製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例 (事故)
段階 | 事故の程度 | 具体的内容 | 調査結果 | ||
1 |
第9回 |
観察・管理 |
障害残存 |
間質性肺炎の患者にトロッカーアスピレーションキット8Frを挿入し低圧持続吸引を行っていたが、体位変換時に延長チューブと逆流防止用アスピレーションバルブ(一方弁)の接続が外れていることに気付いた。接続外れを知らせる警報は鳴らなかった。 |
本事例はアスピレーションバルブを接続したまま低圧持続吸引を行っていた事例である。アスピレーションバルブは、トロッカーアスピレーションキットの構成品であり、延長チューブにあらかじめ接続された状態で梱包されている。トロッカーアスピレーションキットの添付文書の【禁忌・禁止】欄には、「低圧持続吸引あるいは自然排液(排気を含む)移行時には、アスピレーションバルブを使用しないこと。[アスピレーションバルブを接続して使用すると、バルブ内の逆流防止弁閉塞による吸引不良により緊張性気胸が発生するおそれがあるため。]」と記載されており、不適正な使用であったと考える。なお、接続外れの原因は不明であるが、接続が外れたにもかかわらず、警報が鳴らなかった事については、併用した低圧持続吸引器(メラサキュームMS-008)の添付文書の【警告】欄には、「併用するドレナージチューブが細径であったり、長さ、側孔数等の形状及び延長チューブの接続等により流路抵抗が高くリーク警報動作しないことがあります。それぞれの圧力損失及び流量の変化を考慮して吸引圧を設定すること。また、併用するドレナージチューブについて、使用前に圧力損失及び流量の変化を確認し、警報の作動を確認すること。」などが記載されており、8Frチューブ使用可では警報が動作しなかった可能性があり、事前の確認が行なわれなかった可能性も否定できないと考える。(参考1参照) |
製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例 (ヒヤリ・ハット)
具体的内容 | 背景・要因 | 改善策 | 検討案 | ||
1 |
第10回 |
患者は、血圧が高値の為ペルジピン(カルシウム抗性降圧剤)をシリンジポンプで管理していた。30分間隔で血圧を測定し血圧が高いためペルジピン量を少しずつ増量し、1時間に3mL 注入した。3時間後シリンジの固定部から注射器が外れていることを判明した。アラ-ムは鳴らなかった。 |
シリンジポンプ使用時のチェックリストはカルテに綴じてあり、使用時の確認をすぐにその場でチェックする体制ではなかった。シリンジポンプの流量を確認していたが、注入量の確認がされていなかった。機種が古く、アラ-ムが鳴らなかった。 |
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医薬発第0318001号平成15年3月18日付厚生労働省医薬局長通知「輸液ポンプ等に関する医療事故防止対策について」により、シリンジポンプには押し子外れ警報を装備することとされており、当該機器はその対策前の製品であったと思われる。(参考2参照) |
2 |
第10回 |
シリンジポンプのスライダーが注射器の押し子に密着しておらず、予定の流量を投与できなかった。 |
点検確認不十分。取扱いが未熟であった。当院には新旧のシリンジポンプが存在し、旧型は、警告アラームが鳴らない。 |
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3 |
第10回 |
難治性腹水にてJバックにてドレナージをしていた患者が、急遽MRI施行となり、輸液ポンプ類などは延長し、金具類というものは全て取り外し検査へ行った。MRIの機械の中に患者が入ったところ、Jバッグ内に金具があったため引っ張られた状態となり、手でつかんだものの接続から外れてしまった。 |
急な検査であり慌てていたこともあるが、ドレーンパック内に金具が入っていると思わなかった。外観からわからない。 |
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J-VACドレナージシステムの添付文書の【併用禁忌】欄には、「リザーバー(スタンダード型)に使用されているスプリングは磁性体であるため、MRI検査機器等使用時にはリザーバーは使用しないこと。[強力な磁場により、リザーバーが機器等に吸い付けられ、ドレイン抜去・リザーバーの脱落、検査機器等への影響が考えられるため。]と既に記載されているところ。(参考3参照) |