独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成20年度 第3回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医療機器関連事例) 別添3

本文別添1別添2|別添3|別添4

 

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例 (第11回ヒヤリ・ハット「人工呼吸器」)

  具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果
【電源】
1 入浴のため人工呼吸器を取り外し、沐浴室へ行っている間、人工呼吸器のアラームが鳴っていたため、部屋にいた医師が電源を切った。入浴から戻った時、看護師は人工呼吸器の画面を確認せずに装着させた。3時間後、児の所に行った時、人工呼吸器のスイッチが入っていないことに気付いた。患児は自発呼吸があるため、酸素飽和度は90%後半を維持しており、発見が3時間後になってしまった。 看護師は、人工呼吸器の設定や電源の操作は自分以外には行わないという思い込みがあった。「電源は切らない」という決まりが徹底されていない。電源を切っていたことが伝達されていない。装着時に設定の確認をしていない。
  • 「電源は切らない」ことが適切な対処方法であるのか検討する。
  • 設定を確認してから装着する。
  • 確認が不十分であった
【酸素供給】
2 人工呼吸器の始業点検後、患児に装着したがSpO2(動脈血酸素飽和度)が上がらず始業点検時の設定(FiO 2:21%)のままであった。また、保育器への酸素供給が外れていた。人工呼吸器を使用するために、アウトレットを抜き差した際に、継ぎ忘れていたと思われる。 NICU(新生児集中治療室)の場所が変わっており、慣れていなかった。人工呼吸器の初期設定が決められていない。人工呼吸器開始時の指示書がない。
  • 統一された呼吸器初期設定を作成する。
  • 呼吸器の開始時指示書を作る。
  • NICUのレイアウトを考える。
  • 確認が不十分であった
【回路】
3 深夜勤務で、患児の装着している人工呼吸器の設定や回路を確認したところ、吸気回路の口元の温度センサーが浮いているのに気が付いた。すぐに正しくセットしたが、吸気回路の口元温度が45度に上昇していた(設定は40度)。3分ほどで、口元の温度は設定値に戻った。いつから温度センサーが浮いていたかは不明である。患児に高温の吸気ガスが供給されたことになり、気道熱傷などのおそれが考えられた。患児の状態に変化はなかった。 いつから温度センサーが浮いていたかは不明である。
  • 異常を早期に発見できた事例。
  • 観察が不十分であった
4 呼吸器(servo-i)回路の交換を施行したが、吸気と呼気の回路が逆になって接続されていたのを、5時間後の訪室時に発見した。 医師の監視下で回路交換を行ったが、施行後しっかりと確認されていなかった。判断に誤りがあった。訪室するまでしっかり回路が正確かどうか確認できておらず、発見できなかった。
  • 回路交換を行った後は、回路に沿って確認する施行後、医師や他の看護師と共に回路の接続が正確であるかどうかしっかりと確認する。
  • 部屋周りの際、呼吸器の回路まで正確にしっかりと接続されているかどうか確認する。
  • 回路交換のマニュアルを作成し、医師、看護師共に統一して正確に回路交換が行えるようにする。
  • 回路交換の訓練を行う。
  • 確認が不十分であった
【加温加湿器】
5 人工呼吸器の加湿器の水を交換した。水は所定の場所から持ってきたが場所にラベルの記載はなかった。他チームの看護師が、加湿器の水がKN補液になっているのを発見した。 ラベルを確認しなかった。所定の場所から取ってきた物だったので注射用水だと思い込んでいた。所定の場所にラベル記載がなかった。
  • ラベルの確認を確実に行う。
  • 交換時は必ず確認をしてからつなげる。
  • 物品がある場所にラベルをつけた。
  • 確認が不十分であった
6 使用中の人工呼吸器(ゼクリスト)の加湿の水が残り少ない為交換した。その際、加湿器中の水が流出しないよう加湿器のストッパーを閉じた。加湿器の水を交換後、数回ポンピングし、チューブ内に水が循環するのを確認しないままその場を離れた。日勤勤務者がゼクリストの呼吸器回路に加湿がついていない事に気付き、加湿器のストッパーが閉じたままになっている事を発見した。直ぐに加湿の水を循環させ、加湿器を交換した。 ポンピング後加湿器の水が循環している事を確認しないままその場を離れた(手順どおりの行動を取っていなかった)。
  • 加湿器の水交換後、水が循環する事を確認した上でその場を離れる。
  • 吸気回路に十分に加湿されているか必ずチェックする。
  • 人工呼吸器の加湿の水の交換方法について再度指導する。
  • 回路内が加湿されているか常に注意していく必要があることを指導した。
  • 確認が不十分であった
【設定・操作部】
7 受け持ち看護師が休憩中に、患児のSpO2低下のアラームが鳴ったため人工呼吸器(VIP バード)のSigh(深呼吸)を押して対応した。圧モニターを見ると25cmH2O まで上がっていたためダイアルを確認したら、設定自体が25cmH2O となっていた。特に指示が見あたらなかったのですぐに20cmH2O に設定し直した。 ダイアルに触れて設定がいつの間にか変わってしまったのではないか。設定の確認は各勤務で行っているが、Sigh 圧の項目がないため見逃されていたと思われる。
  • チェック表の空白欄にSigh 圧の項目を追加し、各勤務で設定の確認をするようにした。
  • 確認が不十分であった
8 準夜帯に呼吸状態悪いため人工呼吸器の設定をFiO 2(酸素濃度)25% に変更した。その後一度医師はFiO 2 21% へ下げたが、体位変換にて再度SpO2が悪化したため、FiO 2 25% へ上げた。深夜帯でFiO 2 25% で申し送りを受け、呼吸器設定を準夜看護師とダブルチェックした。巡回時深夜看護師が呼吸器チェックした際、チェックリスト上FiO 2 21% に下げたところまでの記録になっているが、記録忘れだと思い後で医師に記録してもらおうと考えた。朝 医師に確認したところ、FiO 2 は21% のままで、体位変換時等SpO2戻りが悪いときのみ25% にあげるようにとの指示であった。 呼吸器チェックリストが適切に使用できていない。FiO 2 25% に上げた時の記載がなかった。準夜看護師と人工呼吸器をダブルチェックするときに深夜看護師はチェックリストをみていないため設定の違いに気付かなかった。気が付いた時に医師へ記載を依頼していない。医師の指示の確認不足。医師に報告したのは準夜看護師であったが、その後ケアにあたったのは深夜看護師であり、準夜看護師がどのような内容で報告したか、どのような指示を受けたか(FiO 2 21% でSpO2悪化したときに一時的に25%にあげてよいなど)を確認していない。
  • 呼吸器チェックリスト有効に使用する。設定を変更した場合必ずその場で指示を書いてもらう(すぐに設定を下げることが予測されても、設定を変更して医師が離れるときには必ず。)
  • ダブルチェック時は二人とも指示・実際の設定両方をみる。
  • 勤務交代間際に出た指示は、お互いに伝わっているか必ず確認する。
  • 確認が不十分であった

     
  • 連携
【その他】
9 人工呼吸器使用前に、回路設置月日を確認すると、滅菌の有効期限が過ぎていた。マニュアルでは設置月日をメモに記入して機械を覆い、シーツに貼ることになっていた。 決まりのない用紙に記入していた。滅菌物は有効期限を記入する用にしており、混乱した。頻度が高くないので、何を記入するかあやふやであった。
  • 設置年月日を記入する用紙を作成し、呼吸器上部に置くこととした。
  • 確認が不十分であった

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例 (第12回ヒヤリ・ハット「人工呼吸器」)

