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安全対策業務

別添3 医薬品の製造販売業者等による対策の必要性が低いと考えられた事例

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別添3 医薬品の製造販売業者等による対策の必要性が低いと考えられた事例

(*第7回報告書より、**第8回報告書より)

  具体的内容 背景・要因 改善策 誤り又は影響を
与えた医薬品名

1

インクレミンシロップ1.6mlの処方箋を調剤する際に、誤ってトリクロリールシロップを調剤した。監査者もこの間違いに気付かず病棟へ送付した。看護師が病棟で確認する際に間違いに気付いたため投与には至らなかった。

インクレミンシロップとトリクロリールシロップは、色が橙色で似ており、調剤者が秤量の際に取り違えた。監査者は思い込みから薬液の量のチェックにのみ注意が集中した。

  • 設置場所に類似注意の表示を行った。
  • オーダリングシステムとリンクした薬剤の監査システムの設置が必要である。

トリクロリールシロップ

(インクレミンシロップ)

 

112 催眠鎮静剤、抗不安剤(322 無機質製剤)

2

内視鏡検査中、血中酸素濃度が低下し呼吸状態が悪化したため、サイレースの拮抗剤であるアネキセートを静脈注射後、アンビューによる人工呼吸を開始した。

 

 

サイレース

 

112 催眠鎮静剤、抗不安剤

3

ソラナックス錠1日4錠30日分で、120錠出すべきところ30錠しか入っていないと患者本人から連絡があり、間違いが発覚した。不足分を本人に渡した。

当日、薬剤部のコンピューターの故障があり、落ち着いて調剤や監査ができる状況でなかった。

  • コンピューターダウン時のマニュアルの見直しをした。

ソラナックス錠

 

112 催眠鎮静剤、抗不安剤

4

コンスタン2錠、ドグマチール1錠分2の処方で朝2錠、夕2錠の不均等分割が指示され、調剤時に各朝2錠、夕2錠で機械により包装され、気付かず調剤し病棟に払い出された。翌日病棟より錠数が違うことが発見され交換する。システム管理に確認し、システム側のエラーであることが分かり、対応してもらった。

指示書の記載が誤っている場合は、監査者が誤りに気付くのは非常に困難である。機械にも誤りが生じることを再確認した。

  • 不均等入力が適正に出来るようなシステム対応。

コンスタン錠

ドグマチール錠

 

112 催眠鎮静剤、抗不安剤

117 精神神経用剤

5

フェノバール散7gを秤量し、14包に分包すべきところ7包に分包し病棟へ搬送されてしまった。病棟担当看護師より薬剤が7包しか入っていないと電話連絡が入った。

与薬前に発見されたため患者は服用前だった。直ちに再調剤を行い、病棟で薬剤を確認後、謝罪して正しいものと交換した。

分包者は分包時に1日量の1gが目に入り、それを1日の回数と勘違いし7包に分包してしまった。分包前・分包後の用法の確認を怠った。分包監査者は処方箋で1g7日分を7包と思い込んでしまった。及び薬袋ラベルでの用法の再確認を怠った。

  • 分包者と監査者は、処方箋と薬袋ラベル両方での分包数の確認を行う事を徹底した。

フェノバール散

 

112 催眠鎮静剤、抗不安剤

6


小児科より処方されたフェノバール散に異物が混入されていたと患者より申し出があった。混入された異物の調査をしたところ散剤分包機に付着していた残りカスではないかと考えられた。異物が混入されていた2包を取替え謝罪した。

散剤分包機を使用していくうちに付着したカスである可能性が高い。日々の清掃・メンテナンスが不十分だったと思われる。

  • 散剤分包機を使用していくうちに付着したカスである可能性が高いので、散剤分包機の日々の清掃とメンテナンスを重点的に行う。

フェノバール散

 

112 催眠鎮静剤、抗不安剤

7

定期処方の調剤で、セルシン散20mg/日処方を計算間違いし2mg/日で秤量した。検薬でも気付かず5日間、過少投与した。看護師が処方内容確認中、他の患者に比べ量が少ないことで発覚した。

 

 

セルシン散1%

 

112 催眠鎮静剤、抗不安剤

8


ホリゾン5mg、メチコバール、紫苓湯、ラシックス錠1.5錠3×他の外来処方オーダーがあり患者に交付した。1週間後患者が再受診した際、「ホリゾン5mgではなく2mgが入っていた。」と医師に報告し、医師から薬剤部へ連絡があったことからミスが発覚した。服用しなかった残りの5錠を患者が持参していたため受け取り、その際患者へ説明と謝罪を行い、患者は納得した。

シートに記載されている薬品名を十分確認しなかった。ラシックス錠が半錠ずつきちんと割れているか、数は合っているかなどの確認に気をとられていた。集薬係が7錠ではなく8錠集めていたため、監査係は数の訂正にのみ気をとられてしまった。ラシックス錠を半錠にするのに時間がかかり、患者から「急いでほしい」と要請があったため、焦ってしまい確認が不十分となった。

  • シート記載の薬剤名を声に出して確認する。
  • 調剤に時間がかかる場合は分担して作業を行う。
  • 複数規格薬剤に関して、出庫票の色分けと規格を強調した表示に変更する。

ホリゾン錠2mg

(ホリゾン錠5mg)

 

112 催眠鎮静剤、抗不安剤

9

抗てんかん薬の副作用が疑われる症状で、緊急入院。血中濃度が高値のためアレビアチンを中止。その後も血中濃度は高値であったため、院外薬局で処方された薬をチェックするとアキネトンの代わりにアレビアチンが入っていた。持参薬のチェックシステムがなかった。

 

 

アレビアチン

(アキネトン)

 

113 抗てんかん剤

(116 抗パーキンソン剤)

10


前医の紹介状にてアレビアチン散10%(抗てんかん剤)1.8gと記載があり、そのままアレビアチン1800mgとして処方した。製剤量と成分量の違いを理解できておらず、薬剤師の問い合わせに対しても耳を貸さず1800mg処方を指示した。

 

 

アレビアチン散10%

 

113 抗てんかん剤

11

デパケン散剤を調剤瓶に充填する際、テレスミンと間違えた。嘔吐症状の出た患者のデパケン血中濃度が0であった。調査の結果、間違いに気付き院内で誤薬患者7名を特定した。本来バーコードリーダーで薬剤名を確認し記録を容器に貼付するが、容器が空になったため、手順が実施されていなかった。

 

 

テレスミン細粒50%

(デパケン細粒??%)

 

113 抗てんかん剤

12

外来院内処方において、デパケンR100mg錠のところにデパケンR200mgを調剤した。

デパケンR100mgを一時購入薬として採用していることを忘れて、200mgと思い込んだ。新システムになってから、処方箋上で一時、臨時購入薬の区別が付かなくなり、複数規格採用している薬品の区別も付かなくなった。

  • 「お薬説明書」に印字される、錠剤の印字コードも自己監査の際に確認するようにし調剤した薬と照らし合わせる。

デパケンR錠200

(デパケンR錠100)

 

113 抗てんかん剤

13


他院から紹介され来院した患者。他院の紹介状に内服薬セレニカR(抗てんかん剤)1.25g分2朝夕、の記載があった。医師は同内容、同量のつもりでオーダー画面より、セレニカR顆粒400mg/g 1250mg分2朝夕と処方した。調剤薬局ではバルプロ酸1250mg(=セレニカR顆粒3.125g)を調剤した。結果、診療情報提供書に記載された2.5倍量(予定量はバルプロ酸(500mg))が投与された。

 

 

セレニカR顆粒40%

 

113 抗てんかん剤

14

頓用として処方されたボルタレン25mgの錠剤を坐薬と思い調剤した。監査者も坐薬と思い込んで通してしまった。患者に渡してしまった。翌日、処方医から連絡がありミスが発覚した。患者は坐薬を使用しておらず、すぐに錠剤と交換した。担当薬剤師が調剤ミスの説明をして謝罪した。

内服の痛み止めも別に処方されていたため、頓用のボルタレンは坐薬と思い込んで調剤してしまった。処方箋をよく見るべきであった。思い込みで払い出された坐薬をそのまま疑いもせず監査してしまった。

  • 処方箋をよく読んで調剤する。
  • 内服の痛み止めが出ていても、頓用として内服薬が処方される場合もある、と認識して調剤し、思い込みで決まった手順として仕事をこなさない様にする。
  • 常に気を引き締めて、漫然と監査しないこと。

ボルタレンサポ25mg

(ボルタレン錠25mg)

 

114 解熱鎮痛消炎剤

15

入院患者の1包化された薬の中に、本来はアダラートCR(降圧剤)1錠のみ分包されるところ、患者に処方されていないロキソニンが1錠含まれて分包されていたのを、病棟看護師が内服前確認の時に発見した。誤って分包されたのは1袋のみであった。この患者は認知症があり日常動作は全介助であるため、内服薬の間違いには気付くことはできなかった。内服による胃への負担の可能性とその発見が遅れる可能性があった。

1包化された薬の監査を行なう時に発見できなかった。自動分包機の不具合の可能性。また、当院は全て院内処方であり、処方数も多い上に、服薬指導の件数が増加しているため1名が病棟担当となった。そのため一人当たりの監査数が増えており集中力への影響が出た可能性がある。

  • 時間的切迫の状況把握調査の開始。
  • 自動分包機の調査を業者へ依頼。

ロキソニン錠

 

114 解熱鎮痛消炎剤

16


痛みが強いため医師はレペタン(鎮痛剤)坐薬を処方した。患者が自宅で使用した30分後、頭痛嘔吐の症状が認められ来院した。患者は「レペタン注射禁」であったが、医師、看護師ともに気付かなかった。禁忌薬の記載されているカルテの表紙が新しくなり、禁忌薬の転記がなされていなかった。

 

 

レペタン坐剤

 

114 解熱鎮痛消炎剤

17

薬剤部から臨時注射の払い出しを行なう際に、A病棟の患者の注射BOXに、B病棟の患者の注射の一部(手術の前投薬のペンタジンとアタラックスP)を間違えて入れて払い出した。

複数の注射の払い出し準備中であった。アンプルは自動払い出しシステムだが、ペンタジンが金庫に保管してあるため、前投薬のみを後でBOXに入れた。その際、間違ったBOXに入れてしまった。確認が不足していた。作業の中断があった。

  • 5R Right Drug、Right Dose、Right Time、Right Route、Right Patientでの確認作業。
  • 複数チェック体制。
  • 指差し確認。
  • 一つのボックスの払い出しを中断せず行なう。
  • 払い出し時の3回確認。

ペンタジン

アタラックスP

 

114 解熱鎮痛消炎剤

117 精神神経用剤

18

入院患者の臨時処方箋でノリトレン25mg錠を42錠調剤するところ、25mg錠を32錠、10mg錠を10錠と、規格を混在させてしまった。翌日、病棟看護師からの連絡で判明、電話を受けた薬剤師が病棟へ行き10mg錠の混入を確認。患者は未服用とのこと、深く謝罪し25mg錠と交換した。

調剤者は、ノリトレン25mgの棚に誤ってノリトレン10mgが1シート混ざっていたのを、よく確認せずに2つの規格のシート同士を重ね合わせて調剤してしまった。監査者は、重ね合わせてあったシートの外側の薬品名・規格のみ確認し、内側のシートの確認を怠った。ノリトレン25mgと10mgのシートが類似している。

  • 調剤者は、特に2規格あるものやシートが類似しているものは、調剤する際によく確認する。
  • 監査者は、取り揃えられた薬剤が同じ薬品名・規格であるかの確認を徹底する。
  • 薬品棚に規格違いの薬剤が混ざっていた為、外来調剤室では、薬剤棚への返却並びに充填する際は薬剤名と規格に十分注意を払って返却、充填するよう伝達徹底した。
  • シートの包装変更をメーカーへ要請する予定である。

ノリトレン錠10mg

(ノリトレン錠25mg)

 

117 精神神経用剤

19

錠剤2種の1包化処方において、アナフラニール(10mg)を調剤すべきところトフラニール(10mg)を調剤した。患者がいつもの薬と色が違うことを担当看護師に指摘し、それを病棟担当薬剤師に質問し、薬剤コードを調べたところトフラニール(10mg)だった。薬剤師が入院調剤室に戻り処方箋を確認後、直ちに再調剤し病棟へ出向き、正しい薬剤を渡し謝罪した。患者は未服用だった。

