独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成22年度 第2回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医薬品関連事例) 別添4

本文別添1別添2別添3|別添4

情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例(事故事例「薬剤」)

No. 報告回 事故の
程度
段階 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
【その他】
1 第19回 障害
の可能性(低い)
実施段階 中咽頭癌にて5FU化学療法施行していた。夜、訪室時、ルート刺入部のテープがぬれているのを発見した。医師の指示により、針とルートの接続部、逆血を確認し、接続部を閉めなおし再固定した。1時間後、ルート刺入部発赤、疼痛なく明らかな腫脹はなかった。2時間後、刺入部に鶏卵大の腫脹を認めた。逆血確認できず。発赤、疼痛なし。医師の指示により、指示にて5FUの輸液のルートを抜針し、ハイコート1A+1%キシロカインの局所注射、アクリノール湿布を施行した。皮膚科の医師により、抗癌剤漏出部にハイコート1A+1%キシロカインの局所注射、アクリノール湿布を施行した。 睡眠中であったため、点滴ルート刺入部の観察が十分行えなかった。
  • 患者睡眠中で本人が気付きにくいゆえに、夜間はなおさら持続点滴の確認をしっかりと行う。
ルート刺入部に発赤を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
2 第19回 障害
の可能性
なし
実施段階 化学療法の2クール目を開始した。医師は患者の左前腕に血管確保を行い、カイトリル1A+生食50mLを投与した。その後、テラルビシンの輸液を200mL/hで開始した。10分後、刺入部のトラブルは見られなかった。以後、テラルビシン投与中、著変見られなかった。投与中患者はベッド上臥位で過ごし、刺入腕側を動かされていなかった。テラルビシン終了時に、患者が刺入部疼痛を訴えた。逆血あり、刺入部の腫脹、発赤、しびれはなかった。 点滴ルート刺入部の観察が不足していた。
  • 化学療法マニュアルに沿って異常の早期発見に努め、適切な対処を行っていく。
刺入部疼痛が認められたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
3 第19回 障害
の可能性
なし
実施段階 悪性リンパ腫の患者に対し、化学療法の初回投与を行った。患者の左前腕の末梢ルートよりテラルビシン30mg+5%ブドウ糖液100mL点滴開始した。30分後に訪室した際は、滴下良好であり刺入部も異常がないことを確認した。点滴開始から45分後、患者が「ちょっと痛いような」と痛みを訴えたため、確認すると、軽度発赤・腫脹を認め、点滴の滴下が不良であった。その後、医師の指示により、血管外漏出部周囲をハイコート2A+1%キシロカイン5mLで局所皮下注射を実施し、デルモベート軟膏塗布後、アクリノール湿布で湿布開始した。皮膚科を受診した。 血管外漏出についての説明書で説明済みだったが、異変を感じた時にすぐ看護師に伝えることができず、訪室時に申告があった。
  • 点滴施行時の注意を再度説明する。
血管外漏出を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
4 第19回 障害
の可能性(低い)
実施段階 患者は、化学療法のためハーセプチンを右上腕、橈骨側から投与していた。施行時、抜去時は穿刺部に腫脹・発赤はみられていなかった。化学療法終了後の乳腺外来受診後に本人より「点滴したところが腫れてきました、どうしたらいいですか」と訴えがあった。穿刺部に3×3cm程度の腫脹・発赤あり、水泡なし、疼痛を認めた。皮膚科を受診し、ステロイド外用で様子をみることとなった。 抜針時には穿刺部の異常はみられていなかった。止血の確認不足と説明不足であった。
  • 点滴終了時に止血を確認するとともに患者にしばらく圧迫しておくように説明する。
穿刺部に腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
5 第19回 障害
の可能性
なし
実施段階 看護師はCT造影剤の血管確保をしようとしたが血管への刺入が難しかったので右手正中静脈から22G血液の逆流の確認をして造影剤注入がすべて終了するまで患者のそばに付き添った。放射線科技師はテスト注入をしたが異常無く腫脹や痛みの訴えが無かったため全量注入した。10分後、放射線技師より造影剤の皮下漏れと上腕部の腫脹を指摘され、確認すると右上腕部に造影剤イオパミロン100mLが血管外漏出した。 午前中のCT造影の血管確保は放射線科外来看護師が行っている。困難事例に関しては放射線科医師に依頼することになっているが今回依頼しなかった。インジェクターから直接造影剤の注入を行った。23G翼状針を使用した。前腕部や手背の血管から注入が出来そうになかったので皮下組織の多い正中静脈を使用したため疼痛の訴えがなかった。
  • CT造影撮影時は生理的食塩等で血管確保を行い血管内留置を自然滴下で確認して側管から造影剤を注入。
  • 血管確保は前腕部および手背から行い、正中静脈は可能な限り使用しない。
  • 困難事例は放射線科医師が実施する。
  • 造影剤の血管外漏出があった場合、放射線科医師は皮膚科医師のコンサルトを検討する。
  • 翼状針は使用せず22G以上の留置針にて血管確保する。
血管外漏出を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
6 第19回 障害
の可能性
なし
実施段階 メディプロスト2V+低分子デキストラン(500)を、左前腕に点滴に、血管外へ漏出し、5.5×8cmの発赤と腫脹が認められた。 高気圧酸素療法終了後、16時から左前腕に23G翼状針で点滴開始していた。5分後チェックし、ルート刺入部・ルート接続等異常なかった。点滴架台にセットし、トイレ歩行できるようにしていた。2時間かけて点滴する指示あり、トイレ歩行できるように翼状針でなく、動けるように準備(スーパーキャスでキープ)できていなかった。ルートキープして5分後以降、チェックしていなかった。
点滴漏れの副作用の認識があまかった。
  • 発見後、すぐに抜針した。主治医が往診し、患部クーリングした。
  • 主治医から皮膚科にコンサルトあり、18Gで患部を刺して圧迫し、排液した。デルモベート軟膏塗布し、ガーゼ当てる。
血管外漏出を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
7 第19回 障害
の可能性
なし
実施段階 敗血症ショックで全身状態不良な患者に対し人工呼吸器装着し全身管理を行い、右下腿脛骨内顆部から末梢ルートを確保し、プロポフォール(麻酔導入剤・鎮静剤)の持続投与を開始した。右下肢末梢ルートのテープ固定部に水泡が出現した。皮膚科受診を依頼したが、この時点で壊死はなかった。翌日水疱が自壊したため、留置針を抜針した。その後、さらに抜針部周囲の表皮剥離と浸出液を認め、皮膚科医の指示による、加療を行った。20日後、創部が全体に黄色となり周囲に発赤 認めたため、皮膚科科長によりデブリードマン(壊死組織除去)が施行した。第Ⅲ度の褥瘡であった。 末梢循環不全であった時に末梢静脈より投与していたプロポフォールが血管外に漏出したと考えられる。全身状態が不良であり血管外漏出による水疱を認めた時の治療方法が適切でなく治癒促進を遅らせた。看護としては、プロポフォールの血管外漏出により重篤な潰瘍が形成されるという認識が低かったため、医師への働きかけが遅くなった。
  • 今後、プロポフォールをはじめ血管外漏出により潰瘍形成の可能性が高い薬品を調べ、看護師の注意喚起を促し、早期に皮膚科、WOC ナースに相談する。
右下肢末梢のルートのテープ固定部に水泡形成、表皮剥離を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