  具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果
【電源】
1 帰棟した際、人工呼吸器のコンセントを優先電源につながっている延長コードにつなげてしまった。 延長コードが無停電電源につながっていると思い込んでいた。人工呼吸器は延長コードを介さず無停電電源に直接接続するということを理解していなかった。
  • 今後は思い込みでなく接続部まで声だし、指差し確認していく。
  • 確認が不十分であった
【酸素供給】
2 カニューラからNIPPV(非侵襲的間歇陽圧換気)へ切り替えの際、酸素の接続切り替えを忘れた。 作業の途中でナースコールが鳴り対応してしまう。
  • ひとつひとつの作業を確実に行ってから次の業務に入る。
  • 忙しい時は、他スタッフの協力を得る。
  • 確認が不十分であった
【回路】
3 人工呼吸器管理中の患児の抜管を主治医が行い、介助についた。抜管後、酸素に加湿をかける必要があったため、保育器内のBOXに呼吸器の回路をつなぎ酸素を流した。しかし、誤って吸気側ではなく呼気側の回路をBOXにつなげてしまった。吸気側の回路は保育器内にあり、実際はBOXではなく保育器内酸素として酸素が患児のもとへ流れる状態になっていた。日勤で抜管し、深夜の同職種者が発見したため、約12時間上記の状態であった。バイタル計測時、酸素濃度を計測していたため患児への影響は小さかったと考えられるが、加湿をかけた酸素を有効に患児に投与することができなかった。 人工呼吸器回路とBOXの接続の方法を正しく理解していなかった。
  • 人工呼吸器の仕組み、取り扱いについて確認し、再発防止に努める。
  • 確認が不十分であった
4 夜間患者が吐血し、シーツ交換を行なっていると人工呼吸器(ニューポートベンチレータE 2 0 0ウェーブ)のアラームが鳴った。呼吸器からほとんど換気がされていない状況だった。回路の接続やチューブを確認したが、接続には問題なく、気道内吸引で多量の痰を引いても換気状態は改善しなかった。医師とICU(集中治療室)スタッフに確認してもらったところ、回路のウォータートラップに水が溜まっていた。医師の指示により、別の呼吸器に替えたことで、換気も問題なく行なえるようになった。 患者に使用していたのは、加湿器付きの呼吸器だった。加湿を行なうことで、回路(蛇管)内が結露を起こし、閉鎖させることがあることは知っていた。そのため回路内の水は訪室毎にウォータートラップへ流していた。しかしウォータートラップに水が溜まることで、溜まった水が少しでも呼気弁に付着すると、弁がうまく作動せず、換気不良を起こすことがあるということを認識していなかった。その日は忙しかったこともあり、ウォータートラップに溜まった水を空けることを重要視していなかったため、水が溜まっていることにも気付いていなかった。
  • 加湿器付きの呼吸器を管理する場合は、回路内の水をウォータートラップに流すだけでなく、その度に中に溜まった水を空ける。
  • 回路やチューブの点検をする時には、呼気弁もチェックするようにする。
  • 呼吸器における、呼気弁の働きと換気不良になる原因を自己学習する。
  • 関係した看護師(リーダー及び担当)が個々に事例検討し、カンファレンスにて呼吸器の管理について病棟内で学習する。
  • I C U と協力し呼吸器管理のチェックリストを作成中であり、安全に呼吸器管理が行えるように体制を整える。
  • 確認が不十分であった
5 気管切開部ガーゼ交換のため、人工呼吸器を一時解除し、ベッドを下げた際、ウォータートラップをベッドの間に挟み、破損した。 蛇管その他のルートの確認不足。
  • 観察を怠らず、物品管理を適切に行う。
  • 確認が不十分であった
6 訪室した際、空気の音が気になり、人工呼吸器の蛇管(フィッシャー&パイケル呼吸回路)の接続の確認を行った。呼気側蛇管の本体に1 番近いところに亀裂が入っているのを発見した。患者は良眠しており、呼吸器のアラームは鳴らなかった。蛇管の交換は月末に行っていた。 蛇管が長く、ウォータートラップ(水受け)などの重みや呼吸器を動かしたことで蛇管が劣化したため亀裂が入ったのではないかと考えられる。患者用に長めに調整した蛇管であった。交換時に、入りにくかったため、かなり力をいれて挿入していたため、圧がかかり、破損の可能性が高かった。
  • 交換時に力を加減して行い、蛇管に重みが掛からないように、紐などで蛇管を吊り上げて、工夫する。
  • 確認が不十分であった
【加温加湿器】
7 患児の体温が36.6℃まで下降見られ、保育器内温度を上昇させるが体温上昇しなかった。保育器内の加湿を上げて様子見ていたら、呼吸器の加湿器に水が入っていないことに他のスタッフが気付いた。水の入っている容器が陰圧になっており、加湿器に水が落ちていなかった。呼吸器回路内にも水滴はなくフードを使用し、加湿器内に水が入ってからは体温37.0℃まで上昇した。回路内も水滴が付着していた。 呼吸器チェック時に加湿器内の水量を確認していたが、水が入っていることで良いと思い、量が少ないことを異常として認識していなかった。また体温低下時になぜ低下したのかということを十分にアセスメントできていなかった。
  • 呼吸器チェック時に加湿器内の水量と加湿器温度を手で確認する。
  • 回路内に加湿がかかっていない時や体温低下時には呼吸器の加湿器の水量を確認する。
  • 確認が不十分であった
8 午前中にN-CPAP(経鼻的持続性気道内陽圧呼吸)を一時的にOFFにした。14 時頃に多呼吸を認め、N-CPAP を同条件で再装着した。その時に加温器の電源を入れ忘れており、1 時間毎の観察時にも気付かなかった。準夜勤務者へ申し送りしている時に指摘され気付いた。 N-CPAP の電源をつけた時に加温器の電源を入れ忘れ、また1 時間毎のチェック時にも確認できていなかった。点検事項を指差し呼称していない。
  • 1 時間毎チェック時に必ず呼吸器・加温器・クベースの設定確認を怠らないようにする。
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった
【設定・操作部】
9 リーダー看護師から人工呼吸器の呼吸回数設定が変更になったことを申し送られていたが、準夜勤務中に呼吸器設定の確認をしていないことに気付いた。呼吸器条件表と確認すると、申し送りで聞いていた呼吸回数と違う設定になっていた。児の呼吸状態は落ち着いており、朝まで経過観察とし、主治医に確認したところ、実際に設定されていた呼吸回数が正しいことがわかった。 人工呼吸器装着中の患者の呼吸器設定は勤務の切り替わり時に前の勤務者と確認となっていたが、準夜勤務時に忘れて確認を怠ってしまった。無意識だった。看護師2人以上で確認を行わなかった。
  • 業務マニュアルを適切に行う。
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった
【その他】
10 人工呼吸器管理中の患児。チューブの固定テープが分泌物で湿潤しており、その張り替えをするために腹臥位から仰臥位にしたところ、SpO2が低下し、酸素濃度を上げてもSpO2上昇がなく、人工換気しながら胃内吸引にてエアー15mL ほど引け、気管内吸引のトラックケアを挿入すると、入りきった。主治医が呼吸音聴診したが確認できなかった為、抜管した。 数日前の胸部レントゲン写真で、挿管チューブが浅めに入っていた。腹臥位管理にしており、さらにチューブが浅めになっていた可能性があった。口腔内の分泌物で挿管チューブの固定テープが湿潤していた。そのため、固定位置が浅くなったり、糸がゆるんでいた可能性があった。腹臥位から仰臥位に変換するのを一人で行った。体位変換した時にSpO2が下降したが、心拍の落ち込みは一過性であった。しかし、FiO2(吸入酸素濃度)をあげてもSpO2は上昇しなかったが、自発呼吸があったため徐脈は続かず全身色に変化なかったので、自己回復できるだろうと思い、しばらくの間他スタッフに助けを求めなかった。
  • レントゲン上、挿管チューブが浅めで腹臥位管理をしているときは、さらに浅くなる可能性があることを十分意識して観察をする。
  • 腹臥位から仰臥位に体位変換するときは、一人で行わず、他看護師と行う。
  • 固定テープがしっかり固定できているか、固定位置が変わっていないかを観察してから、体位変換やテープの張り替え慎重に行う。
  • 自分が行ったケアに対して、バイタルサインが回復しない時は、すぐにリーダー看護師や先輩看護師の助けを呼ぶ。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例 (第13回ヒヤリ・ハット「人工呼吸器」)

  具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果
【電源】
1 重症新生児仮死のため脳低温療法中であり、自発呼吸は全くなかった。停電作業による電源の切り換えの際、瞬時停電により人工呼吸器が停止、再起動となった。その間、人工呼吸器が停止することにより、酸素飽和度が下降した。担当看護師が直ちにアンビューバックで加圧し、回復した。人工呼吸器は強制シャットダウンから再起動したので、最低数十秒は停止していた。 人工呼吸器の電源はNICU内の無停電電源(UPS)経由の押し口に正しく入っていたが、無停電電源が作動しなかった。人工呼吸管理中の児の横にアンビューバックが置いてあったので大事には至らなかった。UPSは6年半前に設置されたもので、バッテリーの交換時期が近くなっていた。(但し事前の調査では正常作動していると判断されており、前日の瞬時停電でも問題はなかった。)
  • 今回の電源が切れた原因は不明だが、従来の調査のみでは不十分であることが明らかになったので、今後瞬時停電前には新たな確認作業をしていく。
  • 確認が不十分であった

     
  • 施設・設備
【酸素供給】
2 人工呼吸器管理中の患者を心臓カテーテル検査室へ移動するため、使用中の人工呼吸器ニューパックの配管を中央管理からストレッチャーの酸素ボンベに切り替える作業を、医師A と看護師Bで行った(配管側に看護師B、ボンベ側に医師A)。その後モニタリングしながら医師A、C、看護師Bで移動を開始した。救急処置室から出たところで応援に駆けつけた看護師Dがボンベの元栓が締まったままでニューパックが作動していない事に気付き、元栓を開けた。患者の容態に変化はなかった。 ボンベの切り替え作業を行った時に、作動元栓開放の確認がされてなかった。緊急検査のため急いでいた。
  • 移動開始前に、作動状況、患者の状態を指差し、声だし確認する。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
【回路】
3 深夜に入院連絡があり、人工呼吸器(ゼクリスト)を準備していた。人工呼吸器の作動確認で、加湿のヒーターの温度の上昇がなかった。温度センサー、加湿のヒーターの交換をしたが上昇がなかった。加湿器自体は熱くなっておりそのまま様子を見ていた。入院患者が入室し、その間に医師より加湿ヒーターを再度変更との指示があり、変更したが温度は上昇しなかった。30分後、医師より呼気と吸気の呼吸器回路が反対に接続されていると指摘された。患者にバイタルサイン上、著しい変化はなかった。 回路を組み立てた際に呼吸器の作動確認を行い、圧の上昇、呼吸回数などはチェックしたが加湿器の温度はこれから上昇してくるものと思っていた。時間が経っても加湿器の温度が29.0℃前後から上昇しないため、他のスタッフにも確認を求めたが回路の誤りには気付かなかった。加湿器と温度センサーの故障と考え交換し、様子を見たが状態変わらず、再度加湿器を交換した。当事者は、加湿器の温度が上昇しない時点でパニックになり加湿器と温度センサーにしか目がいかなくなっており、基本的な回路の再確認には至らなかった。
  • 呼吸器準備の際の作動確認も基本に戻り、指差し呼称で確認していくようスタッフを指導した。
  • 確認が不十分であった

     
  • 判断に誤りがあった
4 12時20分、人工呼吸器チェックリストに沿って呼吸器確認を行い、ウォータートラップ内の水を捨てた。その際、加湿器と吸気側回路の接続部は外さなかった。10分後、他の看護師Aが吸引施行すると酸素が上昇したため患者の傍を離れた。12時40分、SP のアラーム音が鳴り患者の傍へいくと顔色不良であった。呼吸器の高圧アラームが鳴り初め、確認したが原因分からず、看護師A を呼んだ。回路漏れのアラームが鳴り初め、確認したが原因不明。テストラングを付け、接続確認したところ、加湿器と吸気側回路の接続が外れている事に気付いた。 回路接続確認後にウォータートラップの水を捨てており、戻した後に接続の確認ができていない。人工呼吸器の接続確認ができていない。
  • 人工呼吸器に触れた時や児の傍を離れる時には必ずその都度人工呼吸器の設定・接続を確認してから離れる。
  • 人工呼吸器のチェックリストに沿って毎時間確認を行うが、目でみるだけではなく、必ず手で触れ、緩みの有無まで確認する。
  • 正確にチェックを行う。
  • 確認が不十分であった
5 人工呼吸器ハミングV の水抜きを行おうとしたところ、ホースヒーターの接続部が外れ、確認するとコネクターがなく、接続出来ず、呼吸器回路をすべてを取り替えた。患者に状態の変化はなかった。 使用前の点検不足。
  • 使用前に確認をしっかり行う。
  • 確認が不十分であった
6 2日前より低換気アラームと無呼吸アラームの警報が、以前よりも多くなっていた。気道内圧の低下アラームは無かった。夜勤看護師より自発呼吸があるのに低換気アラームが鳴っていると報告を受け、人工呼吸器の点検を行うと、回路内部のバクテリアチューブの一部に亀裂が入り、その部分からエアーリークしているのを発見した。部品交換後低換気アラームは消失し、換気量は安定した。 人工呼吸器回路の部品の一部が、バクテリアチューブの一部に常時接触していた部分に加圧が加わり、亀裂が生じたのではないかと推測する。
  • 警報アラームが持続して鳴る事が多い場合、患者側の問題でなく、器械に問題があるのではないかと言う視点で機器点検を行う。
  • スタッフへのアラーム対応時の指導、教育を再度行う。
  • バクテリアチューブの交換は常時使用している場合は1000時間点検時に本体交換の際に行われいるが、消耗品という観点で定期交換