前回処方でトフラニールを含む過去歴が、自動錠剤分包機に記録されており、調剤者は処方箋と過去歴の照合の際に含有量や用量に気を取られ、今回類似した薬剤名のアナフラニールに変更されていることに気付かず、前回処方をそのまま使用してしまった。分包後の確認時、調剤者と監査者は処方箋と分包機の監査用紙との照合を怠り、監査用紙のみで錠剤の監査を行ってしまった。

  • 過去歴を使用する際は、処方箋と分包機の過去歴を照合し、薬品名、規格、用法、用量が正しいことを確認する。
  • 分包後の確認では、調剤者・監査者は処方箋と監査用紙が相違ないことを確実に確認し、その後1包中の個々の錠剤の監査を行うことを徹底する。

     

トフラニール錠

(アナフラニール錠)

 

117 精神神経用剤

20

使用済み注射薬の請求注射箋に硫酸アトロピン注の記載があったが、アタラックスP注を調剤し、病棟に払い出してしまった。病棟看護師が発見して薬剤科への報告となった

使用済みの注射薬請求には、両薬品とも頻繁に処方される医薬品のため完全に思い込んでしまい、確認も不十分であったため、誤って調剤し、払い出してしまった。

  • 忙しい時間での調剤であり、調剤後すぐに監査した状況でもあるため、急ぎの処方でなければ使用済み注射薬の調剤は時間をおいて、ゆとりが出来た時間に行うことにする。

アタラックスP注

(硫酸アトロピン注)

 

117 精神神経用剤

(124 鎮けい剤)

21

ジプレキサ錠の粉砕で7包に分包すべきところ21包に分包し、監査も通過し病棟へ搬送されてしまった。服用前に病棟担当看護師が気付き入院調剤室に連絡したため患者は未服用だった。直ちに再調剤を行い、病棟へ出向き薬剤を確認後、正しいものと交換し謝罪した。

分包者・分包監査者ともに、ジプレキサが通常1日1回服用の薬剤であることに気付かずに1日3回で分包してしまった。薬袋のラベルでの用法の確認を怠ってしまった。

  • 分包と分包監査をする際、薬剤の特徴を把握した上で処方箋記載の薬剤の用法に十分気を付けて分包を行う。
  • 分包後、薬袋ラベルの用法から包数を必ず確認する。

ジプレキサ錠

 

117 精神神経用剤

22

カプロシン(血液凝固阻止剤)皮内注射用2500単位0.1mlを20000単位0.8mlで実施した。

 

 

カプロシン皮下注用

 

333 血液凝固阻止剤

23

不整脈の治療に対しキシロカインの点滴指示があった。指示簿に「1%キシロカイン100ml、2バイアル」と記載してあった。この薬剤は局所麻酔用のキシロカインであったが、看護師は気が付かず薬剤を請求してしまった。患者投与前のチェック時に局所麻酔用のキシロカインを請求していたことに気付いた。

オリベスK(抗不整脈薬剤)を採用する前は、不整脈治療に対し10%キシロカインを使用していた。透析センターではオリベスKを使用している患者がいなかったため薬品が変更されていたことを忘れていた。

  • オーダ時に画面に警告文の表示を検討するよう薬剤部に依頼した。

     

1%キシロカイン

(オリベスK)

 

121 局所麻酔剤

24


ウブレチド5mg 1錠分1.5日分の処方を出すつもりであったが、5錠分1.5日分で入力していたことに気が付かず、そのままオーダーした。薬剤分でも調剤、監査では過剰用量であることに気が付かずにそのまま調剤して払い出した。看護師も用量が多いことには気が付かず、そのまま投与した。投与後3日目、患者よりめまい、下肢のふらつきを訴えられて確認した所、過剰投与していたことが判明した。すぐに投与を中止し、患者の状態も悪化することはなかった。

処方時、5日分と5錠が混同した可能性がある。オーダー発行時の確認が不十分であった。調剤、監査時の用量の確認が不十分であった。看護師は、最大用量に関する知識がなかった。オーダー時、ワーニング(警告)がかかる薬剤の対象ではなかった。

  • オーダー発行時には、内容を見直す習慣をつける。
  • 薬剤部での、用量確認を遵守する。
  • ワーニングの対象について検討する。

ウブレチド錠5mg

 

123 自律神経剤

25


上部内視鏡前処置で緑内障を指摘されている患者に禁忌のブスコパンを筋肉注射した。指示欄にはブスコパンからその代わりのグルカゴンに指示が変更されていたが見落とした。看護師は患者へ緑内障の有無を確認したにもかかわらず、医師があえてブスコパンを指示していると解釈し施行した。

 

 

ブスコパン注射液

(注射用グルカゴン)

 

124 鎮けい剤

(722 機能検査用試薬)

26


ラジオ波を行なう患者への前投薬に使用するペンタジン、アタラックスP、硫酸アトロピンを準備する際、混合してはいけない硫酸アトロピンを混合してしまった。先輩看護師から指摘され、再度準備し直して施行した。

硫酸アトロピンは一緒に混合してはいけない事を知らず、先輩看護師に確認せずに自分で判断した。

  • 薬液混合時は自分で行なった事のない分については先輩に聞く。
  • 自分で調べ確認してから混合し、混合後も再度確認する。自分だけで決定、判断しない。

硫酸アトロピン注0.5mg

 

124 鎮けい剤

27

院内処方で、ザジテン点鼻液2瓶のところを、ザジテン点眼液2瓶を調剤し監査者も気付かず払い出してしまった。本人より点眼ではなく点鼻であることを指摘され、間違いに気付いた。謝罪し、点鼻薬を渡した。
本人は点眼薬を使用していたが、体調には変化はなかった。

ザジテンは点鼻液より点眼薬を払い出すことが多いため、自分の中で思い込みがあった。また、同じ処方の中にリボスチン点眼液2瓶の次の処方にザジテン点鼻液2瓶という処方だったため、どちらも点眼液であると思ってしまった。自分なりに処方上注意するところは印を入れるようにしているのだが、今回間違った部分には入っていなかった

  • 規格や剤形が多いものは印を入れるとともに用法を確認して点眼か点鼻かの違いを見分けるようにする。

     

ザジテン点眼液

(ザジテン点鼻液)

 

131 眼科用剤

(132 耳鼻科用剤)

28

フラビタン点眼液を処方した際、期限切れのものであった。

棚卸しの際、新品の箱(10本入り)の有効期限はチェックしたが、残っていた2本の点眼液の有効期限を見逃した。

  • 棚卸しの際、箱から出したバラの薬品の有効期限もチェックし、期限の短いものは薬品棚に表示し、投薬時にも確認するよう徹底する。

フラビタン点眼液

 

131 眼科用剤

29

外来通院にて「ジゴシン散(強心薬)0.1%、0.2mg分1夕にて毎日内服」の指示が出されていた。受診後28日分が処方され、患者は処方薬を持って帰宅した。再診のときに、患者からジゴシン散0.1%の散剤の量にバラツキがあると指摘を受けた。薬袋を確認すると目視でも量が多い・少ないが認められた。

自動分包器で自動センサーをONにしていると、バラツキが激しくなることがあるため、ジゴシン散0.1%はセンサーをオフにしている。分包された後は、薬剤師が目視による確認をしている。この2点は、薬剤師間では情報交換しルールとしていたが今回は行われなかった。分包を担当する薬剤師が専任するようにしていたが、この日は他の業務を兼務していた。担当する薬剤師が分包業務以外を兼務することによりルールを忘れることがある。

  • 自動分包器に「ジゴシンはセンサーをオフにする事」と明記した。
  • また分包担当薬剤師は「ジゴシン散0.1%は分包後目視確認をする」と注意を促した。

ジゴシン散0.1%

 

211 強心剤

30

指示はジゴシンエリキシル(強心剤)0.5ml(分2)を胃管から投与だった。看護師は薬剤準備のため処方箋を見て冷蔵庫から薬液瓶を取り出した。ラベル(1回量1/1ml)を見て、シリンジで1.1mlを吸い上げ胃管から注入した。患者の経過表にジゴシンエリキシル投与を記載した時、前回投与量が0.25mlだったので処方箋を確認した。指示は1回量0.25mlであり、薬液瓶を確認し他患のジゴシンエリキシルを投与したと気付いた。

薬剤準備時、薬液瓶の患者氏名を見ていない。処方箋と薬液瓶を照合して患者氏名・薬剤名・投与量を確認していない。当事者は準夜勤務で3名の患者を担当していた。担当していた患者が緊急手術となり手術室へ搬送した。ジゴシンエリキシル投与が遅れていたため焦った行動となり、与薬業務の確認行動を省略した。

  • いかなる状況でも安全を意識した行動をとっているか自問自答する。
  • 師長、主任は当事者が安全に業務遂行できているか評価する(約2週間)。
  • 2回面接を行い、毎回確実に確認行動を取っていけるか、安全に業務を実施していく上で自己に必要なことは何かを明確にする。
  • ジゴシンエリキシル等重要薬剤の取扱いを誤ると致命的な結果を引き起こす危険性を指導した。
  • 看護師として責任の取れない事態に陥ることにつき例を挙げ説明した。

ジゴシンエリキシル0.05mg・ml

 

211 強心剤

31

非持続性心室頻脈のため、アンカロン錠(不整脈治療剤)を内服開始より3日間は200mg、その後100mgで内服していた。主治医以外の医師が指示を出す際、内服していた量を200mgと誤認し過剰投与した。

 

 

アンカロン錠

 

212 不整脈用剤

32


循環器科外来にて「アミサリン(不整脈治療剤)6錠 分1 動悸がする時」の処方指示が出た。患者は自宅で「動悸がするため」4錠まで内服したところで倒れた。その後、他院を受診して状態は回復した。患者は、診療をうけた他院から「薬の量が多すぎるのではないか」と言われたため当院薬局に問い合わせがあった。主治医に確認すると処方量が多いことがわかった。

主治医の確認不足、患者への説明が不十分であった。薬剤管理が悪かった。調剤した薬剤師も検薬した薬剤師も1回量を1日量のつもりで調剤した。

  • 処方入力の際に、パソコン画面では1日量が薬剤入力とともに表示されていないか確認をした(薬剤によって上記のようになっていることがあるが今回の薬剤はなっていないことを確認した)。
  • 薬剤師は頓服薬の指示時には、注意をする。

アミサリン錠

 

212 不整脈用剤

33


20mlシリンジにダイアモックス(炭酸脱水素酵素抑制剤)500mgを溶解し、250mg(10ml)を静脈注射するところ、500mg全量投与した。

 

 

ダイアモックス注射用500mg

 

213 利尿剤

34


薬剤師が外来患者のルプラック錠8mg 1錠1×(朝食後)の処方を調剤するところを、ルプラック錠4mgを調剤し交付してしまった。患者が当該薬剤を服用する前に、家族から電話があり判明した。患者はまだ服用していなかったので影響はないが信用をなくしたおそれはある。正しく処方した薬が届くまで1回に4mg錠を2錠服用してもらうように患者に伝えた。

規格が違う薬剤が、棚の上と下で保管してあるため取り違えやすい。調剤時の確認が不十分であった。忙しかった。監査システムは、二人で行っているが確実でなかった。

  • 規格違いの薬剤の保管場所を上下取り違えにくい位置に変更を検討する。
  • 忙しくても、調剤時と検薬時の確認を十分に行う。
  • 監査を確実に行う。

ルプラック錠4mg

(ルプラック錠8mg)

 

213 利尿剤

35


入院前に外来でアルダクトンA1錠(朝)の処方があり、患者は内服をしていた。入院後に主治医がそれに気付かず、同薬を同量処方をした。薬局で調剤時には、薬歴をチェックするようになっているが、日数の確認不十分で処方され、重複投与を7日間してしまった。

入院後、入院前の服用薬をチェックリストで確認しているが、当院処方のものは、薬歴にあるため薬名と個数のみの確認であった。調剤後に再度他の薬剤師が監査を実施しているが、処方箋との確認であり、薬歴を再度確認は出来ていない。今回は、新人薬剤師で多忙な時間帯であったため薬歴のチェックが不十分で、重複していることに気付かなかったためにヒヤリ・ハットが発生した。

  • 医師が処方時に入院前服用薬を再確認する。
  • 薬局でも調剤時には、薬歴から日数も考えチェックする。
  • また、処方日と服薬開始日が違う場合の重複投薬防止として、処方箋に服薬開始日の記入欄を作った。
  • 薬局では、その場合調剤後の薬袋に開始日がわかるようマジックでの記載をするようにした。