8 第19回 障害なし 実施段階 グリセオール200mLを患者の右手背より、輸液ポンプにより200mL/hで投与開始した。30分後同職者が訪室すると右手背の末梢静脈カテーテル挿入部位が腫脹しており、右手関節から指先におよぶ浮腫と水疱形成を発見した。皮膚科医師診察により処置を施行した。 麻痺側に点滴を刺入していたが、頻回な観察をしていなかった。自然滴下を確認していなかった。グリセオール投与開始時の末梢の腫脹を右麻痺が原因だと思い同職者に確認しなかった。漏れにより毎日差し替えをしていた血管の脆弱な患者に輸液ポンプを使用して投与した。
  • 血管の脆弱な患者への輸液ポンプの使用を避ける。
  • 輸液開始時は自然滴下を確認する。
  • 麻痺側への留置針の挿入は避ける、やむを得ず刺入する場合は観察を頻回に行う。
  • 患者の状態に応じた投与経路を検討する。
カテーテル挿入部位に腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
9 第19回 障害
の可能性
なし
実施段階 持続点滴を実施する際、滴下あるが逆血が見られなかった。点滴刺入部確認すると、左上腕内側に10cm大の腫脹あり、疼痛軽度、発赤なし、熱感なし。訪室した際、流量・刺入部は観察したが、刺入部周囲まで観察できていなかった。 栄養状態悪く、血管漏れやすいことを把握していなかった。勤務交代時間であった。
  • 点滴が漏れやすい患者では、チェック時だけでなく、頻回に観察する。
  • 点滴漏れやすいことを次勤務者に伝える。
  • 勤務交代時に、2人で確認する。
左上腕内側に腫脹を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
10 第19回 障害
の可能性(低い)
実施段階 左足背に血管確保し、輸液を投与した。5時間後、左踵部に発赤あり足背から下腿にかけ腫脹を認めた。更に2時間後、下肢挙上しようと訪室し、左下肢をみると2×3cmの水疱を足背に数個形成していた。直ちに抜針し、アクリノール湿布にて冷罨法を施行した。翌日、5×5cmに増大した水疱が足背に3個あり、下腿に1×2cmの水疱が4個点在していた。形成外科医師にて診察、処置が行われた。 留置針にて血管確保しており、点滴が漏れているという認識がなかった。持続点滴中の観察を怠った。左下肢が腫脹していたが、疾患によるものであろうと思い込んだ。アミノ製剤を点滴していたが、知識不足によるアセスメントが不足していた。患者は認知症があり、疼痛などの訴えができなかった。
  • 持続点滴施行中のチェックリストに沿っての観察を徹底する。
  • 訪室時は、必ず血液の逆流を確認し漏れがないか観察する。
  • 点滴もれがある場合は、医療安全管理マニュアル」の項目に添って速やかに処置する。
左踵部に発赤等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
11 第19回 障害
の可能性(低い)
実施段階 患児は、細気管支炎及び肺炎の診断で入院となった。入院後は禁乳となり、ソルデム3Aの持続輸液を開始し抗生剤投与、吸入、気管支拡張貼用薬等による治療を開始した。5日後、ミルク再開、翌日、抗生剤投与中止となった。ミルク再開から4日後、体温39℃台の発熱とCRP上昇認められ、敗血症の診断で抗生剤投与、禁乳再開となった。その2日後、看護師が点滴刺入部観察と点滴固定の交換をする際、右踵部内側に小水疱の形成認められた(点滴刺入部は右足背)。担当医(研修医)に報告後、デュオアクティブドレッシング貼用し、再固定を実施した。翌日、看護師が定期的に実施している点滴確認時、右下肢の腫脹を認められたため点滴固定を除去したところ、足背部に多数の水疱形成があった。皮膚科医の診断の結果、輸液血管外漏出によるものと診断され、ゲンタシン軟膏塗布・ガーゼ保護を行った。 差し替えた点滴が漏れた影響で、足に水疱ができてしまった。前日の日中に確認した際は1個水疱ができていたが、発生部位が点滴刺入部より離れていたため、点滴の漏れとは考えていなかった。
  • 点滴固定方法選択の基準を作成し、その基準をもとに児の成長発達に合わせた固定方法を検討・実施していく。
  • 点滴刺入部の広範囲に水疱が形成された場合、血管外漏出も考え、レジデント以上の医師と一緒に観察を行い、差し替え等の処置について検討を行う。
右下肢に水泡形成等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
12 第19回 障害
の可能性
なし
実施段階 化学療法のため、患者の右手背に血管確保を行い、テラルビシン+ブドウ糖液を投与した。約1時間後、テラルビシン点滴終了時、刺入部から血管に沿って約3cm発赤あり、疼痛及び腫脹は診られなかった。医師の診察により血管炎と考えられたが、逆血あり、滴下良好、疼痛、腫脹なく点滴漏出がないため点滴続行するよう指示があった。オンコビン+生食50mL点滴開始し、滴下良好であった。オンコビン点滴終了時、疼痛、腫脹なく、血管に沿った発赤に変わりなかった。逆血がみられず。医師の診察により抜針することとなった。 テラルビシン点滴による血管炎のため、発赤、滴下不良が発生した。
  • 観察を行い、異常の早期発見。
点滴刺入部より血管に沿って疼痛等が認められたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
13 第19回 障害
の可能性(高い)
実施段階 患者に腹部超音波検査、午後に腹部造影CT検査を行った。その腹部造影CT検査後に呼吸困難が出現し、ショック状態となった。直ちに酸素投与、輸液投与(1000mL/3-4h)、水溶性ソルコーテフ投与を行った。ショックの原因検索としてECG、XP、CT等を行ったが、心血管系に明らかな異常所見を認めなかった。しかし、血液検査にて著明な代謝性アシドーシスを認め、また、腹部XP、CTで遷延する造影剤による腎臓濃染を認め、再検した血液検査で高カリウム血症の出現を認めた。更に無尿であったため、造影剤による腎不全と考え、透析及び全身管理が必要となった。 原病による患者の全身状態の悪化、脱水状態であった。
  • 造影剤CT施行前に十分な補液をする。
造影剤による副作用症状とも考えられるが、造影剤の種類、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
14 第19回 障害
の可能性
なし
実施段階 患者に2回目の抗癌剤投与(初回から8回目)カルボプラチンの投与を開始した。開始後5分は患者の側で観察し異常は認められなかった。その10分後、呼吸困難、手足のしびれ、嘔気、腹痛ありナースコールがあった。訪室後、全身の紅斑と冷汗認めた。すぐにカルボプラチンの投与を中止し医師を呼んだ。血圧120/78mmHg、HR114、呼名にて返事あり。酸素マスクから酸素3L投与した。ソルラクト右手背部にルート確保し、指示にてソルコーテフ500mg1V点滴内に投与した。 カルボプラチンによるアナフィラキシーショック。パクリタキセル・パラプラチンの初回投与後、夜に気分不良、下肢脱力、血圧低下があったがその後は、アレルギー症状無く経過していた。
  • 抗癌剤投与中の患者は頻回に観察すること。
  • ショック時の手順に基づいた処置・薬剤の投与を実施する。
カルボプラチンによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
15 第19回 障害なし 実施段階 MRI撮影時、造影剤(ガドベンテト酸メグルミン)15mLを3分かけて静注した。MRI内部に患者を移動後、緊急ボタンが鳴ったため、患者を装置の外へ出したその後、患者は、嘔気と冷汗を認めた。 造影剤によるショック。
  • 造影剤使用時は緊急時事に備え、救急カートの点検・緊急コール(アンビューコール)の方法を確認しておく
ガドベンテト酸メグルミンによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
 
