独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

平成24年度 第4回医薬品・医療機器安全使用対策検討結果報告(医薬品関連事例) 別添4

本文別添1別添2別添3|別添4

情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例(医療事故)

No 事故の
程度
販売名等 製造販売
業者等
事故の内容 事故の背景
要因の概要
改善策 調査結果
1 障害残存の可能性なし イオパミロン300/80ml コニカミノルタエムジー株式会社 CRN、既往歴、バイタルサイン問題無く、造影剤を注入したが、注入7分後の造影剤終了し抜去後、呼吸停止を起こした。 ルート抜去直後、状態がおかしいことに気付いた。ルート抜去前に確認できれば、もっと対応ができたと考えられる 造影剤使用後、15分間は、観察を十分に行う イオパミロンによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
2 障害残存の可能性なし パラプラチン注射液450mg,
パラプラチン注射液50mg
ブリストル・マイヤーズ,
ブリストル・マイヤーズ
外来化学療法室でパラプラチンの点滴開始後、気分不良の訴えがあった。収縮期血圧が70mmHgに低下し、呼吸困難も出現してきたため、すぐに救急コールを行った。、サクシゾン200mgを静脈注射、アドレナリン0.3mgを筋肉注射し徐々にバイタルサインが安定した。救急救命センターに入室し、4時間救急救命センターで経過観察し状態が落ち着いていたため、一般病棟に転棟になった。 パラプラチンの投与回数を重ねると、ショック、アナフィラキシー様症状の発現頻度が高くなる傾向にあること
  • パラプラチンの投与回数による副作用を考慮し、慎重に投与、経過を観察する。
  • 患者の状況によっては、入院での化学療法を考慮する。
パラプラチンによる副作用症状とも考えられるが、患者の治療状況等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
3 障害残存の可能性がある(高い) ゼフィックス錠100,
ヘプセラ錠10
グラクソスミスクライン株式会社,
グラクソスミスクライン株式会社
内科外来にて、B型肝炎のため抗ウィルス薬を内服中の患者をフォローしていた。3年8か月前頃、膝の痛みが出現し、整形外科でもフォローされていた。以後、徐々に痛みが強くなり、歩行障害を来すようになった。徐々に胸郭変形も来し、3年の間に身長が約20センチ低下した。全身の痛みと進行する歩行障害の原因検索目的で入院。検査の結果、骨軟化症との診断があった。 事故原因として、長期に渡る低P血症の可能性がある。腎機能低下による薬剤調節について知識が不足していた。 現在、対応を検討中です。 ヘプセラ錠による副作用症状とも考えられるが、患者の年齢や合併症等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
4 死亡 ニフレック配合内用剤 味の素製薬株式会社 便秘の既往が無く腹部単純X線写真でも腸管狭窄を示唆する所見はみられなかったため、外来主治医は通常の前処置にて大腸内視鏡検査を依頼した。来院され、前処置として腸管洗浄液(ニフレック)2Lの全量を規定時間(2時間)で腹痛なく服用されたが排便はみられなかった。このため、高圧浣腸300mLを施行するがやはり排便はなかった。しかしその後、トイレで立位のまま多量の噴出状の嘔吐をきたし緊急CTを実施したところ、大腸狭窄による腸閉塞があり腸管穿孔が強く疑われた。入院の上、緊急手術を予定するが、呼吸状態が急激に悪化し、呼吸停止状態となった。直ちに蘇生処置が開始され、気管挿管を施行された。口腔内および気管内から多量の便汁の排出が認められた。一旦は心拍動は再開したが再び停止し、心マッサージを繰り返したが反応なく死亡された。遺族の同意を得て病理解剖が行われ結果、横行結腸癌による腸閉塞状態があり、口側30cmの部位に2cm径の穿孔が確認された。また、両肺下葉に液体貯留があり、誤嚥による窒息が強く疑われた。 初診時には、便通が毎日あり腹部所見なく腹部単純X線写真でも明らかな鏡面像や遊離ガスを認めなかった。また、S状結腸に正常範囲のガス増像を確認し、血液検査にて炎症所見や著明な貧血の進行も認めなかったため、腸管洗浄液(ニフレック)を前処置とする通常の大腸内視鏡検査を依頼した。
検査当日も、ニフレック2L全量を服用する過程で嘔気や腹痛は観察されなかった。
通常、服用途中に嘔気や腹痛を認める場合は、中止または浣腸などの処置を行うが、この事例では消化器症状をまったく認めていなかったため、閉塞症状が予見できず、結果的に全量2Lを服用したため穿孔に至った。
