独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成23年度 第3回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医療機器関連事例) 別添2

本文別添1|別添2|別添3

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(医療事故)

No. 事故の
程度
販売名 製造販売業者名 事故の内容 事故の背景要因の概要 改善策 調査結果
1 障害なし オキシログ ドレーゲル・メディカル ジャパン TV室から移送中、オキシログに接続していた酸素がなくなり、SPO2が62%まで低下した。(約3分) 移送前にボンベが満タンであることを確認し、アンビューも持参した。TV室の看護師に申し送りをして病棟に帰ったため中央配管につなぎかえるのを確認しなかった。検査終了後、搬送の際にアンビューがベッドに乗っていないことに気が付かず、帰室途中酸素の残量がなくなり約3分間酸素がいかなかった。
  • 処置の時はO2の管を中央配管につなぎかえる。
  • 退室時にはO2ボンベの残量・アンビューの確認を行う。
  • 確認すべきこと、声がけすべきことは必ず行う。
  • 確認が不十分であった
2 障害残存の可能性がある(低い) LTV1150

ディスポ呼吸器回路
フィリップス・レスピロニクス

フィリップス・レスピロニクス
  1. 8:45 おむつ交換、排尿認める。呼吸器回路異常なし
  2. 8:55 経鼻栄養チューブより経管栄養開始
  3. 9:15~9:20 深夜看護師と呼吸器回路チェック異常なし。声かけに対し開眼し、眼球を上下左右に動かし意思表示をする。泡沫状の唾液を吹き出し拭き取る。SPO2:94~95%、鼻腔・口腔から淡黄色痰吸引。
  4. 9:25~9:30 SPO2:94~89%と改善が遅い、口腔内唾液吸引、バギング10回行い気管内吸引するが極少量の痰のみしか引けず、SPO2:97%まで改善
  5. 9:36 深夜看護師がアラームは鳴っていないことを確認している。
  6. 9:45 斜め前の別の病室で処置をしていた看護師が、患者の病室内の据え置き型パルスオキシメーターのSPO2低下を知らせるアラーム音に気づき訪室すると、SPO2 値測定不能状態、顔面蒼白、チアノーゼ、全身色不良、呼吸器回路からエア漏れ音あり、気管カニューレとフレックスチューブの接続部が外れていたのを発見した。アンビュバックによる蘇生処置しながら別な看護師を大声で呼んだ。
  7. 9:46 酸素15Lジャクソン・リースにて用手法換気を行うも、SPO2値上昇せず、当直医連絡。胸部に手をあてるも心拍確認出来ず、聴診器にて心音聴取出来ず、直ちに心マッサージ開始。
  8. 9:50 心肺蘇生中、当直医到着。医師により聴診するが心音聴取出来ず、心停止状態。EKGモニター装着心マッサージによる波形のみ。
  9. 9:52 心拍再開。パルスオキシメーターのSPO2:86%、心拍数150回台表示あり、顔色・口唇色やや良好となる。心電図モニター上での心拍確認
  10. 9:53 チアノーゼ消失、人工呼吸器再装着、酸素投与開始する。呼名反応、睫毛反射なし、痛覚刺激反応無し。通常の意識レベルと違うことを当直医に報告をした。
  11. 9:55 心電図モニター上心拍数120回台、SPO2:95~97%。顔色良好。
  12. 9:57 気管カニューレ交換するも閉塞無し、人工呼吸器再開
  13. 10:10 チアノーゼ消失、SPO2:95~97%、脈拍72回、血圧98/55、対光反射わずかにあり
  14. 13:30 当直医より両親に状況について説明。
  15. 14:00 眼球を上に動かし、眩しいと訴える。
  1. 別な部屋でケア中であったため、人工呼吸器外れによる警報アラーム音に誰も気づかなかった。
  2. SPO2値低下を知らせるアラームが鳴っても、多人数用患者監視装置の画面を確認せず、直ぐに対応しなかった。
  3. 誰かが対応しているだろうと各々が思っていた。
  1. 呼吸器回路外れによる警報音は注意深く耳を傾け、素早く対応する。
  2. 多人数用患者監視装置のSPO2低下を知らせるアラームの際には、受け持ち患者の画面上の異常を常に観察し、直ぐ対応する。
  3. 受け持ち看護師は責任をもって直ぐに対応する。訪室出来ない場合は、別な看護師に依頼する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 勤務状況
3 障害残存の可能性がある(高い) BiPAP Vison
成人用バックバルブマスク
フィリップス・レスピロニクス

レールダル メディカル ジャパン
8:00 呼吸器装着中。呼名反応あり。
10:00 呼名反応なし。カヌラへの変更可否を確認するため血ガス検査。CO2貯留
10:15 CT予定のためカヌラに変更。SPO2低下してきたためリザーバーマスクに変更、SPO2改善。呼吸器装着。
10:25 SPO2徐々に低下。FIO2を0.3→1.0に変更。それでも改善しないため
10:30 バックバルブマスクに変更。以後状態を確認しながら呼吸器とバックバルブマスクでの換気を継続。
11:45 家族来院。DNARを確認。その後は呼吸器で経過観察。
14:40 臨床工学技士来室し呼吸器のチェックを行ったところ酸素の接続が外れていることが判明。酸素を接続し、呼吸器を装着しなおしたところでSPO2は安定した。
バックバルブマスクと呼吸器の酸素ラインは一つの接続口につなぎ替える状態にあり、10:30から11:45までは酸素の繋がっていない呼吸器と酸素の繋がっているバックバルブマスクを交互に繰り返していた。
11:45から14:40まではルームエアーの呼吸器で経過観察を行っていた。
この間、アラームは鳴っていたが、状態悪化のためのアラームと思い、確認せず止めていた。
使用している呼吸器、バックバルブマスク、カヌラには酸素が接続されているものと思い込んでいた。
アラームが鳴っていたが以前にも脳梗塞の既往があり、再梗塞による状態悪化のため鳴っているものと思いアラームの原因について追求しなかった。
DNARが取れており積極的な治療に向けた行動がとられなかった。
  1. 職員(医師、看護師、臨床工学技士、診療技術部職員)への教育と指導
  2. 呼吸器管理
    1. 呼吸器学習会を年2回以上計画する
    2. 呼吸器とマスクを使用するときは酸素Y字管に接続することの徹底
    3. 全呼吸器に「簡易取扱説明書」「アラーム対処一覧」を取り付け
    4. 呼吸器のチェック項目を再検討
    5. 呼吸器のアラームが分からないときは、昼夜を問わず臨床工学技士に連絡する旨を周知
  3. 環境整備(接続部を確認しやすい配置)
  4. 呼吸ケアサポートチームの始動

 
  • 確認が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
     
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
4 障害なし 酸素アウトレット(酸素配管端末)

酸素流量計付き湿潤器
AMC

小松精機
(概要)中央配管の酸素流量計を交換し、流量を確認して病室を退室したが数分後酸素流量を示すボールがゼロになっていた。
中央配管の壁面医療ガスコンソールの酸素アウトレットと酸素流量計の接続が不確実であった可能性がある。
安静時胸痛あり、心電図変化認めCCU入室。呼吸状態の悪化あり、BIPAP(非侵襲的陽圧換気呼吸器)装着。13:00 BIPAP呼吸器から酸素リザーバーマスクに変更(酸素8リットル/min)。患者からナースコールがあり、同時に主治医も病室を訪室したところSat(経皮的動脈血酸素飽和度)が88%に低下しており、酸素流量計を見ると流量を示すボールがゼロの点まで落ちているところを発見した。
流量計のダイアルをまわしたがボールは上がらず、中央配管に押し付けてみたところ一瞬ボールが上がったが又すぐ下に落ちた。再度押し込んだらボールが上がり酸素を8リットルに調節し、Sat90%台に回復、患者は意識清明。念のため流量計は別のものに交換した。体位交換し側臥位になるとHR150、BP200台まで上昇、再びSat88%まで下降したため、BIPAP再装着 Sat100% 心不全悪化あり薬物療法開始。血中酸素飽和度84%に下降あり、気管内チューブ挿管し人工呼吸機管理となる。その後呼吸状態改善あり、気管内チューブ抜管 酸素流量5リットル/min
  1. 使用した酸素流量計及び中央配管の酸素配管アウトレットに関して業者に点検を依頼した。その結果酸素流量計は特に問題はない。酸素配管アウトレットについては、業者による点検がされていた。今回の点検結果、多少の内部パッキンの劣化は確認できるが、この劣化は許容範囲内である事を確認したが念のためパッキンは新品と交換、使用に問題ないことを確認した。
  2. 今回酸素が一時的に投与されなかった原因について配管アウトレットに「カチッ」とロックされず、はまり込まない中途半端な接続状況で、一時的に酸素が流量され、何かのタイミング(アクアパックや流量計そのものの重み)でその位置がずれて酸素が流れなかった可能性が考えられた。
  1. 本事象に関しての防止策として、中央配管アウトレットに装着する器具(呼吸器配管、酸素流量計、吸引器等)が、確実にアウトレットに装着されていることの確認を現場スタッフに徹底することが予防策であることを確認した。
  2. 正しいアウトレット接続についてのポスターを作製し、院内に周知した。
    1. まっすぐ差込み、「カチッ」と音がするまで押し込む
    2. 接続したら、引っ張ってみて確実にロックされているかを確認する
  • 確認が不十分であった
5 障害残存の可能性なし 酸素ボンベ 福岡酸素 急変のためO2経鼻8/L、リザーバーマスク12/Lで使用し、Bedで主治医と看護師でCT室へ移送した。検査終了後、酸素チューブをボンベに接続しICUへ移動したが、患者はICU入室間際に意識消失、呼吸停止あり。その際、看護師と同席していた家族がリザーバーマスクのカフが膨らんでいないことに気づく。ICU入室後O2ボンベが開いておらず、酸素がいっていなかったことに気づく。患者は、すぐに挿管・酸素投与し、自発呼吸認めるようになった。 急変であり、患者本人と付き添い家族も、「早く、早くICUに連れて行って」と急いで欲しいとしきりに移動・検査中も要求していたのであわてていた。
CT室では酸素の配管がひとつしかなく、酸素ボンベが届かないため、CT室の酸素へ切り替えた。
CT後、サーチュレーションモニターの装着を忘れていた。
移動前後の医療機器の操作は、同じ人が携わる、もしくは声かけを行い設定の確認をする。
酸素使用時はボンベの元栓の解放と流量計の設定を確認する。
酸素を使用しての移動の際は、必ずサーチュレーションモニターで監視しながら、異常の早期発見に努める。
ボンベ使用時のチェックリストの導入を検討する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
6 障害残存の可能性がある(高い) ローターフロー遠心ポンプ マッケ・ジャパン ローターフロー遠心ポンプ(ECMO)からの離脱試行。肺機能不全のため、16:10、ECMO再装着。20:57、ECMOのアラームが鳴った。間もなく(検証では約1分間)作動停止。血圧、心拍数低下したため、21:10、心臓マッサージ開始、緊急処置対応する。21:25、ECMO作動開始、心臓マッサージ中止。
厚生労働省厚生局、福祉保健局、厚生労働省医薬食品局へ報告済み。
バッテリー駆動になっていることに気づかなかった。ECMO再装着時には機器背面メインスイッチはONであったが、事故発生時にはOFFになっていた。ON⇒OFFに切り替わった原因は不明である。稼動中にAC電源からバッテリー電源に変わっていることに気づき、AC電源に変更していれば、機器の作動停止は防げたと考える。 ECMO管理チェック項目にAC電源駆動か、バッテリー駆動かの確認を追加、修正した。
遠心ポンプ装置の研修を追加開催する予定
  • 確認が不十分であった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった

当該事象について企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、バッテリ駆動であることに気づかず、バッテリの容量低下となり動作停止に至った事例である。主電源は開始時にはオンであったが、いつの間にかオフに切り切り替わっており、主電源再投入後にゼロ点較正が不可であったとのこと。
当該企業において、当該品の点検が実施されたが特段の異常を認めず、較正については較正完了のブザー音を聞き逃したものと推察された。
7 障害残存の可能性がある(低い) 高周波手術装置VIOシステム アムコ 洞不全症候群のためペースメーカー管理中の患者。慢性腎不全・急性心不全のため入院加療中であった。腎機能が徐々に悪化したため、右肘部に内シャント造設術を施行した。ペースメーカー留置中であったが、手術開始時に電気メスを使用した。モニター上、波形にノイズが入ったが本人に症状は認めなかった。電気メスからバイポーラに変更して手術を継続して終了した。術後、循環器医師とペースメーカー業者にチェックしてもらい、問題がないことを確認した。
  • 2009年9月に「ペースメーカー植え込み患者に対する手術時の対応」を作成していた。
    しかし以下の問題があったため、見直しを行った。
    • 以前はペースメーカーの植え込みや管理に対する対応を心臓血管外科で行っていたが、現在は、循環器内科で対応している。
    • 心臓血管外科と手術室の看護師間での取り組みであったため、他の診療科がこの取り決めに対して周知していなかった。
    • 担当がはっきりしておらず、責任の所在が明確でなかった。
    • 緊急手術時の対応も決めておく必要がある。
  • これらのことから日本ペーシング学会による「心臓ペースメーカー患者管理マニュアル」を参考にして「ペースメーカー植え込み患者に対する手術時の対応」の見直しを中央手術部運営委員会で検討し作成した。(新)ペースメーカー植え込み患者に対する手術時の対応参照)
  • 「ペースメーカー植え込み患者に対する手術時の対応」を中央手術部運営委員会で周知するとともに、医療安全マニュアルに掲載する。
ペースメーカー挿入患者に電気メスを使用する場合の知識・確認不足。
  1. 看護師は臨床工学技士による電気メスの勉強会を開催している。
    勉強会に参加していなかった場合の対策を検討する。
    勉強会資料を配布し、知識を深める。(看護師の問題)
    再度メーカーによる勉強会等を検討する。
  2. 中央手術部運営委員会でペースメーカー挿入患者が手術を受ける場合の対応について提示している。病棟担当医が循内医師に連絡し対応することになっているが、これも漏れてしまった。再度周知すること。(医師の問題)
  • 確認が不十分であった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
     
  • 連携
8 障害なし ダイナスコープ7000シリーズ DS7600システム フクダ電子 午前10時30分、モニター装着を要する患者Aが入院してきた。担当看護師は本来であれば、(1)詰め所でモニター本体のチャンネル番号を確認し、(2)ディスプレイ上で正しいチャンネル画面を開き患者名を入力、(3)ベッドサイドに行き患者にモニターを装着したうえで、(4)詰め所に戻り波形がディスプレイに正しく表示されたかどうかを確認しなくてはならないが、慌てていたため、(1)は行ったが(cH6048)、(2)をせずに(3)を先に行った。その後看護師は詰め所に戻り、(2)を行おうとcH 6048画面を選択し、入退床の操作画面を開いた(この時誤って別患者BのcH 6079を選択した状態で入退床画面を開いてしまったと思われる)。入退床操作画面には患者Bの名前が入力されていたたが、看護師は一瞬疑問に思ったものの、Bの名前を削除し、Aの名前を上書きした。その結果、もともと空白だったcH6048欄には無名の状態でAの波形が表示され、cH 6079欄にはAとラベルされたBの波形が表示されることになり、スタッフは二時間にわたってBの波形をAのものと認識することとなった。午後1時30分、Bが検査に出棟したにも拘らず波形が表示され続けていることに気づき、誤りに気づいた。
 
  • 患者名の上書きする場合、モニター本体のチャンネルと、画面のチャンネル、表示された患者名を入念に確認しなくてはならないが十分でなかった
  • モニター装着時の手順不履行
  1. テレモニターの番号と入力画面のモニター番号が合っているか確認する
  2. スイッチを入れて波形が出るかの確認をする
  • 確認が不十分であった
     
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
9 障害なし テレメトリー式心電送信機 ZS-930P 日本光電工業 A病棟の心電図モニターの送信機が不足したため、B病棟から送信機を借用した。借用した送信機が故障したため業者に修理を依頼した。業者は同じID番号の貸し出し用の送信機をA病棟で故障品と交換した。患者はその送信機を使用していた。業者は修理を完了したが、ID番号がB病棟用の送信機だったためB病棟に返却した。
この時点で院内に重複したID(周波数)の送信機が存在することになった。その後A病棟では同じ患者が送信機を使用継続し、B病棟では修理から返却された送信機を患者に装着して使用を開始した。A病棟の患者の送信機をoffにした際に、B病棟の患者さんの波形がA病棟のモニターに送信されていることが判明した。
 
心電図モニターの送信機の電波は隣あるいは上下の病棟に受信される可能性がある。院内の送信機は重複するID番号はない体制になっている。それぞれの病棟に存在する送信機のID番号は把握されている。病棟間で送信機の貸し借りは頻繁に行われているが、故障した場合の対応にはルールが無かった。 モニター送信機の貸し借り、修理等はME部が一括して把握する体制にした。業者とも話し合いを持ち、修理した送信機と貸し出した送信機を必ず交換する事とした。
  • 確認が不十分であった
10 死亡 ZS-930p 日本光電工業 関節リウマチ、間質性肺炎で入院中の患者に対し、入眠剤(アモバン7.5ml 1錠)を投与した後に、死亡した事例
患者は、疾患により二酸化炭素が溜まりやすい状態であり、入眠剤の投与により、呼吸状態が抑制される可能性が高かった。受け持ち看護師はCO2ナルコーシスになるおそれがあることを注意し、呼吸状態の変化、酸素飽和度濃度について注意していた。
0時45分、患者が不眠を訴えたため、受け持ち看護師Aが当直医(主治医)指示にてアモバン1錠投与した。患者は、疾患により二酸化炭素が溜まりやすい状態であり、入眠剤の投与により、呼吸状態が抑制される可能性が高かった。受け持ち看護師はCO2ナルコーシスになるおそれがあることを注意し、呼吸状態の変化、酸素飽和度濃度について注意した。
休憩に入るため、引き継ぐリーダー看護師Bに睡眠剤内服後SPO2が94%~95%で経過していると申し送る。
2時15分、病棟ラウンド中に患者が寝息をたてて入眠しており、リーダー看護師BがベッドサイドのSPO2モニター送信機でSPO2:94パーセントを確認し、内服による呼吸状態、SPO2の変化はなく、休憩後の看護師Aに呼吸状態に変化がなかったことを伝えた。
3時05分、看護師Aは、セントラルモニターでSPO2:95%を確認後、ベッドサイドで患者の状態を観察し、呼吸を確認し、入眠剤の影響による呼吸抑制は少ないと判断した。但し、このときすでに送信機の電池がきれており、実際に確認した数値については他の患者のものであった。
3時50分看護師Aは、セントラルモニターで送信機からの電波キレの表示に気づく。訪室し患者が呼吸停止状態であることを発見、緊急コールを鳴らす。心電図モニター装着、心静止の状態であったため直に心臓マッサージ・バッグバルブマスク換気を開始した。
医師が0.1%アドレナリン静注2回投与 20分間心臓マッサージ・バッグバルブマスク換気を施行するも蘇生はできなかった。
セントラルモニターで確認したことを過信し、ベッドサイドで送信機の表示を確認していない。
また、セントラルモニターの数値を他の患者の数値と見間違えた。モニター上の患者名の確認ができていなかった。
セントラルモニター上の電池交換・電波切れの表示、アラーム音に気づいていない( アラーム音は1回/20秒「ポーン」と1秒程度の音が鳴るのみ。)
SPO2モニター送信機の電池の残量表示に気づかなかった。(電池の残量が減ったときは電池が切れる約15~30分前に表示され、アラームは鳴らない。)
モニターについてスタッフが異状に気が付きにくい傾向にある。下記について、改善した。
  1. 夜間休憩前、後の引継ぎは、セントラルモニターの前で患者氏名、表示の有無、数値、波形の確認を二人の眼で確認して行う。
  2. 夜間ラウンドの前後でセントラルモニターの患者氏名、表示、数値、波形を確認する。
  3. 夜間は送信機を確認しやすい場所に置き、訪室時に必ずSPO2値を確認する。
  4. 送信機を使用している場合は、必ず送信機の液晶画面のSPO2値と電池マークの表示を意識して確認するよう明文化し、周知する。
  5. セントラルモニターの確認は患者氏名、数値、波形、メッセージ表示を確認する。
  6. 夜間はセントラルモニターが見える位置で記録などをすることは 今後も継続し、意識的、定期的に30分に1回にモニターを確認する。

また、メーカーに送信機の電波切れやモニターの異状に気が付きやすいようにアラームの頻度やモニターの表示について改善を依頼した。
  1. 送信機の電池残量が表示される時間帯は電池切れ前の15分であり、この間送信機からアラーム音がならない。送信機の電圧が1.8V以下にならないと電池残量が表示されないため、常時表示できないか。
  2. 電波切れ時のアラーム音について20秒に1回「ポ~ン」という音がなるが、聞き逃しやすいため、警告アラームに変更できないか。
  3. セントラルモニターのディスプレイを改善して監視しやすくできないか。
  • 確認が不十分であった
     
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
11 障害残存の可能性なし 内視鏡洗浄消毒装置 OER-2

アセサイド6%消毒液
オリンパス メディカルシステムズ

サラヤ
看護師は2件の内視鏡洗浄後に、アセサイド交換の予定であったため、事前に「アセサイド交換」と検査台帳に書き、洗浄が終了するまでの間、他の業務を行った。他の業務が終了時、休憩時間になり休憩した。休憩時間終了後、予定会議に出席し、会議終了後は外来業務を行っていた。
退庁時間直前に、他のスタッフから「内視鏡洗浄装置から内視鏡があげられていない」との報告を受け、内視鏡はあげたが、「アセサイド交換」が未実施であることは思い出さなかった。それ以降も内視鏡洗浄を実施したが検査台帳に「アセサイド交換」と書かれていたため、他のスタッフは交換されたものと思っていた。翌月、定期点検に来ていた業者から「アセサイドの交換がされていない」との報告を受け、消毒液を交換せずに洗浄消毒装置を使用して内視鏡検査を実施していたことがわかった。
  1. 看護師は実施前に「アセサイド交換」と書いた。
  2. 看護師は洗浄消毒装置を使用毎に消毒液の効果をチェッカーで確認しなかった。
  3. マニュアルが不十分だった。
  4. 看護師の知識不足。
  1. マニュアルの見直しを行い、誰でも使用出来るような具体的なものとする。
  2. 消毒液の毎回チェックはWチェックでで行う。
  3. 事前記録の禁止と徹底。
  4. 学習会の実施
  • 確認が不十分であった
     
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
12 障害残存の可能性なし ヒーロン針及び2.5mlシリンジ 不明 【事象】眼科手術中に鈍針が外れ網膜を損傷 
【詳細】白内障の手術終盤に、眼内圧調整加圧のためオペガードを投与していたところ、ロック付き2.5mlシリンジから鈍針が外れ、一時的に眼内に迷入した。
その際、網膜周辺部裂孔をきたし、網膜前出血を発症した。バイアスピリン服用中ということもあり、出血量が多く自然回復が不十分であったので、後日硝子体手術を施行した。視機能に影響を与え得る網膜障害や再出血等は認めず、経過良好である。現在、外来にて定期通院、経過観察中である。
  • ロック付きシリンジへの針装着時の確認と、使用直前の確認が十分でなかった
手術器具準備段階でのシリンジと針の装着確認の徹底と、器具使用直前の装着再確認を確実に行う。
  • 確認が不十分であった
13 障害なし SS HIP System K-MAX 骨頭ボール 日本メディカルマテリアル 人工股関節再置換術を行った。
術中、先行して26mm径の股関節カップを装着し、次に股関節ヘッド(ボール)を装着する際、同じサイズである26mm径のヘッドを選択しなければならないところ、通常よく使う22mm径のヘッドを間違って選択し、そのまま気付かず装着してしまった。
(人工股関節置換術には、装着するカップとヘッドが一対であり、サイズが同一でなければならない。)
手術翌日にインプラントラベルの確認にて誤装着が判明。同日、本人および家人に対し、誤ってサイズの小さい骨頭を装着したことを説明した。
本人及び家人ともに再手術に了解され、再手術にて正しいサイズのヘッドに交換した。
  • 通常は22mm径の骨頭を使用し複数のサイズを手術室に搬入しないが、今回の事例では不確定な要素があり、複数のサイズの骨頭を手術室内に準備していた。
  • 執刀医は、この事例が当日3例目の手術であり、開始時間も大幅に遅れている状況であった。
  • 装着する人工関節のサイズは、医師と看護師でダブルチェックするマニュアルが存在するが、看護師は執刀中の医師に対し確認を強要できなかった。
  • 術前カンファレンスで手術室内に搬入する人工関節を一つのサイズを決め、複数のサイズを手術室内に持ち込まない。
  • タイムアウトの時間を利用して、装着予定の人工関節の型番及びサイズを確認する。
  • 装着する人工関節をダブルチェックする際は、必ず型番及びサイズをフルネームで読み上げ、包装パッケージの目視とともに医師と看護師が確認することを徹底する。
  • 確認が不十分であった
14 障害なし 髄内釘
髄内釘
スミスアンドネフュー

