独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成23年度 第1回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医療機器関連事例) 別添2

本文別添1|別添2|別添3

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(医療事故)

No. 事故の
程度
販売名 製造販売
業者
事故の内容 事故の背景要因の概要 改善策 調査結果
1 障害残存の可能性なし 不明 不明 トレッドミルで運動療法中に、患者が高く足を外側に振りだしトレッドミルの露出ネジにあたったため、左膝前面に2cmの切傷ができた。主治医診察後消毒のみの対応で解決。 当事者や患者は、トレッドミルの内側にネジがあることをに気付かなかった。
患者がだらけていつもと違う歩き方をしていたが、PTは患者から離れた位置にいて歩容の確認や患者指導が行えなかった。
トレッドミルのネジの露出に接触しても患者が損傷しないように、ネジにクッションになる物を巻きつけた。
患者の訓練で集中できるように患者の近くで対応し、患者に使用中の歩行状態によっては危険がある事を説明し、患者の協力を得る。
  • 観察が不十分であった
2 障害なし アトム検診台ET2000固定式 アトムメディカル株式会社 残尿測定終了後、内診台の終了スイッチを押した。台が自動降下した時、点滴架台のグリップ(高さ86cm)が降下した内診台の左支脚器に接触し、患者は座位のまま内診台ごと後に転倒し、壁に後頭部を打撲した。後頭部に明らかな外傷なし。頭部CT上、内出血、血腫、骨折なし。 自動降下中に点滴架台が障害物になることに気づかなかった。台座は処置中は床面から約45度の位置に背板が倒れるが、自動降下終了後は少しずつ背板が起き、座位状態となる。台座が転倒した時は、降下し始めで台座が高い位置でかつ背板が起き上がってきていた。点滴架台のグリップ部分がてこの原理で、本体160kgの内診台が横転した可能性がある 周囲に障害物がない事を確認してから患者の移動介助、検査台の昇降スイッチを押す。診察中、検査台の昇降時は観察を十分に行い、患者の側を離れないことを徹底する。
  • 確認が不十分であった
3 障害残存の可能性がある(高い) PLV-102


PLV用ディスポ呼吸回路
米国レスピロニクス社

フィリップスレスピロニクス
  1. 1時50分、人工呼吸器高圧警報が鳴る。喘鳴出現のため気管内吸引を実施した。
  2. 気管内吸引実施後、人工呼吸器を装着し、患者の胸郭の動きを確認した。
  3. 人工呼吸器のパネルカバーを開けて気道内圧が上昇していることを確認した。
  4. パネルカバーを閉めようとした際、カバーが閉まりづらいと感じた。カバー周囲を触ったが何もなかったのでそのままカバーを閉めた。
  5. 2時5分、ベッドサイドモニター(SpO2と脈波)を確認するとフラットになっていた。
  6. ベッドサイドに行くと人工呼吸器は作動しておらず、手爪にチアノーゼ・胸郭の動きがない状態を発見した。
  1. 人工呼吸器(PLV-102)外部バッテリー接続部チェーン付きゴムカバーが主電源スイッチに触れている状態のところに、本体パネルカバーを閉じたため、主電源スイッチが外的圧力(ゴムカバー)によってOFFになった可能性がある。
  2. 患者監視装置のアラーム音量は最大に設定していたが、実際は音量が小さく発見が遅れた。
  1. 人工呼吸器(PLV-102)外部バッテリー接続部チェーン付きゴムカバーの撤去。(外部バッテリー常時接続患者)
  2. 院内全人工呼吸器の電源・アラーム音・回路接続の確認。
  3. 院内全患者監視装置のアラーム音量の点検。
  4. 夜間患者急変時対応シミュレーション研修の実施。
  • 確認が不十分であった
4 障害なし テルフュージョン輸液ポンプSTC508

輸液セット ポンプ用300L TI-PU300L
テルモ



  
テルモ
勤務開始時に輸液ポンプ・シリンジポンプの点滴速度の設定確認を行い指示通りであることを確認した。その後、輸液ポンプのアラームはなることはなかった。14時の血糖が27mg/dlに低下しており50%ブドウ糖液を40ml側注した。16時の勤務交替前に輸液ポンプの積算をクリアし高カロリー輸液のバッグに残量チェックのラインを引こうとしたとき、前回の残量のラインよりほとんど輸液が減っていないことに気付いた。輸液ポンプを開くと、輸液チューブが屈曲した状態であった。 テルフュージョン輸液ポンプSTC508は、フィンガー部に輸液チューブの屈曲があると輸液が中断されても閉塞アラームはならないこと、積算量もカウントされるということが周知されていない。
また、各勤務帯で1度は輸液チューブの屈曲がないかを確認することが徹底していない。
輸液ポンプのフィンガー部にチューブの屈曲がないか、勤務開始時に確認する。
輸液ポンプ使用時は、輸液ポンプの作動確認に加えて、輸液セットの輸液筒で滴下を確認する。
  • 確認が不十分であった

  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
5 障害残存の可能性がある(低い) ベネット840

バラードトラックケアプロダクツ
タイコヘルスケアー

センチュリーメディカル
19:30 バイタルサイン測定を行った。SpO298%(経口挿管中 PEEP12cmH20)ミタゾラムの持続投与は日中より中止としていた。
19:45 体動が活発となりミタゾラムを1ml/hで開始した。閉鎖式吸引カテーテル(トラックケア)とり気管内の痰を吸引した。挿管チューブと閉鎖式吸引カテーテルの接続部は外してはいなかった。
19:50 体動が少なくなり意識レベルはE2VTM6だった。
同じチームの看護師とともに個室患者の体位変換を行った。患者も個室であり横並びで4つ隣の病室に入院している患者に対して体位変換を行った。他にICUフロアーに2名の看護師がいた。

20:04 同じチームの看護師がセントラルモニタのアラームが鳴っていることに気が付き表示を確認すると患HRが50台になっており病室へかけつけた。病室(個室)内では人工呼吸器のアラームも鳴っており見ると挿管チューブと閉鎖式吸引カテーテルの接続部が外れていた。
応援を呼ぶとともに用手換気を開始したが、直ぐにAsystoleとなった。
担当看護師と同じチームの看護師は患者から離れた4つ先の個室にてケアを行っていた。モニタ音、人工呼吸器のアラーム音が聞こえていなかった。
2名の看護師が入っていた個室のモニタ画面では、患者のモニタアラームが鳴ってもプレビューが出来ない、画面表示を確認できる設定になていないかった。2病室ごとにセットされており、急変した時にケアしていた病室と患者の病室ではモニタ自体が連動していなかった。
モニタアラームの音量は全て4/10で設定されており煩雑な中のICUフロア内では音が紛れてしまっていた。 人工呼吸のアラーム音量も中程度(標準設定)でありアラームが鳴っていたこことに誰も気づいていなかった。
看護師は病室を退室する際、人工呼吸器回路から閉鎖式吸引カテーテル、挿管チューブに至るまで接続部を確認できていなかった。
看護師はミタゾラムを再開したばかりの状態ではあるので、覚醒状態やモニタチェックを行い経過観察が必要な時間帯ではあった。
ICUフロアでは、常に何らかのアラーム音が発生しており、その中で紛れてしまい重要な時に対応が遅くなってしまった。
モニタアラームの音量を7/10まで上げるよう設定を変更した。
モニタアラームが鳴った際のプレビューが出来る区分をチームごとに区分けを行ってもらうよう設定を変更した。同じチーム内の患者に何か起きた場合は、チーム内のどの病室に行っても対応できるように設定を変えた。
人工呼吸器のアラーム音も標準設定よりは音量を上げて対応することとした。
人工呼吸器と閉鎖式吸引カテーテル、挿管チューブとの接合部について確認を毎回行う。方法は写真で明示して行う。
  • 確認が不十分であった
6 障害残存の可能性がある(低い) LIGAMAX5 ジョンソン・エンド・ジョンソン 左胃動脈(LGA)切離にむけLGA起始部近傍にLigaMax5クリップをかけ、続けてその末消側に二重クリップとしてのクリップをかけたところ、LigaMax5のジョーが開かず、血管からLigaMax5をはずせなくなった。その後に動脈性出血を認めた。出血が増す状況が生じ得ると考え、開腹移行(臍ポート創までの正中切開)とした。開腹後、ガーゼを用いた用手的圧迫で出血を抑えながら、消化器外科、血管外科、麻酔科の応援を依頼し、輸血準備が整うまで、用手的圧迫のまま待機した。血圧などが維持でき、輸血の目処がたった後、鉗子で出血部位をとらえることができ、血管外科医師により出血部位を修復した。

麻酔科に胃切除続行の了解を得て、幽門側胃切除術を終了した。膵が幽門輪すぐ近くまで存在し、そのままではビルロートI法による吻合操作は容易ではないと判断、また血管処置にともない残胃血流不良となる可能性も考慮し、Roux-Y再建とした。出血縫合部および幽門輪近傍膵臓にそれぞれネオベールとベリプラストPを用いたカバーを行った。閉腹前の洗浄時に、脾臓からの出血を認め、タココンブ貼付(ハーフの1/4を3枚)により止血した。膵上縁および左横隔膜下にそれぞれデュープルドレーンを、皮下脂肪がかなり厚かったことから皮下にペンローズドレーンを挿入留置した。抜管せずにICU入室とし、ICU管理とした。出血量4755ml、輸血(RCC18単位、FFP16単位、PPF3050ml)。
クリップ左胃動脈(LGA)切離にむけLGA起始部近傍にLigaMax5クリップをかけ,続けてその末消側に二重クリップとしてのクリップをかけたところ、LigaMax5のジョーが開かず、血管からLigaMax5をはずせなくなった。
事故後確認すると、クリップ15個入りのLigaMax5 のクリップは、残り1個であった。
製造メーカーに原因調査報告を依頼し、目処が立つまで当該製品(同ロット番号)の使用を見合わせることとした。他社製品使用の検討も行い、内視鏡手術を行う全診療科に本事例の周知をはかった。
再発予防のために、今回の事故の契機となったと思われる機器の不具合の解明を含めた原因調査が必要である。メーカー中間報告では、原因特定できず、アメリカでのメーカーでの調査を依頼。
腹腔鏡手術中にこのような想定外のトラブルが生じた場合には、今回の事例同様、開腹手術への移行や他科との連携など、患者の安全を最優先した対応が重要であることが再認識された。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った

当該事象について企業から薬事法に基づく不具合報告が行なわれており、当該医療機関から提供された術中ビデオから、11発目のクリップ上に12発目がファイアリングされたためにジョーが開かず当該機器が血管から外れなくなったことが確認され、当該企業の再現試験においも同様事象が認められている。
また、出血については、当該機器を血管から外すためにひねる等の操作が行われたために、血管損傷に至ったものと推察されている。
7 障害残存の可能性がある(低い) 全身照射用寝台 不明 発生日の数日前、全身照射用寝台の点検を業者が行った。点検終了後、設定値を5%にしていた。通常10%に設定していたため、本来12.0Gyのところ、13.728Gy投与した。副作用軽減のため、当初予定していた全身放射線照射12GY+大量キロサイド療法+大量エンドキサン療法から大量キロサイド療法を中止した。 照射前設定値確認をしなかった。
設定値を業者によって変更することは事故に繋がると考え、当院では10%の固定にしていた。点検後の確認作業、照射前の確認をルール化していなかった。
照射前確認を行う。
現在、放射線治療科と中央放射線技術室においてマニュアル作成中。
  • 確認が不十分であった
8 死亡 セントラルモニター  DS-7680W 福田電子 患者の心電図モニターの電極外れがあり2回電極をつけ直した。患者は、マスクを外してほしいと訴え、右手をしきりに動かしNPPVの回路を引っ張るなどしていた。A看護師とB看護師はおむつを交換し、フェイスマスクのフィッティングを調整した。その後、痰を吸引をした。この時、血圧が通常より高く、A看護師は血圧を再検した。その結果、血圧の低下を認めたため、経過観察とした。その後、患者がベッド柵を揺するので、A看護師が訴えを聞いたがはっきり分からなかった。この時のモニター記録では、血圧179/95mmhg 脈拍数は93回/分 SPO2は記録なし、となっていた。A看護師は、セントラルモニターの側で記録をしていた。
モニターからは患者の電極外れやRUNのアラームが鳴っていたが、体動のためと思い対応せず消音した。モニターと連動しているPHSのアラームも消した。この時間帯のモニターの記録では、経時間的に2点の記録があり、SpO2は87%、23%、血圧は、132/38、以後再測定しているが測定不能、となっていた。A看護師は他患者のナースコールに対応をした。B看護師は、モニターで患者の血圧測定が不能であることと、別の患者のSpO2が70%と異常値であることを知らせるアラームに気付いた。B看護師は、この別の患者の呼吸器回路が外れ易いことが気になり先に対応した。

B看護師は、この別の患者の様子を見にきたA看護師に、血圧測定不能だった患者を見てくるように指示した。A看護師が病室へ行き、NPPVの呼吸回路が外れ、心肺停止している患者を発見した。直ちに当直医に連絡し心肺蘇生を開始した。アンビューによる換気と心臓マッサージ、ボスミン投与を行い、カタボンHi投与も開始した。一時、心拍数が150回/分と回復したが、徐々に徐脈になり、その後死亡を確認した。
  1. 当該病棟では、呼吸器を10台、セントラルモニター8床、モニター8床を使用していた。アラーム閾値、血圧測定時間など患者に応じた設定になっていなかった。そのため日常より複数のアラームが頻繁に鳴り、アラームに対する慣れが生じていた。
  2. 心電図モニターの電極外れが頻繁にあり、今回も外れていると思い込んだ。またモニターでも、血圧測定が30分間隔の設定で、体動や測定不能のアラームが頻繁に鳴っていた。そのため、いつものことだと思い対応しなかった。
  3. 胸腔ドレナージは、アスピレーションセルジンガ-キットを使用していたため、気胸の可能性は低い。また時間経過からも、胸水の貯留が原因の可能性も低いと考えられる。
  4. 胸腔ドレナージ抜去が、身体に及ぼす影響を予測した観察をしていなかった。また、IVHルートや呼吸器の安全と抜去予防について、対策が取れていなかった。
  5. >NPPVの回路は外れにくいと認識していた。そのため患者が引っ張っていたが、接続を確認していなかった。
  6. 主治医は電話で連絡を受けたとき、呼吸器の回路外れを、胸腔ドレーン抜去のことだと思い込んでいた。
  1. モニターを装着する患者、必要性、アラーム設定値を医師と相談し見直す。定期的に必要性やアラーム設定を見直す。
  2. 無駄なアラーム、テクニカルアラームを減少させる取り組みを行い、アラームが鳴ったらモニター画面を確認し、患者を観察に行くことを徹底する。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
9 障害残存の可能性がある(低い)     入室後13日目のバイタルサインは、ABP 50~70/20~30mmHg、HR 100台、PCPS冷温水槽の温度は37.0℃に設定されており、腋窩温は36℃台で経過していた。
(入室後14日目)
17:00 ABP 62/32mmHg、HR 106回/min、腋窩温36.5℃。
吸引時、ABP30台に低下を認めたため、Ir-PC-LR 20ml静注施行(心臓血管外科A医師)。
17:15 ABP 50~60mmHg台であったため、5%アルブミナー20ml静注施行(A医師)。
18:05 CHD回路交換のため、CHD一時中止(MEセンターA技師・B施行)。ABP 62/28mmHg、HR 106回/min。
18:32 CHD再開(MEセンターA技師・B技師施行)。再開直後より、ABP 48/28mmHgへ低下、持続したため、A医師へ報告
18:53 A医師到着後、持続投与中であったIr-PC-LR 35mlと5%アルブミナー10mlを混合し、2回に分けて静注施行。静注後、66/35mmHgへ上昇、HR 102回/min。
19:10 腋窩温35.6℃、ABP 56/28mmHg、HR 96回/min。頭部を含めて体表面の冷感を認めた。Ir-PC-LR終了後、5%アルブミナーとIr-RCC-LRの持続投与の指示あり、施行する。
19:15 Ir-RCC LR 20ml静注施行(A医師)。
20:00 ABP 66/34mmHg、HR 92回/min。HRが低下傾向にあることに気づいたが、ABPが維持されていたため様子観察することにした。
20:40 ABP 60mmHg台であったが、HR 88回/minとさらに低下を認めた。PCPS冷温水槽の設定温度・実測の温度ともに37.0℃と誤差がなかったが、冷温水槽循環回路に冷感を認めたため、設定温度を37.0℃から38.0℃へ変更。またCHD回路設定温度も38.0℃から39.0℃へ変更し、A医師へ報告した。
21:00 腋窩温34.8℃、ABP 66/32mmHg、HR 86回/min。
21:20 ベアハガーによる加温開始。吸引時、ABP30台に低下あり。ゆっくりと50台に上昇するが、低いため、Ir-RCC-LR 16ml静注施行(A医師)。
22:00 腋窩温34.0℃。改善ないため、MEに体温管理相談目的にTEL連絡。PCPS冷温水槽のメイン回路流量の赤いバーが点灯しているかどうか確認するように指示あり。
22:05 メイン回路流量の赤いバーが点灯していなかったため、MEセンターC技師よりメイン回路のスイッチを入れるように指示あり。メイン回路のスイッチ点灯後、PCPS冷温水槽の循環回路が作動し、まもなく循環回路に温感を感じられるようになり、速やかにHRは上昇を認め、22:30には100台へ改善した。この間、不整脈は認められなかった。
22:55 腋窩温で35.6℃へ上昇、体表面の冷感も改善された。その後、体温は36℃台で安定し、HRは100台・ABPも70~80台で経過している。日勤・準夜での申し送り時も水温と設定値は確認していたがパネルのスイッチの点灯状態は確認していなかった。
使用していた機器について使用者が熟知していなかった。また,冷温水槽のメンテナンスを定期的に行っていなかった。
  • 患者に使用されている機器については、熟知した上で管理・使用する。必要時は、MEによる教育を受ける。
  • 特殊な医療機器を使用している患者に異常が発生した場合は、機器トラブルを疑い、速やかにMEに連絡し対処する。
  • 実際に使用された機器を検証してみたが、事象に関してははっきりしなかった。これまで機器のメンテナンスが行われていなかったということから定期的にメンテナンスされた機器を使用する。また現段階で2種類の機種が使用されており、それぞれの観察点が異なるため、統一した機種を使用する。
  • 機器に観察ポイントをマーキングした。また観察ポイントを示した「PCPS冷温水槽の確認項目」を写真入りで作成の上、機器に貼付し、周知した。
  • 冷温水槽の循環回路を実際に触れて、加温状況を確認する。
  • PCPSのチェックリストに関しては、「冷温水槽の温度・水量」の項目のみであったため、今後MEセンターとチェックリストの項目内容を見直す。
  • 確認が不十分であった
10 障害残存の可能性がある(低い) vital port vascular access KT IP-S-5116-N cook 消化管狭窄による食事摂取不能と抗癌剤投与のため、左前腕にCVポート留置した。約7ヶ月後、入院時からCVポート穿刺輸液時に皮下への漏れがあった。その約2ヵ月後自宅より造影検査のため来院し、CVポートの造影を行ったところ、カテーテルの肺動脈内への迷入を認めた。 循環器内科を紹介し、大腿静脈からカテーテルを用いて除去した。カテーテルは両端とも断端がスムーズで、断裂というよりはCVポートの根本から抜けた可能性があった。業者の方に持ち帰っていただき調査中である。 要因については現在メーカーにて検証中。
  • CVポート製品の精査。
  • 皮下に漏れを認めた場合、カテーテルの脱落も考慮して画像検査を行う。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った