 

情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例(事故事例「放射線検査」)

No. 報告回 事故の
程度
分類 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
【CT検査】
1 第19回 障害なし 造影剤・
検査薬
造影CTの為、看護師Aが血管確保を試みたが入らず、術者を看護師Bに交替した。看護師Aも看護師Bもこの日初めてCTの介助に入っていた。血管確保用の針は技師が準備していたのが翼状針だったので、その後の血管確保は全て翼状針で実施した。看護師Bは正中静脈に確保し逆血も良好であった。造影剤の注入を開始しながら血管外への漏れがないか放射線技師と看護師Bで確認したが漏れは認められなかった。患者に痛みを感じる様であれば教えるように声をかけ、秒速1mLで造影剤の注入を開始した。途中で2回、痛みの有無を確認したが患者の訴えはなかった。造影剤を注入終了後、直ぐに撮影を開始したが造影がされておらず、造影剤の漏れが生じたことに気付いた。直ぐに、注入部位を確認すると皮下に漏れて上腕が腫脹していた。患者は「痛みは感じなかった。腕の重い感じがした。」とのことであった。 急速注入を行う検査だが正中静脈に血管確保する為に留置針を使用しなかった。初めて行う診療の補助業務であったが、手順を確認しなかった。手元に手順書がなかった。一緒に検査の補助を行った技師等も手順を指導しなかった。
  • 手順や使用機材の見直しと改訂、手順書の常備、説明同意書の改訂をする。
  • コミュニケーション・情報交換できる人的環境の改善、補助業務担当者の割り当てを再検討する。
  • 副作用や血管外漏出時の対応についてマニュアルに盛り込まれていなかったことがわかり、現在作成中である。
上腕に腫脹を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
2 第19回 障害
の可能性(低い)
造影剤・
検査薬
1歳の小児患者の治療効果を判定するために、CT検査を計画した。小児外科医は、鎮静薬を静脈注射して鎮静し、放射線診断医は手背静脈ラインを使って、自動注入器で造影剤を注入した。放射線診断医は注入後に画像に造影効果がないことに気付きライン挿入部を観察したところ、前腕部が腫脹し手指のチアノーゼが観察された。このため緊急で減張切開術を行った。 ラインは抜けることがある。造影剤注入は自動注入器を使う現状がある。
  • 血管外漏出は防止できないが、穿刺部の視認性をよくすれば、早期発見し注入を停止するなど被害を軽減することができる。ただし、小児はラインを引っ張るため固定が重要であり、穿刺部の視認性をよくすることは容易ではない。
前腕部に腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
3 第19回 障害
の可能性
なし
造影剤・
検査薬
看護師はCT造影剤(イオパミロン)の血管確保をしようとしたが血管への刺入が難しかったので正中静脈から23Gの翼状針を挿入し、血液の逆流の確認をして造影剤注入がすべて終了するまで患者のそばに付き添った。放射線科技師はテスト注入をしたが圧グラムの異常も無く腫脹や痛みの訴えが無かったため全量注入した。その後、放射線技師より造影剤の皮下漏れと上腕部の腫脹を指摘があった。患者からの痛みの訴えは無かった。放射線科医師が診察し、症状が悪化するようであれば受診をしていただくように説明後、帰宅となった。 午前中のCT造影の血管確保は放射線科外来看護師が行っている。点滴挿入困難な場合に関しては放射線科医師に依頼することになっているが今回依頼しなかった。インジェクターから直接造影剤の注入を行っている。23G翼状針を使用してた。前腕部や手背の血管から注入が出来そうになかったので皮下組織の多い正中静脈を使用したため疼痛の訴えがなかった。
  • CT造影撮影時は生理的食塩水等で血管確保を行い血管内留置を自然滴下で確認して側管から造影剤を注入する。
  • 血管確保は前腕部および手背から行い、正中静脈は可能な限り使用しない。
  • 困難事例に関しては放射線科医師が実施する。
  • 造影剤の血管外漏出があった場合、放射線科医師は皮膚科医師のコンサルトを検討する。
  • 翼状針は使用せず22G以上の留置針にて血管確保する。
造影剤の皮下漏れ等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
4 第19回 障害なし 造影剤・
検査薬
CT検査の際、造影剤(オムニパーク)を用いて撮影をした。終了の合図を告げ、患者が起き上がる際に気分不快を訴えた。その後嘔吐、冷汗あり。血圧は116/90(高血圧の為、普段は160/110台)、脈拍は140台。至急、昇圧剤、副腎ステロイド、輸液にて90分後に症状は消失した。8時間ベッド上安静、経過観察し患者は帰宅した。 造影剤(オムニパーク)によるアナフィラキシーショック。
  • 造影剤による副作用の発現は常に可能性が潜在し、緊急時対応の薬品、器具の装備、使用法を常に点検しておく。
オムニパークによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
5 第19回 障害なし 造影剤・
検査薬
CT撮影のため造影剤を使用したところ、意識と血圧の低下があった。 患者は以前にも造影剤使用時にショックになった既往があったが、診療録の目立つ場所に記載がなく今回も同様の造影剤を使用した。造影剤使用の承諾書もとっていなかった。
  • 診療録への記載をルール化する、オーダリング画面での表示を行う等の検討を行う。
造影剤による副作用症状とも考えられるが、造影剤の種類、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
【MRI検査】
6 第19回 障害なし 造影剤・
検査薬
MRI撮影時、造影剤(ガドベンテト酸メグルミンs:後発薬品)15mLを3分かけて静注した。MRI内部に患者を移動後、緊急ボタンが鳴ったため、患者を装置の外へ出した。
患者は嘔気・冷汗があった。
造影剤によるショック。
  • 造影剤使用時は緊急時事に備え、救急カートの点検・緊急コール(アンビューコール)の方法を確認しておく。
ガドベンテト酸メグルミンsによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患や既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
 
