独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成22年度 第1回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医療機器関連事例) 別添1

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  No. 報告回 発生分類 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果








1 第20回 回路 人工呼吸器(サーボベンチレーター900C)の呼気分時換気量アラームが頻回になり、吸引等を実施したが改善しないため、準夜勤看護師が当直医師Aに連絡した。患者のSpO2低下はなかったが、発汗多量に認められた。当直医師Aが人工呼吸器のアラーム設定を変更するが、同様に呼気分時換気量アラームが鳴るため、医師Bへ連絡した。医師Bが人工呼吸器回路を患者より外し、テスト肺にて確認すると、テスト肺はほとんど膨らまず、しぼまない状態だった。そこで人工呼吸器で使用しているバクテリアフィルター(サーボガードWT)を外した回路にテスト肺を装着すると問題なく作動した。人工呼吸器よりバクテリアフィルターを外した状態で、患者に装着し、その後患者の状態に変化なく、呼気分時換気量アラームも鳴らなかった。バクテリアフィルターは、サーボベンチレーター専用のものを使用していた。バクテリアフィルターのウォータートラップ部分に水分の溜りが1/3程あった。 人工呼吸器の回路交換が1回/週実施することになっていたが、決められた曜日がその週は祝日であったため予定日に実施されていなかった。人工呼吸器の回路交換日の明示や、交換後の実施記録がなかった。ネブライザー使用によるバクテリアフィルターの目づまりの可能性について認識がなかった。バクテリアフィルターは当院では10年以上前から長期に渡って購入していた。その間、添付文書について業者から説明はなく、当該事例発生後、初めてバクテリアフィルターの添付文書の存在を知った。医療機関が添付文書の発出や変更をひとつひとつチェックしていくのは大変な現状がある。このバクテリアフィルターは人工呼吸器回路を構成する一部品であることから、製品取扱い(または納入)業者による使用者向け説明会等や安全管理責任者への情報提供の機会を利用して、最低限注意すべき事柄が使用者に通知され、添付文書内容も含む最新の製品情報の追加入手も大切と考えられる。
  • 人工呼吸器(サーボベンチレーター)の取り扱いについて勉強会開催する。
     1) アラームの意味とその対応、ケア
     2) 人工呼吸器回路のセッティング及び注意事項
  • 人工呼吸器の回路交換実施後、記録に記載する。
  • 人工呼吸器(サーボベンチレーター)についてはバクテリアフィルターは必須ではないため、危険性を考慮し、使用の有無について検討後、決定する。
回路用フィルターを取付けた人工呼吸器を使用中にネブライザーを併用したところ、当該フィルターが目詰まりを起こす事例については、これまでに同様の事例が報告されており、平成14年1月9日付医薬安発第0109004号「人工呼吸器等回路用フィルターの自主点検について」により、すでに添付文書に併用を禁止する旨の記載がされているところ。
 

製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(事故事例)

  No. 報告回 事故の
程度
分類 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
  【熱傷】







2 第20回 死亡 不明 上部消化管癌術後の患者が、重症の術後肺炎のため呼吸困難に陥り、人工呼吸器管理・ICU管理となった。呼吸管理が長期に及ぶため、経口挿管から気管切開部からの挿管へ切り替えることとなり、気管切開術を施行した。消化器外科の医師が、電気メスを用いて気管を切開している際、すでに挿入していた気管チューブの一部に引火し、患者は気道熱傷を起こした。 患者の血小板数が約2万と非常に少なかったため、前日に血小板輸血を行った。それでも、血小板数が約6万であり、出血の危険性が高かったため、電気メスを使用した。患者は手術後の重症肺炎のため人工呼吸器管理下を行っていた。気管切開術は、患者に負担を与えるため、酸素濃度は100%で行っていた。
  • 本事故内容については、院内全体に早急に周知を行った。
  • 今後、事故調査委員会を含めて、具体的な再発防止策について検討を行う予定である。
電気メスの添付文書には、【警告】欄に酸素などの支燃性ガスの存在下では使用しないことと記載されており、また、気管チューブの添付文書には【警告】欄等に電気メスを使用する際には気管チューブに接触させないことがすでに記載されている。なお、これまでに同様の引火事例が集積されており、PMDA医療安全情報No.14を作成・配信するとともに、関係業界団体も本事例に関する安全情報等で注意喚起を実施しているところ。
 

製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(事故事例)

  No. 報告回 事故の
程度
分類 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
  【速度間違い】