当該事象について企業から薬事法に基づく不具合報告が行なわれており、当該機器の解析結果から、カテーテルとポート本体が適切に接続されていなかった可能性が否定できないとのことであった。
11 障害なし 不明 不明 小児科外来より患者、母親、主治医がMR室に訪れる
主治医がMR室ソファにて鎮静のためイソゾールを使用する
鎮静された後、技師、主治医にて患者の着衣など磁性体の物を身につけていないか確認をする(ズボンのボタンなどの磁性体は検査着の更衣により排除した)検査室内に入るため主治医が患者を抱っこし担当技師が点滴スタンドを持って一緒に入室した。撮影の準備中、再びイソゾールを追加するなどして撮影の準備を行った。寝台を動かしガントリ内部に患者が進入したところ右手に刺入してあるルートが引っ張られ気味になっていたので点滴スタンドをガントリ内部に近づけた瞬間一気に点滴スタンドがMR装置に吸着した。
二人で外そうとしたがまったく外れなく逆に患者に飛んでいく危険を感じたのですぐ近くの技師に応援、三人でも同様であったので患者の救出を行うためさらに応援を呼びに行く応援に来た数人で患者を救出、その後点滴スタンドも外す事が出来た。装置の動作確認を行う。主治医が患者の状態を確認し再度鎮静を行い改めて検査を行った。
  • MR検査前室での患者自身以外の磁性体に対する確認不足
  • MR検査室入室前の磁性体の確認手順ミス
  • 検査室入室直前での最終確認を怠った
  • 非磁性体点滴スタンド(MR用)と磁性体の点滴スタンドが見た目では判別しづらい
  • MR検査前室入室直後に担当技師が磁性体のチェックを行う(患者自身だけでなく酸素ボンベや点滴スタンドなどの持参されているもの、また介助者が必要な場合は介助者についても)
  • 患者自身の体内磁性体や着衣などは伝票をもとに直接技師が確認を行っているが患者以外の磁性体を持ち込んでいないか確認するためチェック内容を記載したシートを作成する。
  • 検査室に入室する直前に再度磁性体のチェックを行う(最終チェック)
  • MR室用の点滴スタンドにカラービニールテープを巻く事により持参された点滴スタンドとの区別を明確にした
  • 確認が不十分であった
12 障害残存の可能性なし BiPAP synchrony フジ・レスピロニクス 23:00 A号室の人工呼吸器BiPAP visionの加湿器に水を補充していると、突然ブーという音と共に呼吸器が停止した。この時、隣B号室の患者の人工呼吸器作動停止音は聞こえなかった。
23:05 スタッフステーションのモニターでB号室の患者のSpO2が86%まで低下していることを看護師が発見し、直ちに酸素15L/minでバックマスク加圧を実施した。A号室の患者対応応援で来棟していた準夜看護師長が、病棟内の人工呼吸器の作動確認でB号室の人工呼吸器BiPAP synchronyが停止していることを発見、無停電電源のブレーカーが遮断されていたため人工呼吸器BiPAP synchronyを緑色の無停電コンセントから赤色のコンセントに差し替えた。
23:30 SpO2が更に低下した上、意識レベル低下、心停止に近い状態となったため、血管確保及び心臓マッサージ施行し、人工呼吸器BiPAP visionを装着した。
01:00 意識レベルが回復した。
  1. A号室の人工呼吸器BiPAP vision加湿器に水を補充している際、突然、呼吸器が停止した
  2. 水を補充していた加湿器は床に置かれていた3Pの延長コードに接続されていた。
  3. A号室ではB号室の呼吸機作動停止音は聞こえなかった。
  4. 人工呼吸器は全て緑の無停電のコンセントに直接差し込み、マニュアルに沿っていた。
  5. 無停電のコンセントを使用していたため、当該患者使用の人工呼吸器BiPAP synchronyの外部バッテリーは病室に準備してあったものの、人工呼吸器BiPAP synchronyとは接続していなかった。
  6. 当該病棟の無停電のコンセントのブレーカーが漏電・過電流表示機能付きブレーカーでなく、漏電により遮断されるタイプだった。
  7. 個室4室の無停電回路の回線が1箇所に集約されていた。
  8. 病棟内で漏電警報は感知されなかった。(事務当直、電気室は感知)
  9. 緑コンセントは無停電だから大丈夫と過信していた。
  1. 緑コンセントには延長コードをつながない。
  2. 赤コンセントに延長コードを使用する場合は、必ず3Pの延長コードを使用し、コンセント差し込み口の位置を水滴の避けられる場所にする。
  3. 人工呼吸器を24時間装着している患者については、原因究明ができるまで人工呼吸器を外部バッテリーに接続した上で赤コンセント(保安回路)を使用する。
  4. 無停電電源装置内の検証を電気技師・メーカーで実施する。
  5. 無停電電源装置のブレーカーを漏電・過電流表示付きブレーカーに改修する。
  6. 無停電電源の回路を部屋毎の配線に可能な限り改修する。
  7. バッテリー搭載していない呼吸器の確認と外部バッテリーの購入を計画する。
  8. 各病棟の配電盤の場所及び故障表示、警報発生の可否を確認し、その管理を徹底する。
  9. 電気設備について、研修会を開催する。
  10. 緑の無停電、赤の保安回路にアクシデントが発生したと想定した訓練を計画する。
  • 判断に誤りがあった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
13 障害残存の可能性なし 血液成分分離装置AS.TEC204 株式会社アムコ 末梢血幹細胞採取途中1時間50分経過したところで、末梢血幹細胞採取装置より異常音が発生したため、採取量10000ml予定を5852ml採取で途中終了した。 医療機器の不具合(遠心器のギアボックス故障) 代替器を依頼した
  • 保守・点検の不備
当該企業に確認したところ、本事例は経年劣化によるギアボックスの故障により異常音が発生したものであった。
なお、当該機器は9年以上使用されており、その間、保守点検も実施されていなかったとのこと。
14 障害残存の可能性がある(高い) ベンチレーター740




DARディスポーザブル呼吸回路部品エア・フィルタ付人工呼吸回路
コヴィディエンジャパン




コヴィディエンジャパン
隣室でバイタルチェックをおこなっていた看護師がアラーム音に気づいた。廊下に出てアラーム音の方向を確かめ、当該患者の部屋に向かった。訪室すると人工呼吸器回路の人工鼻とY字蛇管の接続部がはずれており、チアノーゼが認められた。
心肺蘇生(心臓マッサージ)を開始し、当直医に緊急事態の発生を連絡した。当直医師がベッドサイドに到着、指示により心マッサージを継続した。心拍が再開した。最高血圧65~59、脈拍触知可能となり徐々にチアノーゼは消失したが、高度の意識障害を引き起こす事態に至った。
  • 当院では10台の人工呼吸器が使用されており、当該病棟は6台の人工呼吸器が稼動していた。
  • 当該患者がいた病室のひとつ隔てた病室にも人工呼吸器装着の患者がおり、その患者の人工呼吸器のアラーム音がたびたび鳴っていた。当該患者の病室と頻回アラーム音を発信する患者の病室との間の病室で看護業務をしていた看護師がアラーム音を聞い たとき、当該病室を特定するのに時間を要した。
  • 当該患者は心疾患(心筋梗塞、狭心症)の既往があり、心停止を来たしやすい状態であった。
  • 人工呼吸管理を行う患者をナースステーション近辺に配置する。
  • 人工呼吸器使用時にはオキシメーターか心電図モニターなど複数の生体モニターを併用する。
  • 人工呼吸器安全管理委員会を新たに設置し、人工呼吸器を安全に使用する体制を再構築する。
  • 少なくとも月1回の巡視をおこない人工呼吸器の運用面での問題点を検討する。
  • 人工呼吸器の安全使用について、職員の教育をより一層充実させる。
  • 観察が不十分であった
15 障害残存の可能性なし e500 TOKIBO社製 15時15分手術室より気管内挿管し帰室。帰室後麻酔科医が人工呼吸器を装着した。呼吸器はMEが呼吸器回路を組み立て午前中に病棟に搬送された。翌日9時、回路内に水滴が発生していない事に気づいた。加湿器の蒸留水は減少していた。12時、15時にも回路内に水滴が発生せず、回路を点検したところ、回路の吸気と呼気が反対に組み立てられていることを発見した。直ちに回路を修正した。気管洗浄し、痰を吸引。痰の正常は硬めではあったがSpO2の低下や痰づまりなどはなし。 回路作製、点検時に確認を怠り、吸気、呼気を逆に接続した。当該機種では吸気、呼気を確認するシールが貼ってあったが、今回の機器は代替(レンタル)機であったため、シールを貼っていなかった。また、患者接続時、使用中点検においても気づかなかった。 呼吸管理チェック手順の再周知徹底。
  1. 吸気、呼気アウトレットに色つきで分けた表示を徹底する。
  2. 吸気から呼気にかけて回路の流れを指差しで確認する。
  3. 人工呼吸器点検後、回路構成をダブルチェックする。
  4. 今後、吸気側、呼気側の色が異なる回路を導入する予定
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
16 障害残存の可能性がある(低い) 一時的使用ペーシング機能付き除細動器 日本光電 自分の受け持ち患者が落ち着き、業務的にも余裕があったため、日勤帯の業務である備品や医療器具の点検を行っていた。AMI後の患者のベッドサイドにあるDCをチェックした。(DCの簡易動作チェックをする際の手順は先輩に教わっていた)AEDコードについては確認しなかった。心電図波形を確認し(本人の波形かは確認せず)、DC本体に出る手順通りパドルの放電ボタンを押してテストしようとしたが、充電ランプが点灯していなかった。パドルにある充電ランプが消えていることにも気付かず、本体の放電ボタン3を押して放電する場合本体の放電ボタンを押してテスト施行。以前自分でも実際の患者にAEDを使用した事があり、放電ボタンを押して実施した。AEDパッドが患者についており、患者に必要のないDCをかけてしまった。 患者にコードがつながっている事を確認していなかった。放電パドルの充電ランプが消えていることに気付かなかった。機器の操作方法を確実に理解していないのに点検してしまった。患者につながっている場合に何が起こるかを考えずに施行した。心電図波形をモニター波形とDCの波形と確認していなかった。基準マニュアルがなかった。 点検前には患者にパッドが貼られているか、確実に確認する。機器の操作方法を理解した上でチェックを行う。ベッドサイドにあるDCの場合、モニタ波形とDCの波形を確認する。日々、機器の危険性を考えながら行動する。患者についてる場合は作動チェックを行わない。
  • 確認が不十分であった
17 障害残存の可能性がある(低い) 麻酔器 不明 手術終了後、17時10分、ベッド上で患者を麻酔器側に移動したところ、突如SpO2が80%に低下した。ジャクソンリース回路にて用手換気を試みるも不可能であり、責任番医師をコールした。その後も急激なSpO2低下を認めた。17時11分SpO2は38%に低下。アンビューバッグにて用手換気を行い、直後SpO2は100%に上昇した。この間の血圧の低下、および徐脈は認めなかった。麻酔器よりの酸素供給回路の接続が外れていたため再接続し、ジャクソンリース回路による換気に戻した。その後、しっかりした自発呼吸が認められ、呼吸状態は安定した。筋弛緩薬拮抗薬投与後、全身状態を観察後、手術室を退室した。低酸素時間は約1分であり、それに起因すると思われる神経症状等の異常は認めなかった。 移動時に麻酔器の酸素供給回路の接続が外れたため、酸素が供給されなかった。 体位変換時には必ず責任番医師をコールする。換気不能、またはSpO295%以下となった場合、責任番医師を大至急コールする。ジャクソンリース回路にて換気不能な時は、アンビュバッグによる換気を行う。
  • 確認が不十分であった
18 障害残存の可能性がある(低い) バード8400 アイ・エム・アイ株式会社 気管切開施行。日中人工鼻、夜間人工呼吸器管理とした。朝回診で医師が診察し、状態が安定していることを確認して午前9時から人工呼吸器を外すように指示した。午前9時15分頃に担当看護師が人工呼吸器から人工鼻に変更しようとした。呼吸器を外したところ、気管カニューレ口に痰が付着していたため、外したカニューレを再装着した。痰を除去するために手袋をし、呼吸器の電源を切った。回路を外そうとしたところ、患者より排尿したいと訴えがあり、尿器をあてた直後に患者が苦しそうに首を振りながら、意識を消失した。SpO257%まで低下した。直ぐに応援要請。当事者は呼吸器の電源を切ったままである事に気づき、電源を直ぐに入れた。呼名反応出現し、意識は回復した。SpO295%。9時30分BGA:PCO261.1Torr、10:00傾眠傾向だがコミュニケーションが取れるようになった。 呼吸管理に対する知識や技術の不足、排尿介助という作業中断により通常の作業工程を逸脱した。 医療従事者の呼吸管理に対する知識・技術の修得。診療科、看護師、臨床工学技士のチームによる呼吸管理能力の向上。呼吸管理マニュアルの周知徹底
  • 確認が不十分であった
19 障害残存の可能性がある(低い) 経腸栄養ボタンカテーテル(MD46715) 住友ベークライト(株) 日勤にて夕食分の経管栄養をナースステーションにて注入中に、PTEG(経皮経食道胃管)を自己抜去しているのをナースステーションにいた外科医師が発見した。透視下にてPTEGを再挿入した。 スタッフの目があるナースステーションにて車椅子乗車し、抑制せずに注入していたが、いつの間にか自己抜去していた(観察不足)。 車椅子乗車中もミトンや抑制帯使用し注入していくことを病棟内で確認した。
  • 観察が不十分であった
20 障害なし 不明 不明 イレウスチューブ挿入中。認知症があるため、自己抜去防止のため、ミトンを使用していた。訪室回数もいつもより増やして様子をみていたが、19時訪室するとミトンをはずし、チューブを自己抜去していた。すぐに主治医に報告。その日は様子をみるように言われる。翌日再度イレウスチューブ再挿入となった。 自己抜去のリスクは高かったにもかかわらず、ミトンで予防するに留まった。
対応策が不十分であった。
状況に応じた行動制限方法の検討
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
21 障害なし 不明 不明 経尿道的前立腺切除術施行後2病日。パスに2病日尿道留置カテーテル抜去と記載があった。尿道カテーテルは従来泌尿器科回診後医師により、抜去されていた。本日担当のA看護師はリーダーであるB看護師に「本日尿道留置カテーテル抜去予定であるが、抜いてもよいか」と相談した。リーダーであるB看護師はその場で承認した。その後B看護師が改めてパスを見直し、間違いに気がつき病室に行くとA看護師が抜去していた。泌尿器科医師に報告。尿道カテーテルは明日抜去予定にしていたが、尿の性状・量・自覚症状の観察を継続するように指示あり。患者は自覚症状・尿の異常なく経過した。 外科・泌尿器科の混合病棟であり、外科は看護師が尿道留置カテーテルを抜去しており、抜いてもいいと思い込んだ。
パスには尿道カテーテル抜去と書かれており、処置をしなければ、とあせった。
叉、尿道カテーテル抜去とかかれてあるだけで誰が抜くとは記載がなかった。
パスの記載について「医師にて尿道留置カテーテル抜去」に変更した
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
  • 連携
22 障害なし 不明 不明 術前より夜間せん妄の可能性高く、術後より介護衣を着用していた。1病日目の夜、心電モニターの脈拍が120代となっており、訪室。訪室すると起き上がろうをしており、中心静脈カテーテル固定の貼付剤が剥がれており、カテーテルを自己抜去していた。臥床しるように促すと臥床する。医師に報告し、末梢より点滴の指示あり、点滴開始し、抜かれないように挿入部周囲を包帯で覆った。 術前からせん妄のリスクは高かったが、介護衣着用のみで、ルート抜去に対して予防策を実施していなかった。
日中不穏行動がなく、大丈夫だと判断を誤った。
予防策を徹底するようにリアルタイムにカンファレンスを実践する
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
23 死亡 不明 不明 右側の歯の痛みを覚え、座薬使用するも疼痛軽減せず。近医に歯科医を受診し疼痛軽減なし。紹介状持参で当院歯科受診。患者の既往として糖尿病、脳梗塞、高脂血症、高血圧、うつ病があった。当院口腔外科所見として疼痛激しく発汗あり、苦悶表情、右側頚部顎下部腫脹あり、嚥下痛あり、開口障害ありの状態であった。17時、下顎周囲膿瘍加療目的で歯科病棟へ入院。17時30分、抗菌剤投与開始。その後、呼吸管理を行う必要がありと判断し救命病棟へ転棟。ファイバー下経鼻挿管施行。ディプリバン持続注入にて鎮静。ドルミカムに変更。看護師がベッド上での体動がないことを確認。人工呼吸器のアラームが鳴っていたため訪床。気管チューブが抜けて入るのを発見。両上肢は安全帯にて固定されていたが上半身が左側に傾いており顔と左手の間に気管チューブがあった。喘鳴著明、SPO2は80%台に低下。下顎挙上で気道確保。BVM換気開始。体動なし。経鼻的にファイバー挿管試みるも腫脹著明で挿管困難。AWSで挿管を試みるも開口できず挿管困難。心臓マッサージ開始、エピネフリン1Aをiv。気管切開する。7mmの経口挿管チューブを挿入。その後、心停止と蘇生処置を繰り返し、低体温療法開始などの処置をするも、死亡確認。 患者には糖尿病の既往があり、感染症に関するコントロールが適切に行われていなかった事が前提にある。本事例において、気管チューブが抜けた状況を目視した者がいないため、抜管の原因を特定することができない。抜管を予見し、安全帯による行動制限及び薬剤により体動のない鎮静を行っていた。人工呼吸器のアラームが鳴った際も別の患者の対応中であったが、迅速に対応を行っている。本事例の抜管については、完全には防ぎ得なかった事象である。
  1. 個々の患者に対応した呼吸管理及び患者管理(鎮静等を含む)を慎重に検討する。
  2. 治療方針についての情報共有が十分にできる体制作りを強化する。
  • 観察が不十分であった
24 障害なし ペンローズドレーン 不明 患者はせん妄、認知症あり、両上肢抑制中。2時の時点では入眠中であった。6時間後パウチをはぎ、腹部ガーゼをはぎ、腹部のチューブ2本ともに自己抜去しているのを発見。腹部や手先、腹回り寝衣に便が付着していた。主治医報告する。 せん妄、認知症あり、抑制中の患者に対して1時間毎の状態観察が必要であった。いつもなら最低でも2時間毎に巡視、体位変換を行っていたが2時巡視の後、目が離せない不穏患者、手術後重症患者の対応が忙しくて後回しになってしまい観察不足となった。パウチ、ドレーンもある患者のリスク管理不足。 自分で訴えができない患者、抑制中の患者は1時間毎に皮膚障害循環状態など観察が一般状態と共に必要である。自分ができない時は他のスタッフに頼んででも行ってもらうようにする。
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
25 障害なし ソフトシールカフ付きサクションエイド スミスメディカル 全身清拭中の体位変換時、気管カニューレが抜浅したため、押し込んだが気管内に入らず、SpO2が低下し縦隔気腫、皮下気腫を認めた。 ケア前後で気管カニューレの固定状況を確認していない。体位変換時に気管カニューレを押さえていなかった。気付いた時点で押し込むという行為を行い、医師を待たなかった。 気管カニューレ挿入中の患者のケアを行う場合は、必ず、カニューレを押さえるもしくはきつめにベルトを締める。
  • 確認が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
26 障害残存の可能性なし 未入力 未入力 最終挿管チューブ固定テープ貼り替えを13時実施。2日後、17時30分、挿管チューブ固定テープが汚染されているため日勤担当看護師に確認する。日勤帯では口腔内分泌物が多く、こまめに拭いて対応していたが、テープの剥がれはないため貼り替えせずに様子観察し、医師へは報告していないと申し送りを受けた。17時45分、当直医師へテープ汚染があることを報告しテープの様子の確認を依頼した。当直医師よりテープの剥がれや汚染拡大があれば再度報告してほしいとの指示を受けた。23時25分固定テープの汚染拡大見られ、挿管チューブが口角にくい込んでいるように感じたため当直医師に報告する。テープ貼り替えの指示を受け、テープを剥がすと左口角に裂傷が見られた。固定位置を右口角に変更し、口角が圧迫されないように固定した。裂傷部位は生食洗浄し、ステリストリップで保護した。翌日、形成外科に診察を依頼し、縫合処置施行された。 挿管チューブ固定テープが口角を強く圧迫するように固定されていた。
日々のチューブ管理の際に、口角を圧迫されやすい状態で固定されていたのではないかと考える。
挿管チューブを固定する時は、口角が強く圧迫されないように注意する。挿管チューブ管理時は、口角へ過度の圧がかからないように角度や位置の調節をしていく。
挿管チューブ以外のチューブ類の固定部位の皮膚損傷の有無を確認していく。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
27 障害なし 不明 不明 胃癌・直腸腫瘍のため胃全摘・経肛門的腫瘍摘出手術を施行。(10時34分開始・13時55分終了)
縫合は自動縫合器を使用した。
病棟帰室後、夕方の回診時に経鼻胃管を抜去しようとした所、抵抗があった為ポータブルレントゲン写真を撮影。
胃チューブが吻合部付近で屈曲していることが判明。この手術操作中の自働縫合器によるチューブの縫込みが疑われた。
  1. 自動縫合器で縫合する時に、胃チューブを確認しなかった。
  2. 胃チューブが巻き込んでいると思わなった。
  3. 自動縫合器を操作する時、抵抗を感じなかった。>
  4. 縫合前に胃チューブを挿入した。
  5. 断端縫合する際の確認不足。
  6. 吻合前に胃チューブを挿入した医師と縫合に関わった医師が別の医師だった。
  7. 術者が途中交代した。
  1. 術中にチューブの位置確認を徹底する。
  2. チューブの先端のみでなく、途中の位置、たるみのないこと、可動性のあることを確認する。
  3. 可能な限り縫合操作終了後にチューブを挿入する。
  4. 手術終了後にはカテーテルなどが留置されている場合、同様の状況が生じる可能性を考慮し、積極的にレントゲン撮影を行い、チューブの位置、形状を確認する。
  5. 術者が交代する場合は、情報交換を行いお互いに確認しあう。
  • 確認が不十分であった
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
  • 連携
28 死亡 気管内チューブ スミスメディカルジャパン株式会社
  1. 20:20人工呼吸器のアラームで訪室すると、患者は苦悶表情で身体を弓なりにのけぞらせていた
  2. 眼球固定はなく、両上肢はバスタオルにくるまれた状態だった
  3. 気管内チューブのカフ部分が口腔内にあった
  4. 気管内チューブの固定テープは頬についているが、頬の皮膚を引っ張った状態で気管内チューブが抜けていた
  5. HR:40 SPO2:測定不能
  6. すぐに気管内チューブを除去しアンビューバックにて人工呼吸開始した
  1. 経口挿管で抜ける可能性が高かった
  2. 体調が良くなり体動が多くなっていた
  3. 経管栄養後の患者観察をしていなかった
  4. 経管栄養開始後10分経過していたので痰が多くなっていた可能性がある
  5. 痙攣発作ではないと判断されたが不明
  6. 後弓反張の原因が不明
  1. 家族の希望で経口挿管で管理を行い、管理に伴う危険性の説明はされていたが、充分に理解されていたのかの確認が不十分だった。それぞれの家族の認識に応じた意図的な関わりを行っていく
  2. 経管栄養後の患者観察
  • 観察が不十分であった
29 障害残存の可能性なし 確認中 確認中 尿道内へ尿道カテーテル挿入が困難であったが、無理に押し込んでいくうちにスムーズに進むようになった。バルーンを膨らませようとしたが抵抗を感じたため、尿道内の可能性があると判断して更に挿入。十分なカテーテル長がスムースに挿入されたため、バルーンを膨らませたとほぼ同時にカテーテル内に逆血を認めた。 陰茎を十分に進展させずにカテーテルを挿入したため、挿入が困難となった。
抵抗があったにも関わらず無理に挿入してカテーテルが反転してしまった。
無理に十分な距離のカテーテルを挿入してしまったため、スムースに挿入されている錯覚に陥った。
バルーンを膨らませる際に抵抗を感じたにも関わらず、挿入カテーテルの長さから膀胱内に挿入されていると錯覚して、バルーンを膨らませてしまった。
カテーテル挿入手技の確認、合併症予防のためのポイントの再認識を促す。
カテーテル挿入法等について、マニュアル化を検討する。
  • 判断に誤りがあった
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
30 障害残存の可能性がある(低い) 医療材料・物品名不明 製造業者不明 受け持ち看護師が夜間休憩中であった。患者は不眠状態であり、体動も激しく抑制中であった。他患者の不隠行動に対処している際、患者の抑制が外れ、頭部が持ち上がっているのを発見。すぐにベッドサイドへ行くも挿管チューブが口腔外へ抜けており、カフもれしている状態であった。

