ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(事故事例)
No. | 事故の程度 | 事故の内容 | 事故の背景要因の概要 | 改善策 | 調査結果 |
1 | 死 亡 |
MEがCHDFの回路交換実施した。患者の循環動態が不安定であること、使用していた装置の内容液を回収して使用するには時間を要する事などのため、別の機器と機械毎交換した。その際器械パネル表示画面の入力設定を間違った。(交換前後でパネル表の配列が異なっていた。MEは新型のCHDFに補液量、透析量、ろ過量の設定を行った。回路交換終了後、準夜勤務看護師Aとダブルチェックを行った。このとき設定量が今までと違っていたため、《ろ過液-(補充液+透析液)で計算を行う。》600ml-(400ml+200)=0mlが 、400ml-(600ml+200ml)=-400mlとなる設定がされていた。看護師が計算すると除水「0ml」にならないためおかしいと思った。看護師AがMEへ確認したが、MEは正常に作動している緑の点滅ランプを確認しその設定で問題なしと判断した。 看護師Aは、自分の計算が間違っていたと思い、また、MEにも確認したため安心し、そのままの設定で続行した。同じ準夜勤務の看護師Bにはチェックしてもらわなかった。翌日担当看護師Cが休憩に入るため、看護師Dが申し送りを受けていたとき、ろ過流量が400 ml/h、補液流量600 ml/hとなっていた。本来は、除水が0ml/hの設定であれば、補液流量プラス透析液流量がろ過流量にならなければならないはずであるが、この設定から計算すると透析液が400 ml/hずつ入っていったことになり、20時間経過していたため、トータル8リットル入ったことになっていることに看護師Dが気付いた。すぐに主治医に報告し、指示にてCHDFの設定を変更した。 |
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改善策
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2 | 障 害 残 存 の 可 能 性 が あ る | 高 い |
患者は前医にて、左眼の白内障手術を施行した。術後、眼内レンズが脱臼・偏位したため、眼内レンズの整復目的のため当科紹介となった。初診時、患者の視力は左眼0.6(矯正不能)であった。左眼の眼内レンズは大きく偏位し、整復手術が必要な状態であった。当科に入院し、その翌日に左眼の眼内レンズ整復と前部硝子体切除術を施行した。眼内レンズを整復し患者は退院した。その後、外来にて経過観察を行い、一時は左眼視力が改善(1.0)した。2ヶ月後、当科再来時、左眼視力が低下(0.5)し、水疱性角膜症を認めた。再来時、精査の結果、左眼前房内の下方隅角部に異物が見つかった。これが角膜内皮細胞に損傷を与えた事で角膜内皮細胞が減少し、水疱性角膜症が起こった可能性が考えられ、異物除去と角膜移植術が必要となった。左眼の前房内異物除去術を施行し、摘出された異物を専門機関で分析した。その結果、シリコン素材のもので眼科手術中に眼内に混入した可能性が考えられた。 | 手術前検査、手術中、術後検査では、当初異物の確認は出来なかった。 左眼前房内の異物により、水疱性角膜症をきたした可能性があり、前房内異物は眼科手術中に混入したと考えられた。 眼科手術は前医で1回、当科で1回行っており、どちらで混入したかは不明である。 |
手術中に眼内に異物が混入する可能性があることを念頭において、手術中及び術後に注意を払う。 |
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3 | 障 害 残 存 の 可 能 性 が あ る | 高 い |
右上葉肺癌にて完全胸腔下右肺上葉切除を施行した。右上肺静脈(V1-3)の切離にあたり自動吻合器を使用した。包装開封直後の新しいものであり、かつメーカー立会いのもと使用法に問題が無いことを確認しつつ使用したにも関わらず、大量出血した。後に自動吻合器のstapleが両サイドともにほとんどかかっておらずカッターのみ走ったことが判明。直ちに大きく開胸し圧迫止血するも一過性に心拍を触れなくなり心停止に近い状態に陥ったが、その後の大量輸液により循環動態は安定した。しかし、止血を試みようと圧迫を解除した一瞬で大量の出血を認め、心臓血管外科の応援により縫合止血出来た。 出血量が多かったため、MAP40E、FFP20E、アルブミナー18瓶、Plt20Eの輸血を要した。止血ができた後は、予定通り、右肺上葉切除+肺門縦隔リンパ節郭清を実施。術後はICUにて人工呼吸管理行った。 |
自動吻合器の不具合。 | 血管用の自動吻合器としてETHIKON Endopath Endocutter ETS Flex ATW35は、全国的に頻度は稀であるものトラブルが報告されている。それに加え、当科でのトラブルの頻度は高い。 したがって、血管切断の際は、事故報告がないと思われるEndocutter ETS Flex ATW45を使用する。ATW45で対応出来ない細い血管は他社(COVIDIEN社)のEndo GIA UNIVERSAL 30mm Grey&Whiteを使用するように変更する。 |
※当該事象と思われる事例について企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、カートリッジが適切に固定されていなかったために縫合不全が生じた可能性があるとのことであった。また、報告者は当該製品ではトラブルが多いと述べているが、他製品と比べて縫合不全が多いとの傾向は認められていない。なお、ジョーに取り込む組織の厚みの程度や既に打針したステープル等の障害物の存在による縫合不全は当該機器を操作する上で避けられない事象であり、このような不測の出血を回避するために、添付文書に血管の中枢側・末梢側ともにクランプをかけてから使用する旨が記載されているところである。 |
4 | 障 害 残 存 の 可 能 性 が あ る | 低 い |