 

情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例(事故事例「放射線検査」)
〔平成19年1月1日~平成20年12月31日〕

No. 報告回 事故の
程度
分類 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
【CT検査】
1 第19回 障害
の可能性(低い)
造影剤・
検査薬
胸腹部造影CT検査のため看護師が23Gの翼状針で右前腕静脈に血管を確保した。看護師が血液の逆流を確認した上で、診療放射線技師は造影剤注入回路を接続し検査を開始した。注入開始約1分経過後静脈圧モニターが上昇したため、放射線技師は造影剤注入を中止して刺入部を観察した。右前腕部に明らかな腫脹を認めず、患者に確認するが疼痛の訴えがなかったので検査を続行したが、さらに静脈圧モニターが上昇したため造影剤の注入を中止した。中止後患者が疼痛を訴えたので観察すると、右前腕全体に腫脹と硬結が認められた。造影剤(オムニパーク300シリンジ100mL)100mL中80mLが注入されていたが、画像上体内への造影剤注入が認められなかった。 造影検査の場合翼状針で静脈血管確保が実施されており、挿入時の手技に問題がなくても、上肢の挙上や体動による検査中の血管外漏出が考えられる。
  • 造影検査の場合翼状針で静脈血管確保が実施されており、挿入時の手技に問題がなくても、上肢の挙上や体動による検査中の血管外漏出が考えられるので、安全性を考慮しサーフロ針による静脈血管確保を実施する。
右前腕に腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
2 第19回 障害なし 造影剤・
検査薬
外来患者の腹部単純及び造影CTを行った。造影CTに際して、医師が右前腕部に血管を確保後、自動注入器により造影剤注入(モイオパーク300シリンジ90mLを毎秒1mLで注入)を開始した。この時に、手押しボタンでのテスト注入で、診療放射線技師が、点滴漏れの有無を確認し、患者に異常がないかを尋ねた後、撮影を開始した。撮影後、CT画像上の造影効果がなかったため、診療放射線技師が患者の穿刺部位を確認した所、右腕全体に著明な腫脹があり、造影剤の血管外漏出したことが判明した。検査中、患者は右前腕部の痛みを訴えることはなかった。患者は、異常なく経過し、右腕の腫脹は2日後に消失した。 本来は、医師が血管確保後、撮影開始まで数十秒の時間的余裕があるため、造影剤の漏れがないか放射線技師と共にチェックするが、今回は医師が血管確保後直ちに、CT操作室側に出たため技師のみでチェックし撮影した。
  • 造影剤の注入開始後、医師が造影剤の漏れがないかを確認する。
血管外漏出を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
3 第19回 障害
の可能性(低い)
造影剤・
検査薬
外来患者が造影CT施行した。ヨード造影剤(オムニパーク300)120mL静注後、くしゃみが頻回出現した。しばらくして軽快したため、点滴抜去した。血圧132/80mmHg 心拍 72/分であった。10分後、声がかすれると訴えあったため持続点滴で血管を確保した。呼吸苦出現、意識消失したため処置を行った。その後症状回復したが経過観察のため入院し、翌日退院した。 患者に各種のアレルギーがあった。
  • 造影剤の副作用は、今回のような重篤なものを含めてある一定の割合で起こることは避けられないため、対策、準備として、このような重篤な造影剤副作用発生時に、現場の人間(主に医師、看護師、技師)の行うべき作業の手順、役割分担などを決めた上で、定期的なシミュレーションを行う必要がある。
オムニパークによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
4 第19回 障害
の可能性(低い)
造影剤・
検査薬
腹部造影CT(オイパロミン300・100mL 1mL/秒)を撮影した。CT撮影中は監視カメラで観察していたが、特に異常は見られなかった。CT撮影後、ベッドを移動しながら観察すると、顔面紅潮があり、患者は「気分悪い、吐きそう、トイレに行きたい」と訴えた。この時血圧140mmHgであったが、おかしいと思い、ルート確保したまま放射線技師に医師を呼ぶよう依頼した。放射線技師は、医師を呼ぶと共にコードブルーの放送を依頼した。この間、患者は意識消失した。その後の対応にて、患者は意識を回復した。 患者は、過去に同様の検査を4回受けていたが異常は見られていなかった。検査前日、当日も食事摂取・水分の摂取も通常と変わらない状況であった。しかし、意識回復後に患者は「検査前に空腹感と口渇があった」と言われており、軽度の脱水症状にあった可能性があり、偶発症の発生につながった可能性は否定できない。水分摂取についても、前日は1500mL程度、当日も検査前までに1000mL程度の水分は摂取していた。
  • 検査前に行っている患者状態・アレルギーの再チェックを徹底する。
  • 造影CTをする患者(特に高齢者・消耗性疾患患者)は、より慎重にアレルギー歴や既往歴、一般状態の確認を行う。
  • アナフィラキシー発生時に即対応できるように血管確保・蘇生バック・吸引カテーテルをセット化する。
オイパロミンによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
5 第19回 障害
の可能性(高い)
造影剤・
検査薬
患者は以前、エクセグランによるDIHS(薬剤性過敏症症候群)で入院加療した既往があった。外科より、造影CT検査をすることとなったが、この時看護師がエクセグランの副作用歴を患者より聞き、造影前に放射線科担当医師に報告した。放射線科担当医師は、以前の原因となった薬剤はエクセグランでありX線造影剤ではないこと、癌の深達度や転移の有無を正確に判断するには造影剤を用いた検査が必要であること、外科医師より造影検査の説明がなされており造影剤使用に関する承諾書ももらっていることを考え、リスクとベネフィットの関係から造影検査をすることにした。患者は直後に軽い眩暈があり、翌日より薬疹が出現し、その翌日も治療受けたが増悪したため、皮膚科入院となった。 造影剤副作用発現 遅発性の副作用であり、検査時の発見は困難であった。
  • ない。
  • 患者の既往に留意し、医師からの十分な説明(副作用発現の危険性が高いことと、その具体的な症状、症状出現時は直ちに来院し造影剤を使ったことを医師に伝える旨)がなされていれば皮膚科入院し、適切な治療がより早く行われた可能性があった。
造影剤による副作用症状とも考えられるが、造影剤の種類、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
6 第19回 死亡 造影剤・
検査薬
造影CT施行目的にてヨード系造影剤138mL注入時に咳嗽が出現した。ただちに中止したものの直後に急変し心停止呼吸停止をきたした。 今回8回目の造影CTであったたためアナフィラキシーを予見できなかった。
  • 詳細な患者観察と事前聞き取りを行う。
ヨード系造影剤による副作用症状とも考えられるが、造影剤の種類、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
7 第19回 障害
の可能性(低い)
造影剤・
検査薬