 SATはその後89パーセントまで低下を認めた。担当看護師はそのまま挿管チューブを保持し、応援を要請。リーダーナースと医師へ報告し、患者の体動激しかったため、ミダゾラム1/2A使用し挿管チューブの入れ換え施行する。
 その後すぐに呼吸状態は安定し、意識レベルも自己抜管前と変化なく経過されており、バイタルサインも落ち着いているため、経過観察となっている。また、両上肢の確実な抑制と体交枕を挟む・見守り対応にて安全確保している。
抑制帯のマジックテープが反り返っており、固定が甘かったこと、休憩時の申し送り時の安全確認が不十分であった事、また同室の他患者も不穏状態で危険な状態であり患者から目が離れてしまった事が要因として挙げられると考える。 抑制帯のマジックテープの反り返りに関しては、ガーゼで固定し抑制が緩まないように固定した。また体動著明にて、その都度、体位の修正を行なうように努めた。
  • 確認が不十分であった
  • 観察が不十分であった
31 障害残存の可能性なし 富士システムズ株式会社 富士システムズ株式会社 人工呼吸器のアラームが鳴り訪室すると、気管カニューレが2cm程抜けていた。その時、患者が激しく咳き込み、気管カニューレはカフが膨らんだ状態で抜けた。自発呼吸はあったが、SPO2は80%台となった。当直医師が、直ちに気管カニューレを再挿入し人工呼吸器を装着すると、SPO2は100%に改善した。主治医は家人に「夜間に気管カニューレが抜けたがすぐに入れて問題は生じていない。」と説明し、家人は納得された。
  1. 人工呼吸器の蛇管は余裕を持たせてアームに固定していたが、患者が電動ベッドの操作をした際に気管切開部に負荷がかかった
  2. 両側部分無気肺があり、かなり痰が多く咳嗽反射が強かった
  3. 不眠にてリスミーを注入していたため、意識が朦朧としていた
  1. 人工呼吸器装着中においては、電動ベッドの操作は看護師が行う
  2. 気管切開部の負担を軽減するために、呼吸器の蛇管をディスポの軽いものに変更していく
  3. 肺機能を促進し無気肺を改善するために、早期に呼吸リハビリテーションを取り入れる
  • 観察が不十分であった
32 障害残存の可能性なし 不明 不明 胆石症に対して腹腔鏡下胆のう摘出術を行った。胆のう剥離部(肝下面)に6号ペンローズドレーンを留置、糸で固定をしていた。翌朝の回診時にはペンローズドレーンは挿入部に確認できていた。同日昼のガーゼ交換時、挿入部にペンローズドレーンはなく、糸だけであった。X線で確認したところ、ペンローズドレーンは腹腔内に落ちこんでいた。昼食を摂取していたため絶食とし、全身麻酔下で、小開腹しドレーンを取り出した。手術後問題なく経口摂取を再開した。 ペンローズドレーン固定の不備 ペンローズドレーン固定を手術担当者数名(術者・助手)で確認し合う。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
33 障害残存の可能性なし ハッピーキャスV メディキット 透析終了時、静脈側穿刺針が抜けず、医師手技にて抜針。穿刺針先端5mm程度短かかった。前腕から鎖骨下までレントゲン撮影したが、先端は分からず。事故状況を患者・家族に説明し、異常があれば来院することを説明し帰宅。翌透析日に穿刺部に異物が触れたため外科的に除去。(皮膚直下に遺残している穿刺針先端を局麻下に除去。皮膚は1針のみ5-0ナイロンで縫合) 穿刺時内筒を再挿入したことによる外筒破損。先端が人工血管を突き抜けて皮下に遺残した。穿刺時の手技について明確にルール化されていなかったことによる、手技の不統一もあり。 穿刺時に内筒を再挿入しないことを再確認。穿刺手技の安全性見直しとルールの再確認。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
34 障害なし 不明 不明 点滴ルートやイレウス管を引っ張るような行動あり、30分毎に訪室、離床センサーにて対応していた。定期の訪室時、端座になっており、イレウス管を噛みちぎり、100cm自己抜出していた。 イレウス管による苦痛が強かった。また、チューブ類挿入による体動制限があった。 患者の状況を的確にアセスメントし対応していく
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
35 障害なし CVカテーテル テルモ 譫妄状態であったので、詰所の近くの観察室に異動したが、その後から失見当識が強くなり、21時に看護師が巡視に行った際に爪切りでCVを切断して歩行している患者に遭遇した。 患者の譫妄状態に対する対応が遅い
判断に誤りあり、危険物チェックされていない
日中に譫妄のサインを見逃さず、即座に対応する。(家族に付き添いを依頼する。薬剤の検討)
危険物チェックを実施する。
  • 確認が不十分であった
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
36 障害なし テルモ輸液ポンプ テルモ 切迫早産で、末梢静脈ラインより子宮収縮抑制剤(マグセント)を輸液ポンプを用いて輸液管理をおこなっていた。ポンプのアラームがなり、ルート内に気泡混入していた。ポンプの操作は、研修で演習しており、実施できると思い、患者が看護師であり、「私が見ていてあげるからやりなさい」と言われて、実施した。しかし、ポンプのドアを開く前に、ルートのクレンメををOFFにするのを忘れて、気泡が少量患者に注入された。別の看護師を呼び適正に対処してもらった。
患者の身体的な状態の変化はない。
 
1年目の技術が未熟な看護師が、気泡混入時の対処を一人おこなうこと、部署の指導体制、 輸液ポンプの技術指導・・・研修会を開催
1年目の看護師の指導体制強化
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
  • 教育・訓練
37 障害残存の可能性なし なし なし 廊下でアラームが聞こえ訪室する。人工呼吸器低圧・SPO2モニターエラーでアラームが鳴っていた。患者は顔色不良、チアノーゼがあり、意識が無かった。フレックスチューブと気管カニューレの接続部が外れていた。直ぐアンビューバックで加圧を行い、医師へ報告した。救命処置を行い呼吸・血圧は回復したが意識が戻らなかった。経過観察を行い22:30頃より意識戻りはじめた。 気管カニューレとフレックスチューブの接続部の緩み。
喀痰が多く接続部が外れやすくなっていた。
接続を固定している紐の緩み。
確認不足。
吸引などで接続部を外した時は、確実に接続・確認をする。
接続部固定の紐を確実に結ぶ。
人工呼吸器回路のねじれやたるみがないか走行の確認をする。
アラームが鳴った時は、速やかに対応する。
  • 確認が不十分であった
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
38 障害なし なし なし
  1. 15時30分、気管内挿管チューブの固定テープ交換し、再固定する。
  2. 直後より、SPO2値低下し改善しないため、酸素2リットル開始。
  3. その後も改善しないため、酸素量アップ(2→3→5→7→10)
  4. 19時42分、SPO2低下、80%以下、四肢末梢チアノーゼ出現するため、当直医に連絡。
  5. 当直医診察。
     右肺野のエアー入り良好だが、左肺野のエアー入りが弱い。どちらもはっきりしたラ音はない。挿管チューブの固定部28センチぐらいになっている(口角26センチぐらい)
    口中の挿管チューブをみると白いテープで止めたあと(接着剤)が4センチ程ついているので、気管内挿管チューブ固定の不良による深い位置での挿管と判断し、4センチ引き抜く。(口角22センチぐらい)
  6. 当直医は酸素10リットルでアンビュー加圧換気しており、当直師長と交替する。SPO2、70%代~60%代へ低下。アンビュー加圧にて87%位まで上昇していた。当直医がさらに挿管チューブ引き抜き、SPO2、90%代へ上昇(口角20センチ固定)
  7. 当直医、胸部レントゲン撮影(ポータブル)実施。気管分岐上3センチで固定できている。
  8. この間も、SPO2不安定、80%前半まで低下するためアンビュー加圧、挿管チューブ再固定(伸縮性のあるテープ使用)
  9. 0時30分、再度、家族へ説明し、人工呼吸器装着(LTV1000)SPO2、87%~88% 様子観察、その後、90%台キープ。
  10. 13時30分、人工呼吸器をはずす。挿管チューブのみでSPO2、90%代キープ。
  11. 11時、気管内挿管チューブ抜管
  1. 気管内挿管チューブの管理ミス。
  2. 気管内挿管チューブの再固定の時に、固定位置の確認ができていなかった。
  3. 再固定後の両肺の聴診ができていなかった。
  1. 気管内挿管チューブ挿入時の管理について、全スタッフに確認し、周知する。
  2. チューブの固定位置の明記をし、周知する。(看護計画を具体的に立案)
  3. 毎勤務、固定位置の確認と両肺の聴診を行う。
  4. 毎勤務、確認事項を記録に残す。
  • 確認が不十分であった
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
39 障害なし バードICフォーリーカテーテル メディコン 手術前より不穏行為あり、手術後3日目、夕食後ベッド上で休んでいたが不穏行動あり。
車椅子に移動し安全ベルト使用し観察していたが、病室を看護師が離れた時に尿道カテーテルをちぎり自己抜去した。
ちぎれたカテーテルが膀胱内に残存した為、泌尿器科受診し経尿道的に除去された。
 
手術前より放尿あり創部感染予防のため術後に抜去ことができなかった。
夜勤の多忙な時間帯で、十分な監視が出来なかった。
カテーテルの固定やルート位置を工夫する。
早期の抜去を検討する。
得られれば家人の協力を依頼する。
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
40 障害なし 該当なし 該当なし
  1. 術後イレウスを生じた患者が絶飲食のため末梢ルートより24時間点滴キープしていた
  2. 1:40ラウンド時、末梢刺入部よりルートの接続を懐中電灯で照らして確認し滴下調整した(点滴セット・三方活栓・延長チューブに異常はなかった。)
  3. 3:45ラウンド 患者の所在確認と点滴残量・滴下のみ観察。
  4. 4:20本人よりナースコールあり訪室するとベッドサイドの床に50~60cm大の円形の血液が広がっており、一部血塊形成があった。おおよそのカウントで350g程であった。
  5. 点滴ルートを確認すると点滴セットと延長チューブの間に三方活栓が2個接続されており、その2個の三方活栓の間が緩み、血液が逆流して流れ出ていた。
  6. 本人より2時前頃にトイレに行ったときにはルートの異常や床の汚れはなかったと情報あり。
  7. 4:30 少しボーつとすると訴えあり。意識はクリアで会話可能。
  8. その後、輸血施行した。
  1. 1度目のルート確認で安心してしまい2度目のラウンド時にルート接続の確認を怠った。
  2. 24時間点滴キープではあったが末梢ルートから、点滴セットに三方活栓を2個連結使用しており、結果的に三方活栓の接続部が緩み失血の原因につながった。(連結部分はベッドより20~30センチメートル程低かった)
  3. イレウス管、膀胱カテーテル、末梢ルートが挿入されており、歩行時は看護師の介助・見守りが必要であったが、本人へは徹底されていなかった。
  4. 勤務時間内に他の患者の無断外出発覚・帰院があり、患者観察が不十分だった。
  1. 点滴施行中の患者のルート確認は、点滴ボトルから患者の挿入部位までのルート接続を各勤務の開始時と終了時に時間を決めて行う。
  2. 末梢ルートであっても24時間点滴キープが必要な場合は閉鎖式輸液ラインの使用を検討していく。
  3. 三方活栓は最小限の使用とする。
  • 確認が不十分であった
  • 観察が不十分であった
  • 患者・家族への説明
41 障害残存の可能性がある(低い) **** **** 左上葉切除後、術後に挿入していた19Fr ラウンドドレーン胸腔ドレーンが抜けてしまたっため、20Fr トロッカーを挿入した。挿入後から、多量の胸腔内出血を認め、一過性に意識消失、末梢の湿潤認め、ショック状態と判断、補液等を行った。CTでドレーンの位置確認をしたところ、気管支と肺動脈との間の、かなり奥の方まで縦隔に向かって挿入されていた。先端は左肺動脈、右主肺動脈の、主肺動脈の下縁を通過し、対側のA6の分岐部付近に留置されていた。
ドレーンを10cm抜去し、再度CT施行後、血腫の著明な増加を認めず。明らかな出血点は不明だが、ドレーンからの出血傾向が続いているため、集中治療室で経過観察となった。本人の状態は安定している。

 
抜けたドレーンに対する処置で、患者に負担がなるべくかからないようにと、今まで挿入されていた部位からドレーンを再挿入した。ここは通常のドレーン挿入部ではなく、結果的には、ドレーンが予想もしなかった部位に挿入され、かえって問題を大きくしてしまった。やはり基本的な処置を第1に考えるべきである。 ドレーン挿入に細心の注意を払う
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
42 障害なし 不明 不明 腸閉塞術後19病日、中心静脈栄養カテーテル挿入し体力増加をはかっていた。せん妄もあり、介護服着用していた。夜間訪室するとカテーテルの先端15cmのあたりがきれており、全抜去されていた。「服が濡れて冷たい、管は抜いたよ」と言われる。
 
本人のせん妄状態に日々変化があり、それに伴う十分な対応が不足していた 定期的なカンファレンス
ルート確認の徹底
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
43 障害なし 不明 不明 胃癌にて胃切除術施行。術後3病日経過。中心静脈栄養にて24時間持続で輸液施行中。朝、上肢はシャツのみ、下半身は全て脱いだ状態で廊下歩行している所を発見。硬膜外チューブと中心静脈チューブが切断されたいた。 術当日にせん妄状態あり、翌日にはせん妄状態みられず、介護服から一般の病衣に変更。2日間は変化なく経過したため、大丈夫だろうという過信。
術後せん妄に対する知識不足
せん妄の危険性高く、頻回にわたるカンファレンスが不足していた。