患者は意識レベルが低下した状態であり、気管切開し在宅で人工呼吸器vivo40を使用していた。今回気管支炎で緊急入院し、呼吸器vivo40に酸素を1Lと、自動給水式加温加湿器を使用し(ベッド上左上方に設置)、全身状態は安定していた。家族の付き添いはなく、面会時間内に来院されていた。 セントラルモニターのアラームが鳴り、看護師Aは、患者のSPO2値が50%台に低下していたことを確認した。看護師Aと看護師Bの2名が訪室し、患者の意識レベルの低下、チアノーゼのほか、病室の心電図モニターでHR50台の徐脈を認めた。また、患者の人工呼吸器回路内にボコボコという水音が聞かれ、加湿水による回路内の閉塞を発見した。看護師Aはすぐ呼吸器回路を外し、回路内の排水を行い、看護師Bは、気切口から吸引を行い、水様性の分泌物を吸引した。その時、加温加湿槽と自動給水用の蒸留水ボトルは両方とも空になっていた。加温加湿器は、ベッド上、患者左上方のエアマット上に置かれており、やや患者吸気側回路出口の方に傾き、水平に保たれていなかった。 その後、医師が到着し、HRが40台まで低下していた為、数回の胸骨圧迫とアンビューによる換気を行った。その後、患者は除々に覚醒し状態安定した為、検査(採血、レントゲン)後、呼吸器vivo40を装着し経過を観察した。患者の状態は、必ずしもHCU入室が必要な状態ではなかったが、密に経過観察を行うため、HCUに転棟した。加湿水による回路内閉塞の事実確認の為、深夜担当看護師Cに確認したところ、アラームが鳴る約2時間前に吸引と体位変換をした後で、吸気側回路内の水抜きを行っていた。日勤担当看護師Dは、アラームが鳴る50分前に訪室し、呼吸器の設定確認とカフエアの入れ替えを行った。その際、ベッド上にあった加温加湿器がやや傾斜していた為、水平に戻したが、吸気側回路内には水の貯留はなく退室した。日勤担当看護師Dは、に再度訪室し、呼吸音の聴取を行い、モニターでバイタルサインの確認をしたが、特に問題なく、他用務のため退室した。 深夜担当看護師C は、自動給水用蒸留水の残量が、アラームが鳴る3時間前の時点で500mLの1/4程度あり、加湿槽は加水最大水量レベル上限まで満たされていることを確認していた。日勤の担当看護師Dもアラームが鳴る50分前に自動給水用の蒸留水の残量は、アラームが鳴る3時間前の時点とほぼ同じく1/4程度であったと確認していた。 病棟医長(患者担当医)と病棟師長から人工呼吸器のメーカーに検証を依頼したところ、「今回の様に、加温加湿器が褥瘡予防マット上に設置された場合、不安定な場所で加湿器が水平に保たれず、マットの振動が加わることで、加湿器内の水面が波打ち、人工呼吸器のフローと相まって振幅が大きくなり、患者側の回路に流入することが起こりうる」との検証結果を受けた。よって、機器そのものの問題ではなく、機器の使用方法が間違っていたことがわかった。 |
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5 | 障 害 残 存 の 可 能 性 が あ る | 低 い |
患者は気管内挿管し、人工呼吸器にて呼吸管理を行っていた。耳鼻咽喉科医師により病室にて気管切開術施行後、主治医と共に蛇管交換を行ったところ、加湿器の蒸留水が回路内を逆流し気切切開孔に流れ込んだ。SPO2が50%台まで低下。酸素濃度の増量とバックバルブマスクによる換気と吸引によりSPO2は改善した。 | 人工呼吸器の回路交換を示す手順や基準はなく、医師の監視下で看護師が中心となり交換した。 |
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6 | 障 害 残 存 の 可 能 性 が あ る | 低 い |
看護師Aが夕食前の血糖値を測定し「226mg/dl」であった。指示のノボリンR注を4単位施行するため、準備を行う。看護師Bに確認してもらいながら準備した。看護師Aがインスリン施行中、用事があるため看護師Cが病室にはいってきた。施行されている注射器が違うことに気付き、ノボリンR4単位準備するところ実際には40単位(ツベルクリン用注射器に0.4mL)準備・実施されたことが判明。医師へ報告し、救急処置(血管確保・血糖測定・低血糖時50%ブドウ糖注射液40mL(3回)の投与等)を行った。患者は後遺症も残すことなく回復した。 |
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7 | 障 害 残 存 の 可 能 性 な し |
患者は病状が進行しており、また心筋症も認め入院した。酸素4L持続投与中であった。ECG上STの低下がありシグマートを開始した。それに伴いSpO2モニタを持続装着することとした。医師から口頭によりSpO2モニタの24時間装着の指示はあったが、病院情報システムでの継続指示では訂正されておらず、SpO2は1日3検の指示のままであった。シグマート内服3日後の朝、日勤の看護師Bは朝の薬の内服を介助した。その際には酸素は投与されていた。その数分後、患者より血痰を認めているとのナースコールあり。SpO2が60%台まで低下した。酸素を増量しようとフローメーターをみると酸素カニューレのフローメーターとの接続部分が外れた状態であった。酸素12Lへ増量し血痰吸引。徐々にSpO290台前半まで改善し呼吸苦も改善した。当直医師に報告し酸素増量のまま経過観察となった。内服後、患者自らリモコン操作によりベッドの頭部を下げたが、その際にカニューレが引っ張られ、フローメーターとの接続部分が外れたものであると思われる。内服後からナースコールがあるまで約5分間酸素が投与されていなかった可能性がある。詰所のセントラルモニターのSpO2の設定がオフになっており、詰所ではアラームが鳴らなかった。 |
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【すでに部署内で施行された再発防止策】
KYTなどでモニタのことに関しては十分注意しているつもりであったが、心電図の事に注意が向いてしまい、SpO2に関しては注意していなかったことが考えられるため、KYTカードを使用して、注意を促す事とした。 【今後部署内で取り組むことが望ましいと思われる再発防止策】
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8 | 障 害 残 存 の 可 能 性 な し |