3 第20回 障害
の可能性(低い)
準備段階 患者に塩酸モルヒネ1000mg+生食14mLをシリンジポンプで0.6mL/hで投与していたが朝6時に0.4mL/hにポンプの設定を変更した。その後、深夜看護師は患者を車イスでトイレに誘導した。その際、ポンプの本体からコンセントをはずし、病室に戻って来てコンセントを差し込んだ。ポンプのアラームは鳴らなかった。2時間後深夜看護師はモルヒネ残量14mL、0.4mL/hで注入していると日勤の受け持ち看護師に申し送った。受け持ち看護師は、輸液の残量の確認をしたが、設定値の確認をしなかった。昼、ポンプのアラームが鳴り他チームの看護師が訪室した。その時、輸液の残量が0mLでポンプの流量設定値が4mLになっているのを発見した。 深夜看護師がシリンジポンプ設定値入力を間違えた。深夜、日勤看護師ともマニュアル通りにポンプチェック表に沿って設定値を声だし、指差し確認をしなかった。院内ルールが行動レベルで習慣化されていなった。日勤看護師は新人で先輩看護師から申し送られたため、ポンプの設定は間違いないと思った。JMSのシリンジポンプSP500を使用したが、小数点の位置が分かりにくかった。モルヒネは麻薬で取扱いには十分気をつけなければいけないという認識が薄かった。変更の指示が朝6時にあり、集中力が散漫であった。
  • 看護部医療安全リーダー研修でポンプの学習会を行い、マニュアルの再確認、共有を行う。
  • 院内ルールを習慣づけるため、各病棟にポンプチェック表の活用80%以上を目標に、具体策、評価方法を提示させ、確認を行う。
  • ポンプ作動確認したことを確実に記録に残す。
  • 院内全体にイエローカードクリップでJMS500シリンジポンプは小数点が分かりにくいので注意喚起を促す。
  • 機種の統一を図る。
平成15年3月18日付医薬発第0318001号通知「輸液ポンプ等に関する医療事故防止対策について」より、輸液ポンプは入力間違いを容易に発見できるよう「数値の整数部分の表示の大きさと小数部分の表示の大きさを変えること」及び「小数点表示は、浮動小数点表示方式ではなく、固定小数点表示方式とすること」等の事故防止対策措置を講じているところ。当該事象の使用機器は事故防止対策前の製品であった。
薬剤関連事例 4 第20回 障害
の可能性
なし
準備段階 ノボ・ヘパリン7.5mL+生食250mLを輸液ポンプにて11mL/hで持続投与していた。患者が前日に自己抜針し、残量を合わせるために予定量を140mLに設定した。その後点滴を切り替える際、予定量の257mLを流量として設定し、滴下開始した。30分後、他の勤務者が完了アラームに気付き訪室した際に流量が間違っていることに気付いた。発見時にはすでに140mL投与されていた。 他の患者のコールもあり、慌てていたためチェックリストでのチェックを行っていなかった。点滴切り替え後に流量を確認していなかった。輸液ポンプが少数点以下の表示もあり、数字が3つ並んでもおかしいと思わなかった。
  • 設定後のダブルチェックを行う。
当該事象の製品名は不明であるが、平成15年3月18日付医薬発第0318001号通知「輸液ポンプ等に関する医療事故防止対策について」より、輸液ポンプは入力間違いを容易に発見できるよう「流量及び予定量の入力画面を独立表示とすること」及び「入力間違いを防止するために設定した予定量よりも流量が大きい場合には一時停止の機能を搭載すること」等の事故防止対策措置を講じているところ。
  【その他】  
薬剤関連事例 5 第20回 不明 実施段階 患者Aは朝食前のインスリンを処置室で自己注射した。その時、一緒の時間に処置室に来ていた患者Bのペン型インスリンの薬液量が必要量に満たない状況であった。すでに食事が来ていたため、看護師Cは焦り、他に同じ種類の注射を使用している人がいないか探した。患者Aが同じ種類を使用していることに気付いた。看護師Cは、患者Aのペン型インスリンのゴム栓の部分を消毒して患者Bに渡し、患者Bはそのペン型インスリンを使い自己注射を行った。 看護師Cが、ペン型インスリン剤の複数患者での使用禁止と、その根拠の理解ができていなかった。また、病院からの情報の周知はしていたが、職員の根拠の理解についての確認が不十分であった。ペン型インスリンの薬液量が少なくなっていることを事前に把握できていなかったため、追加処方がされていなかった。インスリン施行時に、毎回残量を確認する必要があるが、明文化したマニュアルになっていなかったため、看護師の認識が薄かった。当日も、準備の時点で確認していないため事前に発見できなかった。使いまわし禁止について、患者への指導が不十分で、理解できていなかった。
  • ペン型インスリンを使用している場合は、日勤担当看護師が薬液の残量確認を行う。特に週末に切れることがないように、金曜日は月曜日までを考慮して確認する。また、注射の準備の時点で事前に必ず残量確認を行う。このことを業務手順に明記する。
  • 医療技術の手技の変更や統一を行う場合、その根拠を必ず情報提供し、職員の理解や実施状況の確認を行う。
  • 職員研修の内容や方法について、根拠が押さえられるように、実技や実験を踏まえて行うよう検討する。
  • ペン型インスリンは、患者ごとで使用し、複数での使いまわし禁止であることを患者指導で徹底する。
ペン型インスリン注入器の取扱いについては、平成20年10月3日付医政総発第1003001号・薬食安発第1003001号通知「ペン型インスリン注入器の取扱いについて(医療機関への注意喚起及び周知徹底依頼)」により、使用時に血液がカートリッジ内に逆流した場合、感染症の原因となる可能性があるため、複数の患者に使用しない等の注意喚起を医療機関に対し実施しているところである。また、製造販売業者においても、これら取扱いについて、既に添付文書に記載しているところ。
 