の目安をME と検討する。
  • 確認が不十分であった
【加温加湿器】
7 勤務交替し、人工呼吸器の確認を行った際、回路が保温されておらず、確認したところ加温・加湿器の電源がOFFであることを発見した。 前日、呼吸器離脱し、再装着した際電源を入れるのを忘れ、次の勤務でも発見することができていなかった。
  • E500使用する際は、院内の観察チェック項目リストを使用する。
  • 確認が不十分であった
8 準夜のスタッフと呼吸器の加湿のためのボトルの水位の確認はしたが、加湿器の水位の確認しなかった。1時・4時ともに加湿のためのボトルに蒸留水があることのみ確認し、加湿器の水位は確認しなかった。7時のミルク前に気管内吸引時、分泌物の引けにくい感じがあった。呼吸器の蛇管内の水滴もなかったが、加湿器の水位は確認しなかった。8時に患者は苦痛様表情・頻拍となり、吸引を行った際、加湿器内の蒸留水がないことに気付いた。 知識不足、確認不足であった。不注意であった。
  • 3時間後との加湿器の水位の確認はボトルの水位を見るのみでなく、必ず加湿器内の水位を確認する。
  • ボトルをセットする時、加湿器内に蒸留水が入っていることを確認する。
  • 確認が不十分であった

     
  • 判断に誤りがあった

     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
【設定・操作部】
9 患者は人工呼吸器装着中。医師の指示で酸素濃度21%で設定されていた。朝、訪室の際、指示票を見ながらレスピレーターの設定確認をしたところ、酸素濃度が60%で投与されているのを発見した。 指示票と照らし合わせながら、院内規定のチェック表で各勤務設定確認をしているにもかかわらず見落としがあった。
  • 目で見て、指差し、声だし、前勤務者と設定確認行っていく。
  • 確認が不十分であった
10 17時眼科診察となるため、診察前に一般状態観察し人工呼吸器設定については、声だし、指差し確認した。眼科診察までにSpO2の低下があり、何度か手動送気を行った。準夜勤務者に申し送る際、吸気時間が0.45秒のところ0.4秒になっていることに気付いた。 手動送気のダイヤルの上に、吸気時間調節のつまみがあったため手が触り動いた可能性がある。技術不足であった。確認不足であった。
  • 処置などで人工呼吸器を操作した時は、その都度設定値を確認する。
  • アラームが鳴った時にはなぜ鳴ったのか確認してから止める。
  • 確認が不十分であった
【その他】
11 VIPバードにベア1000のコンプレッサーを使用していた。ベア1000の内部温度上昇アラームが鳴ったが原因がわからなかった。他の看護師の助言でフィルターの目詰まりであることがわかった。患者のバイタルサインは問題なかった。 VIPバード取り扱いについて知識不足であった。教育不足。フィルター掃除ができていない。
  • VIPバードについて病棟勉強会実施。

     
  • メンテナンスの徹底。
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった

     
  • 教育・訓練
12 低体温の患者の体温回復の為に挿管し、人工呼吸器の加温装置による体温回復を計った。患者が蘇生室退室後、呼吸器を片付ける際に、コード付呼吸器回路を医療ごみに破棄した。 コード付呼吸器回路を破棄するもと勘違いしていた。
  • 片付けの方法、返却場所を確認して確実に行う。
  • 片付けた後に、そのやり方で正しかったのか確認する。
  • 自分で行う事に責任を持ち、不慣れな事や不安に思う事があれば必ず確認する。
  • 思い込みで作業しないため、作業内容を確認してから行う。
  • 確認が不十分であった

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例 (第11回ヒヤリ・ハット「輸液ポンプ等」)

  具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果
【指示】
1 シリンジポンプによる麻薬投与時、注射処方箋のみで薬剤を準備した。アンペック10mg 生食40mL を注射器に吸い上げ同じ速度0.4mL/h で与薬開始した。約10時間後申し送り時カルテで確認すると生食47mL であったと気付いた。前回処方では麻薬が効きすぎたため生食を増やしていたが結果的に前回より高濃度となった。 前回処方と同じ内容でオーダー入力されていた。カルテとオーダー入力が異なっていた。カルテ確認しないで注射処方箋のみで準備した。マニュアルはダブルチェックするようになっていたが一人で行った。
  • マニュアルを遵守する。
  • カルテを確認する。
  • 2人でダブルチェックする。
  • カルテどおりのオーダー入力をする。
  • 確認が不十分であった
【電源】
2 輸液ポンプを点滴棒につけ車椅子で検査に行く時、搬送する看護助手が輸液ポンプの電源コードを外し車椅子のポケットに入れた。しかし、患者はストレッチャー移動に変更となり、電源コードは車椅子のポケットに入れたまま片付けられた。他の看護師がその車椅子を使い電源コードの行方が分からなくなった。 輸液ラインや機器の電源コードは間違えてひっかけやすいものとの認識があり、それを防ぐために外したものである。途中で車椅子からストレッチャーに変更となったため、一連の行動が中断し電源コードの事を失念してしまったものと思われる。
  • 輸液ポンプから電源コードを外すさない。
  • 移動する際には本体とコードをセットにして移動する。
  • 確認が不十分であった
3 持続注入中のニカルピン2mL/h の残量アラームがなった。シリンジポンプの電源を切り、そのまま更新するのを忘れた。勤務交替時他の看護師が発見した。 残量アラームで、すぐに薬剤を準備しなかった。残量アラームでシリンジポンプの電源を切った。
  • 残量アラームですぐに薬剤を準備する。
  • 薬剤業務を中断せざる得ない状況が発生した場合は、他者の協力を得る。
  • 薬剤更新方法を理解する。
  • 確認が不十分であった
【回路】
4 シリンジ内の薬剤が減量しておらず、停止のままになっているのに気付いた。ICU(集中治療室)から帰室後、ペルジピン1mL/h の指示にて10mL のテルモシリンジを使用していたが、テルモポンプのシリンジ規格は20・30・50mL であった。 シリンジポンプ作動開始時に、ダブルチェックをしていなかった。開始されたものと思いこんでいた。ICUからJMS製の10mL シリンジがつながり帰室していたため、テルモポンプも10mL シリンジが使用できると思い込んでいた。ルート類チェック表を用いて確認していなかった。
  • ルートチェック表にシリンジポンプとシリンジ規格があっているか、開始しているかチェック項目を追加する。
  • 各勤で必ず残量の確認を行なう。
  • シリンジポンプセット時必ずダブルチェックを行なう。
  • 確認が不十分であった
【設定・操作】
5 日勤帯でシリンジポンプを用いてノボヘパリン注を施行中の患者を受け持っていた。検温時、シリンジポンプ(テルフュージョンシリンジポンプTE- 525)の流量は指示通りの3.5mL/h であり、シリンジサイズの表示が50mL でライトが点灯していたため、電源が付いており開始していると判断した。準夜帯で他の看護師がノボヘパリン注の残量が多いことに気付き、シリンジポンプの確認を行ったところシリンジホルダーが上がっており、停止状態となっているところを発見した。シリンジポンプのブザーは発見するまで一度も鳴っていない。残量から逆算すると約11時間前から停止していた様子であり、再び開始した。 シリンジポンプを使用している患者を受け持った経験が浅く、シリンジポンプの確認事項・回数不足であった。また日勤帯で更新する予定ではなかったことで、どこか気持ちに油断があったと考える。ノボヘパリン注の次回の更新は準夜帯であると思い込んでおり注射器の目盛りで正しく施行されているか総量の確認を行っていなかった。
  • もう一度シリンジポンプの管理方法を見直し、正しく行えているか他の看護師に確認してもらう。
  • 訪室回数を増やし検温時だけでなくトイレ介助時などでも、シリンジポンプの確認を確実に行っていく。
  • 同じ勤務帯の看護師にも訪室時には確認するよう声をかける。
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった
6 シリンジポンプ(テルモシリンジポンプ TE-331S)を使用してノルアドレナリンを投与している患者。シリンジの外筒がシリンジポンプの溝にはまっていなかった。シリンジを交換する時に他のスタッフが気付いた。設定量は患者に輸液されていた。血圧の変動はなかった。 シリンジのフランジが確実にスリットに挿入されていなかった。シリンジ交換時の確認不足。患者観察のため度々訪室しているが、ポンプ作動の確認は不十分だった。当院では「シリンジポンプ使用中の確認事項」を作成し、看護スタッフはそれを見ながらポンプを使用することになっているが、確認行為が曖昧であった。
  • シリンジ交換時は、確認事項を一つずつ確実にチェックしていく。
  • 患者観察時、使用中の医療機器の作動状況も必ず確認する
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった
7 受持ちでない患者の輸液ポンプのアラームが鳴っていたため、訪室した。点滴筒センサーの感知不良と判断し、一度電源を切り設定し直した。その際、以前自分が受け持っていたときは、2mL/h だったため、その速度で設定したが、2日前に1mL/h に変更になっていた。ポンプにも現在の指示量が記載されていたが見落とした。誤った速度で約4時間滴下され、深夜看護師が発見した。 数日、指示変更がなく2mL/h で滴下されていたため、思い込んだ。設定時、指示の再確認を怠った。受持看護師も24時の確認時発見できていない。
  • 電源を切って設定し直すときは、指示を再確認する。
  • 相手チームの処置施行後は、速やかに報告する。
  • 確認が不十分であった
8 前日、輸液ポンプにて塩酸モルヒネ注30mg 4mL/h で投与されていたが、塩酸モルヒネ注60mg 2mL/h への変更された。交換時間が休憩時間と重なってしまったため、他の看護師に交換を依頼した。この際、点滴内容と速度を一緒に確認した。投与した他の看護師は速度を変更せず、休憩後、当事者も速度の確認をせず、準夜看護師が過剰投与を発見した。約7時間倍量投与となった。 病棟ではポンプ類の速度設定の確認を看護師2人でダブルチェックすることになっていたが、休憩後、他の看護師が速度も変えたと思い込んでしまい、速度の確認をしていなかった。ローテーションをしたばかりであり、慣れない環境や業務などでインシデントを起こしやすい状態と思われる。
  • ポンプ類の速度をダブルチェックすることを徹底する。
  • インシデントを起こしやすい状態であることを念頭に確認を徹底する。
  • コミュニケーションを積極的にとっていく。
  • 確認が不十分であった