両側の耳下腺部の痛みを主訴に受診され、耳下腺部腫瘤を認めたため、同意書にサインをもらったうえで造影CT撮影を施行することになった。患者は3ヶ月前、当院呼吸器外科で、造影剤オムニバークを用いた造影CT撮影検査を受けており、その際には何の障害も生じていなかった。今回は造影剤イオパミロン300を用いて撮影を行った。上腕の静脈路よりイオパミロン300を100mg投与し、60秒後よりCT撮影を開始した。約10秒間の撮影を終えた時点では呼びかけに対し「大丈夫」と返答があった。その後吐き気が出現し、近くにいた医師、看護師が駆けつけ呼びかけた際には応答がなかった。救急の医師が到着した時には、心肺停止状態(頸動脈の触知不能状態)であったため、ボスミンの投与と心臓マッサージを施行したところ、約2分後には蘇生し呼びかけに応答できるようになった。完全左足ブロック等の所見があったため循環器内科に入院し、後日退院となった。 患者に造影剤アレルギーがあった可能性が強い、あるいは、元来心疾患を有していた可能性があった。
造影CTの際には問診票では、「注射・内服で異常をきたしたことがある」と記載されているが、過去の造影CTで「異常をきたしたことはない」となっていた。従って、アレルギー体質で有るかなど、さらに深く問診を行っっておけば良かったかもしれない。しかしながら循環器内科ドクターの見解として今回の事態はCT造影剤に対するアナフィラシーの可能性が高いが、心電図上、完全左足ブロックの所見があり、元来心疾患があったことで引き起こされた可能性も完全には否定できないとのコメントもあったため、それが原因であったとすれば何ともいえない。
  • 問診によりこれまでの既往歴をより詳細に把握できるようにし、今回のような事態を避けるようにできる限りの努力を行う。
イオパミロンによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
8 第19回 死亡 造影剤・
検査薬
CT検査の結果と臨床所見が一致しないため、下肢切断部位の決定のために再度のCT検査を実施した。入室時、呼吸苦あり、また緊張している様子であったため酸素1Lで開始していた。右腸骨動脈より造影剤注入後、テストドーズでは問題なかったが、SPO2が85%まで低下したため、サクシゾンの投与、酸素5L/分としその結果、SPO2は94~98%に回復した。検査終了し、20分圧迫止血しベッドに移動した直後、喘鳴強くなり下顎呼吸となった。すぐに気管内挿管し人工呼吸、心臓マッサージ、薬剤投与で対応した。原因ははっきりしないが、造影剤によるアナフイラキシーショックと考えられた。 気管支喘息、肺気腫があったが造影剤使用するにあたりリスクは高かった。以前の造影剤使用時、テストドーズ時は異常なかった。
造影剤のリスクに対しての危機感が薄かった。
  • 造影剤における検査に対しては、本人及び家族へ危険性を説明する。
  • 問診票運用手順の徹底する。
  • 造影剤使用検査のみの同意書の作成について検討していく。
  • エマージェンシーコールの確認、周知。カテ室の電話にエマージェンシーコールの呼び出し番号を明示しておく。
  • 電動血圧計しかないため、急変時に備え手動式血圧計を配置する。
  • 病棟看護師から検査担当看護師へ必要項目の申し送りの徹底(用紙の検討)する。
  • 検査時などで病棟出室時は一般状態の観察と記録の徹底する。
造影剤による副作用症状とも考えられるが、造影剤の種類、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
9 第19回 障害
の可能性(高い)
造影剤・
検査薬
造影CT検査時に、オムニパーク(300)を93mL静脈注射した時点で、患者は気持ちが悪いと訴えた。アナフィラキシー様ショックのため急速に患者の状態が悪化し、心肺停止状態になった。速やかに蘇生治療を行い救命しえたが、低酸素脳症となり治療を継続している。 造影検査を行う前の問診では、アレルギー等の既往はなく造影検査も初めてであった。検査担当医は問診内容を患者に確認し、検査を開始した。現疾患は下腿潰瘍のみで他に心肺停止に至る疾患などは無く、造影剤による重度の副作用が出現したと考えられた。
  • 副作用発生時のより適切な対応ができるよう、環境の整備と教育を強化する。
オムニパークによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
10 第19回 障害
の可能性
なし
造影剤・
検査薬
胸腹部造影CT中に、患者が血管痛を訴えたため造影剤を10mL程注入した所で注入を止め、漏れがないか看護師が確認した。血管外への漏れがない状態であったため、注入を続行した。その後、患者は再び痛みを訴えたが、注入部を確認しつつさらに注入を行った(注入圧は正常な1mL/sであった)。注入直後から撮影を開始したが、その直後より患者の様子が変わり、脱力状態になったため、放射線技師が異変に気付き患者の元に駆け寄った。患者は意識消失の状態であり、医師・看護師の協力で救命処置に取りかかると共にハリーコールを行った。患者はショック状態へと進行し、心肺蘇生処置が実施されたが、自発呼吸が戻り、後日軽快退院となった。 患者はこれまでに造影CTを数回受けているが、副作用が出現したのは初めてであった。肺切除術など侵襲の大きい手術を受けた2ヶ月後であった。検査前日就寝後から水分を殆ど口にしていなかった。高齢であった。
  • 患者の反応をより注意深く観察し、さらにより迅速に対応する。
  • ショックの前兆かどうか、確信の持てるものではないが、血管痛を訴えた時に造影剤がもれたと考えるのと、副作用の出現のせいで血管痛が起こると考えるのでは、その後の対応が違って来ると思うので、僅かなサインも見逃さないように慎重に観察を行う。
造影剤による副作用とも考えられるが、造影剤の種類、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
11 第19回 障害
の可能性
なし
造影剤・
検査薬
患者はくも膜下出血のため、もともと意思疎通が困難であった。これまで多数の造影CT検査を実施していた。末梢静脈路の確保が困難であったためCVより造影剤オイパミロン300を投与した。30mL静注した時点で顔面から上半身の皮膚発赤、激しい咳き込み、眼球結膜の充血が生じ、アナフィラキシー様反応を起こした。 これまで数回の造影剤の投与暦があり、副作用の報告はなかった。腎機能も問題なく、精査の目的から造影剤の適応はあったと考える。造影剤使用の原則禁忌として「一般状態が極端に悪い患者」が挙げられ、本例がその条件に該当した可能性は否定できない。
  • 「一般状態が極端に悪い患者」は造影剤投与により全身状態の変化が起こる潜在的なリスクがあると考え、原則として主治医の付き添い、及び十分な人的バックアップのある環境での検査が望ましい。
オイパミロンによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
【MRI検査】
12 第19回 障害
の可能性
なし
造影剤・
検査薬
造影MRIのためEOBプリモビストを投与したところ、静注後約5分で呼吸苦が出現し、患者本人が緊急ブザーを押した。顔面にチアノーゼを認め、胸部聴診上気道狭窄音聴取しSPO264%に低下したが、意識は清明であり、血圧は160/110と低下はみられなかった。酸素10L投与したところ、30分ほどでSPO280台後半まで回復みられた。その後、症状軽快みられたため病棟にてソルメドール1A投与した。 以前にも数回造影MRI施行されていたがアレルギー歴はなく、発生の予測は困難であった。
  • 薬剤アレルギーを耳前に予測することは困難であり、発生した段階での適切な対応がとれる様に体制を整え、最小限の影響に留められる様にする。
EOBプリモビストによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
 