単純子宮全的術+両付属器切除術+大網切除術+虫垂切除術+骨盤内リンパ節郭清術を施行した。摘出術は問題なく終了した。14:30頃より閉腹前に腹腔内よりドレーンを体外に留置する際に、後腹膜を大曲ペアン鉗子1本で把持した。しかし、後腹膜からのドレーン留置は不可能と判断し、腹側腹膜よりドレーン留置を行うこととした。この際に後腹膜を把持していた大曲ペアン鉗子1本を後腹膜より解放せずに、腹側腹膜よりドレーン留置を施行した。この後は通常の閉腹操作に移った。腹膜閉鎖前の15:00頃にガーゼカウント、手術器械カウントを施行した。その時点ではカウント数は術前と一致していたが、閉腹操作後麻酔覚醒前に腹部単純X線撮影を施行したところ、腹腔内に大曲ペアン鉗子1本が確認された。腹部単純X線撮影検査は2回施行した。そのため、手術器械のカウントを再試行したところ、大曲ペアン鉗子1本の不足が判明した。大曲ペアン鉗子1本の腹腔内遺残と判断し、16:00頃より再開腹術を行った。 再開腹を施行し、腹腔内を検索したところ、後腹膜を把持している大曲ペアン鉗子1本を確認した。これを開放し腹腔外に取り出した。器械遺残による出血、他臓器損傷を検索するが異常は認められなかった。この後、ガーゼカウント、手術器械カウントを施行し、閉腹した。閉腹後の腹部単純X線撮影検査では異常はなかった。 |
患者は手術創が際臍上から恥骨上までと大きく、通常使用する手術器械コンテナの大曲ペアン鉗子10本では足りず追加で出すよう執刀医から指示が出た。外回り看護師は大曲ペアン鉗子を3本追加で術野に出した。器械出し看護師は通常留置しない皮下ドレーンを入れるなどの指示を受けたりセプラフィルム2枚を2等分と3等分に切断していたため、追加で出した大曲ペアン鉗子は2本だけと思いこんだ。腹膜閉腹前の15時頃にガーゼカウント、手術器械カウントを器械出し看護師と外回り看護師で行った。器械出し看護師は手術器械コンテナのメニュー表に沿って確認を行い、外回り看護師は不潔になった手術器械の本数と単品で使用した手術器械の本数を器械出し看護師に伝えた。術野に手術器械が出ており、腹膜にも大ペアンを数本把持している状態でカウントを行った。器械出し看護師はコンテナ内の大曲ペアン鉗子を10本と追加で使用した大曲ペアン鉗子が2本と思い器械カウントが一致していると思ったため、執刀医にカウントの一致を報告した。 | 閉腹前のガーゼカウント、手術器械カウントの再度徹底が必要と考える。執刀医の協力を得て手術器械カウント時間の猶予を持って行う。器械出し看護師と外回り看護師の手術器械カウントの確実なチェックを行う。外回り看護師はコンテナのメニュー表を見ながら器械出し看護師と共に器械の目視確認を行う。外回り看護師は単品の手術器械を伝票と照らし合わせて行い、器械出し看護師は手術器械の目視確認と復唱を確実に行う。医師はぺアンから手を外さない。 |
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9 | 障 害 な し |
気管支肺炎で他病棟から転入、入院初日であった。酸素マスク6L、食事中は酸素カニューレ5L、Bi-Papを日中2時間及び夜間使用中であった。ECGモニターは、受け持ち看護師Aが設定した。セントラルモニターは、リーダー看護師Bがチャンネル設定を確認せずモニタリングを開始した。準夜勤の看護師Cは、モニターの波形がAfを呈し持続していることを把握していたが、様子を見ていた。しかし、日勤の記録では整脈であることに気付き、その後ECGモニターでリコールするとHR190という頻脈であったことを確認し、当直医に報告した。当直医の指示で12誘導を取ると、整脈であった。そのため、当直医はホクナリンテープの影響を考慮し、除去した。しかし、処置後も詰所モニターはAfであり、原因を探ったところ、送信機と詰所モニターの番号が違っていることがわかった。患者には、当直医の指示でホクナリンテープを再貼用することとなった。 |
病棟A(ベッドサイドモニター2台・SpO2モニター付き6台・ECGのみ1台) 〃 B(ベッドサイドモニター6台・SpO2モニター付き6台・ECGのみ4台) 〃 C(ベッドサイドモニター3台・SpO2モニター付き2台・ECGのみ5台) 製造メーカーに問い合わせたところ、機器が古く、製造中止になっており、新規購入できないため、相互に貸し借りしなければならない状況である。予算不足で新型の購入は見送られている。 |
(すでに部署内で施行された改善策)
(今後部署内で取り組むことが決定された改善策)
(今後部署内で取り組むことが望ましいと思われる改善策)
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10 | 障 害 残 存 の 可 能 性 な し |
患者は、陳旧性心筋梗塞との診断で、冠動脈インターベンションのため他院より紹介され、循環器内科に入院した。冠動脈造影を行ったところ、冠動脈左前下行枝(#7)および回旋枝(#13)に高度狭窄を認めた。冠動脈左前下行枝(#7)をバルーンカテーテルで拡張しようとした際、術者は血管径を考え径2.5mmのバルーン・カテーテルを渡すように臨床工学士に指示した。しかし、臨床工学士は誤って径3.5mmのバルーンを術者に渡し、術者もそれに気付かず手技を継続したところ、冠動脈解離を来たし、血管造影上で造影剤の冠動脈外への漏出を認めた。術者は誤りに気付き、冠動脈解離をおこした血管の遠位部に径2.5mmのバルーンカテーテルを用いて、ステントを留置した。さらに解離をおこした血管の近位部に径3.0mmのバルーンカテーテルを用いてステントを留置した。この手技にて冠動脈解離は治療され、造影剤の冠動脈外への漏出を認めなくなった。 また、術前に認められた狭窄は拡張された。術後はCCUで管理したが、有意なCPKの上昇なく、また心臓超音波検査にても心嚢水貯留を認めなかった。一般病棟で管理となり経過を本人と家族に説明の上、回旋枝(#13)に冠動脈インターベンションを行い、合併症なく拡張に成功した。退院し当院外来通院中である。 |