シンセス
手術決定した際、医師が器具を発注。手術当日、発注した器具では抜釘できず、器具があわないことが発覚。抜去可能なものだけ実施。全身麻酔下で行う歯科手術と一緒に抜釘。 器具発注の際、カルテを確認していなかった。
思い込みで発注した。
手術使用器具は必ず、患者とカルテを確認する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
15 障害残存の可能性なし ハーモニックスカルペルハンドピース ジョンソン・エンド・ジョンソン ハーモニックの先端部分のディスポと本体のハンドピースの接続部分の一部が滅菌保証されていない可能性がある。原因として先端を保護するためアダプターを使用してステラッド滅菌を行っていた。しかし接続部分が滅菌されていない可能性がある。 十年ほど前に導入された際の滅菌方法について業者の説明が不十分であった可能性がある アダプターは破棄しハンドピースとトルクレンチをセットし滅菌を行う。一部のアダプターは使用の可能性があるので個包装とする。SPD職員にも滅菌時の方法について周知した。また手術室看護師にも周知し、先端部分は愛護的に取り扱うよう徹底する。
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった

当該企業に確認したところ当該事例と考えられる事象は情報入手されていないが、ハンドピースにアダプタを取り付けた状態で滅菌を行ったために接続部分が滅菌不十分となった可能性があるとのこと。当該製品の取扱説明書には、洗浄前にハンドピースからアダプターやブレードを取り外すよう記載されており、また添付文書等には、当該製品はステラッド滅菌ではなく、高圧蒸気滅菌またはEOG滅菌を行うよう記載されている。
16 障害なし 麦粒鉗子 不明 看護師は手術器械テーブル展開に使用する鉗子を準備しパックを開封し鉗子をそのまま不潔の鉗子立てに入れ手術器械テーブルを展開する。
通常滅菌方法と異なったパック方法の鉗子を使用する際に不安に思い使用方法を看護師へ尋ねる。看護師はパックを開封しそのまま使用するように答える。10:25他の看護師がA室にあるガウン展開用鉗子立てを使用しようとした時に鉗子がパックから出された状態であり不潔な状態ではないかと思い鉗子を準備した看護師の器械展開されたテーブルも不潔ではないかと思い外回り看護師に報告。B室の鉗子立てを確認するとパックから出し不潔の鉗子立ててあり発覚する。看護師に確認するとパック開封後、不潔の鉗子立てに入れ不潔の鉗子使用を確した
  • 滅菌期限を6日間維持する為に年末年始用の鉗子の運用をスタッフへの周知、確認不足。
  • 清潔、不潔、滅菌物の取り扱い知識不足。
  • 鉗子立ての廃止
  • 鉗子の単包化
  • 確認が不十分であった
17 障害残存の可能性なし ラグスクリューレンチシャフト(519B-003) メイラ
  1. 上記骨折術後の抜釘手術中に、スクリューを抜去する機械の一部が破損し、そのまま骨頭内に埋没した。
  2. 破損した部分は直径3mm程度の金属片が2個で摘出は困難と考え、そのままとした。
  3. 以前の骨接合で使用した金属はすべて抜去した。
  1. 骨内異物除去術(抜釘)の際に、特に若年者では骨増殖が旺盛であり、無理に抜去しょうとするとプレートやスクリユー、または抜去機材の金属が破損を来すことがある。
  2. 抜釘時、ラグスクリュー抜去用レンチを使用するところ、患者の状態をみて、ラグスクリューレンチシャフト(挿入時に使用するレンチ)を使用したため。
  1. 手術時の手順(プレート周囲の骨切除等)を十分にふまえて、抜去機材を使用するよう注意が必要と思われた。
  • 判断に誤りがあった
18 障害なし インスピロンネブライザー 不明 床頭台に透析器の洗浄液の酢酸を置き忘れたことによるインスピロンへの誤入。
  • 空きの蒸留水ボトルに酢酸を入れ、表記がされていなかった。
  • 酢酸入りボトルを床頭台においてしまった。
  • 酢酸だけではなく、すべての空ボトルの再使用を禁止することを院内ルール化した。
    移し替えの際には、専用ボトルを購入する。
  • 装置洗浄用薬剤を補充したら速やかに薬剤保管場所へ戻す。
  • 確認が不十分であった
     
  • 心理的状況(慌てていた・思い込み等)
19 障害残存の可能性がある(低い) PCPS

PCPS回路
テルモ

テルモ
回路交換時、ポンプ側のクランプを解除したため、回路内に空気が混入した。遠心ポンプ停止、患者側回路をクランプ。回路内の空気を抜く際、補助循環が2分程度停止した状態となった。血圧が30台まで低下し、心臓マッサージと補液ポンピングを行った。補助循環再開後、血圧の回復を確認し、心臓マッサージを終了した。 カニューレと回路の接続後、脱血側の三方活栓が閉じていることを確認せずに補助循環を再開した。医師、ME間の声掛け、連携が不足していた。 PCPS開始時、回路内の空気、三方活栓の向きを確認する。交換手順と手技の統一を徹底する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
  • 連携
20 障害残存の可能性なし 不明 不明 今年度に入り、膀胱鏡の光学視管は破損防止用の専用カバーをとりつけて洗浄・滅菌依頼をしていた。院内で器具をカバーの上から洗浄していた報告があったため、洗浄時にカバーを外して洗浄しているかを確認した。カバーを使用する以前から、もともと光学視管は洗浄していないことがわかった。膀胱鏡をおこなった患者で不自然な感染症のあった患者はいなかった。 光学視管は中に鏡が入っており、洗浄器にかけると破損してしまうためアルコール拭きしかしていなかった。メーカーへ確認するが、洗浄器にはかけられないが使用毎に中性洗剤とスポンジで手洗いをしてタンパク質や消毒液はすべて洗い落としてほしいと説明をうけた。SPDには光学視管に関する取り扱い説明書はなかった。 不明
  • 判断に誤りがあった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
21 障害残存の可能性がある(低い) 穿刺アタッチメント 日立メディコ RVSシステム併用肝臓局所療法の際に使用するアタッチメントを、治療終了後に、一次洗浄せず、高圧蒸気滅菌されていたことが発覚した。滅菌不十分な穿刺アタッチメントを使用して治療を行った患者は4名であった。 滅菌パックに使用済みの穿刺アタッチメントを入れて、材料部へ提出していた。
  • 医師、看護師間の連携不足(新しい治療法、医療材料について情報共有が無かった)
  • 材料部と病棟との認識のずれがあった。
  • 医師、看護師間の連携強化:新しい治療導入時には、方法、医療材料について情報を共有する(説明、周知会を開催)
  • 他部門との業務調整時には、書面で手順書を作成して互いに共通認識する。
  • 全病棟、外来部門の滅菌パックは回収し、滅菌出しは、コンテナ、ビニール袋(指定の)を使用する。(文書で各部署に配付した)
  • 判断に誤りがあった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
     
  • 連携
22 障害残存の可能性がある(高い) プロフィルシフトシールカフ付気管チューブ 7.5F スミスメディカル・ジャパン カフ圧チューブがきれ、再挿管し、問題なく経過されていた。翌日、15時から15時20分、口腔ケアを看護師二人で実施、気管チューブ・カフ圧チューブ・バイドブロックをテープ固定する。抜管予定をしていたため、16時、ドルミカムを2ml/hを1ml/hに主治医の指示で変更した。18時以降患者は四肢の活発な運動あり、意識レベルもJCS2-10、バイドブロックを舌で押し出す動作頻回みられドルミカム1mlフラッシュしていた。2時の巡視時はカフ圧24cm確認している。2時55分、レスピレーターアラームなり「回路」と表示される。直ちにレスピレーター設定状況、回路確認問題なし。気管チューブのカフが膨らんでいないことを確認。カフ圧計で空気入れるが入らず。注射器で空気入れるが入らず。口腔内観察すると、カフ圧チューブが、気管チューブとの接続部から約6cmのところで切断されているのを発見する。直ちに主治医、当直医・当直師長報告。離脱予定であり、患者の呼吸状態悪化なく、酸素5L投与で経過観察する。 カフ圧チューブがきれ、再挿管し、問題なく経過されていた。翌日、15時から15時20分、口腔ケアを看護師二人で実施、気管チューブ・カフ圧チューブ・バイドブロックをテープ固定する。このときカフ圧チューブを気管チューブとバイドブロックの間に固定することは意識していないし、されていなかった。抜管予定をしていたため、セデーションがほとんど効果がない状況下にあったと考えられる。そのため18時以降患者は四肢の活発な運動あり、意識レベルもJCS2-10、バイドブロックを舌で押し出す動作頻回みられドルミカム1mlフラッシュしていた。2時の巡視時はカフ圧24cm確認している。2時55分、レスピレーターアラームには直ち対応している。
レスピレーター設定状況、回路確認問題なし。気管チューブのカフが膨らんでいないことを確認。口腔内観察すると、カフ圧チューブが、気管チューブとの接続部から約6cmのところで切断されているのを発見する。セデーション効果も無く患者の行動からチューブを噛んでいたのではないかと考えられる。今回も気管チューブは抜けていないため、主治医到着までレスピレーターは稼働、患者の呼吸状態悪化なく、酸素5L投与で経過観察する。
  1. 気管チューブ固定を看護手順に沿って、当該病棟スタッフに安全係長、教育担当者がレクチャーする。
  2. 各病棟の医療安全担当者にレクチャーし、スタッフへの伝達講習を指導する。
  3. 挿管時の介助、テープ固定など看護手順を活用することを指導する。
  4. レスピレーター離脱に向けセデーションを半減している時期の管理を主治医と検討する。
  5. 患者の歯の有無、歯列をアセスメントしチューブ固定を工夫する。
  6. 当院で採用している気管チューブのメーカーが1社なので、他のメーカーのものも採用を検討する。
  • 観察が不十分であった
23 障害残存の可能性がある(高い) プロフィルシフトシールカフ付気管チューブ 7F スミスメディカル・ジャパン 人工呼吸器装着。16時から16時20分、看護師2人で口腔ケア実施、その後気管チューブ、バイドブロックをテープ固定する。固定後、吸引し、カフ圧24cm確認。セデーションは、ドルミカム1ml/h、意識レベルJCS2-20、SPO2:98%であった。16時45分から17時まで準夜勤看護師とウォーキングカンファレンス実施。レスピレーター設定・輸液・シリンジポンプ薬液・カフ圧確認。17時過ぎから低換気アラームがなり、レスピレーター設定・回路確認問題なし。患者の首元をみるとカフ圧チューブが首元に落ちているのを発見する。カフ圧チューブは、気管チューブ接続部から5cmのところで切断されていた。直ちに主治医、当直医・当直師長報告。主治医・当直医再挿管する。 当院の看護手順では、気管チューブの固定方法の欄には患者がチューブをかむことがあるのでカフ圧チューブを気管チューブとバイドブロックの間に入れて固定することと記載されている。この方法を知らなかったため、口腔ケア後、カフ圧チューブを気管チューブとバイドブロックの間に入れて固定しなかった。患者は前歯の上がないためく、バイドブロック固定は外れないように工夫していた。レスピレーター離脱へ向けての方針ねて、セデーションも半減され、半覚醒状況であり、自分でバイドブロックを押し出す動作が頻回に見られていた。アラーム時すぐに対応し、カフ圧チューブが切れていることを発見、気管チューブは抜けていないことを確認し、主治医到着までレスピレーター稼働続けたため、呼吸状態・SPO2・意識レベル悪化することはなかった。
  1. レスピレーター装着患者の口腔ケア・気管チューブ固定は二人で実施する。
  2. 気管チューブ固定は看護手順マニュアルに沿って実施する。
  3. レスピレーター装着患者はセデーションの効果を観察し、効果が半減されて場合は主治医とセデーション・レスピレーター離脱に向けての治療方針を検討する。
  4. レスピレーター装着患者はウォーキングカンファレンス実施。レスピレーター設定・アラーム設定・輸液・シリンジポンプ薬液・カフ圧を指さし呼称確認をする。
  5. 気管チューブ固定時は患者の歯の有無、歯列を確認し、チューブをかむことを避けられるような位置に固定する。
  6. 不具合の生じた医療器具は必ず保管する。
  7. 不具合の生じた医療器具はメーカーに事例報告し、他に似たような事例報告がないか情報交換し、詳細を調べてもらう。
  • 観察が不十分であった
24 障害残存の可能性がある(低い) UV7001K ヤヨイ Narrow Band UVB 0.3J照射の指示であったが、UVB照射用装置にて、0.3J設定し照射した(2分28秒)。患者は帰宅後皮膚のヒリヒリ感、発赤があることに気づいた。外来受診し、照射部位に一致して胸部以下に熱感を伴う紅班を認め、経度の疼痛を伴っていた。水泡形成はなく、全身状態は良好であった。紫外線の過量照射による皮膚炎であると診断。副腎皮質ホルモンの内服、外用治療開始。 光線療法の2つの装置に違いがあることを知らなかった。今回、照射時間が以前より長いと認識したが、疑問に思わなかった。
指導者はローテーション時に頻用する医療機器についてオリエンテーションしている、当事者も初回使用ではなかったと言っている。
治療を行う意味、医療器機の動作手順を理解し、実践する。わからないことや疑問に思ったことは、上級医に確認する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
25 障害なし フローズバック ニプロ 末梢血幹細胞採取の依頼があったので、採取に伴う医療材料の物品確認をしたところ、凍結保存用バッグの使用期限が切れている(1年前)ことに気づいた。
これまでの使用状況を確認したところ、9ヶ月の間に採取した5名の患者に期限切れバックを使用していたことが判明した。5名の内2名は、移植前で使用前であった。1名はすでに亡くなられており、残り2名はすでに移植が行なわれていたが、期限切れバックの影響はなかった。
部署での凍結保存用バックの使用期限に関する管理意識が希薄で、使用時に「使用期限日」を確認しなかった。物品の管理・チェック体制が確立していなかった。3年前に発注ミスで30枚入り5箱が納入され、返品出来なかったため、在庫で今回まで使用していた。
  1. 医療材料の注文管理物品の管理、チェック表を作成する。
  2. PBSC手順書の改訂 :マニュアルに使用期限の確認を追加する。
  • 確認が不十分であった
26 障害なし 不明 不明 左鼠頚部のCVが抜けていた。 手が届かないように抑制していたが、体動激しく、手が届いてしまった。 適切な抑制を行う。
  • 判断に誤りがあった
27 障害なし 不明 不明 抑制をすりぬけ、グリッパーニドルを自己抜去した。 抑制が不十分だった。 十分にアセスメントを行い、より的確な抑制を行う。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った

 
28 障害残存の可能性なし メディカットカテーテル 日本コヴィディエン 中心静脈路確保後より SpO2の低下(90%)、右呼吸音の減弱、打診にて右胸部に打診にて鼓音を呈していた。 他バイタルサインは安定していた。気胸を疑い胸腔ドレーンの準備をおこないつつ同時に胸部X線検査を施行。胸部X線検査にて右側の肺の虚脱所見あり右気胸と診断、ICU医師へ報告し、2名医師施行のもと胸腔ドレナージチューブを留置。胸腔ドレーン挿入後の胸部X線にて右肺の虚脱は改善、またSpO2は上昇し呼吸状態は改善をみた。 穿刺の際、深く穿刺をしすぎたことが原因と考えられる。また、やや体動があり施行医以外に介助者一人と穿刺の際の介助スタッフが少なかったこと。更に中心静脈穿刺時の人工呼吸器の呼吸条件としてPEEPが10cmH2Oと肺が過膨張であったことも気胸を起こした原因のひとつと考えた。 穿刺の際はエコーガイド下での静脈路確保を行なう。中心静脈確保時における補助スタッフを十分確保する。挿管管理下で鼠径部からの挿入が問題がなければ鼠径部からの挿入を試みる。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 勤務状況
29 障害残存の可能性がある(低い) アーガイルマイクロニードルセルシンガ― 12G20cm 日本コヴィディエン CVを抜去する方針の下、看護師がCVカテーテルに接続されたラインを外し、末梢に繋ぎ換えた。この際、三方活栓をロックして申し送りのために部屋を出たつもりであったが、5分後にSpO2低下発症した。アラームに気づきベッドサイドに向かった医師により、三方活栓が開放となっているのを発見された。SpO2は一時65%(PaO2 58.1 torr)まで低下したが、マスクにて酸素8l/分投与したところ、徐々に改善した。確定診断は得られていないが、空気塞栓が発症した可能性が高いと考えられた。
  • 医師よりCV抜去の説明があり、すぐに抜去すると看護師が思い急いで処置をした。
  • 集中治療室から病棟へ帰室後、三方活栓を装着したままであったが、各時間帯勤務者が三方活栓の確認をしていなかった。
  • 日勤看護師が十分な確認、観察を怠った。
  • 日勤看護師は、処置後にすぐに部屋を出て行ってしまった。(処置途中にて)
  • 病棟ではCVに三方活栓を使用しないというルールを、複数の看護師が見落としていた。
  • CVには可能な限りシュアプラグを用い、不必要な三活は装着しない。
  • 処置前後の十分な観察と確認を徹底する。
  • 手術室、集中治療室から病棟へ帰室する際は、不必要なルートは整理すること及び三方活栓の着脱に関するルールを設ける。
  • CVルートからエアが入った場合のリスクを、スタッフ間で共有する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 観察が不十分であった
30 障害残存の可能性なし 不明 不明 誤挿入により気胸が発生した 病棟が落ち着かない夕方に行った。他の医師は会議室に集まり講義を聞いていてひとりで行った。6人部屋で処置をするには狭かった。 回りの協力が得られる、時間帯を選ぶ。落ち着いて慎重に処置をする。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
     
  • 勤務状況
31 障害なし 不明 不明 右内頚CVライン自己抜去。
CVライン差入部を掻いたら、テープが手に張り付き抜去してしまった。
状態把握不十分。 適切な処置・観察を行い患者をケアしていく。
  • 観察が不十分であった
32 障害残存の可能性なし クイントン欠陥留置用カテーテル 日本コヴィディエン 多発性脳梗塞にて入院後、救命のため外減圧術施行した。術後、敗血症をきたし多臓器障害となった。
急性腎不全に対して血液透析が必要であったため、左大腿静脈より中心静脈を確保した。その際、当事者は気付かなかったが中心静脈カテーテルが、大腿動脈を貫通した状態で大腿静脈に留置された。カテーテルが留置された状態では、大腿動静脈婁の存在ははっきりしなかったが、急性腎不全が改善し、カテーテルを抜去した時に動脈と静脈の間に短絡ができ、かつ大腿部に仮性動脈瘤を形成した。外観からは拍動性の腫瘤として観察でき、同部位の超音波検査で大腿動静脈婁の診断に至った。
不明 不明
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
33 障害残存の可能性なし 不明 不明 右内頚静脈にダブルルーメンカテーテルを挿入したと思っていたが、実際は動脈にカテーテル挿入してしまった。 右内頚静脈をエコーで確認後、エコーガイド下で右内頚静脈を穿刺した。ガイドワイヤー挿入後、外套をカニュレーションをし、再度逆流を確認した(圧に依存して逆流があるという印象ではなかった。酸素濃度は100%で逆血は赤い印象だった。)。
その後ダブルルーメンカテーテル挿入。逆流あり。レントゲンで、カテ先が左に偏位していたので、圧確認したところAラインと判明。再度左内頚静脈にエコーガイド下でカテーテル挿入。レントゲンで位置確認し特に問題なし。圧もCVPであることを確認。
エコーガイド下に行う。カニュレーション後に逆流を確認する。レントゲンで位置確認する。
今回は上記すべて行っている。今後はカテーテル挿入する際は酸素濃度を40%等にすることを検討。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
34 障害なし 不明 不明 シャワー浴後、中心静脈が刺入部から抜けかけているのを発見した。 固定が不十分であった。 挿入部の観察ができるように固定を行う。医師と相談しナートを固定する。
  • 観察が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
35 障害なし 不明 不明 患者がCVルートを引き抜いた。 日中、体動が少なかったため、グリップ型抑制のみ使用していた。指先で引っ張ることを予測していなかった。 予測をつけて抑制方法を考える。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
36 障害なし 不明 不明 CV消毒の時にトリプルルーメンをはさみで切断した。 CV挿入部の消毒をする時にルートにエラストポアが巻き付き取れなかったため、1本ずつ手で探りエラストポアをはさみで切ろうとした時に誤ってルートを一緒に切ってしまった。 CVの消毒をする時には慎重に1本ずつルートを手で手繰り確認して、はさみを使用する際には十分に気を付ける。
  • 確認が不十分であった
37 障害残存の可能性なし トップエックステンションチューブ トップ CVカテーテル側管注後、接続部の外し間違いによる延長チューブからの脱血。22時に他の看護師BがCVカテのメインルートに接続されたTPNルートの側管から、抗生剤のルートを接続し投与を開始した(抗生剤のルートは当事者が用意したものであり、輸液セットにエクステンションチューブ50cmを2本接続させたものだった)。 23時、抗生剤終了時に患者の病室へ訪室した際、患者は睡眠中であった。ライトを当ててルートを外したが、接続部の観察、確認が不十分であった。23時10分頃定時の巡回のため看護師Cが訪室、患者が睡眠していることを確認した。TPNのみ点滴台に下がっておりゾシンは終了したと思い、TPNルートは患者側挿入部までなぞって確認せず、滴下を合わせた後に退室した。
床に血液などはなかった。0時15分、患者本人のナースコールにて看護師Cが訪室すると、TPNの側管につながったエクステンションチューブが床に垂れ下がり、チューブから血液とTPNが逆流し、床面に広がっていた。患者本人より「トイレに行こうとして起きたら逆血していた。気分が悪い。」との訴えがあった。問いかけに対して正確な回答はできる状態だったが、血圧測定するも測れず、橈骨動脈触知も出来ない状態であった。エクステンションチューブからの出血は813gであり、出血性ショックによる生命の危機状態と判断し、すぐに当直医に報告するとともに、患者を個室へ収容、モニター装着し、ショック時の体位調整を行った。0時30分、BP:84/52mmHg、SpO2:98%、BS:186mg/dl。0時35分、当直医診察し、指示にて生食500ml2Pを全開で投与。酸素2L開始する。0時50分、当直医指示にてRCC400由来1P目を投与開始し、計2P投与した。
  • 抗生剤のルートを外す際、通常は閉鎖式輸液セットの逆流防止弁付きのコネクター部より外すが、今回は抗生剤につけた輸液セットとエクステンションチューブの接続部をはずしていた(外した点滴ルートの接続部の確認が不十分だった)
  • 患者の抗生剤のルートを準備した際、無意識に輸液セットに不要なエックステンションチューブ50cm2本を接続した(CVカテーテルメインルートの側管から接続する抗生剤)
  • 他の患者が急変しMRI検査だしや救命センターへの転棟などと処置やケアが多く多忙だった
  • 点滴ルートを外す際はカテーテルの接続部と外した点滴ルートの接続部を両方、確認することを徹底する。
  • TPNの側管から点滴を投与する場合はエクステンションチューブを使用しない。
  • カテーテルの取り扱いについて再度学習し、リスクを認識し取り扱いに注意を払う。
  • 消灯後の点滴は可能な限り消灯前に終了できるよう医師と相談し、時間調整を行った。
  • 消灯時間帯の時間指定の点滴を抜去する場合はスタッフ同士の連携をとり、ダブルチェックで行う。
  • 確認が不十分であった
     
  • 勤務状況
38 障害なし 不明 不明 PICCより持続点滴中の患者。フィルター接続部がゆるみ逆血して凝固してしまった。 確認不足 手で手繰って確認していくことを徹底する。
  • 確認が不十分であった
39 障害なし 不明 不明 アクセスポートCVルートのフィルターとAカニューレの接続部から点滴が漏れた。 観察不足。 外れないような固定を行う。
  • 観察が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
40 障害なし 不明 不明 CVの自己抜去 状態把握不十分 適切な抑制を行う。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
41 障害残存の可能性なし 不明 不明 中心静脈カテーテル(CVカテ)を穿刺法で挿入した。CVカテ留置後、カテーテルからの血液の逆流がスムーズにみられることを確認し、レントゲン検査によってカテーテル先端の位置異常がないことを確認した後より中心静脈栄養を開始した.
開始後12時間以上経過時より、患者の酸素飽和度の低下がみられた。胸部レントゲンならびに胸部CT検査により、右胸郭に胸水貯留が認められ、カテーテルの位置異常が認められた。そのため、中心静脈栄養の内容液が胸郭内へ漏出したことによる胸水貯留であると診断した。
CVカテ挿入の際、血管に当たるまで数回、穿刺を繰り返しており、血管周囲組織の挫滅があった可能性が考えられる。これによって輸液内容が血管外に漏出し間質の浮腫によって血管の変位が起き、CVカテの逸脱が発生した可能性が原因として考えられる。 輸液開始後のモニタリングと慎重な身体所見の観察を行うことで異常な身体所見の早期発見に努める。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
42 障害なし 不明 不明 末梢の点滴ルートを途中から引きちぎり、出血した。 観察不足。 十分なコミュニケーションをとり、観察していく。
  • 観察が不十分であった
43 障害なし 不明 不明 点滴ルートを自己抜去した。 判断ミス 患者の心理状態もふまえてアセスメントし、抑制する判断を見極める。
  • 判断に誤りがあった
44 障害なし 不明 不明 膀胱留置カテーテルと静脈ラインを自己抜去した。 判断ミス。 抑制を解除する判断を適切にする。
  • 判断に誤りがあった
45 障害なし 不明 不明 TVのボタンを操作しようとして手を伸ばしたところ、ルートがベッド柵にひっかかり抜けてしまった。 患者の状態把握不十分。 理解の乏しい患者は、抑制を行い、必要時はステーション内で管理する。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
46 障害なし 不明 不明 トイレに行こうとし、体幹抑制と点滴ルートを引きちぎった。 抑制をしていたが不十分だった。判断ミス。 危険行動を予測し、その患者に合った抑制を行う。
  • 判断に誤りがあった
47 障害なし 不明 不明 患者が不穏で暴力的になり、その動作で静脈ライン、バルーンカテーテルが引っ張られて抜けた。 判断ミス 早期のルート抜去、ADLの拡大をし、再発予防に努める。
  • 判断に誤りがあった
48 障害なし 不明 不明 静脈ラインの自己抜去。 グリップ抑制を行っていたが、考えている以上の力で行動することを予測できなかった。 適切な抑制を行う。
  • 判断に誤りがあった
49 障害なし 不明 不明 点滴ライン、膀胱留置カテーテル自己抜去。 患者の状態把握不十分。 患者の状態を把握し、抑制方法を検討する。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
50 障害なし 不明 不明 末梢Vラインの自己抜去(ソリューゲンF100ml/H投与中)。
出血なし。
患者がトイレに行こうとした時、ルートが前腕に絡まっており、ほどこうとして間違って抜去してしまった。
ラウンドでは刺入部位は確認したが、固定状況は確認していなかった。
 
レベルクリアは患者においてラウンドごとにルートの位置確認を行う。
  • 確認が不十分であった
51 障害なし 不明 不明 啼泣、体動時、静脈点滴ラインが引っ掛かって抜けた。 観察不足 体動で動いても引っ掛かるようなところにルートを置かない。
  • 観察が不十分であった
52 障害なし 不明 不明 不穏、認知症患者のルート(DIV)自己抜去。 観察不足 頻回にラウンドを行い、状態に合わせたアセスメントをし、事故の予測を立て、予防していく。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
53 障害なし 不明 不明 左手背の点滴を予定外抜去。 判断ミス。
前日から予兆があったため、頻回ラウンドし、抑制の追加の必要があった。
効果的な抑制が行えるようにする。
  • 判断に誤りがあった
54 障害なし 不明 不明 末梢静脈ライン抜去。 再度、失見当識となった患者だが、危険行動を起こすことが予測できておらず、十分な監視ができていなかった。 失見当識がある際には、覚醒時にも同様の症状があることが予測されるため、対策をきちんと考えておく。
  • 観察が不十分であった
55 障害なし 不明 不明 Piccカテーテルの予定外抜去。 判断ミス 不穏状態の患者には、必要に応じて抑制を行っていく。
  • 判断に誤りがあった

 
56 障害なし 不明 不明 抑制帯をしていたが、右手抑制を外し、動脈ラインを抜いた。 抑制が不十分であった。 効果的な抑制を行う。
  • 判断に誤りがあった
57 障害なし 不明 不明 筆談をしようと腕を動かした際にAラインがベッド柵に引っ掛かり3分の2ほど抜けた。 挿管の状態にあるため、以前から筆談でコミュニケーションをとっていた。利き手である右手にAラインが挿入されており、手を持ち上げた時に引っ掛かってしまった。また、抜けやすくなっていた。
 
固定の確認をし、本人や家族にカテーテル類の注意や説明を行う。
  • 確認が不十分であった
     
  • 患者・家族への説明
58 障害残存の可能性なし 気管内チューブ コヴィディエン ジャパン 抑制していたが、患者の体動激しかった。抑制帯がゆるんで自己抜去した。 体動激しかった患者の抑制帯ゆるみ。 落ち着かないときは薬剤 セルシン等医師に上申する。体動はげしいときは抑制帯のゆるみに注意、確認する。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
59 障害なし 不明 不明 挿管チューブが抜けていた。 判断ミス。 効果的なポジショニング、抑制を行いチューブトラブルを防ぐ。
  • 判断に誤りがあった
60 障害残存の可能性がある(低い) 不明 不明 1:30準夜看護師とレスピレーターのダブルチェックを行い、人工呼吸器チェックリストにそって気管チューブの固定位置が21cmであること、カフ圧26cmH20であること、呼吸状態の確認を行った。
準夜看護師より、口の動きやバッキング、吸引時に嘔気様の反射があると申し送られていた。流涎が多く深夜は1時間毎に吸引を行っていた。吸引時のバッキングはあったが嘔気反射はなく、呼吸回数増加のアラームが鳴っていた。その都度、気管チューブの位置や固定状態を観察していた。
5:00の巡回時も吸引を行い、同様の観察を行った。チューブの位置や固定状態に異常は認めなかった。また、呼吸回数増のアラームは鳴っていたがその他のアラームはなかった。5:48 モーニングケアで訪室すると、欠伸とバッキングがあり、さらに流涎が著明で気管チューブの固定が濡れて剥がれかかっていた。気管チューブの深さが20cmと浅くなっており、エア漏れの音がしてカフ圧が10cmH20以下になっていた。これ以上気管チューブが抜けると危険と判断し、またエア漏れの音はカフ圧減少によるものと考えた。看護師を1人呼び、そのまま1cm挿入し、21cmを維持し、看護師二人で再固定した。テープ再固定後カフ圧を26cmH20に調節した。5:50 SP02:84%に低下、呼吸数37回/分に増加していた(リコールでの事後確認)。
5:55 吸気1回換気量と呼気1回換気量の低下があり、分時換気量低下のアラームが表示されていた。蛇管の接続外れや漏れを確認するが異常はなかった。6:00 胸郭の動きに左右差は認めなかったが右呼吸音が弱く、肺ラ音が著明にあった。しかし、口腔内の唾液は多量に吸引されたが気管内は吸引されなかった。四肢冷感を認めたが足背動脈は触知できた。SP02:95%に低下し、呼吸数32回/分に増加していたことを実際に確認した。6:14 当直医へ報告する。少し前から人工呼吸器の分時換気量アラームがなっていること、唾液で気管チューブのテープが濡れていたので固定を21cmにしなおしたこと、Fi02:30%でSP02:95%に下がり、右呼吸音が弱く、肺ラ音はあるが吸引しても痰がひけないことを報告する。
6:16 当直医が到着し、診察する。診察時、末梢が冷たくSP02測定不能(約3分間)、右呼吸音の減弱があった。左呼吸音は問題がなく、アンビューバックに接続し純酸素10リットルで補助換気を開始する。エア入りは不良であった。アンビューバックでのアシスト後SP02:88%から93%に上昇する。レスピレーターにテストラングを接続すると分時換気量低下のアラームは消失した。
6:30頃 胸部レントゲンオーダー。
6:40 胸部レントゲンで食道挿管の所見であると思われたため、さらに喉頭ファイバーを行い、食道挿管の可能性を確認した。
7:00 ICUに挿管処置の補助を依頼する。折り返しの電話でエスラックス50mgを準備しておくように指示があった。また、巡回にきた日当直看護師長に口頭で状況を報告する。
7:11 ABP137/58mmHg、BP(実側)122/58mmHg、脈拍87、SP02:89~93%自発呼吸があり、ECGは心房粗動波形で、腹部膨満が認められた。7:20 アンビューバックをはずし、ルームエアとしたところSP02が93%になった。気管チューブを抜かずにマスクで覆うように口もとに当てるとSP02が93から100%になった。
7:32 ICUのA医師が到着。喉頭鏡で食道挿管を確認する。
7:35 エスラックス50mgを静注後、気管チューブ8.0mmを再挿管し23cmで固定する。SP02:100%となりレスピレーターに接続する。その後も鎮静下に人工呼吸管理を継続し、閉腹術を施行した。
術後はICUへ入室し、全身状態安定のため抜管を行った。覚醒は良好であり、明らかな麻痺も認められてない。
挿管が長時間になったために食道挿管という合併症が起きてしまった。
  • 気管チューブの固定の手技や再固定後の観察事項を再学習する。特に気管挿管が長期間になっている場合は、気管チューブが適切な位置を保っているか胸部レントゲンで医師とともに確認を行う。
  • 気管チューブの位置異常が疑われた場合には医師に報告し対応してもらう。
  • 事故後の対応を振り返り、適切に行えるように今後に活かす。
  • 重症患者の管理を病棟で行うことはリスクが高いため、出来るだけ安定した状態で病棟に転棟できるような環境をつくる。

 
  • 判断に誤りがあった
61 障害なし 不明 不明 スピーチカニューレの予定外抜去 痰の量が多く、咳嗽の激しい患者であったため、カニューレバンドがゆるみ、カニューレが抜けやすい状態であったが、確認不足のためその状況に気付けなかった。
 
スピーチカニューレの弁をつけている時は、カニューレに圧がかかるためバンド、ひも等での固定状況を十分確認する。
  • 確認が不十分であった
62 障害なし 不明 不明 22:00 NGチューブからミルク40ml注入。
22:52 人工呼吸器のアラームが鳴り、ベットサイドに近づくと、気管チューブが引っ張られ、2cm引き抜かれている状態であった。HR131、SP02 83、気管チューブのリーク音が聞かれていた。医師に報告、顔を正面に向けアシストを行ったが、胸郭の動き不良で胃部膨満を認めた。
22:54 HR94、SP02 50迄下降。気管内にチューブが入っていないと判断し抜去する。抜去と同時に胃内容物を多量に嘔吐、顔を横に向け口腔内吸引する。引き続きアンダーマスクでアシスト開始
22:55 HR128、SP02 85まで回復。
23:00 医師到着し状態安定するまでアシスト続行。
23:10 気管挿管施行。にX-Pで右肺に陰影認めた。
体動が激しく気管チューブが抜け、同時にミルクを嘔吐し吐物が肺に流れ肺炎を合併した。
  • 処置、ケアの前後は呼吸音を聴衆し確認するとともに観察を十分行う。
  • 頭、肩、頚部の固定を適正に行う。必要があれば四肢の抑制をする。
  • GCUスタッフの協力を得る。
  • 部署スタッフの新生児蘇生の教育訓練を行う。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
63 障害なし 不明 不明 気管切開チューブ予定外抜去。 抑制が不十分であった。 体動が激しいときは、状況を判断し、効果的に抑制を実施する。
  • 判断に誤りがあった
64 障害なし 気管チューブ カフなし アイボリーPVC 3Fr スミスメディカル・ジャパン
  1. 体位ドレナージ目的にて2時間毎に両側臥位と腹臥位へ体位変換施行している挿管中の患児。
  2. 挿管チューブ固定の長さは人工呼吸器のチェックリストにて各勤務3回確認を行っている。
  3. 19:30気管内・口腔内吸引後、呼吸器と挿管チューブの接続を一旦外し左側臥位から腹臥位へと体位変換実施し呼吸器再装着。バー固定のテープ外れなし、挿管チューブの固定位置変化ないこと確認。
  4. 体位変換後、再度気管内吸引施行中よりSPO2徐々に50%台へ低下。訪室していたDrを呼び、酸素放流しながらバギング施行するもSPO2上昇せずさらにSPO2:7%まで低下。チアノーゼ見られ胸郭上がり悪く聴診にてもair入り確認できず。
  5. 計画外抜管にて19:57Drより再挿管施行。
  6. 挿管チューブを前回と同じく口元8cmで固定行われ、レントゲンにて確認すると挿管チュ一ブ浅く、再度口元9.5cmまで挿入され再固定行われる。
  7. 再挿管後よりSPO2:100%まで上昇し、酸素濃度徐々にFiO2:0.21まで減量するもバイタルサイン安定。その後は分泌物貯留にてSPO2低下認めるも吸引施行にて回復良好。上記当直師長(病棟師長)へ報告。
  1. もともと挿管チューブが浅めに入っており、体位変換時の衝撃により挿管チューブの位置がずれて計画外抜管となった可能性が高い。
  2. 通常は人工呼吸器患者で挿管中患者の体位交換時は人工呼吸器から挿管チューブを一旦外して実施して、再装着するが、この患者の場合は外すとSPO2 が急激に低下するので、看護師2名でチューブを外さずに固定して実施していた。そのことも要因になった一因と考える。
  1. 普段からレントゲン等でチューブ位置を確認し、入りが浅い場合は医師と相談し早めに深さの調整を行っておく。
  2. 気管内挿管中は、チェックリストを用いたチューブ固定位置の定期的な確認とともに、処置中も観察を行い、体位変換や処置後にも必ず固定位置(チューブの長さ、固定糸、テープ)と肺音の確認を行いバイタルサインの変動に注意する。
  3. 異常発見時は速やかにDr報告し、再挿管などの適切な処置を実施しその後の密な経過観察を行う。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
65 障害残存の可能性なし 不明 不明 抜管に向けて鎮静剤が中止になった。挿管チューブを触る行為があったため不穏時指示の点滴を行い鎮静に努めていた。17:50訪室すると、妻の面会中で患者の右手の抑制帯は解除されていた。19時前に妻より「帰る」と言われ受持ちではない看護師が抑制実施。受持ち看護師には伝えていなかった。受持ち看護師は19:00過ぎても妻から「帰る」という声がかからないため訪室すると呼吸器アラームが作動した。患者を確認すると、呼吸器の蛇腹は接続されたままで胸の上に気管チューブが置いてあり、自己抜管に気づいた。蛇管は患者の左肩付近にあり、体はベッド右下にずれていた。「抜いちゃった」と患者より。酸素飽和度89% 直ちに10Lリザーバマスクに変更し当直医、当直師長に報告した。 挿管チューブに上肢が届く位置まで身体がずり下がり、自己抜管に至ったと思われる。上肢抑制で上肢の屈曲が可能な抑制の状態は不適切であった。挿管チューブの固定テープを触ろうとした行動がみられたときに、呼吸器の蛇管を頭側からだすことも検討しているが、体がずれることにより蛇管が引っ張られるリスクを優先してしまった。抑制帯実施中の患者に覚醒状態で患者の協力を得ることは困難。また、日中の胸部レントゲンの結果は悪化もあり、患者に苦痛を感じさせないようにするなど、医師との相談調整をするべきであった。 ウィニングに向けて患者の協力を得ることが困難な場合は、日中のみの覚醒とし、夕方日勤終了時には積極的に鎮静を図り、患者が苦痛を感じさせないようにする。上肢抑制は屈曲できないよう固定する。呼吸器の蛇管の固定は、万が一患者が覚醒し、上肢を動かしても触れることができないように固定位置を工夫する。(頭側から蛇管をだして固定するときは、体のズレにより引っ張られることがないように余裕をもたせておく)家族の面会中のみ抑制を解除している場合は、家族が帰る際にはナースコールで「帰る」ことを知らせてもらい、ベッドサイドを離れないようにしていただくなどの協力を得る。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
     
  • 患者・家族への説明
66 障害残存の可能性なし 不明 不明 人工呼吸器管理中 ファイティングなく同調されていた。しかし上肢抑制していたが、朝、蛇腹を触る行動があり、ミトンを検討していたがそのままとした。
12:55、本人の呼ぶ声がしたため訪室すると気管チューブが抜けているところを発見する。
両上肢は、抑制中であったがレスピレーターの蛇腹に手が届く状態であった。既に蛇腹を左手で握りしめており発声していた。
酸素飽和度80%台末梢冷感チアノーゼ無し。発見後直ちに、口腔内吸引施行しアンビューマスクにて加圧、酸素投与開始する。13:00主治医来棟しアンビューマスクにて加圧持続する。13:08ホリゾン1AIV実施し、気管支鏡を用いて再挿管を行う。
その後人工呼吸器に装着しSpO2 98%になり安定する。血圧一時的 170台となるが140台に安定した。
  1. 挿管中で本人の意識があり、手を動かしていた。挿管チューブを抜く可能性があるという危機感はあったがその対策についてのアセスメントが不十分であり、危険行動に対する職種間の共有がない。
  2. 蛇腹が患者の手に届く位置にあったこと。両手の抑制をしたにも拘らず可動域の確認や周辺の物品等の確認を怠った 
  3. 抑制帯使用について、上肢がベット柵に固定され正しい使用がされていず、使用方法の誤りのまま経過していた。 
  4. 呼吸器と同調されていたが、覚醒している状態での挿管チューブ管理は、せん妄状態からもリスクが高いことからその対策について医師・看護師間での評価、検討が十分にされていなかった。
  1. 「自ら手を動かしている」蛇腹等に手が動く現状のアセスメントを行い、リスクを共有し、状態にあった対策を速やかに実施し、継続させることを徹底。   
  2. 手の抑制を実施するのであれば、その点での注意・観察を徹底し、蛇腹が患者の手に届かない位置にする等の可動域確認は基本であり、実施したから安全ではないことの教育を徹底させる。
  3. おきてしまってからの対策ではなく、生命への危険度が高いリスクについて予測した行動が実施できるよう教育を徹底する。
  4. セデーションについての医師・看護師間でのカンファレンス実施
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
67 障害なし 不明 不明 患者は、生下時より当院に入院し、生後4日目に大動脈形成術、肺動脈絞扼術、生後2ヶ月頃に経皮的大動脈形成術を受け、今回は生後3ヶ月目に心室中隔欠損パッチ閉鎖術、肺動脈形成術を受けた。患者は術後、経口挿管された状態でICUに入室し、筋弛緩剤が使用され、人工呼吸器を使用して呼吸管理が行われていた。
術後1日目、医師と看護師は患者の気管内吸引を行った。医師はジャクソンリースで換気を行い、看護師は吸引チューブで気管内吸引を行い、それを3回繰り返して行った。この時、換気と共に胸郭の動きは確認できていた。
4回目の吸引のために、医師がジャクソンリースで用手換気を行ったあと、看護師が気管内吸引をしようとしたところ、気管内チューブが抜管された。担当医師は、直ちに肩枕を行い、マスク換気を行ったが、胸郭の動きが悪く、換気が困難な状態だった。看護師が麻酔科医師に応援を要請した。血圧、SPO2低下。麻酔科医師が喉頭展開行い気管内チューブ4.0ミリの再挿管を試みたが挿入できなかった。担当医師の指示で、ボスミン1A+生食19mlnのうち1mlを看護師が静脈内投与を行った。小児科医師が胸骨圧迫を開始した。麻酔科医師が3.5ミリの挿管チューブで再挿管を行った。担当医師の指示で、ボスミン1A+生食19mlnのうち1mlを麻酔科医師が静脈内投与を行った。担当医師がカルチコール1mlを静脈内に投与を行った。動脈血ガスの結果から8.4%メイロン4ml+蒸留水4mlが静脈内に投与された。その後、血圧80/40mmHg、心拍130~150回/分で経過した。
処置中、HR 30回/分台、BP 20/mmHgがおよそ4~5分間続いた。術後4日目に頭部CT撮影が行われ、虚血性変化が無いことが確認された。
挿管チューブは2本のエラテックス絆創膏で固定され、1本の絆創膏は患者の頬部から挿管チューブの周囲に巻き付け、患者の鼻の下を通って片方の頬に貼り、1本の絆創膏は患者の頬部の下方から挿管チューブ周囲に巻き付け、頤部に貼って固定されていた。
挿管チューブ周囲に巻き付けたテープが患児の唾液で濡れて緩んでいたが、挿管チューブ周囲以外の頬や顎の固定に剥がれはなかった。患者の口腔内分泌物は多く、2時間毎に口腔内吸引が行われていた。患者はICU入室後1日目のため、挿管チューブの固定テープのはり替えは、行われていなかった。
  • 通常の状態より口腔内分泌物が多かったため、挿管チューブに巻き付けた固定テープが濡れて接着が緩みやすい状態だった。
  • 口腔内分泌物が多く、事故抜管後、効果的な換気が行えなかった。
  • 術後24時間以内であったため、医療者は挿管チューブを固定したテープが緩みやすい状態とは思っていなかった。
  • 挿管チューブの固定位置は確認するが、固定したテープの接着状態の確認が行われていなかった。
  • 患者の状態により、挿管チューブの固定の長さだけでなく、チューブとテープの固定に緩みがないかどうか確認する。
  • 挿管チューブの固定は濡れている場合は緩むものと考え、貼り換えを行う
  • 吸引時は、口腔内吸引を行ってから気管内吸引を行う。
  • 確認が不十分であった
68 障害なし 不明 不明 吸引チューブが気管チューブに挿入しづらいため、キシロカインゼリー、キシロカインスプレーを使用した後、気管チューブが閉塞した。 手術当日より、挿管チューブから痰が引きにくいという申し送りあり。酸素は加湿し、生食を使用してのネブライザーほかに、キシロカインゼリーやキシロカインスプレーを使用して吸引していた。医師にも痰が固くて引きにくいと報告していた。しかし、なんとか吸引できていたため、そのまま数日過ぎてしまっていた。キシロカインスプレーやキシロカインゼリーが継続的に使用され、挿管チューブ内に喀痰とキシロカインゼリーが固まったためにチューブ閉塞になったと考えられる。 吸引カテーテルが入りにくいときは、気管内チューブの異常を考慮し、再挿管するなどの対応を早期に行うよう医師と連携をとることを周知する。吸引時、キシロカインスプレーやキシロカインゼリーを使用しないことを徹底する。現在、救急カートに定数配置になっているキシロカインスプレーの配置の必要性を検討する。
  • 判断に誤りがあった

 
69 障害残存の可能性なし 不明 不明 生後、RSウイルス感染、治療のため挿管、人工呼吸器による呼吸管理を行っていた。
23:28に呼吸器のアラームがなし、訪室すると挿管チューブが抜けている状態の患児を発見する。
酸素飽和度は徐々に70台まで低下、BVM換気、主治医、および当直医、麻酔科医にて再挿管の処置を必要とした。
体位ドレナージのためわずかに左側臥位(右背部にタオルを入れた状態)で、両上肢の抑制位置は動いておらず、首を左右に動かしたことが抜去の原因と予測される。
抜管前の意識レベルは吸引刺激で苦顔を呈し、四肢をわずかに動かす程度、刺激がなければ自動運動はほとんどない状態であった。そのため両上肢の抑制は施行していたが、頭部固定はしていなかった。
チューブ固定は固定用のテープでの一重固定のみであり首を振ったりする動作に対しての固定としては不十分であった
頭部左右に砂のうを置き、枕代わりにガーゼでつくった円座様の枕で首振り動作を予防した。
固定テープを二重にし、両口角からの固定をおこなった
  • 判断に誤りがあった
70 障害残存の可能性がある(低い) 気管切開チューブ 小児用カフなし (長さ42mm) スミスメディカル・ジャパン 気管切開10日目。気管チューブ紐固定。7時25分喘鳴が出現し、気管吸引施行。刺激によるものか息こらえをし始め、SpO288~89%に低下した。抱っこするが息こらえが治まらなかった。児は気管切開前、腹臥位にすることで息こらえが改善していたため、看護師の判断で7時30分、児を腹臥位にした。その後SpO270%台に急速に低下。7時33分ガーゼ下を見ると気管チューブが抜去されていた。医師が気管チューブを再挿入試みるが抵抗あり、気管切開部をガーゼで抑えながらアンビュー換気する。7時35分気管チューブ再挿入。バギング開始すると1.2分でSpO2100%へ上昇。気管チューブのガーゼを3枚にし固定する。9時、血液データ改善傾向。SpO290%台で経過する。 前日から児の気管チューブを浅く固定していたため抜去され易く、抜去されると再挿入が困難となる可能性があった。SpO2の低下は息こらえだと思い込み、肺野air入りの確認や期間チューブの観察を行わなかった。児は臥位にすると呼吸状態が落ち着くことがあったため、抜去のリスクを考えずに安易に腹臥位にしてしまった。SpO2が急激に低下した時に気管切開部よりアンビューでバギングする等の適切な緊急時対応を行えなかった。緊急性の判断が遅れたため、他者の応援を直ちに呼べなかった。 気管チューブは自然抜去の可能性があることを十分認識して管理する。急変時にはすぐに他者の応援を要請する。
小児の場合、カフなしのチューブであるため、抜去しやすいこと、そのための対策と抜去時の対応をカンファレンスで話し合い、共有した。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
71 障害残存の可能性なし 気管内チューブ カフなし 4.0mm スミスメディカル・ジャパン 看護師が6時過ぎに体位交換を行い、気管チューブの長さ、テープ固定、回路の固定に異常ないことを確認した。
その後、SpO2は90~95%を推移していた。7時45分頃、SpO2が75%まで低下し、アラームがなり、ベッドサイドで確認中、SpO2は40%まで低下、徐脈となった。CO2detectorを装着したところ、反応が見られないため、抜管したと判断し、気管チューブを抜去した。100%酸素でバギングし、SpO2、HRが上昇したところで再挿管した。
体動により抜管したと考えられる。 塩酸モルヒネ、ミダゾラムを用いて鎮静し、呼吸管理を行っている。通常使用量の最大量を使用しており、増量は困難である。観察を強化し早期の事故抜管発見に努める。
 
  • 観察が不十分であった
72 障害なし トラキオソフト エバック 7Fr コヴィディエン ジャパン
  1. 気切中、人工呼吸器管理中であり、毎日両上肢抑制されていたが、その日の日中は抑制フリーで様子をみていた。
  2. 勤務交代後も、抑制フリーで危険行動見られていないため、抑制せず様子を見ていた。
  3. 18時半前、経管栄養を施行するため、ギャッジアップ90度とし、患者様へ気切チュ一ブなどを障らないよう伝えて経管栄養を作成に行った。
  4. 作り終わって、戻っていると、患者様の呼吸器が外れた音がし、救命主治医が駆けつけており、他勤務者が気切チューブ抜いているのを発見したところであった。
  1. 抑制帯はなるべく外しておいた方がよいと思うが、患者の危険の理解度が不明と判断した場合は患者のそばを離れる時は、抑制すべきであったと思う。
  1. 患者は口ぱくやうなずきなどのみで、コミュニケーションとりにくい方であった。危険の理解度はどの程度かも不明であるため、抑制をはずしてもよいという判断は難しいところである。しかし、患者の生命への危険を第一に考え、抑制すべきであった。

 
  • 判断に誤りがあった
73 障害なし リュッシュ気管チューブ 東レメディカル
  1. 統合失調症、異食症などを基礎疾患にもっており肺炎にて病棟へ入院。敗血症性ショックにて血圧低下あり深夜別の病棟へ転入。挿管され呼吸器管理となる。
  2. FiO2 60%。基礎疾患あるため四肢抑制施行していた。血圧低く、昇圧剤使用しており意識レベルも悪かったため鎮静剤は使用していなかった。
  3. 午前中血圧若干上昇あり、吸引などの強い刺激で体動あるも他は動かず。
  4. 12時ごろより覚醒傾向にあり開眼したり、質問に対して頷きなどみられ四肢の動き軽度あり、医師にて鎮静剤静注したとの報告受けた。その後医師にてエコー施行。
  5. エコー終了後FDLカテーテル挿入するとのことで、近くで物品の準備をしていた。
  6. エコー後ロールカーテンすべて上がっておらず、視界の中に患者は入っていなかった。
  7. 他勤務者が他の方向から患者が右側に起き上がり右手で挿管チューブを持っているところを見て走ってかけつけたが問に合わず自己抜管された。

 
  1. 誰も患者が見える場所にいないのにカーテンで視界が閉ざされていた。
  2. 基礎疾患があるため、チューブ類抜去の危険性は予測できていた。
  3. 体動がでてきた時点で四肢抑制だけでなく起き上がりを予測して肩抑制・体幹抑制、ソフトシ一ネを用いて肘の屈曲ができないようにするなどの方法をとる必要があった。
  1. まだまだ急性期で抜管されると危険な状態にて、合併症のことも考え体動があった時点でソフトシーネ等にして肘関節が曲がらないような工夫が必要であった。
  2. 看護師だけでなく医師にも処置が終了したら忘れずにロールカーテンをあげてもらい、観察しやすいようにしてもらう。
  • 判断に誤りがあった
74 障害なし 気管チューブ カフなし アイホ スミスメディカル・ジャパン
  1. 児は挿管し人工換気中。未熟児病棟では2週間に1回挿管チューブの入れ替えを実施する。
  2. 本日交換日であり、医師が2.5Fr挿管チューブを挿入され、ナイロン糸で挿管チューブを固定した(未熟児病棟では基本的にカフなし挿管チューブを使用し、ナイロン糸で固定する)。
  3. ナイロン糸が吸引チューブに引っかかり、吸引チューブが挿入できないことがあるため、医師監視下のもと5Frの吸引チューブを使用し吸引を実施した。
  4. 吸引チューブは挿入できたが、糸に引っかかったためか挿管チューブから吸引チューブを引き抜くことができず、医師に挿管チユーブを持ってもらい、吸引チューブを抜いた。
  5. その際、吸引チューブがちぎれて挿管チューブ内に残ったままであった。
  6. 通常は吸引後に分泌物の性状や量を吸引チューブを見て確認するが、児のHR、SpO2低下がみられていたため、吸引チューブの確認をしておらず、チューブがちぎれていたことに気付かなかった。
  7. 医師がバギングを施行し回復はスムーズであった。
  8. その後も呼吸状態は安定していたが、吸引チューブを再度挿入しようとしたが挿入できず。
  9. 他勤務者がその後吸引施行するも吸引チューブが入らないため、挿管チューブを触ってみると、ソフトチューブであるが、硬い部分があり、異変に気付く。

 
  1. 挿管チューブ入れ替えの際は、糸のかかり具合により吸引チューブが挿入しにくい状態が発生するので、無理に吸引チューブを挿入しない。
  2. 吸引チューブが抜けにくい時は、無理せず中断する。
  3. 吸引チューブを抜いた後は、チューブ内の分泌物の性状を観察するようになっているため、観察を実施し、チューブの異常を早期発見する。
  1. 未熟児の挿管チューブの固定方法について他施設の情報を取り検討する。
  • 確認が不十分であった
75 障害なし 不明 不明 体動による気管切開カニューレの抜去 確認不足 児の行動パターンを把握し、安静が保てるようになるまで観察する。
  • 観察が不十分であった
76 死亡 ポーテックス 4.5 カフなし スミスメディカル・ジャパン 12時30分呼吸停止状態を発見し、救命処置施行するが効なく死亡確認した。児は粘稠痰で再三吸引処置を行っていた。11時20分に吸引し、12時30分に訪室の間に気管カニューレが痰で閉塞し窒息状態になったと考える。 粘稠痰であった。生体モニターが設置されていなかった。
  • 気管チューブの閉塞や窒息のリスクを踏まえた防止策の実践(頻回の観察・吸引処置・生体モニターでの監視など)患者に関する注意・情報を全スタッフが理解して行動するように看護計画実践内容を見直す。
  • 粘稠痰や、痰が吸引出来ないときは、すみやかに患者情報を医師に報告し、指示を受ける。また、気管カニューレの閉塞音が確認できる場合にも、すみやかに医師に報告し、カニューレ交換・気管支ファイバーなどによりカニューレ閉塞の原因確認と危険を未然に防ぐ行為が実践できるように、看護技術の向上と安全管理策を周知徹底させる。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
77 障害残存の可能性なし ポーテックス気管カニューレ スミスメディカル・ジャパン 患者は術後、右大脳半球、左小脳、脳幹に梗塞認め意識レベルI-3であり、人工呼吸器下であったため、気管切開術施行。ICUより転棟となる。患者は体動が激しく、首を振る、手で気管カニューレとフレキシブルチューブの接続をはずしてしまう行動が頻繁にあった。同日23時24分呼吸器のアラームで訪室した。体をずらし、呼吸器回路の接続部分がはずれている状態であった。急いで、呼吸器に接続して、患者の体位調整のためにずり落ちた体を上に持ち上げた。アラームが止まらないために呼吸器のモニタリングを行うとチューブブロックの表示があった。そのために、痰による気道閉塞の可能性を考え吸引を行うが、チューブが入らず吸引できなかった。
気道内圧46心拍60に低下、酸素飽和度83%チアノーゼ出現、意識レベルGCS:E1-VT-M1に低下あり。BVM換気を行うが硬くて換気できないために皮下気腫、気胸のリスクを考え中止した。23時28分当直医師が到着。原因特定中に低酸素血症となり、医師が気管チューブを一旦抜去し、新しいカニューレに交換。換気は速やかに再開できたが、心拍40台に低下。23時34分PEAの状態となり胸骨圧迫開始。23時36分頸動脈触知可能、心拍再開。瞳孔不同なし。意識レベルGCS:E2-VT-M2へ改善した。
  1. 気管切開チューブの固定方法として、ネックバンドのみであったため固定が弱かった。
  2. 身体拘束を行うが体動が激しく、チューブがなお抜けやすい状況であった。
  3. 予定外抜去を防止するには、一般病棟では特に夜間帯の看護師の人員に限界を感じるレベルである。
  4. 人工呼吸器離脱の方針など医師との明確な情報交換ができていなかった。
【予定外抜去予防対策について】
  • 気切後、気管孔が固定する2週間はカニューレを縫合し固定する。
  • カニューレの抜去日時や鎮静剤の使用について、医師と明確な情報交換を行う。
  • 気切後2週間は特に、精神状態や体動に合わせて抑制を考慮する。

【気管カニューレ留置中の窒息時の対処について】
  • 気管カニューレ挿入時や呼吸器回路の再接続時は、聴診器で呼吸音を聴取することを原則とする。
  • カニューレの閉塞の要因として、痰による気管閉塞、またはカニューレが抜けていないか、多方面から考え対処する。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った

 
78 障害残存の可能性なし 不明 富士システムズ
  1. 17:15に看護師Aと看護師Bで呼吸器の設定とカフ圧の確認を行う。カフ圧は24CmH2Oで正常範囲内であった。
  2. 看護師2名(A、B)で側臥位にし、医師の指示にてギャッジアップ80度とする。患者の両脇に大枕を置き、体位を固定した。体がずり落ちるのを防止するために下肢を10度程度挙上した。
  3. 看護師Aは18時から胃ろうから白湯の注入を開始した。白湯を注入後1時間でPGソフトを注入予定であった。
  4. 18:50アラームが鳴り看護師Bが訪室すると気管カニューレのカフが膨らんだまま抜けているのを発見した。
  5. 呼吸器の蛇管の位置と固定部位は18時と変化がなく、患者の顔と首の位置が左に傾いていた。
  6. 整形外科の医師が病棟にいたので、すぐ気管カニューレを挿入し、呼吸器を装着した。
  7. 患者は自呼吸があり、病棟にいた整形外科医師が、すぐに気管カニューレを再挿入し人工呼吸器を装着した。
  8. SPO2の低下はなかった。
  9. 主治医は家族に状況を説明し、家族は納得された。
  1. 研修医は、誤嚥防止のために注入時の体位を80度と指示していた。
  2. 上級医は、誤嚥防止に対する知識が不足しており、研修医に対しての指導が不充分であった。
  3. 看護師は、ベッドを80度にギャッジアップすると首の安定が悪くなることを医師に報告しなかった。
  4. 看護師対象で摂食機能療法の勉強会を開催したが、生かされていなかった。
  1. 医師に体位の指示を再確認し、ギャッジ30度で注入することにした。
  2. 病棟の看護師全員が安全な体位で注入できるよう、医師を交えたカンファレンスを行い、注入の体位と方法を統一した。
  3. NST主催で医師及び看護師に対して研修会を企画する。
  4. 「NSTだより」を通じて安全な体位を周知する。
  5. NSTが、ラウンド時に注入体位について確認し指導する。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
79 障害なし 不明 不明 持続経管栄養中のNG-T自己抜去。 確認不足。大勢が崩れ、ミトン抑制がはずれていた。 持続経管栄養中の患者には特に、頻回にラウンドし、効果的な抑制が行われているか確認する。
  • 確認が不十分であった
80 障害なし 不明 不明 ミルクをつなげる際に自己抜去しているのを発見した。 判断ミス 体動が激しく、自己抜去が予測される児には、安楽な肢位の保持、環境を整える。
  • 判断に誤りがあった
81 障害残存の可能性がある(低い) 不明 不明 挿管チューブ挿入し、人工呼吸器管理中であった。ドルミカム3ml/h投与中であったが上肢を動かす様子あり、ミトン上肢抑制中であった。医師が担当看護師を呼びに来て気管チューブを自己抜管したと報告あり。訪室しジャクソンリースにて加圧し、再挿管となり、SPO2 96%へ上昇あり。 ドルミカム3ml/h投与中であるが、抜管予定であったため、鎮静は増量しないとDrの指示あり。レベルはサクション時に顔をしかめたり、声をかけると開眼していた程度。しかし、ケア時など抑制を外すと手を顔部に近づける姿あり、両手ミトン、両上肢抑制継続していた。しかし医師がアラームがなったため訪室した際、気管チューブを抜管直後を発見する。訪室すると左手ミトン、上肢抑制を自己にて外し、気管チューブを握り、抜管していた。 鎮静中であったが、抜管予定であったため以前より覚醒ぎみであった。そのためレベル確認、抑制状況を頻回に訪室し、確認していくべきであった。また訪室毎に抑制状況を確認していく。
  • 確認が不十分であった
82 障害なし 不明 不明 手が引っ掛かったことによるM-T自己抜去。 観察不足 チューブの位置の工夫をする。
  • 観察が不十分であった
83 障害なし 不明 不明 EDチューブの予定外抜去 固定が不十分であった。観察不足。 見るだけでなく手で触って確認する。
  • 観察が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
84 障害なし 不明 不明 啼泣、体動盛んであり、M-Tが抜けていた。 観察不足 やむを得ず児のそばを離れる場合は、ほかのスタッフに児をなだめるように依頼してから離れる。
  • 観察が不十分であった
85 障害なし 不明 不明 経管栄養中にNGチューブを自己抜去した。 抑制をしていたが、不十分であった。 適切な抑制を行う。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
86 障害なし セイラムサンプチューブ 日本コヴィディエン 入院後摂食・嚥下サポートチームに嚥下評価しリハビリ開始していたが、効果見られないとのコトで中止されていた。また胃瘻造設について説明していたが、家族からの承諾が得られず胃管挿入し栄養管理を行っていた。また、胃管自己抜去を繰り返しておりその都度透視下で胃管カテーテルを挿入していた。今回、医師が透視下で胃管カテーテル挿入2日目に起こった。14時検温の時は異常なし。16時、吸引を行う。16:30、看護師Aは最終ラウンドのため病室へ行くと、患者に挿入されている胃管の鼻固定テープがはがれており、10cmほど抜けかかっていた。(このときの頬固定テープははがれていなかった)看護師は、テープが付いている70cmのところまで(もともと70cm挿入)抵抗なく挿入。臍上でエアー音を確認し、夜勤看護師Bに申し送った。夜勤看護師はその後口鼻腔から吸引を行っていた。
19:00、夕食分の経管栄養100ml注入するために注入前にエアー音を確認する。自信がなかったので看護師Cを呼び一緒に白色の液5cc吸引を確認、看護師Cがエアー音を確認し、19時30分経管栄養を注入する。途中喘鳴が見られたが、いつも通りという印象を受け、また注入中であったため吸引は行わなかった。
21時、看護師Cが病室へ行くと経管栄養が終了していたので薬剤を注入。寒邪に異常は感じなかった。21時30分、休憩から戻った看護師Bが病室へ行くと、患者は喘鳴が著明であり、チアノ-ゼありSpO270%台であった。医師へ報告し、レントゲン撮影の結果、胃管カテーテルの先端が右肺に入っていた。
胃管カテーテルが挿入されていた。胃瘻造設に対しての家族からの同意が得られなかった。胃管挿入困難があったため、強度のあるセイラムサンプチューブを使用していた。患者は嚥下障害があった。食道裂溝ヘルニアにてループを作りやすい状態であった。
吸引も行っていたので吸引圧が何らか影響を与えた可能性がある。胃管が10cm抜けかかっていた。自己抜去を繰り返していた患者だったため、抜かれなくて良かったという心理が働き挿入した。再挿入時、口腔内の観察はしていなかった。また、嚥下障害があり誤挿入の予見ができなかった。夜勤の看護師が確認した白色液は唾液の可能性がある。注入前の確認方法はマニュアル通りに行えていたが、抜けかかったときの確認方法についてはマニュアルに明文化されていなかった。患者は胃管を自己抜去しようとした可能性がある。看護師は嚥下障害がある患者であることは知っていたが、唾液を誤嚥する可能性があることが結びつかなかった。PH確認方法を採用していなかった。
PH測定、またはCO2感知器の情報收集し、マニュアル内容の検討。当院の経腸栄養ガイドラインを作成する。経管栄養のリスクについて明文化し、同意書を作成し家族の理解を得るようにする。
  • 判断に誤りがあった
87 障害なし 不明 不明 ミトン抑制を家族が外し、目を離した間にNGチューブを自己抜去した。 家族への指導不足。 家族の理解が得られるように説明し、理解しているかも確認する。
  • 患者・家族への説明
88 障害なし 不明 不明 持続で経管栄養投与中に栄養チューブを自己抜去した。 観察不足。 患者の状態を把握し、抑制を行う等の工夫をする。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
89 障害なし 不明 不明 家族と面会後、ミトン型抑制帯をはずしたままにし、胃チューブが抜けていた。 家族への説明不足。 家族にチューブトラブルのリスクを説明し、面会時間を確認して、家族が帰る前に抑制の確認をする。
  • 患者・家族への説明
90 障害なし 不明 不明 メガホン、グリップ抑制をしていたが、メガホンが外れNGチューブが抜けた。 抑制が不十分であった。 可動域を把握し、抑制を確実に行う。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
91 障害なし 不明 不明 患者の両上肢グリップを外し、ベッドサイドを離れた時に患者が胃管チューブを予定外抜去した。 筆談終了時に抑制をし忘れ前室で申し送りを始めてしまっていたため、患者から目が離れ、抜いてしまった。 何のために、抑制をしていくのかを十分に理解し、目視する。
  • 確認が不十分であった
92 障害なし 不明 不明 眼下受診中に児が胃チューブを手で引っ張り抜けてしまった。 呼吸器回路を調整するため、児の側を離れたところ、児が胃チューブを引っ張り抜けてしまった。 チューブ類に十分注意し、受診前に固定をするなど対策をする。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
93 障害残存の可能性がある(低い) 不明 不明 患者より2:00ナースコールあり。
訪室すると胃ろうチューブが先端まで抜けていた。患者より「ひっかかって抜けた」と言われる。
当直医師診察あり。明朝まで様子観察の指示あり。
家族に事実説明し了解をもらい、同日の日中に透視下で胃ろうチューブを入れ替えた(40cmで固定した)。
前日、胃ろうチューブ挿入部の周辺の発赤のため、パウチを貼付し、胃ろうはその中を通っていた。
固定は、パウチの便出しの部分にゴムでくくっているだけであった。
精神科コンサルト中であり、不眠にて眠剤(アンデプレ、ロヒプノール、ロゼレム)使用中だった。
パウチから出たチューブをテープで固定しておく必要があった。
カンファレンスを行い、せん妄増強時の対応を検討する。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
94 障害残存の可能性なし 不明 不明 5時頃から腸ろうよりポンプ使用しながら注入(エンシュア2缶+白湯500ml)開始していた。
7:45頃、トイレの訴えあり、看護師介助にてポータブルトイレに移乗。
その際、腸ろうルートはそのままで 注入継続しながらおこなった。看護師は、介助施行後患者の側を離れた。
7:55排泄終了にてコールあり。オムツ装着したところ、先端まで腸ろうルートが抜けているのを発見する。
本人に聞くと、「なんで抜けたのか いつ抜けたのかわからない」とのこと。
注入中止し、当直医師に報告。
指示にて、ガーゼにて圧迫固定施行。
その後、主治医診察あり。消化器内科にコンサルト施行し、上部消化管内視鏡を行い、腸ろうルートの再挿入施行。
(トップ 栄養カテーテル 12Fr 120cmにて施行。70cm固定。)
腸ろう再挿入については、本人家族に説明され、了解を得て施行した。
  • 腸ろう部の固定は、家族の強い希望にて皮膚トラブル予防のために縫合ではなく、ビニールテープ1か所のみの固定であった。
    (以前、同一箇所に皮膚トラブルが発生したエピソードあり。その原因が縫合によるものと家族は強く思われており、何度か説明を行うが修正できなかった。)
  • 固定がビニールテープ1か所だけだったにも関わらず、特別な配慮もなくポータブル移乗もポンプに繋がれた状態で行っていた。
  • 固定方法の再検討(皮膚の状態をみながら数か所で固定) 必要性を家族にも繰り返し説明し、理解を求める
  • ベッドから移乗する際は、腸ろうの固定を確認しながら行いテンションがかからないようにする。
  • 注入施行時の排泄援助は、注入を一旦中止し、栄養チューブと接続を外して行う。
  • 判断に誤りがあった
95 障害なし 不明 不明 NGチューブ自己抜去 観察不足 日々の状況に合わせて抑制帯使用を判断する。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
96 障害なし 不明 不明 EDチューブの予定外抜去。 状態把握不十分 抑制の必要性も含めて、適切なアセスメントを行う。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
97 障害なし 不明 不明 NEFTの予定外抜去 状態把握不十分 患者の状態把握、確実な抑制帯の選択を行い、頻回なラウンドを行う。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
98 障害残存の可能性なし ユーシン シリコーンフォーリーバルーンカテーテル ユーシンメディカル 転倒の既往はなかったが、歩行障害、左半身麻痺あり。当院脳外科受診し慢性硬膜下血腫の手術目的で13:00入院となった。20時にシーツ、寝衣にわたる尿失禁あり。翌朝の6:45まで自尿がなかったために、深夜看護師の判断で膀胱留置カテーテル(14Fr)を挿入した。500mlの尿を確認してカテーテルを留置とした。患者は傾眠傾向であり午前中は閉眼し、いびきをかいていた。点滴はしておらずモニター装着中であったが、ライン類をいじる様子はなかった。15:30訪室した際、「こんなもんいらないんだよ。」と言い、膀胱留置カテーテルを自己抜去しているのを発見。固定のテープは腹部に残っており、カテーテルが途中で切断され、風船より先端部分(約3センチ)が見つからなかった。すぐ脳外科医師に報告し泌尿器科医師へ相談。緊急性はないと判断され除去は、脳外科手術後に予定となった。硬膜下血腫除去術施行。さらに骨盤CTでカテーテルが尿道に残存しているのを確認。その間患者は導尿、おむつでの失禁、トイレでの排泄を行っていた。8日後、予定通り尿道異物摘除術を行ったが、前立腺尿道に軽度擦れた跡があったが明らかな異常はなく、尿道、膀胱をくまなく探すが残遺していると思われるカテーテルが発見できなかった。さらにKUB撮影、骨盤CTで再確認するがカテーテルは発見されなかった。泌尿器医師より、家族に「手術前に予測できなかったがどこかで(カテーテルが)排出されたようで、体内には何もなかった。現在自分で排尿も可能でありこのトラブルによって後遺症は発生しないと考える」と説明された。 この患者に膀胱留置カテーテルを挿入しておく必要があったのか検討した。入院前の患者の尿回数は一日5回程度、オムツに失禁していた。今まで尿閉になったという情報はなかった。入院前には食事は三食きちんと摂取していた。年相応の前立腺肥大はあり、静脈血栓症の治療に抗血管凝固薬を内服していた。入院前日の夕食を最後に当日は入院が13:00となりその後も食事量、水分量はいつもよりかなり落ちていた。20時に大量の尿失禁が確認されていたが、10時間以上排尿が観察されなかったため、6:45に深夜看護師の判断で膀胱留置カテーテルを挿入し500mlの尿を確認した。病態、前日の水分摂取量を考えると尿量を厳密に持続的に測定する必要性はなかったのではないかと考える。また、前立腺肥大症や抗血栓凝固薬を内服していた患者に膀胱留置カテーテルを医師に相談もなく挿入すべきだったか。さらに脳疾患で意識障害があったこと、高齢であること、入院~翌日という環境からカテーテル挿入後の自己抜去のリスクは高く、人出の少ない勤務時間帯にあえて留置するタイプのカテーテルで尿量を確認する必要はなかった。その後患者は傾眠がちで、重症度的に救急病棟のオープンフロアにはいたが、一番左側で患者の状態がすぐ見える場所ではなかった。30分に1度は訪室していたが、面会時間帯でカーテンがところどころ閉まって観察しにくい状況になっていた。患者自身は膀胱留置カテーテルの必要性や管理上の理解が得られていない状態であった。
さらにカテーテル製品については、挿入後8時間程度しかたっておらず、水10ccを入れて固定していたが、先端からバルーンの膨らむ約3センチの所でスパッと断裂していた。
患者が引っ張って抜こうとした時にこのようにカテーテルが断裂するというケースは今まで経験がなく、業者に製品の強度等について点検を依頼している。カテーテルが尿道に残存し除去術まで一週間の間、患者の排泄介助に全て看護師が関わっていたが、残存したカテーテルが排出されるかもしれないという予測が立てられず、実際にカテーテルの排出を確認できなかった。そのため、残存物がまだ尿道内に残っていると思われていたため予定通りの手術が実施された。
急性期病院の救急病棟で入退院が激しく入院期間も短い。生命に危険を伴う患者が多いため、尿量の把握は重要であり尿が出ない状況があると、まず膀胱留置カテーテルを挿入して管理するという業務がパターン化してしまっている傾向があった。患者一人一人の入院前の情報も把握し、入院後なぜ尿が出なかったのかトータルでアセスメントする能力を高める必要がある。この患者は10時間以上排尿がなかったので、尿を確認する必要はあるが、年齢、患者の病態・治療に対する理解度からも、この患者に厳密な尿量把握の必要性は不要であったと考える。さらに軽度の意識障害もあり、入院~翌日で患者の予測できる行動が不明なところもある。以上からカテーテル自己抜去のリスクが高いため、安易に膀胱留置カテーテルを第一選択するべきではない。特にこのようなケースであれば、夜勤帯は導尿で様子を見て日中に医師、他看護師と相談して患者個々における排泄管理をどのようにするか相談し決定する。
オープンフロアにおける患者観察はスタッフ、家族が付いておらず、患者の行動が予測不明な時や危険行動のリスクがある時は、観察の頻度を多くしカーテンなどで死角とならない環境を整える。また、自己抜去後の残存したカテーテルがどこにあるか把握し、尿が排泄される時に出てきていないか観察する。
今回残存したカテーテルを誰も発見していないことから、すでに体内から排出されていたとは予測できなかった。
尿道内に異物が残存し、摘出までの時間があく場合は排尿によって排出される可能性があることから、手術前に再度残存物をX線撮影で確認する。さらに万一安静臥床が多く、膀胱留置カテーテルを挿入して管理しなくてはいけない患者で自己抜去のリスクが高い場合には、あらかじめ固定水を少なく(5cc程度)し、万一抜去されてしまったとしても膀胱や尿道の損傷が経度で済むようにする。さらに検討によって必要があれば、身体抑制で危険を回避することも考える。(今回の患者に関しては抑制の必要なし)
  • 判断に誤りがあった

当該事象について企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、膀胱留置カテーテルが自己抜去された際にカテーテルが断裂したとのことであるが、当該製品の強度はJIS規格に適合したものであり、品質上の問題は認められていないとのことである。
99 障害残存の可能性なし バーディアバイオキャスフォーリーカテーテル3WAY メディコン 経尿道的膀胱腫瘍切除術施行。3WAYカテーテル挿入し、17時30分帰室。18時20分、生理食塩液200ml/hで膀胱持続還流開始。その際、生理食塩液ラインを還流口ではなく、固定水口に接続した。19時頃、下腹部でパンという音がしたと患者より報告があった。看護師は排ガスだと思った。
22時頃より違和感と尿意の訴えあり、尿もれあり。翌0時還流注入量620mlに対して、排液量が400ml、尿もれ量が250gであった。3時カテーテルからの排尿がなく、尿意も続いていたため、医師診察。誤接続を発見し、カテーテル抜去。カテーテルはカフが破裂してラテックスが欠損していた。新たな尿道カテーテル挿入。挿入スムーズ。エコー下で膀胱内に入ったことを確認する。吸引して尿を回収するが異物は吸引されず。5日後、膀胱鏡にてバルーン破片を回収する。破片断端とカフ破損部分が一致し、全回収を確認した。
当事者は還流口に白いキャップがついていることは知っていたが固定水注入口に接続した。その後のラウンドでも水色(固定水口)にラインが接続しているのを見てはいたが、間違いに気づけなかった。次シフトの看護師もラインの確認を怠った。
  1. 還流ラインを尿道留置カテーテルにつなぐ際には、必ず看護師2名のダブルチェックを行う(手順書作成)
  2. 還流にはポンプを使用していたが、手動にすることで、誤接続した際の破裂を防ぐ
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
100 障害なし 不明 不明
  1. 20:40。マイスリー1錠内服後、1時間程は臥床していたが、22時過ぎより坐位になって、つじつまの合わない言動あり。ベッド柵を掴んだりタッチガードを触っていたが、サーフロ留置部・膀胱内留置カテーテルは引っ張る様子見られず。
  2. 0時に尿破棄した際は異常なかったが、20分後に再度訪室すると尿カテの挿入部より約10センチほどの所でちぎれていた。
  3. 先端部を探すが見つからず。尿道からの出血なし。(口唇少量出血しており、噛みちぎった可能性あり)
  4. ちぎれた部分から先端は、膀胱内に残存した状態になった。
  1. 覚醒したため観察していたが、尿破棄し片付けている20分間、目が届いていなかった。
  2. 2~3日前にも点滴ラインを噛みちぎったことから、タッチガードを装着したり、点滴刺入部を包帯で保護する等の対応をしていた。
  3. しかし、膀胱内留置カテーテルを噛みちぎるとは予測できなかった。
  4. ミトンや抑制などの対策を考えなかった。
  1. 患者の状態を踏まえ、バルンカテーテルの再挿入は行わない。
  2. 自然排尿または導尿で対応する。
  3. 日中は車椅子へ乗車し、気分転換を図り、昼夜のリズムをつける。
  4. ライン等を挿入する場合は、夜間等はミトンを装着する。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
101 障害なし 不明 不明 抑制をはずし、PTCDチューブを自己抜去していた。 判断ミス 患者の状態にあわせ、正しい抑制をする。
  • 判断に誤りがあった
102 障害なし 不明 不明 術前よりせん妄状態出現していた。術後はせん妄によるドレーン類抜去予防のため、介護服着用。術当日、帰室後うとうとしていた。23時30分定期バイタルサインチェック時がいびきをかいて入眠していた。体位変換時に覚醒し、NGチューブを引っ張る行為あるため、ミトンにて手を抑制した。装着後再度入眠したため、睡眠を確認後0時過ぎに一旦部屋から退室した。
20分後モニターの波形が乱れたため訪室すると、ベッドの左サイドに立っていた。ミトンは外れ、NGチューブは抜けていた。また、腹腔ドレーンも抜去していた。ドレーンに接続していた廃液バックは右サイドのベッド柵につり下げていたが、つり下げたままの状態であった。中心静脈カテーテルは接続部が外れ、流血していた。主治医訪室し、中心静脈カテーテル抜去され、ドレーン抜去部ガーゼ交換した。
術前よりせん妄前駆症状あり、離床センサー等使用していた。術後のせん妄に対する判断を誤った。(立ち上がるとは思わなかった)
抑制帯の選定方法を誤った
充分なアセスメントによる、せん妄予防策の検討
効果的な抑制帯の使用方法の学習
  • 判断に誤りがあった
103 障害残存の可能性がある(低い) J-VACドレナージシステム ジョンソン・エンド・ジョンソン 仙骨前面に閉鎖式ドレーンが(J-VAC)留置してあったが、カットし開放ドレーンになっていた。4日後の10時にガーゼ交換施行しようとしたところ、カットドレーンが見あたらなかった。主治医に報告し、当番医よりレントゲン撮影したところ腹腔内にドレーンが脱落していることが発覚した。透視下ではドレーン摘出できず、緊急手術で摘出することとなった。 カットしたドレーンには1針ナートしてあったが、糸から抜けて腹腔内に脱落してしまった。カットドレーンの長さはカルテに記載されておらず、看護師間でのドレーンの伝達が不確実であった。 閉鎖式ドレーンを開放ドレーンにした際は必ずカルテに記載する。例えば)何cmカット・何cm出ているか等
  • 観察が不十分であった

 
104 障害残存の可能性なし 不明 不明 前置癒着胎盤手術終了後、レントゲン確認し載石位から仰臥位にベッド修正した。A医師がレビデーターと一緒にスパイラルドレーンを持っていた。その後、一緒に抜けていることに気がついた。ドレーン挿入部確認すると、固定の絹糸が皮膚に残ったまま切れていた。B医師に報告し、再開腹し、ドレーン再挿入の指示あり。A医師によりドレーン挿入され、手術終了となる。 医師と看護師の連携が取れずに行動が伴っていなかった。載石位から仰臥位になり、麻酔科医の指示にて他の介助をしていた。
レビデーターの取り外しは、婦人科医師が2人で行っていた。
看護師と医師が合計7名いたが、レビデーター除去時に誰も声かけや観察は行っていなかった。
ハイリスクな手術を終えた直後であったため、医師、看護師共に安心感をもっていた。
それぞれが声を出しながら行動し、メンバー全員の動きが把握できるようにして連携をはかっていく。
ドレーンの確認を行い、足台などを外す。
  • 観察が不十分であった
     
  • 連携
105 障害残存の可能性なし ファイコン脳室ドレナージチューブ 富士システム クリッピング術後29日目、GCS E4V4~5M6、四肢麻痺なし。末梢点滴・膀胱内留置カテーテル・脳室ドレーン挿入中の患者。救命病棟から一般病棟へ移動し、医師の指示が新たに出され「抑制なし」となっていた。ルート類に触れる様子がないことから翌日から四肢安全帯、その他の抑制も行っていなかった。
  1. 術後29日目18時、夜勤看護師が患者の病室(4人床)へ検温に行った。脳室ドレーンからの排液50ml/10時間流出あり。昨日は170ml/24時間流出しており排液量は徐々に減少していた。発熱なし。
  2. 患者はGCS E4V4M6(日付答えられる、場所については病院名までは答えられない)で、いつもと変化はなかった。
  3. 18時に夕食をセッティングし、ベッド上にて自己で摂取した。食事量は7割程度摂取した。
  4. 21時 消灯。ルート(脳室ドレーン、膀胱内留置カテーテル、末梢静脈点滴ルート)を触る様子なし。
  5. 22時 脳室ドレーンの流出状況を確認するため、夜勤看護師は病室へ訪室した。
  6. 患者は「息子はどこに行ったのか?」と看護師に聞き、現状認識が出来ていない状況だった。夜勤担当看護師は、患者へ説明し入眠を促がし退室した。患者は「はい」と笑顔で返答し閉眼した。ルート類には触れる様子はなかった。
  7. 22時25分 患者の病室より「起こして!」と大きな声で叫ぶ声が聞こえた。
  8. 夜勤看護師が訪室すると、患者の右足がベッドから落ちた状態だった。患者は「起きれないのよ」と訴え、脳室ドレーンをクランプしようと見たら挿入部から約40cmのところで切れた状態になっていた。
  9. 夜勤看護師は、患者に脳室ドレーンのことを聞くと「ハサミで切った」と言ったが、ハサミは持っていなかった。切断面はギザギザしており、鋭利な物で切った様子ではなかった。
  10. 22時45分 当直医へ報告し病棟へ来棟。脳室ドレーン抜去し、1針ナートした。患者は、つじつまが合わない言動があり、ベッドから降りようとする行動が見られた。体幹安全帯とミトンを装着した。
  11. 0時15分 緊急手術を行うため、当直医より患者の母へ電話し説明し、手術の承諾を得て出棟した。
  12. 0時20分~1時10分 局所麻酔にて脳室外誘導術実施
  13. 術後、GCS E3V4M6。抑制実施。
  1. くも膜下出血術後29日目で、現在水頭症があり脳室ドレーンが挿入されている患者に対して、全く抑制する必要がなかったとは考えにくい。脳室ドレーンを自己抜去されないためには、必ず抑制は必要だった。
  2. 看護師は、ほぼ意識が清明であり、ルート類に触れる行動がないことから、抑制は必要がないと判断し続けたが、毎日患者の状態は変化をしているので1人の看護師が判断するのではなく、医師・看護師・コメディカルを含めたカンファレンス内で決定していく必要があった。
  3. 医師は、一般病棟に転棟した時の指示として「抑制なし」の項目にチェックしていた。身体拘束関する同意書は家族より得ていた。医師からの指示で「抑制なし」となっていたが、指示内容について、再度確認をすべきだった。
  1. 脳室ドレーン等、抜去された時に再挿入が困難なチューブが留置されている患者に対しては、安全に管理するために抑制は行う。
  2. 筋力低下と肺炎等の合併症予防のため、極力抑制は回避したいとなった時は、時間を決めて運動を行うよう計画する。
  3. 5月にくも膜下出血に関する勉強会を病棟内で行ったが、再度計画し実施する。特にドレーンの重要性について勉強会を行ってもらう。
  • 判断に誤りがあった
106 障害なし デイボール CWS400 PVCセット メディコン 術後2日目に、ドレーンの抜去を行おうとしたが抜去できなかった。次の日に再度ドレーンを抜去したところ、挿入部の途中で切れてしまった。 縫合時に一緒に縫いこんでしまった
  1. 情報の共有
  2. 閉創時の確認
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
107 障害残存の可能性なし ペンローズドレーン カネカ(推定) 10年以上前に右乳房再建術(腹直筋皮弁移植術)および移植した皮弁の壊死した部位を局所麻酔下にデブリードマンおよび創縫合を当院当科で行った。1回目の手術で右側胸部の皮弁移植部に皮下ドレーン(ペンローズ)2本を留置し、術後4日目にペンローズドレーン抜去したとの記載あるが何本抜いたかの記載はなかった。
それ以後ペンローズドレーンの記載はない。本年他院外科で胸部CT検査を行い、ドレーン残留に気づき、当科へ連絡があった。現在、同部の症状はないとのことである。患者は現在当科への通院しておらず、外来カルテは残っていない。手術当時の入院カルテは残っている。
13年前の事で有り、詳細は不明であるが、ドレーンの抜去に関して、記述が一部しか残っていなかった。
ドレーンの抜去に関する記載方法のルールがなかった。
ペンローズドレーンの装着から抜去までの手順書を作成した。今後検証を行う予定。
手順書へ入れた改善策として、X線非透過部分を使用する、挿入本数を記載する、カウントが「0」になるまで確認する、抜去時は破損や断裂が無いか確認するなどを盛り込んだ。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った


なお、報告書には、改善策としてX線不透過部分を使用すると記載されているが、当該製品は全長にわたりX線不透過マーカが施されている。
108 障害残存の可能性なし 不明 不明 術後に挿入したペンドレーンを固定する際に、ペンローズドレーンに糸がかかっていなかった。術翌日に腹腔内に迷入した。 術後に挿入したペンドレーンを固定する際に、ペンローズドレーンに糸がかかっていなかった。目視で確認せず、牽引をしたところ抵抗があったために、糸がかかっていると判断してしまった。 ドレーン固定の確認は視認により行う。またはドレーンの先に安全ピンを付ける。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
109 障害なし 不明 不明 ドレーン類自己抜去後もせん妄症状あり、術後の安静及び、他のチューブ類抜去防止のため、指示のドルミカム使用した。効果確認のため10~30分毎に訪室し、様子観察していた。
センサーが作動したため訪室。硬膜外チューブを背中の部分で自己切断し、静脈留置針も自己抜去し、ベッドサイドに立ち上がっていた。臥床すすめ、体内に残っているチューブの先端不潔にならないように処理し、再度ドルミカムにて入眠をはかり、朝まで経過観察。朝主治医にて、チューブ抜去した。
硬膜外チューブの固定方法に誤りがあった。(ひっかかりやすいような固定方法であった)
チューブ固定法の手順を作成していたが、方法が浸透していなかった
統一した固定方法の周知徹底
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
110 死亡 ブラッドアクセス LCV-UKカテーテルキット 日本コヴィディエン AAA術後で人工血管感染症に対する再手術後、腎不全で透析中の患者。活動性は低下し、自力での体位変換は不可の状態。ソケイ部に留置した透析用カテーテルより抗凝固薬を投与中、15時にルート交換を施行(この時、気づかずにロックなしのエクステンションチューブを使用していた)。16時にオムツ交換と体位変換を実施した。体位変換前はルートトラブルなし。体位変換後にルート接続部の確認はしていない。
17時に次勤務者に引継ぎをしたが、交代時にルートトラブルの有無の確認はしていない。17:50、作業療法士が床上リハビリのため布団をめくると大量に出血していたため看護師に連絡。看護師が確認し、カテーテルダブルルーメンの片方の接続部が外れていた。血圧低下はなかったが、Hb低下のため輸血を実施。元々、重篤で経過中で翌朝血圧低下、除脈となり死亡。
  • 通常、カテーテル接続にはロックつきのエクステンションチューブを使用するが、ロックなしのエクステンションチューブが同じ棚に収納されており、取り違え易い状況であった。
  • 処置後のルートトラブルの有無の確認の未徹底。
  • 勤務引継ぎ時にルート確認の手順が守れていない。
透析用カテーテルからの大量出血は直接死因ではないが、状態悪化に影響した可能性がある。再発防止策として、輸液ラインにはロックつきエクステンションチューブを使用する。処置後のルートトラブルの有無について、指差し確認の徹底。ロックなしエクステンションチューブの収納場所の変更。
  • 確認が不十分であった
111 障害なし 不明 不明 腎ろうカテーテルの予定外抜去 確認不足。 固定液の確認。チューブにマーキングをする。ガーゼ固定を確実に行う。
  • 確認が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
112 障害残存の可能性がある(高い) ポーテックス トラキオマスク

蛇管(ブルーミスト)
スミスメディカル・ジャパン

小林メディカル
  • 午前7時7分にHR30台にてアラームが鳴り病室に訪室した結果、トラキオマスクと蛇管の接続部で酸素供給ホースが外れており、上肢抑制中の患者は蛇管を握り、SpO2が50%台を示し、HR110台、声かけに反応無し、BP110台で顔面・手首にチアノーゼがあり、患者の血中酸素飽和度と意識レベルの低下を認めた。
  • アンビューでの呼吸補助と吸痰を繰り返し、SpO2が80%台に回復、チアノーゼは数分で消失したが、呼びかけに反応無しで稀に瞬きがある状態が続いた。
  • 主治医から家族に状況説明のうえ、現在の呼吸状態では気管切開孔に人工呼吸器装着の必要性を説明したが、間質性肺炎の治療を受けていたころから患者本人と家族から呼吸不全末期時に人工呼吸器の未装着することを堅持されたため、未装着にて見守をした結果、翌日死亡された。
  • 深夜帯における早朝看護業務は、検温、採血、食事配膳などが重なりナースステーションに看護師不在となる時間があり、アラーム対応や急変対応ができない状況にあった。
  • アラームモニターとナースコールが連動していないため、ナースステーションに看護師不在時は対応不可能。
  • 今回、医師への連絡が遅れた要因の一つに、過去に緊急時に医師呼出の際、当直医から否定的な言動(担当以外等)を受けた経緯がある。
  • 看護師の3人夜勤にフリーの看護師1人を加えた4人夜勤体制をとり、定時ラウンド時はフリー看護師がナースステーション内での業務とモニターアラームの監視を行うこととした。
  • 診療科への連絡体制として、緊急時、通常は主治医に連絡、夜間緊急時は当直医と主治医の両方に連絡し、主治医の到着までは当直医が対応し、もしも主治医不在の場合はコードブルーとすることを改めて確認した。
  • 夜勤リーダー看護師の業務内容を見直し、特に患者急変時の対応を具体的に共有した導入方法を検討中。
  • 勤務状況
113 障害なし 不明 不明 ENBD-Tの予定外抜去 理解が得られないため、ナースステーションにて上肢抑制をしていた。しかし、患者本人で抑制をはずすことができてしまった。
 
身体抑制チェックリストにのっとって確認を怠らず、患者一人一人の個別性を考えながら抑制も工夫する。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
114 障害なし 不明 不明 ENBDチューブ予定外抜去 ミトン抑制を行っていたが、抑制がすぐに抜けてしまうような装着方法であった。 患者の状態や、体幹に合わせて効果的な抑制を行う。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った

 
115 障害なし PICC 不明 ルートが足に絡まり引っ張られたことにより、PICCルートの断裂。 ルートが絡まりやすい状態であった。確認不足。 その時の患者の状態、状況に合わせて、危険を予測し事故防止対策を実施する。
  • 判断に誤りがあった
116 障害なし アロー ダブルルーメンカテーテル テレフレックス メディカル ジャパン CVCのナート部分が切れておりCVCが抜けていた。 CVC挿入部の観察不足 カテーテル挿入者は、挿入部まで観察し抜去予防する。
  • 観察が不十分であった
117 障害なし PIカテーテル 日本コヴィディエン 患者が興奮状態になり抑制をしていたがNGチューブに手が届き自己抜去した。 患者に合った抑制不十分 患者の鎮静、抑制を効果的に実施する。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
118 障害なし PIカテーテル 日本コヴィディエン カテーテルとインサイト針の接続部が外れ、カテーテルが約4cm抜けてしまった。 小児のカテーテル管理の不備 カテーテル管理内容をルール化して管理する
  • 確認が不十分であった
119 障害なし アーガイル CVカテーテル 日本コヴィディエン
  1. 18:30輸液ポンプの気泡アラームにて訪室、患者は右向きの側臥位となっており、点滴架台がベッドに倒れかかり、ベッド上に輸液ラインに繋がったまま、ちぎれて7cmほどになったCVカテーテルを発見した。
  2. 左鼠径部から挿入されていたが、カテーテルの切断面は確認出来ず、2針ナートして固定してあったが、皮膚には1針のみ残っていた。出血無し、輸液漏れもほとんど無かった。
  3. 20:00当直医指示にて、レントゲン撮影をポータブルにて実施、鼠径部にカテーテルを確認、すぐに透視室に移動し鼠径部を切開、カテーテル断端を探すが確認出来ず。CT上、下大静脈内に残存している事が確認された。
  4. 22:15連絡を受けた主治医にて放射線科医師に確認したところ、当院での対応は困難な為、他院へ紹介するよう助言された。
  5. 24:00主治医より、他院へ相談、翌日救急外来で対応することとなった
  6. 翌日、8:30に家族と共に出発、他院救急外来受診し、透視下にて右大腿静脈よりアプローチ、専用カテーテルにて除去された。
  1. 入院当初より、点滴ルート自己抜去のリスクがあり、両手ミトン装着やルートの位置調整など対策をとっていた。
  2. 事故の30分前にも観察を行っていたが、特に変わった状況は無かった。
  3. カテーテルの破断は、皮膚との固定縫合部位に角度がついて、直接、瞬間的に力が加わる状況があったと推測される。
  4. ルートの途中にはシュアプラグがついており、ベッド柵に引っかかった可能性があり、患者が下肢を屈曲して右側臥位に寝返りした可能性がある。
  5. また、左手のミトンが外れており、固定用のテープを剥がしていたことも考えられる。
  6. ルート途中にループを作り、皮膚に固定することになっていたが、ループが作られていなかったため、引っ張られる力が直接刺入部にかかった可能性がある。
  1. 点滴ラインの固定には、必ず1カ所以上のループを作り固定する。
  2. 点滴ラインの整理は、体動範囲や途中でベッド柵に引っかからないよう考慮しながら行う。
  3. 紐タイプのミトンはほどける可能性があるため、製品を検討する。
  4. 患者の状態によっては、つなぎ服の着用を検討する。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
120 障害残存の可能性がある(低い) CVカテーテル 日本コヴィディエン 右頚部静脈から中心静脈カテーテルを挿入し、逆血確認、レントゲン上も問題なかった。連日薬剤投与し滴下も良好で、化学療法も行っていた。
20日後に化学療法後の評価のため実施した造影CTで、カテーテルが縦隔部に入っていることがわかり抜去。抗生剤投与を開始した。患者はカテーテル挿入後13日目に胸水貯留を認めたが、原病からくるものか点滴漏れの結果溜まったものかは判断不明。
毎回点滴の滴下が良好であったため、縦隔内に入っているとの予見ができなかった。 ルート交換や点滴開始時には毎回逆血の確認をする。
  • 確認が不十分であった
121 障害残存の可能性がある(低い) アーガイル CVカテーテル 日本コヴィディエン 医師が患者の左内頚静脈に中心静脈カテーテルを穿刺した。逆血確認後、ガイドワイヤーを挿入後にカテーテルを挿入したところ患者の体動がみられ、カテーテルの抵抗感を認め、患者の左頚部が腫脹した。
そのためカテーテルを抜去し圧迫止血、経過観察とした。約7時間後に患者が左背部痛と呼吸苦を訴え、レントゲン撮影で左肺の透過性低下がみられた。呼吸器外科に依頼し左血胸の診断でICUに入室となる。トロッカー挿入後、患者の状態は改善した。
CVカテーテル挿入時患者が疼痛による姿勢保持困難で、挿入時に体動を認めた。 CVカテーテル挿入は血管確認ができるエコーガイド下で行う。また患者状況により鎮静剤を使用する。
  • 判断に誤りがあった
122 障害なし 不明 不明 術後右頚部の腫脹著明、CVが挿入時より抜浅状態になっていた。レントゲンにて気管偏位認め、抜管は危険と判断し挿管状態で帰室。気管偏位おさまるまで挿管の予定。 体位変換時のCV牽引。加温回路の重みによるCV牽引。 CV挿入長、血液逆流の頻回の確認。
  • 確認が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった

 
123 障害なし アロー トリプルルーメンカテーテルセット テレフレックス メディカル ジャパン 消化管穿孔にて術後、鎮静・呼吸管理の患者。日勤帯で中心静脈カテーテルの入替えをし、準夜帯にて引き継いだ。トリプルルーメン挿入中にて茶色から夕分の抗生剤を開始するが入っていかず。ポンプで行っている輸液は入っているため、固定テープを変えたり、位置をずらしてみるが変わらず。空の注射器で引いてみるが逆血ないが、青ラインは逆血みられた。
茶ラインのみ詰っているのかと考え、ヘパリン生食を使用し注入。入ってはいくも逆血なく、次に原液のヘパリン2ml注入するが変わらず。訪室していた他看護師が挿入部位を圧迫すると逆血が見られた。その際、ヘパリン原液で使用するのは問題があるのではないかとの指摘を受ける。患者の凝固系も延長しており、それらを含め当直医へ報告。経過観察となる。
  • カテーテルが閉塞したと思い込んでいる部分が強く、ヘパリンで詰まりを解除しようという思いが強かった。
  • 一人で何とかしようとしてしまった。
  • 透析の際に使用するバスキャスの管理の際、原液ヘパリンを使用しているためヘパリンを使用してもいいのではと思い込んでいた。薬剤の影響を軽視していた。
  • 問題が起こった時は一人で解決しようとせず、他の人へも声を掛け知恵を借りる。
  • まずカテーテルが当っていることを前提に角度を変えるなどの対応をする。
  • ヘパリンは身体への影響が大きいため、詰まりがあるようなら生食を使用していく。
  • CV閉塞時の適切な対応が院内で決まっていないことが問題であり、セイフティーマネジャー会議の下部組織としてのワーキンググループを立ち上げ検討する。
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
     
  • 連携
124 障害なし シュアプラグ輸液セット テルモ 患児が抑制を外し、自己抜針していた。 肘、手指抑制を行っていたが、看護師が離室中にルートを自己抜針してしまった。
抑制が体幹のみで不十分であり、看護師の児の状態の観察、確認が不十分であった。
訪室時、退室前には抑制が緩んでいないか必ず確認する。
  • 観察が不十分であった
125 障害なし シュアプラグ輸液セット テルモ 24時間キープでヘパリンが投与されていたが、ルートをハサミで切断し、トイレに行った。 頻尿がある患者で日中もトイレに行く際、ナースコールを押し忘れることがあった。 体動コールを手の届かないところに装着し、繰り返しトイレの際はナースコールを押すよう説明していく。
また、危険物は預かり、点滴の必要性を理解するまで説明する。
  • 患者・家族への説明
126 障害なし シュアプラグ輸液セット テルモ 体動により末梢ライン接続部が外れた。 患児は禁乳中であり、空腹時啼泣が激しく、体動も盛んであった。体動盛ん時は、鎮静を図っていたが、他の患児への哺乳介助を行っている際に外れたと考えられる。
 
啼泣時に患者のそばを離れるときは、固定部や接続部を確認する。
他のメンバーに声をかけて離れる。
  • 確認が不十分であった
127 障害残存の可能性なし テルモシュアプラグ輸液セットサーフローフラッシュ テルモ 不穏のため末梢静脈ラインを自己抜去した。 患者の状況を見て危険を予知する能力の不足 患者の状態をアセスメントしチューブ類の自己抜去防止対策を立て実施する
  • 判断に誤りがあった
128 障害なし サーフローフラッシュ

テルモシュアプラグ輸液セット
テルモテルモ 認知症のある患者に対し点滴を行ったが、自己抜去防止対策を取らなかったため抜かれてしまった。 外来業務煩雑 家族がいる場合は必ず家族に付き添って頂くようにする。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 勤務状況
129 障害なし サーフローフラッシュ

テルモシュアプラグ輸液セット
テルモテルモ 不穏状態にあったが、監視装置や抑制帯を使用せずラウンドのみで様子を見ていたところ、末梢点滴ラインを自己抜去した。 患者のアセスメント不足 患者のアセスメントを十分に行い適切な対策を実施する。
  • 判断に誤りがあった
130 障害なし JMS三方活栓 A-R

JMS麻酔用注輸セット
ジェイ・エム・エス

ジェイ・エム・エス
著明な血圧低下を認めショック状態で救急搬入され入院。
腎盂腎炎に起因したショック状態で抗生剤、輸液管理、Aライン挿入によるバイタルサイン管理をしていたところ、患者は不穏状態が続き点滴を引っぱったりしていたので、家族の付き添いを許可して抑制をしていた。モニター上でA圧が90~80台へ下降。訪室すると末梢ラインの接続が外れて出血していた。輸液と混ざり、約300ml流出していた。DIC合併により、もともと貧血があり予防的に輸血を行った。
  • 環境の変化による精神障害
  • 点滴ライン接続部の確認が不十分
  • 接続部の緩みがないか、定期的な確認をする
  • 確認が不十分であった
131 障害なし 不明 不明 啼泣、胎動が激しく、右足内踝より末梢へパロックが抜けていた。 啼泣、胎動が激しく、鎮静を図ろうと児に触れたところ、刺入部を固定しているテープがはがれ、末梢ヘパロックが抜けていた。 すみやかに児の鎮静を図るとともに、刺入部の観察を行う。さらに必要のないと考えるルートは医師に上申し、すみやかに抜去する。
 
  • 観察が不十分であった
132 障害なし 不明 不明 点滴中の患者を検査に移送後、点滴の針が抜けていた。 点滴実施後の担当が明確でなく、検査室より帰室してから患者の所にラウンドしたものがおらず、事故が起きてしまった。 担当を明確にし、責任をもって新人看護師のフォローを行うと共に患者の年齢、病態、ADL等を考慮し、アセスメントをした上で観察を行う。
 
  • 観察が不十分であった
133 障害なし セイラムランプチューブ 日本コヴィディエン 動脈ライン、胃管チューブを予定外抜去 不穏・興奮状態となる前に、多弁・幻覚等前兆がみられていたため、ベッドサイドで観察していたが、極度の興奮状態にって抜いてしまった。 前兆がみられたときは、早めに医師に相談し、鎮静などの指示を仰ぐ。
  • 判断に誤りがあった
134 障害残存の可能性なし 動脈ラインカテーテル 不明 生後6日。AM4時20分に動脈ラインが外れ、出血しているのを発見した。ガーゼとシーネを測定すると5gであった。体重333gで5gは生理食塩水も含まれるが50kg成人の800gの出血に相当する。前日より圧を測定せず、腕の固定を数回直していた。当日、4時15分に圧波形が出ていることとラインを確認した。
圧アラームが鳴り、圧波形が出ていないため、生理食塩水をフラッシュして動脈圧を測定できるようにした。(その時刺入部は観察しておらず、出血の有無は不明)4時20分頃、HRが130台から160台に上昇し、シーネが血液で汚染していることを発見する。固定を外したところ、サーフロー針とラインの接続部から脱血していた。血圧は55/33で問題なし。9時の採血結果がHb10.5g/dlから8.0g/dlに低下しており、輸血6.4ml施行した。
モニター上、動脈圧を測定しなくなった時に刺入部を固定テープで調整したり、上肢の角度を頻回に調整したことで徐々に接続部のロックが緩んでしまっており、フラッシュで外れたと考える。刺入時から接続が強くなかった可能性もある。 医師はAライン挿入時、ラインを接続したら、最後までしっかりねじ込んだことを確認する。波形が圧を表していない時は、刺入部から観察し、異常がない場合はフラッシュする。改善しない場合は医師と固定を確認する。
  • 確認が不十分であった
135 障害残存の可能性なし ソフトシール スミスメディカル・ジャパン カフ圧が不足していたため吐物を誤飲し酸素飽和度が低下した。再挿管した。 カフ圧測定ルール無視 各勤務ごと、適宜カフ圧を測定するルールを徹底する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
136 障害残存の可能性なし ポーテックス スミスメディカル・ジャパン 医師と共に挿管チューブの再固定を行ったところ、片肺挿管になってしまった。直ちに再挿管を行った。 固定後の確認不徹底 再固定後は十分に聴診し確認することを徹底する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
137 障害残存の可能性なし ソフトシール スミスメディカル・ジャパン 体位交換時に気管内チューブに水滴が入り酸素飽和度低下、除脈となった。直ちに再挿管を行った。 気管内チューブに対する配慮の欠如。リスク感の欠如。 体位交換時は必ず挿管チューブのあらゆるリスクを想定し事前に準備して実施する。
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
138 障害残存の可能性なし ソフトシール スミスメディカル・ジャパン 気管切開チューブのガーゼを医師と交換しようとしたところ、チューブが抜け酸素飽和度が低下してしまった。再挿入した。 気管切開チューブにおける挿入部のガーゼ交換のリスク ガーゼ交換は必ず2名で実施する。チューブの観察、保持を十分に行う。
  • 観察が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
139 障害残存の可能性なし ソフトシール スミスメディカル・ジャパン 医師とテープ交換中、気管内チューブを誤って抜去してしまった。 医師、看護師のチューブ交換における注意不足 チューブ交換時は一方が必ずチューブをしっかり保持する
  • 観察が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
140 障害なし ソフトシール スミスメディカル・ジャパン 意識障害のある患者に対し、両上肢ミトン抑制を行っていたが体動が激しく抑制が緩み、挿管チューブに手が届き自己抜去した。 患者監視の不備、効果のない抑制の実施。 患者の状況をアセスメントし患者に合った抑制を行う。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
141 障害なし セーフティクリアソフト挿管 スミスメディカル・ジャパン
  1. 広範囲熱傷で経鼻挿管し人工呼吸器装着患者。
  2. 創傷処置のため、ベッドから移動した際に気管チューブ抜去。
  1. 移動の声掛けをする者が、気管内チューブを人工呼吸器から外した事を確認していなかった。
  2. 他の介助職員も確認不足だった。
  1. 頭部管理の医師が必ず確認する事を徹底する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
142 障害残存の可能性がある(低い) 不明 不明 20:00に口腔ケアを実施した際には、挿管チューブの固定位置には問題なく、カフ圧も20cmH2Oだった。
20:40カフ漏れを確認。テープ固定位置に変化はなし。(口腔内までは確認していない。)
カフ圧をチェックしたところ、20以下に低下していたため再度airを注入し、20cmH2Oに直したが、カフ漏れは改善しなかった。首の向きや体位なども調整したが改善しなかった。TVは600から300、SPO2は100%から98%まで低下した。
20:45隣の患者を受け持ちしていた看護師にカフ漏れについて相談し、リーダー看護師と主治医に報告を行ったが、どちらも入院患者が3件続いており、対応できないとのことで、他の当直医師のA医師、B医師(どちらも研修医)が対応することとなった。この時のSPO2は90%台前半まで低下していた。
20:50医師がカフ圧を50cmH2Oまで注入したが、カフ漏れは改善しなかった。
再度挿管の固定を確認したところ、テープ位置は22cmだったが、口腔内でチューブがたわんでいた。テープを外すとチューブが浮いてきてしまい、口角20cmと浅くなってしまった。
医師により、挿管チューブを押し込んで23cm固定に入れ直そうとしたが、カフ漏れは改善せず、SPO2 84%、TV300台と呼吸状態が悪化したため対処不能と判断し、主治医であるC医師にもう一度報告を行った。
21:00 C医師により挿管チューブを抜去して再挿管を試みたが、3回トライしたものの咽頭浮腫が強く経口挿管困難であった。BVMによる用手換気は良好で、SPO2は100%に改善したため、換気を実施しながら緊急で気管切開術施行した。
その後はSPO2は100%キープされ、TVも500‐800と改善し呼吸状態は安定している。気管切開や挿管操作による皮下気腫などのトラブルもなく経過中である。
カフ漏れの患者について、これまで発見時から対処を行ったことがなかった。これまで受け持ったことのある患者に対する対処では、首や体の向きを変えるというパターンが多かったため、そのように対処をすれば改善するかと考え、周囲のスタッフやリーダー看護師に相談しないで対処を行ってしまった。
カフ漏れ=カフの異常という認識であったため、異常が生じた際に呼吸音の聴取などが行えなかった。
入院患者が立て続いており、リーダー看護師・主治医が患者対応を実施できなかった。
挿管チューブの固定位置を確認していたが、テープ固定の場所だけを確認していて、口腔内でチューブがどのような位置にあるか、というところまで確認できていなかった。
患者の異常についてリーダー看護師が報告を受けた場合には、入院対応を他のスタッフに変更し、必ずベッドサイドに向かうことや、カフ漏れなどのチューブトラブルに対する患者対応について、情報共有を行うために毎朝のカンファレンス等で事例を提示し、対応策について確認を行った。
  • 確認が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
143 障害なし メラソフィットクリア8.0C-S 泉工医科工業 12:30、病室にて脳神経外科医師により気管切開術施行となる。気管カニューレはメラソフィットクリア8.0C-Sが挿入となる。人工呼吸器はServo i(V3.0)モードPS+CPAPで設定。ラボナールで鎮静中である。22:00、瞳孔対光反射あるが、両側ピンホール状。体位変換時顔を歪めるが、四肢の動きは殆ど見られず。時折バックアップ換気となる。
翌日7:10、鼾呼吸が聞かれる。カフ圧確認すると、24mmHgのため医師へ確認し、空気が漏れているためカフ圧34mmHgとする。その後鼾呼吸は消失する。このとき、医師は皮下気腫がないことを確認している。2月8日11:50、受け持ち看護師Aは口腔ケアのため、カフ圧計にてカフ圧確認する。カフ圧は28mmHgから誤嚥予防のため、50mmHgに上げて口腔ケアを行った。施行後、カフ圧は34mmHgまで下げた。胃内の気泡音を確認して経管栄養チューブから内服薬を注入した。12:00、経管栄養実施前に、看護師Aと看護師Bは二人で体位変換を行うため、人工呼吸器の蛇管を支持アームから外し、蛇管はカニューレに接続した。患者は右側臥位となっており、左側臥位とするためにベッドの右側に設置した人工呼吸器に近づけるため水平移動を行った。看護師Bが患者の体を持ち左側臥位にしようとした際、患者の口からエア漏れ音があり、呼吸が頻回になっていることに気付いた。この時、看護師Bはカニューレが抜去された可能性とカニューレのカフに何らかの異常が発生した可能性を考えた。そのため直ぐに気管切開創を観察し、カニューレが抜けていない事を確認した。次にカフ圧を確認するがカフに空気が入らず。SP02 80~60%と低下し、頻呼吸と全身チアノーゼが見られた。看護師Bは人工呼吸器を外し、カニューレからバックバルブマスクにて用手換気を開始した。同時に看護師Bは「エアが口から漏れているので来てくれませんか」と医師へ電話連絡を行った。経口的、カニューレから人工換気を続けるがSP02 60~50%まで低下する。気管カニューレから人工換気を続けた。顔面・胸部に皮下気腫が出現し、HR64回/分、SP02 30~10%まで低下した。12:10、医師C到着し、気管カニューレ縫合部を抜糸し、入っていたカニューレを抜いて気管切開創を広げ、新たにカフ圧を上げて呼吸音を確認し、バックバルブマスクにて用手的換気を再開した。12:25、SP02 80%台まで上昇し、チアノーゼは改善した。人工呼吸器に接続し、PSからSIMVに設定変更を行った。呼吸回数40~50、呼吸浅く頻回でSP02 90%前後で経過する。12:50、胸部レントゲン写真でカニューレの位置確認を行う。患者の状態が落ちついた後にカフ圧計を確認すると、エア漏れがあり、カフ圧計のねじの緩みが発覚した。この胸部単純レントゲン写真にて気胸が疑われた。しかし、写真そのもので、「気胸ではない」という意見もあり、呼吸状態・バイタルサインが落ちついていることなどから、再度、胸部単純レントゲン写真をポータブルで撮影してみることとなった。14:26、 ポータブル胸部単純レントゲン撮影施行。再び撮影した胸部単純レントゲンでも、気胸は確定不能。17:30 、皮下気腫の拡大ないことを確認。SpO2低下。医療安全推進室の看護師・医師Dが来棟。医師Dは本院呼吸器・心臓血管外科医師であり、主治医は、日勤帯に撮影した胸部単純レントゲン写真について相談した。気胸の可能性は否定出来ず、確定診断のためにCT撮影に移動することとなった。21:51、胸部CT撮影施行。両側気胸判明。患者家族にCT検査結果を説明。23:00、呼吸器外科医師による胸腔ドレナージ施行となる。
患者の特性(猪首で肥満傾向、睡眠時無呼吸症候群あり。気管切開時、非常に厚い皮下組織が観察された。)から、カニューレが抜ける危険性のあることを、医師がもっと看護師へしっかり伝達すべきであった。
  1. 気管カニューレ挿入患者で、人工呼吸器装着中の場合は、少しの移動や体位変換時にも必ず蛇管を外す。
  2. 患者の体格からカニューレの先端が抜けやすいことを医師、看護師間で情報共有を行う。
  • 判断に誤りがあった

 
144 障害残存の可能性がある(低い) シャイリー 気管切開チューブ コヴィディエン ジャパン 医師が患者の気管切開カニューレを定期交換した。その3分後に、患者はSpO2が80台に低下したため、医師がアンビューバックにて加圧したが抵抗あり、SpO2 28台 HR30台に低下し心肺蘇生を施行した。その後新しいカニューレに交換、薬剤投与にて患者は徐々にバイタルサインが安定した。
急変の原因と考えられるのは、通常気管切開カニューレは再使用をしており、カニューレの内腔に乾燥した痰が付着していた事による閉塞が疑われた。今回は交換25日前に洗浄・消毒し保管してあったカニューレを看護師が準備し、内腔を目視で確認した。医師はカニューレの先端に異物がないことを目視で確認しカニューレ交換を行った。
通常、気管切開カニューレを洗浄・消毒後に再使用していた。 気管切開カニューレは単回使用とし、再使用は禁止とする。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
145 障害残存の可能性がある(低い) シャイリー 気管切開チューブ 小児用 コヴィディエン ジャパン 気管カニューレの気管外への逸脱 診療科間の連携不足。 抑制を十分に行う。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 連携

 
146 障害残存の可能性がある(低い) スピーチカニューレ 高研 深夜帯で30分前には睡眠中であること、抑制帯・ミトンも装着していることを確認し、朝の巡視に廻った。30分後、当患者の部屋を訪室すると抑制帯・ミトンは外れスピーチカニューレが抜けていた。
自発呼吸が少ない状態ですぐに医師に連絡を行い、直ちに気管カニューレを挿入しバックアンドマスクを施行した。頸動脈の拍動を触知しなかったため心臓マッサージを開始した。8分後頸動脈拍動を触知したが自発呼吸はなかったため人工呼吸器を装着しICUに入室となった。事故当時、患者は酸素飽和度モニターを装着していたが、看護師は巡視中のためアラームに気付かなかった。ICUにて低体温療法等の集中管理を行い、事故前の状態に改善し一般病棟に転棟になった。
抑制帯・ミトンの装着方法が適切に行われていなかった。
酸素飽和度モニターのアラームが巡視中であったため、聞こえなかった。
体の動きが激しい患者への抑制方法に対する教育を実技演習を含めて行う。
巡視中のアラ‐ムキャッチのための方法について、今後検討を行う予定である。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
     
  • 勤務状況
147 障害残存の可能性がある(低い) アーガイル気管切開チューブ 日本コヴィディエン 肺炎のため気管挿管し人工呼吸器管理開始する。気管切開を実施した。気管切開の3日後、0時に不隠様症状ありセレネース使用し6時まで入眠したが、起床後体動激しくなり、危険行動に対する指導で平静になるため様子観察していた。7時10分呼吸器の閉塞アラームがなり訪室する。
呼吸器の回路には閉塞なく、吸引を試みるがチューブが挿入できず、徐々に顔面に腫脹を認めたため当直医師をコールし診察する。SAT80%代に低下するが、呼吸器をはずし口腔から酸素投与にてSAT96%まで上昇。レントゲン、胸部CTの結果皮下気腫と縦隔気腫、両側気胸認めたため胸腔ドレーン挿入しICUへ転棟する。

事象発生後の調査において、患者は左右に体を動かし運動をしていたとの発言(筆談)があったことから、患者の体動によりチューブが抜けかかり皮下組織へ迷入した可能性が考えられる。
持続鎮静を2日前に中止しており、危険行動がある際も、看護師による指導で平静になるため、鎮静剤の検討や抑制具の検討が不足していた。
気管チューブの可動性があり、前日耳鼻科診察を実施したが、ベルトの固定強化のみの指示であり、他の対応をしていなかった。
持続鎮静を中止後、不隠行動に対してリアルタイムに医師と薬剤や抑制具の検討を行う
気切部のリークに対して、体動が激しい場合はベルト固定のみでなく、気切チューブの縫合固定を医師と検討する
  • 判断に誤りがあった
148 障害残存の可能性なし HAMILTON・C2 日本光電工業 21:55、看護師Aが他患者の排泄介助のため廊下を移動中に、HCUの前でアラーム音に気づき、HCU入院患者の所へ行くと、挿管チューブとL字管の接続部が外れていた。患者は、浅速呼吸でSpo2は74%、HRは140台、顔色不良、チアノーゼがあり。直ちに、人工呼吸器を接続し、100%酸素投与。担当のHCU看護師に報告。看護師3名で対応。
21:57、Spo2は85~87%、呼吸回数は30~35回/分、開眼し上肢の運動あった。呼吸器アラームのリコールを確認すると、
21:48に呼吸器回路が外れアラームが約7分間呼吸器が外れていたと考えられた。22:03、Spo2は97%、HRは110回/分。22:10当直医師、準夜看護師長に報告。22:30当直医師の診察あり、体動が激しい時はミダゾラム増量の指示および、経過観察の指示があった。主治医は、患者は自発呼吸があり、意識レベルの低下はなく、脳障害はなし、病状および経過には影響ないと判断し、家族への説明は行わなかった。腎機能悪化のため透析目的のため、翌日他院へ転院した。臨時拡大医療安全委員会としての意見は、基本的には家族に説明するのが原則であった。今後医師個人の判断で説明は不要を思っても、周囲の職員が説明を促すようにするように指導した。
発生時、21:30頃からHCU看護師1名、病棟フロアー看護師3名の全勤務者が同時に休憩室で休憩をしていたため、HCUには看護師は不在であった。ドアを開けていれば、アラーム音がきこえて対応できるという過信があった。アラーム音は休憩室まで聞こえなかった。勤務表にも、交代で休憩をとることになっていたが、守られていなかった。同時に休憩することが慣例化していた。勤務者全員がリスクについての危機感が薄れていた。 HCUには、必ず看護師が常駐できる体制が取れるように勤務者で時間調整をする。HCU看護師の休憩確保のため、病棟フロアーのリーダーが交代する。病棟会議で、全員の休憩は厳禁であることを確認した。人工呼吸器装着に伴う合併症・リスク等、人工呼吸器使用患者の看護について再学習する。直ちに当直医師に報告しなかったことも判断ミスとして、緊急じ・急変時の院内ルールについて再指導した。
 
  • 確認が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
149 障害残存の可能性なし 不明 富士システムズ 9:20夜勤者と日勤者の看護師で人工呼吸器の作動状況の確認を行った。その後カフ圧の確認をしたところ減圧があったため、カフ圧を24まで加圧した。9:30患者は右側臥位で、人工呼吸器は患者の右側にあった。ベッドの両側に看護師2名ずつが立ち、左側の頭部側にいた看護師がフレキシブルチューブと患者の頭部を持った。左側の足側にいた看護師1名が肩と腰を持ち、右側にいた看護師1名が背部を押して左側臥位にした時気切チューブが抜けた。
SPO2は95%、バックバルブマスクにて人工呼吸を開始した。直ちに病棟にいた医師に報告。医師は気管カニューレを再挿入し、人工呼吸器を装着した。SPO2 100%となった。当日長男に「体位変換時、気管カニューレが抜けたため、すぐに再挿入しました」と説明した。長男より「ご迷惑をおかけします。大変だとは思います。いつもお世話になり感謝しています。大丈夫です。」と話された。
  1. 体位変換時、気管カニューレ、蛇管の保持が不十分であった。
  2. 人工呼吸器装着患者の体位変換時、4人のタイミングが合わなかった。
  3. 気管カニューレの固定紐がゆるんでいた。
  4. カフエアの確認を体位変換前に実施したが、抜けた後のカフを見るとしぼんでおり、カフエアが必要量入れられていなかった。
  1. 呼吸ケアチームよる人工呼吸器装着中の体位変換について学習会を実施した。
  2. 体位変換方法を統一し、体位変換時は看護師3名で行い、看護師1名が気切チューブと蛇管を持ち声をかけるようにした。
  3. 体位変換方法について、デモストを病棟看護師全員が行なった。
  4. 気管カニューレのカフエア交換・固定の方法を統一した。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
150 障害なし ファイコンGB気管切開チューブ8.5ID 富士システムズ 4:30の観察時、SPO2は100%であった。4:40頃、人工呼吸器の高圧アラームが鳴り気管内吸引しようとしたがチューブが入らず、SpO2が30%台まで低下する。深夜看護師長に連絡し、すぐにバックバルブマスクで加圧するが抵抗がありSPO2は上昇しなかった。外科医師と内科医師(当直)来棟。4:50に気管支鏡を実施し、気管カニュ―レの逸脱と判断されたが、再挿入は不可であった。口腔挿管困難であったため、5:00に経鼻挿管を実施した。その後、気管カニューレを抜去し気管切開部を縫合した。
  1. 体位変換時の呼吸器蛇管の重みや引っ張り
  2. 患者本人の無意識の頚部の不随運動(てんかんによる痙攣)
  1. 再手術で気管カニューレのサイズを変更(8.5IDから9.0ID)し気管内の距離が長いものにした。
  2. 気管カニューレを頚部の皮膚に3針縫合固定し逸脱防止をした。
  3. 看護ケア上の対策として、臨時カンファレンスで事例共有し、体位変換時の注意の徹底、患者の覚醒状態や無意識の頭部の運動状況について観察を密にしてカニューレの逸脱防止を強化していくこととした。
  • 観察が不十分であった
151 障害残存の可能性がある(高い) 不明 不明 日勤よりの申し送りで血性痰が引ける事、痰が固い事、2週間カニューレ交換していないことを申し送られた。夜勤帯では呼吸平静、SPO2低下、肺副雑音の聴取はなかった。20:00より翌日5:00ごろまで吸入吸引はしなかった。7:15ネブライザー終了し気切より暗赤色粘間痰吸引、その後おえつのような呼吸状態出現、全身チアノーゼあり、SPO2測定不可能となる。夜間当直医報告。その途中に呼吸停止が見られ、すぐにアンビュー、O2 10L開始、医師より気管カニューレ交換施行。気管カニューレ交換後、呼吸状態安定し、チアノーゼ改善、JCS改善見られた。 気管カニューレ閉塞に対する認識が乏しい。
喀痰の性状を送られていたことに対する観察やその対処についての指導不足。
気管カニューレ交換を2週間未実施の場合、転入後に主治医に交換を依頼する。患者の呼吸状態・SPO2測定、肺副雑音の聴取などは気管切開をされている患者の場合、2時間おきに行い、その都度吸入、吸引していくよう指導する。喀痰が固い場合は、患者の呼吸状態などをよく観察しネブライザーを頻回に行い吸引していくよう周知徹底していく。
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
152 障害なし JMS栄養カテーテル ジェイ・エム・エス 啼泣盛んで咳き込んだ時にMチューブが抜けてしまった 啼泣児の患者管理不十分 啼泣時はカテーテル抜去に至るリスクが高いため、あやす、乳首を与えるなどの児の管理を徹底する
  • 確認が不十分であった
153 障害なし JMS栄養カテーテル ジェイ・エム・エス Mチューブが患児の手に引っかかり抜けてしまった。 患児の状態把握 患児の状態をアセスメントし予防策を実施する
  • 判断に誤りがあった
154 障害なし JMS栄養カテーテル ジェイ・エム・エス ミルク注入をしようとMチューブをみたところ抜けていた。抜去詳細不明。 患児の状態不安定 監視、抜去防止の工夫
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
155 障害なし バラードMIC栄養チューブ キンバリークラーク・ヘルスケア 胃食道逆流症で在宅療養における胃瘻ボタン造設術目的に他病院から転院。翌日手術実施し、術後5日目男児が啼泣したため抱っこし、ベッドに戻す際、胃瘻接続チューブがベッド柵と看護師の腹部にはさまり、接続チューブとともに胃瘻ボタンが抜去された。看護師が胃瘻閉鎖の危険を考え、胃瘻ボタンを再挿入し、バルーンの水 3ccと内服 5ccを注入。児が啼泣したため、その後の注入を中止。看護師長より担当医へ連絡。その後医師が来院し診察した結果、看護師の再挿入は胃内ではなく、胃外の腹腔と判断、汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した。
  • 胃瘻ボタンが抜去された後、看護師自己判断でボタンを再挿入し、正しく挿入されたか確認せずに薬液を注入したこと。
  • 看護手順では抜去時には医師に至急報告と記載されているが、すぐに連絡せず、看護師長が来てから連絡した報告の遅れ。
  • 入院中の患者の胃瘻ボタンが抜去された時には、看護師は再挿入することなく、至急、当直医師若しくは主治医等に連絡し、医師が再挿入すること。
  • 注入の際は医師が造影剤等を用いて胃瘻ボタンが確実に挿入されていることを確認後、注入すること。
  • エクステンションチューブ等の延長チューブを接続したまま、患者のケアをしないこと。
  • 確認が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
156 障害なし セイラムサンプチューブ 日本コヴィディエン チューブ自己抜去などの危険行動は見られていなかったため抑制をしていなかった。不穏により自己抜去した。 患者の状況アセスメント不十分。 患者のアセスメントを十分に行い危険を予防する。
  • 判断に誤りがあった
157 障害残存の可能性なし フィーディングチューブ ダブルタイプ スタイレット付き トップ 僧帽弁位人工弁周囲逆流、三尖弁閉鎖不全症に対して、僧帽弁再置換術、三尖弁置換術を施行した。
しかし、術後心不全が遷延したため、気管切開術施行、経鼻胃チューブより経管栄養を開始していた。午後10時35分に経鼻胃チューブを自己抜去した。翌日午前7時5分に経鼻胃チューブを再挿入したところ、約40cmのところで抵抗を感じた。吸引したところ血液が引けた為、胃潰瘍からの出血、気管支への誤挿入を疑い、胸腹部レントゲン、CTを撮影した。画像上右気管支への挿入を認めたため、気胸予防目的に胸腔ドレーンを挿入し、経鼻胃チューブを抜去した。
高齢であり、また、術後心不全が遷延しており、咳嗽反射、嘔吐反射が低下していた 透視下チューブ挿入を行う。2名以上の医師で確認しながらチューブ挿入を行う。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
158 障害なし セイラムサンプチューブ 日本コヴィディエン 不穏のため、NGチューブ予定外抜去 日中よりミトン抑制を外しており、夜間もしていなかった。体動コールが鳴り、訪室をするとNGチューブが抜けていた。 日中不穏症状なくても、状態観察を十分に行い、抑制の必要性を評価する。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
159 障害なし セイラムサンプチューブ 日本コヴィディエン 夜間抑制可の指示であったが、他の業務で抑制をしていなかった。ラウンドまでの間に抜去されてしまった。 抑制条件の不適切。煩雑な業務。 時間帯ではなく患者が危険であると予測できる時期に抑制を行う。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 勤務状況
160 障害なし JMS栄養カテーテル ジェイ・エム・エス 患児の手に引っかかってMチューブが抜けてしまった。 体動が激しい児のチューブトラブルの予防が不十分 体動が激しい児の場合にはチューブの位置、固定、抑制考慮して予防する。
  • 判断に誤りがあった
161 障害なし セイラムサンプチューブ 日本コヴィディエン 入院後2か月間自己抜去等の危険行動が見られなかったため予防していなかった。
不快のためNGチューブを自己抜去した。
今まで危険行動がなかったので大丈夫という過信があった。 患者の日々の状態をアセスメントし危険兆候を見逃さない。
  • 判断に誤りがあった
162 障害なし セイラムサンプチューブ 日本コヴィディエン 車いすに乗車して抑制を行っていたが、抑制帯が緩み、NGチューブに手が届き自己抜去した。 ナースステーションで管理していることの過信 ナースステーション管理中の監視の工夫と徹底
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った

 
163 障害なし セイラムサンプチューブ 日本コヴィディエン 両手をメガホン、グリップ型抑制を行っていた。ベッドアップしていたが体がベッドからズレ落ちて、NGチューブに手が届きチューブを自己抜去してしまった。
 
抑制している患者のベッドアップ時の観察不備。 抑制時チェックリストの徹底。
  • 観察が不十分であった
164 障害残存の可能性なし カンガルーPEGキット 日本コヴィディエン 14時注入後胃ろうチューブをタオルで巻き、腹帯をし、パジャマの上着の裾をズボンの中へ入れた。16時オムツ交換をするが腹帯の位置の確認をせず、またパジャマの上着の裾をズボンの中へ入れなかった。18時訪室時、胃瘻チューブを抜去し、左手に持っているところを発見する。抜去部からの出血が少量あった。消化器内科医師に報告し、指示にて看護師が胃瘻部にネラトンカテーテル14Fr挿入し固定する。18時45分医師により内視鏡下で胃ろうチューブを再挿入した。
  • 認知症があり、胃ろう造設翌日左手を動かし、カーテンを引っ張る ズボンを脱ごうとするなどの動作があった。
  • 腹帯は使用していたが、日中眠っていることもあり介護服着用やミトンの装着までは必要ないと判断した。
  • 観察不足だった。
  • 認知症患者の胃瘻造設時、医師は、家族に自己抜去の可能性、それによる危険性を説明し、介護服を着用する。上肢の動きの程度によりミトンの使用を行う。
  • 毎日患者の行動・胃ろうチューブの挿入部の観察を行う。
  • 毎日カンファレンスを行い、自己判断しない。
  • 胃瘻についての勉強会(胃瘻の管理方法・合併症・抜去時の対応)を実施する。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
165 障害なし セイラムサンプチューブ 日本コヴィディエン 従命が可能であったため抑制を終了していたが、理解力が低いため抜去防止ができていなかった。 患者の状況アセスメント不足 抑制解除時の看護計画を適切に立案し、実施する。監視体制の強化。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった

 
166 障害なし セイラムサンプチューブ 日本コヴィディエン 車いすに乗せた状態でNGチューブから経管栄養をつないでいたが、自然抜去してしまった。 患者の監視体制不備。 患者の監視強化と固定方法の工夫を行う。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
167 障害残存の可能性がある(低い) ジェジュノストミーカテーテル 日本コヴィディエン
  1. 朝より痰量が多く頻回に吸引を行い、気道浄化し呼吸を整え食事開始に向け準備した。
  2. 8時10分 経腸栄養を開始するため訪室した。
  3. 患者の腹部には3本のチューブが挿入されていた。左側上部が腸ろう(栄養用)チューブ、左側下部が永久気管支ろうチューブ、右側に減圧胃管チューブが挿入されていた。
  4. 永久気管支ろうチューブはガーゼ保護されており、左側の2本のチューブには同型の栄養用チューブ用の三方活栓が接続されていた。
  5. 患者から「いつもこちらから入れている」と左側下部のガーゼ保護したチューブを示された。
  6. 看護師は左側下部の永久気管支ろうチューブに経腸栄養(エレンタール)を接続し、70ml/hで滴下を開始した。
  7. 8時30分 SpO2が低下し、白濁物を少量嘔吐し吸引や酸素投与・深呼吸を促し、15分後に改善した。
  8. 9時 他の看護師が訪室し、永久気管支ろうチューブに経腸栄養が接続されているのを発見した。
  1. 看護師は、手術後経腸栄養チューブを接続するのが初めてであった。
  2. どのチューブが何の目的で挿入されているか、十分な確認をせず経腸栄養チューブを接続した。
  3. 複数のドレーンチューブが挿入されていたが、チューブの名称などの記載がなかった。
  4. 永久気管支ろうチューブに使用したカテーテルは、通常胃管カテーテルとして使用している医材であった。
  5. 永久気管支ろうチューブと腸ろう(栄養用)チューブは共にクランプされ、栄養用の三方活栓が接続されていた。腸ろう(栄養用)チューブはクランプ弁がついていたため、三方活栓は必要なかった。
  6. 永久気管支ろうチューブは医師が排液や脱気を行う時のみ開放していた。そのためあえてガーゼ保護していたが、それは通常の胃管カテーテルの管理と同じ方法であった。
  7. 経腸栄養を行うための専用チューブを使用したが、周知されていなかった。
  8. 比較的少ない症例の治療であったが、事前に医師・看護師間の情報共有や勉強会などが実施されていなかった。
  1. 手術直後に医師と手術室看護師で、チューブの確認を徹底する。名称記載を同時に行う。
  2. 病棟看護師は、術後開放されていたドレーン類がクランプされた時に、テープに名称を記載しチューブに貼る。
  3. チューブ接続の際は、リーダー看護師または前勤務者とダブルチェックを行う。
  4. ドレーンチューブが複数挿入されている時には、必ず挿入部位・目的を確認後に接続する。
  5. 経腸栄養専用チューブ(ジェジュノストミー)について周知する。
  6. 三方活栓は、色を変えた処置用の使用を検討する。
  7. 少ない症例の治療に関しては、事前に勉強会等を実施し知識を共有する。
  • 確認が不十分であった
168 不明:事象以前より患者の全身状態が悪いため 経鼻胃管カテーテル 日本コヴィディエン 患者は敗血性ショックで入院し、意識低下があり、低栄養改善目的で胃管カテーテル挿入となった。挿入時咳嗽反射はなかったが、嚥下反射あり。60cm挿入したところ淡黄色透明の液体を吸引した。
また心窩部で弱い胃泡音を確認した。その後のレントゲン撮影で胸腔内に胃管の先端があり、気胸が発症していることがわかり、胃管カテーテルを抜去した。患者は約30分後にSpo2が低下し、酸素1Lから10Lへ増量し、トロッカー挿入にて数日後に気胸の症状は改善した。
胃管カテーテルを胸腔内に誤挿入するかもしれないと予見していなかった。
患者の全身状態が悪く、誤挿入後の発見が遅れた。
院内の胃管カテーテル挿入時のマニュアルフローを変更し、CO2チェッカーやPHチェッカーを併用する予定。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
169 障害なし 不明 不明 不穏時に母が目を離した時に、腕がEDチューブに引っ掛かり途中まで抜けた。 観察不足 手が引っ掛かる位置にチューブがないように注意する。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
170 障害なし 不明 不明 体動が激しく、M-Tを手にひっかけ自己抜去した。 他児の清拭と体交の見学、実施を行っていたら、受け持ち看護師の持ち児の啼泣、体動に気が付かなかった。
鎮静も効果的に行われていなかったため、鼻からM-Tを挿入していたにも関わらず、腹圧と胎動で指が引っ掛かった。
 
体動でチューブが手に引っかかるような位置に置かない。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
     
  • 勤務状況
171 障害なし 不明 不明 NGチューブが予定外に抜去していた。 不穏、危険行動が見られていたため、以前は体幹、手抑制、ミトン装着をしていた。
しかしながら2、3日前より体幹抑制のみで危険行動なく経過されていたため、30分おきの頻回ラウンドで様子を見ていた。
 
不穏状態にある患者に対しては抑制の着脱についてのアセスメントを確実に行う。
  • 判断に誤りがあった
172 障害なし 不明 不明 NGチューブを自己抜去した。 解熱中の多量発汗によりテープがゆるみ、自己抜去してしまった。
  1. 「自ら手を動かしている」蛇腹等に手が動く現状のアセスメントを行い、リスクを共有し、状態にあった対策を速やかに実施し、継続させることを徹底。   
  2. 手の抑制を実施するのであれば、その点での注意・観察を徹底し、蛇腹が患者の手に届かない位置にする等の可動域確認は基本であり、実施したから安全ではないことの教育を徹底させる。
  3. おきてしまってからの対策ではなく、生命への危険度が高いリスクについて予測した行動が実施できるよう教育を徹底する。
  4. セデーションについての医師・看護師間でのカンファレンス実施
  • 確認が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
173 障害残存の可能性なし 不明 不明 栄養チューブを予定外抜去 観察不足 意識障害のある患者で理解力がない場合は、栄養中はグリップ抑制し、手が届くことのないようにし、誤飲防止に努める。
  • 観察が不十分であった
174 障害なし セイラムサンプチューブ 日本コヴィディエン 患者は気管切開中、ペンローズドレーン2本、縦隔ドレーンが頚部右側から挿入されガーゼで覆われていた。縦隔ドレーン(アーガイルセイラムサンプチューブ18Fr)は排液ボトルに接続され、ベッドの頭部右側に下げてあった。
胃管チューブ(アーガイルニュートリフローデングチューブ14Fr)は左鼻から挿入され、排液ボトルに接続されベッドの頭部左側に下げてあった。14時胃管チューブに経腸栄養(400ml)を接続し投与開始。16時当該患者よりナースコールあり、看護師がベッドの左側にポータブルトイレを用意、経管栄養のルートのクレンメを閉めた。20分後患者をベッドに寝かし経腸栄養のクレンメを開いた。(縦隔ドレーン挿入部、気管切開ガーゼの汚染はなし)17時受け持ち看護師がガーゼ汚染を発見。ガーゼから経腸栄養の匂いがした。17時30分呼吸器外科医師チームが来床したため報告、経腸栄養ルートに縦隔ドレーンが接続されているのを発見。経腸栄養の残量約50ml、ガーゼ汚染60g、気管より白色痰少量、縦隔ドレーンから乳白色液体4ml、胸部CT午前中のCT所見と著変なし、VS問題なしであった。
縦隔ドレーンとしてセイラムサンプチューブを使用していた。 ルートをたどって刺入部まで確認する基本ルール(誤接続防止対策)の厳守
セイラムサンプチューブの胃、食道以外での使用禁止、又は代替品の検討
  • 確認が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
175 障害なし フォーリーカテーテル 東レ・メディカル 夜間、患者が睡眠中無意識の内にフォーリーカテーテルを抜去した。 無意識下による患者のカテーテル類の抜去 説明と適宜ラウンドによる観察
  • 観察が不十分であった
176 障害なし フォーリーカテーテル 日本コヴィディエン 尿道カテーテルの違和感により自己抜去した。 抑制をしていたが不十分であった。監視体制も不十分であった。 抑制チェックリストの実施と患者に合った抑制を行う。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った

 
177 障害残存の可能性なし チェストドレーン・バック MDー85515 秋田住友ベーク 吸引モーターにて持続吸引していた。発見当時、右胸腔ドレーンはビューロー、排液なし、エアリーク・呼吸性変動なしの状態であった。徐々に酸素化の悪化認め夜間に呼吸器設定変更されているが、X-Pによる診察はなし、最終X-Pが3日前であった。その時点ではほぼ気胸認めず。
X-Pにて気胸発症していることが発覚。吸引モーターを接続したところ、水封室に激しい気泡発生、再度確認したところ過陰圧解除ポートが浮いていた。いつから浮いていたのかは不明。気胸発生したため右胸腔内へトロッカー追加挿入した。
観察不足。知識不足。排液ボトルが満杯になり排液する際、過陰圧解除ポートを開けることがある。
酸素化が悪化している、右肺野の呼吸音消失など徴候はあったが呼吸器設定を変更した対処のみでX-Pをとり呼吸状態悪化の原因を突き詰めることができていなかった。
排液方法の変更。過陰圧解除ポートは開けない。
接続前に気密性が保たれているかを吸引モーター使用し確認する。
ポートまで観察項目として追加。
勉強会の実施。
  • 確認が不十分であった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
178 障害残存の可能性がある(低い) トロッカーカテーテル 日本コヴィディエン
  1. 胸腔ドレーンを挿入した。
  2. 約1ヶ月半後、16:00自室のベッド上で座位となり会話中、吸引器の水封室より異常音がしはじめた。
  3. 報告をうけた看護師が左胸部を観察した。
  4. 刺入部の透明フィルムドレッシングとドレーンチューブ固定用のテープは皮膚に付着していたが、ドレーンチューブは完全に抜けていた。
  5. ドレーンチューブに固定糸は結えられたままで、皮膚に残糸はなかった。
  6. 抜去部の疼痛・出血や呼吸困難の訴えはなかった。
  7. バイタルサインは異常なかった。
  8. 直ちに主治医に報告する。
  9. 主治医は、胸腔ドレーンを再挿入した。
  1. 挿入部の皮膚の状態は観察していたが、ドレーンの挿入部分の長さや固定糸の状態を確認していなかった。
  2. ドレーンチューブの固定テープ部分の観察を行っていなかった。
  3. 固定テープの張り替えを定期的に行っていなかった。
  1. 胸腔ドレーン挿入時、医師と共にドレーンの挿入した長さを確認する。
  2. 医師は定期的にドレーン挿入部と固定糸の観察をする。
  3. チューブの固定テープは最低1回/週交換とし、交換日をテープに記載する。
  4. 看護師は、毎日ドレーン挿入部とチューブの固定状態の観察を行い記録する。
  5. ドレーンチューブの固定方法についてカンファレンスを行い周知する。
  • 確認が不十分であった
179 障害なし なし なし 前日に胸水貯留に対して胸腔穿刺を行った患者、気力・体力低下もありADLに介助が必要であった。6時40分ラウンド時に各ドレーン刺入部・ルート類確認するが問題はなかった。7時30分に食事のためベッドギャッチアップとする。その際にも排液漏れや接続はずれは認めなかった。
8時過ぎ、医師回診時に病衣・シーツへの排液漏れを発見し寝衣交換施行する。その際に、ドレーンの接続外れを発見する。ドレーンは逆流防止弁のついてない枝に接続されていた。接続部がいつから外れていたかは不明である。SPO2測定し98~99%。胸部放射線撮影し、気胸認められたため、メラサキューム接続し持続吸引開始となる。
ドレーンのコネクター接続部についての確認が不足しており、接続の緩みの発見が出来なかったことが事故の要因であると考える。 ドレーンの屈曲や固定に対しては確認していたが、コネクターの接続部については確認していくことが出来ていなかった。今後は接続部のコネクターについてもゆるみがないことを確認していき同じようなことのないように注意をしていく必要がある。
  • 確認が不十分であった
180 障害残存の可能性なし 不明 不明 手術終了後、手術室べッドから病棟べッドへ移動する際、患者は胃管チューブ、静脈ルート 2 本、腹腔ドレーン、膀胱留置カテーテルを挿入していた。各チューブ類の走行を観察するため、患者にかけていた毛布を外し、タオルケット 1 枚にした。外回り看護師は、麻酔科医が胃管チューブと静脈ルートの整理を行い、器械出し看護師が膀胱留置カテーテルを患者の体に置き、主治医がドレーンの前にいることを目視したが、声掛けはできていなかった。べッド移動に当たり、麻酔科医から移動用モニター表示の指示があり、看護師が移動時用のモニターに Sp02 を表示させようとしていたが、電源が入っていなかったため医師(スタッフ)が移動用べッドの足元で電源を入れ、画面に表示させようとした。しかし、脈拍の感知が悪く、表示に手間取っていた。べッド移動と同時に外回り看護師は、患者の清拭を行っていた。研修医 2 名は患者の足元にいたが気がつかず立っていた。
その状態で移動したため、誰もドレーンがまだ手術台にかかっている状況を確認できていなかった。べッドを移動したと同時にドレーンが抜けた。ドレーンの再挿入の必要性があると判断したため、応急処置として創消毒後 SS テープにて創を固定した後ガーゼを当て、患者・家族に説明を行った後、再開腹、ドレーン留置術を行った。
  • 看護師は移動時に患者の身体を清拭したため、カテーテル類の確認への意識が薄れていた。
  • 抜管前、酸素飽和度の数値が急激に低下したが、麻酔科医より、換気量や呼吸回数に問題ないので、気にしなくていいと返答があった。(この時主治医スタッフはコンピューター入力で室外にいたためこの事を知らなかった。)

べッド移動前にも再度低下していたため、麻酔科医に声をかけると早く移動したいとの返答があった。移動に当たりモニターの準備ができていなかった。看護師・主治医は酸素飽和度の数値表示に手間取って気を取られており、各スタッフにカテーテル類を確認するよう声掛けできなかった。
  • 各人が責任を持っカテーテルの整理を行っており、外回り看護師は移動前に各カテーテル類の走行を観察する際、手術室べッドに下げていたドレーンの前に主治医がいたため、主治医が管理するものだと思いこんでおり、声をかけなかった。主治医(スタッフ)は移動用モニターに気を取られていた。
  • 移動時は全てのルート・ドレーン類をーつーつ指差し呼称し、各スタッフがそれぞれ責任の所在を明確にして移動できるように声をかける。
  • 掛り物を必要最低限にし、ドレーンの走行を観察できるように整理する。
  • 落ち着いて移動できる環境が整うまで各スタッフに声を掛け、準備が出来るまで待つ。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
181 障害なし 不明 不明 脾断端に挿入中のネラトンカテーテル予定外抜去。 患者への指導不足。 ドレナージの必要性を説明し、また皮膚の観察を行い患者の訴えに対応し予定外抜去の予防を努める。
  • 患者・家族への説明
182 障害残存の可能性がある(低い) 筒型ドレーン 不明 クローン病と診断され、消化器内科で治療継続。10年前に腹腔鏡補助下回盲部切除、術中、術後経過良好。当科には術後2ヶ月ほど通院。6年前に泌尿器科にてCT撮影され、骨盤内にチューブがあることを読影されている。腹腔鏡補助下吻合部切除術施行。
その5年後泌尿器科にてCT施行し、腹腔内にドレーンのような遺残を指摘された。画像を再確認したところ、10年前の手術翌日のレントゲンにペンローズドレーンとともに骨盤内に長径約4cmの筒型ドレーン2が撮影されていた。6年前のCTでも同様の異物を確認し、初回手術時の遺残と考えられた。異物除去のための手術を検討したが、現在全身状態良好であり、また10年間、異物が日常生活に支障を来していないことから現時点では経過観察とした。次回、原病に対する手術の時に除去する方針とした。
筒型ドレーンがなぜ、遺残したかの経緯は不明である。しかし、画像上、遺残の可能性が示唆された時に診療科間で十分な連携を取っていたら、早期に対処できた。 手術後挿入していたドレーン抜去時には先端まで抜去出来ているかを入院中にレントゲン撮影により必ず確認する。診療科間の連携を図る。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
183 障害残存の可能性なし シラスコン脳室ドレナージ回路 カネカ 意識レベルJCS20・右上下肢の不全麻痺あり。17時の体位交換を看護師A・B2名で施行した。A看護師が体位交換前に右脳室ドレーン4箇所をクランプした。
体位交換後、B看護師が脳室ドレーンを2箇所 患者側とドレーン側のクレンメのみ開放し、エアフィルターのは閉鎖のままであった(閉鎖していたことを確認していない)。18時、血圧204/108mmHg・脈63/分・意識レベルJCS30・瞳孔不同なし・対光反射あり・16時~18時のドレーン排液がしょう血性より血性に変化し200ml、オーバードレナージとなった。
ドレーン管理・マニュアルどおりの行動が実施できていなかった。
ドレーンの開閉が同一看護師ではなっかた。
看護師間での声かけが出来ていなかった。
閉鎖・開放手順が 徹底されていなかった。
ドレーン管理・マニュアルの徹底。
部署で話し合い、開放時には 4点を指差し声出し確認することとした。
看護師間での声かけ確認など連携を行う。
  • 確認が不十分であった
     
  • 連携
184 障害残存の可能性がある(低い) 不明 不明 くも膜下出血8日目に水頭症を発症し、脳室ドレナージを行い髄液をコントロールしていた。意識レベルは改善し、日中は会話が成立するようになっていたため、抑制は行わずに観察していた。発生当日、入眠中に脳室ドレーンが3センチメートルのところまで抜けているのを発見した。本人に確認したところ「頭が痒くて掻いた」とのことであった。
主治医に報告し、脳室ドレーンは抜去となったが、まだ水頭症の可能性が高いため、同日脳室ドレーンを再挿入し、ミトン・メガフォン型抑制で対応した。
その後抑制をはずし脳室ドレーンを引きちぎっているのを発見。経過観察となったが、CTの結果腰椎ドレナージ挿入となった。現在は、意識レベルが改善し日中は抑制を外して経過を観察している。
意識レベルが改善し、会話が成立するようになっていたため、理解できると判断した。
脳室ドレーン再挿入後は、ミトン・メガフォン型抑制を行っていたが、意識レベルの改善とともに体動が激しくなっていた。
患者の意識レベルや理解力の観察を十分に行い、抜去防止策をおこなう。入眠中や意識レベルの変化がある場合は、治療の状況も加味して抑制を行うなど医師と検討する。抑制を実施する場合は、方法の検討と観察の頻度や観察の方法の検討も行い、家族への説明を十分に行い理解と協力を得る。
  • 観察が不十分であった
     
  • 判断に誤りがあった
185 不明:遺残ドレーン抜去術未実施のため SBバック 秋田住友ベーク 手術終了時に2本のドレーンを挿入。術後4日目には右腎摘除部のSBドレーン1本を抜去。術後8日目には膀胱部のSBドレーン1本を抜去した。その後全身状態は良好となり退院。定期的に外来通院治療を行っていた。患者は腹部症状などはなく経過。定期的にCT検査などを実施されていた。CT検査で放射線科医が右腎摘除部付近に1本ドレーン遺残の可能性を指摘、発見に至る。泌尿器科医師より本人へ説明。今後遺残した異物除去(ドレーン抜去)術予定である。 ドレーン抜去時に刺入部の縫合部を抜糸し、誤ってドレーン部も切ってしまい、体内に遺残したのではないかと考えられる。通常では考えられない事象であり、誰も体内遺残を疑わず、術後のレントゲン読影でも気付くことができなかった。患者の症状がなかったため、約2年近く経過してしまった。 ドレーン抜去時は、複数人で先端部まであることを確認する。術後のレントゲン撮影を必ず実施し、体内遺残の有無を診療記録に記載することを徹底する。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
186 障害残存の可能性がある(高い) 不明 不明 FDLカテーテル自己抜去あり、両手ミトン・両上肢抑制思考していた。また、パジャマのズボンを履き、ルートは足首から出していた。就前の薬内服後一度離室し、20分後再度部屋の前を通りかかると腹部周辺が真っ赤になっており、FDLカテーテルが抜去されていることに気づいた。
当直医へ報告し用手圧迫施行する。発見時意識レベル普段と変化なくBP=90台。採血施行し、Hb=6.9(前回8.4)へ低下あり、輸血2単位施行。一時BP=50台後半まで低下みられDOA・DOB共に2ml/hずつ増量し、DOA=10ml/h、DOB=12ml/hへ増量した。また、SPO2=93%まで低下あり、VTM FiO2=0.4%から0.5%へ増量する。その後SPO2=96~97%、BP=70~80、Hb=8.3まで改善し経過観察となった。四肢抑制開始し、FDLカテーテルは翌日再挿入となった。
難治性の心不全によりICU入室を繰り返しており、入院が3ケ月と長期となっていた。また現在も状態改善せず、床上安静、禁食となっている。そのため、常に看護側か患者の行動が把握できるよう2人部屋の廊下側へ入室させ、リスパダールの処方や両上肢ミトン装着していた。両上肢抑制していたため、足でルート抜去することは予測していなかった。
 
四肢抑制していく。足の指にルートをかけられないよう靴下を着用する。ルートが視界に入らないようズボンの足先からルートを出し足首より手前でループを作って固定していく。
  • 判断に誤りがあった
187 不明 心嚢穿刺セット(心のうドレーン) Cook Japan 血管造影室で心臓カテーテル検査、心嚢ドレーンを挿入後、22:35にICU入室。入室時に刺入部のフィルムドレッシングとシルキーテックスでの固定を確認。0時頃、刺入部の縫合部と固定を確認。10ml/hの排液があることを確認する。1時頃、2箇所の固定を追加した。その際、接続されたチューブが長いため、ベッド上に整理した。
5時にドレーン管内に空気が入っていることを発見。2時以降殆ど排液なし。ドレーン接続部の緩みがないこと、マーキングがずれていないことを確認し、医師に報告、経過観察する。7:30心エコー施行し、心嚢液の貯留はあるが血圧低下等がないため、空気混入については経過観察となる。8時フィルムドレッシング内のドレーン刺入部近くに2箇所側孔が見えていたが、側孔ではなく長さの印と誤認した。10:40マーキングにずれがないこと、3箇所のシルキーテックスの固定がはがれていないことを確認。12時医師が心嚢ドレーンの三方活栓より吸引するが空気のみ引けた。13時再度吸引、空気のみ引ける。14:05刺入部から1箇所シルキーテックス固定がはがれていることを発見。ドレーン先端がフィルムドレッシングから露出し、マーキング位置が10cm程度ずれていることを発見した。発見後、心エコー、循環動態を確認し、抜去のまま経過をみるが、18時心嚢液貯留増加による心機能低下を生じ、再挿入する。その後も心破裂による出血が持続し、その後死亡する。
  1. マーキング施行、テープ固定追加前にすでに位置がずれ、何らかの原因で抜けていたことが推測される
  2. 医師、看護師ともに事故発生時の事態の速やかな把握と対応に至っていない
ICU帰室後、迅速に原則に則り、ドレーンの固定確認、マーキング、管の整備を行うことを徹底する。処置ケアや患者の体動によるチューブトラブル発生を未然に防ぐ。心嚢ドレーンの性状の観察、異常の早期発見に努める。
  • 確認が不十分であった
188 障害残存の可能性がある(低い) J-VACドレナージシステム

ブレイクシリコンドレイン

ブレイクカルディオコネクター
ジョンソン・エンドジョンソン

ジョンソン・エンドジョンソン

ジョンソン・エンドジョンソン
1 メーカーから製品のリコールについて連絡があった。
回収理由は次のとおりであった。
自主回収対象製品の中にパッケージのシーリングが不完全なものが含まれている。 当該製品番号、ロット番号のものについては滅菌工程は確実に経て出荷されているが、無菌性を完全に否定できないことから自主回収する。
シーリング不良については目視で確認できる。
2 このことから材料部ではシーリング不良でなければ滅菌は維持されており、目視で確認できることから、当該製品の取り扱いについて次のような対応をした。
材料部担当看師長から、各看護師長へ次の周知を行った。
当院に納品された製品の個装パッケージのシーリングが不完全の製品がある可能性がある。
滅菌工程は確実に経て出荷されていることが確認されている。
開封時の確認を指示するとともに、シーリング不具合の製品については使用しない旨を伝えた。
しかし、自主回収対象製品である説明はしなかった。
また、在庫製品については次のように対応した。
手術室内にある在庫製品のシーリングがされていることを確認した。
目視で確認できるシーリング不完全な製品はなかった。
このため、自主回収対象製品のうち、シーリングに不具合のない製品が患者に使用された。
現時点で対象製品を使用した患者に術後感染等は発生していないが、引き続きモニタリングを継続していく。
病院担当者は、製品が滅菌工程を確実に経て出荷されていること(シーリング不良でなければ滅菌は維持)が確認されており、また、シーリングのみの不良であるため、目視で確認できると判断した。そのため、緊急回収の対応をせず、製品を使用する際にシーリングの確認をすることを周知すれば十分と考えた。
そのため、周知するとき、シーリング不良の製品を使用しないことは伝えたが、自主回収のことは伝えなかった。結果としてリコール対象製品を回収せず、使用してしまった。また、材料部と各部署との連携が十分でなくリコールの情報が院内に円滑に周知されていなかった。
今回の事例はリコールというものに対して、正しい認識をもっていなかったために、院内での回収ができなかったことにある。
幸い、当院で使用した製品の中に現時点でシーリング不良のものは確認されていないが、自主回収の対象である以上、患者の安全を第一に考え、直ちに回収を行うこととした。
院内ニュースレターでの事例周知、リコールの勉強会等により、適切な対応を行うようにする。
  • 判断に誤りがあった
189 障害残存の可能性なし 体外式心臓ペースメーカーEDP20 日本光電工業 心拍数29/分の高度徐脈で救急搬送され、III度房室ブロックの診断で、救命救急センター透視室で一時ペーシングを挿入したが、意識は清明であった。挿入後、一時ペーシングの本体とリードを接続する際、医師同士で接続のロックを確認した。患者の状態が安定していたため、移動用モニターはSPO2モニターのみとし、透視室でICUベッドに移動した。その後ICUの部屋に着いたと同時にあえぎ様呼吸、意識レベル低下を認めた。
頸動脈の触知ができず、胸骨圧迫と同時に心電図モニターを装着し波形を確認したところ、心静止の状態であった。胸骨圧迫を継続し、一時ペーシングのリードを確認したところ、青のリードが外れており直ぐに接続した。接続後心拍は再開し、1‐2分後意識も改善した。
  • 透視台からICUベッドに移動した際、ペーシングのリードと本体の接続部の確認をしていない。
  • ペーシングのリードと本体の接続部がねじ式で、ねじ込みが不十分であった可能性がある。
  • 病状が安定していたため、移動時心電図モニターを装着せず、SPO2モニターを装着した。
  1. 循環器系疾患の患者移送時は、病状が安定していても心電図モニターを装着する。
  2. ベッド移動時・移動後は、各ライン整理・接続部の確認を関係者で声掛けし、二重確認を徹底する。
  • 確認が不十分であった
190 障害残存の可能性がある(高い) 送血カニューレ 泉工医科工業 手術後の移送中にPCPSの台の車輪が、ICU個室入り口のドア用の溝に躓き、患者を乗せているベッドが先に進み、PCPSの送血管が抜け、大量出血。 移送時の関係者の連携不足、及び、リーダーシップを取る者が不在であった。 ベッド柵と装置本体を一緒に保持
装置本体を移動させるスタッフが号令をかける
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
     
  • 連携

 
191 障害残存の可能性なし ピッグカテーテル 不明 乳頭部癌による胆管の完全閉塞の治療目的で経皮経肝胆管ドレーンが留置。肝膿瘍に対して経皮経肝膿瘍ドレーンが留置。それぞれGボトルに接続されていた。19時頃排便のためトイレ介助を行った。その際、それぞれドレナージしているGボトルを便器に横の手すりにかけた。排便終了後、車椅子に移乗介助を行った際に、Gボトルを忘れてそのまま介助した。
経皮経肝胆管ドレーンが引っ張られたが大丈夫と判断しそのまま病室のベッドへ移乗介助を行った。その後、家族からドレーン部からガーゼ汚染があると報告された。医師へ報告し、シリンジ吸引すると胆汁とエアが抜けてきた。レントゲン撮影をするとチューブの先端が胆管より抜けていた。その後、透視下でガイドワイヤーを使用し再挿入を試みたが挿入できなかった。経皮経肝胆管ドレーンを抜去し、2日後胆管の拡張を待って再挿入した。事故抜去後、症状の増悪はなく経過された。
原因はチューブを手すりのかけておいたのを忘れ、移乗の際に引っ張ってしまい挿入部から抜けてしまった。
  1. PTCDの抜去は、治療経過に与える悪影響度は高いことの認識が薄れて無意識に体から離した状態の位置に掛けてしまった。
  2. 引っ張られた状況は認識していたが、その後観察を怠ったため、家族からの報告で抜けたことが判明した。

 
  1. ターミナル状態で、自力で移動が出来ない患者であり、治療上重要なチューブを留置している患者の場合は、ケア中のチューブトラブルを予測し慎重に行う。
  2. チューブは体に固定できるようにバッグなどを利用するなど工夫する。
  3. 他のスタッフにも今回の内容を報告し、情報の共有化を図る。
  • 確認が不十分であった
     
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
192 障害なし スパイナルドレナージ カネカ 麻酔導入後前処置としてスパイナルドレナージ設置した。チューブ挿入はスムーズで問題なく行ったが、その後、チューブ位置調整のためにチューブを少し引き抜くとチューブが棘突起付近で断裂した。 チューブの損傷がなんらかの要因で起こったと考えられる。 チューブの精査を行ったところ、刃物など鋭利なもので損傷されそれをきっかけに断裂したと思われた。今後、挿入時に針先で傷をつけないように挿入するよう徹底する。
  • 技術(手技)が未熟だった・技術(手技)を誤った
193 障害残存の可能性なし 不明 不明 食道癌術後41日目で人工呼吸器管理下の患者。術後より胃管吻合部に縫合不全をきたし、背部より後縦隔ドレーン留置しメラサキュームで持続吸引中だった。看護師2名で清拭し、更衣をする際にドレーンが抜けないよう安全ピンでドレーンと衣服を固定していたが、ケアに入っていた看護師1名が途中で交代し安全ピンで固定していることを知らないままに着衣のため袖を引っ張ったところ、ドレーンが抜けてしまった。ドレーンは皮膚と縫合固定していなかった。ドレーンは長期に渡り留置されていることもあり挿入孔が拡大していたため、近日中に交換予定だったが、すぐに透視下で再留置となった。
  • 患者の全体像(全身状態やドレーンの留置状況など)を把握できていなかった。
  • 人工呼吸器管理中であり、ドレーン類も多数留置されていた。上級生と下級生とで清拭を行う予定だったが、下級生同士でケアを開始したため、途中でケア担当を交代した。
  • 途中でケア担当を交代したにも関わらず、ケアの進行状況などの申し送りをしておらず、コミュニケーション不足だった。
  1. ケアに入るときは、リーダー看護師と相談し経験の浅い者同士で行うのではなくリーダークラス看護師とともに実施するとともに患者の全体像を把握する。
  2. ドレーンの固定をケア毎に確認徹底する。
  3. ケアの途中で担当を変更しない。やむをえず変更した場合は、ケアの進行状況など、コミュニケーションを密にする。
  4. ドレーン固定が多数ある場合は、無理に衣服を引っ張らない。
  • 確認が不十分であった
     
  • 連携
194 障害なし 不明 不明 ディプリバン4ml/Hのところ、70ml/Hにて急速投与。血圧が低下した。 TICポンプの機能を理解しないまま使用してしまった。 知らないものは使用しない。不明なものは必ず確認する。鎮静ガイドラインを院内で作成することになった。(ワーキンググループ発足)
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
195 障害なし 不明 不明 医師が膀胱内灌流用チューブと末梢ラインを誤って、薬剤(静脈麻酔薬、筋弛緩薬、麻薬)を注入してしまった。 静脈ルートと膀胱灌流カテーテルを並べて点滴架台にかけてしまったこと。
チューブの確認不足。
類似している静脈ルートや膀胱内灌流チューブは並べてかけず、ルートごとに刺入されている場所を明記しておく。
また注入時には、チューブをたどり確認する。
  • 確認が不十分であった
 
 

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(医療事故:医療用照明器具)

No. 事例 調査結果
1 【内容】
小耳症形成術で術者は右耳の形成を行い、助手が肋軟骨採取時にストルツ光源(松本医科(ストルツ社)490CS)を付属の開創器に装着せずに使用し、電源を切らずに、そのまま患者腹部の覆布の上に置いたところ、覆布が焦げ患者腹部に1cm 大の熱傷を負わせた。
【背景・要因】
2箇所で同時に手術を行っていたことで、チームメンバーの注意が行き届かなかった。ストルツ光源の他にヘッドライトを使用していたが、ランプが切れ使用できなかった。ストルツ光源の電源は使用する側で操作できない。使用機材を器械台に戻さず、患者の上に置いた。
  • 判断に誤りがあった
2 【内容】
患者に対し、右側臥位でドレーピングをし、左大腿骨骨切り術を開始した。術野を照らすために光源つきレトラクターの使用を開始した。レトラクター使用後、光源とレトラクターとの接続を外した。その後しばらくして、光源の電源を切っていないことに気がつき、電源を切った。
手術終了後、ドレーピングを外したところ、患者の右大腿内側に約1.5cm の熱傷が形成されていた。光源の電源を切っていなかった間に損傷したものと思われた。イソジン消毒、バラマイシン軟膏を塗布し、ガーゼ保護した。
【背景・要因】
今回の手術では関節包を切開するところが良く見えなかったので、光源付きレトラクターを使用したが、使用しない時も光源がON になっていた。普段から熱を持つことがあることには気付いていたが、使用していない時の置き場所を決めていなかった。
  • 判断に誤りがあった

 
3 【内容】
骨盤臓器脱の手術を施行。骨盤深部の視野を確保するために膀胱鏡ライトガイドを使用した。
手術終了後、医師が右大腿部2 箇所(2 × 8mm、2 × 40mm)の白色変性を認めた。手術中使用中の内視鏡ライトガイドの電源がON のままになっていた。形成外科よりⅢ度の熱傷と診断された。形成外科で壊死剥離術を施行し退院となった。
【背景・要因】
内視鏡用光源ケーブルに対する管理に対するリスクの認識が薄れた。 医療者間のコミュニケーション不足があった。医療機器取り扱いに関する認識不足があった。
  • 判断に誤りがあった
     
  • 連携


 
4 【内容】
経尿道的尿管結石砕石術終了後に患者の左恥骨部に縦約2. 5cm、横約2cmの発赤とやや硬くなった皮膚異常を看護師が発見した。同時に使用したシーツが高温により焼けた痕跡も発見した。光源コードの接触によりできた皮膚異常と推測した。
【背景・要因】
手術中、光源コードを医師が一時的に取り外した時に、光源コードのライトをつけた状態でシーツに置いた為、接触した部分のシーツが溶け、高温によって皮膚が熱傷を起こしたと思われる。光源コードの取り扱いについてのマニュアルはなく、熱傷の危険性については考えていなかった。通常は看護師が観察しながら光源を内視鏡から取り外した時に「スタンバイ」に戻したり、医師からの「外した」という声かけで電源を切っていたが、今回は、看護師も気付かず、医師の声かけもなかった。
  • 連携

 
5 【内容】
低位前方切除術と人工肛門造設術を施行した。術野に照明をあてながら、洗浄液を流し血液を吸引した。手術終了時に清潔ドレープを外したところ、右腸骨付近に2cm ×5cm の熱傷(発赤、水疱)を発見した。手術中に使用していた照明付きの吸引器具(バイタルビュー、バイタルビューセット)の先端を清潔シーツの横のポケットに収納していたが、ハンドル部分の熱がドレープを通して伝わり、熱傷を起こしたと考えられる。
本来は、ハンドル部分の熱が限界に達していると電源ユニットの赤色のインジケーターが点灯するが、この時は点灯しておらず、スタッフはハンドルの熱の上昇に気付かなかった。
【背景・要因】
患者を覆うドレープの上にこの器具を置いていた。
  • 判断に誤りがあった
 
 

ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例(その他)

No. 事例 調査結果
6 【内容】
患者は頭痛にて他院受診。肺がん、癌性クモ膜炎による水頭症と診断されシャント術施行。
その後、肺がん治療目的にて呼吸器内科紹介。転移精査のため頭部MRI施行。半年後、頭痛があり、再度転移を疑い頭部MRI施行。硬膜下血腫がみつかり、脳神経外科医師にコンサルトしたところ、シャントは強い磁気で設定圧が変化するものであったため、半年前にMRIをしたことで低髄圧となっていた。外傷もなく血腫は低髄圧によるものと考えられ、慢性硬膜下血腫の診断にて慢性硬膜下血腫洗浄除去術(穿頭)を施行した。

【背景・要因】
  • MRI施行によりシャントの設定圧が変化することを脳神経外科以外の診療科の医師は知らず、検査終了後、シャントのバルブの圧調整をしなかった。
  • MRI検査の患者説明文の項目に「体内に何か金属・磁性体がありますか」の設問項目にシャントの記載がないので患者も気がつかず、申告がなかった。
  • 医療者がチェックするMRI検査時チェックリストに医師・看護師が2名でチェックしているがマグネットタイプのシャントの項目に「なし」とチェックされていた。
  • 確認が不十分であった
     
  • 知識が不足していた・知識に誤りがあった
     
  • 記録等の記載

 
7 【内容】
当該患者は聴力障害あり、病棟看護師とMRI室担当看護師による確認において、補聴器との報告あり。オーダー上はインプラントなしのため、右耳の補聴器をはずし、入室。ガントリーの中に進めたところ患者より頭が痛いとの訴えあり。「人工内耳が…」と訴えるので、すぐにMRI室より退出。退室後確認したところ、左耳に人工内耳の植込みをしている患者だった。

【背景・要因】
  • 人工内耳植込みを実施した耳鼻咽喉科ではMRI禁忌であることは知っており、患者への説明も行っていたが、その後入院した診療科には伝わっていなかったため、MRIオーダー上「金属無し」となっていた。
  • インプラントに関する項目について、「入室前チェックリスト」に記載がなかった。
  • 確認が不十分であった
     
  • 連携