 

情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例(事故事例「化学療法)」

No. 報告回 事故の
程度
段階 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
【その他】
1 第20回 死亡 その他 直腸癌肺転移、骨盤内再発に対し、化学療法目的で、10時にアービタックス680mg/500mLを2時間点滴静注の予定で投与した。開始10分でアナフィラキシーショック出現し、意識消失、血圧低下、酸素化低下した。
1回目に酸素、エピネフリン、ステロイド、カテコールアミンを投与し、2回目も酸素、エピネフリン、ステロイド、カテコールアミン、心マッサージ、気管内挿管、経皮的人工心肺(PCPS)を実施した。
アービタックス初回投与によるアナフィラキシーショックであった。進行癌による免疫脳、臓器機能低下などがあった。アナフィラキシーショック予防のため、投与前にステロイド、抗ヒスタミン剤投与を行っており、医療行為としては問題ない。投与開始時から医療スタッフは患者に付き添っており観察も問題ない。主治医への報告も迅速であったため問題ない。アナフィラキシーショック後の救急蘇生についても迅速に対応しており問題ない。
  • 今回の事例は純粋なアービタックスによるアナフィラキシーショックであり、防止できないものであると考える。
アービタックスによる副作用症状とも考えられるが、患者状況及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
2 第20回 不明 その他 発症前には末梢神経障害を認めなかったが化学療法施行後より末梢神経障害の出現を認めた。度重なるシスプラチン併用化学療法のための末梢神経障害と考え、メチコバール内服を開始した。当時はカルボプラチン投与によるものとは考えていなかった。化学療法による末梢神経障害を考え、神経内科に依頼した。投与量に間違いはなかった。 カルボプラチン計算方法には、GRFから求める方法とCCRから求める方法がある。カルボプラチンの量は、GRFにより求めた場合、463.2mg/body、CCRにより求めた場合、360mg/bodyであった。
  • 神経内科、内分泌代謝内科(糖尿病性神経障害精査)の結果、プラチナ系薬剤による神経障害とは断定できず。完全否定もできないため厳重に経過観察する。
  • 日本腎臓学会CKDガイドラインも参考に、今後は換算方法を教室内で統一し、且つカルテ記載をさらに徹底する。
カルボプラチンによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
 
 

情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例(事故事例「その他の薬剤」)