     
  • 連携
9 シリンジポンプで投与中のディプリバンを、7mL/h から6mL/h へ減量したつもりであったが、実際には5.9mL/h となっていた。 滴下速度のデジタル表示が「6.0」となったところでダイヤルを回すのを止め、スタートボタンを押したが、以前、滴下速度を変更した後に、スタートボタンを押すことを忘れたというインシデントを起こしたことがあるため、スタートボタンが押されてグリーンランプが点いているかどうかは見たが、滴下速度のデジタル表示を確認しなかった。速度変更した後、30分以内に点滴速度の再確認をするのを怠った。
  • シリンジポンプを操作するときは、必ず滴下速度のデジタル表示を必ず指差し確認する。
  • 急いでいても、シリンジポンプの滴下を操作するときには、ダイヤルを勢いよく回しすぎない。
  • 点滴管理の基本を怠らず、点滴交換をした場合や速度変更した場合は、30分以内に再度確認することを徹底して行なう。
  • 指差し確認だけでなく、指差し呼称も徹底して行うよう指導した。
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった
10 点滴漏れにより針を刺しかえた際、シリンジポンプの電源を切った。電源を入れ再開した際に、3mL/h で設定したが、実際は5mL/h の投与であった。翌日の深夜が投与量に疑問を感じ確認したところ、投与量の間違いが発覚した。主治医に報告し、5mL/h で投与続行の指示を受けた。 前日勤務時、3mL/h であったため思い込んでいた。投与再開時に注射指示一覧で投与量を確認しなかった。
  • 更新、開始時は、シリンジポンプの投与量と注射指示一覧を照らし合わせて施行する。
  • 確認が不十分であった
11 輸液ポンプ3台、シリンジポンプ1台使用中の患者の輸液ポンプの完了アラームが鳴っていた。1 年目の看護師が訪室し、どのポンプを停止すればいいのか判らず、目についた輸液ポンプを停止してしまった。輸液ポンプはアラームが鳴り続けていた。アラームの原因は深夜の更新した際、積算量のリセットされていなかったためであった。 4台のポンプがあり、そのうちの1台のアラームが鳴ったが、どのポンプの完了アラームか確認することなく、シリンジの消音を押してしまった。患者の点滴ポンプは4台あったが1台しか見えていなかった。
  • まだ、慣れない輸液ポンプやシリンジポンプを使用する時には先輩看護師に声かけをする。
  • どのポンプのアラームは鳴っているのか、確認する。
  • 判断に誤りがあった
12 準夜勤看護師より23時にジルチアゼムをOFF にしたと申し送りを受けた。1 時の巡視時に中止したはずのジルチアゼムが2mL/h で滴下されており、滴下されるべきシグマートがOFF となっていた。 輸液ポンプが多く、また、滴下数も同量であったことで間違ってしまった。ポンプには、薬剤名が記載されていたが、確認不足であった。
  • 中止する薬剤は、ボトルからルートを辿って輸液ポンプをOFF にする。
  • 中止、開始後に他のスタッフと確認する。
  • 確認が不十分であった
【観察・管理】
13 右下肢の静脈ルートから、赤血球濃厚液を投与していた。勤務交替時に静脈ルートの確認をした。投与から3時間後にシリンジポンプの閉塞のアラームが鳴り、下肢を確認すると点滴漏れをしていた。下肢の状態は、硬結・腫脹・内出血していたため、すぐに静脈ルートを抜去し、指示のリバノール湿布を貼付した。 投与中の下肢の状態を勤務の最初しか確認せず、適宜観察することを怠った。
  • 薬剤投与中は、適宜、漏れがないか確認する。
  • 観察が不十分であった
14 塩酸モルヒネ8 A + 生食4 2mL(トータル50mL)をシリンジポンプ(テルフージョンシリンジポンプ)にて注入中であった患者の更衣の際、塩酸モルヒネの三方活栓をオフにした。その後再開するのを忘れ、夜勤者より塩酸モルヒネの三方活栓がオフであったことを指摘された。 シリンジポンプの使用前点検を行うことになっていたが、実施したかの確認を行うシステムがなかった。シリンジポンプのアラームが鳴らなかった。
  • シリンジポンプについてすぐに業者による点検を行った。
  • 確認が不十分であった
15 持続点滴を行っていた。患者は母とプレールームにおり、輸注ポンプを確認すると、電源が切れており1時間点滴が流れていなかった。 定期的なポンプ確認不十分。
  • 定期的にポンプの確認を行う。
  • 原因不明でポンプが停止した場合は、点検が必要なため他の物を使用して点滴再開するようにする。
  • 確認が不十分であった
16 22時の抗生剤を60分タイマーをかけてシリンジポンプで0.4mL/h で開始していた。23時のミルク片付け中に終了のタイマーが鳴ったのに全く気付かず、そのまま続行していた。1時30分に深夜の看護師がおかしいと気付き、その時点で注入を中止した。ハベカシン0.4mL を1時間かけて投与する予定が約2.5倍量投与した。 60分タイマーをかけて行っていたが、終了の確認をしていない。処置に追われて意識下になく忘れてしまった。
  • 注射をセットする時は指示量のみ準備して行う。
  • 終了の確認をきちんと行う。
  • タイマーに頼らないこと。メモなどを書いて貼り、相手のスタッフにも伝える。
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった
17 患者右ソケイ部よりIVH(中心静脈栄養)施行していた。準夜看護師は23時に輸液バックを交換した。深夜看護師は巡視時に輸液ポンプが動いていることは確認していた。朝方訪室した際、輸液の残量が減っていないことに気付き、ルートを確認したところ、点滴のクレンメが開放されておらず、8時間点滴ルートは閉塞していた。 準夜看護師は患者が点滴のクレンメを触るため、輸液ポンプより上部にセットした。上部にセットしても異常時はアラームが鳴ると思っていた。また深夜看護師は輸液ポンプが動いているため適切に作動していると思い込み、積算量と輸液残量の確認を行わなかった
  • 輸液ポンプの正しい使用について各部署へ周知した。
  • 各病棟看護師に輸液ポンプ使用時でも流量、積算量、残量はチェックするように指導した。
  • マニュアルにも1 0 0 0mL のバックは目視では残量の確認がしにくいので、残量をチェックするよう、周知徹底した。
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった
【その他】
18 勤務終了時患者の輸液の注入量チェック時、輸液ポンプ( テルフュージョン輸液ポンプ TE-161S)の開始されておらず、8時間強心剤が注入されていない事に気付いた。 勤務開始時に各点滴のルートを確認し、チェックシートにもサインしているが起ってしまった。処置等で病室を訪室するときは開始ボタンの点灯確認を必ず行うべきであった。このポンプは、流量設定のみで予定量設定をしない場合は、スタートボタンを押した直後に「“ピーピーピー”」とアラーム音が鳴るがその後はならないがアラーム音でスタートしたと思い違いをした。
  • アラームだけに頼らず目で確認を行う。
  • 病室巡回時の機器類の作動チェックする。
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例 (第11回ヒヤリ・ハット「輸液ポンプ等」)

  具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果
【指示】
1 16時にIVHを挿入し、「ラクテックG250mL を24時間かけて落とす」と口頭指示があった。準夜から、「16時に終わる予定だが、残量から考えて、合わない」と深夜勤者は申し送りを受けた。確認すると残量が100mL 弱であったが流量についての指示が指示簿に記載されていなかったため、そのまま、10mL/h で落とした。そのため、午前中には残量がほとんどなくなっていた。医師に報告し、16時までの輸液指示を受けた。 開始者は、「16時から24時間で注入」として流量を設定したが、実際の輸液ポンプでの施行は、17時からであった。16時挿入から17時までの1時間は、自然滴下であったため、輸液ポンプ開始時の残量の確認不足があったと推測される。連絡・報告システムの不備。医師と看護師の連携不適切。夜勤だった。
  • 医師に指示簿への記入を確実にしてもらう。
  • 輸液ポンプのトータル輸液量を確認する。
  • 輸液残量と残りの時間確認をして申し送る。
  • 各勤務者は、輸液量の最後の確認時に輸液ボトルにラインを引く。
  • 確認が不十分であった

     
  • 連携
【電源】
2 心臓手術後、検温時に点滴の指示確認で内容と速度確認を行うと、3 種類のうち1 台の点滴ポンプの電源が切れていた。 最後にポンプ確認をしたのは速度変更の時であったが、その時の担当看護師によれば変更後もポンプは作動していたとのことで原因は不明。可能性としては、長時間のポンプ内蔵バッテリーの作動で電源切れが起こった。定期点検とメンテナンスの不備。
  • 長時間のポンプ内蔵バッテリーの作動だけでは、電源切れが起きる可能性があるのでAC 電源を使用する。
  • 定期点検とメンテナンス。
  • 確認が不十分であった
3 化学療法後の患者で、午前中に7mL/h で滴下中のカタボンH i が切れたためアラームが鳴った。ダブルチェック後に1人で交換するため訪室した。輸液ポンプが古いタイプのため、アラームを止めるために電源OFFのボタンを押した。交換した後に慌てていた事もあったため、実際に滴下するのを確認せずに電源ONのボタンを押し忘れて退室した。その日の深夜勤の看護師が巡回時にカタボンH i の輸液ポンプの電源がOFFになっている事に気が付き、すぐにカタボンH i 7mL/h でスタートした。その後、血圧は上昇したものの呼吸状態変化なく尿流出も少なかったため主治医へ報告した。 点滴が多く、他の作業にも慌てており、実際に滴下しているか確認不足であった。全身状態が悪かったため、何度も訪室し、随時点滴チェックにも訪室していたが、滴下数表示の部分のみしか見ておらず、残量がどのくらい減っているかまでは確認していなかった。輸液ポンプの作動確認はこれまでは実際に滴下しているか自分の目で確かめるようにしていたが、その時は他の作業に追われており慌てていたため確かめていなかった。新人も3ヶ月経過し、少しずつ自分で実践できる事が増えてきており、日勤でも一部屋を担当しリーダーがサポート体制を行っている。今回は新人1人で実践し、その後の確認をお互いにできていなかった。
  • 輸液の残量が自分の勤務帯でどの位減っているか、実際に滴下しているか、目で見て意識しながら確認を行う。
  • 輸液ポンプで点滴を施行、交換する時は、セットしてから点滴部から刺入部に向かって指示し確認を行う。その後、スタートを押して実際に滴下を確かめる。輸液ポンプの取り扱いに自信がつくまでは自分で一度セットし確認してから他のスタッフにも確認してもらうようにする。
  • チーム内で話し合い、輸液・輸注ポンプ作動時の確認を必ずリーダーと一緒に行っていく。(夜勤も同様にパート内でサポートしていく)
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった
4 IVH を輸液ポンプ(テルフュージョン輸液ポンプTE -112)で管理していたが処置の際、輸液ポンプのコードを抜き、喉頭鏡のコンセントと差し替えた。その後、他の患者の処置が続いていたので、受け持ちではないスタッフに後の処理を任せて次へ同行した。再度、確認に行くべきだったが、確認出来ないままコンセントを元に戻すのを忘れており、輸液ポンプの電源が落ちてしまっていた。IVH の閉塞を来たす恐れがあった。 アラーム設定の確認、バッテリー機能の確認ができていない。多くの電源やコンセントの利用状況の中で、機器用コンセントを効率良く機能しやすく安全に活用できていない。
  • コンセント活用状況を確認する。
  • 輸液ポンプのアラームやバッテリーを確認する。
  • スタッフ間での共有確認は、上記について改善する意識を持つ。
  • 確認が不十分であった
【回路】
5 コンクライトMg20mL を10mL/h で更新した。30分後に次勤務者との点滴ダブルチェックでシリンジからルートが外れていることを発見した。更新した際に挿入物チェックを行ったが、その際には異常がなかった。 接続後の確認を行っていない。20mL のシリンジにはルート接続部にロックがなく、接続が外れやすい(ロック式シリンジを使用しなかった)。
  • ロックシリンジを必ず使用する。
  • 接続時、確実に接続状況を確認する。
  • 確認が不十分であった
6 15時に研修医がランダ2mL/h をセットしていた。その後の投与中の深夜1時にシリンジ内の残量を確認時、目盛りがなく、シリンジが上下逆に設置されていた事に気付いた。開始後から指示通りの量は投与され、空気の注入など問題はなかった。日勤看護師は残量の確認をしておらず、準夜勤務の看護師は、目盛りが分からないまま目分量で判断していた。 研修医がシリンジをセットした際に、確認をする指導者がいなかった。各勤務で患者を担当した看護師は、いづれも1年目の看護師であり、勤務交代時のシリンジポンプのチェックができていなかった。
  • 新人へシリンジポンプ使用時の確認事項の再教育を行なった。
  • 特に、勤務開始と終了時の機器使用点検事項の遵守に付いての指導を行なった。
  • 確認が不十分であった