アルダクトンA錠

 

213 利尿剤

36

入院患者に処方された臨時処方において、セパミットR14包のところ18包調剤した。監査者も過誤に気付かず病棟に搬送された。与薬前に確認して過誤を発見した病棟看護師より電話連絡あり。当直者が処方箋で内容確認し、直ちに病棟へ向かい過剰の4包を回収し謝罪した。

セパミットRは15mg/包の分包品であり、4包が1枚綴りのシートとなっている。従って調剤者は14包調剤するために「3枚と2包」としたつもりだったが、薬袋の中に「4枚と2包」入れてしまった。監査者も「3枚と2包」として確認を行ったが、4枚綴りのシートが1枚多いことに気付かなかった。

  • 調剤者は細心の注意を払いながら調剤を行い、取り揃えた後にもう1度、処方箋・薬剤を確認することとし、また監査者も、調剤された薬剤につき丁寧に内容確認を行うことを徹底していく。

     

セパミットR

 

217 血管拡張剤

37


ワソラン(虚血性心疾患治療剤)錠の朝の内服分を確認していた。ワソラン錠40mg 3錠3×(分3)の袋と、前日、追加処方されたワソラン錠40mg 1.5錠3×の袋が一緒にされていた。追加処方されたワソラン錠の処方箋を1.5錠3×ではなく1.5錠×3(3日分)だと思い込んでしまい、過剰投与を避けるためにワソラン錠40mg 3錠3×の袋を外した。朝の内服分は0.5錠しか与薬していなかった。患者の心拍数は110~120台であった。

前日の日勤帯で同勤務者が確認した内服薬をそのままにし、違う勤務帯で確認したこと。処方箋には処方量が記されていたが、0.5錠にしては量が多いため、処方量が間違って書かれていると思い込んでしまった(処方量の少ない散剤には乳糖などを混ぜて処方されることを知らない、処方箋の確認の仕方が曖昧であった)。

  • 指示を受ける際に処方箋と指示に間違いがないか確認することを再認識し励行する。
  • 指示された薬物が病棟へ来た際に誰かが確認しただけで済まさず、必ず自分で確認する。
  • 指示内容が「おかしい」と思った時には必ず同勤務者とのダブルチェックをする。
  • 薬剤との内容の確認、医師との確認をする。
  • 自分一人で判断しない。

ワソラン錠

 

217 血管拡張剤

38


自動分包機によりセフゾンカプセルとメテルギン錠が各1個分包されていた。その内の1包にメバロチン錠が混在していたが確認不十分で監査し払い出す。患者が気付き再分包する。

業務終了が近づき片付けようと焦っていた。自動分包機で分包された薬との過信があり、確認業務が不完全であった。該当処方の前に作動した薬が残っており、混入した可能性がある。

  • 1包ずつ確実に監査する。
  • 分包漏れがあったときは、他の薬剤師に伝言する。
  • 自動分包機のメーカーに調査依頼をする。

メバロチン錠

 

218 高脂血症用剤

39

病棟看護師から、タンデトロン注(降圧剤)を生理食塩液で溶解し、全量24mlにするところ19mlしかなかったと電話で報告あり。看護師の確認段階で発覚し患者投与前だった。薬剤は看護師が新たに調製し投与したとの事。連絡を受けた担当者は病棟へ出向き、事実関係の確認と謝罪を行った。

当処方は、タンデトロン注(粉末:1アンプル20μg)を生理食塩液で溶解、全量を24mlとし、シリンジで供給する調製を行う(同内容は処方箋上2件あり、当過誤はそのうちの1件である)。調剤者は薬剤溶解に気を取られ、シリンジの目盛“19”を“24” と思い込み、更に最終的な全量確認を怠った。又、監査者も最終の全量確認を怠った。

  • 最終的な全量確認の方法を再度見直す事とした。
  • まずシリンジの目盛を指差し確認する事、そして調製薬と処方箋、シリンジに添付するラベル(患者名、薬剤名、用量、全量を記載)と比較し最終確認を行う事とした。

タンデトロン注射用20

 

219 その他の循環器官用薬

40


リズミック1日1錠分2、朝夕食後処方で粉砕する指示があった。リズミック4錠を8包に分割調剤しなければならないところ、4包に分割調剤した。監査でも発見することができず病棟に払い出された。病棟では、前日夕方2日分しか病棟に上がってきていないことに気が付いていたが、薬局へ連絡が来たのは翌日午後であった。

情報の伝達、連携と情報共有のあり方の問題点。業務手順、ルール、チェックの仕組みの問題点。今回調剤分包した分包機(首振り分包式)が分包数の情報が読み込めず、分包数を手入力しなければならないこと。病棟で早期に発見されていたにもかかわらず、薬剤部への連絡が遅れたこと。

  • 首振り分包式分包機にて調剤分包を行う際、処方箋に分包数を記入するようにする。
  • 現在当直中は分包数を処方箋に記入するようにしている。
  • 調剤監査時のマニュアルを徹底する。
  • 病棟からの調剤過誤発見時の迅速な連絡、報告体制を確立する。

リズミック錠

 

219 その他の循環器官用薬

41

ビソルボンシロップを原液のままメスアップ(溶媒添加)せずに払い出した。年末年始のため、調剤後保冷庫で保管し、交付時にメスアップし払い出す手順であった。病棟でも気付かず、患者が通常より2倍量を1回分服薬し2回目の看護師によって発見された。患者への影響はなかった。

検薬者が、新人で長期休暇の手順を周知していなかった。新人への教育不足。検薬不備。透明水薬だった為、半量に気付かなかった。看護師の日付入れ間違いと投薬時の確認不足。

  • メスアップ手順の周知徹底。
  • 水薬セット(目盛入れ)は薬剤師。
  • 看護師2人で行う。投薬時の確認行為遵守。

ビソルボンシロップ

 

223 去たん剤

42


至急処方の際、スピリーバ(長時間作用型吸入気管支拡張剤)と吸入器を払い出すところ吸入器具とスピリーバ28カプセルを払い出した。病棟看護師が気付いたため投与前に正しく払い出し直した。

確認が不十分であった。箱の形状が類似している。思い込みがあった。薬剤の配置が悪かった。

  • 箱の形状に惑わされずに必ず内容確認する。
  • 表示の工夫をした。

スピリーバ吸入用カプセル18mg

 

225 気管支拡張剤

43


ホクナリンテープ2mgを調剤すべきところ1mgを調剤した。病棟看護師より指摘を受けて気付いた。貼付前に交換した。

1mgと2mgが上下に保管してあった。監査をしているが、確実に出来ていない。安全管理に対する教育が十分浸透していない。

  • 規格違いの薬剤は離して保管する。
  • 保管ケースの表示欄に黄色いテープで規格を大きく表示した。
  • 薬剤に関しては毎週教育研修を行う。
  • インシデントが発生したら朝礼で情報共有する。

ホクナリンテープ1mg

 

225 気管支拡張剤

44

ラキソベロン1本のところをイソジンガーグル1本で調剤し払い出してしまった。患者がそのまま持ち帰られ、自宅にて薬が違うことに気付き連絡があった。患者は使用する前であった。

ちょうど処方の多い時間帯であり、監査時に外来処方と緊急処方とが溜まり、慌てて監査した。また、窓口での患者対応や調剤のやり直しなども重なったため、監査に集中できていなかった。薬品の取り違えに関しては、薬品の外観のイメージが似ていることや棚が近かったことから、取り違えしやすかったのではないかと思われる。本調剤時は、血液病棟の定期調剤と重なった時間帯であったため、「ラキソベロン」の引き出しから取り出したつもりが、その引き出しの上の位置にある、血液内科処方に汎用されてる「イソジンガーグル」に思わず手がいったと考える。

  • 思い込みで調剤、監査せずに、処方箋と薬剤情報提供書と薬袋とを十分確認する。
  • ラキソベロンとイソジンガーグルの棚を離す。
  • 監査する処方の多い時間帯には監査の人数を増やして慌てないようにする。
  • 今後はマニュアル通り一度テーブルに置き、処方と薬剤を確認後薬袋に入れることと、イソジンガーグルは別位置において調剤したほうがよりベストと考える。

イソジンガーグル

(ラキソベロン液)

 

226 含嗽剤

(235 下痢、浣腸剤)

45


呼吸器科外来にて「フルタイド100ディスカス 100μg/個」の処方指示が出された。患者が処方薬を受け取り帰宅した。自宅にて確認すると前回の処方薬と違っていたために薬局に連絡をいれた。患者に薬持参の上、来院してもらい薬を確認すると規格違いの「フルタイド200ディスカス 200μg/個」が渡されているのがわかった。

フルタイドディスカスには2種類の規格があった。100μg規格の処方はまれであった。調剤した薬剤師は、100μgであるとは、思いつかなかった。検薬した薬剤師は、大人の処方であったため、200μgと思い込んでいた。通常は小児を対象としていた。2人の実施者は、昼の休憩時間と重なり他を担当していたがこの時間は、手伝いにきていた。

  • 小児を対象に採用した薬剤であったので薬剤師に注意喚起した。
  • 規格が2種類あることを処方箋に識別表示を2箇所つけてわかりやすくした。

フルタイド200ディスカス

 

229 その他の呼吸器官用薬

46

入院臨時処方箋において、アンプラーグ(血液・体液用薬)を21錠調剤するところ、誤ってアプレース(胃炎・胃潰瘍治療薬)を21錠調剤してしまった。投薬前に病棟看護師が発見し患者は未服用だった。入院担当薬剤師が病棟に確認に出向き、薬剤を交換し丁重に謝罪した。

薬品名や薬剤シートが類似していたため、調剤者・監査者はアンプラーグをアプレースと思い込んでしまった。調剤者は処方箋の横に記載される棚番を確認せずに調剤してしまった。

  • アンプラーグとアプレースは過誤を起こしやすい薬剤である事を再認識する。
  • 薬品の棚番を処方箋で確認して調剤する。

アプレース錠

(アンプラーグ錠)

 

232 消化性潰瘍用剤

(339 その他の血液・体液用剤)

47

調剤監査を行っているとき、ガストロピロールが調剤されていなかったので、監査者が薬を追加し出したが、ガストロームを出し間違いに気付かないまま外来患者に手渡した。

患者より間違いと連絡があり発覚した。

薬剤名の最初の4文字が同じであった。保管位置が近かった。監査者が、調剤を行った。

  • 保管位置を離した。
  • 頭4文字に強調線引き注意を促せるよう実施。
  • 監査者が、異常を発見した際は、調剤者に戻し改善後、再度監査を行う。

ガストローム顆粒

(ガストロピロール)

 

232 消化性潰瘍用剤

(233 健胃消化剤)

48

研修医がタケプロンを処方する際、本来は1日1カプセルの薬であるのに間違って1日3カプセル毎食後で処方していた。この間違いに気付かず調剤し、監査もすり抜けて病棟に払い出してしまった。病棟でも気付かずに患者に与薬しており、3日後に他の医師が処方間違いに気付いて判明した。

電子カルテシステムに、投与量の上限設定がないため、警告が出ず、間違いに気付かない。監査者によるダブルチェックが有効でない。

  • 電子カルテのマスターで投与量の上限設定をする。

タケプロンカプセル

 

232 消化性潰瘍用剤

49

オメプラールが全50日の処方のところに、20日分しか調剤せず、患者に渡してしまった。

他の薬剤が投与日数にばらつきがあり、混同した。

  • 処方監査する際、注意すべきところにチェックを入れ、最後に確認できるようにする。

     

オメプラール

 

232 消化性潰瘍用剤

50


酸化マグネシウム(制酸・緩下剤)1.5g 7日分のところに、マーズレン(胃炎・潰瘍治療剤)1.5g7日分を調剤した。監査でもそれに気付かずに病棟へ薬を出した。患者へ投薬する準備の段階で看護師が酸化マグネシウムではなくマーズレンであることに気付いた。

酸化マグネシウムとマーズレンは両者とも胃薬として処方され、同一処方内に他の制酸剤であるタガメットも処方されていた。また、両者ともシート包装で同一規格が存在し、印字も緑色と同一である。両者とも普段からよく処方される薬剤であり、マーズレンと思い込んだために発生したと考えられる。また、規格にのみ気を取られていた。