No. 報告回 事故の
程度
段階 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
【その他】
1 第20回 障害
の可能性
なし
実施段階 患者に左足背部からカコージンを投与していた。刺入部を確認したところ、刺入部より2cm離れた中枢側に3×3cmの水疱形成があった。発赤なく、水疱周囲白色、中心部に透明の水疱が認められた。浸出液はなく、速やかに点滴抜針する。左足背部の刺入部をガーゼと包帯で保護した。3日後、深夜帯勤務で点滴刺入部確認のため包帯を外すと、ガーゼが汚染されており、除去すると左足背部の水疱部に5×5cmの潰瘍形成があった。皮膚科医の診察、皮膚壊死に伴う潰瘍形成と診断された。 点滴刺入部確認の不足により点滴漏れの発見が遅れた。水疱形成を発見した時点で医師への報告ができていない。看護師の判断でガーゼ保護を行った。その後、スタッフ間で情報共有が出来ず、患部の観察が出来ていなかった。
  • 薬剤性を理解した上で、点滴管理を行う(点滴刺入部の観察、症状の有無)。
左足背部に水泡形成等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
2 第20回 不明 実施段階 患者は血圧低下に対して、0.3%イノバン注50mLをシリンジポンプ使用で、右足背から20mL/hでDIV開始した、3日後、10mL/hに減量した。その夜、右足背点滴刺入部から内果にかけて内出血斑様の状態みられた。腫脹なし。圧痛あり。点滴の差し替えを行った。その翌日、右足背の皮膚色が赤黒くなっていることに気付いた(7cm×2cm)。点滴差し替えから6日後、形成外科医の診察の結果、イノバンの点滴漏れによる皮膚組織の壊死が判明した。 全身状態不良であり浮腫がみられていた。シリンジポンプを使用していたため、点滴漏れに気付くのが遅れた可能性があった。イノバンの点滴漏れが組織壊死につながる可能性があるという知識がなかった。
  • 点滴漏れがあった場合、漏れた薬液に対して速やかな対応を行う。
  • ポンプを使って輸液を行っている場合は特に刺入部も含めてよく観察を行う。
  • 血管外漏出マニュアルの内容の充実をはかり、注意すべき薬剤について再度教育を行う。
点滴刺入部に内出血斑等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
3 第20回 障害
の可能性(高い)
実施段階 患者は、中心静脈挿入中であったが滴下不良となったため、右母指に末梢ライン確保した。留置後プロタノール、ドルミカムを投与した。翌日、深夜看護師は患者の末梢ライン挿入部周囲が腫脹・白色化に皮膚変色しているのを発見した。日勤看護師が医師に報告した。点滴抜去ガーゼ保護指示にて実施した。その翌日母指第一関節末梢が黒色化しているのを発見し、末梢壊死状態であった。 看護師は第一発見者であったため、医師への報告は速やかに行っているが、看護記録に記載等がなく、1日の皮膚状態が十分に観察できていないため、継続ケアが不十分であった。薬剤による血管外漏出による血管壁・組織への影響等について危機意識が不足していた。報告体制について看護師間の伝達、上司への報告等が遅れた。
  • 問題発生時は速やかに記録を行い、看護問題立案・実施・評価を行うことをで継続ケアの徹底を強化する。
  • 薬剤種類による血管外漏出による影響について、学習会を行うことで、知識向上を図る。
  • 特に重度心身障害者は病状が不安定である状況では、速やかにアセスメントを行いケアを実施する。
点滴刺入部に腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
4 第20回 障害
の可能性(低い)
実施段階 患者は、心不全・肺炎の治療目的で入院し、入院当初より末梢静脈よりハンプ持続点滴、抗生剤、アミノ酸製剤の輸液を投与されていた。入院後、徐々に心不全悪化、血圧低下等を認め、塩酸ドパミン(カタボンHi)持続点滴となった。患者は末梢静脈留置が困難であり、上肢のみならず、下肢にも留置した。また、1日で血管外漏出を認めることもあった。右大腿内側の留置抜去3日目(塩酸ドパミン投与から2週間後)に、同部位の発赤を認めた。主治医に報告し、指示にて直ぐにクロマイP軟膏処置を実施した。右大腿内側は潰瘍形成し、皮膚科を受診した。皮膚科では皮膚壊死と診断を受けた。 スタッフに血管外漏出に関する知識・認識が無かった。患者は高齢で、動脈硬化が見られ、更に下肢静脈に留置したため、血管炎のリスクが高かった。患者は意識障害を認め、血管外漏出を生じても苦痛を訴えない。血管収縮剤カタボンHi、アミノ酸製剤アミグランドは血管炎を生じやすい。また、漏出した皮下組織の血管も収縮を生じる。輸液ポンプ使用中であった為、血管外漏出を生じても、注入が継続されてしまうことがある。
  • 血管外漏出のリスクファクター(薬液、留置部位、患者側の要素など)についてスタッフ間で学習機会を持つ。
  • 下肢静脈への留置は避ける。
  • 留置期間を短くする
  • 末梢静脈留置が困難な場合は、主治医と中心静脈留置等の対応を検討する。
点滴刺入部に発赤等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
5 第20回 障害なし 実施段階 10歳の患児の血管確保を昼に行い、シーネで前腕をテープで固定した。その日の夕方、深夜、朝と各勤務帯で担当看護師は患児の輸液を観察し、血液の逆流がなく自然滴下が良好で刺入部の腫れがない事を確認した。担当看護師が観察した際は特に変わりがなかったが、その約3時間後、面会に来た母親が、輸液刺入部の腫脹と前腕の腫れがある事を担当外の看護師に申し出た。確認すると患児は、手掌・手背・前腕にわたり腫脹しており、チアノーゼを認めた。主治医の指示により、温罨法行い、皮膚科受診の結果、経過観察となった。 観察の必要性は理解していたが、患者訪床時に毎回観察出きていなかった。院内取り決めで、「輸液異常を看護師に知らせる事が出来ない患者に対し、手の周囲径を測定する」ようにしていたが、当該患者に実施されていなかった。
  • 「輸液異常を看護師に知らせる事が出来ない患者に対し、手の周囲径を測定する」取り決めの励行と観察の徹底を行う。
点滴刺入部に腫脹等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
6 第20回 障害
の可能性
なし
実施段階 患者は左前腕に血管確保していた。訪問時、昨日より浮腫増強があった。滴下不良、末梢冷感あり、ルートを抜針した。ルート抜針時、一部表皮剥離発見した。2cm×2cmの表皮剥離あり、その上部に黒色、2cm×3cmの水疱形成を認めた。 循環状態が悪く、末梢冷感著明・浮腫が出現していたが、末梢ルート持続で点滴施行していた。
  • 皮膚状態のアセスメントをし、ルート確保の部位を観察・ルート確保の必要性、ルート確保の方法の変更などを提案する。
  • 全身状態不良であるため、点滴漏れも出現しやすいことを考え、観察をしっかり行う。
点滴刺入部に水疱等を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
7 第20回 障害なし 実施段階 肥厚性瘢痕に対し、ケナコルト0.5mL+1%キシロカイン0.5mLを患者に投与した。注射終了後より、意識障害、チアノーゼ出現したため、アナフィラキシーショックを考え、酸素投与、点滴施行した。エピネフリン、硫酸アトロピン、カコージン、ハイドロコートンなどの薬剤を使用し、徐々に全身状態も落ち着き意識も清明となった。経過観察目的にて入院となった。 アナフィラキシーショックであり、事前に予見することは困難であった。
  • 外来での対応も迅速であり、特に問題なかったと思われる。
ケナコルトまたはキシロカインによる副作用症状とも考えられるが、患者状況及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
8 第20回 障害
の可能性(低い)
実施段階 これまで、患者はHCCで、造影剤使用によってショックを起こしていた。今回、HCCの評価の為、造影CT目的で入院した。ショック時に対応する為、医師3名で付き添い、CT検査を施行した。施行中、HR80台、意識清明であった。CT終了後、帰室時に、1階エレベーター前で、HR100台に上昇、眼球上転し、呼びかけに反応しなくなる。点滴全開し、下肢挙上し、造影剤アレルギー疑いで緊急外来に移送。緊急外来にて、加療を行った。 造影剤のアナフィラキシーショックであった。廊下やエレベーターという移動時に急変する可能性を考え、事前の前投薬の検討や救急体制を万全に整える必要があった。
  • ショックを起こす可能性が高かった為、医師、看護師付き添いの元、検査を実施した。
造影剤による副作用症状とも考えられるが、造影剤の種類、患者状況及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
9 第20回 障害
の可能性
なし
実施段階 患者は入院にて化学療法を実施していた。38℃前後の発熱あり、腫瘍の評価を含め、CTを行うこととした。以前、造影CT検査施行時に発疹があり、アレルギー症状出現の可能性を考慮して、単純CTを予定していたが、本人より造影CTを強く希望され、施行した。造影CT検査施行後、意識消失・血圧低下・失禁あり、心臓マッサージ施行し、30秒程度で意識の回復を認めた。発疹・皮膚紅斑・呼吸困難などはなく、意識回復後は、全身状態が安定した。 以前の造影CTにて副作用あり、副作用に対する対策が不十分であった。
  • 造影CT検査での副作用が考えられる場合、緊急対応できる体制をとり施行する。
造影剤による副作用症状とも考えられるが、造影剤の種類、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
10 第20回 障害
の可能性(高い)
実施段階 ○月20日に意識障害、左半盲出現、椎骨脳底動脈狭窄、右後大脳動脈領域の脳梗塞指摘され、抗血小板薬内服中であった。下咽頭癌の治療の1環として胃瘻造設を行うために、翌々月10日より抗血小板薬中止、ヘパリン10000単位/日を開始した。その月の24日10時ヘパリン中止した。夕方と深夜に左上肢の脱力あったが、1時間以内に軽快した。MRIでは明らかな新規梗塞巣確認されず。胃瘻造設後のため抗凝固療法再開しなかった。 施行時期については、脳梗塞発症後約2か月という時点で抗血小板薬を中止して行われた。
  • 今回と同レベルの脳血管障害を有し、抗血小板薬・抗凝固薬を投与されている患者では、これらの薬物の中止を必要とする侵襲的・観血的処置を可及的に延期する。
左上肢の脱力を認めたとのことであるが、患者の状態等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
11 第20回 障害
の可能性
なし
実施段階 患者は、減黄目的のERCP施行予定であったが、呼吸苦や肝機能障害に起因すると思われる体動が多く鎮静が必要な状態であった。事例発生3時間前にRT施行予定であり、鎮静目的でセレネース1A+生食100mL点滴したが、入眠なく体動が激しいためRTは中止としていた。ERCP出棟前にも体動激しく、ストレッチャー移乗も困難であったためドルミカム1A+生食100mLを手動で滴下開始し、検査室へ移動を始めた。半量滴下した時点で呼吸抑制が出現、モニター装着すると波形フラットであった。心臓マッサージを開始し処置室へ移動した。CPR開始後、患者は自己心拍を再開した。 鎮静下での出棟が必要であったが、セレネースに反応なかったことから他のレジデントに相談した上で、ドルミカムを選択した。希釈したドルミカムをポンプを使用せず手落しで滴下した。搬送時モニターはSpO2測定のみで、ECGモニターを装着していなかった。移動時バックバルブマスクを準備したことは呼吸抑制の危険性を予見したということであるから、予見したのであればドルミカムの効果の判定をする前に移動を開始した。時間に追われ十分に観察できる体制を作る前に行動した。
  • 予見した危険度にあわせた対策を講じる。
  • 次の処置の時間に遅れまいとするのではなく患者安全を第一と考えることができるように教育とシステムの問題を洗い出す。
セレネースまたはドルミカムによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
12 第20回 障害
の可能性(低い)
その他 患者は、円形脱毛症のため当院を受診した。ステロイド剤の全身投与を要するほど円形脱毛症の病態が強かった。ステロイド剤の投与方法として、入院してのパルス療法、内服、筋肉注射とあるが、副作用の出現や患者への負担を考え、筋肉注射での治療法を選択した。受診の当日と、その2週間後にケナコルト-A筋注用関節腔内用水懸注40mg(1mL)1A筋注、2回目の筋肉注射の1ヶ月後、2ヶ月後にデポ・メドロール水懸注20mg(1mL)2A筋注の指示にて看護師が実施した。 受診から約半年後、左上腕部にステロイド剤筋注による副作用と思われる皮膚陥没の所見が認められた。更に5ヵ月後(受診から10ヶ月後)、皮膚陥没範囲の拡大(陥没部35×23mm、脂肪萎縮部50×40mm)、腕の挙上等による痛み、皮膚萎縮部触れると痛みが出現した。 ステロイド剤の筋注時の副作用として、注射液が脂肪層に逆流し皮膚陥没を起こすことがあるがその事を患者へ説明していなかった。また、筋注時の注意点として、筋肉量の少ない上腕ではなく、臀部を選択すること(女性は特に)、低用量で用いること、注射後脂肪組織への逆流を防ぐために、注射部位はもまないことなどが実施する看護師に周知されていなかった。
  • 警鐘事例として、医療安全レポートを発行し、院内に周知した。
ステロイド剤による副作用症状とも考えられるが、患者状況及び手技等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
 
