独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

情報不足のため製造販売業者等による対策が困難と考えられた事例

本文別添1別添2別添3|別添4

 

情報不足のため製造販売業者等による対策が困難と考えられた事例 (事故)

    分類 発生段階 事故の程度 事例概要 調査結果

1

第10回

回路

病室

障害残存
(低い)

人工呼吸器(サーボベンチレータ300A)のアラームが鳴り,すぐに看護師が訪室すると患者が顔をしかめて暴れていたので,ジャクソンリース(用手換気)で換気を開始した。換気開始後20秒程で意識消失したため気管カニューレを確認すると,気管カニューレが先端を気管内に残したまま浮き上がっていた。

気管カニューレの固定方法やカフ圧の状態などを含め、事例概要のみでは浮き上がった原因の特定など検討することができず、情報不足と考える。

2

第10回

呼吸器本体

病室

障害残存
(低い)

使用中の人工呼吸器(T バードVSO2)のアラームが鳴り看護師が訪室すると、人工呼吸器は作動しておらず、「HW FAULT」と表示されていた。患者はSpO2(酸素飽和度)が低下し呼吸困難を訴えた。人工呼吸器を別のものと交換したが、患者の状態の改善は見られず、その人工呼吸器は、プレッシャーコントロールのついていない古いバージョンのものであることがわかり、再度プレッシャーコントロールのついた人工呼吸器に変更した。

「HW FAULT」(ハードの不良、温度上昇)は通常、人工呼吸器本体内部の温度が上昇した場合に表示される警報であり、人工呼吸器の作動停止やプレッシャーコントロールとは、直接関係しない警報表示である。販売名から当該製造販売会社に問い合わせるも、当該事例に該当すると思われる報告は、医療機関から入手されておらず詳細が不明であり、検討困難と考える。

3

第9回

ドレーン挿入・留置及び管理に関連した医療事故

 

挿入時・留置時

不明

胸腔ドレーンの入れ替えをCTガイド下にて施行した際、ドレーンの先端が損傷した。

手技等も含め損傷理由等が不明であり、検討困難と考える。

4

第9回

観察・管理

不明

胃全摘術+下部食道切除時に、左右にソフトデュープルドレーンを挿入した。術後左ドレーンを抜去しようとしたが、肉芽組織がドレーンに入り込んでおりドレーンが抜けなかったため、開腹手術にてドレーンを取り出した。

手技やドレーンチューブの留置期間などが不明であり、検討困難と考える。

5

第9回

観察・管理

障害残存
(高い)

胸部大動脈瘤手術時における脊髄保護の目的で、手術前日に挿入されていた脊髄ドレナージチューブから、過度の排液があったことに麻酔科医が気付いた。術後のCTで小脳梗塞、出血が確認され、過度の脳脊髄液ドレナージとの関連を否定できなかった。

過度の排液原因が不明であり、検討困難と考える。

6

第9回

観察・管理

不明

左肺が機能していない患者が、右肺の気胸のためドレーン挿入中であった。ドレーンの接続吸引機能にトラブルが発生し、メラサキューム(低圧持続吸引機)本体を交換した。

販売名から該当する製造販売業者に問い合わせるも、当該事象について医療機関から収集されておらず、トラブルの内容等が不明であり、検討困難と考える。

 

情報不足のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例 (ヒヤリ・ハット)

    具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果

1

第10回

水頭症のため、左硬膜下ドレーンを挿入していた。訪室時、ドレーンの滴下筒の部分がドレナージ台から外れており、逆さになった滴下筒から髄液が流れ出ているのを発見した。最後にドレーンを確認した後から1時間経過しており、その間88mL の髄液の排出があった。
過剰の髄液の排出による低髄圧等の合併症をおこす危険性があった。

脳室ドレナージ架台をメーカーに修理依頼したが部品が無かったため、メーカーが作成してくれた。しかし、当院で採用している脳室ドレナージセットの滴下筒にしっかりと合わなかったが、これ以上の製品はできないと言われテープで固定しながら使っていた。脳室ドレナージセット用のドレナージ架台がしっかりと製品として販売しているべき製品に不備があるのを承知で使用していた危機管理の欠如であった。