  • 薬剤名類似、薬効類似の薬剤について注意する。
  • 必ず処方箋上の薬剤名と調剤された薬剤名を照らし合わせる。
  • 調剤時にも薬剤名および格納場所をよく確認する。
  • 薬剤格納場所の名称を変更する。

マーズレン-S顆粒

(酸化マグネシウム)

 

232 消化性潰瘍用剤

(234 制酸剤)

51


消化器科外来よりアルロイドG30ml 3×、タケプロン(30)1錠1×28日分の処方オーダがあり、調剤交付した。約1ヶ月後、主治医が残薬確認をした際、薬袋にタケプロン(15)が入っているのを見つけ、別規格が与薬されていたことが発覚した。この時点で、患者は20日分ほど服用していた。患者へは主治医より事情を説明した上で謝罪し、前回処方分についてはタケプロン(15)への変更となり、カルテ等の変更が行われた。継続分については、タケプロン(30)が処方となった。患者の症状の変化は見られなかった。薬剤窓口で交付の際、再度患者へは説明と謝罪をし、患者は納得して帰宅した。

集薬の際、水剤(アルロイドG)の調剤に気をとられ、タケプロンの規格に注意を払わなかった。「規格注意」のシールが見落とされた。監査を行った薬剤師は、思い込みで監査した。交付した薬剤師も規格の確認を行わなかった。

  • 「規格注意」のシールが目立つような工夫をする。
  • 調剤監査の際は、必ず指差し声出し確認を徹底する。
  • 窓口で交付する際は、患者と共に薬剤情報と薬剤を照合し、同意を得た上で交付する。

タケプロンOD錠

15mg

 

232 消化性潰瘍用剤

52

ビオフェルミンを処方するところを誤って酸化マグネシウムを処方。調剤者は3度調剤を間違い、監査者の指摘を受けていた。また、当該患者の催促が2度あり焦っていた。

 

 

酸化マグネシウム

(ビオフェルミン)

 

234 制酸剤

(231 止しゃ剤、整腸剤)

53

調剤者は酸化マグネシウムを3日分調剤するところ7日分調剤してしまい、監査者もミスに気付けなかったため、間違った日数分が病棟に搬送されてしまった。薬剤を受け取った病棟担当看護師が投薬前に数量を確認したため、調剤日数の間違いに気付き連絡してきた。直ちに薬剤師が病棟に出向き謝罪し、看護師より4日分を回収した。

調剤者は臨時処方のため、処方日数の確認を怠り、7日分と思い込んで調剤した。監査者は薬剤名に気を取られてしまい、調剤日数が間違っていることに気付くことができなかった。

  • 調剤者と監査者は処方箋上の薬剤名、用法用量を確認することに加え、処方日数の確認を徹底する。
  • また、調剤者と監査者は、薬袋に薬剤を入れる前に薬袋のラベルに記載されている薬剤名、用法用量と、手にしている薬剤名、用法、数量が一致しているかどうか、もう一度確認することを徹底する。

酸化マグネシウム

 

234 制酸剤

54

プレドニゾロン錠を入れるところにプルゼニド錠が入っているのを監査で発見した。

薬品名が似ていること、棚が上下に配置してあること、両方ともよく使用する薬品であること

  • 2つの薬品の棚の間にあまり使わない、色が黄色の「フラビタン錠」を配置した。

プルゼニド錠

(プレドニゾロン錠)

 

234 下痢、浣腸剤

(245 副腎ホルモン剤)

55

夕食後の薬(プルゼニド1錠)の払い出しを忘れてしまった。食事介助をしていた看護師が夕食後の薬の無いことに気付き、処方内容をチェックして準備と投薬を行った。

患者には直接問題が生じなかったので、説明はしなかった。

現在、当日無くなる予定の薬剤を処方箋の3枚目に付いているチェック表にて判断し、“処方依頼→調剤→カートと詰め”を行っている。今回は退院予定の患者であったため、チェック表である3枚目で処方依頼をした後にファイルよりチェック表を取り外してしまった。その後退院が延期となり、チェック表も取り外したまま放置してしまったので、当日に薬剤が無くなることを把握できなかった。実際に当日無くなる薬剤の把握をチェック表に頼っていたため、今回チェック表が取り外されている事にも気付かず経過し、薬剤の補充ができなかった。

  • チェック表だけに頼らず、カートの中身を見て薬包が入っているか、実物を見て判断していく方法を取り入れる。
  • チェック表とカートを必ずチェックするようにする。

プルゼニド

 

235 下痢、浣腸剤

56

手術前処置のグリセリン浣腸をする際、患者は「間に合わないと困る」という理由でトイレでの施行を希望。トイレで立位前屈位にて施行した後、直腸に穿孔が確認された。

 

 

グリセリン浣腸

 

235 下痢、浣腸剤

57

手術前処置のグリセリン浣腸をする際、歩行可能な患者はトイレで行うという病棟内の指導があったため、トイレでかがんだ姿勢(前屈)で施行。患者の緊張が強く3度試みカテーテルを5cm挿入し施行。その後出血が見られ、直腸の穿孔が確認された。

 

 

グリセリン浣腸

 

235 下痢、浣腸剤

58

検査前処置のグリセリン浣腸をする際、便の漏れが起こる可能性があるためトイレにおいて立位で施行。立位状態で腸が下方向に下がったため、浣腸チューブの先が直腸壁を裂傷及び穿孔を起こした。

 

 

グリセリン浣腸

 

235 下痢、浣腸剤

59

排便困難でグリセリン浣腸をする際、患者の希望がありトイレで立位前屈位にて施行したが、排便がないため再度施行。その後、振戦と発熱があり、CTにより腸の浮腫が認められた。

 

 

グリセリン浣腸

 

235 下痢、浣腸剤

60

手術前処置のグリセリン浣腸をする際、患者は「痔核がある。すぐ便が出ると悪い」という理由でトイレでの施行を希望。トイレで立位前屈位で施行した後、直腸に穿孔が確認された。

 

 

グリセリン浣腸

 

235 下痢、浣腸剤

61

手術前処置のグリセリン浣腸をする際、ベッド上左側臥位で施行した。その後直腸穿孔が確認された。患者の痔核の情報が確認されていなかった。

 

 

グリセリン浣腸

 

235 下痢、浣腸剤

62

排便困難でグリセリン浣腸をする際、患者の希望によりトイレで立位前屈位で行ったところ、出血が続き止血を要した。

 

 

グリセリン浣腸

 

235 下痢、浣腸剤

63


患者より浣腸はトイレでしてもらいたいとの希望があり、そのためトイレで立位前屈位でグリセリン浣腸120mlを施行した。その後、硬便とともに出血があった。出血が続くため医師の診察後、内視鏡的止血術を実施した。院内安全情報として浣腸の事故は知っていたが、その情報を自分のこととして受け止めていなかった。

 

 

グリセリン浣腸

 

235 下剤、浣腸剤

64


排泄板に夜勤者が「テレミン」と記入されていたが、受け持ち看護師がカルテ温度表確認し、便秘(3日間排便がない)と思い込みGE(グリセリン浣腸)を準備し、他の看護師がGE施行した。受け持ち看護師がカルテ記載時に3日間排便がない時はテレミン坐薬で、GEではない事に気付いた。

便秘のときはGEと思い込んだ為、温度表の便の状態欄を見落とした。

  • 便秘時の処置内容を含めて確認する。
  • 温度表、排泄板での排泄状況を指さし確認する。

グリセリン浣腸

 

235 下剤、浣腸剤

65


病棟からの臨時請求でコートロシン0.25mgのところコートロシンZ 0.5mgを払い出した。翌朝、病棟看護師から電話連絡あり判明した。正しい薬品コートロシンは新たに別に臨時請求され、間違った薬品コートロシンZはオーダリー経由で返品された。

冷所保管薬であるコートロシンとコートロシンZが同じ棚の隣同士と気付かず、手前にあったコートロシンZを思わず払い出してしまった。コートロシンとコートロシンZは同会社で、外箱も同じ形状のよく似た製品で間違いやすい事も改めて気付いた。

  • オーダリー経由でまとまって臨時薬品請求された時間帯には、より慌てず1枚ずつ正確にきちんと薬品名・規格・数量等を確認する。
  • コートロシンとコートロシンZの棚に注意札をつけ注意喚起する事にした。

コートロシンZ注

(コートロシン注)

 

241 脳下垂体ホルモン剤

66


病棟で持参薬(サイモチンS50)を検薬し、医師に院内採用の同効薬(カリクレイン)で代替できないか疑義照会する際、薬効の違う薬(チラージンS50)を照会してしまった。そのため医師は照会された薬(チラージンS50)を処方し、患者は服用した。数日後、当事者が服薬指導時に、チラージンSの服用理由に不審をいだき間違いに気付いた。直ちに医師に報告し必要な検査を行なうと同時に患者に謝罪した。

通常は薬剤部の検薬システムで持参薬は検薬する。しかし、病棟で検薬が簡単な持参薬または急ぐ場合は薬剤師が目視で検薬し解答している。そのため薬剤師が勘違いし回答し、そのまま誤薬が投薬される結果となった。当事者は間違えた事に対する理由が思い当たらないとの事であるが、持参薬の末尾「S50」と紹介した薬の末尾「S50」が同じであり、確認ミスが起こった可能性がある。

  • 出来るだけ持参薬の鑑別は薬剤部の検薬システムを使用する。
  • 病棟で検薬する際は十分注意を払い患者病歴情報と照合し検薬結果と照合する。
  • 病棟に検薬システムの導入が望まれる。

チラージンS50錠

(サイモチンS50錠)

 

243 甲状腺、副甲状腺ホルモン剤

(249 その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む。))

67

化学療法中の患者。薬剤師面談時に、化学療法施行日の夕食後のみに内服するデカドロン(ステロイド剤)を8錠内服していることに気付いた。既に6日分内服済みであった。残薬を回収し医師に報告した。

有害事象はなく、経過観察の指示を受けた。

化学療法の説明は前日に行っているが、その際に内服薬についても用法容量を説明し、配薬を行った。当時は面談せず内服確認のみを看護師に申し送った。薬剤師の説明不足、及び患者の思い込みだったと思われる。

  • 1回内服分を一包化して渡す。
  • 内服時刻に看護師から与薬する。
  • 配薬はなるべく当日に行う。
  • 患者に説明をする際に、十分理解していただけたかを確認する意味で、患者本人に用法用量を言ってもらう。

デカドロン錠

 

245 副腎ホルモン剤

68


入院臨時処方でプレドニゾロン(5mg)20T1日2回朝昼食後5日分という処方が出された。このオーダーでは1回10錠の服用となり、薬袋には当然このように印字されていた。しかしこの用法とは別にコメント欄に「朝12錠夕8錠」と医師が手入力していた。この入力方法は処方箋には反映されるが薬袋には反映されないため薬剤師は2つの違う用法に対し問い合わせを行うべきだったが、見落としたため1回10錠と記載された薬袋のまま病棟に払い出した。次の日、病棟担当薬剤師が病棟スタッフより問い合わせを受け問題に気付いた。病棟では医師の指示通りに投薬していたので、患者に影響は無かった。

処方箋を入力する際にいろいろな方法が存在する。

  • 「不均等投与」で入力すると薬袋に反映されるのでこの入力方法を使ってもらう。
  • システムの入力方法上数種類の異なる用法が処方箋上に表示される可能性も考えられるので、処方箋と共に薬袋もよく確認する。
  • 監査時も、用法やコメントが薬袋に反映されているか再度確認する。

プレドニゾロン錠

 

245 副腎ホルモン剤

69


ノルアドレナリン3A・生食100mlを50mlのシリンジに移して8ml/hで施行中であった。医師が「濃度倍量で、全量50ml、流量は半量でいって。」と口頭指示をした。看護師は、ノルアド6A(6ml)・生食44mlを4ml/hで施行した。指示簿に記載されていなかった為、看護師が指示簿に間違ったまま記載した。次の勤務者が以前の4倍量で施行されていることに気付いた。患者に障害は発生しなかった。

口頭指示は出さない・受けないルールであるが、やむを得ず、口頭指示を受ける場合のルール(メモをとり、メモを見せて復唱確認)が守られていない。倍量・全量・半量という曖昧な言葉での指示であった。

  • 指示出し・指示受けのルールを守る。
  • 曖昧な言葉ではなく正確な数値・単位で指示をだす。

ノルアドレナリン

 