バルーンカテーテルのパッケージには径が明確に記載されている。しかし、術者に手渡されるバルーンカテーテルには、バルーンカテーテルの径自体が細いために小さな字で径が記載されている。本事例は、臨床工学士及び術者がともに、十分な確認をしなかったために発生したと考えられる。 | コメディカル両者でのダブルチェックは、物品自体の確認は可能であるが、医師が指示したものも否かは確認できない。また、術者は手技の集中しているため確認作業は困難である。よって、術者を介助する医師(介助医師)と開封するコメディカル(臨床工学士または看護師、物品開封者)の間で以下の確認開封手順を定めた。 確認開封手順1)物品開封者は指示された物品を開封せずに準備する。2)物品開封者は介助医師に物品を見せ規格を読み上げる。3)介助医師は目視で物品を確認し、規格を読み上げる。その間物品開封者は指差しで規格を確認する。4)物品開封者は再度規格を読み上げ物品を開封する。 必ず「目」と「指」と「声」で確認を行う。 取決めを行った確認方法を遵守することが、再発防止策につながると考える。また、誰もが遵守できる風潮を築いていく。 |
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11 | 障 害 残 存 の 可 能 性 な し |
CVリザーバーを留置中に起きた。一度は挿入、留置したが、最終位置確認にて先端部の位置がずれていたため、再挿入、入替えを試みた。その際、誤ってカテーテルが血管内に迷入してしまった。 とりだすために創を大きくし、腋窩静脈を切開した。 縫合修復したが、結局この日は留置できなかった。 |
手技に精通していなかったため。 | もう少しカテーテルを長めに残し、慎重に入替えるべきだった。 |
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12 | 障 害 残 存 の 可 能 性 な し |
右下第2大臼歯の仮封剤を超音波スケーラーを使用して除去する際、超音波スケーラーから充分な注水が出来なかったため機器の故障と判断し、介助者による3ウェイシリンジからの注水を行いながら、約15~20秒間超音波スケーラーを使用して仮封剤の除去を行った。当日、当該患者から当直医に、治療の際口唇を火傷したとの連絡を受けた。翌朝、当該患者の口腔内を診察すると、下唇粘膜部に水庖が形成されているのを確認した。受傷の原因として、発熱したスケーラーのチップ部分が下唇粘膜部分に接触したためと推測された。 | スケーラーの注水量の調節方法を知っていたが、実際に調節してみても充分な注水量が得られなかったため故障と判断し、介助者による3ウェイシリンジからのスケーラーの先端部分への注水により使用した。3ウェイシリンジで注水していたので発熱しないと思い使用したが、注水に気をとられしっかりと口唇の圧排ができておらず、水が充分にかからなかったスケーラーの根元に近い部分が下唇に触れ火傷したものと思われる。 | 機器の始業点検を確実に行い、機器の不具合が確認された場合には、速やかに点検・修理を依頼し、他の機器を使用する。 |
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13 | 障 害 残 存 の 可 能 性 な し |
手術中、半導体レーザーを使用していた。使用後プローブ(レーザー先端部)を術者膝上のドレープ上に置いていた。次に電気メスを使用する際、電気メスのハンドスイッチを入れると同時にそれまで使用していたレーザーのフットスイッチも押してしまった。数秒間でドレープに引火し炎上した。直ちに消火を行ったが、患者は右大腿背面部に熱傷をきたした。 | 電気メスはハンドスイッチでレーザーはフットスイッチなので、同時に使用が可能であり無意識に押してしまった。レーザー使用時の警報音と電気メスの警報音が同時に鳴っていたため直ぐに気付くことができなかった。今まで事故の経験が無かったため、レーザー使用時の安全な取扱い方法やドレープの素材など、引火防止対策の認識が薄かった。 | レーザー使用後はその都度スタンバイモードにするか電源をOFFにする。 ドレープの素材は不燃性を探したが無かったため難燃性の物(不燃ではなく燃えるが、燃え上がるまでに従来のドレープに比較し時間を要するもの)に変更した。 レーザープローブの安全な置き場の確保としては、既製の専用容器が無かったため電気メスが入っていた容器に水を入れ、その中に先端を入れるように工夫した。 レーザーの安全使用の勉強会と引火回避のための手順書と引火時の緊急対応手順書を作成する。 |
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14 | 障 害 な し |
PCIを行うため、6Frのガイディングカテーテルにラジフォーカスガイドワイヤーを通して右大腿動脈からアプローチした。カテーテルが腸骨動脈屈曲部でよじれたので、いったんガイドワイヤーを抜き、再びガイドワイヤーを挿入するなどの操作を行ったところ、カテーテルが破断した。カテーテルは全長100cmのところ、手元から約33cmの部分で破断し血管内に残ってしまったため、スネアデバイスなどを用いて取り出した。その後は他のカテーテルを用いて処置を終了した。 | メーカーに調査報告を依頼したところ、当該カテーテルは量産品と同等の耐キンク性能を有していた。患者の血管の極度な蛇行によりカテーテルの操作が困難となり、よじれが生じたものと考えられた。よじれを解除するためのトルク操作等を複数回行ったことにより金属疲労が発生し、最終的に破断に至ったものと推測された。 通常、血管の蛇行がある場合はロングシースを挿入し蛇行の部分をシースで覆うようにするが、この患者の場合は閉塞性動脈硬化症による左総腸骨動脈完全閉塞があり、右から造影を行うため普通のシースを用いていた。 |
血管の蛇行がある患者の場合、蛇行部はシースで覆うようにする。 メーカーによる製品改良が期待される。 |
※PCIの際に当該ガイディングカテーテルを用い、屈曲部にてトルク操作を繰り返したことから破断に至ったと思われる事例である。右大腿動脈からのアプローチであったが右腸骨動脈に極度の血管蛇行を認めたとのことであり、患者の状態等が不明であるが別の箇所からのアプローチも検討すべきであったと考えられる。なお、報告者は製品改良が期待されると述べているが、当該製品が他製品と比べて脆弱であり破断しやすいとの傾向等は認められていない。 |
15 | 障 害 残 存 の 可 能 性 な し |
