24 <該当論文> PubMedはこちら Maruyama, Y., Sakurai, A., Noda, S., Fujiwara, Y., Okura, N., Takagi, T., Asano, J. & Honda, F. Regulatory Issues: PMDA - <背景> 2021年6月、厚生労働省は腫瘍溶解性ウイルスからなる再生医療等製品のデリタクト注(一般的名称 テセルパツレブ)(以下、「本品」)を、悪性神経膠腫を効能効果として世界に先駆けて製造販売承認した。この審査経験を国際的に共有することが、再生医療等製品の適切な開発や評価に寄与すると考えた。 <概要等> 本品の主成分であるウイルスは、α47遺伝子及び2つのγ34.5遺伝子を欠失し、大腸菌由来lacZ遺伝子の挿入によりICP6遺伝子を不活化した遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型(F株由来)である。本品を悪性神経膠腫患者の腫瘍内に直接投与することにより、1)腫瘍細胞内で選択的に複製され、複製の過程で感染細胞を破壊して殺細胞効果を示すこと、2)腫瘍反応性 T 細胞の誘導により抗腫瘍免疫効果を示すことで、悪性神経膠腫患者の生命予後を改善することが期待されている。本品を用いて、放射線治療に不応の膠芽腫患者を対象とした国内第Ⅰ/Ⅱ相試験である臨床研究及び放射線治療及びテモゾロミドの併用後に腫瘍が残存又は再発した膠芽腫患者を対象とした国内第Ⅱ相試験(GD01試験)が実施された。腫瘍縮小効果は次ページの表のとおりであり、長期にわたる安定の持続が非常に稀である進行の速い膠芽腫に対し、GD01試験において長期にわたり安定が持続している症例が一部存在したことを考慮し、本品の一定の有効性は期待できると判断した。ただし、現時点では情報が限られていることから、製造販売承認後も継続して本品の有効性を評価し確認することが適切と判断した。これらの審査を経て、期限内(7年)に厳密な市販後評価を行うことを含む3つの承認条件を付し、条件及び期限付き承認がなされた。 再生医療製品等審査部 丸山良亮 Review of Sakigake Designation Products: Oncolytic Virus Therapy with Delytact Injection (Teserpaturev) for Malignant Glioma. Oncologist 28, 664-70 (2023). 10.1093/oncolo/oyad041 PMDAによる先駆け指定品目デリタクト注(Teserpaturev)の 審査報告:悪性神経膠腫に対する腫瘍溶解性ウイルス治療
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