245 副腎ホルモン剤

70

ヒューマログミックス50注、朝14単位、夕8単位のところ朝14単位、夕18単位で入力していた。

外来受診があり処方箋の再発行をした所単位の間違いに医師が気付き、薬局に指摘があり分かった。薬袋に間違った単位の印字がされており患者に投与量の確認を実施。家族投与にて間違いなく実施されており影響なかった。また、検査を実施、投与量の変化のなかったことを確認した。

2枚あった外来処方箋を1枚に書き換えたとき入力ミスをした。

  • 入力、処方箋監査の確認を徹底する。

ヒューマログミックス50注

 

249 その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む。)

71

医師はヒューマカート注のカートリッジを処方したが、受けた調剤薬局がヒューマカート注のキットを患者に渡した。医師と患者が話をしていて間違いがあったことに気付く。

マスターの設定は薬価の記載通りであったが、単位を「本」としていたため、カートリッジともキットとも、とれた。

  • 全てのヒューマカート注にカートリッジと名称を付けて単位を「筒」に変更した。

ヒューマカート注キット

(ヒューマカート注)

 

249 その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む。)

72

薬を整理していた時、冷蔵庫に退院時のインスリンが残っていたのに気付いた。同時に処方されていたペンニードルと内服薬は残っていなかったので、冷蔵庫保存のインスリンのみを渡していないことが分った。直ちに患者に連絡したところ、「病院からもらったインスリンを退院後も使っていた」と言われ、退院処方で出されたインスリンをもらっていないという認識がなかった。おそらく入院中に使っていたインスリンをそのまま使っていたと思われたため、事情を説明したところ「近々来院の予定があるので、そのときでかまわない」と言われ、次回渡すことにした。

渡し漏れ、確認不足、置き忘れの薬の取扱いの不徹底。今回のインシデントの要因として、冷所保存の薬を保管するときは、他に室温保存の薬がある場合、その旨を書いた所定の用紙を室温保存薬に貼付することになっているが、その用紙が保管している棚の引き出しに貼ってあったため冷所保存薬の存在に気付かなかったものと思われる。また、同一患者で退院処方が2日間にわたって出されていたことも要因の1つと考えられた。

  • 置き忘れの薬の取扱いを再度スタッフに確認、徹底した。

     

インスリン

 

249 その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む。)

73

夕食前インスリンの準備を3人分処置台の上でしていた。準備の際他患者の伝票を見ており、4単位施行のところ7単位施行してしまう。

伝票はベッドサイドまで持参しなかった。

3人分の投薬指示票を一度にもっていった。

  • 個々の患者用に1注射1トレイに用意する。
  • 伝票はベッドサイドまでもって行き氏名、単位、薬品名の確認をする。
  • 薬剤は詰所で準備してもって行く。

インスリン

 

249 その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む。)

74


薬剤科で薬剤師が、外来患者にMS冷シップを交付した。患者本人からの電話で期限切れの薬剤であったことが判明した。まだ使っていなかったので身体的な影響は無かったが、信用はなくしたおそれがある。患者自宅へ新しい薬剤を送った。

調剤時、検薬時の確認が不確実であった。薬剤の期限の確認と明示をしていなかった。当該薬剤は、使用頻度が少なく、箱単位の購入であるため、期限が切れやすい。

  • 調剤時、検薬時の確認を確実に実施する。
  • 棚卸時に使用期限の確認を確実に行なう。
  • 使用頻度が少ない薬剤は、特に期限に注意する。
  • 期限が近い薬剤には、期限を明示して注意を喚起する。

MS冷シップ

 

264 鎮痛、鎮痒、収歛、消炎剤

75

いつものミオナール錠に違う錠剤が入っていたと薬局窓口に来られた。処方された薬であったが、患者が自己調節して服用していたため、残薬が多くあり、発見が2ヶ月後になった。「メチコバール錠」が入っていたが、違うことに気付き、まだ服用されてなかった。

両方ともに同じメーカーで21錠シートの抱き合わせで棚に入れているため、裏面がよく似ている。監査でも裏面のみ確認し、表を見なかった。

  • 同じメーカーの薬はシートがよく似ていることを認識し、表裏を見ること。

     

メチコバール錠

(ミオナール錠)

 

313 ビタミンB剤(ビタミンB1剤を除く。)

(124 鎮けい剤)

76


ドルミカム2mg+5%ブドウ糖10mlの指示が出た際(指示は注射指示箋に書かれた)、5%を50%ブドウ糖と思い込み、救急カートよりドルミカムと50%ブドウ糖20mlを取り出し、準備し医師に渡し、医師が実施した。薬剤科より薬品を受領した際に5%ブドウ糖ではなく50%ブドウ糖だったことに気付いた。

思い込んでいた。薬液(50%ブドウ糖液)に対する知識不足。注射箋との照合確認の際声は出したが小さな声であったため周囲の人には聞こえなかった。医師に渡す際「ドルミカム」のみ薬品名を伝えた。

  • 薬剤確認の声だし確認ははっきりと行う。
  • 救急カートの50%ブドウ糖は医師と相談のうえ5%ブドウ糖に変更(当該病棟では50%ブドウ糖は使用頻度がない)。
  • 準備者と実施者が異なる場合(医師に渡す場合)準備した薬剤をトレイに入れ持参し、薬剤名・量をはっきり伝える。

日局ブドウ糖注射液50%

(日局ブドウ糖注射液5%)

 

323 糖類剤

77

ラクテックDを使用する予定であったが、ラクテックを使用した。本来リストバンドと薬剤バーコードによる患者認証を徹底しているが、その作業が行われていなかった。

 

 

ラクテック

(ラクテックD)

 

331 血液代用剤

78

注射薬の払い出し業務で、プラスアミノ500mlを払い出すところソルデム3A500mlを払い出していた。看護師が点滴実施前の薬剤確認で間違いに気付いたので、患者には実施されず影響はなかった。

15時30分以降に各病棟から内服処方箋と注射処方箋が集中し、払い出し業務が中断した。薬剤師が、1名休暇であること、金曜日は、土・日曜日の薬剤の払い出し等が重なり気持ちに焦りがあった。

  • 注射薬の監査を行って払い出しすることを検討する。
  • 業務を中断したときは、最初から実施する。
  • 病棟では、実施前の薬剤のチェックを継続する。

ソルデム3A

(プラスアミノ)

 

331 血液代用剤

(325 たん白アミノ酸製剤)

79


炭酸水素ナトリウムの指示を塩化ナトリウムで調剤した。監査の段階でも発見されず病棟へ払い出され、患者が服用時にいつもと味が違うと気付いた。

2剤とも白色の散剤であった。同列の棚に1剤あけて保管されていた。当日勤務者1名が休みで、多忙で処方箋がたまってしまった為、体調不良で休憩していた職員が調剤を行った。無意識だった。秤量記録には塩化ナトリウムと薬品名がプリントされていたが監査の段階で確認不十分であった。

  • 薬品の棚の位置を変更した。
  • 監査を徹底する。
  • 散剤秤量記録用紙と処方箋との確認を徹底する

塩化ナトリウム

(炭酸水素ナトリウム)

 

331 血液代用剤

(234 制酸剤)

80


薬剤科で薬剤師が注射薬処方の生理食塩水20mlを交付するところを、生理食塩水ではなくて10%塩化ナトリウム液を交付した。病棟の看護師が気付いた。患者には実施していないので影響はなかった。

生理食塩水20mlと10%塩化ナトリウム液が棚の隣の引き出しにあった。取り出したときにラベルを見ないでプラスチックアンプルの口の形状で判断した。当該薬剤師は当院に転勤してきたばかりであった。当院の10%塩化ナトリウム液は生理食塩水とはラベルとアンプルの形状が異なっているが、前勤務病院と同じメーカー(大塚製薬)であったので思いこんで取り違えた。注射薬を取り出すとき手に持ったものの確認をしていない。注射薬の監査は二人では行なっていない。

  • 生理食塩水と10%塩化ナトリウム液の保管場所を離す。
  • 注射薬を取り出したときに手に取った薬剤の名前を確認する。
  • 注射薬を交付用の箱に入れるとき薬剤の確認をする。1人監査なので、確実な確認が出来る手順を検討し実践する。

大塚食塩注10%

(生理食塩液)

 

331 血液代用剤

81


蒸留水20ml 2本の処方で、蒸留水2本のうち1本を10%塩化ナトリウム注射液と間違えて調剤してしまった。蒸留水の入っている箱から2本を取り、ラベルの色や表示を見なかったため、1本が塩化ナトリウムであることに気付かず、そのまま払い出してしまった。

確認不足思い込み。箱に入っているものが蒸留水であると思い込みきちんと確認しなかった。

  • 返品された薬剤を元の置き場所に戻すときに間違えないようにすること。
  • 調剤時にもそこに置かれているからと安心せず、本体の表示を見て確認するように気を付ける。
  • 情報を共有する。

10%塩化ナトリウム注

 

331 血液代用剤

82


病棟看護師からの電話連絡で、患者の処方につき貼付ラベルはヴィーン3Gだが薬剤はヴィーンDとの指摘があった。(ヴィーン3G 1本・メイロン7% 1本DIV)。担当者は病棟へ出向き、指摘通り、輸液がヴィーンDと確認し、謝罪し薬剤交換した。病棟に残っていた投与前輸液から、その輸液は投与前であった。

調製前の準備段階(取り揃え者)でラベルの貼付間違いをした。調製者は処方箋と貼付ラベルと薬剤の照合を正確に行わなかった。監査者は最終的な薬剤の確認を怠った。通常この組合せの処方では、ヴィーン3Gの間にヴィーンD処方がある事から、注意喚起を促すためヴィーンDの「D」にチェックを付ける等工夫している。今回は注意喚起がやや不十分だった。

  • 調製前準備・調製・監査段階とも、処方箋と薬剤、貼付ラベルを用い確認する事を徹底した。
  • 又、注意喚起のチェックは誰もが明確にわかるよう行う事を調製担当者全員に徹底する事とした。

ヴィーンD

(ヴィーン3G)

 

331 血液代用剤

83


前日A病棟から返品されたソルデム3AG 500mlを、別のB病棟に払いだした。ボトルにはA病棟の患者の名前が書いてあり、B病棟で点滴を施行した患者の家族が発見した。薬剤には間違いがないことを主治医より患者家族に説明された。

A病棟は返品薬が多く、患者名は消したつもりであった。薬剤部は細部に至るまでボトルを確認していなかった。B病棟では点滴施行前にダブルチェックをしたが、他の患者の名前が書いてあることに気付かなかった。

  • 返品薬剤は細部まで確認して返すことを全病棟に徹底した。薬剤部には、返品薬の管理を見直すよう提言した。
  • 一部の病棟では点滴ボトルに直接名前を書かず、シールを貼るようにしている。
  • 急性期病棟であり比較的指示変更の多いA病棟もシールを貼るように業務改善した。

ソルデム3AG

 

331 血液代用剤

84

「ワーファリンを『粉末』で入力したのに『錠剤』で調剤されていた」と医師から指摘があった。この患者は、以前に飲み間違いがあったので、全て粉末にしてほしいと希望があった。

院内約束で「錠剤の端数は粉末とし錠剤はそのまま調剤すること」となっていたので院内約束調剤をしてしまった。ワーファリンは状態変更時に服用用量が変わるので、出来るだけ錠剤のまま調剤していた。ワーファリンは、粉末では苦味があり患者からの苦情が多かったので固形で調剤していた。

  • 院内約束製剤を基本として調剤することが前提であるが、こうした場合、処方医の意向を確認して調剤する。

ワーファリン錠

 

333 血液凝固阻止剤

85


ワーファリン錠1mgを2.5錠分包するところ、4.5錠分包してしまった。病棟から連絡があり作り直した。

ワーファリンは半錠分は手でセットし2錠分は自動で機械が入れてくれるところ、勘違いし2.5錠を手でいれたため合わせて4.5錠分包してしまった。監査をする時点で薬剤が正しいかばかりに気がいき、数の確認を怠ってしまった。

  • 薬剤が正しいか、数が正しいか、確認することは基本的なことであり、どんな時も慌てないで基本に基づき監査をする。
  • 機械の使い方をもう一度確認する。

ワーファリン錠

 