     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
7 アリメポンプ(輸液ポンプ)で高カロリー輸液を行なっている患者の点滴回路交換を行なった。その際、回路装着ルートを誤って逆側(ドリップから装着)から接続してしまった。そのままローラーの回転方向と逆側に回路を巻きつけ、作動させた。そのため、逆方向に吸引される状態になり、逆血した。一時間ほどして、血圧が低下してきてることに気付き訪室すると、高カロリー輸液と同じルートで点滴されていた、カコージンのパックに血液が逆流していた。血圧、脈拍ともに低下したが、すぐに、ルートを正しく装着して、患者の血圧も安定した。 接続時、輸液回路の装着手順を誤った。
  • アリメポンプの接続手順通りに施行することと、接続後の確認をしっかり行う。
  • 確認が不十分であった

     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
【設定・操作】
8 中心静脈栄養(フルカリック1号+KCL2A+SMC2A)を24時間で持続点滴を行っていたが、日勤看護師が12時に接続する際に、24時間ペース(40mL/h)のところを12時間予定(80mL/h)での流量速度で輸液ポンプを設定してしまった。夜勤看護師が20時の検温で訪室した際、流量設定の間違いに気付いた。患者は糖尿病の既往があり、インスリンの皮下注射を行っており高血糖になる可能性と、KCLが混注されていたので高カリウム血症になる可能性があった。 輸液速度(予定時間)を12時間であると思い込んでいた。接続時に注射伝票での確認が不十分であった(業務手順やルール、チェック方法を遵守していなかった)。
  • 注射の準備から施行における業務手順やマニュアルを再度確認し遵守すること。
  • 接続時に予定時間予定流量を再度確認する。
  • 必ず、ベッドサイドへ注射伝票を持っていき確認する。
  • 確認が不十分であった
9 ソリタT1 200mL を80mL/hで投与の後、次の点滴はソリタT3 500mL を20mL/h で投与する指示であった。PDA(携帯情報端末)で患者・点滴の照合をし、入力・薬剤・用法・照合者を確認した。20mL/h で点滴ボトルに時間割り振りのチェックをしたあと、別の患者の人工呼吸器アラームが鳴っていたため、いったんその場を離れた。その後、輸液ポンプの流量ボタンを押して流量変更をしたつもりで退室した。しかし、実際には流量のボタンを押しただけで、流量変更をしていないまま開始していた。約1時間後に別の看護師に指摘されて気付いた。 作業を途中で中断した。確認を怠った。再度確認を行なわなかった。指示が複雑であった。
  • 作業を中断せず、1つ1つの動作を確実に行なう。
  • 確認が不十分であった
10 テルフュージョン輸液ポンプTE-172にてカタボンHiを2ガンマで投与中の患者。当日カタボンHiからプレドパへ変更の指示あり、準備をして交換した。前の薬剤と同じ設定のまま、薬剤とルートを交換し開始した。1時間半後に当日のリーダー看護師が薬剤のチェックに入った際に、点滴ポンプの薬剤量と溶液量の設定が、カタボンHiのままになっており、流量が変更されていないことに気付いた。 これまでもドパミン投与用のポンプをチェックしていたが、薬剤変更に伴うルートの交換と設定入力は未経験であり、知識の未熟さと、投与開始時のダブルチェックが不十分であった。同ポンプチェックの際、薬剤量・溶液量までの確認が出来ていなかった。薬剤のドパミン含量の違いを正確に把握できてないまま取り扱っていた。
  • ドパミン投与用のポンプ使用時はチェック時・薬剤の交換時共、必ず薬剤量と溶液量の確認をする。
  • 薬剤内容変更時は、薬袋のドパミン含量と設定を照らし合わせ、ダブルチェックにて確認をする。
  • この種のポンプに関して、取り扱い方法の分からない人もいる為、再度業者へポンプ機器に関する取り扱いの説明会を依頼する。
  • 確認が不十分であった
11 生後12日目の患者で、高カロリー輸液剤をシリンジポンプを使用し注入していた。注射液の変更指示が出たため、薬液を作り、シリンジポンプにつなぎ変えた。その後、注射指示票と確認すると流量が違っていたことに気付いた。薬液変更とともに流量も変更になっていた。 薬液の変更とともに流量も変更になっていたが気付かなかった。流量設定を注射指示票を見て確認しなかった。流量の変更が多かった。
  • 注射の更新時は注射指示票の指示と確認する。
  • 確認が不十分であった
12 シリンジポンプでディプリバンを持続注入するのにディプリバンモードに設定していなかったため正常に作動せずアラームが鳴り、間違いに気付いた。 ディプリバンは専用のシリンジポンプで施行するが、安全管理上一般病棟ではディプリバンを使用しないことになっているため、通常は集中治療室にしか専用ポンプを置いていない。しかし、一般病棟で呼吸器装着中の患者の鎮静にディプリバンを指示された。当事者がディプリバン専用ポンプの取り扱いに慣れていなかった。
  • やむを得ず一般病棟でディプリバンを使用する場合があるので、スタッフは専用ポンプの使用方法を事前にマスターしておくよう研修をする。
  • 確認が不十分であった
【観察・管理】
13 末梢より輸液ポンプを使用し、80mL/h でドパストンを滴下していた。夜間体位変換前に巡視した時には、刺入部に異常は見られなかった。3時間後に医師が刺入部前腕の腫れ、刺入部周囲が発赤しているのを発見した。 多忙であったこと、輸液ポンプを使用していたため、滴下は大丈夫だという過信があったことから、十分に観察が行き届いていなかった。30分毎に点滴は見ていたが、5時半以降は刺入部の観察をしていなかったため、発見が遅れてしまった。
  • 体位変換前だけでなく、体位変換後にもしっかり刺入部まで観察する。
  • 輸液ポンプを過信せず、全身状態と滴下状態の確認を怠らない。
  • 刺入していない方の腕との左右差まで観察する。
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった
14 患者は持続注入ポンプにて1日1本(24時間)点滴が入っていた。本体の側管からはカタボンHiが3mL/h で持続点滴されていた。日勤帯で14時の時点(残440mL)でチェックがされていた。準夜帯最初のチェック時、14時チェック時点より少量しか点滴が入っていなかったが、日勤のメンバーがおらず、確認を取る事ができなかった。確認をしなければと思っていたが、他の患者の処置に追われ、点滴チェックが疎かになっており、結局、22時の点滴チェックの際、輸液が14時から少量しか滴下されていなかった。輸液ポンプの作動ボタンは押されておらず、ランプも点滅していなかった。14時のチェック時から量が減っていなかった為、14時チェック時以降より作動していなかった事になる。その間、アラーム音は一度も鳴る事はなかった。 輸液ポンプだと油断して確認が疎かになっていた。作業ボタンを確認しておらず、ランプの点灯も確認していなかった。輸液残量で点滴速度を変更しなければいけなかったが、それも徹底できておらず、作動ボタンを確認できていない要因となった。また、アラームも鳴っておらず、輸液ポンプの点検等も疎かになっていた。
  • 忙しい中でも必ずすべき事は優先順位を守って協力を得るなどして行っていく。
  • また、疑問に思った事は必ず引き継ぎの際に確認する事を徹底する。
  • 輸液ポンプの日頃の点検も行い、勤務始めには必ず作動を確認する。
  • 点滴挿入部から点滴ボトルまでのチェックの仕方、輸液ポンプのチェックについて再度チームで確認する。
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった
【その他】
15 ラステットを投与する際に、輸液ポンプはTE171を使用しなければならなかったが、通常の輸液ポンプを使用してしまった。遅れ気味で滴下していることに気付いたが、他の輸液を輸液ポンプで投与する際も度々起こりうることであったため、輸液量を増量して滴下し続けた。結果的に2時間で投与しなければならなかったラステットを2時間20分で投与した。 用意されていた輸液ポンプがラステット用でないことに気付かず、通常の輸液ポンプで滴下してしまった。滴下が遅れがちであることも、輸液ポンプの誤差範囲と誤った判断をして使用機器が間違っていることに気付くのが遅れた。その結果、2時間で投与しなければいけないラステットを2時間20分で投与してしまった。
  • ラステット投与時の専用輸液ポンプと輸液セットの存在の周知を徹底する。
  • 具体的には、しばらくの間各パートで申し送ること、ラステット専用輸液セットを病棟内に常置して、目にする機械を増やすことでラステット専用輸液セットと輸液ポンプの存在を周知する。
  • インシデントレポートとして病棟内のスタッフ間で周知して、同じ事故を起こさないように情報提供する。
  • 確認が不十分であった
16 患者からナースコールあり訪室するとシリンジポンプが点滴台の脚の上に落ちており、シリンジポンプ側から約10cm のルート部分が破損していた。患者に問うと「段差のところで(シリンジポンプが)落ちた。」「管(ルート)の途中から血が出ているみたいだ」とのことであった。輸液のルートは、2日前に交換したばかりであった。1時間程前にポンプをチェックしたときには、出血等なく、ルートはきちんと確認したが、シリンジポンプのネジは確認しなかった。 シリンジポンプのネジが緩んでいた可能性(シリンジポンプの下の部分と、輸液スタンドに固定する部分の2 つ)がある。輸液のルートがポンプの落下によって破損した可能性がある。
  • シリンジポンプのネジを定期的にチェックする。
  • ルートを確認する際は、破損がないかも確認する。
  • 確認が不十分であった

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例 (第11回ヒヤリ・ハット「ドレーン等」)