製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(ヒヤリ・ハット事例)

  No. 報告回 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
  【回路】  








6 第19回 気管内吸引施行後、ウォータートラップの水を廃棄した。一時的にSPO294%まで低下するがその後SPO298%まで上昇したのを確認し病室を出た際に一回換気量が0になりアラームが鳴った。吸引実施し、人工呼吸器回路を確認するがSPO240台、一回換気量も0のままであった。アンビュー等施行し、すぐSPO2は回復した。臨床工学士とともに人工呼吸器(VELA)を交換した。 ウォータートラップのキャップの緩みがこのような事故に繋がるという認識がなかった。
  • ウォータートラップの処理後は、2人で確認を行い5分間は患者の側を離れない。
  • 人工呼吸器で、器械が異常と思う時は、Drコールと同時に手動で人工呼吸を開始する。
  • 挿管時は人工呼吸器使用時のトラブル対応について全員に周知する。
    (1)主任3名が挿管時のバッグバルブマスクの使用について全員に指導する。
    (2)「呼吸管理のための気道確保の方法と気管チューブの管理マニュアル」を再度全員が熟読する。
    (3)人工呼吸器、ウォータートラップのトラブルの学習会を臨床工学士に依頼する(2回実施)。
  • 人工呼吸器装着中の看護手順の改訂をした。問題症例検討会で決定した。
人工呼吸器回路内のウォータートラップの接続不良については、これまでに同様の事例が集積されており、平成21年3月5日付薬食安発第0305001号「人工呼吸器回路内のウォータートラップの取扱いに関する医療事故防止対策について」により、注意喚起等を実施しているところ。
 

製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(ヒヤリ・ハット事例)

  No. 報告回 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
  【MRI線検査】








7 第19回 MRI検査前の金属確認表にDBS(深部脳刺激療法)の文字を見つけ、確認した所DBS装着者である事が判明した。基本的にDBS装着者は禁忌だと認識していたため、主治医に連絡し確認した。主治医からは設定を変え電源を切ればMRI可能との解答を得た。当該患者はDBS装着後の頭部MRI検査が2度目であるということ、主治医からも可能ということからMRI検査を行った。 検査後、資料等で確認するとやはりDBS後のMRI検査で事故が起こり、原則禁忌であるとの表記がなされている。主治医に検査終了後、再度確認をするとMRI検査は治療判定のためにはやむをえない検査であり、患者家族等にも検査を行う同意書も得られているという説明をうけた。そのため検査を行ってもらいたいとの事であった。 主治医からは設定を変え電源を切ればMRI可能との解答を得た。さらに全国的にも行っているという主治医からの説明を聞き行えるものだと思った。
  • 各メーカー側はDBS後のMRI検査は原則禁忌という認識である。
  • しかし実際には全国の病院でDBS後のMRI検査は行われているようである。
  • また主治医からも可能という判断が出ていれば検査せざるをえない状況である。
  • 今後の方針を教える必要がある。
深部脳刺激装置を装着している患者に対して臨床上やむを得ずMRI検査を行う場合は、刺激装置の電源をOFFにするなどの方法について、すでに添付文書に記載されているところ。
 

製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(ヒヤリ・ハット事例)

