23 <該当論文> PubMedはこちら <背景> 排尿関連の医薬品・医療機器に関する相談・審査の過程で、排尿機能を主要評価項目とした臨床試験におけるプラセボ効果は、これまで欧米での報告はあったものの、日本人のプラセボ効果については報告がなかった。プラセボの国内外差の影響を考慮した試験計画、観察期間、エフェクトサイズを議論するうえで、日本人の臨床試験におけるプラセボ効果の自然史は、臨床試験計画に必要な基礎データとなり、また治験結果の評価においても有用と考え検討した。 <概要等> 公開されている審査報告書での結果をもとにメタアナリシスを実施した。その結果、日本人の排尿回数のプラセボ効果とその効果量、持続期間等を明らかにし、プラセボ効果を受けにらかになった。右図に示すように、排尿回数についてのプラセボ効果は、り、試験間差も限定的であった。民族差について、既存の報告と比較すると、欧米のデータとも類似していた。 <RSへのインパクト、期待されること> 排尿疾患の自然史、平均値回帰、プラセボ効果を認識して、臨床試験を計画及び評価することは、相談・審査業務の質の向上につながるとともに、こういった研究をPMDA自らが実施することで、PMDAにおける審査能力の向上にも寄与すると考えられた。臨床試験の被験者の自然史については、プラセボ効果、ノセボ効果とも重要な視点であり、日本人を対象とした当該研究は、RS推進に貢献するものと考えている。 研究管理部 原智彦 Hara, T. A meta-analysis on the characteristics of placebo effects on urinary function in placebo-controlled clinical trials among Japanese patients. Int J Urol 30, 447-54 (2023). 10.1111/iju.15152 くい一回排尿量などの測定項目が明12週間程度まで漸増することがわか排尿回数に関するプラセボ効果のメタ解析 日本人過活動膀胱患者を対象としたプラセボ対照臨床試験の
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