  • 施設課へ依頼し、ドレナージ架台に滴下筒をつるすところを作り、滴下筒が固定器具から外れても落下しないようにした。

メーカー名等不明のため、検討困難と考える。

2

第10回

深夜から日勤への申し送り時、人工呼吸器の1 回換気量は250mL であった(看護師2 名で確認)。日勤帯で入浴を行い、注入食を開始する前に高圧アラームが鳴った。痰の貯留があったため、吸引したが、高圧アラームが消えなかった。体動があるためだと思い呼吸器の設定確認しなかったが日勤と準夜の申し送りの際、1 回換気量が350mL になっていることに気付いた。

受け持ち看護師は入浴後に人工呼吸器に再装着する際、設定確認を怠った。呼吸器の設定違いの理由は不明。(ダイヤルつまみを回して設定を変更するタイプの人工呼吸器(ニューポート)で、当たった程度では設定変更出来ないが、なぜ設定が変わったかは不明である。

  • 入浴などで、アンビューバッグから呼吸器につなぎ変える際は、看護師2名で、呼吸器設定をダブルチェックする。

当該機器(ニューポートベンチレーター)のダイアルつまみは、ISO規格に準拠した誤操作に対する保護(意図しない操作等に対する防止)として、ダイアルに摩擦抵抗負荷が備えられており、ギア等により回転に負荷がかかるようになっている。ダイアルへの無意識な接触等の可能性は否定できないが、当該製造販売会社に問い合わせるも、当該事例に該当すると思われる報告は、医療機関から入手されておらず詳細が不明であり、検討困難と考える。

3

第10回

低酸素脳症で人工呼吸器管理の患者。ベラからサーボに人工呼吸器の機種を変更した後に初めての吸入をしようと、マニュアルを参照しながら実施した。その直後、1 回呼気量と分時換気量の上限アラームが鳴った。吸入施行前は正常に作動していた。アラーム鳴動時、リーク(空気漏れ)の確認したが、リークはなかった。

吸入実施直後に起こり、当直麻酔科と検討した結果、吸入の粒子が人工呼吸器の内回路に入ったと考えられるとコメントされているが、はっきりとした原因不明のため、後日ME(臨床工学技士)に点検依頼する。

  • 新しいことをする際は、麻酔科と立会いのもと、日勤帯で行う。原因解明時に、看護師サイドで対策を考える。

操作時の情報等、詳細が不明であり検討困難と考える。

4

第10回

持続で投与していた薬剤のシリンジポンプが停止になっているのに気が付かず、その間患者の血圧が140から150となっていた。約3~4時間投与されていなかった。

1時間前に確認したときは作動していた。原因は不明アラームがならなかったのでME(臨床工学技士)へ点検を依頼した。

  • 薬剤の残量・シリンジポンプの異常に早急に気付けるよう、ラウンドを頻回に行う。

メーカー名等不明のため、検討困難と考える。

5

第10回

ポリグロビン(血漿分画製剤)50mL ×4本を初め30分20mL/h、以後40mL/h の指示あり。TE - 112(輸液ポンプ)使用し開始した。3本目までは異常なく注入できていたが、4本目更新時流量異常警報が3回ほどあった。他の輸液ポンプに変更し、その後異常なく終了した。ME(臨床工学技士)にポンプの点検を依頼したところ、TE - 112は血液製剤に使用できない事を指摘された。

TE - 112及びTE - 111での輸血は不可であって、血液製剤(ポリグロビンやアルブミンなど)は使用可と思っていた。師長が輸液ポンプの業者に再度確認し、同様の解答があり、血液製剤はTE - 161ポンプなら(専用セット使用し)使用可能とのこと。

  • 今後血液製剤は、TE - 112及びTE - 111ポンプ使用禁止とし、TE - 161ポンプで専用のセットを使い使用する事とする。

TE112及びTE111のシリンジポンプの添付文書の【禁忌・禁止】欄には、「本品を輸血に使用しないこと。[本品は輸血用途への設計をおこなっていないため、機能を保証できないばかりでなく医療事故につながる恐れがある。]」と、既に記載されている。しかしながら、流量異常警報の原因は不明であり、検討困難と考える。