  具体的内容 背景・要因 改善策 調査結果
【頭部ドレーン】
1 クモ膜下出血、水頭症のため脳室ドレーンを挿入し、ドレナージ開始となった。ドレーンから血性排液が多量に流出しているところを発見した。ドレーンの確認をすると、フィルターの部分のクランプをしたままであったため、設定圧が下がり、多量の排液を促してしまっていた。CT 上、脳室の虚脱はなく、ドレナージ続行となった。 1 時間毎にしているドレーンのチェック項目を確認しながら開放にし、その後で、チェックリストに印をしていたため、もれがでてしまった。
  • ひとつ開放したらチェックリストにチェックをするなど、一つ一つチェックをしていく。
  • 確認が不十分であった
2 両側慢性硬膜下血腫にて、両側に血腫腔内ドレーン挿入中であった。CT検査に呼ばれたため準備をした看護師が両側ドレーンをクランプした。その後他の2人の看護師で検査に出し、帰室した。1 人の看護師は右側のドレーンを開放した。もう1 人の看護師は医師の指示でクランプをしていると思ったため、左側のドレーンを開放しなかった。 検査出しの準備をした看護師と検査に搬送した看護師が違った。看護師同士の伝達が不足していた。
  • クランプを開放するかどうかその日の担当看護師に確認する。
  • 確認が不十分であった
3 脳室ドレナージを一時クランプの指示のため、設定圧はそのままにクランプだけをした。口頭指示で「クランプ開放100mL まで」とあり、0点を確認不十分のままサイフォンの先端0cmH2O を見て開放した。ドレーンからの流出がないため次の勤務者が確認すると0 点が10cmH2O となっていた。 以前に同患者に対するクランプエラーが発生していた。医療安全管理委員会における審議の結果勉強会などの実施を伝えていたが、この事例が発生するまで対策は取られていなかった。原則はダブルチェックであるが、ひとりでクランプを開放した。勤務場所の異動後2ヶ月であり、ドレーンの管理に慣れていなかったため知識不足・経験不足であった。0点は変更されていないと思い込んでいた。
  • 勉強会を実施する。
  • 根本原因分析の実施をする
  • マニュアルの作成と整備をする。
  • 確認が不十分であった
4 看護師は脳室ドレナージ患者の看護は行ったことがなかったため、看護師は勤務前の情報収集の後、脳室ドレナージについて他の看護師に確認しようと思ったが、確認をとらないまま夕食が配膳されたため、他の患者と同様にベッドをギャッジアップをしてしまった。その後、移動時には圧が変らないように脳室ドレーンをクランプする必要があることが分かった。患者は頭痛の訴えは無く、経過観察となった。 脳室ドレナージについて理解できてない看護師が、患者の脳室ドレナージに管理にあたる場合に脳室ドレナージに管理について確認を行なわなかった。また、事前に脳神経外科看護についての学習が不足していた。
  • 初めての患者を担当する場合で、わからないことがある場合は事前に他の看護師に確認してから業務につく。
  • 脳神経外科看護について勉強する。
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
【胸部ドレーン】
5 胸水のため、ドレーン留置中の患者。これまでは-2cmH2O で間歇的に開放の指示であったが、当日より-10cmH2O で常時吸引の指示を受けた。排液バックの交換の時間と重なった為、新しいバックの吸引圧制御ボトルに蒸留水を指示通り満たし、他のスタッフとともにバックを交換し、常に開放の状態にしてその場を離れた。深夜勤務者がラウンド時に吸引器に接続されていないことを発見し(準備もされていなかった)、吸引器に接続した。 バック交換については本を見て、他のスタッフにも確認したが、吸引器に接続するという、ごく当たり前の手順であったため、そこまで確認するという意識もはたらかなかった。
  • 不慣れな器具や処置は必ず熟知した人とダブルチェックをする。
  • 知識の欠如を十分自覚し、そのことを周囲に伝え、スタッフだけでなく受持ち医にも実際に見て確認してもらうなどの予防策をとる。
  • 確認が不十分であった
6 胸水貯留のため、右胸腔ドレーン挿入中であった。体位変換後、寝衣が胸水で汚染されていた。低圧持続吸引器に繋がっていない方の三方活栓が取れ、胸水が流出していた。三方活栓はオムツの中で見つかった。ドレーンには逆流防止弁が付いており感染の危険性は低いと考え、経過観察とした。 当事者は当ドレーンを扱った経験がなかった。ダブルチェックの際、ルートを全て触って確認していなかった。CCU(集中治療室)勤務経験の浅いスタッフ同士のダブルチェックであった。
  • 経験のない処置、ドレーン類の取扱いは事前に学習または先輩に確認しておく。
  • 挿入されているカテーテルの構造を理解する。
  • ドレーン類は挿入部から排液バッグまで確認する。
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった
7 右乳癌術後で、SB バック(ドレーン)を挿入されていた。2時間おきに、SB バックの排液量の観察を行っていた。勤務中、ミキシングをしても全く排液がなく、その原因はSB バックのクレンメが閉じてあり、閉塞状態であったことを、深夜勤務者から聞いた。 SB バックとリリアバックの使い方を同じだと思いこんでしまい、クランプがあるとは知らずに業務に至ってしまった。
  • 初めて見る物品は思いこまず、必ず確認する。
  • 知らないまま業務に就かない。
  • 排液が全くないことをメンバーに伝える。
  • 確認が不十分であった
8 自然気胸のためメラサキュームで持続吸引している患者が、胸部CTに呼ばれた。担当看護師は電源を切り、ドレーンをクランプして検査に搬出した。主治医が胸部CT画像を見て肺が膨張していないことに気付き、クランプをしていけないことの指摘をした。 持続吸引している患者の検査の際の注意事項の知識不足であった。胸腔ドレナ-ジ管理の知識不足であった。胸腔ドレナ-ジしている患者の移動時の注意事項等、情報共有がされていなかった。
  • 胸腔ドレナ-ジ管理の知識の習得、勉強会等を行う。
  • カテ-テルをクランプする時、してはいけない時の情報を共有する。
  • 患者にもドレナ-ジ時の注意事項をよく説明し、協力を得る。
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
9 医師の回診時に、胸腔ドレーンより洗浄が行なわれていた。洗浄時に、医師によりドレーン(アスピレーションキット)のクレンメが操作されていたが、医師からの申し送りはなかった。洗浄が終了し、クランプ鉗子を用いて胸腔ドレーンのバッグ交換を行ったが、クレンメがクランプされていることに気付かなかった。 ドレーンチェック時に、排液が増加していた為、クレンメの状態を確認しなかった。胸腔ドレーンの洗浄後、クレンメが開放されていると思いこんでいた。
  • ドレーン挿入部から排液バッグまでのルートを屈曲や閉塞、破損がないか、訪室しドレーンチェックする度に確認する。
  • 胸腔ドレーンにクレンメをつけないように医師と調整する。
  • 確認が不十分であった
10 左肺に胸水貯留している為、アスピレーションキットが挿入されていた。医師の指示で30分間ドレーンを開放し、その後クランプしていた。翌朝、医師からドレーン開放し、排液が1500mL 流出した時点でクランプするように指示を受けたため、ドレーンの鉗子をはずした。その後、アスピレーションキットのクレンメが開放されていない事に気付き、ドレーンがクランプされたままであることを発見した。 1人でアスピレーションキットを操作したことがなかった。アスピレーションキットにクレンメ、三方活栓がついていることを知らなかった。トロッカーカテーテルと同じ操作でよいと思い込んでいた。ドレーン開放時、挿入部からバッグまでのドレーンをたどって確認していなかった。
  • 点滴と同じように、挿入部からバックの接続まで問題ないかたどっていく。
  • カルテでの情報収集、申し送りを受ける時点で使用しているドレーンの種類、管理方法を理解しておく。
  • ドレーンの基本的管理方法について学習し直す。
  • 初めての操作の時は、リーダーなどと操作確認を行う。
  • 確認が不十分であった
11 右自然気胸の手術が終了し、手術台から4名で介助し、患者用ベッドに移動する際、胸腔ドレーンが手術台レールに引っ掛かっており、胸腔ドレーンが抜けた。すぐに圧迫、縫合した。その後レントゲン撮影し、肺の膨張に異常なくドレーンは再挿入せずに経過観察し、患者は予定通りに退院した。 移動時には声をかけて一斉に行っているが、「チューブ類よし」などの掛声がなかった。ベテランが行っていることが多かったが、その時は不在で、誰が声をかけるか決めていなかった。ドレーンは挿入部の固定のほかに1か所エラテックス絆創膏で固定しているが、慣れていないスタッフで固定するのを忘れた。胸部ドレーンバッグなどを持った者がライン類の確認をすることになっているが、忘れていて注意していなかった。
  • 移動時の声をかけるスタッフを決めておく。
  • ドレーン固定を確実に行うように手術前に絆創膏を切って準備しておく。
  • チューブ管理の責任者はチューブ確認を徹底をする。
  • 確認が不十分であった
12 胸水ドレナージを施行し、2 時間で1500mL の排液予定であった。30分毎に訪室し、排液の確認を行った。看護師が訪室し、排液されているかを確認し流出には問題は見られなかった。その後再び看護師が排液を確認するため訪室したところ、排液が止まっていることに気付いた。ドレーンの状態を確認したところ、三方活栓の蓋がなく、また、三方活栓が開放されており、そこから刺入部まで空気が満たされていること、刺入部は固定がされておらずハッピーキャスの翼状になっている部分が2cm ほど飛び出ているのを発見した。緊急でトロッカー留置術が施行された。その後、呼吸苦や胸痛の訴えはなく、経過観察となった。 胸水ドレナージ施行中に、ドレーン上の三方活栓の状態を確認しなかった。ハッピーキャスがしっかりと固定されていなかった。排液の流出を確認する際に、三方活栓の状態まで確認できていなかった。
  • ドレナージをする際には、ドレーンに問題がないか確認する。
  • 流出を確認する時には、三方活栓の向きや刺入部の確認も行なう。
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった
13 患者は左右胸腔ドレーンを留置しており、持続吸引していた(歩行時ウォーターシール可)。受け持ちが、左右のドレーンバックを交換した。翌日回復室から自室へベット移動する際、ドレーンバックの水封部に水が入っていないことに、医師が気付いた。 ドレーンバック交換時にマニュアルを参照しなかった。水封部に水を入れなければならないという認識はあったが、入れる方法を正しく理解していなかった。交換後もドレーンバックの観察を行っていたにもかかわらず、水封部に水がはいっているかの確認をしていなかった(観察点のマニュアルを徹底していなかった)。交換から発見までの勤務者もドレーン挿入時の確認が徹底されていなかった。  
  • 観察が不十分であった

     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
14 心のうドレーンと前縦隔ドレーンを接続後、低圧持続吸引に記載する表記を反対につけてしまった。 ドレーンを接続後、すぐ低圧持続吸引に表記せず、後回しにした。
  • ドレーンを接続後直ちに低圧持続吸引に表記する。
  • 確認が不十分であった
15 患者はPTCD挿入中であり、1日1000mL 排液後、クランプの指示があった。回診時より開放し、1000mL の排液あったため、付属の三方活栓にてクランプしていた。その後ナースコールがあり、患者は「何かにひっかけて知らないうちに開いてしまったらしい。腹が少し楽になった」と話す。排液はすでに650mL あり、三方活栓は閉じた状態になっていた。患者自身で三方活栓を閉じたと話した。三方活栓を閉じ、鉗子でクランプをし経過観察をした。 患者の行動範囲を確認できていなかった。患者に危険性について説明が足りなかった。三方活栓がすぐに動いてしまう仕組みだった。
  • 患者に危険性についての説明を行う。
  • 三方活栓がすぐに動くものから、固定できるようにする。
  • 確認が不十分であった
16 右乳がん手術後、胸水が貯留しており右胸腔ドレーン挿入していたがレントゲン写真上抜けかけていた。前日までは正しく挿入されていた。胸腔ドレーン挿入部は固定テープを2ヶ所しており、マーキングされていたが、ドレーン挿入部はたくさんのマーキングがされていたため、どれが初回マーキングしていたものか不明であった。ドレーンの5cm と10cm のところにマーキングされていた。 挿入部のマーキングが多数あり、どれが正しいのかわからなかった。
  • マーキングは正しく行う。(変更があれば誰が見ても分かるようにマーキングする。)
  • 看護師もレントゲン写真を見てドレーンの位置を観察する。
  • 確認が不十分であった
【腹部ドレーン】
17 術後ドレーンが6 本と多く、腹腔内持続洗浄を行っていた。末梢の側管より点滴を開始しようとして持続洗浄ラインと似ていたために、間違えないように気をつけていた。ラインをたどって確認するマニュアルになっていたが、途中から目視で確認し持続洗浄されていた三方活栓から接続してしまった。回診に回っていた医師が発見した。患者には変化がなかった。 末梢のラインと腹腔内持続洗浄に使用していたラインが同じであった。
  • 末梢ラインを閉鎖式ラインに変更した。
  • ラインに目印をした。
  • 確認が不十分であった