腹部大動脈瘤に対し、人工血管置換術を施行した。その際、血行動態の変動を最小限におさえる目的で、自己血回収急速返血装置を使用した。手術閉腹時に片付けようとして、鉗子で送脱血チューブをクランプし、その後リザーバ、チューブ類をゴミ袋に捨てたとき、送血チューブ術野側の状態を確認しないまま、鉗子を送脱血チューブから外してしまった。しかし、送血チューブは患者の大腿静脈にまだ繋がった状態であり、術野側のチューブクレンメもクランプされていなかったため、落差によりリザーバに静脈血が脱血されてしまった。患者の血圧低下を認めたため原因を追究すると送血管からの脱血が判明した。脱血されたリザーバ内の血液は汚染されていないため、セルセーバーにより洗浄し、早急に返血した。 | 手術中に担当者間で意思の疎通ができていなかった。 | 執刀医がクレンメを留めるタイミング等や、声に出して確認を行うといった内容を明記するなど、マニュアルを整備する。 |
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16 | 障 害 残 存 の 可 能 性 な し |
酸素飽和度測定モニターが外れたが、アラーム音に気がつかず呼吸状態が悪化した。気管切開を行いICUにて全身管理をした。 | 術後のICU管理後、通常病棟での管理となったが、リスクについて医師と情報共有がされていなかった。また、モニターをナースセンターで常時監察できる状態ではなかった。 | 患者の状態に応じたモニター装着の根拠、モニター管理のリスクについて医療者間での情報を情報共有をする。 モニターを可能な限り監視できる体制作りを行う。夜間の受け持ちを、不穏・重症・終末期などを可能な範囲で重ならないように調整し、重症患者を集中して確実に観察できる体制を作る。 モニターを病棟全体で監視する体制を構築し、検温・点滴の時間の調整夜間の情報の共有する。 モニターの位置を廊下からでも見れる位置に工夫する |
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17 | 障 害 な し |
血管造影室から病室へ移送するために、PCPS本体と架台、電源コードを外し、本体のみベッドへ乗せた。病室に到着後、架台、電源コードを本体に装着し、バッテリー充電ランプの点灯、及び電源コード外れランプ(以下AC OFFランプ)の消灯を確認した。しかし、翌日の午前中、バッテリー低下アラームが鳴り、遠心ポンプが停止し、一時患者の血圧が30mmHgまで低下した。直ちに電源接続部位を確認。緩んでいた電源を差し込むと再び電源が入り、装置は正常に動作を始めた。患者の血行動態も元に戻った。 | PCPS本体と電源コードをつないだ際、AC OFFランプの消灯を確認したが、差込みがあまかったためか、徐々に抜けてしまったと考えられる。電源コードの差込み具にカバーがついており、装着の確認がしにくい。 | 電源コードがPCPS本体と正しく接続されている場合、引っ張っても簡単には外れない構造になっているため、移送後、PCPS本体との接続が簡単に抜けないかもう一度確認する。また、チェックリストを作成し、動作チェック時、AC OFFランプの消灯、電源コードの接続確認を徹底する。 |
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18 | 障 害 な し |
患者は、慢性腎不全・糖尿病・閉塞性動脈硬化症にて入院した。左下肢切断術予定になっていた。その為、厳重な血糖管理を行う必要があり、CSIIが開始となっていた。経管栄養前の血糖測定を実施した。血糖値96mg/dLであったため、ベーサルは変更せずボーラスのみ実施となる。(その際のノボラピットの残量は1.6mLであった。)ボーラスは6単位と指示があった。 CSIIの機器のF・Fを操作し設定していたが、設定値まで上げられず、何度も押しているうちに9単位まで上がってしまった。その為、6単位に設定しなおそうとしたが、キャンセルの手段がわからず、電源を切ろうと考えたが、電源も探す事ができず、インシュリンの入っていたインターを機器から外した。そのため、9単位のボーラスは注入されることはなかったが、再度セットしなくてはと焦ってしまい冷静な判断が出来ず、患者から抜針せず再セットを試み、ハーフナットと手押しダイヤルを操作している間に、インターが押されている事に気付き残量0.2mLのところで抜針をした。その結果、140単位が一気に注入された。 |
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19 | 障 害 な し |
胆管癌にて加療中。胆道閉塞のため、経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)を施行中であった。穿刺し、ガイドワイヤーを挿入したが、その後ワイヤーが動かなくなる。ワイヤーを抜くため、針を少し動かしたり、ワイヤーを引いたりしていたところ、ワイヤーの外をコーディングしている部分が破損するかたちで、ワイヤーが抜け、異物が胆管内に残った。 | ガイドワイヤーを強く引きすぎたことによる。 | PTCD時の処置を慎重に行っていく。 穿刺針ではなく、軟らかい外筒のあるタイプの穿刺針を使用する。 |
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20 | 障 害 な し |