 
術前術後を通した、緻密なカンファレンスの実施
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
44 障害残存の可能性なし CVポート グローションタイプ 不明 食道癌術後でシスプラチン、5FUの化学療法3クール目。上記化学療法開始。治療4日目、15時30分シスプラチンが終了したため担当看護師は、指導看護師とともに患者のベッドサイドに行き、5FUを輸液ポンプで開始した。ルート内にエアを認めたため、指導看護師はシリンジでエアを引き抜いた。CVポートより10cm程度の逆血を認めたが、点滴につなぐ滴下したためフラッシュを行わず再開した。再開時点滴が全開で滴下したため輸液ポンプを停止し、ルートのクレンメを閉じ調べた。閉塞アラームが鳴りすでにCVポートが閉塞していた。手術室でCVポートの入れ替え術を行った。 直接原因
  1. エアー抜きの操作でカテーテルが逆血した。
  2. 逆血した際、点滴が滴下したのでフラッシュを行わず点滴を再開した。

背景要因
  1. ポートの種類は2種類あり、カテーテル先端の構造の違いからポートロックの管理方法は異なるが、造設時や入院時にカルテに  記載がないため、種類が不明であった。
  2. CVポートマニュアルなかったため、正しい管理方法が周知されてなかった。
  3. 変化時(エアー混入⇒輸液ポンプ停止⇒再開)にトラブルが発生しやすいリスク認識が不足していた。
  4. CVポートから抗がん剤投与中との認識が不足していたため、エアー混入時や逆血した際に医師へ報告しなかった。
  1. 当該病棟の対策としてCVポートに関する勉強会を実施した。
  2. 化学療法センターで作成中のCVポートマニュアル完成後、病棟に配布して周知する。
  3. ポケットマニュアルにCVポートの管理方法を掲載し周知する。
  4. CVポート造設時や入院時は、カテーテルの種類、挿入部位(カテーテルの留置部位)、セプタムの留置部位をカルテに記録する。
  5. 事例やCVポートに関する知識を病院職員へ周知する。
      事故防止委員会報告:文書で報告する
      会議体で報告する
      医薬品セミナーで周知する
      医療安全情報で周知する
  6. MEセミナー(輸液ポンプ・シリンジポンプ)への参加を促す。
  7. 化学療法センターで計画中の研修会への参加を促す。
  • 判断に誤りがあった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
45 障害なし 点滴セット JMS
  1. 20時から右鎖骨下CV白ルートアクメイン点滴中の側管よりメロペンを点滴
  2. 終了後、20時30分よりリンタシンを点滴。21時に終了したためラインを外す
  3. 22時ラウンド時にアクメイン残250ml点滴が残っていたことを確認(患者さんのベッド下は濡れていなかった)
  4. 22時30分、熱の再検に行き、右脇より検温するがCVルートは逆流が見られなかった
  5. 23時24分、モニターアラームが鳴り訪室すると、ベッド下の床半分が血液で汚染されている状態を発見
  6. メインのアクメインは終了しており、プラネクタが接続されている所から出血していた
  1. 点滴を外す際にライン全体に目を通さなかったことの確認不足
  2. 訪室時、点滴の滴下や残量の確認を行ったが点滴ラインの確認を怠った。
  3. 他施設から転勤で配属になった職員
  4. プラネクタ(コネクター)の存在を知らなかった
  5. 点滴ラインとプラネクタが外れるものがあることを知らなかった
  6. 配置換え時のオリエンテーション不足。
  7. 輸液セット等の種類が多く煩雑。
  1. 点滴実施時のライン確認を再度徹底する。マニュアルの再確認。
  2. 過去の重要事例で、看護師へオリエンテーションを行う。
     特に他施設からの異動や途中で採用になった看護師には詳細に説明する
  3. 輸液セットやコネクターの種類を見直し整理する。
  4. 輸液ポンプの機種統一。
・確認が不十分であった
46 障害なし イレウスチューブ クリニー ナースコールが鳴り、病室を訪室すると、イレウスチューブを自己抜去し、チューブ・バッグ・点滴を持ちベッドに座っているのを発見した。 昼間に少し興奮気味であり、予測は出来た、それに沿った対応が出来ていなかった。 固定方法の確認
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
47 障害残存の可能性なし CVカテーテルキット16G30cm アーガイル せん妄状態強く、前日の夜、マイスリー10mgの内服、セレネース10mgを筋肉内注射していた。
12:20 病室に患者不在。点滴と輸液ラインがベッドの脇にあり、CVカテーテルは輸液ラインから外され14cmのところで引きちぎられてゴミ箱に捨ててあった。患者はトイレで発見されたが、出血などは見られなかった。
 
入院3目、入院当日より不穏症状強くあり、転倒、離棟、点滴抜去等の行為が見られた。また、点滴に対する理解が出来ず「はさみで切りたい」などの訴えがあった。
  1. せん妄の医学的評価と対策を講ずる。
  2. せん妄が強い時には、家族の協力を得て精神的安定を図る。
  3. CVラインの管理方法の検討、医師と協議し活動時のヘパロックの実施。もしくは末梢ラインへ切り替える。
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
48 障害残存の可能性なし 富士システムズ株式会社 富士システムズ株式会社 左側臥位にするのために蛇管をアームから外し、右側の看護師が人工呼吸器をベッドに近づけた。左側の看護師が気管切開部を固定し、右側の看護師が体位を変えた。左側の看護師は固定している手が引っ張られるため、右側の看護師に呼吸器を寄せるよう依頼したが動かなかった。左側の看護師が、気管切開部を固定したままアームをつかんで引っ張った際、固定が不充分になり抜けてしまった。看護師は、気管切開部をガーゼを当てて手で押さえ、バックバルブマスクで補助換気した。患者は自発呼吸があったがSPO2が89%と低下した。補助換気後すぐにSPO2は100%に改善した。当直医師の指示にて当直看護師長が気管カニューレを再挿入した。再挿入と同時に当直医師が来棟し、人工呼吸器を装着した。
 
  1. 体重減少に伴い、気管切開部が拡大傾向にあった。
  2. 人工鼻から加湿器に変更し蛇管が届きにくくなっていたが、人工呼吸器の位置を変更していなかった。
  3. 体位変換直前に、気管カニューレの固定紐が指3本入るほど緩かったが締め直さなかった。
  4. 体位変換の前に人工呼吸器を充分に寄せていなかった。
  5. 体位変換時に気管切開部の固定に集中していなかった。
  1. 気管カニューレの固定を紐からカニューレホルダーに変更した。
  2. 蛇管の長さにゆとりが出るよう、ベッドと人工呼吸器の位置を調整した。
  3. 気管カニューレの固定の確認方法を徹底した。
  4. 人工呼吸器装着中患者の体位変換のポイントを実際に行って再確認した。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
49 障害残存の可能性がある(低い) トロッカーアスピレーションキット 日本シャーウッド株式会社 患者は胸部食道癌術後、人工呼吸器管理下でICUに入室していた。人工呼吸器離脱後、胸部X線写真にて左胸腔に胸水の貯留を認めたため、ドレナージを目的に8Frアスピレーションキットを用いて胸腔穿刺を行った。穿刺前エコー検査では仰臥位で胸水は少量であったが、坐位で穿刺可能な胸水量を確認。同部に局所麻酔し、試験穿刺したところ黄色透明の胸水の吸引を確認したため、1cm弱の皮膚切開を加え、本穿刺針で穿刺した。胸膜様の抵抗部を通過後、吸引にて血液が引かれたがチューブは抵抗なく挿入され、抵抗無いままほぼ全長を挿入した。その後、チューブからシリンジを外すと拍動性の血液流出があり、連結管を接続しクランプ。
クランプを外すと、血液の拍動性流出があったため、再クランプした。X線ポータブルにてチューブ先端が胸腔内に確認され、精査のためCT撮影したところ、チューブが左胸腔を経て心尖部より左心室内に留置されていた。直ちに心臓血管外科当直医に電話相談し、心臓エコー検査でチューブが左心室内に留まっていることを確認。診察の結果、手術にて心臓内のチューブ抜去および心臓穿刺部縫合を行うこととなった。事故発生から手術室入室までの間にバイタルサインに大きな変動は無く、手術室入室後、全身麻酔下にて左第6肋間前側方開胸し、心前面に達したところでチューブ刺入部を確認。心嚢切開すると血液の流出があり、チューブ先端が心嚢内に抜けていた。2mmほどの穿孔部を指で押さえながら1針縫合し止血した。心嚢内、左胸腔内にドレーンを留置し手術を終了した。患者は人工呼吸管理のままICUに入室し、その後一般病棟へ帰室した。
  • 食道癌術後の胸水貯留および呼吸不全のための処置であったが、胸郭変形があったため心臓と胸壁との距離が狭まっていた可能性がある。
  • エコーで確認の上での穿刺であったが、結果としてチューブが心臓へ到達してしまった。
  • 胸水貯留のため、ドレナージ目的での挿入であったが、穿刺前のエコー診断では貯留量は坐位にて多量ではなかった。
  • 安全性を考慮すれば、アスピレーションキットではなく直視下にて皮膚切開、胸膜切開を行い、胸腔内臓器の位置を確認した上でトロッカーを挿入することを選択肢に入れるべきであった。
  • 今後は、穿刺前エコーによる心臓と胸壁との距離はさらに慎重に行い、場合によってはCT撮影での確認も行なうこと、また、施行に際しては穿刺が危険手技であるという認識に基づいて評価を行うこととした。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
50 障害残存の可能性なし 富士システムズ株式会社 富士システムズ株式会社 看護師2人で横シーツを交換するため、左側臥位から右側臥位に体位変換した。人工呼吸器は患者の左側にあり、体位変換は人工呼吸器を外さずに行った。蛇管を支えている人工呼吸器側のアームは外したが、患者側のアームを外さなかったので、フレキシブルが引っ張られ気管カニューレが抜けかけた。看護師は、直ちにバックバルブマスクにて人工呼吸を開始する。傍にいた医師がカニューレのエアを抜き再挿入しようとしたが挿入できなかった。医師はカニューレを抜去して新しいカニューレを挿入した。主治医は、家族にカニューレが抜けた状況について説明した。
 
  1. 看護師は、蛇管を固定するアームをすべて外すと蛇管の重さで気管カニューレを引っ張ると思った。
  2. 看護師が、蛇管を固定するアームのフレキシブル側1箇所を外さずに体位変換を行ったため、フレキシブルにつながる気管カニューレが引っ張られた。
  3. 看護師が患者の体位を戻すときに、気管カニューレと蛇管の状況を確認しなかった。
  1. 体位変換時、フレキシブル側の固定アームは必ず外す。
  2. 体位変換時、看護師1人は気管カニューレ、呼吸器蛇管を見る。
  3. 体位変換時、2人の看護師の役割分担を決めて声を掛け合いながらゆっくり行う。
  • 確認が不十分であった
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
51 障害なし アジャストフィットNEO 富士システムズ 約2週間発熱が続き、やや努力様の呼吸がみられるため、抗生剤(クラフォラン500mg 1日3回)輸液(ソルデム3A  20ml/H)開始した。WBC 5610 CRP0.21 X-Pは3月の所見と変化なし。
15:00定期のカニューレ交換後、吸引時に血液混入痰がみられた。
朝から発熱、頻脈、やや努力様呼吸、吸引時血液混入続き指示で酸素5Lに増量した。
12:00 T38.7℃、HR160、RR44、SpO2 97%、呼吸音良好、やや努力様呼吸でやや粘稠の痰血性痰が少量吸引できた。チアノーゼはなかった。
15:00 T38.4℃、HR164、RR42、SpO2 98%、顔色良好、チアノーゼなし、咽頭ゴロ音がなかったため吸引はしなかった。
15:23 SpO2アラームが鳴りすぐにベッドサイドに行くと、SpO2 60%、チアノーゼがあり、ジャクソンリースにより換気施行し、主治医に連絡した。主治医の指示で緊急院内招集コールした。
15:33 病棟医長が、ジャクソンリースによる換気で、胸が上がらずエア入りがないため、気管カニューレを交換した。カニューレ交換後、SpO2 100%、左右の呼吸音量良好となった。気管カニューレが血液混入痰で閉塞していた。
今回、呼吸不全に至った直接の原因は、気管カニューレの血液混入痰での閉塞であった。気管カニューレ交換後から血液混入痰がみられていたため、気管カニューレ交換または吸引による出血と考えられた。
後日の気管支ファイバーの所見では、気管分岐部直上やや右側、背側に少し出血している様子があるが(サクションチューブまたは気管切開チューブの先端があたるところか)その遠位及び近位に明らかな出血点なく肉芽等はみられなかった。
観察を行い、患者の状態をアセスメントする。アセスメントに基づき、吸引等必要な看護援助を適切に行う。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
52 障害なし 不明 不明 直腸癌術後7病日。術後せん妄あり、介護衣を着用していた。高カロリー輸液交換のため病室に訪室、ルートの確認をすると介護衣の腹部あたりが濡れており、介護衣の中にカテーテルの切断された端があった。刺入部を確認すると、カテーテルが1cmだけ、体外にでており、体内に入り込まないようにモスキート鉗子で挟み固定した。
 
術後からせん妄あり、介護衣を着用しており、点滴のルートは足元へ出すようにしていたが、手を伸ばせばルートに届く範囲であり、判断にあやまりがあった。
本日より4人部屋へ移動、環境の変化があった
環境の変化に応じた的確なカンファレンスの実践
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
53 障害なし 不明 不明 ミルク注入中に患児が胃管を握り引っ張ったことにより胃管が完全に抜去されていた。

 
観察不足 入眠中で落ち着いていても抑制を必ずする。また、体位の工夫を行い児がより安楽に安定するようにケアーをしていく。

 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
54 障害なし 不明 不明 膀胱カテーテルが引っ張られて血尿が出た。 チューブの確認不足 カテーテルなどを固定する場合は、患者のADL状況に合わせて配慮していく。

 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
55 障害なし 不明 不明 ミトン抑制を自力で外して、CVラインを自己抜去した。 観察不足 自分で抑制を外そうとする行為が見られた場合、抑制の強化をする。

 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
56 障害なし 不明 不明 挿菅チューブ、胃管カテーテル自己抜去 確認不足 気管挿菅の自己抜去、栄養投与中の自己抜去は生命に直結する合併症を起す事を認識し、抑制を実施し必要以上にベッドサイドから離れない。

 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
57 障害なし 不明 不明 リカバリールームで患者が大きな声でナースを呼んでおり訪室した際、膀胱留置カテーテルを抜去していた。 判断ミス 患者の状態に変化があった場合には後回しにせず、すぐに訪室すること。優先順位を考える。

 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
58 障害なし 不明 不明 膀胱留置カテーテルの自己抜去 状態把握不十分 自己抜去をする可能性を考え、再度説明をしたり、抜かれない工夫により自己抜去防止に努める。

 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
59 障害なし 不明 不明 気管ガーゼ交換時、気切カニューレ完全抜去。 リスク把握不足 ガーゼ交換時は2人以上で行う。カニューレ固定を1人がしっかりした上でガーゼ交換をする。また、カニューレ抜去後再挿入困難ありえるためアンビューを身近に置いておく。

 
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
60 障害なし 不明 不明 両上肢抑制帯解除によるENBDチューブ自己抜去。 抑制帯の確認不足 抑制帯患者に対しルートキープ等で抑制帯をはずす場合、再装着時にはナースに声かけしチェックをしてもらう。

 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
61 障害なし 不明 不明 エラスターとエクステンションチューブの接続がはずれ脱血した。 観察ルール無視 ラウンド時、処置やケアを行った後はチューブ類、ルートを手でたぐり、接続部のゆるみやはずれがないか確認し挿入部、刺入部の観察を必ず行うようにする。

 
  • 確認が不十分であった
  • 観察が不十分であった
62 障害なし 不明 不明 挿管チューブ、胃管チューブを自己抜去 患者アセスメント不足 抑制帯の重要性を再確認し確実なアセスメントの上で抑制帯の管理をする。やむを得ず、抑制帯を外す場合は絶対に側を離れず監視する。

 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
63 障害残存の可能性がある(低い) 不明 不明 ベッドへ移動する際、腎ろうカテーテルが抜けた。 移動直前の観察不足。入浴後で固定が緩んでいたことに気がつかなかった。 ドレーン管理のマニュアルの確認と見直し。患者の移動時は声掛けを行い移動する。シャワー後は移動前にカテーテルの固定を行う。
  • 観察が不十分であった
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
64 障害なし ボーカレイド 不明 数日前より不眠で夜間イライラしていた。 意識状態クリアで呼吸状態が安定してきている為数日前よりスピーチカニューレの違和感訴え夜間不満を訴えていた。担当医へ報告をしていたが腹部ドレーンなどの排出量が多く夜間のみ身体拘束をしていた。患者の不満を考えもう少し早くにスピーチカニューレの抜管を検討するべきであった。

 
患者・家族に状況説明していたがドレーンの重要性・スピーチカニューレなどについて十分な理解を得ることが必要であった。また拘束をしており夜間不眠も見られたことから効果的な睡眠剤等の使用を検討する必要が合った。
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
  • 患者・家族への説明
65 障害なし 不明 不明 勤務交代のポンプチェック時、右内頸CVカテーテルが抜けていた。 抑制確認不足 患者の状態をアセスメントし、状態に合わせ固定や抑制を適切なものに変更する。