     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
18 回診時に左横隔膜下ドレーンの脇の漏れが多量にあり、腹帯・寝巻き、固定のテープにも排液汚染がある事を発見した。そのため回診後に寝巻き交換、固定部の包帯交換を行った。テープの浸出液で汚染が強く、固定も頑丈で素手で固定は取れなかった。そのため切り込みいれようと慎重にハサミを使用したが、つい力を入れすぎてドレーンに傷をつけてしまい、そこから排液が漏れた。すぐに逆流防止のため医師に報告し、損傷部消毒した後、テガダームテープで3重に補強し経過観察するよう指示を受けた。排液、圧の漏れはなく、陰圧がかかっており、特に患者に影響なく経過した。 ドレーンの包帯交換を素手で取る事はかなり困難に思い、ハサミを使用する事を禁止されていたが慎重に行えば問題ないと思ってしまった。先輩に相談せずに自分自身の判断で勝手に行動してしまった。処置中に患者に話かけられて少し注意がそれてしまった。
  • 処置で困った時は自分ひとりで判断せずに必ず先輩に相談してから行動する。
  • ドレーン類の近くで処置を行う場合、ドレーンを傷つけてしまう可能性のある器具は絶対に使用しない。
  • J-VACの仕組みから、管を傷つけてしまうと逆向性感染リスクが上昇してしまうという危険性の意味を考える。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
【その他】
19 下垂体腫瘍のため入院中の患者に対し、スパイナルドレーン挿入中であった。準夜、深夜を通して3mLしか排出されていなかった。排液中に浮遊物があり、拍動も弱めであったことから、患者の背部を確認するも屈曲部が見当たらなかった。同じ夜勤者の看護師に相談し、様子観察する事となった。夜勤から日勤へ申し送り、日勤者が患者の観察へ行ったところ、背部にドレーン屈曲があり、ミルキングにて流出をし始めた。 先輩看護師に相談するだけでなく、実際に患者のもとへ行き、一緒に確認できていなかった。ドレーンの拍動が弱い事や浮遊物があることから、閉塞や屈曲を考え、ミルキングや刺入部、背部の観察をきっちりと行うべきであった。
  • 観察を密に行う。観察方法を確認する為、病棟内でカンファレンスを行った。
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった
20 食事が終わりベッドのギャッジダウンをした際、三角巾がはずれて腰のほうに落ちているため直そうとしたところ皮下ドレーンが抜け出ている事に気付いた。食前、ベッドをギャッジアップした時には三角巾の中までの確認はしていないが上層ガーゼは汚染なく、排液の量も増えていた(この時は排液が30mL から40mL に増えているように見えた)のでドレーンは有効であると判断した。排液バッグを手持ちの紙絆創膏で固定した。ギャッジアップは電動ベッドであったので横に立ち患者の様子を見ながらであった。食後訪室時排液バッグの固定テープははずれていたがルートは十分余裕のある長さであった。どの時点でドレーンが抜けていたかは不明である。 食事前にドレーンは有効(この時点では抜けていない)と判断したが、排液量の確認(正確な量を見れるように十分に垂直に出来ていなかった)や上層汚染の確認(三角巾の上から一方向から見ただけで注意深く後ろのほうにまで気を配ってはいなかった)が曖昧であった。ギャッジアップ前に排液バッグの固定をする際、紙絆創膏で固定をした。ギャッジアップ後ルートは確認したが三角巾のずれがないかにまで注意を払っていなかった。その時点では確認したつもりが後で思い返した時にどうであったかが曖昧なのは確認項目を確実に確認出来ていなかった可能性がある。
  • ドレーンの固定はトランスポアで行う。
  • 排液バックの量の確認時は垂直にし誤差が少ないようにする。
  • 上層汚染確認は確実にチェックする。
  • ドレーン挿入中、体位を変えた前後などドレーンだけでなく三角巾など固定に関するものにも十分に注意を払う。
  • 確認が不十分であった
21 手術室から病棟のストレッチャーへの移動時に、患者の背部に挿入されていたドレーンが、テープと共にシーツに貼りついた状態であり、移動時に5 人で移動をしたにもかかわらず、患者を確実に持ち上げる事が出来ず背部を引きずってしまった。 ドレーンの刺入部は縫合されていなかった(執刀医の方針で、ドレーン刺入部のガーゼを開放しないため)。
  • ベッドの移動時には、十分な人員の確保を行い、実施する。
  • 背部の創や、ドレーンのテープ固定について、移動時の安全が確保されるような方法を、スタッフと共に検討していき、医師とも糸針固定など、すぐ抜去されないような固定方法を検討する。
  • 整形外科脊椎班内でドレーンの固定(縫合糸による固定)について検討中である。
  • 確認が不十分であった
22 スパイナルドレーン挿入中の患者がCT より帰室した。別の看護師がドレーンの圧設定を行いこのときにドレーン解放後の髄液搏動を確認していなかった。体位を整えようと患者を側臥位にしたら、寝衣が濡れており、背部のスパイナルドレーンが切断されているのを発見した。 CT の移動の際ドレーンを体の下に敷いたまま移動させた可能性がある。
  • 移動の際には責任者を決めドレーンの名称とルートの状態を確認する。
  • ドレーンは必ず刺入部より末端部まで確認する。
  • 確認が不十分であった
23 スパイナルドレーン留置中の患者。ドレーンの高さと外耳孔の高さ調整を行うために体位変換を行った。その際、枕にドレーンがかかり、切断してしまった。医師に報告し、ドレーンを抜去し経過を観察した。 ドレーンの位置を体位変換前に確認できていなかった。
  • 体位変換を行う際には、ドレーン、点滴ルートなどの確認を行い実施する。
  • 確認が不十分であった
24 硬膜外チューブを固定する際、テープが長すぎたため医師より「切って」と言われた。患者の体位固定をしていたため、はさみを持つ手しか自由にならず、硬膜外チューブは医師が把持してくれた。いつものように、患者の首元でテープを切った。しかし、テープが半分しか切れておらず、残りの半分を切る際に、テープにチューブがひっついてきてしまったためにチューブと一緒に切ってしまった。 外回りスタッフとの連携がうまくいかず、体位固定をしているスタッフがテープを切らなくてはいけなかった。また、テープも切りにくく、二度もはさみを入れなければいけなっかた。
  • 体位固定をしているスタッフがテープを切るのではなく、外回りのスタッフがテープを切った方がよい。
  • 硬膜外チューブを固定する際は、患者の首元でテープを切るのではなく、頭側から下肢側へテープで固定する。
  • テープが長い場合は患者に触れないようにはさみで切る。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
25 整形外科の手術後にSB ドレーンが留置されていた。帰室時、SB ドレーンの風船と吸引ボトルの切続面がマーキングされていた。1 時間ごとにドレーンと排液の観察を行っていた。マーキング部分は風船と吸引ボトルの切続面ではなく、風船全体の輪郭をマーキングしていると思い込んでいた。1 時間ごとにチェックしている際に徐々に風船がしぼんでいき、0 時のチェックに明らかに小さくなっていたため、看護師に相談し一緒に確認を行なった。その際、マーキングの意味を取り違えていることに気付いた(マーキングの意味を取り違えていたため、本来よりも低い圧でドレナージされていた可能性がある)。看護師と共に風船をマーキングの部分まで膨らませ、その後、整形外科の当直医、小児科医に報告した。インシデントの前後で、排液量に大きな差はなかった。 SB ドレーンについての知識が不十分であった。当病棟にドレーン留置の患者が少なく、知識や実践が不十分であった。日勤と夜勤勤務者の情報の伝達が不十分であった。
  • ドレーンについての知識を深める。
  • 実際に留置している患者を見る前には、手順や参考書を必ず目を通す。
  • 不明であれば、ドレーンについての知識のある他のスタッフに依頼して説明してもらうようにする。
  • 勤務交替時には、申し出るスタッフが確実にドレーンの確認を行なった状態で、次の勤務者に申し出るようにする。
  • 確認が不十分であった

     
  • 連携
【部位不明】
26 イレウス管挿入予定の患者で、挿入後瘻孔造影を急遽行うことになり、ドレーン刺入部固定に使用されていたオプサイトを医師がはがした時に縫合が外れていることを発見した。造影の結果、ドレーンの位置にずれはなく再度縫合をして刺入部の観察がしやすいようにオプサイトで固定をした。 造影の結果、ドレーンの位置にずれはなく再度縫合をして刺入部の観察がされやすいようにオプサイト固定をした。オプサイトの上からでは縫合が外れているようには見えなかった。
  • テープをはがす際には縫合が外れてしまっていることも考え、ドレーンを押さえながらテープ除去をする。
  • 確認が不十分であった

     
  • 観察が不十分であった
27 他のチームの患者からナースコールがあり、持続吸引器の吸引圧設定がおかしいといわれたため訪室した。吸引器はコンセントが刺さったままで、圧設定がされていなかった。患者が、「先ほどまでコンセントを抜いてベッドを離れていた」と言ったため、電圧低下により電源が落ちてしまったのではないかと思った。吸引器にぶら下げてある吸引圧チェック板に「-7cmH2O」と書いてあったため、その通りに設定した。詰所に戻り、患者のチームの検温者と指示簿を確認したところ、1時間前に医師により、ウォーターシールに変更されたばかりであった。検温者は、そのことを把握していた(吸引圧設定して作動後、5分経過していた)。 確認不足、記録・記載不備、勤務多忙、当直・夜勤、同職種者間の連携不適切、思い込んでいた。
  • 他のチームの患者の処置は、チームの検温者に確認するか、指示簿で確認してから行うようにする。
  • 吸引圧チェック板の表示は、圧の変更があったらすぐ書き直す。
  • 患者本人にも設定の変更などについて説明するようにする。
  • 確認が不十分であった

     
  • 記録等の記載

     
  • 連携

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例 (第11回事故「人工呼吸器」)

