製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(医療事故)
No | 事故の程度 | 販売名等 | 製造販売業者等 | 事故の内容 | 事故の背景要因の概要 | 改善策 | 調査結果 |
1 | 障害残存の可能性なし | メチコバール錠500μg | エーザイ | 11時30分 いつもどおり担当看護師は昼食後の内服(計4錠)を配薬ボックスに入れて患者へ渡した。内服は看護師管理にて配薬を行っていた。 12時30分 担当看護師は、昼食後の内服ができたか確認のために訪室した。空のPTPシートを確認すると4錠分あるところ3錠分しかないことに気が付いた。 患者へなぜ一つ不足しているのか確認すると「飲んだよ。空も飲んだ気がする」と話した。担当看護師は、患者が言った「空」とはPTPシートのアルミの部分を巻き込んで飲んだのだろうと思った。微小な物を一緒に飲んだのだろうと思い経過観察と判断し、誰にも報告はしなかった。 14時 検温 状態変化なし。 17時45分 夜勤看護師がラウンドに行った時、患者が咽頭痛を訴えていると日勤看護師に伝えた。日勤看護師はリーダーと病棟師長へ報告した。 病棟師長と日勤看護師は、再度確認のため訪室すると患者は「シートごと飲んだ」と言われ、初めてPTPシートごと飲んだことに気が付いた。患者は「昼食後、1錠ずつシートから薬を出して飲み始めた時、1錠だけシートに入った薬をベッド上に落としてしまい、赤いPTPシート(メチコバール)をそのまま拾って飲んだ」と説明した。 |
看護師管理で内服している患者に対して、PTPシート(1錠ずつ切った状態)をそのまま患者の元へ配薬し、薬ごと置いてしまっていた。医療安全推進マニュアルが遵守されていなかった。 内服した後の確認で、カラ数が合わないと気づいたが、直ぐに「PTPシートの誤飲」に結びつかず、担当看護師の判断で経過観察となった。対応が遅れてしまった。 日頃から、睡眠薬や患者が薬をセットすれば自己で内服できる患者に対しては、1回ずつ配薬した後、そのまま患者へ渡してしまっていた。 PTPシートを、看護師が1錠ずつ切っていた。本来は誤飲予防で1錠ずつにならないようになっているのに、ハサミで切って配薬しやすいように1錠ずつにしてしまっていた。看護師の中では誤飲予防で1錠ずつにならないようになっていることを知らないスタッフがいた。 患者指導として、PTPシートを誤飲する危険性について説明できていなかった。 |
看護師管理で内服している患者に対して、PTPシートのまま患者の元へ置くことは禁止とした。配薬した薬に関してはその場で回収を行うことを徹底させることとした。当院医療安全推進マニュアルには「その場で与薬させる」と記載されていることからマニュアルを遵守させた。 今後、内服を自己で管理している患者に対しては、1包化を勧めていけるようにする。 以前に起きた「PTPシートの誤飲事例」を知らないスタッフがいた。今回の担当看護師も「PTPシートは飲めるものだと思わなかった」と言っており、予測ができていなかった。情報の共有を行うため、「注意喚起」の用紙を作成し各病棟に配布した。 |
平成22年9月15日付医政総発0915第2号・薬食総発0915第5号・薬食安発0915第1号連名通知「PTP包装シート誤飲防止対策について(医療機関及び薬局への注意喚起及び周知徹底依頼)」により、医療機関等に注意喚起等しているところである。 また、平成22年9月15日付薬食安発0915第3号「PTP包装シート誤飲防止対策について」により、製造販売業者に対しても、PTP包装シートの改良、改善の研究開発の継続を依頼しているところである。 |
製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(薬剤内服の際、誤ってPTP包装を飲んだ事例)
No. | 事例 | 調査結果 |
2 | 【内容】 深夜看護師は、7時頃朝食後の内服を患者のもとに持参した。看護師は薬杯のなかに一包化された袋の中味を入れた。PTP包装されたハルナールとアリセプトをPTP包装のまま薬杯の中に入れた。その後、他の看護師から患者がPTP包装のまま飲みこんだことを報告された。 患者に確認するとハルナールは吐き出したがアリセプトは飲みこんだことを告げられた。胃内視鏡にて除去を試みたが、すでに胃には無かった。排泄物より観察する事になった。 【背景・要因】
|
平成22年9月15日付医政総発0915第2号・薬食総発0915第5号・薬食安発0915第1号連名通知「PTP包装シート誤飲防止対策について(医療機関及び薬局への注意喚起及び周知徹底依頼)」により、医療機関等に注意喚起等しているところである。 また、平成22年9月15日付薬食安発0915第3号「PTP包装シート誤飲防止対策について」により、製造販売業者に対しても、PTP包装シートの改良、改善の研究開発の継続を依頼しているところである。 |
3 | 患者は睡眠剤をPTP包装ごと服用し、その後も飲食を続けたが、食道に違和感を訴えた。 翌日内視鏡で食道に停滞しているのを発見し、除去した。 |
|
4 | 【内容】 21時頃マイスリー(5mg)1錠内服の希望があり、包装された状態で1錠手渡した。前日もマイスリーを1錠内服し、他の内服薬も自己管理しており、翌日退院予定の患者であった。 患者はマイスリーを内服しようとしてPTP包装から取り出して後方の上に置き、暗くなってから机の上のものを手でかき集め、飲み込んだところPTP包装を一緒に飲み込んだことに気付いた。看護師が消灯して退室後、数分後に「げー」と吐くような声が聞こえた。訪室すると、「カラごと飲んでしまった。喉に引っかかっている」と患者から報告を受けた。内視鏡を施行し、下咽頭に未開封のPTP包装がひっかかっていることを確認し、鉗子を使用して摘出した。 【背景・要因】