 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
66 障害なし 不明 不明 患者が抑制を外しチューブを抜去した。 抑制不足 観察不足 ERCP後、覚醒不良である場合、抑制を行なっているが、それでも危険と思われる場合は、リカバリーやナースステーションへ移動し、目の届くところで管理する。
 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
67 障害残存の可能性なし アーガイル気管切開チューブアスパーエース7mm30Fr コビディエンジャパン 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術施行後、人工呼吸器を装着し全身管理を行っていた患者。気管切開術を行い、アーガイル気管切開チューブアスパーエース7mm30Frを挿入した。翌朝9時訪室時、気切チューブの気切帯のゆるみはなく、固定されていた。気管内吸引時は、白色痰が多量に吸引でき、10:30夜勤看護師と担当研修医とで気切ガーゼと気切帯の交換を行った。11:50、血糖測定時に便失禁あり、12:10低圧アラームが鳴り訪室した研修医とともに回路、カフ圧に異常が無いことを確認した。
SPO2:100%であり、排便処置前に気管内吸引すると血性混じりの痰が引けた。担当研修医に報告し、気切チューブの固定が緩かったため医師と共に固定をし直した。ケア終了時、SPO2:100%であったが、この頃高圧アラームが鳴り出した。肺雑音があったため、気管内吸引し血性痰が中等量引けたが、アラームは持続しており、再度気管内吸引するが、少量しか引けなかった。担当研修医と共に再度呼吸器回路、カフ圧確認したが問題なかった。しばらくしてアラームが鳴り止んだため、看護師は部屋を出て待たせていた家族に面会してもらった。モニター上SPO2:92%と低下しており、訪室すると分時換気量低下アラームが鳴っていた。肺雑音が著明なため気管内吸引するが、チューブが進まず吸引できなかった。SPO2:70代に低下したため、当直医に連絡しバックバルブマスクによる換気を行うが、SPO2:63%と回復せず、顔面と前胸部に皮下気腫を認めた。リーダー看護師が病棟にいた医師3人に応援要請し、来室後気切チューブを抜去し、同じサイズのチューブを再挿入した。気切部からの出血もあり、効果的な換気が出来ず、一時的にHR50代に低下したため心臓マッサージ・薬物投与を行い、直ぐにBP170/80、HR111と改善したため、口腔内挿管を行った。その後、口腔内挿管チューブを抜去しながら、長さが長い気管チューブ(アジャストフィット7mm29Fr)に内視鏡下で気切部より挿入した。気切チューブ抜去予防のため、チューブと皮膚を縫合し、SPO2:97%、BP126/54とバイタルサインは安定した。
  • 気管切開術施行後に、主治医に管理上の注意点を聞くことができていなかった。
  • 気管切開術後の患者管理の知識が不足していた。
  • 気切ガーゼと気切帯の交換後、気切帯が緩んでいた。(固定が不十分であった)
  • 低圧アラームや高圧アラームが頻回に鳴ったが、根本的な原因(患者再度の問題)をアセスメントできなかった。
  • 上級医との報告・連絡・相談が円滑に行われていない。
  • 術後に主治医とコミュニケーションを図り、管理上の注意点などの情報を共有する。
  • アラーム発生時は、原因を確認し、わからないときはリーダーや医師に早期に報告・対応する。
  • 臨床研修医の指導体制を再検討する。
  • 気管切開術後患者の管理マニュアルを再作成し、統一した管理を実践する。
  • 気管切開術は、患者の病状に応じ専門医(耳鼻咽喉科)との調整を行う。
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
  • 連携
68 障害なし 不明 不明 患者が、両上肢の抑制を外し、チューブ抜去した。 抑制の確認不足 他職種が、抑制を外した際は、その後付けたとしても報告するよう協力を得る。抑制帯が外れないか確認する。
 
  • 確認が不十分であった
69 障害なし 不明 不明 尿道カテーテルの自己抜去 抑制の確認 リカバリー管理をしていても頻回ラウンドし、カテーテルの必要性の検討と必要時の抑制の許可をとり事故防止に努める。
 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
70 障害なし 不明 不明 挿管チューブ事故抜管 不穏に対するアセスメント不足 鎮静をやめた患者は、体動が激しくなることを予測し、抑制の選択や監視を行う。
 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
71 障害なし 不明 不明 経口挿管を自己抜管した。 抑制の確認不足 観察と必要な抑制の実施

 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
72 障害残存の可能性がある(低い) メラ ソフィット クリア 8mm 泉工医科工業株式会社 事例当日の16時半、ICU準夜勤担当看護師が吸引用チューブを挿入して喀痰吸引処置を行った。その際に抵抗を感じたが、23時まで血圧、脈拍、SpO2に問題は無く経過した。23時5分、担当看護師が喀痰吸引処置を行おうとしたが、その際、吸引チューブが挿入出来なかった。経過を観察したが、10分後の23時15分、血圧が突然低下したため、ICU看護師が複数で蘇生処置を行った。23時18分にICU当直医師を緊急コールし、23時22分に医師が到着。気管カニュラからは換気不能であることに気付き、すぐに気管支ファイバースコープで気管カニュラ内を観察した。気管カニュラ閉塞による窒息と判断し、カニュラを外して経口的に気管チューブを挿入し換気を開始した。
蘇生開始10分後に血圧は戻ったが意識レベルの低下があり、窒息による低酸素脳症が疑われた。CT検査では明らかな異常は認められなかったが、低体温療法、脳保護治療が必要と判断し、低体温療法を開始した。復温後、患者の意識は回復し、一般病棟に帰室となった.。
患者が窒息に至った原因は、肺炎のため粘調な喀痰が増加したことによるカニュラ閉塞であった。モニターに記録されたSpO2、血圧、脈拍数の経過から判断する限り、担当看護師が喀痰吸引を試みた23時5分時点では気管カニュラは閉塞していなかったと思われる。その後、患者の状態を観察している間に喀痰が気管カニュラの先端に嵌って完全閉塞となり、窒息状態になったと考えられる。23時5分時点の担当看護師の観察報告からは気管カニュラ内腔の狭窄、直後の閉塞を予測することは困難と思われるが、吸引チューブが挿入出来ないという事態から気管カニュラの異常を察知し、医師に確認を求めるなどの対応をとることがより望ましかったと思われる。 今後改善すべき点として、喀痰吸引のチューブが挿入しにくい場合は気管チューブが急に閉塞するリスクがあることを認識し、患者の呼吸状態が安定していても、早めに医師に報告相談することを看護師に徹底する。また、本事例のような気管切開(一時的気管孔造設)後は皮膚と気管切開部が癒着しておらず、気管カニュラが抜けると皮膚の切開孔からの再挿入が困難となるため気管カニュラ本体の交換が基本的に出来ない。そのため、今後は内筒付きカニュラを導入することとした。
  • 判断に誤りがあった
73 障害なし 不明 不明 左手のグリップ抑制をすりぬけ、右手A-Lを自己抜去し、左手に握っていた。
 
抑制の確認不足 観察と必要な抑制の実施
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
74 障害なし 不明 不明 尿道留置カテーテルが抜去された状態で、腹部においてあった。
 
抑制の確認不足 タオルでカテーテルを隠すなどして、手が届かないようにする。
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
75 障害なし 不明 不明 左外頚静脈に入っていたCVルートを引きちぎり脱血した。カテーテル先端確認。

 
抑制をしていたが、不十分でゆるく外すことが出来た。 ミトンの抑制を過信せず、ラウンド時間を患者に合わせて早めに行い、事故防止に努める。
 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
76 障害残存の可能性なし 不明 不明 床上でケリーパッドを用いて洗髪を看護師2名で実施。1名は洗髪、1名はドレーン挿入部のガーゼ部分を上から保持(固定)し、ドレーン抜去防止に努めていた。(これはマニュアルに即った通常の実施手順である。)洗髪後ドライヤー時に、ガーゼの外側にドレーン先端部がでてきているのを発見(事故抜去)。縫合糸は頭皮に残っていた。ドレーン再挿入術を同日に施行。
 
床上洗髪時にドレーンの縫合の位置が穿刺部直近でなく、約5mm程度離れていた。頭位変換を複数回実施した。 洗髪時のドレーン挿入部の保持を確実に行う。ドレーン挿入部の直近で縫合することを徹底する。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
77 障害なし 不明 不明 イレウス管自己抜去。 観察不足 高齢、緊急手術、リカバリー入院など、せん妄状態となる誘因はあったので、早目に第一段階として、ミトン、メガホンの使用を検討する。
 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
78 障害なし 不明 不明 右内頸静脈より挿入されていたCVが抜けていた。 認知症。状態把握不十分 ラウンド時に刺入部、テープ固定、抑制のゆるみ、体位のずれ、周囲の危険物に注意し観察する。
 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
79 障害なし 不明 不明 NGチューブの自己抜去 観察不足 両手ともミトンとメガホンによる抑制をしていたが腕を動かせた事によると考えられる。今後は両手首に鍵付きの抑制を使用し、MGチューブに手が届かないようにする。
 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
80 障害なし 不明 不明 NGチューブ自己抜去 判断ミス 目を離した時に抜かれるため、少しでも目を離す際は、手がチューブに届かないように抑制する。
 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
81 障害残存の可能性なし スミスメディカルジャパン スミスメディカルジャパン 呼吸器離脱に向けてウイニング中であった。ディプリバン2ml/Hにて鎮静はしていたが、声かけに笑顔が見られていた。8時40分に体位変換し、右側臥位にした。手首の安全帯に緩みがないことを確認し、長さを調節した。9時20分、人工呼吸器のアラームが鳴り訪室すると、挿管チューブはカフが膨らんだまま腹部の上にあった。
左手は、安全帯から抜けていた。SPO2が60%台となるが、直ちに酸素投与とアンビューバックにて補助換気し、5分後にはSPO2 90%となる。発見と同時に主治医と当直看護師長に報告する。9時40分に主治医が来棟し、再挿管する。再挿管後は、ディプリバン4ml/Hに増量する。
【家族への説明と反応】
同日14時に、主治医は自己抜去の状況と気管切開について家族に説明する。
  • 鎮静が軽度で、軽い刺激で覚醒可能な状態であった。
  • 鎮静の効果判定を行っていなかった。
  • 認知症があり、自分のおかれている状況が理解できていなかった。
  • 安全帯の緩みはなかったが、浮腫があり抜けやすかった。
  • 鎮静の効果判定をSASを用いて、2名以上で行う。
  • 鎮静スコアがSAS4点以上の場合は、医師を交えてのカンファレンスを行う。
  • 浮腫のある患者の安全帯は、ソフトシーネと併用する。
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
82 障害なし 不明 不明 尿カテーテル、epiカテーテル、左横隔膜下ドレーン、腸ろうをハサミで切断、皮下ドレーン、末梢点滴の自己抜去
 
状態把握不十分 高齢であり、ドレーン多数挿入されている為不穏になりやすい状態であるので、ラウンドを頻回に行い、早目にナースステーション管理していく。
 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
83 障害なし 不明 不明 NGチューブの自己抜去 観察不足 長期チューブが挿入されている時は、テープの粘着や皮膚の発赤を観察して、テープの固定や種類を考慮する。
 
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
84 障害残存の可能性がある(低い) シラスコン硬膜下ドレナージ785-4NE-4L-12 アステム 慢性硬膜下血腫で手術当日。患者が起き上がり手術中に挿入したチューブがちぎれているのを発見する。チューブの先端が硬膜下に遺残していたため緊急手術で抜去する。
  1. 患者側の要因として高齢で認知症があり手術直後から起き上がり動作あり。当日入院・手術であった。
  2. 医療者側の要因として当日入院、手術で認知症があることの情報は得ていたが患者情報が不足しておりチーム間で共有ができていなかった。・手術室から病室へ帰室時、安全を考慮しチューブをベッド上にクレンメで止めてあった。帰室後チューブの固定を変更していない。通常チューブ固定はベッドにはしない。患者のカテ周辺の寝衣に固定する。
  3. 高齢で認知症の患者のチューブ管理に対するリスクを予測できていなく観察が中断した。
  4. 家族へのリスクに対する説明ができていなく、家族は手術直後には帰宅されモニター機能がなかった。
  5. 環境要因として、4人部屋の奥の部屋で同室者のカーテンで観察が困難である。
  1. 認知症があり不穏行動のある患者の情報提供し安全なチューブ管理を徹底する。術後の観察の強化、チューブ位置の確認を行う。
  2. 観察が容易な病床を選択する。
  3. 家族への説明と協力を依頼する。
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
85 障害なし 不明 不明 水を飲もうとして、起き上がった所ベッド柵にCVルートが引っかかり、接続部でちぎれ出血した。 状態把握不十分 レベルクリアーと判断した際は、理解しているかどうかきちんと確認する。理解出来ていなければ夜間のみ抑制を検討する。
 
  • 観察が不十分であった
86 障害なし 不明 不明 患者が携帯の充電器と間違え、頸部筋層化に挿入中のJ-BACを抜いてしまった。 環境整備が不十分。状態把握不十分。 治療に必要なチューブがあるため確認できない事は看護師を呼んで行うように説明した。
 
  • 観察が不十分であった
87 障害なし 不明 不明 Aラインのモニターアラームが鳴ったためベッドサイドに行ったところ、左手のAライン刺入部より大量出血していた。
 
観察不足 点滴だけでなく、出血など危険のあるチューブの刺入部はベッドサイドに行った毎に必ず確認する。
 
  • 観察が不十分であった
88 障害残存の可能性がある(高い) 体外式ペースメーカー TEMPORARY PACEMAKER MEDTRONIC 緊急入院で完全房室ブロックにて体外式ペースメーカーを挿入した患者。救急外来においてペースメーカー挿入を拒否していた。説得したのちに体外式ペースメーカー挿入し、ICUに入院した。入院後より不穏状態となり、ミトン・抑制ベスト装着した。しかし、ミトンはすぐ外すためペースメーカー挿入部はオプサイトにて保護していた。2時35分頃、リーダーへの報告をナースカウンターにて実施したところ、モニター上、波形自脈のみになっていることに気付き、ベッドサイドに行くとペースメーカーリードを自分で抜き、寝衣に中に持っていた。ペースメーカー使用中はHR80であったが、抜去後よりHR40から50へ血圧低下。意識レベルの低下はなかった。主治医に報告し、経過観察となった。
 
患者は入院後、不穏状態であり、抑制ベストのみ使用し、あとは見守りで誤抜去予防を行っていた。前勤務帯でミトン使用していたが、毎回すぐに外していて、抑制帯をするとさらに興奮すると予想されたため、見守りを強化することで対応していた。しかし、報告をベッドサイドを離れ、カウンターからでも観察できるという判断がペースメーカー自己抜去につながった。 ライン抜去のリスクが高い場合の見守りは、ベッドサイドを離れない。離れるときは他のスタッフに交代するか、上肢抑制を行う。
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
89 障害残存の可能性がある(低い) ウロバッグ クリエーメディック 膀胱ろう閉鎖術後の患者の膀胱カテーテルを固定していなかったため、尿の流出不良になり、膀胱破裂を起こした 患者の膀胱内容量が40mlを超すと膀胱外へ尿流出のおそれがあることが、術後、医師から看護師へ口頭でのみ伝えられた。看護師から看護師への情報伝達も不十分であったため、患者にあった固定が行われなかった。
  • 医師からの指示や患者に関する情報は口頭ではなく診療録に記載してもらう
  • 患者に関する必要な情報は経過記録に記載するだけではなく、情報を活かして看護計画を適切に立案し、日々の看護に継続する
  • 判断に誤りがあった
90 障害残存の可能性なし バルーンボタン型REF0620-20-30 不明 午前10時頃、週1回の固定水交換施行。深夜0時のパトロール時は異常なし。3時、胃ろう部分の寝衣が汚染され、チューブが抜けていることに気づいた。バルーンが破損していた。寝衣のボタンは外れておらず、自己抜去した可能性は低い。胃ろうへ尿道カテーテル挿入。翌日、PEGを再挿入した。固定水交換時、固定水5CCのところを10CC注入した。
 
使用製品の固定水が5CCであることを知らなかった。10CCシリンジが準備されており、注入量の確認をしなかった。PEGの交換時期を把握していなかった。 知識の確認。胃ろうの管理について医師、看護師間で情報共有を徹底する。物品を準備する際には、固定水用のシリンジは注入量に合わせたシリンジを準備する。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
91 障害残存の可能性なし 未入力 未入力 深夜の午前8時頃,口腔ケアをしていた.そのあと,挿管チューブの固定をするときにテープの長さをハサミで切断し調節した.
その後,カフを調節しようとするがカフ漏れが続いていたことに気づく.その時挿管チューブに穴が空いたのかなど確認し,カフ調節ラインが切断されているのを発見する。すぐに再挿管となる。
 
ただ行えばいいと思っていた。(無意識だったかもしれない)カフの必要性の認識が低かった。
注意力が欠けていた。テープを切断するときに,ライン類を反対側に寄せずテープを切断してしまったことの手技に問題があった。切断してしまった場合など患者に起こり得る問題の意識が低かった。
予め、テープの長さを確認し固定する。
テープの長さを調節するときは、ライン類を十分に確認した上で調節する。
患者に起こり得る問題を再確認し、常に意識していく。
カフの必要性を再認識していく。(カフだけでなく,患者に必要なものを十分に把握する)
 
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
92 障害なし CVレガフォースEX(12G×20cm)ダブルルーメン テルモ 患者は肺炎による呼吸不全から呼吸管理を目的として当院搬送となった。酸素投与でSpO2が92%であり、気管挿管を施行、動脈ラインを留置したが、末梢血管確保が非常に困難であったため主治医および麻酔科医の協議の上で中心静脈カテーテルを留置することとなった。エコーガイド下で穿刺を行い、ガイドワイヤーを留置、ダイレーターで拡張した後にカテーテルを挿入したが、カテーテルからの血液の逆流が見られず、位置を変えてみたところある程度浅くしたところで逆血が見られた。カテーテル自体の屈曲の可能性なども考え、ガイドワイヤーを再留置し新しいカテーテルを挿入したが、この時は逆血と思われる血液の逆流が見られたためそのまま固定を行った。
その後、確認の胸部X線写真を撮影し、カテーテル位置に異常がないことを確認してから輸液を再開したが、翌日、朝の胸部X線写真で前日は見られなかった多量の右胸水を疑わせる所見を認めたため、中心静脈カテーテルの逆流を確かめるとやや白濁した透明な液体が吸引された。この時点でカテーテルの胸腔内への迷入が疑われたため、直ちに輸液を中止した。小児外科に依頼し右胸腔穿刺、ドレーン留置を行ったところ、ドレーンからは白濁した淡血性の液体が流出した。その後、カテーテルを抜去、呼吸器外科および心臓血管外科に依頼しての緊急止血術を施行したが、鎖骨下静脈から胸腔に通じる穴があり、そこから持続性の出血が見られたとの術中所見があった。止血後の容態は安定し、抜管、人工呼吸器離脱となった。
本事例ではカテーテル留置時に穿刺針、ガイドワイヤー、ダイレーター、カテーテルのいずれかが血管壁を穿破し胸腔内に迷入してしまったと考えられるが、留置時にはエコーを用いて血管内にあることを確認しており、さらに留置後の胸部X線写真でもカテーテルの位置は正常であるように思われた。ただし、カテーテル挿入に際しカテーテルの位置によって血液の吸引が確認出来ないことは珍しくないが、本事例では血液の吸引が確認されるまでカテーテルの位置を動かしているため、その時点で異常である可能性を考慮すべきであった。針やダイレーターなどを深く進めた場合、容易に血管壁を損傷するという、手技に習熟した医師ならば必ず注意を払う点について、評価が不十分であった可能性が考えられる。 カテーテルの位置が血管内ではない場合、ワイヤーおよびカテーテルの操作を行う際の手応えは、抵抗が大きいなど通常とは異なると考えれら、また、カテーテルが血管内に留置されていなければ吸引の際のシリンジの感覚も通常とは異なると考えられる。経験の少ない研修医にこの感覚を教えるのは難しいため、通常の手技と異なる点が生じた場合には指導医自らが確認を行うよう徹底する。
  • 判断に誤りがあった
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
93 障害なし 不明 不明 イレウス管挿入中は、抜去予防ため抑制帯使用していた。イレウス管抜去となり抑制解除。その後カテーテル類を触る様子もなく、経過した。当日採血に行った看護師が患者の手に血液が付着しているのに気づき、布団をはぐるとダブルルーメンを引きちぎっていた。シーツに出血あるが、点滴も混じっているため量は不明。本人より「邪魔だから取った。明け方にやった」と言われた。ちぎったダブルルーメンを結び、ドレッシング剤で覆った。その後医師にて抜去された。
 