333 血液凝固阻止剤

86


手術のため術前に患者が内服していたワーファリン(抗凝固剤)を中止した。心臓外科医からは術後、可能な限り速やかに点滴でヘパリン(血液凝固阻止剤)を開始するように指示があった。心臓外科医からの依頼票による指示「ヘパリン3mliv 後、ヘパリン原液0.5持続」を「ヘパリン3mliv 後、ヘパリン原液3持続」と間違い指示を出した。その後患者のドレーンの性状がやや血性であることなどに看護師が気付きワーファリンの過剰投与が発覚した。

 

 

ヘパリン

 

333 血液凝固阻止剤

87


ヘパリン(血液凝固阻止剤)10000単位(10ml)を24時間持続投与する指示を出す際、主治医は「ヘパリン原液4ml(4000単位)/h」の指示を出した。担当看護師は伝票の指示に疑問を持ち確認したが、医師が伝票通り投与するよう再度指示をしたためそのまま開始した。約12時間後、患者の創部からの出血が認められヘパリンの過剰投与に気付いた。

 

 

ヘパリン

 

333 血液凝固阻止剤

88


移植後の患児でIVH(中心静脈栄養)挿入(トリプルカテーテル)がされていた。当日、トリプルカテーテルの茶ルートからの注入が固めであり逆血がない状況であった。主治医へ状況を説明し、その後診察をされた。夕方頃、「IVH注入がスムーズに行くよう薬剤を使用すると医師から言われた」と母がナースステーションへ来棟した。対応した看護師は患児の担当ではなかったが、リーダーへ報告し、医師に確認した上で15分後ウロキナーゼ1万単位を注入した。その15分後担当看護師はウロキナーゼを使用したことを知らずに、夕方のヘパリン生食を注入した。患児へIVHカテーテルについて医師がどのように言っていたのか確認すると「スムーズに通る薬を使用する」と言われたと聞いた。ナースステーションへ戻りウロキナーゼを使用していたことに気付いた。その後、患児の状態・検査値への影響はなく、医師より母親へ状況を説明してもらい謝罪した。

スタッフ間の情報伝達・連携・連絡不十分なことが要因である。患児の家族から訴えを聞いた看護師は直接の担当ではなかったが、担当看護師が勤務終了したかどうかの確認を十分にしないまま処置を施行した。報告を受けて主治医に確認し口頭で指示を伝えたリーダーは、上記の看護師が担当看護師であると思い、処置の伝達を行った。これらのやりとりを全く知らない担当看護師は、元々の勤務時間ではない時間にヘパリン生食静脈注射の処置を行った。

  • 夕方の事象であり、担当者の責任範囲を明確にして、連絡・判断・指示が必要であったと考える。

ヘパリンナトリウム注射液

 

333 血液凝固阻止剤

89

エスポー750シリンジを3本交付すべきところ、グランシリンジ75を3本交付した。看護師が注射準備時に薬剤を確認し、間違いに気付き薬剤部へ連絡した。その後正規の薬剤と交換した。

両方とも冷所保存であった。形態がシリンジタイプで類似していた。外包が似ていた。

  • 監査機構の強化。冷蔵庫内の置き場所の工夫。
  • 薬品棚の表示を大きくし、目立つようにする。
  • 外包のデザイン、色彩等、もっと解りやすいように工夫(メーカー側)。

グラン75シリンジ

(エスポー750シリンジ)

 

339 その他の血液・体液用薬(399 他に分類されない代謝性医薬品)

90

連休中、薬剤師がパントシン分3をパナルジン分3と間違えて、調剤し、病棟に払い出した。受け持ちの看護師が患者に配薬時、間違いに気付き、患者には配薬されることなく、薬局へ返納、再度パントシンが処方された。2週間分の処方であり、気付かないままパナルジンが分3で配薬されていたら、出血傾向など新たな副作用が出現する可能性がある。

平日は薬剤師2名でダブルチェックすることとなっているが、休日、祭日は薬剤師1名の体制であり、ダブルチェックがされない現状がある。

  • 休日、祝日など薬剤師1名体制の時は、薬を取りに来た看護師とダブルチェックする。
  • 調剤して直ぐ払い出すのではなく、しばらく時間が経過した後再度、声出しで自己確認をして、ダブルチェックして払い出す。

パナルジン

(パントシン)

 

339 その他の血液・体液用薬

(313 ビタミンB剤(ビタミンB1を除く。))

91


退院処方「完全分包」(薬剤数:計14品目)において、プロスタール 2錠 1日2回 朝夕食後 14日分の朝食後の分包時、自動錠剤分包機のATC(Auto Tablet Counter)に「プロスタール錠」を入れるところへ「プレタール錠」を入れ、分包機にて分包した。患者が服用する前に転院先の病院薬剤師が分包間違いに気付き連絡があり、交換した。

錠剤分包機表示の「プロスタール」を「プレタール」と読み間違えた。

  • プロスタール錠はATC運用の品目だが、プレタール錠はカセット品目であり、通常はATCには入れない。
  • 前日の当直業務の疲労も原因の一つと考えられるが、監査者も見落としており、「間違いやすい薬品のリスト」配布による情報の共有化と、再確認を実施した。

プレタール錠

(プロスタール錠)

 

339 その他の血液・体液用薬

(247 卵胞ホルモン剤及び黄体ホルモン剤)

92

ウラリット72錠が処方されていたがグリチロン72錠を調剤した。

監査薬剤師も気付かず患者に手渡された。翌日、患者から薬剤部に電話があり発覚。その日の午後患者宅に伺い謝罪してウラリットを手渡した。患者は薬を飲んでいなかった。

ウラリットとグリチロンは隣同士に並べてあり、またウラリットのほうが処方頻度が高い。

  • グリチロン、ウラリットの場所を変え、また薬剤名が目立つよう大きなラベルを貼った。
  • 調剤する際には必ず薬品名と処方箋を照らし合わせ確認を怠らない。

グリチロン錠

(ウラリット錠)

 

391 肝臓疾患用剤

(394 痛風治療剤)

93

大腸癌術後再発の患者に化学療法を施行する際、医師は抗癌剤(アイソボリン)の投与量を病院薬剤師に確認したところ、海外での投与量を報告されたため、予定の倍の量を投与してしまった。

医師は自分で文献等を確認せずに、薬剤師に聞いて誤った量を指示してしまった。薬剤師は文献で確認して報告したが、海外での投与量が記載された文献を見て報告してしまい間違いが生じてしまった。

  • 医師は抗癌剤の投与量を確認する際に、薬剤師とともに文献を確認して、しっかりと正確な投与量を決定、指示するようにした。

アイソボリン注

 

392 解毒剤

94


リザーバー(皮下埋め込み型薬剤注入システム)から投与するアイソボリンを、誤って末梢静脈より投与した。患者に変化は生じなかった。

経静脈あるいはリザーバーから、どちらでも投与が可能な薬剤であり、末梢静脈ラインもあったため、思い込みが発生した。また、手技入力が「局注」と入力されていたため、はっきりと確認ができない状況であった。オーダーする医師と施行する医師は別である。

  • 施行者は出力された薬剤ラベルの手技を確認して施行する。
  • オーダーする者は施行する人が間違えにくいよう、手技入力は「リザーバーより投与」を選択する。

アイソボリン注

 

392 解毒剤

95


FOLFOX6(アイソボリン+5-FU+エルプラット)を行う時に、看護師2人でカイトリル+デカドロンを100ml/h、アイソボリン125ml/hで設定する。カイトリル+デカドロンが30分で終了し、エルプラットを接続しに行ったら、アイソボリンが100ml/hになっているのを発見する。

前日から患者がイライラしており、少しでも早く化学療法を開始しないとと思っていた。1年生のショートカンファレンスを行いながらであったため、注意が不十分であった。

  • 忙しくても、重要な薬液を扱う時は落ち着いて行うようにする。
  • ダブルチェックの方法を徹底する。

アイソボリン注

 

392 解毒剤

96


小児救急外来患者の家族(母)に「カロナール錠5錠」の処方を間違えて「ザイロリック錠5錠」を調剤し手渡した。2週間後に患者の家族(母)から、「薬の説明書及び薬袋の薬品名と実際の薬品が違う」と連絡を受け、間違いに気付いた。「カロナール錠」は発熱時の指示であり、服用していなかった。

事務当直をしながら、一人で調剤し交付している。調剤室の電灯をすべて点灯していない。「カロナール錠」の棚内に「ザイロリック錠」が入っていた。棚は上下に並んでいる。2つの薬のPTPシート(医薬品錠剤包装容器)のデザインが似ている。

  • 救急外来患者の調剤・交付は医師・当直師長でのダブルチェックをする。
  • 調剤は明るいところで行う。
  • 類似薬品の棚は離す。
  • 思い込みをなくして、最後の確認まで注意を払う。
  • 外観が似ている薬剤として院内全体にも注意喚起する。

ザイロリック錠

(カロナール錠)

 

394 痛風治療剤

(114 解熱鎮痛消炎剤)

97

退院処方、ファスティック(30mg)3錠分3、28日分のところを、ファスティック(90mg)を調剤し患者に渡していたことを、患者の指摘の電話により発見された。

2規格ある薬剤の棚に注意のシールを貼っていたので2規格あることは認識していた。2規格(30mg、90mg)を近くに配置している。調剤者と監査者で時間差でダブルチェックしているが間違いを発見できなかった。監査中に問い合わせの電話が入り業務が中断した。

  • 薬剤の監査者(監査中)は電話に出ない。
  • 規格が複数ある薬剤の配置を検討する。
  • 注意を促す表示を認識しやすいようにする。

ファスティック錠90

(ファスティック錠30)

 

396 糖尿病用剤

98


退院処方でダムゼールの調剤もれがあり、監査、病棟での受領時の確認、退院指導の際にも不足が発見されず退院となった。患者は入院中の残りの薬剤を服用後、退院処方を服薬した。患者は服薬の際朝の薬が1剤足りないことに気付いたが、土日だった為悪いと思い、月曜日に外来受診し退院処方のダムゼールが調剤されていなかったことが判明した。結果的にはダムゼールが3日間内服されなかった。

確認不足。処方薬剤は1包化となっていたが、1包化のカセットに予めセットされている薬剤と、セットされてなくその場で入れなくてはいけない薬剤があり、当該患者の処方は2剤追加する薬剤があった。2剤のうち1剤は追加されたが後の1剤を忘れてしまった。薬袋には各1錠4種類と記載してあったが気付かなかった。監査の際無意識であった(多忙)。退院指導を退院処方ではなく入院中の処方薬で行った。

  • 1包化の場合コンピューターに入力後、その場で入れる薬剤をしっかりと確認して入れる。
  • 調剤、監査、受領時(病棟)、退院指導においてそれぞれが責任を持って確認を行うことの徹底。
  • 退院指導は退院処方で行う。
  • 薬剤の不足、薬剤について不明なことがあった場合は自分で判断せず病院に相談するよう退院指導を行う。

ダムゼール錠

 

396 糖尿病用剤

99


レミナロン注100mg処方のところ500mg調剤されたものをそのまま監査し払い出した。

監査の途中に他の調剤を行った。注射と薬剤の監査担当者が同じであった。複数規格を採用していることが明確に分かる充填場所の表示ではなかった。

  • 業務の中断は出来るだけ避ける。
  • やむ終えない場合はそのことが分かるように表示や申し継ぎを行っておく。
  • 注射と薬剤の担当者を決めて、責任をもって業務に当たる。複数規格採用していることが明確に分かる充填場所の表示を行う。
  • 複数規格採用薬剤の処方箋の印字を工夫する。

レミナロン注射用500mg

(レミナロン注射用100mg)

 

399 他に分類されない代謝性医薬品

100


患者に24時間持続の生理食塩水3000mlの点滴静注と1日1回、エルシトニン、プレドニゾロンの点滴静注が指示されており、エルシトニンとプレドニゾロンは日勤帯の午前中に行われていた。注射箋にはエルシトニン、プレドニゾロンの2種類が記載されており、私が担当した日よりプレドニゾロンが中止となっていた。医師は注射箋のプレドニゾロンの下に「○/3中止」と赤字で記載していた。指示簿にはプレドニゾロンの番号のみに斜め線がひいてあった。注射箋を見て、エルシトニン、プレドニゾロン双方が中止だと思いこんでいたため、指示簿のエルシトニンの番号には斜め線がないことを見逃し、棚にエルシトニンがあるとは思わず、見に行かなかった。また他の看護師にエルシトニンが中止になっているかを確認しなかった。準夜勤務者がエルシトニンが棚に残っていることに気付き指摘を受け、施行しなければならなかったことに気付き夕方施行した。