|
|
5 | 患者は入院後ADLは自立しており服薬もできていた。夕食後、内服薬をオーバーテーブルの上に置き離れた。5分後に訪室すると同室患者から「薬のシートを飲んでしまったようだ。」と情報を得た。鎮痛剤のPTP包装を探すが見つからなかった。患者自身は喉の違和感や痛みの訴えはなかったが、主治医に報告した。その後消化器内科医師へ主治医が相談。結果、ファイバースコープを施行し、食道部にPTP包装を発見、除去した。 | |
6 | 【内容】 認知症と不安の精査加療目的で入院。薬剤は看護師が準備したものを患者がPTP包装から取り出し、内服していた。薬袋から薬剤をトレイに準備し、患者の前にトレイを乗せたワゴンを置き、向かい合って内服する様子を見守っていた。1剤飲み終え、PTP包装がカラになっていることを確認し、患者に視線を移すとベシケアを飲み込むところだった。トレイにベシケアのPTP包装が残っていないため、本人に確認するとそのまま飲んだと返答した。内視鏡にて食道にあったPTP包装を除去した。 【背景・要因】
|
製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(医療事故)
No | 事故の程度 | 販売名等 | 製造販売業者等 | 事故の内容 | 事故の背景要因の概要 | 改善策 | 調査結果 |
7 | 障害残存の可能性がある(低い) | ロイケリン | 大原薬品工業(株) | ロイケリン10mg(成分量)(製剤量100mg)投与予定であった。院外処方する際、成分量入力する画面で、製剤量である100mgと入力したため、6週間、10倍投与された(10%ロイケリン散 1G 1× と処方された)。外来受診時に3系統の血球減少と炎症反応の上昇を認めた。好中球減少症発熱と考え、入院加療を開始した。 | 成分量で処方するところ、製剤量で処方した。医師、薬剤師の監査が機能しなかった(鑑査は処方箋を作成した医師が行うことになっているが、 医師の鑑査が見過ごされ、院外薬局の薬剤師の処方鑑査もなされなかったと推測される)。 | 成分量、製剤量入力の統一を図る
|
平成22年1月29日付医政発0129第3号・薬食発0129第5号連名通知「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書の公表について(周知依頼)」等が公表されており、その中で、処方箋への散剤の記載方法については「薬名を製剤名で記載し、分量は製剤量を記載することを基本とする。例外的に、分量を原薬量で記載した場合には、必ず【原薬量】と明示する。」と示されている。 |
製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(薬剤量間違い)
No. | 事例 | 調査結果 |
8 | 医師は前医の紹介状にてアレビアチン10%散1.8g と記載があったため、診察した医師は1800mg として処方した。医師は成分量と秤取量の処方の違いを理解できていなかったが、薬剤師の問い合わせに対して、耳を貸さなかった。 | 平成22年1月29日付医政発0129第3号・薬食発0129第5号連名通知「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書の公表について(周知依頼)」等が公表されており、その中で、処方箋への散剤の記載方法については「薬名を製剤名で記載し、分量は製剤量を記載することを基本とする。例外的に、分量を原薬量で記載した場合には、必ず【原薬量】と明示する。」と示されている。 |
9 | 患者は歩行ができず、呂律が十分回らない状態で受診した。これらの症状の原因を追求すると、医師は前医で投与されていた薬を当院で継続処方した薬が原因ではないかと疑い、前医に問い合わせ、フェノバールが過量投与されていることがわかった(前医では150mg/ 日であったが当院では 1500mg/ 日)。この間違いは、患者が当院受診時に持参した薬ノートに前医での処方がフェノバール10倍散1.5g/ 日とあったのを医師が当院でフェノバール10倍散1500mg/ 日と処方したために起こったことがわかった。医師はフェノバール10倍散1.5g/ 日の実際のフェノバール含有量が150mg である処方箋上の慣例を理解していない為に起こった(当院薬局によるとg表示の場合には全量(薬と混合物)の重さを示し、mg の場合には薬の量を示すことが多い。ただ規則はなく、1.5g をフェノバール150mg と見なすことも1500mg と見なすこともできる)。 また、前医と当院での処方箋の単位の違い(前医ではg、当院ではmg を使用)も一因となったと考える。 | |
10 | 脳動脈瘤クリッピ ング術後の患者は、A病院から当院糖尿病内科 へ紹介された。 A病院からの情報提供には「内服薬セレニカR1.25g 分2朝夕」とその他の薬剤処方が記載されていた。医師は同内容、同量のつもりで当院のオーダー画面より「 セレニカR 顆粒 400mg/g 1250mg 分2 朝・夕食後 14 日分」と入力し、院外処方箋を発行した。調剤薬局ではバルプロ酸として1250mg =セレニカR顆粒3.125g を秤 量・調剤した。その結果、診療情報提供書に記載されたバルプロ酸(500mg)の2.5倍量が投与された。 |