イレウス管抜去後、他のチューブ類を触ることがなかったため、大丈夫だろうと思った。 早期抜去にむけたカンファレンスの早期実施
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
94 障害残存の可能性がある(低い) サーフロー テルモ 18時頃に児の状態観察を行ったところ、Vライン(右手手背留置)の刺入部の腫脹があり18時に抜針した。その際の皮膚状態は、腫脹はあったが刺入部周囲の皮膚トラブルはなかった。しかし、末梢の皮膚色の観察は十分に行えていなかった。Vラインからはソルデム3AG1ml/h、測管よりラボナール0.5ml/hで投与されていた。18時40分頃に他のスタッフが児の様子を見たところ、右手第4指の皮膚色はチアノーゼが著明であると報告を受けた。すぐに抜針跡の皮膚状態を確認すると、抜針部周囲は白色に変色し水疱が2つ形成され、その周囲は青紫になっていた。
また、右手第4指はチアノーゼが著明でありすぐに当直医に報告した。当直医の診察時に手を動かすことやマッサージによって、右手第4指のチアノーゼはやや改善したが、抜針後の皮膚の白色とその周囲の皮膚色は改善はみられなかった。当直医より休日であるため、週明けに形成受診を依頼予定であり、経過観察との指示があった。0時には、右手第4指のチアノーゼは改善され、他の指の皮膚色と変わらない状態なったが、抜針部分の白色および周囲の皮膚色の改善はみられなかった。形成外科受診、第4指付け根あたりに壊死組織あり、将来拘縮を免れない状態であるとの結果であった。保存的治療を続行する。
点滴留置中のみでなく、抜針後の状態の観察が十分にできていなかった。1時間前には1時間で確実に指示量の輸液が注入されているか確認はできているが、漏れを発見するまでの1時間のうち手の腫脹の有無等観察されていなかった。抜針後は止血の状態の観察は行っているが、皮膚色の観察は十分に行われていなかった。点滴留置中も末梢の循環が見えるように固定されるようにはしているが、刺入部もテープで覆われ、観察が行いにくい。 点滴留置中のみでなく、抜針後も止血のみではなく皮膚の観察が必要である。また、ラボナールは『静脈外に漏れた場合は、プロカイン注射液等の局所麻酔剤による浸潤、温湿布等の適切な処置を行うこと。静脈内投与により血栓性静脈炎を起こすことがある。本剤をブドウ糖注射液で溶液を調整すると沈殿を生じることがあるので注意すること。』と注意事項としてあげられていることを周知徹底し、投与中のみでなく、投与後も皮膚状態や静脈炎の症状に注意する。点滴の固定方法については医師と再検討の必要がある。
 
  • 観察が不十分であった
95 障害なし マイクロニードルセルジンガーキット 1.5m×20cm 日本シャーウッド
  1. 深夜帯、睡眠状態は断眠であり、左側のベッド柵を閉眼したまま下ろしている事があったため、左側のベッド柵を固定し、巡視を30分毎に行った。なぜベッド柵を下ろすのか問うが入眠したのか答えない。拘束せず離床センサー(う一ご君)のみで対応していた。自力で床頭台にあるお茶を夜間2回程楽のみで摂取していた。
  2. 6:55に体温38.6度であったためロキソプロフェンを与薬した。意思の疎通は図れたがややうつろな表情であった。再度入眠したため退室した。
  3. 7時に輸液ポンプの閉塞アラームが鳴ったため訪室するとCVカテーテルのチューブが全て抜けている状態で、ベッドの右側に置いてあるのを発見した。
  4. 固定の糸は外れていなかった。刺入部からの出血はなかった。刺入部のオプサイトは剥がれていなかった。
  5. チューブが抜けた理由を問うと痒かったと答える。
  6. 固定方法は、ループを作り、刺入部はオプサイトで貼付し、シルキーテックスで2か所固定していた(刺入部と胸部)。
  1. せん妄治療のため転棟。転棟後1週間も経っておらず患者の行動パターンを把握する事が難しかった。
  2. 手術後、一ヶ月間、点滴やドレーンなどの自己抜去が無く腹帯もしていなかった事から抜かないだろうと思いこんでいた。
  3. 患者は自分の思い通りに生活できないと立腹し、自力で歩行しようとする行動があったため、転倒防止にばかり注意を払っていた。
  4. CV抜去後に皮膚の掻痒感を訴え、改めて観察すると全身の乾燥があった。ドレーンも留置しており、毎日清拭をしていたがシャワー浴はできず、皮膚の乾燥がある事からチューブ類の抜去につながるとは思わなかった。
  5. 自己抜去した7時は、深夜帯2名で勤務しており、血糖測定や洗面介助で手薄になる時間帯であり、観察が不十分になりやすかった。
  1. 痒みがないように、毎日清拭し、手・足浴・洗髪など部分清潔ケアを取り入れる。
  2. 行動の予測がつかない患者のドレーンは腹帯で巻き、チューブ類は直接患者に触れないように固定する。テープの種類を変更し、掻痒感が無いテープを模索する。
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
96 障害なし CVカテーテルシングル18G70cm 不明 鼠径部CVカテーテル抜去のため抜糸を行った際に、誤まってカテーテル本体を切断。
 
カテーテル固定糸を抜糸時に確認せずカテーテルを切断した。 固定部の確認。固定糸切断時の確認。
  • 確認が不十分であった
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
97 障害なし 医療材料・物品名不明 製造業者不明 小脳腫瘍にて入院中の5歳の患者。既往に小児喘息あり。開頭脳腫瘍摘出術を行った。19時手術の終了の連絡をうけ、医師と共に帰室される。JCSIII-200 スパイナルチューブ5Fr15cmにて挿管中。
ジャクソン加圧にてSPO2 99~100%維持。19時15分、ニューポートベンチレーターe360を装着するが圧異常にて同調しないため、02 6リットルの吹き流しにてSPO2 97~100%を確認する。体動もみられるようになりJCSII-20と覚醒しはじめ、挿管チュ-ブを噛む動作がみられた。帰室時にバイドブロックが使用されていなかったため、病棟にあるバイドブロックMサイズにて対応する。
19時30分、SPO2 70%まで低下見られたため、医師がジャクソンリースで加圧を施行するが、SPO2徐々に低下を認め10%台まで低下する。チアノーゼみられる。血圧の低下は認めず120/70mmHg台であった。加圧できない為、挿管チューブを抜去しアンビューにて人工呼吸をおこなう。2分ほどでSPO2 90~100%を示す。スパイナルチューブは噛んだ場所で閉塞を認めた。加圧できない為挿管チューブ抜去しアンビュー加圧を施行すると、2分ほどでSPO2 90~100%を示す。スパイナルチューブは患児が噛んだ位置で潰れていた。自発呼吸を認めたため、抜管のままO2 6リットルのマスクにてSPO2の低下は無く経過した。
  • 患者の急な麻酔からの覚醒があった。
  • 手術終了時、バイドブロックが使用されていなかった。
  • スライラルチューブを通常のチューブに入れ替える前の出来事であった。
  • 病棟に患児に合うバイドブロックが無かった。
OP後すぐに抜管しない場合は、挿管チュ-ブを入れ替える。
患者にあったバイドブロックを前もって準備か手術室に入れてきてもらうことを相談する。
  • 判断に誤りがあった
98 障害残存の可能性がある(低い) CX-PTCDキット8Fr.ロウ型 カテックス
  1. 患者はPTCDチューブを右側腹部と臍周囲部に2ヶ所挿入した。
  2. 翌日11時、看護師が挿入部のガーゼ交換をした時は異常なかった。
  3. 同日14時、看護師が訪室すると、患者は端坐位でトイレ介助を待っており、臍周囲部のPTCDチューブが抜けて床に落ちていた。
  4. 臍周囲部には、縫合糸のみ残っており、抜去部からの出血等はみられなかった。
  5. 直ちに主治医に報告する。
  6. 医師は、患者に再挿入の必要性を説明し、透視室にてPTCDチューブを臍周囲部に再挿入した。
  1. 従来はPTCDチューブを挿入した際、消化器外来で絆創膏にて簡易固定し、病棟に帰室後に固定し直していた。
  2. 19時、消化器外来で簡易固定しなかった。
  3. 新人看護師が担当しており、外来から帰室時に固定を確認していなかった。また、先輩看護師は新人看護師に指導していなかった。
  4. 翌日11時、看護師は挿入部の観察とガーゼ交換をした際、テープ固定の必要性に気づかなかった。
  5. 患者は以前にもチューブを挿入していた経験があり、患者にチューブ挿入中の注意点等を指導していなかった。
  1. PTCDチューブの固定についての手順を修正した。
    • 消化器外来でPTCDチューブ挿入時に、医師と共にチューブ固定用テープを用いて確実に固定する。
    • 挿入部の被覆をガーゼから透明フイルムドレッシングに変更する。
  2. 病棟看護師は、消化器外来から帰室後必ず固定状況を確認する。
  3. 安静解徐後は、固定状況の観察を特に行う。
  4. PTCDバックの位置は、患者がベッドサイドで行動しやすいように配慮するとともに、患者指導を行う。
  5. 固定状況・流出状況等を同じ視点で観察できるように、病棟で勉強会を実施した。
  6. 新人看護師の指導を確実に行う。
  • 判断に誤りがあった
99 障害なし IVカテーテル(Orca CV kit) バイオラックス メディカル デバイス 24時間持続点滴を開始後、2日間は問題なかった。3日目は少し落下が不良であった。
4日目の朝、看護師がポート周囲の抗癌剤の漏出に気付き、すぐに点滴中止した。当直医がヒューバー針抜去しポート周囲を圧迫して針穴より抗癌剤をできるだけ押し出した後、リンデロンとキシロカインの局所注射を施行。アドリアシンに対しては保冷、オンコビンに対しては保温が潰瘍形成を遅らせるとして推奨されているが、混合されておりアドリアシンに対する保冷のみ処置をした。その後画像検査において、ポートからラインが脱落し、上大静脈から下大静脈に迷入している事が確認された。すぐに心臓血管外科に依頼し、右鼡径からカテーテルを用いて、血管内異物(ライン)除去術を行なった。
 
初めて使用する製品であった。従来使用していた製品(バードポート)のポートとカテーテルの接続方法はスムスの中央まで挿入し、カテーテルロックをスライドする仕様であり、途中で止めるタイプであった。今回使用したCVカテーテルは、ポートのコネクタの根元まで確実に挿入し、ロックする仕様であったが、従来製品と同じ認識で接続した。その結果、接続部分は低荷重でカテーテルが逸脱したと推測される。
  1. ポート挿入手技の技術習得。
  2. 院内採用品の統一と配置数を簡略化するよう業務改善委員会へ提案する。
  3. カテーテルが脱落した場合も、血管内に迷入しない製品システムを検討する。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
100 障害残存の可能性がある(低い) 不明 不明 朝の回診時、医師1名、病棟看護師2名。看護師に直腸癌術後2病日の患者の、硬膜外カテーテルに接続した薬液がなくなったため、硬膜外カテーテルの抜去を依頼された。特に疼痛や出血など認めず医師が抜去した。抜去後に空になった薬液バッグに「クレキサン使用中」との札が吊るしてあるのを看護師が発見。担当看護師に確認したところ、午前8時にクレキサンを投与していたことが判明した。
 
同じグループの他の医師は全て手術中で1人で回診しなければならず、繁忙であった。
回診につく看護師が抗凝固薬を使用中である事を把握していなかった。
硬膜外カテーテルにつながっていた薬液バッグに、クレキサン使用中の札はかかっていたが、目立たず気がつかなかった。
抗凝固薬使用中の人は、何らかのマークや色がつくようにする。回診前に硬膜外カテ抜去が必要な人は抗凝固療法の確認をする。医師もカテ抜去前に抗凝固療法をしていないか看護師に確認する。ベッドサイドの目立つところに抗凝固薬を使用していることを明示する。
  • 確認が不十分であった
101 障害なし バード、シルバーフォーリ-トレイ メディコン(株) 16時担当看護師はカテーテル固定水確認、交換のため固定水を抜き、再注入を試みた。その際患者から痛みの訴えがあるため中止し主治医に報告した。主治医は会議中にて診察できず、看護師はそのままにはできないと思い、痛みが消失するのを待ち少量づつ固定水を注入した。17時主治医来棟、痛みの訴えは亀頭部であることを報告した。主治医より痛みが亀頭部であれば経過観察するように指示があった。18時45分準夜勤務者がカテーテル内の血尿を発見、主治医に報告した。主治医来棟しカテーテル抜去。再挿入試みるも挿入できず出血多量のため専門医を受診した。
 
カテーテル固定水の再注入時患者が痛みを訴えたが、自然排尿ができない患者のためカテーテルは必要であり異常と思いながら、痛みが消失するのを待って少量づつ注入を続けた。カテーテルが膀胱内に入っているかどうか確認しなかった。 定期的なカテーテルの固定水確認は根拠がないため今後行なわない。
固定水注入時はカテーテルが膀胱内にあることを確認してから行う。
  • 確認が不十分であった
102 障害なし 医療材料・物品名不明 製造業者不明 心不全、呼吸不全で入院中の患者であるが、呼吸状態が悪化し、低酸素状態で意識障害が認められたことから同日の夕方より救命センターICUに転室していた。その後も喀痰は多く、喘鳴が著明になるとSpO2の低下が顕著であるため、口腔内からの吸引を頻繁に行っていた。なお、朝のレントゲンではSTチューブは胃内に確認できている。
経管栄誉開始時には胃泡音の確認と、栄養の胃内容物の逆流は行った。経管栄養を開始後の呼吸状態は問題なく、200ml/2H程度投与されていた。 経管栄養の投与が終了したため、管内のフラッシュに白湯を通したところ、Spo2のが100%から63%まで徐々に下がった。すぐ近くにいた医師がバックマスク換気を始めた。低酸素により徐脈になりアトロピンの投与を行い循環動態安定。循環動態安定したがバックマスク換気ではSpo2の上昇がみられず気管内挿管実施。また、咽頭付近でストマックチューブの途中が浮き上がっていたためそのまま再挿入を行う。なおその後の胸部レントゲンでは肺炎の悪化はみられていない。また、挿管チューブ・STの位置は確認し問題ない。
患者は胸水や喀痰の貯留に伴い喀痰が多い。しかし、咳嗽反射が弱く頻繁な口腔内からの吸引が必要であった。
ただし、頻繁な口腔内の吸引では、カテーテルが胃内から上がってくる恐れもある。
低酸素状態となった状況では、咽喉頭内に胃管カテーテルが浮いている状態であり、経管栄養を一時的に誤嚥した可能性も否めない。
院内手順に基づいた経管栄養の実施。経管栄養実施直前の口腔内にチューブが上がってきていないかの確認。経管栄養実施時、胃泡音のダブルチェックの実施。
  • 確認が不十分であった
103 児自身の状態(超低出生体重児)もあり今回のイベントがどれくらい影響するかは現在のところ不明 該当なし 該当なし 母体は血圧上昇有り、IUGR(-2,1SD)を認めた。周産期管理目的に当院産婦人科を紹介受診。28週、胎児推定体重840g(-2.7SD)、臍帯動脈血流の途絶を認めたため入院管理となった。母体肝機能上昇あり、HELLP症候群疑いにて緊急帝王切開となる。児は出生時、啼泣無く全身色不良、筋緊張低下あり、気管内挿管しバギングにて全身色やや改善した。ELBW治療管理目的にてNICU搬送となる。児は同日、手術室より気管内挿管施行されNICU入院となり、人工呼吸器(ベビーログ)を装着していた。看護師Aは児の気道確保手順を想定し肩枕(ガーゼを折り畳んだもの)を準備していた。今回、手術室で気管内挿管していたが、肩枕を外さないまま児を臥床させた。家人へ入院時のIC中に児の呼吸状態が悪化した。SpO2:70%台前半へ低下し、モニターアラームが鳴った。聴診し肺雑音著明に聴取する。バギング開始後もSpO2の改善は見られず、胸郭の上下運動なし。抜管後、マスクバギングで速やかにSpO2は改善した。児のバイタルが安定したため、医師が再挿管の処置を開始した。再挿管を試みるも挿管困難で6、7回試みた後、事故抜管しないよう、深めに挿入し固定。ポジショニングを利用して頭部を動かさないように管理した。挿管処置中に数回HR100回/分以下の徐脈となるが、血圧低下はなかった。
再挿管後、呼吸状態は安定。血圧や体温等のバイタルサインも著変なかった。看護師Bが児に肩枕を使用したままになっており、頸部が過伸展になっていることに気付き、肩枕を外し、過伸展を直すため一人で児の体位を変えた。肩枕除去後、児の呼吸状態が悪化した。SpO2:23%まで低下するとともに、HR60回/分まで低下。胸郭の上下運動無く聴診で肺のエアー入りは弱かったが、自発呼吸はみられていた。バイタルサイン著変なく、児は覚醒していたが、著明な体動は無かった。直ちに当直医に報告し、医師によりバギングを開始した。口腔内、気管内吸引するも分泌物はなかった。5時17分、SpO2安定しており、このままの経過観察の指示あり。SpO2は98%以上を保ち経過していたが、突然児が啼泣し、声漏れを確認したため医師に報告し抜管。n-DPAP装着となった。
超低出生体重児は気管内チューブ先端の位置が数ミリずれただけで容易に抜管することから、NICUでは挿管中の管理を次のように取り決め、教育を行った後、管理手順に即して看護を実践している。1.頭部が伸展あるいは後屈しないように肩枕は使用せず、ポジショニングを用いて整える。2.体位変換は必要最小限にとどめる。3.体位変換が必要な場合は、頭部を前屈させた状態で行い、原則2人以上の看護師で行う。4.児の活動性が出現し始めたら、医師の指示のもと、速やかに行動制限を開始する。
本事象については、1度目の抜管は、肩枕を挿入して、頸部が過伸展になった状態が継続したことにより、抜管につながったと考える。看護師Aは肩枕を挿入したままであることを認識していたが、医師にそのことを伝えていなかった。また、医師からは体を動かさないよう指示をされていたことにより、肩枕は挿入したままの方がよいと判断していた。2度目の事故抜管については、看護師Aは肩枕を挿入したままの体位に合わせて気管内チューブを固定していることを看護師Bに伝達していなかった。そのため、看護師Bが肩枕を除去したことにより、気道内で気管内チューブ先端の位置がずれ、抜管に至ったと考える。その他の要因として、児は覚醒していたことから、体動(特に頭の動き)による抜管も否定できない。

 
  1. 挿管中の管理手順の内容について、NICUの全看護師に再度周知し、遵守できているかを確認した。2.肩枕を挿入したまま、児を臥床させた場合には、頭部に刺激を与えないように2人以上の看護師又は医師で肩枕を除去することをスタッフ間(医師、看護師)で再確認した。3.児の状況について、看護師間で情報が伝達できるように肩枕を挿入中であることを保育器に表示することとした。4.緊急を要する処置以外は、担当者が責任を持って実施する。担当者以外の看護師が実施する場合には、担当者に児の状況を確認したうえで実施する。
  • 判断に誤りがあった
  • 連携
104 不明 CVレガフォース 20cm ダブル テルモ 肝癌にてTACE後の患者。入院時よりせん妄あり、鎮静剤を使用して右鎖骨下CVC16cm挿入し栄養管理していた。CVCの自己抜去予防に上半身タートルネック・下半身ズボンを着せ、ルート類はズボン裾から出してウエストから手が入れられないようにテープで止めていた。20時にリスパダール内服し入眠していた。0:45頃より腹部を触わり落ち着き無くなったため1:05にセレネースを点滴開始。しばらく傍に付き添い1:20頃より入眠したため他患者のところへ離れる。1:30訪問すると血まみれになっているところを発見。確認するとCVC抜去されており、カテーテル先端が10cmの目盛のところで切れていた。確認した際、出血は止まっておりナートは残ったままだった。
 
