独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成24年度 第1回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医療機器関連事例) 別添1

本文|別添1|別添2別添3

 

製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例(医療事故)

No. 事故の
程度
販売名 製造販売
業者名
事故の内容 事故の背景要因の概要 改善策 調査結果
1 障害なし ベンチレータ840 コヴィディエンジャパン 開心術当日術後、鎮静下に人工呼吸器(ベネット840)を使用していた。当初問題なく稼働していたが、突然アラームが鳴り、「警報異常」と表示。すぐにジャクソンリースによる用手換気に切り替え人工呼吸器の接続状況を確認。警報の解除できず原因も不明のため、新たに別の人工呼吸器に交換をした。患者の状態には変化がなかった。 不明。当院で8年以上使用している人工呼吸器である。使用時間は3万時間を超える機種である。メーカーによる定期点検と臨床工学技師による点検も受けていた機種。 機器に問題があると考え、メーカー(コヴィディエンジャパン)に調査依頼中。 当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、解析の結果、当該事象は再現されていないが、GUI基板内の電子部品の一時的な通信不良による動作不良と推察されており、当該基板を交換・修理したとのこと。
2 障害なし ベンチレータ840 コヴィディエンジャパン 術後1日目。人工呼吸器(ベネット840)を使用していたが、突然警報が鳴り、「異常」のアラームメッセージが表示された。すぐにジャクソンリースによる用手換気に切り替え人工呼吸器を交換した。患者の状態に変化はなかった。 不明。当院で8年以上使用している人工呼吸器である。使用時間は3万時間を超える機種である。メーカーによる定期点検と臨床工学技師による点検も受けていた機種。 機器に問題があると考え、メーカー(コヴィディエンジャパン)に調査依頼中。 当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、解析の結果、アナログ基板の不調により、規定の電流が安全バルブへ供給されなかったものであり、当該基板を交換・修理したとのこと。
3 障害なし フォース電気手術器



ステリクロンR エタノール液0.5
コヴィディエンジャパン


健栄製薬
12:55 手術室入室 「膀胱部分切除・結腸切除・瘻孔閉鎖術」施行
16:35 消化管外科医師Aは、閉創前に「ステリクロンRエタノール液0.5」(0.5%クロルヘキシジン入り、アルコール83%入り)にて皮膚を消毒、綿球で創を消毒後、周りの皮膚に薬液をふりかけた。その後助手の医師(消化管外科医師B )に閉創を依頼し、家族への説明のために手術室を出ようとした。助手の医師が閉創しようとしたが、一部出血があっため、電気メスを使用したところ、創の上においたガーゼに引火した。すぐに生理食塩水をかけて消火し、滅菌ドレープをはずしたところ、創正面に1度熱傷と思われる表皮剥離が見られ、リンデロン軟膏を塗布した。
16:41   手術終了
16:57  気管チューブ抜管
19:00  病棟へ帰室
皮膚科にコンサルトし「2度浅層、一部2度深層レベルの熱傷」の診断ステロイド外用使用の指示がでた。患者・家族へ、消化管外科医師より「電気メスと消毒の反応で熱傷をきたした」ことを説明し理解を得た。
  1. 執刀医は通常は閉創前に消毒はしていないが、本事例は結腸膀胱瘻であったため、特にSSI予防が必要と判断し消毒薬を使用した。
  2. 術者は、「ステリクロンRエタノール液0.5」の消毒薬成分、使用方法について理解していない。(エタノール83%、0.5%クロルヘキシジン入りであるが、0.5%エタノール液と思った)
  3. 執刀医は、閉創を助手医師に依頼しその場を離れた。助手医師は「ステリクロンRエタノール液0.5」が使用されたことは見ており、アルコール消毒薬と電気メスによる発火の可能性があることも知っていたが、この時は考えが及ばず止血することが優先になり電気メスを使用してしまった。
  1. 手術創の洗浄には創傷治癒に悪影響を与えるため消毒薬を用いない。
  2. 「ステリクロンRエタノール液0.5」は、健常皮膚の消毒に使用する事を徹底する。
  3. アルコール含有消毒剤は、気化したアルコールが充満すると電気メス使用時に引火するため、やむを得ず使用する場合には、乾燥させ、アルコールの拡散を確認してから使用する。
  4. 「ステリクロンRエタノール液0.5」のボトルに注意喚起のシール「傷・粘膜使用禁・火気厳禁(電気メス使用注意)」を貼付する。
    上記内容に関して連絡速報での通知及び各セーフティ会議にて通知した。
当該電気手術器の添付文書には、アルコール性皮膚消毒材等の可燃性物質に引火する可能性があることが記載されている。
なお、これまで同様の事例が集積されており、PMDA医療安全情報No.15「電気メス取扱い時の注意について(その2)」を作成・配信し、注意喚起も実施しているところ。
 
4 障害残存の可能性がある(高い) ハートスタート FRx フィリップス エレクトロニクス ジャパン 脱力のため当日午前中に救急搬送され入院となった患者。入院時には著明な低カリウムと肝障害・黄疸などを認めており肝膵内科主科で入院となっていた。脱力精査のため当日夕方に大腿部造影MRIを行った後、病棟のお迎え待ちの間に突然心肺停止となった。
その際にMRI室のAEDを装着、さらに別の心拍監視モニタも装着して蘇生を行っていた。心拍監視モニタでは除細動の必要な心室細動(VF)を確認したが、AEDでは「ショック不要」と判断されたため、急遽別のマニュアル式除細動器を取り寄せ、その除細動器でショックを行って心拍再開した。VFに至った原因は低カリウム血症が疑われるが、蘇生の際のAED不具合により患者への除細動が2分程度遅れたと判断される。
使用したAEDは新しいものであったが、そのAEDの不具合(心電図解析の誤り)と考えられる。 AEDの自動記録を分析したがやはりVF波形に対し「ショック不要」と判断されており、現在AEDのメーカーにより原因調査中。 当該企業に確認したところ、心電図波形は当初Vfであったが、途中で波形の変動を認め、除細動不要と判断されたとのことである。なお、解析の結果、当該AEDには異常を認めず、その旨を医療機関に説明し、了承を得ているところ。
5 障害残存の可能性なし ストライカー社ドリルアタッチメントII 日本ストライカー 抜歯の際、使用していたマイクロドリルが過度に加熱して、患者の口唇に当たっていた部分の熱傷を起こした。 使用後の洗浄が不十分であった。 使用後の洗浄や乾燥などの工程をマニュアルに沿って、実施することを教育・指導した。 当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、解析の結果、アタッチメントの保守・点検が十分に行われていなかったことから、ドライブシャフト上のベアリングがノーズハウジング内で固着して過剰な負荷がかかり、発熱に至った可能性が推察された。なお、当該製品の取扱説明書には保守・点検に関する注意点がすでに記載されているが、当該事例を踏まえ、当該企業から医療機関に対して、再度、保守等の必要性について情報提供が実施されているところ。
 
6 障害残存の可能性がある(低い) 上肢台1001.19 城東熔工所 術中体位は砕石位であったが、開始30分後手台が外れ肩関節より斜め下45度方向に上肢とともに転落した。直ちに再固定するも、手術終了間際に医師が手台にもたれかかった際に再度同様に手台が脱落した。上肢に骨折は認められなかったが、右前腕部に内出血を認めた。
  1. マッケ・ジャパンは平成20年から改良した手台を装着し供給を開始したが、当院納入の該当手術台の手台のみ旧式の手台が混入していた。当初、同社側は旧式手台と事故は因果関係がないと説明してきたが、本院の請求の結果、耐加重実験を施行したところ、旧式手台は特に横荷重に対する強度が劣ることが明らかになった。
  2. マッケジャパンの手台が横荷重に弱いことを周知できていなかった。
  1. 新式手台との交換を行った。
  2. マッケジャパンの手術台が横荷重に弱いことを周知し取り扱い方法の見直しを行った。
  3. 体位検討チームを結成し各科単位での体位の見直しを開始した。
当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が提出されており、上肢台に横方向からの荷重がかかったために、上肢台から手台が脱落したとのこと。
当該上肢台の添付文書には、横方向に力を加えないこと、本製品にもたれかかったりしないことと記載されているところであるが、当該製品は2008年に横方向耐荷重に対する改良を実施している。なお、当該事象の発生は現時点まで、この改良前製品で発生した当該1件のみとのこと。
7 障害なし プリセップ CV オキシメトリカテーテル 8.5Fr 20cm トリプルルーメン (中心静脈カテーテル 酸素飽和度測定機能付) エドワードライフサイエンス 8:18 人工血管置換術のために手術室入室
8:57 硬膜外チューブ挿入
9:02 麻酔開始
9:08 気管チューブ挿管 
9:23 右内頸CVカテ(トリプルルーメン8.5Fr、留置長14cm)挿入
10:09 術前タイムアウト施行
10:11 手術開始 
12:01 CVルートが流れにくくなるが経過観察 
12:43 ACT136
12:46 ACT116 ヘパリン投与するもACTが伸びない状況があり、トリプルルーメンの遠位側から注入(注入可能)
12:58 ACT249と延長 「人工血管置換術」施行 
16:47 手術終了。体位を戻し、ドレープをはがすと右頸部から下顎にかけて腫脹あり固定したテープ周囲に水泡が形成された。CVカテが抜けて皮下に薬液が漏れていた可能性あり。
16:48 直ちに点滴を中止し、右内頸CVC抜去。
17:48 右大腿にCVカテーテル留置(トリプル:12G、留置長20cm)
18:10 抜管せずCU入室  SIMV 40% BP117/65 HR84 Hb10.2 
18:45 CT施行「皮下に輸液が多量に貯留しているが気管圧迫までには至らず」 
皮膚科にコンサルト 「局所のたまりはないため切開は不要・二次感染予防にゲンタシン軟膏を予防的に使用」 
麻酔部、血管外科医師より家族に説明
翌日気管チューブ抜管 呼吸状態問題なし 
ICUより病棟へ帰室。その後軽快退院
  1. 点滴が落ちにくかったり、トリプルルーメンの近位側からのヘパリンの投与後もACTが伸びず、遠位側から投与したエピソードがあったが、確認や早期の問題発見のための行動がとられていない。
  2. 患者の体格が大きくまた、手術のための体位が上肢を頭側にして右側臥位であったため、術中の刺入部の観察が困難であったがそれを踏まえた対応ができていなかった。
  3. 体格上ルートの固定が困難な事例ではあったが、固定が不十分であった可能性がある。
  1. 中心静脈カテーテルの固定に関して、針と糸を用いて麻酔科レジデント全員で上級医の指導の下、マンツーマンで技術の実施訓練を施行した。
  2. ヘパリンの投与は、血液の逆流を確認してから行い、逆流がない場合にはヘパリン投与は行わず術者へ報告し協力を得て刺入部の確認を行う。
  3. 検討中、このルートは水に濡れると滑りやすく固定が滑りやすいとの意見や、トリプルルーメンの近位側の穴(ポート)は遠位側の穴(ポート)から7cmと離れたところに位置しているため少しでも引き抜かれると血管外に穴が出てしまう可能性があるとの意見があったため、製造元へ改善策があるか検討を依頼した。
CVカテーテルが抜けかけ側孔が皮下に位置したために薬液が皮下に漏れたとのことである。当該企業に問い合わせたところ、当該製品のProximal側孔は先端から7cmの部位にあり、他社製の側孔位置よりも先端からの位置が遠いため、当該製品の添付文書には、点滴の際には側孔が血管内に位置していることを確認する旨を記載している。なお、当該企業は当該事例を受け、さらに2011年11月から製品に側孔位置を明示したラベルを貼付し出荷しているところ。
 
8 不明 バードX・ポート メディコン FOLFIRI5クール目施行するため入院。11:20アバスチン投与開始時、「ポートの挿入部が少し痛い気がする」との訴えあり。刺入部、発赤、腫脹、熱感、疼痛など無いため経過観察した。12:45アバスチン投与終了時、「ちょっと痛いかもしれない」と訴えあり。ポート挿入部に腫脹があるのを発見したため投与一旦中止し、医師に報告、診察を依頼した。しばらくすると腫脹軽減してきたため、経過観察の指示にて投与再開。13:00レボホリナート、カンプト同時投与開始。ポート挿入部の腫脹軽減。疼痛無し。13:35腫脹消失。14:05「やっぱり痛くなってきた」との訴えあり。右前胸部から右側胸部にかけて腫脹あり。投与一旦中止し、医師に報告、診察依頼。病棟科長に報告。 断裂したカテーテルは右室から右房に移動していた。
XP画像(添付資料参照)から見ると、カテーテルの血管挿入部は右胸郭外側で右に屈曲している所で、抜去したカテーテルの長さから、切断はこの部分で起きたと推察される。
バードX・ポートはシリコン製のため切れやすく、本事例のようなケースが時おりあると認識されていたため、現在、素材がポリウレタン製のオルカCVカテーテルキット(住友ベークライント)と併用で採用器材を検討中。
兆候については、患者確認したところ時おり動悸があったとのこと。
当院ではCV挿入専用同書を使用しており、これにカテーテル断裂の可能性と説明を追記して皮下ポート埋め込み時にも共用できるよう改訂した。
また、CV挿入ガイドライン、患者に渡している皮下ポート使用の説明冊子にもカテーテル断裂の可能性と兆候の説明を追記した。
当該事例については、これまで同様事象が集積されていることから、平成23年5月25日付薬食安発0525第1号・薬食機発0525第1号連名通知「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、当該製品の添付文書においてもカテーテル断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供を行うよう指示されているところ。
 
9 障害残存の可能性なし バードポートーTi メディコン 通常の外来化学療法施行後、腹部CT施行にて、CVカテーテルが断裂し心房内にあることを確認した。当日緊急入院し、翌日放射線科医師により浮遊カテーテル先をスネアカテーテルのリング内にキャッチし抜去した。患者に異常なし。抜去後の断裂したカテーテルが保存されなかった。 断裂判明時と異なる診察日に点滴の滴下不良があり、輸液ポンプでの点滴を実施していた。判明した当日も、問題なく点滴を行ったが、予定していたCT撮影により、CVカテーテルが断裂していることが判明した。 警鐘事例として、院内周知するとともに、抜去後の断裂したカテーテルの保存をリスクマネジャーに依頼した。 当該事例については、これまで同様事象が集積されていることから、平成23年5月25日付薬食安発0525第1号・薬食機発0525第1号連名通知「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、当該製品の添付文書においてもカテーテル断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供を行うよう指示されているところ。
 
10 障害なし オルカCVキット パイオラックス メディカルデバイス 右鎖骨下にCVポートを造設した。
挿入後5日目、CVポートより化学療法を実施。実施中は異常がなかったが、最後の抗ガン剤を投与終了後に穿刺部周囲の皮下に液漏れが生じた。
すぐに抜針し、皮膚にはリンデリンVGクリームを塗布しクーリングを実施した。翌日に腫脹は消失し皮膚の変化は見られなかった。そのご予定通り退院した。
化学療法目的で入院。
挿入後20日目、15時頃CVポートに針を留置し点滴を開始したところ皮下膨隆が生じた。カテーテルの離脱を疑い、透視下で確認したところ、心・大静脈に脱落していることを確認した。
  • なぜカテーテルが離脱したのか不明。医療機器の不具合の有無について販売業者に調査を依頼中。
  • CVポート留置時にポートとカテーテルをしっかり接続したが、生理食塩水を流して漏れがないか確認しなかった。
  • CVポートから点滴を開始する前に、スムーズに注入できるか確認しなかった。
  • 確認する適切な方法を統一していなかった。
  • CVポートのマニュアルを作成し、統一した方法で挿入から挿入後の管理が実施できるようスタッフを教育する。
  • CVポートの学習会を開催し知識を深める。
  • CVポート挿入に関わる合併症などの患者への説明内容をわかりやすく改善する。
当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、解析の結果、カテーテルがセプタムポートのコネクタの根元まで挿入されておらず勘合不足により離脱してしまったとのこと。
当該製品の添付文書には、セプタムポートのコネクタの根元までカテーテルを確実に差し込む旨を記載している。なお、当該企業では当該事象を受け、2012年2月から製品に同様の注意を記載したラベルを貼付し出荷しているところ。

 
11 障害残存の可能性なし PICCカテーテルキット 日本コヴィディエン 上咽頭癌 頸部リンパ節転移のため、化学療法(CDDP+5-FU)を4コース施行。今回5~6コース目を施行するために半年後再入院。薬剤投与ルートとして左肘部より左鎖骨下静脈に先端を留置し、PICCルートを確保し、同日夜より補液、6日間抗がん剤投与を行った。その後、化学療法後の嘔吐など摂食障害が生じた際の高カロリー輸液のラインとして、へパ生でロックしてルートを残していた。高カロリー輸液を行うことはなかったが、血清クレアチニン上昇を認めたため、水分負荷のため補液ラインとして使用した。ルート確保後の午前10時、点滴が流れなかったため、看護師がへパ生食を注入したところ、直後に左上肢のしびれ感、徐々に同部の鬱血と腫脹が出現した。直ちに看護師より主治医へ電話連絡が入り、主治医は外来診療中であったため、看護師付き添いで患者を外来診察室に連れて行った。
上記所見を認めたが、胸部症状や呼吸苦は認めなかった。外来でPICCルートを抜去したところ、鬱血、腫脹、しびれ感も改善したため、血栓症の鑑別で当日CT予約検査を行い、経過観察とした。同日17時に造影CTを施行したところ、左腕頭静脈~上腕静脈の血栓形成、右肺動脈の肺塞栓が確認された。20時頃循環器内科へ往診を依頼し、同日抗凝固療法(ヘパリン持続点滴及びワーファリン内服)開始となった。
担癌状態(上咽頭癌 頸部リンパ節転移)、化学療法中で、中心静脈カテーテルを挿入していたため、血栓形成しやすい背景があった。
  1. 血栓症の予防として、治療終了後はできるだけ速やかにカテーテルを抜去する。当科の場合、月曜日に開始し5日間持続投与の場合がほとんどで、土曜日の準夜帯に点滴が終了する事が多い。抜去時にカテーテル周囲に付着した血栓を飛ばす可能性も否定は出来ず、その際に迅速に対応できる時間帯として、夜間の抜去は避け、翌日(日曜日)の午前中に主治医もしくは当直医が抜去する。
  2. 血栓症の早期発見のために、カテーテルを挿入している上下肢の腫脹や疼痛などの症状や、胸痛、呼吸苦などの胸部症状の有無について定期的にチェックし、血栓症が疑われる場合には速やかに造影CT検査などを行う。
当該企業に確認したところ当該事例と考えられる事象は情報入手されておらず、当該カテーテル抜去後のCTで挿入血管内の血栓形成と肺塞栓が確認されたとのこと。なお、当該製品の添付文書にはカテーテル留置中の静脈血栓症のリスクが記載されている。
 
12 障害残存の可能性なし ラジフォーカスガイドワイヤーM テルモ 後日、遺残があることが判明。透視下に異物除去した。
心臓・中心循環系カテーテルガイドワイヤ(アングル型)のウレタン外層。
遺残物はガイドワイヤーのウレタン外層。剥離原因としては併用した金属針(金属外層)にウレタン外層が接触した状態でガイドワイヤーを抜去したためと考えられる。 メーカーへ調査を依頼した。警鐘事例として院内周知を行った。 当該企業に確認したところ同様事象が複数報告されており当該事例を特定できないが、ガイドワイヤのウレタンコーティングが金属針との接触により剥離したものと考えられるとのこと。
なお、当該製品の添付文書には金属針や金属製外套管と併用しない旨が記載されている。