  No. 報告回 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
  【熱傷】







8 第20回 耳介の手術中、担当医師が止血のためにバイポーラを使用した。バイポーラの先端でつまんだ部分を凝固止血するところ、金属製の柄の部分が患者の耳介に触れて通電し、患者が熱傷した。 絶縁コーティングされていないバイポーラで、先端部以外の金属露出部分が組織に接触すると先端への出力ができず、接触した組織に熱傷を起こす危険があることが周知されていなかった。
  • 絶縁されていないバイポーラの使用上の注意を周知する。
非絶縁型タイプのバイポーラ電気メスでは、添付文書に意図しない組織の熱傷に注意することとすでに記載されている。なお、これまでに同様の事例が集積されており、PMDA医療安全情報No.16を作成・配信し、注意喚起を実施しているところ。
 

製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(ヒヤリ・ハット事例)

  No. 報告回 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
  【速度間違い】





9 第19回 肺炎、中耳炎で入院の患児に「生食20mL+ブロアクトを1時間かけてシリンジポンプ使用」の指示が出た。他病棟で借りた機種の異なるシリンジポンプは初めて使用するものであった。20mL/hと設定したが1時間後に確認に行くと2mLしか入っていなかった。再度確認すると2.0に設定した事がわかった。 夜間の入院で他の患者と同室であったため暗い電灯の中で設定した。使用するシリンジポンプが統一されていない。古い機種の為小数点が確認しにくく認識できない。
  • 「医療安全便り」で事例を紹介、この機種「JMS-SP100S」の弱点を広報した。
  • 環境を考える。
平成15年3月18日付医薬発第0318001号通知「輸液ポンプ等に関する医療事故防止対策について」より、輸液ポンプは入力間違いを容易に発見できるよう「数値の整数部分の表示の大きさと小数部分の表示の大きさを変えること」及び「小数点表示は、浮動小数点表示方式ではなく、固定小数点表示方式とすること」等の事故防止対策措置を講じているところ。当該事象の使用機器は事故防止対策前の製品であった。
10 第20回 ソリタT3の点滴の交換にいき、持続点滴で機械の設定を予定量500mLで速度を20mL/hで実施する予定であったが、予定量を20mL、点滴速度を500mL/hで入力してしまう。看護師2人でダブルチェック行うが、2人とも気づかなかった。その後、20mL入ったところで、点滴完了にてポンプのアラームが鳴り、他の看護師が訪室した際に気付いた。 いつもはテルモのテルフュージョン型式TE-161を使用していたが、その時はテルモのテルフュージョン型式STC-508を使用。流量と予定量の文字までしっかり確認せずに、数字だけ見てダブルチェックを行ってしまったために、間違いに気付くことができなかった。
  • 思いこみで確認するのではなく、しっかり一つ一つ確認を行う。
  • 輸液ポンプ使用時のダブルチェックについて再度確認する。
  • 輸液ポンプの特徴をしっかり学習する。
平成15年3月18日付医薬発第0318001号通知「輸液ポンプ等に関する医療事故防止対策について」より、輸液ポンプは入力間違いを容易に発見できるよう「流量及び予定量の入力画面を独立表示とすること」及び「入力間違いを防止するために設定した予定量よりも流量が大きい場合には一時停止の機能を搭載すること」等の事故防止対策措置を講じているところ。当該事象の使用機器は事故防止対策前の製品であった。
薬剤関連事例 11 第20回 FOLFOX治療の点滴設定(ポンプ)2ルートあり、予定量と速度を逆に設定した。予定量250mL、速度125mL/hを予定量125mL、速度250mL/hで設定してしまったため、30分で完了アラームが鳴り、同職者が気付いた。 抗がん剤投与後の15分チェックにおいて、ポンプの速度と予定量をチェックせず、アレルギーチェックのみをしてしまった。
  • ポンプをセットして開始する前に名前、日付、薬剤名、速度、ロックオープン順番シール、本側ルートを指差し、声だし確認しながら開始ボタンを押す習慣を付ける。
  • 場を離れるときは、指示通り実施されていることを確認してからその場を離れる。
当該事象の製品名は不明であるが、平成15年3月18日付医薬発第0318001号通知「輸液ポンプ等に関する医療事故防止対策について」より、輸液ポンプは入力間違いを容易に発見できるよう「流量及び予定量の入力画面を独立表示とすること」及び「入力間違いを防止するために設定した予定量よりも流量が大きい場合には一時停止の機能を搭載すること」等の事故防止対策措置を講じているところ。