不明 抑制着を着て上肢にはミトンを装着するようにした。 ・観察が不十分であった ・判断に誤りがあった
105 障害残存の可能性なし 中心静脈カテーテル 不明 透析後に使用しなくなった中心静脈カテーテルを担当医が抜去。圧迫止血を確認し、抜去部にテガダーム貼付する。(フリーの看護師がギャッジアップし、食事介助をする)22時、モニターのアラームが鳴り訪室すると、発汗著明であり頻呼吸の為、血圧測定するも測定不可。中心静脈カテーテル抜去部よりオムツ内に多量の出血認める。主治医により、アルブミナー250mlを2単位・RBC-LR4単位投与し、状態回復。
  • 圧迫止血が不十分であった。
  • 止血後の確認(観察)が不十分であった
  • カテーテルの抜去は夜間はしない。また、透析の当日しない
  • 抜去後の頻回な止血確認が必要。また、食事介助のためにギャッジアップしたなら、その後に抜去部確認
  • 止血に時間を要した場合は、テガダームだけの固定ではなく、枕子で固定するなど、固定を強固にする必要がある
  • 医療従事者間のコミュニケーションを確認
  • 観察が不十分であった
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
106 障害残存の可能性がある(低い) ミニトラック スミスアンドメディカル 喘鳴あり呼吸困難にて緊急入院した。XーP、CT上肺炎像は軽度であった。基礎疾患から声帯外転麻痺を疑い喉頭ファイバ-で声帯を確認したところ、声帯がスリット状になって、窒息の危険性があった。
呼吸器外科医、神経内科医に相談、疾患による開口障害があることから、気道確保するためミニトラック挿入することとなった。
挿入後XーP確認するがはっきり確認できず。細気管支鏡で観察すると経鼻胃管牙確認され、食道内と判断すぐに抜去した。
直視下に気管切開を行うほうがミニトラック再挿入より安全と判断し、気管切開を行った。
消化器外科医に食道損傷について相談した。縦隔炎の心配はないだろう、2週間くらいでふさがると思われるとのコメント。
念のため抗生剤投与す。
神経内科基礎疾患の存在 緊急時であってもさらに慎重に各科の医師と相談し処置に望む。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
107 障害残存の可能性なし 該当無し 該当無し
  1. 大腸癌、V-Pシャント外瘻術施行。
  2. 22:50ベッド上起きあがり辻褄の合わない会話有り。脳室ドレーンの排液52ml/hのためクランプする。BP148/84P52。転倒ムシ装着後、脳外科医師へ報告し、4時までクランプの指示を受ける。
  3. 本人の希望でレンドミルトンDを与薬する。
  4. 2:30転倒ムシによるナースコールがあり訪室すると、点滴ルートを触ったり、CVC固定部テープを剥がしていた。2:50ミトン装着するが、3:20ミトンを自力で外している。その後もせん妄状態で辻褄合わない会話をされる。
  5. 6:30車椅子乗車し、しばらくナースステーションで様子を見ていた。
  6. 8:55脳室ドレナージチェックに訪室すると、ドレーンの挿入部から10cmのところが結ばれており、髄液が漏れていた。ドレーンがちぎれていた。患者は「切った」と辻褄の合わない発言有り。
  1. 夜間せん妄状態が見られたため、頻回に訪室し、予防的にミトンを装着していた。しかし、自分で取り外しができる状況であり、身体拘束の選択アセスメント不足であった。
  2. 事故前より、家族の協力を依頼していたが、来院出来ない状況であった。
  3. 眠剤使用についてもアセスメント不足であったことが考えられる。
  1. 安全のためのやむなく身体拘束を選択するが、効果的な拘束、妥当性、解除などを常にアセスメントする必要がある。
  2. 眠剤使用時の状況、せん妄状態など「いつもと違う」という認識を持つ。
  3. 適切な家族への協力依頼も考慮する。
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
108 障害残存の可能性なし なし なし 痙攣重積状態で救急搬送されてきた小児。搬入時より積極的な治療を開始。輸液ポンプを使って持続点滴を開始。使用した薬剤には、高浸透圧で、血管にダメージを来すリスクがあるものも複数含まれていた。搬入より約36時間後の早朝8:30頃、持続点滴のために血管確保された腕が腫れているのを母親が発見。輸液ポンプのアラームはならなかった。看護師が確認すると、血管外漏出を起こしてしまっており、前腕が腫れ、すでに水疱形成があり刺入部が剥離している状態であった。夜間帯は看護師は、児を起こさないよう、泣かさないようにと考え、腕に腫れが無いかどうかを目視で確認していた。血管確保部は固定をしっかりするために不透明なテープで周囲を包むほどの範囲に貼られていたうえ、包帯でシーネとともにつつまれていたため、看護師は血管確保部分を直接に観察できない状況であった。
 
1歳児であり、血管痛など部位を特定した訴えをする能力が無い。母親は体調が悪く泣くのか、他の理由があるのか分からない。 血管確保部維持のためのテープが不透明、1歳児の腕に対しては広範囲の貼付になっていた。 1歳児の血管外漏出の早期発見のための確認方法としてのマニュアルが不十分で、徹底されていなかった。医師と看護師の連携が不十分で、高浸透圧で血管にダメージを来すリスクがある薬剤を使っているという状況を共通認識できていなかった。高浸透圧薬剤のマンニトールの有害事象に血管外漏出時の事象がアナウンスされていなかった。 医師と看護師が連携し、検討を行い、血管確保部維持のためのテープを変更およびシーネ固定方法の工夫と変更をする。
小児の血管外漏出の早期発見のための確認方法(特に夜間)を再検討しマニュアル化する。検討内容を指導し、周知徹底する。医師と薬剤師が連携し、薬剤オーダー時に処方箋に注意事項をコメントとして反映させる。
  • 観察が不十分であった
  • 連携
109 障害残存の可能性なし 富士システムズ株式会社 富士システムズ株式会社 看護師2名は、気管カニューレホルダーの緩みとカフ圧を確認して清拭を行った。人工呼吸器は左側にあり、患者の体を右斜め上に引き上げようと2人で打ち合わせて、人工呼吸器側に立った看護師が下半身を持ち反対側の看護師が上半身を持った。蛇管は固定アームから外し、余裕を持たせてベッド上に乗せた。蛇管の状態を看護師2名で確認し、勢いよく引き上げた。空気が漏れる音がして気管切開部をみると気管カニューレが抜けていた。直ちに当直医師に連絡する。自発呼吸はあった。看護師は、気管切開部にガーゼを当てて手で押さえ、バッグバルブマスクにて補助換気を行った。当直医師は、気管カニューレを再挿入し人工呼吸器を装着した。気管カニューレ再挿入までの間、SpO2の値は98~99%で変化はなかった。気管カニューレ再挿入後、喀痰吸引するが血性痰は見られなかった。
 
  1. 人工呼吸器(ウルトラ)の蛇管は長く、人工呼吸器から患者への長さは十分にあった。
  2. 人工呼吸器側の頭側にベッド柵があったが、外さなかった。
  3. 身体を引き上げる際、お互いが気管切開部を見ているだろうと思い込み、どちらの看護師も気管切開部から目を離していた。
  4. 蛇管を手で支えていなかった。
  5. 声を掛け合っておらず、引き上げるタイミングが合わなかった。
  6. 蛇管がベッド柵に引っかかり、気管カニューレが引っ張られた。
  1. 体位変換を行う際はベッド柵を外し、蛇管に余裕をもたせる。
  2. 必ず看護師2名で実施し、1名は蛇管を手で支えて気管切開部から目を離さない。
  3. お互いに声かけを行い、役割の確認してゆっくり実施する。
  4. 病棟で体位変換の手順を作成し、実際にデモンストレーションを行って周知した。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
110 障害残存の可能性なし チェスト・ドレーン・バック 秋田住友ベーク株式会社 チェスト・ドレーン・バッグの水封部と圧調節部に蒸留水を注入せずクランプを開放したため、呼吸困難発症し酸素飽和度が40%台まで低下、右気胸、皮下気腫を発生した。
  1. 医師、看護師ともにバッグの使用方法に精通していなかった。
  2. 医師、看護師間の連携、コミュニケーションが十分ではなく、看護師が使用法に不安があり病棟に使用法を確認している間に、医師が水封されているものと勘違いし、クランプを開放してしまった。
  3. 医師・看護師間で以前からコミュニケーション上の問題があり、両者間での話合いを行い、以後患者に関するカンファレンスを頻回に開催し、コミュニケーションの改善に努めている。
  4. 医療安全医療機器専任者から定期的に医療機器使用研修を行い、知識の習得に努めている(既施行)
  5. 本事例を、リスクマネージャー会議で公開し、全病院的に意識統一を図っている。
  1. 今回のドレーンバッグの使用方法はもちろん、使用法が明確でない医療物品の使用に際しては、事前に医師・看護師間で確認の上施行することを産婦人科医師および看護師の間で確認した。
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
  • 連携
111 障害残存の可能性なし スミスメディカルジャパン スミスメディカルジャパン 体位変換のため看護師2人で訪室する。患者は右側臥位で、人工呼吸器は患者の左側にあった。蛇管をアームから外し、30度挙上していた頭部のベッドを下げた。患者をベッドの中央に寄せる為、右側の看護師Aが患者の肩~腰を持ち、左側の看護師Bが患者の下肢を持ち引っ張った。右側の看護師Aは患者を左側臥位にするために背部を押した。左側臥位にした時、挿管チューブが5cm抜けた。SPO2は、97%で低下はみられなかった。看護師は直ちに当直医師に報告し、当医師来棟までは5cm抜けた状態を保持した。当直医師は、挿管チューブのカフエアを抜き5cm挿入した。医師が胸郭の動きと呼吸音を確認後、チューブをテープにて固定し人工呼吸器を装着した。粘調血性痰を吸引するが、SPO2は88%と上昇せず、酸素濃度を40%から50%に変更した。患者は、努力様呼吸であり医師はベッドサイドに待機していた患者の腹部膨満に気づき、ディプリバンにて鎮静後再挿管した。再挿管し人工呼吸器装着後は呼吸状態は安定する。
 
  1. 右顔面の挿管チューブ固定テープが発汗・皮脂・髭のため外れやすい状態だった。
  2. 体位変換を看護師2人にて行ったが、フレキシブルと蛇菅の接続部を保持していなかったため、挿管チューブに蛇菅の重さがかかり右顔面のテープが外れた。
  3. 体位変化時における看護師同士の声かけと役割分担が明確でなかった。
  4. 胃管チューブが減圧目的で挿入してあったため、腹部膨満に気づくのが遅れた。
  1. 訪室時、体位変換時は挿管チューブの固定状況を確認する。
  2. 各勤務申し送り時に、テープ固定状況のダブルチェックを行う。
  3. 体位変換時は、2人の看護師が声かけを行い、蛇管の位置を確認し、挿管チューブに重さがかからないよう、フレシキブルと蛇菅の接続部を必ず保持して実施する。
  4. 気管内挿管後は、呼吸音や胸郭の動き、腹部の状態を確認し、速やかに胸部X-Pをとり確認する。
  5. 胃管チューブで減圧処置をしている場合は、腹部の状態変化がわかりにくいため注意する。
  6. 病棟で人工呼吸器装着中における体位変換についての勉強会を開催した。
  • 観察が不十分であった
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
  • 連携
112 障害なし なし なし 臨床工学士にて血漿交換のプライミング中、生食廃棄ラインをクランプするはずが、濾過された血漿廃液ラインを誤って止めてしまい、そのまま血漿交換が開始した。そのため濾過された血漿は廃液されず体内に戻されたため5%アルブミン約1.2Lを過剰補液した状態となった。
他のMEが誤りを発見し、直ちにラインを変更し医師に報告後、更に5%アルブミナー1000mlを追加し血漿交換を継続した。途中、体動が強くなり血圧上昇、頻脈がみられワソランで対処したが医師の記録によるとアルブミン過剰輸液との因果関係は不明とのことで家族への説明は行なっていない。
通常は他のMEとラインのWチェックを行なっているが、他のMEがほかの業務に取られ当事者一人で担当していたためWチェックを行なわなかった。また当事者も正しいルートと思い込んでいた。 指さしでラインを患者側からたどり正しいルートか否か、声を出して確認する。更にWチェックを継続実施する。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
113 障害なし なし なし 老人施設への転院を目前にしていた患者。担当看護師が10時の尿測処理がすぐには行なえず他の業務をしてからすぐに処理しようと、10時の時点で膀胱瘻チューブのクランプを実施した。間もなく尿測処理を行なったが閉鎖した膀胱瘻チューブを開放し忘れ4時間50分が経過した。その間、患者は腹痛を訴えたが誰も尿流出を確認しておらず、面会の家族から排尿がない事を指摘され発見に至った。チューブ開放時400mlほど尿流出が見られた。翌日患者は発熱・傾眠傾向となり膀胱瘻の長時間閉鎖による尿路感染と診断され抗生剤投与及び補液が開始された。
またリハビリでは介助歩行可能な状態であったため、そこまで回復させてほしいとの要望であった。
2日後から解熱傾向で検査データも安定しリハビリ再開。現在は老人施設への転院調整を再開している。
看護師に当該患者の尿測の捉え方が十分理解できておらず「何が何でも10時でなければ・・」という思いが生じていた。患者は概ねの24時間尿をみているのであり、分刻みの厳重な観察ではない為、簡単な処置の後でも充分尿測に間に合った。また通常行なわない膀胱瘻チューブのクランプも安易な発想で実施されており、膀胱瘻に関する知識不足も影響した。また患者が腹痛を訴えているのにチームのメンバーも含めて尿量の観察に意識が向かずアセスメント不足があった。 医師の治療処置以外はドレーン・チューブ類は安易にクランプせず相談してから行動する。さらに尿量測定を行なうためのクランプは原則行なわない事とした。病棟では個人的にはタイマーなどを利用し確実な業務を遂行できるよう振り返りを行なうと共にドレーン・チューブ全般の管理について再指導を行なった。
  • 観察が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
114 障害なし トロッカーカテーテル 20F 40cm ダブルルーメン Bタイプ 住友ベークライト株式会社 気胸のため入院。胸腔ドレーンを挿入した。毎回巡視時には刺入部、挿入の長さ、固定の状況を確認していた。4時 訪室時にドーレンを観察し異常がないことを確認した。4:30頃、「尿器で排尿した」とコールがあり訪室するとドレーン刺入部の縫合が外れ、固定されていたテープも皮膚からはがれており、ドレンが抜浅されているのを発見した。
 
専門外の病棟に入院したことから、胸腔ドレーン挿入中の患者の看護に体験する機会があまりなかった状況であった。
トイレや体動時にはドレーンに注意するよう患者指導が十分に出来ていなかった。特に排泄時には看護サイドで介助する必要があった。
患者指導は具体的に行い、必要なケアは看護師が介入する。
ドレーン・チューブ類の管理、患者ケアについて再学習する
ドレーン・チューブ類の固定方法について改善する
  • 観察が不十分であった
  • 患者・家族への説明
115 障害残存の可能性なし 浜野式イリゲイションチューブ イソメディカルシステムズ 術後の潅流終了後、処置にあたった医師は、チューブが1本ものと思いこみ、inのチューブを皮膚上部で切断し、outのチューブを引いて抜去したため10cm程、膝関節内に残留してしまった。患者本人が2週間後に気付き、当直医が抜去したが、その事を患者家族が面会に来たときに、不必要なものだからと提示しなかったために「隠すのか」と怒らせてしまった。
 
主治医ではなく、病棟担当医が包交処置をした。
抜去後のX線での確認が不十分だった。
患者家族に対して、真摯な説明ができなかった。
手術内容をよく知った医師が処置をすること。
確認はダブルチェックをし、見落としがないようにすること。
患者や家族に対してのインフォームドコンセントは、真摯にかつ頻度を多くすること。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
116 障害残存の可能性なし 栗原医療 バード 整形外科病棟入院、頚髄症手術、2日目、術後せん妄により、午前6時40分、Jバック自己抜去、留置カテーテルを持参していたハサミで4ヶ所カットし、体内留置部分が膀胱内に埋没してしまった。血尿所見あり、近医の専門医にコンサルトし、経過観察。
当院は常勤専門医が不在であるため、事象日から4日後の治療処置となった。患者の排泄機能には問題なく経過した。
 
術前の患者は88歳であるが、しっかりして明瞭であり、術後当日も問題なく経過されていた。しかし、術後経過からベッド上安静が必要であり、高齢者の環境変化を過信していた。術後せん妄観察不足であった。 高齢者の術後経過の観察を更に強化し、せん妄アセスメント評価を活用。術後観察に状況で家族の協力を要請。術後せん妄対策に必要と判断された場合は、行動制限を医師と連携し術後ドレーン類の管理を強化する。
  • 観察が不十分であった
  • 判断に誤りがあった
117 障害なし 該当なし 該当なし 【実施した医療行為の目的】
胃癌で手術予定の患者。前日午後より術前指示のソルデム3A1000mlを施行していた。
【事故の内容】
2.23:55定時ラウンド。 3.患者はその後トイレに行こうと「起き上がったが急に吐き気がしてゴミ箱に嘔吐しようとしてゴミ箱に手をかけたところまでは覚えている。気づくと床に寝ており、冷汗があったためナースコールを押した」と話される。トイレに行こうとしてから、倒れて気づくまでの記憶は曖昧で、何分間意識がなかったかは不明。
3.0:30 ナースコールあり。看護師が行った時はベッド上に臥床している状態であった。顔面蒼白・末梢冷感・冷汗・悪心・空あげあり。点滴ルートの三方活栓2個の間の接続が外れ床に出血が広まっていた。Bp80台 P70~90 SpO2100%意識明瞭。 4.出血カウント補液含め約800g程度。 5.Drにすぐ診察してもらい、使用中の末梢ルートは凝固しており抜去。他に末梢ルート2本確保し、ソルデム3A1000mlとヴィーンF500ml、4、4%アルブミネート250ml開始。 6.1:30BP100台、悪寒、嘔気持続していたが顔面蒼白徐々に回復。出血直後採血結果Hb11.4。朝の再検でHb9.8。フェジンDIV施行。 7.手術が延期となり、脳MRI、脳外受診し脳の異常なし。 8.鉄剤1週間内服となる。貧血症状回復し手術予定となる。
  1. 23:55定期ラウンド時、点滴は滴下は良好で出血もなかったが、その際点滴ルートの三方活栓部分(ロック付き2個)の締まり具合の点検をしなかった。
  2. 手術前処置のラキソベロン内服による迷走神経反射による症状があった。
  1. 勤務の始めと終わりに三方活栓の接続の確認を必ずする。
  2. 三方活栓の使用は必要最小限の個数とする。
  • 確認が不十分であった
118 障害なし シグマート注48mg 中外 術後、循環動態維持のため、時間1ml/hで点滴注射指示あり。輸液ポンプ(シリンジポンプ)にて開始したが、シリンジポンプへの設置時、注射器の翼の部分がはまっておらず。予定量18mlのところが、8mlしか入らなかった。
 