  1. ニフレックを1L服用した時点で排便がない患者は一旦服用を中止して30分経過観察する、その後も排便がない場合は担当医師に連絡して浣腸などの指示を仰ぐ。
  2. 便秘のある患者には、前日の食事を低残渣の注腸食に変更する。
  3. 排便がみられない場合は、吐物による誤嚥による窒息に十分注意する。
ニフレック配合内用剤の服用及び高圧浣腸後に、多量の嘔吐や呼吸状態の急激な悪化をきたした症例である。本事例は、緊急CTの結果、大腸狭窄による腸管穿孔が疑われる症例であり、ものの観点からの検討は困難と考える。
なお、ニフレック配合内用剤の添付文書には腸管閉塞症の症例は禁忌とされているところ。
5 不明:徐々に障害は改善しており、正常に回復する可能性あり オムニパーク350 第一三共(株) 午後より心臓カテーテル検査を施行した。検査前投薬なし。
13時00分に血管造影室に入室。
入室時の血圧118/93mmHg、脈拍数76/分、意識レベルに異常なし。
13時07分より心臓カテーテル検査を開始。造影剤(オムニパーク350)を91ml使用し、冠動脈造影と左室造影を施行した。
検査中は概ね血圧100-110台/70mmHg台で経過し、13時33分に検査終了。
検査中、検査終了時の意識レベルは入室時と変化なく清明で異常は認めなかった。
検査室退室時の血圧112/78mmHg。検査室退室時は意識レベルの異常なく普段どおりの会話ができ、ストレッチャー上に安静臥床していた。
13時45分、看護師によりストレッチャーで搬送され病室に帰室した。病室入口でストレッチャーを降り、看護師が自分のベッドへ独歩移動するよう促したところ、自分のベッドの場所が分からず他患者のベッドの方向へ歩いていくことがあり、声掛けするも返答・反応がはっきりしなかった。
その際の血圧は97/63mmHg、脈拍数74bpmとやや血圧は低めであったが、ふらつきなく歩くことができる状態であった。
看護師より連絡があり訪室したところ、血圧は120/70mmHg台と異常なし。時間や場所、自分の名前などの質問をするも「うーん」、「すみません」などと答えるばかりで質問への返答なし。次第に声を掛けてもいないのに「すみません」、「ありがとうございます」などの言葉を繰り返すようになり、また、ベッドに臥床させても落ち着きなく起き上がろうとし、安静を促すも理解が得られず不穏状態となった。
明らかな四肢麻痺や瞳孔異常はなかったが、心臓カテーテル検査後に生じた意識障害であり脳血管障害を疑い、14時30分に緊急頭部CTを施行したが出血性病変は認めなかった。不穏は強く安静が保てなかったため、鎮静剤を使用後に15時45分に緊急頭部MRIも施行したが、明らかな梗塞巣は認めなかった。腰椎穿刺を施行するも血液混入にて評価できず。
脳炎・脳症が疑われるも確証が得られておらず、また、頭部MRI施行の時間が早かったため脳梗塞巣が描出されなかった可能性もあることから、頭部CT、MRI、腰椎穿刺を翌日再検する予定とし、同夜より脳梗塞を念頭にラジカットの点滴を開始した。
不穏が強く鎮静剤を適宜追加投与していた。同日夜間より39度台の発熱あり。翌朝、鎮静剤が減弱した際に全く発語なく、不穏は激しかった。鎮静剤を投与し不穏を抑えて頭部CT、MRIを再検するも、明らかな脳梗塞や脳出血、脳浮腫などの異常を示唆する所見は認められなかった。
脳梗塞は否定的でありラジカットは中止した。同日、再度腰椎穿刺を施行したが、体動のため血液混入があり評価困難であった。
脳血管障害は否定的であり、経過からは造影剤などの薬剤に起因する脳症や細菌性、ウイルス性の脳炎などが考えられたため、同夜より抗菌剤と抗ウイルス薬の点滴を開始。また、ステロイドパルス療法も開始した。
2日後午後よりわずかに発語がみられるようになるも不穏状態は持続していた。
3日後未明頃より徐々に会話ができるようになり、自分の名前、生年月日、場所、入院のきっかけなどについて説明することが可能となったが、まだ清明ではなく会話中につじつまの合わない部分も認められた。脳症・脳炎疑いに対する精査加療目的で4日後に神経内科へ転科。8日後の腰椎穿刺では細胞数は正常であり細菌性、ウイルス性脳炎は否定的であり、抗菌剤と抗ウイルス薬の投与を中止した。
その後少しずつ意識状態は改善し、9日後頃は会話が可能で見当識障害もないが、落ち着きなく、注意散漫、多弁であり、歩行の際のふらつきあり、また段差などへの注意が払えず歩行がおぼつかなかった。理学療法、作業療法、言語療法を開始しつつ経過観察したところ、落ち着きのなさ、注意散漫、多弁、稚拙な歩行などの異常は概ね正常化した。
経過より造影剤に起因する脳症が最も疑われた。今後は自宅で療養しつつ症状経過観察することとなり、約1ヵ月後に自宅退院された。