麻酔導入時、マスク換気を行おうとしたところ、麻酔器が通常通り使用できなかった。換気が行えないため、麻酔器のパイピングや蛇腹の接続、麻酔器の裏などを点検したが異常を見つけられなかった。上級麻酔医の指示でジャクソンリースで換気を行うため、手術室入口の緊急用ストレッチャーの酸素ボンべを持ってきたが流量計が付いていないため使用できず、麻酔器裏にある緊急用酸素ボンベも接続できないため使用できなかった。そのため外科の医師がICUに酸素ボンベを取りに走ったが、直後麻酔器のAPLバルブにカプノメーターのチューブが挟まっていたことが原因であると分かり、通常通り麻酔器を使用できた。 | APLバルブは、全身麻酔で用手的換気をする際、患者の肺に送る期気体を適量逃すためにあり、これにより患者の肺は膨張することなく、一定の圧で換気が可能となる。今回、このAPLバルブの調整ノブの隙間に、換気モニター用のφ2-3mmのチューブが挟まれた。これにより、APLは閉じようとしても閉じられない状態となり、マスク換気で患者の肺に全く送気できなくなった。上級医が、チューブが挟まれている事に気付き、それを直して事なきを得た。 | 麻酔器は事前に点検されたものであり、どの段階でカプノメーターのチューブがAPLバルブに挟まったかは不明であるが、今回の経験で麻酔器が通常通り使用できない場合の例を直接見た。麻酔医に限らず、手術部看護師全体で今回の事を共有することにより異常発生時の観察点とする。 また手術部内にある酸素ボンベが緊急時に使用できないことがわかった。使用可能な状態の酸素ボンベが必要時に使用できるよう設備を整える。 また、酸素ボンベの流量計設置について、勉強会を行い、すべてのスタッフが問題なく酸素ボンベを扱えるようにしていく。 |
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21 | 障 害 な し |
腹腔鏡下胃全摘術施行。経口アンビル(吻合器)を食道断端から引き抜き吻合器本体と合体し、吻合しようとした吻合できず、吻合器の不具合と判断し、開腹術に移行し、直視下で吻合を行った。患者へは、器械の不具合により鏡視下で吻合できず安全に手術を行うために開腹し吻合したと説明した。翌日業者に使用した器具の確認を依頼。使用した経口アンビル(吻合器)と吻合器本体のサイズ(経口が21mmと本体が25mm)が違うことが吻合できなかった原因であったことが判明した。患者へは、事実を説明し謝罪した。患者は軽快退院した。 |
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22 | 障 害 な し |
循環動態改善に伴い、持続投与中のエピネフリン(1mg/1ml)×10A=10ml 2.ブドウ糖5% 20ml×2A=40ml の計50mlを、0.2ml/hを0.1ml/hに変更する際に、輸液ポンプ(ジェミニポンプ)の数字の押し誤りで197mlに設定し投与開始。開始直後に気が付き止めたが瞬時に1.8m(0.36mg)投与された。 | 輸液ポンプ(ジェミニポンプ)の速度変更方法は、直接数値を入力する方法と矢印ボタンにて変更する2とおりがある、今回の事故は直接数値を入力した際に、数値及び少数点の表記が不明確なまま開始ボタンを押したことが要因である。 | 微量点滴の速度変更、特に微量で作用が大きく変わる薬剤の速度変更時には十分注意を払い確認する。 輸液ポンプ(ジェミニポンプ)の速度設定を行う際には矢印ボタンを使用し、直接数値の入力しないよう徹底する。 速度変更は、ダブルチェック等により運用する。 |
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23 | 障 害 な し |
ヒューマリンR50単位+生食49.5mLの指示があった。看護師がインスリン準備をする際に、マイジェクターのシリンジ1本が100単位のところを10単位と思い込んでメモリを1桁少なく読んでしまったためマイジェクターを5本分準備した。看護師はシリンジ1本が10単位と思いこんでいるので、50単位分となるとシリンジ5本分となるため、シリンジを吸う度に確認を依頼するのは大変だろうと思い、5本分吸った後確認依頼しないまま、ヒューマリンR500単位分準備し生食に混注した。シリンジには薬剤払い出し時の薬品ラベルが貼付されていた。開始後、患者に低血糖を認め、持続インスリンの中止やブドウ糖を投与して対応していた。2日後、別の看護師が持続インスリンを交換しようと思い、リーダーにダブルチェックを依頼した。依頼されたリーダーは2日前のヒューマリンR開始時に指示受けした看護師であったため、指示受けした際の組成と内容が違うことに気付いた。当事者に確認したところ過剰投与であることが分かった。 | 点滴作成時の指差し・声だし確認を怠り、ダブルチェックせずに自己判断で点滴作成を行った。 作成時のマイジェクターの単位数を勘違いしていた。 ヒューマリンRをの取り扱ったことがあったが、持続シリンジでのインスリン開始時のダブルチェックの際、手順通りに確認を行っていなかった。 |
点滴作成時の手順を遵守し、指差し・声だし確認を行い、必ずダブルチェックし指示とインスリンを確認する。 |
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24 | 不 明 調 査 中 |
当院では、気管支鏡検査を実施した場合、使用後の気管支鏡は手洗いによる1次洗浄が実施され、さらに自動洗浄機により洗浄・消毒を行っているが、今回、手洗いによる一次洗浄と、洗剤を使用した自動洗浄によって、血液・分泌物等は洗い流されていたにも関わらず、最終段階での消毒液の交換が不備であったために、消毒が最後まで終了していない気管支鏡がある可能性が判明した。そのことに気づくまでの20日間分の気管支鏡であった。 血液・分泌物等の洗浄は充分行われており、気管支鏡検査を介して他の患者への感染の可能性は極めて低いが、完全にないとは言い切れず、20日間に気管支鏡検査を実施した患者を緊急に調査したところ、感染の可能性がある患者が合計24名いた。 その中に、B型肝炎ウィルスに感染していた患者が1名おり、それに対する予防処置を必要と考えられる患者が6名いた。この6名に対し状況の説明を行い、同意を得て、抗HBs免疫グロブリン及びB型肝炎ワクチンの接種を実施した。 今後、24名全員について、気管支鏡検査による感染がないと判断できる実施後1年を経過するまで、経過観察していく。 |
情報の共有不足。 |
(短期的な対応)。
(長期的な対応)
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ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(事故事例「放射線検査」)
No. | 事故の 程度 |
事例の内容 | 背景・要因 | 改善策 | 調査結果 |
【放射線検査】 | |||||
25 | 障 害 な し |