シリンジポンプ取り扱いに対する知識不足・確認不足
輸液管理の確認不足
確認の徹底
  • 確認が不十分であった
119 障害残存の可能性がある(低い) ドルミカム注射液10mg アステラス製薬 21:55ドルミカム更新する。流量を3.0ml/Hと設定したつもりが予定量の50.0ml/Hでセットしていた。23:00シリンジポンプの完了アラームが鳴り訪室すると、時間設定間違いに気付く。予定注入量(1時間あたり)の約16.6倍。当直医Dr報告する。患者のバイタル著変無く様子観察となる。
  • 対象患者はCチームで、日勤帯はCチームのNsが看ているが、同チームにもう1人重症患者が居た為、夜間帯は比較的落ち着いているAチームのNsが看ていた。当事者はAチームのNsであった。夜間、どの患者をどちらのチームが看るのかを決めるのは各チームの日勤のリーダーである。当事者は入職して1年7ヶ月のNsであった。シリンジポンプ、輸液ポンプ操作研修会(ME実施)にも出席していたがずいぶん前であったため覚えていない。また、プリセプターによる指導を受ける時、患者に使用していないシリンジポンプ(どの機種だったか覚えていない)で操作方法を習い実施できるという評価されていたが、自分が配置されたチームでシリンジポンプを使用する患者に当たったことはなかった。ただ、以前、フェンタニルを小型シリンジポンプ(テルフュージョン TE―361)を使い持続注入していた患者がいたのでこの操作は覚えていた。
  • 患者に使用中のシリンジポンプを操作したことがなかったが、入職して2年近く経ち、夜勤にも入り始めていたので「一人でやらなくてはいけない」と思い、初めてだったが、(誰にも聞かず)一人でシリンジポンプの更新作業を行った。
  • 今回のシリンジポンプ操作時、まずブザー停止し、積算量をクリアし(頭の中には時間3とあった)、手は表示切替(積算量→流量)をし、流量というところにもともとあった「3.0」という数字を「50」にした。このとき流量を積算量の全量と勘違いしていた。積算量から切り替えた時点で、輸液ポンプの操作の流れと同様「予定量」という表示になっていると思ったのか、流量=予定量(全量の数字を入れる)と思い込んだのかあまり覚えていない。
  • 輸液ポンプ・シリンジポンプをセットした後のダブルチェックが出来ていなかった。5年前に輸液ポンプ誤操作による事故発生時に「セット後5分以内に別のNsに再度チェックしてもらう」というルールがあったが、当事者を含め、スタッフの認知度は低く、また、2名での確認も今回も行われていなかった。
  • シリンジポンプの機種は病棟に3種類あった。今回使用した機種(テルフュージョンシリンジポンプ STC525)。以前使用した事がある機種(テルフュージョン TE―361)。もう一つの機種(ニプロSP-80RS)
  • シリンジポンプの薬剤更新時、当事者は一度主電源を切り、初期設定から行った。スタッフの中では、指示変更が無い場合は、「停止」をし、薬剤だけ交換するという方法もあり。この場合は、【流量】はそのままで<積算量を0>にし再開する方法となる。
  • その後チェックリストを見ながら時間注入量設定欄にレ点を入れたが「時間3」ということを意識していなかった。
  • シリンジポンプ交換時、4人の準夜メンバーは交代で食事を取っていた。当事者は「ドルミカム交換してから食事に入る」と言っていた。ドルミカム更新時、他のスタッフに声かけはしておらず、また、回りのスタッフも“一緒に確認する”という行為はなかった。
  • 薬剤の常用量や副作用についての知識が不十分であった。
流量を予定量の全量と勘違いしており、確認するがそれに気付かなかった。確認は1人で行った。 確認は2人で行う。・更新時のダブルチェックを徹底する・チェックリストのレイアウト変更。残量チェック方法変更(ボトル、シリンジを見る)・薬剤の常用量や副作用について薬剤師による教育。・シリンジポンプの操作についても不十分であった。当事者はシリンジポンプ操作の研修を受けていたが、今後はMEからの研修回数を増やす方針・シリンジポンプに関する手順マニュアルには、薬剤更新時についての項目は無かったため早急に作成。
 
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
 
 

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(その他)

No. 事例 調査結果
1 患者は外来受診しMRI予約を取った。事前チェック項目未記入のまま伝票提出となった。
その後患者はMRI撮影施行し帰宅した。放射線科医長がMRI読影時に過去の検査で洞機能不全があったのを確認し、更に外来カルテに以前ペースメーカーチェックをしていることよりペースメーカーが挿入されているのではないか、と気付いた。ただちに患者に連絡し、ペースメーカーに異常を来した可能性があるため、至急チェックしたほうがよいことを説明し、ペースメーカーチェックを行った。MRIによるペースメーカー及び心筋に対する影響はなかった。
MRIの検査申し込み伝票の問診依頼を医師が実施せず、受付事務もチェック項目欄を見落とした。検査当日、MRI検査室の事前チェックを患者自身に記載してもらい、患者はペースメーカーを挿入していることを記載したが放射線技師は充分に確認しなかった。
 
  • 確認が不十分であった
2 【内容】
食道癌の手術を施行した。腹腔鏡下にて胆嚢摘出時、出血が多く開腹にて止血を施行した。
その後、開胸術に移行し予定の手術を終了した。閉腹しレントゲン撮影を行い、麻酔覚醒させ、ICU 入室となった。翌朝、胸腹部レントゲン撮影を行ったところ、同職種者より、腹部に鉛線様の画像を発見しガーゼ遺残を疑った。同日、緊急にて開腹術施行し、ガーゼ1 枚を腹部から摘出した。

【背景・要因】
  • 手術終了時、ガーゼ枚数のカウントが合致しているという言葉で、あるはずがないという思い込みで写真を確認した。
  • チューブ、ドレーン類の留置が多く、レントゲン上、その適切な位置しか確認しかしていなかった。
  • 長時間の手術であり、なるべく早期にICU へ戻したいという焦りがあった。
  • 看護師と一緒にガーゼを確認するというルールを遵守しなかった。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
3 【内容】
帝王切開時に1回目のガーゼカウント時に腟内にガーゼが1枚残存している事を知っている直接介助の看護師は、医師に言わず、術後に腟から取り除くものだと思い込みをしていた。最後のタイムアウト時に医師からガーゼカウントは合っているかと聞かれ1枚腟内に残っていると伝えた。医師は「そんなはずはない」と言ったが、ルチーンで撮るレントゲン画像によって、ガーゼが1枚腟内に残っている事が確認でき、閉腹前にガーゼをとり除き、もう一度レントゲン撮影を行い、ガーゼが無いことを確認して手術が終了した。

【背景・要因】
  • 当事者の思い込み。
  • 手術部のガーゼカウントに関するルールが把握できていない。
  • 医師に疑義を言えない環境。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
4 【内容】
膀胱脱のため、子宮全摘除術、後腟壁形成術、腟仙骨固定術を行った。手術終了時腹膜閉鎖後にガーゼカウントが合っていることを確認して筋膜、皮膚を閉創したが、翌日、腹部CT写真で皮下にガーゼが残っていることを確認した。再度手術を行いガーゼを摘出した。

【背景・要因】
  • 腹膜閉鎖前に、ガーゼカウントが合っていることを確認して閉創したが、皮膚の閉創後に、最終のガーゼカウントの確認を行わなかった。
  • 閉創前にレントゲン撮影を行う手順になっていたが、実施されなかった。
  • 確認が不十分であった
5 【内容】
手術開始頃に執刀医が滅菌プレス(柄付ガーゼ)を肝臓右側背面部に3枚置き、胆嚢周囲を剥離しやすいようにしていた。胃全摘術、直腸低位前方切除術を約8時間かけて行い、閉腹の際、肝臓右側背面部の2枚の柄付ガーゼは除去したが、1枚は残存したままになっていた。柄付きガーゼは、他の組織の止血にも使用したため、この術中に合計9枚使用したと思われるが、手術室間接介助担当看護師が、術野に出した柄付きガーゼの枚数を確実に把握していなかった為、最終カウントに誤りがあったと思われる。腹部CT撮影の際、肝臓下面に残存していたガーゼを発見し、当日、緊急手術を行った。

【背景・要因】
  • 柄付きガーゼを術野に出した時は、出血カウント表に、枚数を記載する手順となっていたが出来ていなかった。
  • 術中、出血多量で多忙な状態となった。緊急手術も入り応援を依頼できる看護師はいなかったため、間接介助看護師は1人で対応していた。
  • 確認が不十分であった
6 【内容】
産婦人科手術で腹膜縫合前にガーゼカウントを施行し確認していた。閉創時、四つ折りガーゼが1枚不足していたため、看護師がガーゼを確認するよう依頼した。しかし、術者は止血操作のため閉創を続ける必要性があり、確認できなかった。閉創後もガーゼが見つからなかったが、患者が覚醒し始めたため、麻酔科医と合意のもと抜管した。その後、レントゲン撮影により腹腔内にガーゼ遺残が確認されたため、ガーゼを摘出した。

【背景・要因】
  • ガーゼカウント時、術者・看護師の連携ができていなかった。ガーゼ不一致時のマニュアルが守られていなかった。
  • 確認が不十分であった
  • 連携
7 【内容】
外科医師が乳房部分切除を行った。間接介助の看護師Aがガーゼカウントを直接介助看護師Bに声掛けした。洗浄前に直接介助の看護師Bによりガーゼカウントが行われたが、記録用紙に結果を記入しなかった。その後創部にドレーン挿入となり、直接介助看護師Bはドレーンの種類を確認することに注意がいった。看護師Bは医師の手元を見ておらず、その後ドレーン挿入、閉創と続いたため、閉創前のガーゼカウントを行わなかった。翌日、胸部レントゲン撮影を行い、ガーゼを発見した。

【背景・要因】
  • ガーゼカウント用紙を利用していたが、記入せず確認が漏れた。
  • 閉創前に一旦手を止めずに閉創処置が続いてしまった。
  • 医師の作業過程の中で、介助の看護師も他に気を取られ、最終的なガーゼカウントを忘れてしまった。
  • 開腹、開胸、開頭ではなかったため、手術時の遺残確認のレントゲン撮影を必ずするというルールではなかった。
  • 確認が不十分であった
8 【内容】
用手補助腹腔鏡下腎摘除術を施行。執刀医はガーゼを確認後、創部洗浄をした。創部洗浄が開始になったため、器械出し看護師A が「ガーゼカウントお願いします」と声を出し、外回り看護師B は、使用後ガーゼカウントをし「0枚」と声を出した。器械出し看護師A は手術野のガーゼを確認後「0枚」と答えた。外回り看護師C はガーゼカウント確認表にOK と記載した。閉創までにその後2回ガーゼカウントを実施した。ガーゼカウントはその2回も合っていた。器械出し看護師B は、カウントが合っていることを医師に伝えた。ガーゼカウントが合っていたのでレントゲン撮影は実施しなかった。
術後、発熱、右下腹部痛を訴えた。感染兆候を認め、腹部CT を再確認し、単純腹部レントゲン画像でガーゼの残存が判明した。

【背景・要因】
  • 体内に1 枚ガーゼを使用していることについて、術者や看護師に認識が低かった。
  • ガーゼカウントがガーゼの回収と清潔野にあるガーゼの数のチェックになっており本来のダブルチェックではなかった。
  • ガーゼカウントが下一桁で実施されており、二桁以上の数が合わない場合は発見できなかった。
  • ガーゼカウント確認用紙がわかりづらい。
  • 手術異物残存防止マニュアルどおりに実施されていなかった。
  • 確認が不十分であった
9 【内容】
気管切開を受け、経鼻経管栄養を受けている患者に対し、胃ろう・腸ろう造設術を施行した。術後チューブの位置と機能確認のための術後消化管造影を行ったところ、胃ろうチューブ刺入部付近にX 線不透過ガーゼのラインに酷似した線状陰影を認めた。
ガーゼカウントをして「ライン入りガーゼは、30 枚ある」と執刀医に報告している。術後のレントゲン撮影は行っていなかった。

【背景・要因】
  • ガーゼカウント間違い。
  • 医療安全管理マニュアルには、遺残物の有無をレントゲン画像で確認すると記載されていたが、術後のレントゲン撮影は未実施であった。
  • 手術室勤務経験の少ないスタッフで対応していた。
  • 確認が不十分であった
10 【内容】
患者に胆のう癌の手術を施行し退院した。外来受診時CT にて異物に起因すると思われる右横隔膜下液体貯留に気づきガーゼの残存を確認した。患者の経過を見て腹腔鏡補助下にて摘出した。

【背景・要因】
  • 術後レントゲン画像の確認は執刀医が行っているが、確認サインが無く誰がフィルムを見たかわからなかった。
  • 出したガーゼと使用したガーゼの数は照らし合わせていない。器械台のガーゼの端数とカウントしたガーゼの数を合わせ、数の差でガーゼ数が合うか合わないかを見ている。ガーゼ(1パック10 枚入り)カウントはしていたが、タオルガーゼ(1パック5 枚)のカウントはこの時記載がなかった。
  • 長時間手術のため器械出し看護師と外回り看護師は途中交代しており、交代時のガーゼカウントの記載がなかった。
  • ガーゼカウントと出血量測定のための機械(カウンタ君)を使用している。ガーゼとタオルガーゼは1・2 のボタンを押し区別する仕組みとなっているため、押し忘れや押し間違いが発生する危険性があった。
  • 確認が不十分であった
  • 連携
11 【内容】
眼窩吹き抜け骨折に対して、内視鏡下による整復手術を施行。コメガーゼ3 × 20(クロマイ軟膏付)2枚2組を鼻腔内、ホーリーカテーテルを上顎洞内に留置し手術を終了した。術後6日目、カテーテルを抜去しガーゼも同時に2枚除去した(手術室の引継ぎ用紙にコメガーゼ2枚と記載してあった)。その際通常行うファイバーによる観察は実施しなかった。
退院後初回外来受診、鼻鏡で左鼻腔内観察するがガーゼ遺残は認めなかった。
その後、左鼻腔内より少量の鼻出血とガーゼが出てきたと電話連絡がはいった。医師が鼻咽喉ファイバーで鼻内観察を行ったところ1 枚のガーゼが遺残していた。

【背景・要因】
  • 手術室の挿入ガーゼの記載が2 枚と記載されていた。
  • 執刀医とガーゼ抜去時の医師が異なっていた。
  • 医師は手術記録で確認後2枚を抜去した。
  • 通常は最終的なガーゼ抜去時はファイバーで観察するが、幼児のためとガーゼは2枚と思っていたのでカウントは合っていると判断し、また患者が幼児であったため鼻鏡のみの観察であった。
  • 退院時も、退院後観察も、ガーゼ遺残の可能性を予測していなかったためファイバー観察は行なわなかった。
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
  • 記録等の記載
12 【内容】
食道異物(義歯)のため、内視鏡下に摘出を試みたが不可能であったため、同日緊急手術施行となった。全身麻酔下に手術開始。頸部操作で食道を切開し、義歯を除去したが、義歯の金属部分による食道の縦隔内への穿通を認めたため、開腹食道抜去、胃管による食道再建の方針となった。腹部操作を施行時に、肝臓の授動の目的で肝臓と腹壁の間に紐付きガーゼを挿入した。
腹部操作を終了し、ガーゼカウントを未施行のまま、閉腹となった。
手術終了、ICU へ入室となったが、入室後の腹部レントゲン画像にて腹腔内へのガーゼの遺残を確認した。

【背景・要因】
ガーゼカウントが不十分なまま閉腹を施行。
 
  • 確認が不十分であった
13 【内容】
閉鎖式吸引施行後、閉鎖式吸引カテーテルの洗浄液注入口より生理食塩水を注入するところ、ソフトシールカフ付きサクションエイド7.5mm 気管切開チューブのカフ上吸引チューブより生理食塩水約5ml を注入した。気管孔から水が出たため、間違いに気づいた。すぐにカフ上吸引施行。バイタルサイン、SpO2、肺音に変化はなかった。

【背景・要因】
目の前にあったチューブ口を洗浄液注入口と思った。確認が不十分であった。気管カニューレ、閉鎖式吸引カテーテル、呼吸管理全般の知識不足。
 
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
14 【内容】
閉鎖式気管内吸引カテーテル(エコキャス)の洗浄液注入口とカフ上吸引チューブを間違え、カフ上吸引チューブから生理食塩水約6mL を注入した。気管内チューブが洗浄されないために間違いに気付いた。すぐに気管内吸引施行。SpO297%前後、脈拍数55 前後で変化はなかった。

【背景・要因】
気管周囲に複数のチューブがあるため、間違えそうだと感じる事は以前からあった。そのため、チューブ類を左右に分けて吸引をするようにしていたが、今回は自分が立っている側にまとめてしまった。
  • 確認が不十分であった
15 【内容】
患者はCOPD によるCO2 ナルコーシス改善できないため、気管挿管を行っていた。挿管チューブの死腔が長いため、日勤看護師がチューブをカットしたところ、閉鎖式吸引カテーテル(エコキャス)が深く入っており、それも一緒にカットしてしまった。カットした閉鎖式吸引カテーテルの先端が気管内チューブの中に落ち込んで取れなくなったため、主治医を呼んで再度死腔をカットしたところ、主治医がカフ上チューブも一緒にカットしてしまい、結局再挿管をした。

【背景・要因】
コミュニケーションを取りながら業務を行っていなかった。他の患者が気になり集中出来なかった。お互いがあわてていた。

 
  • 確認が不十分であった
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
16 【内容】
患者は呼吸管理を行っていた(気管内チューブ4.5mm を使用)。吸引に8Fr 閉鎖式吸引カテーテル(エコキャス)を装着するが、長さが短く届かないため、医師に相談後、10Fr エコキャスへ変更した。SpO2 変動があり、10Fr 閉鎖式吸引カテーテル(径3.3mm)が気管内チューブに対して太すぎるため、8Fr 閉鎖式吸引カテーテル(径2.7mm)を使いたいが、そのままでは届かないため、気管内チューブを短くしてほしいとの要望があった。看護師立会いのもと、医師が呼吸器装着のまま気管内チューブを19cm の位置で切断した。4 日後に抜管したが、翌日の胸部レントゲン画像にて淡い線状の異常陰影を認めた。気管支ファイバーにて、右主気管支内にチューブ様のものを認めたため、鎮静下でチューブをトラブルなく抜去した。閉鎖式吸引カテーテルの先端10.5cm であった。

【背景・要因】
閉鎖式吸引カテーテルの引き抜きが不十分であり、気管内チューブと閉鎖式吸引カテーテルチューブは両者とも黒い目印が入っていて区別しにくかった。また、加湿により気管内チューブが曇っていた。
 
  • 確認が不十分であった
17 【内容】
閉鎖式吸引カテーテル(トラックケア)にて気管内吸引中、急にSpO2 と心拍数が低下。医師を呼び心臓マッサージ、バギング、吸引を施行し患者の状態は回復した。事故発生時、吸引びんの容量がオーバーになっており、吸引圧がかからなくなっていた。吸引チューブ洗浄のために注入した水が吸引されず、気管内に流れ込んだことが原因と考えられる。

【背景・要因】
閉鎖式吸引カテーテルの構造の理解が不足していた。チューブの洗浄は吸引圧をかけて行うことを前提としていることが認識されていなかった。患者が低出生体重児であるため、少量の水が気管内に入ったことにより重篤な影響が出た。
  • 確認が不十分であった
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった