独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成24年度 第1回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医療機器関連事例) 別添3

本文別添1別添2|別添3

 

情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例(医療事故)

No. 事故の
程度
販売名 製造販売
業者名
事故の内容 事故の背景要因の概要 改善策 調査結果
1 障害残存の可能性なし LTV950





コウケンネオブレススピーチタイプ10mm
フィリップス・レスピロニクス合同会社


高研
  1. 20:30に患者にLTV950を装着する(電動車椅子乗車で活動をしている患者で、自発呼吸があり呼吸状態も安定していたため人工呼吸器の使用は夜間のみであった。また会話が可能で、他者に自己の体調について伝えることができ、必要時はナースコールを押すこともできたため、患者の生活の質と病状の両面を考慮して生体モニターを装着していなかった)。その時、呼吸器画面のメーターで気道内圧が上昇していることを目視した。その際、呼吸器のアラームは鳴っていなかった。患者とも会話できており、苦痛の訴えはなくいつも通りタオルケットを顔まで掛けてその場を去った。
  2. 20:35、隣の患者の消灯準備で顔拭きに向かう。その間も患者の呼吸器のアラームは鳴っておらず呼吸器は作動していた。
  3. 20:40、隣の患者の顔拭き後、消灯前の吸引のため患者のタオルケットをはがしたところ、患者の全身にチアノーゼがみられ意識が消失していた。
  4. すぐに応援要請し吸引を実施、その後も吸引、バックバルブマスク換気を続けた。
  5. 20:45、患者の顔色が戻り、脈拍触知可能となった。SPO2 97%
  6. 20:47、当直医師来棟し気管支鏡下で吸引を行うが、痰の貯留なし。心電図モニター装着。血圧116/54mmHg、脈拍130回/分、SPO2 97-98%
  7. 21:28に個室へ部屋移動後、当直医師が呼吸器トラブルの可能性も否定できないとの判断で人工呼吸器をエビタ2デュラに変更し、呼吸回数設定を16から18回に変更した。
  8. 21:30痛み刺激に体幹を動かす反応あり。顎関節脱臼に気付き応急処置として脱臼予防のチンストラップを装着した。
  1. 病状進行による機能低下がみられた。
  2. 常夜灯が眩しいことにより掛物を顔まで掛けていた。
  3. 人工呼吸器の設定が従量式ではなく従圧式であった。
  1. 呼吸器装着患者の観察の視点を強化(装着後は胸郭の動きを目視できることを確認し呼吸器に異常がないことを確認してからその場を離れることを徹底する)
  2. 常夜灯が眩しいことにより掛物を顔まで掛けていたが、今後は目だけを隠す
    対応にしていく。
  3. 患者の病状進行、機能低下に応じた人工呼吸器の設定を検討する。
当該企業に確認したところ当該事例と考えられる事象は情報入手されていないが、タオルケットを顔まで掛けていたところ、チアノーゼの状態で発見されたとのことである。タオルケットにより呼気の排出が阻害された可能性などが考えられるが、詳細が不明であり検討困難と考える。
2 障害なし ベンチレータ840 コヴィディエンジャパン ME室で点検済みの機器を病棟へ搬入し、電源をいれたところ、換気停止アラームが鳴り使用不可能の状態であった。 ME室にて貸出点検異常なし。
10日後、病室で人工呼吸器を立ち上げたが、立ち上がらず換気停止状態。
簡易式人工呼吸器にて対応。(患者への影響なし)
同日、製造販売業者へ情報提供。厚生労働省へ事例報告を行う。
製造販売業者へは情報提供を行った。
予備機として2台確保した。
当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、解析の結果、動作記録から安全バルブの一時的な動作不良によりアラームが発生したと判断されたものである。しかしながら、その後、当該事象は再現されておらず、動作不良の原因は不明であるとのこと。
なお、当該製品は、正常動作を確認後、現在も当該医療機関にて問題なく使用されている。
3 障害なし ベンチレータ840




コンプレッサ
コヴィディエンジャパン



コヴィディエンジャパン
人工呼吸器に装備されているコンプレッサの作動不良によるコンプレッサ作動停止。 人工呼吸器に装備されているコンプレッサが、使用してから1時間後くらいにコンプレッサ作動不良エラーを発し、コンプレッサ作動停止した。
新しい機器と交換した。
代替機を確保しておく。 当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、内蔵コンプレッサへ過電流が流れたことによりコンプレッサ用のブレーカが遮断、コンプレッサが作動停止したものである。解析の結果、当該製品には異常を認めず、過電流は、電源電圧の低下によりコンプレッサ内のモータが回転を維持するために生じたものと推察されるが、当時の当該医療機関における電源環境等が不明であり、検討困難と考える。
4 死亡 BIPAP フィリップス・レスピロニクス合同会社 22時30分頃 BIPAPのアラームにて同室者から「何の音さっきから何回もなってうるさい」「眠れない」と訴えあり看護師がアラーム音を6から3に下げ頻回に訪室していた。深夜勤務看護師に口答で伝えたが記録には残さなかった。
深夜勤務看護師は頻回に巡視し、BIPAPマスクをはずしているため必要性を説明し装着した。時々起きあがりマスクの接続からはずれていることもあり、その都度へ説明し装着した。
翌日朝食摂取のためカヌラとするとSPO245%まで低下しBIPAP装着98%に上がったのを確認し退室したのが8時頃であった。
9時40分 看護師がバイタル測定のため訪室すると左下肢がベッド柵の隙間から出た状態で発見。BIPAPのマスクとホース接続部が外れていた。手足チアノーゼ著明、呼びかけに返答なし。橈骨・頸動脈触知できず。HR50代。SPO2モニターは外れていて装着するが測定不能。蘇生の効果なく死亡を確認した。
  1. BIPAPのアラームの音量が下げられていたためBIPAPのアラーム音がナースステーションに聞こえず、患者の異変に気づくのが遅れた。
  2. BIPAPはリースの機器だったため、当院のものと違ってナースコールと連動されていなかった。
  3. BIPAPのマスクとジャバラの接続が外れていた。以前から接続はずれがあったが臨床工学科への報告が無く、外れなくする工夫はなかった。
  4. 患者は自分でもBIPAPを外していたが、抑制はしなかったのか。
  5. 患者が外したり、接続が外れたり管理が難しい患者であることで医師や臨床工学科と何らかの検討を行ったか。
  6. BIPAP使用で外れることが多かった患者であるが、観察時間が1時間30分位空いた。
  7. 事故発生時の連絡体制が遅い。事故発生時の共通報告ルートが実施されなかった。
  8. 病棟の看護体制の中で、BIPAP使用中の患者管理が出来る状態であったかどうか。
  9. 診療部からBIPAPの適応について、入院時に担当医からDNRの事が話されていた。この患者にBIPAPの適応があったかどうか。(患者は80歳代・非協力的・AS重症などの背景と家族との話し合いなどについて)
  1. BIPAPのアラームは同室者の「アラーム音がうるさい」との苦情に対し音量を下げる行為を行った。巡回を含めて他種類の機器に関してもアラームを確認する。
  2. ナースコールと連動されていない機器に関しては、臨床工学科でアラーム設定が変更出来ないように機器に注意を表示する。出来るだけ当院で使用している機器と同じものをリースしアラーム対応を行えるようにする。
  3. BIPAPの接続が外れる事に関しては、臨床工学科と連携を取って対策を行う。現時点で有効な対策はないが、接続時に深く力を入れることにより外れにくくなるが、使用中の湿潤した状態での確認を行う。
  4. 患者さんがBIPAPを外す事については、説明すれば理解するため抑制の対象とはしなかった。しかし、外すことによりSPO2が下がることが有るため、BIPAP使用の有効性と危険性について医師と認識を共有する必要がある。
  5. BIPAPを使用している患者への医療チームによる対応が重要である。カンファレンス時での情報共有を活発に行う。
  6. 申し送り前後の患者観察は重要であり、特にBIPAPが外れやすいなどの状況が伝わっていない状態では見落としとなる。伝達内容が漏れないような対策が必要です。
  7. ICU病棟は入室基準を持って患者さんを管理している。呼吸器使用患者に関する管理基準を作成し原則、呼吸器使用患者はICU病棟管理とする。
  8. 診療部としてはBIPAPの適応を十分に検討、使用するとした時は十分な説明を行い適応と判断する。
当該企業に確認したところ当該事例と考えられる事象は情報入手されておらず、使用されたマスクや呼吸回路の製品名、接続状況等が不明であり検討困難と考える。
5 障害残存の可能性がある(低い) S/5 ADU麻酔ワークステーション GEヘルスケアジャパン 患者入室前に麻酔器のリークチェックを行ったがその際には異常は認められなかった。GOSにて緩徐導入し、入眠後、用手換気可能であることを確認後、筋弛緩薬を投与した。自発呼吸停止後も用手換気可能で胸郭挙上、CO2波形、SpO2ともに良好であった。4mmカフ無しチューブを挿入後麻酔回路につなぐ際に人工鼻を装着した後、胸郭挙上せず、CO2波形も抽出されなかった。食道挿管と判断し、チューブ抜去した。用手換気を行っている時に人工鼻からのリークに気づき、キャップを閉めた。しかし、麻酔回路のリークが続いていたため、確認したところ、加湿槽上部の接続孔が開いていた。すぐにSPO2は回復したが一時的に低酸素血症になり、SPO2は最低値58%を示した。その後、気管挿管し、両肺呼吸音確認し、チューブ固定。手術中バイタルサイン異常なく、10分ほどで手術終了した。抜管後も呼吸状態良好。開眼し、四肢の運動良好、脳障害の可能性は低いと考えられる。 挿管後、アンビューバッグ接続時に呼吸回路がリークしていることに気づかなかった。 呼吸器回路リークチェックの徹底、SPO2低下時の原因検索・対処法の徹底 当該企業に確認したところ当該事例と考えられる事象は情報入手されておらず、加湿槽上部の接続孔が開いていたとのことであるが、当該製品には構成品の回路等を含め「加湿槽上部の接続孔」に該当すると考えられる部位は存在せず、他の製品との併用状況等の詳細が不明であり検討困難と考える。
 
6 死亡 PCPS CAPIOX SP-101

PCPS 回路
テルモ



テルモ
2日後、3時26分 動脈圧が低下し、心臓マッサージ、輸血等施行 
その際、PCPSを確認。表示がおかしく(回転数=0、流量=0、作動時間が進んでいない)PCPSが停止していることが発覚した。すぐに予備のPCPSに切り替え循環再開したが、その後死亡された。この時アラームはなっていなく、コンセントの接続も問題なく異常はなかった。
PCPSが急に停止をする。と、いうことが今までになく予見が出来なかった。
  • 予備機器の使用方法の勉強会
  • トラブル時の対応方法のパンフレット設置、注意喚起
当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、AC電源は供給されていたが、突然動作停止したとのこと。何らかの原因でバッテリ及びモータ駆動部に電力が供給されていなかった可能性があるとのことであるが、当該事例については当該医療機関の協力が得られず、企業は現品及びその他の詳細情報が入手できず検討困難と考える。
7 障害なし 不明 不明 透析による溶血、回路の閉塞が起きやすい病態にあり、透析機器、回路をたびたび交換している際に回路に問題が生じたと考えられる。
  1. プライミング(透析装置の準備)をアラームが鳴ることがなく終了したため、問題はないと思い込んだ。
  2. このため、折れ曲がりには気づかなかった。
  3. 血液浄化装置の回路の一部に折れ曲がりがあっても、アラームが鳴らない機器。
  • ポンプ装着部の構造上、トラブルはあり得る事を認識し、準備の再確認をするよう周知する。
  • 医療機器メーカーへ安全システムについて、検討するように依頼した
回路の屈曲に対し、アラームが発生しない血液浄化装置とのことであるが、使用された装置の製品名や回路の装着状況等の詳細が不明であり検討困難と考える。
8 障害残存の可能性なし フィッシャーバー(カーバイトバー) 不明 局所麻酔下にて左下水平埋伏智歯抜歯時にフィッシャーバーを用いて歯根分割する際、バーの先端3mm程が破折して下顎骨内に埋入した。除去しようと試みたが、更に押し込んだ形となり、一旦縫合した。レントゲン検査の結果、下歯槽神経近くにあることがわかり、改めて全身麻酔下にて異物摘出術を施行した。 歯根分割の処置に集中し、細いバーが折れやすいことの認識が不足していた。滅菌リユースのバーの可能性(外見上問題が無ければ通常滅菌リユースしており、今回使用のバーについては特定できていない。)バーが折れた際に、当事者が除去しようとしたことで更に奥に入った可能性がある。 細いバーを使用しての処置では、バーが破折する可能性について診療科内で共通認識する。今回の事例を共有する。口腔外科バーのディスポ化について検討する。事故発生時は、上級医に相談し対処する。 歯根分割の際にフィッシャーバーの先端が破損したとのことであるが、使用された製品名や使用状況等の詳細が不明であり検討困難と考える。
9 障害なし マルチファイヤーエンドGIA30 カートリッジ コヴィディエンジャパン
  1. 8:58 患者は、生体腎移植のドナーとして手術室入室する。
  2. 内視鏡下にて手術を開始。腎の剥離、尿管切離、腎動脈2本切離(エンドファイヤーGIA30使用)する。
  3. 13:38 2本目の動脈に使用したエンドファイヤーGIA30が術者からもどってきたが、直接介助者はすぐに刃をとりはずさず、器械台の上に置いた。(器械台の上には2本のエンドファイヤーGIA30が混在)
  4. ガーゼを渡した後、替え刃を交換したと思ったエンドファイヤーを術者に渡した。
  5. 13:39 腎静脈をエンドファイヤーGIA30を使用して切離した際、切離はされたがステープルされず出血した。
  6. 13:39 開創し、4-0プローリンにて止血する。ヘスパンダー急速輸液。Bp140台。
  7. 13:41 腎摘出。腎静脈表面はタココンブで覆い、出血のないことを確認し、J-vacDrainを留置し閉創する。
  8. 14:20 血ガスHb10.5 
  9. 15:42 手術終了(出血量計1705ml)
  10. 16:10 麻酔覚醒し抜管。Bp141/54mmhg P93 SPO2 98% ICUへ入室した。
  11. 輸血せず、創と貧血の回復を待ち退院。
    (血液データ:OP前Hb14.9  OP当日Hb10.6 退院前日Hb11.1)
  1. 使用した自動吻合器を医師から受け取った際に、自動吻合器の替え刃をすぐに取り外さずに器械台の上に置いた。(器械台の上には替え刃を交換したものとそうでないものが混在していた)
  2. 本来であれば新しく替え刃をした自動吻合器で行うはずの静脈に対して、使用済みの替え刃が付いている自動吻合器を渡しそれで静脈を切離した。
  3. 使用済み替え刃にセーフティーロックがかからなかった。
  4. 指導者が傍についていたが、チェックできなかった。
  1. 自動吻合器を使用する際は、必ず2名にて立ち会い、替え刃のチェックを指さし、声だし確認する。
  2. 自動吻合器がもどったら、替え刃をすぐに外し刃を術野からおろす(これまでは、術野の中で使用済みと未使用を分別していた)。
  3. 下ろした替え刃はシリアルナンバーで管理する。
  4. 自動吻合器本体それぞれに別なものと区別できるように色別のシールを貼付し管理する。
  5. 指導体制の見直し。
当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、当該ステープルを腎静脈の吻合・切離に使用した際、吻合せず切離のみ行われたものである。解析の結果、吻合不全は術野のクリップ等を挟みこんだことが原因と推察されるが、吻合時の状況等が不明であり検討困難と考える。
なお、医療機関のコメントによると、誤打防止機能が働かなかったとのことであるが、返却された製品を確認した結果、誤打防止機能が適切に働くことが確認されている。
10 障害残存の可能性なし ライビンガー骨手術器 日本ストライカー
  1. 受傷
  2. 整復固定手術目的で入院
  3. 同日15:00 左第5中手骨を観血的に整復し、ミニプレート1枚とスクリュー5本で固定
  4. 同日術後にレントゲン撮影。中手骨髄腔内に金属片(3mm棒状)を発見。
  5. 手術室看護師より術中に使用したドリルの先端破損の連絡あり。
  6. 術中にドリル先端が折れ、中手骨髄腔内に遺残したとの判断。
  1. 医療機器(ドリル)の金属疲労
  2. 医療機器安全情報報告書(医療機器の不具合)を提出する
  1. 現在、整形外科ではレントゲン撮影を手術後に行っているが、術中撮影を今後検討する。
当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、単回使用である当該ドリルを切れが悪くなるまで再使用していたとのことであり、適正な使用ではなく、モノの観点からの検討は困難と考える。
11 障害残存の可能性なし 超音波手術システムSonoSurg オリンパスメディカルシステムズ 胃癌に対し、幽門側胃切除術を施行。閉腹直後、血圧が下がりドレーンから出血を認めたため再開腹し止血。超音波手術システムSonoSurgにより止血していたが、弾けて出血した。 機械の適正使用に係る情報不足と思われるが、使用機器の保全がなされておらず不明 現在検討中 当該企業に確認したところ当該事例と考えられる事象は情報入手されておらず、術後、処置部位から出血したとのことであり、術後の合併症とも考えられるが、出血に至った経緯等の詳細が不明であり検討困難と考える。
12 障害残存の可能性がある(高い) テクトロンEMS2H



ディスポ電極Fビトロード
テクノリンク




日本光電工業
  1. 右下肢麻痺出現に対し、腰椎ヘルニア摘出術施行。
  2. 麻痺回復までの筋萎縮防止のために低周波刺激による筋刺激を指示。
  3. 低周波刺激による筋収縮を確認した状態で10分間の刺激継続。
  4. 刺激部位に低温熱傷。
  1. 腰椎ヘルニアによる下腿等の麻痺が存在し、熱さの訴えが出来ない患者。
  2. この患者は筋麻痺が強く、通常使用する電極パッドでは感知しなかったため、1箇所に集中して刺激する目的で、心電図モニター用の小型の電極パッドを使用した。
  3. 当該電極パッドは、言語療法士も低周波刺激用に使用していた。但し、使用時には専用コードを使用し、電圧も低いものだった。
  1. 医療材の目的外使用。
  2. 当初から医療機器業者に治療目的に適合した電極の有無について相談すべきであった。
  3. 現在は当該機器業者から純正の小型パッドを購入し、使用している。
当該企業に確認したところ当該事例と考えられる事象は情報入手されておらず、低周波治療器に心電図モニター用の電極パッドを接続して使用したところ患者が熱傷を負ったとのことであるが、当該低周波治療器のコードおよび心電図モニター用電極パッドの接続部分の形状は異なるため、通常は接続不能である。なんらかのコードを介して接続したものと推察されるが、接続状況等が不明であり検討困難と考える。
13 障害残存の可能性がある(高い) NIPネーザルIII

ミラージュアクティバLTマスク


デュオアクティブET
帝人ファーマ

帝人ファーマ



コンバテックジャパン
マスク圧迫部位に、創傷被覆材(デュオアクティブET)を貼付しNIPPVを装着したが、不穏状態でマスクを外す動作がたびたび見られた。4日後にフェイスマスクに変更。その後デュオアクティブETを除去したが溶けてこびりついていた。剥離部から滲出液をみとめ、数日後、鼻周囲・前額部の圧迫部が全体的に黒色化した。 患者はほとんど歯がなく、頬部がこけた状態であり、マスクのフィッティングが難しいため、強く締め付けた可能性がある。
マスク装着時の観察が不十分で、鼻周囲・前額部の圧迫部が全体的に黒色化するまで、適切な予防策を行えていない。
これらNIPPV使用時の総合的な知識が現場では不十分であった。
NPPVの適応、医療機器の説明、マスクの装着方法、NPPV療法患者のスキンケア等の知識・技術習得。

救命救急センター内で看護師にNPPV勉強会を開催し49名(74.2%)参加した。各部署へは、リスクマネージャー会議議事録確認用紙の回収により周知の確認をした。経過、結果は、院内LANホームページに掲載した。また、安全管理部 褥瘡対策室主催で、NPPV研修会を開催し218人出席。今後も継続して実施予定。
当該マスク及び創傷被覆材の企業に確認したところ当該事例と考えられる事象は情報入手されておらず、鼻周囲・前額部の黒色化の原因について、マスクの圧迫または創傷被覆材の有害事象等の可能性が考えられるが、装着状況等の詳細が不明であり検討困難と考える。
14 障害残存の可能性なし 流量計 PK-N-102 三幸製作所 酸素2Lで吸入している患者のベットサイドで、O2チューブを直している時に、酸素フローメーターが患者の左目横に落下した。左目の下に2~3mm裂傷を認めた。 酸素フローメーターの劣化(10年以上使用して、弛んでいた) 酸素フローメーターをメンテナンスし、ゆるみのあるものは、全て捨てて更新した。
日常点検を実施することとした。
当該企業に確認したところ当該事例と考えられる事象は情報入手されておらず、接続部分が弛んでおり、酸素フローメーターが落下したとのことであるが、保守・点検の実施状況を含め、弛みが生じた原因等の詳細が不明であり検討困難と考える。
15 死亡 Sapphire2 バルーンカテーテル オーバスネイチメディカル 右冠動脈にたいしてPCI施行。ワイヤー通過に難渋したが、末梢の真腔へワイヤー通過に成功。1.0mmバルーンにて拡張おこなうが、末梢まで進まなかったため、マイクロカテーテルにてサポートワイヤーに変更することでバルーンの通過に成功した。しかし、バルーン拡張時に10気圧にてバルーン破裂を来した。そこで破損したバルーンを抜去しようとしたが、ガイドカテーテル入口部にて断裂した。
 ただちにもう1本、ガイドワイヤーを通過させて、バルーンカテーテルを拡張し、破損したチップを一塊にして、回収こころみたが、回収できず、#4末梢に嵌頓した。
しかし、同部位の血流は保たれており、かつもともとの血管の石灰化に加えて、以前のステントが留置されており、wireバルーンふくめて、器具の挿入が非常に困難であったため末梢の破損したチップの回収は困難と判断し、そのまま手技を続行した。
  1. 心肺停止の患者。以前よりカテ治療。左主幹、右冠動脈にステント留置。今回は右冠動脈のステント閉塞。カテで冠動脈開塞。PCPSつけて、IABP→PCI。開塞部がかたく、ガイドワイヤーは通過したが、バルーンカテーテルが通過むずかしかった。何とか通過したが、バルーンが破裂した。
  2. 業者からの報告:「製造元に調査を依頼した。外観、電顕では、切断面がギザギザしており、外的な力でちぎれた。」
器具挿入困難な状況の際、リスクとベネフィットを考慮し、治療の続行の必要性を判断する。 当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、解析の結果、当該製品には品質上の問題は認めず、以前より留置されていたステントあるいは石灰化病変等との接触によりバルーンが破裂したものと推察された。当該事象は、患者の病変等によってはPCIを施行する上で避けられない有害事象と考えられ、モノの観点からの検討は困難と考える。
16 障害残存の可能性なし メドトロニック ミニメド CGMS-Gold 日本メドトロニック 外泊翌日昼前アラームが頻回になるようになり,患者が病棟に連絡された.その時居合わせた今回穿刺,接続を担当した研修医がトラブルシューティングガイドをみて原因表記がキャリブレーションエラーであるのを見つけだし,待機であり主治医でもある医師に連絡.モニタリングは中止とし,機械を外しに自宅より帰っていただき退院となった. いままでトラブルが発生していなかったのと,入院2日間問題ないので何も起きないだろうとの油断があった.その後メドトロニック社のフリーダイヤルにアラームの原因を問い合わせたが,センサーにだんだんずれが生じて値を拾えなくなったのではということであった.これは日数を追って生じやすいとのことであった.ただし上記の内容の話は当初使用前のメドトロニック社からの説明では聞いていなかった. 外来や外泊でもしCGMを行うときはアラーム対応ができるようにあらかじめメドトロニック社のフリーダイヤルを伝えておくか,責任医師を決める必要がある. 当該企業に確認したところ同様事象が複数報告されており当該事例を特定できないが、センサ部の位置ずれ等により、センサー挿入3日目にグルコース濃度が測定不可となったことから、アラームが発生した可能性が考えられるとのこと。当該センサーの添付文書には、「センサ部の位置がずれていないことを定期的に確認すること。」と記載されているが、挿入状況等が不明であり検討困難と考える。
 
17 障害残存の可能性がある(低い) VerSys人工股関節システム ジンマー 本年レントゲンで人工関節の軸部の変形に気づいた。保存的に経過観察していたが、歩行時に大きな音と共に歩行不能となった。救急外来受診しレントゲンで人工関節の軸部の折損と診断された。入院となり人工関節再置換術を行った。 人工関節置換術後9年が経過しており、金属疲労による折損と考えられる。 折損の原因を業者に依頼中。変形を確認してからの対応に関して検討をする予定である。 当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、解析の結果、当該製品には品質上の問題は認めず、当該折損は9年間にわたる留置中の疲労破壊によるものと判断されており、人工関節の留置に伴う合併症と考えられ、モノの観点からは検討困難と考える。
18 障害なし 不明 不明 全麻下での左鎖骨骨折術後に清潔シーツを取り去った時、左前腕に約2~3cmの熱傷が出来ていることに気付いた。シーツに1箇所穴が開いておりそこに電気メスが当りシーツを焼き、患者の前腕に熱傷が発生したものと考えられた。(患者の体幹と腕の間に電気メスが入り込みスイッチが入ったと考えられる) 術野に集中し周囲の安全確認が出来ていない
使用しない電気メスを最後まで本体のスイッチを入れていた
電気メスの位置の確認を直接介助者はする
ポケットの使用、電気メスの置き場所の設置
電気メス使用時の音量を上げる
電気メスをシーツの上に置いた際に、患者の体幹と腕の間に入り込み、スイッチが入り出力したために患者が熱傷を負ったとのことであるが、使用された電気メスの製品名等が不明であり検討困難と考える。
なお、電気メスの添付文書には、熱傷の可能性があるため、ドレープ等の上に置かないよう記載されているところ。
19 死亡 不明 不明 悪性リンパ腫,播種性血管内凝固にて,終末期医療を行っていた。
(今回の入院は,放射線療法,化学療法施行。本人から延命行為は希望しないと意思表示有り,急変時はDNRであると確認した。)
フェンタニルの持続点滴を開始した。意識レベルは簡単な会話が可能程度で疼痛は軽減した。
夜,時に寝たり起きたりして不隠な様子はなかった。
2日後8:50看護師が訪室すると,会話は可能だった。
9:20看護師が訪室し,CVカテーテル刺入部を確認するとうなずきがあった。刺入部の異常はなかった。
9:50看護師が麻薬の残量を確認するため訪室すると穏やかに入眠していた。
10:50シーツ交換のスタッフ(外注業者)が部屋に入ると,頭部と足部を反対にした状態でベッドにうつ伏せに倒れているところを発見した。すぐに看護師に連絡がありかけつけると,シーツ,床に出血有り,心電図モニターはフラットの状態だった。
スタッフステーションにいる医師を呼び体位を整えると,固定していたドレッシング剤はなく,CVカテーテルが刺入部から抜けていた。ジャンクションハブの固定糸はついたままであった。カテーテル先端の破損などはなかった。患者に打撲痕などもなかった。
直ちに蘇生試みたが回復なく,家族の来院を待ち,死亡確認。家族に対して,司法,病理解剖について説明したが,いずれも拒否され退院された。
  1. モニター装着患者の観察が不十分であった。当時,6~7人の患者に対してモニターが装着されていたが,アラームに対してきちんと対応していなかった。
  2. モニター装着に対して慢性的になっており,その必要性を理解し,はずすことのアセスメントができていなかった。
  3. 出血傾向のある患者(PLT1.5万 その後輸血)に対して,CVカテーテル挿入が適切だったかどうか。→今回,PICC挿入が困難だった
  4. 患者は医師であり,カテーテル自己抜去のリスクが高いと認識していなかった。
  5. CVカテーテルが完全に抜去されており,意図的,または無意識に抜去されたのではないかと思われる。
  1. モニター装着の目的,必要性について理解して,アラームなどに対応する。
    (検査などに伴う一時退室設定を使用する)
  2. 患者観察を行い,必要時,モニターの必要性についてアセスメントし,不要なモニターをはずす。
  3. CVカテーテルの自己抜去はありうるという前提で,患者観察を行い対応する。
CVカテーテルが抜けているところを発見したとのことであるが、使用されたカテーテルの製品名、固定方法等が不明であり検討困難と考える。
20 障害残存の可能性なし 不明 不明 緊急手術にて全身麻酔導入後、CVカテーテル挿入。
高度脱水・短頚もあり左右頚静脈への挿入は困難であった。
手技者を交代しても挿入できなかったため中止とした。
術後に再度挿入を実施。
右鎖骨下静脈へカテーテルを挿入し胸写を撮影したが、そのときは気胸は認められなかった。
病棟帰室後1時間で胸写で気胸が発見。

 
高齢で全身状態が悪く、高度脱水や短頚があり、解剖学的にも穿刺困難な患者であった。
CVカテーテル挿入の基本的手技は守られていたが、エコーで穿刺結果の確認はしていなかった。
術後管理上必要なCVカテーテル挿入であったので、穿刺が困難でも繰り返し、場所を変えて穿刺を行わざるを得なかった。
術後の脱水は輸液にて補正を行っておく。
予めエコーにて穿刺血管の確認を行う。
穿刺のため基本的手技を確実に身につける。
中心静脈カテーテル留置後に気胸を認めたとのことであるが、解剖学的にも穿刺困難な患者とのコメントもあり、モノの観点からは検討困難と考える。
21 障害なし アロー中心静脈カテーテルセット ダブルルーメン テレフレックスメディカルジャパン
  1. てんかん手術(焦点切除)の術前、左鼠径部よりCVカテーテルを挿入
  2. 術後抜管後ICUへ移動の際に、CVカテーテルの抜去を発見
  3. 固定は通常通り絹糸で結び、オプサイトを使用していた
  1. いつ、何が原因で抜去したかは不明。
  2. 6か月の子供で、カテーテルが短くループは無かった。
  3. 移動時にスタッフ5名が関わっていた。
  1. 移動時には、関わるスタッフの役割分担(ライン管理担当など)を明確にする
手術室からICUへ移動後にCVカテーテルが抜けていることを発見したとのことであるが、抜去の原因等が不明であり検討困難と考える。
22 障害なし 不明 不明 点滴施行中の午前に、授乳のため訪室した際、同時に点滴刺入部を確認したが腫脹や発赤等の異常はなかった。その1時間30分後、おむつ交換、内服のため訪室した際、点滴刺入部周囲が腫れていることに気づき、刺入部を確認したところ点滴漏れであることが判明した。 看護手順では、点滴時1時間毎の観察となっているが、実施していなかった。使用した薬剤が血管外露出すると皮膚損傷をきたしやすいという認識はあったが、行動として実践できていなかった。 看護手順通りに点滴の確認を行う。漏れると重大な皮膚損傷を起こしやすい薬剤であることを再認識し、患者の状態にあわせて刺入部の観察を頻回に行う。 血管外漏出を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細が不明であり、検討困難と考える。
23 障害残存の可能性なし 不明 不明 バンコマイシン270mgを生理食塩水25mlに溶解し、末梢ラインより1時間かけて投与した。投与開始20分後に刺入部を確認した時は腫脹などの異常は見られなかったが、投与終了時、刺入部に腫脹と皮膚の変色を認めた。 投与開始から20分後の刺入部確認の際に照明をつけず、漏れ発覚時に電灯をつけた。暗い中での作業による観察不足の可能性がある。刺入部固定のテープで漏れ部の大半が覆われており、発見が困難になっていた。また、末梢漏れを繰り返している患者であり、漏れると重大な皮膚障害を及ぼす薬剤であるため、PIカテーテルを挿入したが閉塞気味で使えず、末梢ラインを使用した。 投与前、投与中の刺入部確認時には、照明や懐中電灯を用いる。漏れると重大な皮膚障害を及ぼす薬剤であることを再認識し、患者の状態にあわせて刺入部の観察を頻回に行う。観察しやすい固定方法を検討する。リスクの低い投与方法で行えるよう努める。 血管外漏出を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細が不明であり、検討困難と考える。
24 不明:点滴漏れと末梢色黒色変化の関係の区別が困難 イントロカン テルモ 胆道閉塞症の疑いで入院となった。入院翌日の4時30分頃から全身硬直が出現し始め、硬直と弛緩を繰り返していた。8時頃から酸素飽和度の低下、意識レベルが低下し、心肺停止状態になった。蘇生を行い約20分後心拍が再開したが深昏睡状態であった。CT上右急性硬膜下血腫、くも膜下出血、蘇生後脳死の所見が見られた。全身管理目的で集中治療室に移室した。右下肢に末梢ルートが確保されており、ノルアドレナリンやグリセオール、他薬剤が輸液ポンプ等で投与された。
人工呼吸器装着のままで病棟に転室した。右下肢の静脈路を固定しなおしたときに点滴の滴下不良と下肢の腫脹、右下肢先端の皮膚黒色化に気づいた。母親は前日に皮膚色の変化に気付いていた。静脈路を他に変更し、アクリノール湿布を行ったが翌日には皮膚の黒色化が進行し、形成外科、心臓血管外科にコンサルテーションを行った。
静脈路確保部位が包帯で覆われ観察できにくい状況にあった。
ポンプ等で輸液がなされ、漏れや滴下不良に気がつかなかった。
他に静脈路がなくこのルートを使用するしかなかった。
alb低値で浮腫が強く腫脹に気付かなかった。
低血圧状態及び昇圧剤の使用で末梢への血流が乏しかった。
刺入部の観察が行われた記録がない。
点滴刺入部の観察は勤務ごとに実施することを周知する。観察の結果が記録に残される。広報を行い、啓発する。 血管外漏出を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細が不明であり、検討困難と考える。
25 障害残存の可能性がある(低い) 不明 不明 抗がん剤(ナベルビン単独療法)を実施の患者。
13:50 主治医にて左前腕内側にルートキープされ、化学療法開始。
13:40 末梢点滴ルートの逆血の確認、刺入部の観察を行い異常がないことを確認しナベルビン点滴の投与開始。
13:45 末梢点滴刺入部異常なく、逆血も確認できた。
13:48 末梢点滴刺入部の掻痒感の出現あり、刺入部より4cm左上と8cm右上に発赤を伴った約1cm大の水疱あり(刺入している血管の走行とは違う部位)。
末梢点滴ルートの逆血なし。主治医に報告し、念のためシリンジで吸引を行いながら抜針した。残りの抗がん剤は他の血管を穿刺し、全量を投与した。
15:00 水疱と発赤は消失しているが、硬結あり。皮膚科診察あり、デルモベート軟膏塗布の指示あり。
  • 末梢血管からの投与であり、血管外漏出の可能性があった
  • 抗がん剤血管外漏出マニュアルに沿って対応する
    (皮膚科診察あり、漏出部位の局所注射(ステロイド剤)は不要と診断され、軟膏塗布の指示のみあり)
  • 皮膚の状態を継続して観察する
血管外漏出を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細が不明であり、検討困難と考える。
26 障害残存の可能性なし ミニトラック2 スミスメディカル・ジャパン 肺がん術後呼吸器不全の患者。
喀痰排出困難で耳鼻咽喉科によるミニトラック挿入。翌日右大葉性肺炎による呼吸状況悪化。ICU入室。挿管時にミニトラックが上を向いていることが判明した。
操作上の問題はなかったが、位置確認を行っていなかった。 警鐘事例として、ミニトラック挿入後にレントゲンで位置確認をするよう院内周知する。 当該企業に確認したところ当該事例と考えられる事象は情報入手されておらず、当該カニューラが上を向いていたとのことであるが、使用状況等が不明であり検討困難と考える。
27 障害残存の可能性がある(低い) 不明 不明 本来の用途とは違う使用法にて、それまで入っていた経胃十二指腸チューブが徐々に浅くなってきたために少し押し込んだ。その2日後に腹部に膨満が出現して炎症反応が急上昇した。CTにて大量の腹水を認め、穿刺にて十二指腸チューブから流しているミルクであることが判明し、チューブが十二指腸または小腸を穿破したと思われた。腹腔穿刺にて減圧ドレナージ直後、腸管麻痺によって胃内に貯留していた胆汁が気道に逆流して誤嚥しRDSを来たした。 それまで何事もなく栄養できていたチューブであり、大丈夫であろうと思ってしまった 本来の目的外の使用法であるため、チューブ先端位置と腸管内腔の関係の把握を定期的に行う。交換可能になったら、目的に合致したチューブに早期に交換する。 経胃十二指腸チューブを押し込んだ際に十二指腸もしくは小腸を穿破したとのことであるが、使用されたチューブの製品名や使用状況等が不明であり検討困難と考える。
28 障害残存の可能性なし P.T.C.Dセット(内筒チューブ) トップ 術後11日目、PTCDチューブを抜去しようとした際に切断。レントゲンで確認。先端は拳上空腸内に存在。後日、先端カテーテル消失。 抜去時に先端数センチに作成している側孔が糸に引っ掛かり切断されたと推定される。 先端の側孔作成をしない。 当該企業に確認したところ当該事例と考えられる事象は情報入手されておらず、当該カテーテルの側孔に糸が引っ掛かり切断されたとのことである。この側孔は当該医療機関において作成されており、モノの観点からは検討困難と考える。
29 障害残存の可能性なし 不明 不明 13時30分人工呼吸器のアラームが鳴ったため患者に近づくと、気切部よりエア漏れの音がし、人工呼吸器のアラーム異常が「チューブトラブル」となっていた。呼吸器と気切カニューレの接続は外れていなかった。気切部ガーゼをめくるとカニューレホルダーは外れていないまま、気切カニューレの先端が回転する形で気管外に出ていた。すぐに気切部を手でふさぎ、バッグバルブマスクで換気開始。一時的にSpO2値=80%台後半まで低下がみられたが、すぐに90%台へ上昇した。その間に循環器当直医師の報告。来棟あり、気切カニューレを挿入してもらう。気切カニューレ挿入後、SpO2値低下なく両肺呼吸音も聴取可。
気切カニューレのカフ圧は最終11時20分に確認しており、26cmH2Oであった。気切カニューレの固定部は縫合されていなかったが、カニューレホルダーで固定はされていた。
また13時に患者の元へ行った際は、人工呼吸器のアラームも鳴っておらず、気切部からのエア漏れ音もなかった。人工呼吸器を動かすこともなかった。患者の痰は多く、バッキングしていることがあった。
  • 気切カニューレ挿入部位の観察が不足していた(ガーゼの下)
  • 痰が多くバッキングしていることがあったが、気切チューブの固定をカニューレホルダー(マジックテープ式)で固定をしていた
  • 気切孔が縦長であった
  • 外観上は固定できているようでも、気切カニューレが浮いてくることもあるため、定期的な観察に加え吸引後や体位変換等により頭の位置を変えた場合などは必ず挿入部位の観察を行う。
  • 気切カニューレの固定は、カニューレホルダー(マジックテープ式)からさなだ紐の使用に変更した。
  • 気切孔が縦長であったため、耳鼻科医に診察を依頼した。結果、抜去時に使用していたカニューレより長い気切カニューレに変更され、チューブと頸部を縫合しされた。
気管切開チューブが抜けているところを発見されたとのことであるが、使用された気管切開チューブの製品名や留置状況等が不明であり検討困難と考える。
30 障害なし フレンタEDカテーテル
フレカEDカテーテル(胃瘻造設キット)
フレゼニウス カービ ジャパン 22:30オムツ交換時に、音がしたので確認した所、フレンターチューブが根本から外れ落ちていた。先端のバンパーはS状結腸に落ちていた。胃瘻が閉塞しないようバルンカテーテルで応急処置を行い、後日内視鏡で新しいフレンターチューブを挿入した。パンパーは6日後に排便内に混入し排泄された事を確認した。 業者も含めて、胃瘻チューブの破損の原因を確認した。内服薬との関連を確認していただいたが、劣化の原因ではないとのこと。また、他の医療機関からは、劣化の報告は上がってきていないとの事だった(当院は、胃瘻の患者のほとんどをフレンターチューブ交換している事。2010年4月にも同じように劣化してチューブ破損があり、業者への報告は今回は2回目である)。 今後の観察及び、胃瘻チューブ交換時期などのついて検討を行っているが、現在明確な解決策に至っていない。胃瘻管理の方が入院中であれば対応ができやすいが、施設や在宅にも多くいるため今後の管理方法が必要と思う(今回の患者も在宅の管理の方であったがたまたま調子が悪く入院してありその中での事故であった)。 当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、当該胃瘻チューブは25ヶ月間留置されていたとのこと。解析の結果、経時的な劣化により破損に至ったものと判断され、モノの観点からは検討困難と考える。
 
31 障害残存の可能性なし ディプリバン

シリンジポンプSP500D
アストラゼネカ

ジェイ・エム・エス
集中治療室にて人工呼吸管理をしていた患者であったが、呼吸状態がいったん改善したため、抜管し、ディプリバンを中止した。しかし、その後不穏となったため、同日 シリンジポンプ(JMS シリンジポンプSP−500D)の電源をONにし、早送りボタンを押し、ディプリバン2ccフラッシュした(持続投与なし)。追加でフラッシュする可能性があるためディプリバンはシリンジにセットしたまま流量0としていた(投与中断の状態)。ディプリバンをフラッシュしてから覚醒しない状態が続いていた。呼吸状態悪化のため再挿管となった。同日デュプリバンのシリンジにエアが入っていることに気づいた。 ディプリバンの液はエア混入分25mL減少していたため、体内に注入された可能性がある。 患者にCVは留置されておらず、右手のVラインから薬剤が投与されており、メインの側管の体側に一番近いコネクターからディプリバンが投与されていた。その時に投与されていた薬剤はフェンタニル、へパリン、ソルデム3A、プレセデックス、フィジオ40、インスリン、Aラインであった。
患者が不穏のために、ルアコネクターが緩み、外れかけていたので、いったん外して再度ルアコネクターを閉めた経緯があった。その際に、ゴムに挿入した針穴が拡大して、その隙間からエアが漏れて内部に注入され、エアに押し出される形で、シリンジ内の液が注入された可能性を考える。覚醒しない状態が続いたことは、これらの事故を反映している可能性が高い。
一時的に薬剤の投与を中断する際には、こまめにクランプをしたり、ルートを外す等、誤って薬剤が注入されないように物理的に遮断する。 当該企業に確認したところ当該事例と考えられる事象は情報入手されておらず、注入停止中のシリンジポンプに装着されていたディプリバンが誤投与されたとのことである。ゴムに挿入した針穴が拡大して空気が混入しシリンジ内の薬液が注入されたとのことであるが、ゴムに針穴が開いた原因等が不明であり、検討困難と考える。