  分類 発生場所 事故の程度 事故の経緯 調査結果
1 回路 救命救急
センター
障害の可能性
(低い)
体位変換のため看護師3 人で体を頭側に動かそうとした際、頚部が過伸展の状態となった。医師が顔面チアノーゼに気付き、SpO2(動脈血酸素飽和度)低下と人工呼吸器表示での一回換気量の異常値を認めた。気管チューブが逸脱していると判断し気管チューブを抜去した。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
2 回路 ICU 障害の可能性
(低い)
日勤帯で看護師が加温加湿タイプの小児用人工呼吸器(サーボベンチレーション300A)回路の組み立てを行い、ICU(集中治療室)の医師が人工呼吸器の作動点検をった。人工呼吸器管理を開始後、換気量が低下し、医師が気管内チューブの入れ替えを行ったところ気管内チューブの先に器質化した痰が詰っており閉塞していた。人工呼吸回路組み立ての際に、吸気側につけるべき加湿器が呼気側に付いていたため7時間加湿されていなかった。
  • 確認が不十分であった
3 回路 病室 障害の可能性
(なし)
体位調整時、人工呼吸器(ニューポートHT50)の送気口に接続してあった蛇管が外れ、アラームが鳴った。誤って外れた蛇管の先端を患者からの呼気の排出口に接続した。
  • 確認が不十分であった

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例 (第12回事故「人工呼吸器」)

  分類 発生場所 事故の程度 事例概要 調査結果
1 回路 病室 不明 看護師は、人工呼吸器(レジェンドエア)の高圧アラームが鳴ったため体位を軽度の右側臥位から仰臥位へ変換した。
SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)を確認しその場を離れた。別の患者の対応中、別の看護師が呼吸器とモニターのアラームが聞こえたため、確認すると気管カニューレと回路が外れていた。
  • 確認が不十分であった
2 回路 病室 障害の可能性
(なし)
回路交換の4 日後、人工呼吸器(BIRD8400STi)点検中に回路の組み立てがおかしい事に気付いた。
本来ならば呼気弁ボディ(機器本体から呼吸回路へ接続する部分)にフローセンサーを接続するところ、フローセンサーと呼吸回路が接続できたため、誤って接続してしまった。
  • 確認が不十分であった
3 回路 病室 障害の可能性
(低い)
看護師が一人で患者を側臥位にした際に、加湿器のアラームが鳴りアラームを止め確認したが問題はなかった。その後、人工呼吸器(CV5000)のアラームが鳴り出しSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)が降下した。人工呼吸器の加湿器の蛇管の接続が外れているのを発見した。
  • 確認が不十分であった
4 回路 病室 死亡 患者は気道内圧の上昇が続き、ファイティングを起こし気管カニューレが外れやすくなっていたため呼吸器(サーボ900E)設定変更や鎮静剤の使用、気管カニューレの固定の補強等で対応した。その後詰所のモニターが徐脈を示しアラームがなったため看護師が訪室すると、人工呼吸器の蛇管と気管切開部のボーカレートの接続チューブが外れていた。
  • 確認が不十分であった
5 その他 ICU 障害の可能性
(高い)
ICU(集中治療室)にて術後胸部レントゲン撮影を行なった。その際、背部に厚さ1.5cm のカセッテを挿入するため、人工呼吸器( ベンチレーター840) を装着した患者の上半身の上げ下ろしを医師2名、看護師1名、放射線技師1名で行なった。直後、血中酸素飽和濃度が不安定となり不整脈出現し、気管内吸引試みるがチューブ挿入できず、気管支鏡にて気管カニューレの逸脱が判明した。
  • 確認が不十分であった

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例 (第13回事故「人工呼吸器」)

  分類 発生場所 事故の程度 事例概要 調査結果
1 酸素供給 放射線撮影室 障害残存の
可能性(高い)
医師2名と看護師1名が、研修医1名に人工呼吸器(ポータブル人工呼吸器パラパック200D)を装着した患者の観察を任せ、検査室である現場を離れた。酸素を救命センターから持参した酸素ボンベから供給する予定であったが人工呼吸器に酸素配管が未接続の状態であったため患者は一定時間の無酸素状態となり、一時的に心停止した。
  • 確認が不十分であった
     
  • 観察が不十分であった
2 回路 病室 死亡 気管切開部より人工呼吸器(ザビーナ)のアラーム音消すため、人工呼吸器から気管チューブを外し、テストバックに繋ぎ看護師2人で処置を実施した。1 時間半後、受持ち看護師が部屋に入るとテストバックに繋がったままの状態であった。
  • 確認が不十分であった
     
  • 観察が不十分であった
3 回路 病室 障害なし 注入食終了のため受持ち看護師が訪室すると、顔色チアノーゼが出現し、意識消失、SpO2低下していた。人工呼吸器(LP - 6 PLUS)点検の結果、人工呼吸器裏面にある酸素接続回路が外れていた。
  • 確認が不十分であった
4 回路 不明 死亡 訪室時、気管切開カニューレと人工呼吸器の接続回路が外れているのを発見した。外れていた時間は1分20秒であった。リザーバーバッグで加圧換気を開始したが心肺停止となった。
  • 確認が不十分であった
5 回路 病室 障害の可能性
なし
看護師は患者の人工呼吸器回路を片手で気管カニューレと接続し、次の部屋へ移動した。PHSに当該患者のモニターのアラームの表示がされたが、前からモニターのノイズが頻回に出ていたため、今回もノイズだろうと判断してPHSを切った。もう1度当該患者のアラームの表示が出たので隣のナースセンターへ行き、モニター画面を見た。すると心拍数が38 で人工呼吸器(LTV1000)のアラームも聞こえた。患者の部屋へ行ったところ気管カニューレとフレックスチューブの接続が外れていた。
  • 判断に誤りがあった
6 回路 その他 障害なし 救命センターから病棟へ移動し脳卒中集中治療室へ入室した。救命センターで装着した人工呼吸器(LTV1200)はそのまま使用した。作動確認も複数で行い、正常に作動していたが患者の呼吸状態が悪化し一時的に心停止したため心臓マッサージにて心拍再開した。その時点でアラームは鳴らなかった。その後、人工呼吸器にテストラングを付けリーク等の点検したが異常のないまま作動しなかった。まもなく業者が来て作動点検したところが同様であった。主電源を切り蛇管やウォータートラップ等を接続し直す作業を行い作動開始した。業者によるとウォータートラップのリークが原因ではないかとのことであった。
  • 確認が不十分であった
7 回路 病室 不明 夜間、人工呼吸器(LTV1200)の分時換気量下限アラームが頻発して鳴るため、リークを疑い確認したが異常はなかった。当直医は救急外来で蘇生対応中、ME は緊急手術で対応困難であったため、他科の医師が来てジャクソンリースで加圧開始し、患者に異常は見られなかった。その間に点検したが異常個所は見つからなかった。2 時間後、業者が呼気弁のズレを発見した。業者の調査により呼気弁部分のダイヤフラムがケース内でズレてきちんと接続されていない状態になっていたことがわかった。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
8 加温・加湿器 病室 障害なし 人工呼吸器(LTVシリーズ)の加温加湿器に給水(チャンバーと呼吸器回路を外し給水)した。訪室途中で処置介助に呼ばれたため中断し、退室時、人工呼吸器のアラームに気付き「LOW」の表示であったため点検したが異常なしと判断した。2~3分後処置のため隣室に入り、患者の人工呼吸器のアラーム音に気付き訪室すると、顔面チアノーゼを呈している患者を発見した。人工呼吸器を点検した結果、加湿チャンバーの給水キャップの外れを発見した。
  • 確認が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例 (第11回事故「輸液ポンプ等」)

  事故の発生過程 事故の程度 事例概要 調査結果
【シリンジポンプ】
1 設定・操作 流量設定 障害の可能性
(なし)
シリンジポンプ(テルフュージョンシリンジポンプSTC525)にて持続注入中の麻薬フェンタニール12A+生食26mL を更新し、1回の早送り6mL 施行、その後6mL/h 時間で開始した。40分後残量アラーム音が鳴り訪室すると、設定流量が60mL/h 時間になっていた。
  • 確認が不十分であった
2 設定・操作 流量設定 障害の可能性
(なし)
夜間、ドルミカム注入に使用しているシリンジポンプ(テルフュージョンシリンジポンプTE331)の残量アラームが鳴り、看護師は他看護師と確認を行い注射薬を交換した。流量指示は3mL/h から2mL/h に変更されていた。電源を切り再起動し、流量を2mL/h に合わせた。2時間後、終了アラームが鳴ったため他の看護師が訪室し、確認すると流量が20.0mL/h となっており10倍の速度で実施していた。
  • 確認が不十分であった
3 観察管理 刺入部 障害の可能性
(低い)
低カルシウム状態で治療のため、持続点滴( 右下肢) の側管より、カルチコール2mL +注射用蒸留水2mL を4mL/h で持続点滴と同時にシリンジポンプ(アトムシリンジポンプ1235N)を使用して静脈注射施行が開始された。点滴3日目右大腿から下腿にかけ腫脹あり、点滴を抜去した。右足、下腿外側から、後方の皮膚と右足関節に硬結を認め、点滴漏れの影響が考えられた。 ・観察が不十分であった
4 観察管理 観察管理
(その他)
障害の可能性
(低い)
輸液ルートを移動した時、シリンジポンプを使用していたヘルベッサーのルートの三方活栓が閉塞したままとなっており、血圧の上昇があった。シリンジポンプの微量投与の設定では、閉塞アラームが鳴るのに時間がかかるなどの知識が不足していた。
  • 観察が不十分であった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例 (第11回事故「ドレーン等」)

  発生場面 事故の程度 事故概要 調査結果
【胸部ドレーン】
1 挿入時・留置時 障害の可能性
(低い)
弁置換術後、心のう縦隔ドレーンが挿入されていた。腹部膨満感がありエコー下での腹腔穿刺で腹腔内に大量の血性腹水の貯留を認めた。緊急手術で心のう縦隔ドレーンが腹膜を貫いているのが発見された。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
2 挿入時・留置時 障害の可能性
(低い)
胸水穿刺を行ったところ強く陰圧をかけなければ引けてこないほど粘調であった。検査上、膿胸と判断し、レントゲン、エコーで膿胸腔と脾臓を確認しトロッカーカテーテルを挿入した。レントゲンで位置を確認したところ腹腔内に迷入していた。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
3 観察・管理 障害の可能性
(なし)
看護師は右胸腔ドレーンバックの排液が1300mL 溜まっており、翌朝まで排液バックが許容できないと判断し、当直医師に報告し、医師よりドレーンバック内の排液を吸引器で吸引するよう指示を受けた。1本の鉗子でドレーンをクランプ(閉塞)し、吸入器で600mL吸引したところ、患者から「苦しい」と訴えがあった。ドレーンのクランプが不十分で肺に空気が逆流したと考えられた。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
4 観察・管理 不明 気胸のため胸腔ドレーンを持続吸引していた患者を病室から処置室に移動する際、ドレーンバッグの排液が胸腔に逆流しないように看護師はドレーンをクランプ(閉塞)した。移動後、クランプを外すのを忘れ吸引が再開されなかった。患者の酸素飽和濃度が下がったため、ドレーンを確認しクランプのままであることに気付いた。
  • 確認が不十分であった