参考)中期計画 抜粋

第一期(平成16~20年度)

医療機器の特性から一定の割合で発生する構造上の欠陥とは言えない不具合の発生率を把握し、 中期目標期間終了時までに不具合について科学的な評価を実施する体制を構築する。

第二期(平成21~25年度)

医療機器の特性から一定の割合で発生する、構造上の欠陥とは言えない不具合の発生率を把握し、科学的な評価手法を開発する。

連絡先

医薬品医療機器総合機構 医療情報活用推進室
TEL:03-3506-9484
FAX:03-3506-9543