 

情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例(ヒヤリ・ハット事例「放射線検査」)

No. 報告回 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
【核医学検査】
1 第19回 放射性医薬品添付文書に従って放射性医薬品の調整したが製剤標識不良と思われる画像であった。外来患者で主治医不在のため翌日連絡を取り主治医に状況を説明し、患者了解のもと後日再検査を実施することになった。 不明
  • 製剤標識不良の原因は調査中であり、原因解明後改善策を検討する。
  • 原因判明までは、標識不良が起こりうると思われる手技を再確認し、声出し確認、指差し確認を徹底し業務を行う。
製剤標識不良と思われる画像であったとのことであるが、製品名等が不明であり、検討困難と考える。
 
 

情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例(ヒヤリ・ハット事例「化学療法」)

No. 報告回 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
【血管外漏出】
1 第20回 左前腕に血管確保しPTX/CBDCA療法施行。PTX(タキソール)投与中盤から逆血弱くなったが、自然滴下は良好で漏出兆候ないため10分毎に観察を行いながら投与継続した。CBDCA(パラプラチン)も中盤頃より滴下が若干遅くなったが、漏出兆候なく経過、投与終了5分前程度にも漏出ないことを確認し、場を離れた。しかしCBDCA投与終了直前に患者が穿刺血管をさすっており腫脹の報告あり(疼痛などなし)。2cm×3cm程度の漏出であり医師に報告。漏出マニュアルに沿って処置を施行した。 長時間の投与であること、PTX、CBDCAともに薬剤刺激性があるが、薬剤自体が痛みを伴いにくく気付きにくいことなどから漏出のリスクがあった。また腫脹後に患部をさすることで、漏出拡大のリスクがあった。
  • 滴下の変動がある際には、入れ替えも検討する。
  • 本人へも腫脹などが生じた場合はすぐに報告するように、また血管をさするなどはせぬよう説明する。
  • 漏出のリスクがある患者のもとを離れる場合は、他の看護師に観察を依頼する。
血管外漏出を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
2 第20回 化学療法当日ナベルビン終了時ジェルコ針刺入部より3cm上部に発赤・腫脹が軽度認められた。主治医に報告し、確認後反対側の手にルートをとりなおし化学療法は無事終了した。4日後、右手(化学療法当日の発赤部)の痛みが出現し、1×1cm程度の発赤が認められた。主治医に報告、確認後湿布にて対応との指示を受け継続していたが、熱感、痛みが増強してきた。 点滴ルート確保の位置が不安定な場所だったと考えられる。ナベルビンという薬剤の認識不足も原因と考える。
  • 医師に報告をする時と同時(無理なら同日)に認定看護師にも確認を依頼する必要がある。またそのような手順になっていれば初期対応がしっかり出来ると考える。
  • 抗がん剤漏出時対策資料一覧表をもう一度確認し起壊死性薬剤の危険性について理解を深める。
点滴刺入部より3cm上部に発赤・腫脹を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
【その他】
3 第20回 抗がん剤混注前に薬剤のチェックをしていたところ、前日夕方に納品されたシスプラチン(25mg)の容器が破損しており、内容物が手にかかってしまった。 検品が不十分であったため。破損したのが納品前か後かは不明。
  • 手にかかったシスプラチンは素早く洗い流し、こぼれた場所を清拭・消毒した。
  • 納品時の検品をしっかりするよう周知徹底する。
シスプラチンの容器が破損したとのことであるが、破損の発生時期及び取扱い方法等が不明であり、検討困難と考える。
 
 

情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例(ヒヤリ・ハット事例「その他の薬剤」)

No. 報告回 事例の内容 背景・要因 改善策 調査結果
【方法間違い】
1 第20回 透析導入前検査とアミロイド生検を兼ねた胃内視鏡検査を受ける患者のプレタール休薬期間が1日不足していた。 検査施行医から、依頼医にプレタールの休薬期間が1日不足していることを返したところ、「病院イントラネットの休薬基準を見て判断し、患者に休薬指示を出した。」と返答があった。消化器内視鏡ガイドラインの休薬基準と病院イントラネット掲載の休薬基準に差があることがわかった。
  • 今まで、消化器内視鏡ガイドラインの休薬基準から休薬不足と判断したケースは、出血のリスクを回避するために生検やポリペクトミーをしなかった。
  • 依頼医の休薬基準と受ける内視鏡室の基準に差があることで、延期または再検査となったり、確定診断ができず治療が先送りになるという患者にとって不利益な出来事が発生する。
  • 休薬基準について、検討する必要がある。
院内における休薬基準の取扱いに関することであり、検討困難と考える。