指示の確認が一人で出来るようになった新人看護師、そのためリーダー看護師他へ確認を怠ったことが要因の一つである。また薬効や病態について理解ができていないことも要因と考えられる。また、指示においても注射伝票には中止と指示が記載されていたが、指示簿には注射薬の番号に斜線のみ引かれていたことも指示受けで混乱を起こす原因である。

  • 新人看護師が自分で判断をしていい事、相談すべき事が理解できるよう、指導する。
  • また、指示は見やすくわかりやすく記載する。

エルシトニン注

 

399 他に分類されない代謝性医薬品

101


終末期の患者が外来でTS-1(腫瘍用薬)を内服していた。その後、腫瘍用薬を変更し、外来でのTS-1内服に代わり入院し点滴による化学療法(タキソール)を導入することになった。入院時患者はTS-1を持参したが主治医はTS-1の残量を確認しなかった。入院時病棟で持参薬継続確認の際、研修医がTS-1の続行を入力したため、入院と同時にTS-1の内服が継続された。

 

 

ティーエスワンカプセル

 

422 代謝拮抗剤

102


日勤で出勤後、当患者の指示簿を確認した。前日より、患者が抗癌剤であるジェムザールによる治療がスタートすると聞いていた。指示簿の指示は特に記載されていなかった。不思議に思って点滴指示箋を確認すると、抗癌剤の指示が出されていた。また指示された抗癌剤も病棟に上がってきており、準夜看護師により、患者名、指示日、時間が記述され準備されていた。その場にいた別の看護師と抗癌剤のダブルチェックを行った。その際、新人看護師は抗癌剤の指示箋には医師の印鑑が押されていなければならないことを知らず、印鑑の確認をしていなかった。ダブルチェックが完了したところに病棟当番医が来られ、ダブルチェック済みであるため、そのままカクテルした。準備ができたため、患者の所へ行き「今から点滴があるので御手洗を済ませておいてください」と挨拶に行くと患者は「今日は点滴あるとは聞いてない」と言うため、おかしいと思い、主治医に確認したところ無効な指示であったことに気付いた。

違った指示が指示箋に挟まれていた。間違った抗癌剤のオーダーがされており、病棟に上がってきていた。指示簿と指示箋の両方に指示があるのかを確認していなかった。新人であり抗癌剤の指示の際は指示箋に医師の印鑑が押されていることを確認しなければならないことを知らなかった。

  • 不必要な指示箋は直ぐに破棄する。指示箋と指示簿両方に共通した指示があるかを確認する。
  • 抗癌剤の指示箋には医師の印鑑が押されているか必ず確認する。
  • もし医師の印鑑が無かった場合は無効とし、医師に確認する。

ジェムザール注射用

 

422 代謝拮抗剤

103

抗癌剤は緊急以外は前日に薬剤を準備する。翌日使用する抗癌剤を準備する際、ドセタキセル40mg(20mg 2本)で準備するところを80mg 2本で準備をした。
監査をする薬剤師もそのままOKを出しすり抜け、在庫確認のときに出庫の数と在庫の数が異なることで間違いが発見された。

抗癌剤は同じ戸棚の棚に入れられている。そこから取り出し時に80mgのパッケージを2個取り出してしまっている。パッケージ(大きさ・色)は、異なるため全くの思い込みと考える。

  • 抗癌剤に関しては病棟、外来への払い出しまでに何度か確認がある。薬剤準備→監査→在庫確認→ミキシング前の確認(2名で)→ミキシング時→空アンプルの確認。
  • しばらくはこのままで様子を見て、今後抗癌剤の調剤に関したインシデントが提出された場合、改善策を考える。

ドセタキセル注80mg

(ドセタキセル注20mg)

 

424 抗腫瘍性植物成分製剤

104


TJ療法(パクリタキセル、カルボプラチン併用療法)1クール目の患者に対して電子カルテでタキソールを指示したときタキソの3文字検索で間違えてタキソテールを検索し上級医の確認を得ないまま指示をしてしまった。薬剤師が監査で気付き指示間違いが発覚した。

薬剤を電子カルテで商品名検索するとタキソで誤認選択してしまう。研修医7日目で十分な知識もなく指示入力は無理であり上級医に相談せず指示してしまった。プロトコールは決まっているがプロトコールを見ながら指示入力していない。抗癌剤指示入力チェックの仕組みの問題。

  • 研修医の抗癌剤処方に関してマニュアル整備する。抗癌剤の処方は1年目研修医単独では行えない必ず上級医と共にオーダーする(上級医とは研修医3年目以上)。
  • 処方に関してはプロトコールを参照し電子カルテに入力する。
  • カルテに入力する際はタキソなど3文字検索は類似薬品を誤認選択するおそれがあるため禁止する。

タキソテール注

(タキソール注)

 

424 抗腫瘍性植物成分製剤

105


化学療法でノバントロン(腫瘍用薬)1.2mgとキロサイド(腫瘍用薬)50mgの点滴の予定であった。研修医は投与量の変化に応じられるようノバントロン1V(バイアル)とオーダーした。上級医は注射伝票の「ノバントロン1V」という記載を「1.2mg」と手書きで修正を加えた。その後研修医と大学院生(小児科医師)がダブルチェックの上薬剤を混合したが2名とも「1.2mg」を「12mg」と見誤り投与した。注射伝票を確認していた看護師がプロトコールには「1.2mg」と表記されているが、注射伝票に記載されている数字の小数点が不明なため、研修医に確認したところ過剰投与に気付いた。

 

 

ノバントロン注

 

429 その他の腫瘍用薬

106


カルボプラチン(開始後1日目投与)+トポテシン(腫瘍用薬)(開始後1日目、8日目、15日目投与)による化学療法施行中、主治医が誤ってコンピューター入力し、本来投与されない8日目にカルボプラチンが準備された。投与前に患者に指摘されたが、主治医と病棟当番医の事前連絡が上手くいかず投与された。

 

 

カルボプラチン注射液

 

429 その他の腫瘍用薬

107


パラプラチン50mgのところ150mgを調剤した。病棟で気が付き交換した。

複数規格のあるものには、規格に○印を付けるという「過誤防止マニュアル」は守っていたが、誤認した。

  • 抗癌剤を監査する場合患者の体重、身長等やレジメン、投与量、投与間隔確認など確認のための手順が多い。
  • 今回この事例後に手順書を作成し手順の漏れを無くすようにした。

パラプラチン注射液150mg

 

429 その他の腫瘍用薬

108

本来セルテクト錠を調剤すべきを間違えて、ジルテック錠を調剤した。

オーダリングのシステムが始まったばかりで処方箋の文字が小さくて見えずらかった。皮膚科の処方でジルテックの薬が続いて、反射的に出してしまった。基本の3回確認を怠った。他薬剤師によるダブルチェックを怠った。思い込みがあった。

  • オーダリングでの処方箋の文字を大きくする事を業者に依頼する。
  • 思い込みをしない為に声出し、指差し確認を徹底する。
  • 検印時の確認の強化。
  • 基本的な3回確認の徹底。

ジルテック錠

(セルテクト錠)

 

449 その他のアレルギー用薬

109

ツムラ半夏瀉心湯の処方に対し、ツムラ半夏厚朴湯を調剤してしまい、監査でも気付かず病棟に払い出してしまった。病棟看護師も気付かずに患者に渡してしまい、患者からいつもの薬ではないと指摘され、間違いに気付いた。

類似名薬品。多忙な時間帯で、調剤中に電話対応して作業が中断した。

  • 漢方薬は似た名前が多いため、薬剤につけられている番号も必ず確認する。
  • 調剤中の電話対応はできるだけ避ける。

ツムラ半夏厚朴湯

(ツムラ半夏瀉心湯)

 

520 漢方製剤

110

肺炎にて入院された2歳の児に対して、抗生剤ダラシン550mg(体重あたりの量の約4倍の量、重症感染症としての最大投与量を超える量)静注した。同日、誤りに気付いた。この間、児には特に症状はなかったが、モニター装着管理を開始した。その後小児医師と呼吸器医師へ報告した。その後医師たちと共に、今回の件につき、母へ説明した。

通常であれば、オーダー指示(手書きのもの)とコンピューターでの転記の両方を小児科医が行うが、今回はコンピューターでの転記を研修医が行い、ダブルチェックの機能が働かなかった。

  • オーダー指示(手書きのもの)とコンピューターでの転記をすることの両方を小児科医が行い、ダブルチェックの機能が働くようにする。

ダラシンS注射液

 

611 主としてグラム陽性菌に作用するもの

111

注射箋「ソル・メドロール250mg+生食100ml」の処方であったがソル・メドロール125mgの溶解液1本にエクサシン1Aを入れてしまった。

業者から薬剤をもらい、至急調剤し病棟にあげなくてはならなかったという状況と、慌てた気持ちがあった。ソル・メドロールの置場の小箱に間違ってエクサシンが入っていた。

  • 調剤時は慌てずに行う。
  • 返品の薬を戻すとき充分注意が必要であるため、職場で再度統一し、必要であればダブルチェックなどを行う。

エクサシン注射液

(ソル・メドロール添付溶解液)

 

612 主としてグラム陰性菌に作用するもの

(245 副腎ホルモン剤)

112


タゾシン(抗生物質)を1日2回各350mg+生食20ml点滴注射指示があった。トレイ(1患者1トレイ)にはタゾシン2.5gが2バイアルあった。タゾシンを確認した時、看護師は1バイアル0.25gと誤って読み取り、そのため350mg準備するために2.5gと1g(2バイアル、計3.5g)を準備した。注射筒ラベルには指示通り350mgと書かれていたが、間違いに気付かず投与した。2回目のタゾシン投与時、使用すべきバイアルが既に使用してしまっていたことから見つからず誤薬に気付いた。

 

 

タゾシン

 

613 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの

113


発熱のため患者にスルペラゾン(抗生物質)1g+生食100mlを点滴投与した後、患者には上肢のしびれ、腹痛が出現した。前医の紹介状には当該抗生剤禁忌の記載があり、スルペラゾンアレルギーの記載があったことが判明した。前回、入院した際に担当医は診療端末にアレルギーを入力したがカルテ欄には記載しなかった。診療端末や温度板上でのアレルギー警告が表示される仕組みはあったが、分かりにくかった。

 

 

スルペラゾン静注用

 

613 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの

114


セフメタゾン1V( 実使用量1000mg)、生食100mlの処方に対し、セフメタゾン1V(2000mg)を生食100mlに溶解した。患者は13才であり投与後も特に問題はなかった。実使用量の確認ができておらず、1人だけで調剤の確認をした。

処方内容を十分に読まず薬剤名だけで事実使用量を見ていない。同じ抗生剤を連続して溶解するので、注意力が散漫になった。また、調剤する際は一人で行い、空きアンプルと調剤ラベルの確認ができていない。

  • 実使用量が記載されていればそこにアンダーラインを引き注意を促す。
  • 現在は2人の薬剤師がかかわっているので、2人でラベルを読む人と薬剤を確認する役割を同時に行いダブルチェックとする。

セフメタゾン静注用2mg

 

613 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの

115


担当医師が手術後の患者に抗生剤メロペンを指示し実施した後、メロペンとは併用禁忌のデパケンを内服中であることに薬剤師が気付いた。デパケンは患者の入院時の持参薬で、病院の持参薬鑑別のシステムの通りに、別の薬剤師が確認・鑑別後に別の医師が内服継続を指示したものであった。医師・看護師はデパケンとメロペンが併用禁忌であることを知らなかった。

担当医師は、持参薬鑑別の内容を見ないで注射の指示をした。複数の医師がかかわり、情報が共有されていなかった。薬剤師も持参薬を確認する時点で、注射指示を見なかった。医師・看護師の知識不足。

  • 医師が薬剤の指示を出すときには、処方・注射双方の指示内容を確認する。
  • 特に、複数の医師がかかわる場合には情報を共有する。
  • 医師・看護師・薬剤師の間で薬剤情報を共有する。

メロペン点滴用

 

613 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの

116


破水疑いで緊急搬送された患者。医師よりペントシリン(抗生剤)1g+生食100mlの指示が出た。入院後、主治医や他の医師より薬のアレルギーの有無について本人に確認したが、「アレルギーは無い」と答えた。ペントシリン実施前にも再度患者へ確認した。ペントシリン実施直後から動悸、呼吸困難、軽度の顔面紅潮を認め、直ちに中止した。医師の指示でソル・コーテフ(副腎皮質ホルモン剤)の点滴を行い、30分後には症状消失し、バイタルサインも安定していた。電子カルテのアレルギーコメントに、「ペントシリンで皮疹有」の記載があったが、医師がオーダー入力をする際に、見落としていた。