研修医は、現在まで作業に問題なかった為、下肢にウエイトをつけたままMRIの造影剤注入を開始した。注入後MRIにウエイトが右下肢ごと引き寄せられとれなくなった。 | 足首につけているトレーニング用の重りを金属と理解(認識)していなかった。 |
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26 | 障 害 残 存 の 可 能 性 な し |
トレイに準備してあったクリアボーンを取り出した。患者へ針を刺し逆血を確認する際にシリンジが空であることに気がつき、前の患者に使ったシリンジ付針を使用したことに気が付いた。 | 一例目の使用済みシリンジを注射トレイに置いた際、技師がシリンジを交換し、新たなシリンジを準備してくれた。当院では初めてのRI注射であり、普段からそのようにしてくれるのであろうと思いこみ、使用済みシリンジの廃棄場所を確認しようとは思わなかった。 シリンジが交換されているものと思いこみ、シリンジの内容の確認を怠った。医師と技師の間での手順の確認が不十分であった。RI薬品注射の明確な手順・マニュアルがなかった。複数人の注射をまとめて行おうとして、準備や説明に手間取り、現場がバタバタしていた。 |
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ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(ヒヤリ・ハット事例「放射線検査」)
No. | 事例の内容 | 背景・要因 | 改善策 | 調査結果 |
27 | 術後股関節撮影にて殿部の下にカセッテを挿入する際、自分を含めて3人ほどで患者の殿部を上げた。上げ方が不十分だった気がしたが、カセッテを挿入した。挿入時に少し抵抗を感じた時に尿カテーテルを一緒に押してしまいカテーテルが抜けた。 | 体を充分に上げないでカセッテを挿入した。尿道カテーテルの位置の確認不足。 |
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28 | 立位の消化管透視を行うため検査台に踏み台を取り付け、外れないことを確認し垂直にした。患者が踏み台に上がると、片側のロックが外れ踏み台が斜めになり15センチほど下がり床についた。患者は手すりを持っており、技師と看護師がそばにいた為問題なく無事検査を終えた。 | 踏み台が確実に固定位置に入っていなかったことが考えられる。 |
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29 | EDチューブ挿入のため透視装置のウォーミングアップを実施中にX線がまだ出力されている間に、医師、看護師、患者が撮影室内に入室し被曝した。撮影室外鍵は施錠され照射中ランプが点いていたにもかかわらず、担当医師が鍵の無い操作室側より入り開錠し撮影室に入った。その時、担当技師は救急患者の撮影に携わっていて不在であった。 | 医師と技師の連絡不足が原因と思われる。また医師のX線管理区域での安全管理の認識不足にも原因があり、操作室側の入口ドアの照射中表示も無かった。 |
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30 | CT検査のオーダで撮影部位は「胸腹骨盤」であったが、「胸部」のみと勘違いし、撮影を終了してしまった。その後医師の指摘で部位間違いに気が付いた。後日患者の都合の良い日に来院していただき、部位間違いをしてしまったことを医師が説明し、再撮影を行った。 | 確認が不十分であった。 |
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31 | 頭部CT検査時に転落防止用マジックテープで固定をする。内部で腕などを動かせるスペースは空けておいたが、その際、体と接する面にマジックテープが向いていた。検査中に腕を動かすことで、腕に擦過傷を生じた可能性がある(受傷場所がCT検査中なのかは不明)。 | マジックテープの硬い面が内側に向いていた。患者の肌が弱かった。 |
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32 | 造影CTの依頼があり胸部~腹部・骨盤部、下肢の撮影を開始。造影開始・撮影開始の器械操作をしたが、造影剤が注入されないため点検すると、「全量注入」ボタンを押していなかった。一旦停止して、前段階に戻って再度開始したが、十分に造影されていない画像となった。胸部から撮影しなおそうと器械操作をしたが、腹部・骨盤部の撮影になってしまった。この事態を収拾するための器械操作をするつもりが、隣のボタンを押そうと思って「検査終了」ボタンを押してしまい、下肢の撮影をできなかった。造影剤をこれ以上使用することはできないと医師が判断し、結局、胸部と下肢の撮影を断念した。 | 放射線技師は基本的な器械操作手順を熟知していなかった。間違いに気付きあわてて器械操作を間違えた。器械操作の習得状況を評価されていなかった。 |
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33 | 血管造影検査中のCT撮影があった。CT撮影の際にスキャンを途中で中断する事態に陥り、スキャンを停止させた。事態を確認するため放射線技師および医師が検査室内に入ったが、実際は操作ミスによりスキャンが停止されておらずそのままスキャンをした。 | 検査室内にいた放射線技師および医師はプロテクターを着用していたが、患者に無用な被ばくを与えた。ミススキャン後、再度確認して、CT撮影を行った。 |
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34 | MRI検査前、問診表のチェック項目の見逃しにより、補聴器を撮影室に入れてしまい同機械を破損させてしまった。 | 急ぎの臨時検査が数件重なった為、検査を急いでしまった。 |
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35 | 股関節ダイナミックMRIの撮影において左股関節を撮影すべきところ、右股関節を撮影してした。過去の画像を閲覧し数日前に右股関節を撮影しており、フォロー撮影と思い込んだ。オーダーのコメント欄に左股関節と指示があったが縮小表示の際オーダー画面をスクロールしないと見えない最終行に記載されており見落とした。主治医の指摘で分かった。患者への実害はなかった(何らかの影響を与えた可能性は否定できない)。 | オーダーを全画面表示で確認するというルールが不明確であった。検査前患者に確認していなかった。 |