本患者はこれまでに心臓カテーテル検査(治療を含む)を7回施行していたが、いずれも今回使用したものと同じ造影剤(オムニパーク 350)を使用しており、これまでは今回のような異常は全く認めていなかった。 特になし オムニパークによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
6 障害残存の可能性なし 注射用ナファタット50 日医工業 アナフィラキシーショック ナファタットでアナフィラキシーショックがおきると想定していなかった。 ナファタットは禁忌とした。 注射用ナファタットによる副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
7 障害残存の可能性がある(高い) 不明 不明 入院日よりプロポフォールとアレビアチンを末梢ラインより、4日間投与していた。翌日に末梢もれを発見し末梢ラインを抜去。初期対応として保温を行ったが、その後水疱形成し潰瘍形成に至った。形成外科にコンサルテーションし植皮術適応と判断された。 発見時には、ツインパルのみが投与されていたため、強アルカリ性注射薬のアレビアチンが血管外漏出したという意識がなかったため、観察が不足していた。 点滴漏れが生じた場合は、過去日において他にどの薬剤が投与されていたのかを確認し対応する。皮膚障害のリスクの高い薬剤投与については、中心静脈ラインの挿入を検討する。 血管外漏出を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細が不明であり、検討困難と考える。
8 障害残存の可能性がある(低い) レミナロン注射用500mg 高田製薬株式会社 当院で膵臓癌のため亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行し他院に転院していたが、膵癌術後局所再発、右尿管浸潤のため当院に転院となり、右水腎症に対して右腎瘻造設を行った。入院後には、トリプルルーメンCVカテーテルを挿入予定で準備を行っていたが、他院からすでにダブルルーメンCVカテーテルが挿入された状態で転院してきたため、そのまま利用することになった。最初、ダブルルーメンの、(1)から高カロリー輸液とクリトパン(側管)、(2)からレミナロン1500mg/生食48mLで投与を開始した。その後、抗生剤と輸血を追加する指示があり、確保した末梢のルートが22Gと細かったため、輸血を中心静脈の(1)から投与した。その後、輸血とレミナロンは原則単独投与であることから、看護師2名で相談して右手背の末梢ルートからレミナロンを投与するよう変更した。
右手背から投与中のレミナロンが漏れたため、医師に依頼して右前腕に入れ替えた。その後、右手背の発赤・腫脹が増強したため、皮膚科受診してリンデロンの局所注射等行っていたが、潰瘍・壊死が拡大し、デブリートメント実施、その後右環指伸筋腱断裂を認めた。
薬品の投与ルートは医師が指示するが、単独投与の薬剤や配合変化などの問題から、医師が指示したルートから投与できない場合があり、その場合は看護師が判断して投与ルートを変更することがある。投与ルートを変更した場合、医師の指示を変更すれば、システム的に新たに処方が発生してしまうのため、指示の変更入力を行わない場合が多い。また、薬品により投与ルート、単独投与、配合変化、フィルターの有無などの問題があり、さらに同一薬品においても投与濃度により規制があることもあり、知識が伴わないことがある。 注射薬オーダーシステムの改良。医師、看護師間の情報交換の強化。薬剤に対する知識の向上。投与経路や配合変化に注意が必要な薬品に対する情報提供システムの構築。 レミナロン投与中に血管外漏出を認めたとのことであり、副作用症状とも考えられるが、手技を含め原因等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。
9 障害残存の可能性なし シスブラチン マイライン
  1. MVEC療法(3クール目)目的の入院。
  2. 化学療法2日目、開始時漏れ・疼痛無確認。抗がん剤投与開始。
  3. 投与開始後、再訪室の際、刺入部に発赤あり、医師に報告しルート抜針。
  4. 抜針の際、院内フローチャートに沿い、薬物を吸引しながらの抜針を怠る。
  1. ルート抜針時の処置が、院内の対応マニュアルに沿って施行されていない。
  2. 看護師の対応マニュアルの理解が十分ではなかった。
  1. 化学療法を頻繁に行わない病棟に関しても看護師に対し、対応マニュアル等の研修・教育を実施する。
点滴漏れや刺入部に発赤を認めたとのことであるが、手技を含めた原因等の詳細が不明であり、検討困難と考える。

 

情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例(MRIに関連した事例)

No. 事故の
程度
事例の内容 背景・要因 改善策 評価案
10 不明
(治療中)
脳炎のため入院された患者、不穏症状があるため、入院時から24時間持続注入で全身麻酔・鎮静用剤(プロポフォール100mL(1,000mg))の投与を行っていた。
14時20分に左手末梢ルート側管より輸液ポンプで持続点滴中のプロポフォール100mL(3mL/h)のボトルを更新した。同日16時20分頃にMRI検査のため、輸液ポンプから投与されていたプロポフォール、その他の輸液を外し、その輸液の滴下速度を手合わせで調整した後、MRI室に向かった。
意識レベルは、I- 3 からII- 10 程度を行き来しており、時折足をバタバタさせていた。MRI室に入る前に、MRI用のストレッチャーに移す際、下肢の活発な運動はあったが、明らかな意識レベルの低下は認めなかった。体動しMRI検査ができない状態であったため、プロポフォールの滴下速度を一時早めに滴下調節した。鎮静を確認した後、再度滴下を絞った。鼻腔カニューラより酸素3L/分の供給を続行した。
MRI室に入室後、MRI装置内でも足を曲げたり伸ばしたりしていた。15~20分間の撮影後、放射線部医師が右手末梢ルート側管より造影剤注射後、患者の状態が悪そうであったため、放射線技師を呼んだ。
再度様子をみたところ、SpO2 が80%であり、徐々に下がっていった。鼠径動脈、とう骨動脈は触知していたが、徐々に触れなくなったため、MRI室より搬出した。まもなく心肺停止となった。その時点でプロポフォールが全量滴下していることが判明した。
高度救命救急センターに電話。バッグバルブマスクでの換気、心臓マッサージを開始し、気管内挿管を行った。
医師は、プロポフォールの滴下量の調節を手合わせで調整し、実際の残量、滴下量を確認していない。
  • 改善策を検討するためのワーキンググループを立ち上げ検討中。
プロポフォールが全量滴下していたとのことであるが、短時間で投与された原因等の詳細が不明であり、検討困難と考える。
11 障害残存
の可能性
がある
(高い)
運動発達遅滞を合併した軟骨無形成症のため、大後頭孔狭窄の有無を精査する目的で、MRI検査を施行。鎮静目的でトリクロリール5mL(0.79mL/kg) を内服させた。患者は入眠しMRI検査室へ。覚醒のため看護師がcall されるも到着時すでに入眠しており、顔色も良好であったため15時30分検査を開始。
検査が終了し、患児は父親・母親に付き添われストレッチャーで16時10分頃小児科外来へ帰室。この際、看護師が患児の顔色不良に気付いた。直ちに医師によりマスクバギングが行われ、心肺蘇生が開始された。16時15分自己心拍を確認。16時20分に気管内挿管された。HR = 134、SpO2 = 99%であった。末梢ルートを確保の上、ソリタT1の点滴が開始されたが、血糖高値のため生理食塩水の点滴を行なった。静脈血でPH = 6.890、PCO2 = 81.4、BE = -17、16時32分動脈血でP H = 6.920、PCO2 = 54.8、PO2 =517.2、HCO3- = 11.0、BE = -21.7、SaO2= 99.7 の代謝性アシドーシスを認めた。ICUに入室し、呼吸循環管理を開始した。
予期することができなかった合併症。
  • MRI検査を行う際に、これまでは主治医から特別な指示があった場合のみ行っていた酸素飽和度測定モニターを、小児における全ての睡眠下での撮影事例で行うこととした。
トリクロール服用による副作用症状とも考えられるが、患者の年齢や投与前の患者の状況、トリクロールの投与量の適正性の情報がなく、検討困難と考える。
12 障害なし MRI撮影時、造影剤(ガドベンテト酸メグルミン:後発薬品)15mL を3分かけて静注した。MRI内部に患者を移動後、緊急ボタンが鳴ったため、患者を装置の外へ出す。嘔気・冷汗あり。 造影剤によるショック
  • 造影剤使用時は緊急時事に備え、救急カートの点検
  • 緊急コール(アンビューコール)の方法を確認しておく。
造影剤(ガドベンテト酸メグルミン)による副作用症状とも考えられるが、患者の原疾患及び既往歴等の詳細な情報が不明であり、検討困難と考える。