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36 | 患者確認し、胸部XーP撮影後にMRI検査を行なう。MRI検査チェック用紙でチェックし、検査を始めた。Locator(位置決め画像)撮影時、アーチファクトがあるため患者の身体を確認したところエレキバンの取り忘れがあった。エレキバンを外し、検査を続行した。障害は発生しなかった。 | 救急センターでは、患者の着ているものから病院の検査着に着替えて身体に湿布剤等が貼付してないか、念入りにチェックしているが、このときは分かりにくかった。 |
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37 | 意識レベルが低下している入院患者の頭部MRI検査で、位置決め画像を撮影後に左眼眼窩内付近に金属アーチファクトが見つかり、外部観察を行ったが金属は身につけておらず、頭蓋内に金属があることが判明し検査を中止した。患者には影響がなかった。 | MRIの事前チェック表で金属の確認を行ったが意識レベルの低下している患者の体内の金属チェックは十分出来なかった。 |
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38 | 肝シンチで、前の患者を撮影した状態で、次の患者の位置合わせをしたため、収集する検出器が逆になった。検査中に気付き、元に戻し撮影した。ダイナミック画像が撮影できなかったため、計算ソフトが使用できず手計算の報告書となった。 | 前の患者を撮影した状態で、そのまま次の患者を寝台に寝かし位置あわせをした。 |
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ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(その他「MRI」)
No. | 事例 | 調査結果 |
39 | 【内容】 精巣腫瘍の疑いにてMRI検査が施行された(造影剤は使用されていない)。MRI検査中の誘導電流による熱傷事故が両側の大腿部内側に生じたと思われる。検査にあたってはマニュアルに準じケーブルやコイル付属機器との接触を避けるように十分に配慮し、熱感があればすぐに押しボタンで連絡するよう患者に伝えていたが、検査中に皮膚と皮膚が触れてしまったと思われる。 【背景・要因】 MRI検査中の誘導電流による熱傷事故対策を行っていたが、緩衝材(タオル)が十分でなかった、あるいは検査中に位置が変わって皮膚が触れてしまった可能性はある。また、皮膚のピリピリ感を感じていたにも関わらず患者が押しボタンで連絡しなかったのは、少しでも異常を感じたらボタンを押すようにとの説明が不十分であった可能性もある。 |
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40 | 【内容】 MRI検査のため検査室に来室。当該患者は下肢の腫れがひどく、単独で移動できないため、数人で検査ベッドに搬送した。このとき、下肢に触れると疼痛を訴えた。また、下半身が寒いと言われたため膝掛けを使用して、MR Venography を開始した。検査中に熱くなってきたと言われたのでひざ掛けを外し、検査を続行した。さらに熱いといわれるため、大腿を見ると両側に発赤、水泡が認められたので放射線科、主治医に連絡し、検査を中止した。両大腿部が接触していたことに起因する高周波熱傷と推測された。受傷当日皮膚科を受診し、熱傷Ⅱ度の診断となった。以後、軟膏処置他フォローアップを受けている。現在熱傷Ⅲ度の状況にあり、近日中に手術(両大腿内側デブリードマン+縫縮術)を予定している。 【背景・要因】 このMRI検査では、2D-TOFの手法を使用することが予定されており、実際に使用された。この方法で用いられるグラジエントエコー法は通常の検査(SE法)のRFパルスの出力であり、検査実施者はRF熱傷の知識は有していたが、当該患者が両下肢の疼痛を訴えていること、下肢に触れることを嫌がったことなどから、大腿の皮膚接触面にタオルを挟むなどの処置をほとんど考慮しないで検査を開始した。 |
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ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(その他「再発・類似」)
No. | 事例 | 調査結果 |
41 | 外回り看護師が手術の準備の際、製造販売業者からガイドワイヤーを器械台に出すよう依頼される。外回り看護師は、ガイドワイヤーのパックに「未滅菌」の表示があることに気づき、この業者に「これは滅菌されていますか?」と質問したところ、製造販売業者から「外袋は、滅菌がかかっておりません。」との返答を得て、パックの中にあるガイドワイヤーを清潔操作により器械台に準備した。 その後、交代のために入室した夜勤帯の外回り看護師が、空になったガイドワイヤーの外袋に滅菌を示す色の変化がないことに気づき、確認の結果、ガイドワイヤーが未滅菌であることが判明した。 【事故の背景要因の概要】 滅菌担当者が、滅菌を行わずに清潔区域の準備室に持ち込んだ。
器械出し看護師が、準備室から手術室に未滅菌のまま運び入れた。
外回り看護師は、未滅菌物が手術室内に運びこまれていることについて想定外であった。
外回り看護師は、手術の進行に伴いガイドワイヤーが必要になった時点で、パックに「未滅菌」の表示があることに気がついたが、他の看護師に再確認をしなかった。
ガイドワイヤーパックの外装にある滅菌状態を示す印字の表示方法がわかりにくい。
ガイドワイヤーのパック包装と、当院が通常使用している滅菌パック包装とは素材が異なることにより、滅菌状態の確認方法が通常と異なっていた。 |
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