アレルギーコメントはあるが、電子カルテ上「特記」という項目をクリックをしないと情報が表示されない。また、特記の項目表示が小さく見逃しやすい。前回入院時に使用したペントシリンで皮疹の出現があったが、患者へ十分な指導がされていなかったため、患者自身に確認しても自覚がなかった。

  • 患者へ重要なことを説明する場合(今回のような禁忌薬など)は、口頭の指導だけでなく、文書で渡す。
  • 禁忌薬剤の表示を大きく、また薬剤オーダー時に表示されるようにシステムの変更を検討中。

ペントシリン注射用1g

 

613 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの

117


ミノマイシンがオーダーされ、「末梢ルートメイン・胸膜癒着術用」と印字されていた為、看護師は末梢ルートより点滴を開始した。患者が血管痛を訴えたため、医師が診察に行き、胸腔注入用のミノマイシンが末梢から投与されている間違いに気付き、すぐに中止した。患者に障害はなかった。

新人看護師の知識不足であり、初めての処置(胸膜癒着術用)を自己判断で施行した。医師のオーダーが間違って入力(末梢ルートメイン)されていた。

  • 医師は、指示簿に施行日を記入。オーダーコメントに「医師施行」と入力する。
  • 看護師は、薬剤確認時にコメントにアンダーラインを引き、医師施行の点滴は、看護師の施行する点滴とは別の場所に置く。
  • 新人看護師は、分からない処置については自己判断せずに、指導者に確認する。

点滴静注用ミノマイシン

 

615 主としてグラム陽性・陰性菌、リケッチア、クラミジアに作用するもの

118

ゼリットカプセル(抗ウィルス化学療法剤)15mgの処方であったが、20mgのカプセルで調剤した。監査でも気が付かず、払い出した。受領した看護師も用量の違いに気が付かず、患者に渡して内服してもらった。(自己管理)患者は、2回目に内服する際にいつもと違うことに気が付き、用量の間違いが判明した。

複数規格ある薬剤であった。注意ラベルをつけていたが、ラベルが奥まった所にあり、気が付かなかった。薬剤説明書に、この薬剤はまだ薬剤形状の写真が添付されていない。看護師は、見慣れない薬剤であり、自己管理をしてもらっていたこともあり、形状の違い、用量の違いに気が付かなかった。

  • 注意ラベルに気付けるよう、ラベルの位置を変更した。
  • 薬剤説明書に薬剤形状の写真を添付することを検討する。

ゼリットカプセル20

(ゼリットカプセル15)

 

625 抗ウイルス剤

119

点滴静注用ゾビラックス250mgを4バイアル供給すべきところ、2バイアルしか供給しなかった。病棟で看護師が確認中に発見。

該当薬品のカセットの調子が悪く、トレー内の薬剤が不足していたため、不足分を補充したときに3バイアルセットすべきところ、誤って1バイアルしかセットしなかった。

  • 一度、イレギュラーな処理を行った後は、再開時に注意する。

点滴静注用ゾビラックス

 

625 抗ウイルス剤

120


デノシン(抗ウイルス剤)150mg+生食100mlを1500mg+生食100mlと間違え点滴静脈注射した。

 

 

点滴静注用デノシン

 

625 抗ウイルス剤

121

バクタ顆粒4g分2の成人処方において、薬袋の記載が「1回2包」となっていた。これを見逃してしまい、病棟から「包数が足りない」との指摘で発覚した。本来は「1回1包」であり、調剤もそのように行われた。

処方オーダーから薬袋印字機への情報に必要な「薬品マスター」の設定が違っていた。

  • 「薬品マスター」の設定変更、「1回1g」から「1回1包」へ変更した。
  • 薬袋の記載の確認。

バクタ顆粒

 

629 その他の化学療法剤

122


病棟看護師長より薬袋の表示に間違いがあった旨の連絡があった。バクタ錠4錠、分2朝・夕食後、2日分の処方で薬袋の用法欄に「毎週土曜日曜に内服」と記載すべきところを「毎週土曜日に内服」と誤記した。

服薬指示の「毎週土曜日曜に内服」との記載を調剤者、監査者とも「毎週土曜日に内服」と誤って理解した。また、処方におけるコメントは、3種類ありそのうちの「処方」コメントがオーダリングシステムから自動的に薬袋の用法欄に印字される。今回は自動的に印字されない「薬剤」コメントに手書きで記載したため、誤記してしまった。

  • 調剤者、監査者ともに処方箋中のコメント記載事項について、薬品名・用法などと同様に十分に確認するよう注意喚起した。

バクタ錠

 

629 その他の化学療法剤

123

二種混合二期、沈降ジフテリア破傷風混合トキソイドの予防接種の際、0.1ml以下を皮下注射するところを0.5ml投与した。

 

 

沈降ジフテリア破傷風混合トキソイド

124


二種混合ワクチン定期第2期接種のため12歳の患児が外来受診した。医師はワクチンの量を0.5mlと注射箋に記載し、看護師に薬剤の添付文書を確認し、文書と一緒に準備するよう指示した。添付文書には10歳以上0.1mlと記載されていたが、看護師は疑問に思わず指示通り0.5ml準備した。医師は添付文書を見たが気付かず0.5ml接種した。

 

 

沈降ジフテリア破傷風混合トキソイド

125

返品薬のディプリバンの中にアルブミンが混入していたのに気付かず返品してしまった。ディプリバン3個払い出した際もアルブミンが混入しているのに気付かず病棟の看護師が気付いた。

ディプリバンとアルブミンの包装がよく似ていたため返品処理を誤ってしまった。また、払い出し時に個々の名称を確認しなかった。色調が似ている。大きさ(紙箱)はアルブミンが少し小さい。

  • 返品薬は1個ずつ確認してから戻す。
  • 手早く作業することばかりが先になっており、確実で丁寧な仕事をすることを心がける。

アルブミン

(ディプリバン)

 

634 血液製剤類

(111 全身麻酔剤)

126


注射薬払出し業務中にリスト上ではアルブミン-Wfのところに、他社製品である化血研のアルブミンが準備されていたが、チェック時に見逃した。

同一組成薬品の複数採用。注射薬の品名表示変更が困難。

  • 同一組成薬品の採用について制限の検討が必要である。
  • 医薬品名の表示を変えることにより、このようなミスは防ぐ事が可能と思われる。

献血アルブミン“化血研”

(献血アルブミン-Wf)

 

634 血液製剤類

127

院内で採用していない献血ベニロンI(血液製剤)を使用したいと医師から相談を受け、薬剤師が注文する際に献血グロベニンI(血液製剤)を注文し払い出した。病棟看護師も気付かず3日間投与された。

 

 

献血グロベニンI

(献血ベニロンI)

 

634 血液製剤類

128

特定生物由来製品「ベタフェロン」はロット番号を記入する報告書を添付して調剤しなければならないが、添付するのを忘れてしまい、病棟で使用の際もロット番号を確認せず、患者に使用してしまい、使用ロットが不明になってしまった。薬局で使用ロットの入力の際、報告書が出ていないので病棟に確認して発覚した。

特定生物由来製品の払い出しのルールは認識していたが、確認者当人の記憶に頼る不確かなもので、システム的なチェックがとられていない。特定生物由来製品の報告書がプリントされているプリンターが2部屋とも離れていたところにあり、意識することが困難である。薬局が添付し忘れたときに病棟でカバーできるシステムがない。

  • 調剤者の前に薬品を取り揃える助手の使用する用紙に、特定生物由来製品が払い出し対象になった場合、該当報告書をその時点で添付する。
  • 特定生物由来製品の棚には「特定生物由来製品」の短冊をつけ、払い出しの際の注意を喚起する。

ベタフェロン皮下注960万

 

639 その他の生物学的製剤

129

患者に生食500ml負荷の指示があり、注射薬液棚から生食500mlのボトルを取り出し、チェック表の記入のため、棚の中へ一旦おき、記入後再度ボトルを取り出した。そのまま患者の点滴につなげた。他の勤務者が生食ボトルでなく蒸留水のボトルであることを発見した。150ml注入した。すぐ主治医に報告、様子を観察、患者には異常はみられなかった。

確認不足、思い込み、マニュアルを実施しなかった。確認を薬剤でなく、患者の名前ばかり確認していた。

  • マニュアルの実施、患者の名前だけでなく薬剤のチェックを必ず行う。

注射用蒸留水

(生理食塩水)

 

713 溶解剤

130

内視鏡検査の前処置としてグルカゴン(すい臓ホルモン)1A使用した。検査終了後、低血糖状態となり意識レベルが低下したがブドウ糖投与で回復した。この際行った血液検査に異常があり、入院することになったが、トイレで意識消失、ショック状態となった。

 

 

注射用グルカゴン

 

722 機能検査用試薬

131

肝細胞癌、骨転移患者の塩酸モルヒネの指示を出す際、主治医は注射箋の【 】mlの欄に10mg/mlのつもりで「10」と誤って記載した。指示簿には10mg【1ml】+生食49mlで2ml/hと記載した。他の医師が薬剤部より50mg/5mlの塩酸モルヒネ2Aを受け取り病棟に運んだ。看護師が2A(10ml)を生食40mlで混合し2ml/hで準備し主治医はそのまま投与開始した。返納確認の際、投与量の間違いに気付いた。

 

 

塩酸モルヒネ注射液

 

811 あへんアルカロイド系麻薬

132

癌にてオプソシロップ(モルヒネ薬)内服中の患者が療養型病棟へ入院。疼痛時オプソシロップの指示あり。介護福祉士が臨時薬のオプソシロップを薬杯に入れようとしたところ、専用の薬杯は洗浄中で使用できなかったため、普通のコップに入れた。そのまま患者の所に行かず仕事を中断。看護師にもオプソシロップであることを伝えなかった。

そのため、看護師はコップの中身を破棄してしまった。薬局へ報告、所定の手続きで処理。患者への影響なし。

療養型病棟で麻薬を管理する時に、麻薬に関しては看護師が管理するが、内服介助は介護福祉士が実施する。今回の臨時薬の使用に関しては看護師に1本化するとしても、在宅では家族が実施しているので、定期的な内服の介助に関しては介護福祉士も実践してよいかについてマニュアルになっていなかった。

  • 麻薬に関して、内服に関するマニュアル必要、現在検討中。
  • 当面の対策は、オプソシロップ専用の薬杯を多めにストックし、その薬杯はオプソシロップが入っているものとし、作業の中断はせず患者のところへ持っていく。
  • また、介護福祉士への指導を指導要綱に追加した。

オプソ内服液

 

811 あへんアルカロイド系麻薬

133

塩酸モルヒネ(麻薬系鎮痛剤)の投与方法がシリンジポンプからPCA(自己調節鎮痛)ポンプに変更となり、新たな指示量の塩酸モルヒネをPCAポンプに設置した。その際、シリンジポンプから外した塩酸モルヒネ17.636mg(塩酸モルヒネ30mg+生食水30mlのうち残19.4ml)の入ったシリンジを、処置室の医療廃棄物入れに破棄してしまった。返却すべき麻薬を破棄したことを思い出し、休日だったため、翌々日に、病棟師長に報告し発覚した。看護部セーフティマネージャー、薬剤部麻薬担当窓口に口頭報告し、麻薬破損届、使用変更届を薬剤部に提出した。

麻薬の管理方法、返却の必要性は理解していたが、PCA(自己調節鎮痛)ポンプの設置が初めてであったため、接続ができたことで安心し、一連の作業が終了したと思ってしまった。

  • 麻薬管理は法律で定められていることと、その必要性につき当事者に指導・教育する。
  • 麻薬管理方法につき当事者が言語化できることを確認する。
  • 当事者が麻薬の取り扱いを習得できるまで、当事者が麻薬の返却に関わる際は、管理者若しくはリーダーがダブルチェックし、確実な実践ができることを確認する。

塩酸モルヒネ

 

811 あへんアルカロイド系麻薬

134


塩酸モルヒネシロップを調剤する際に、塩酸モルヒネ末を0.028g で秤るところ、0.0028g で秤ってしまった。薬局長より指摘があり、発覚した。患者には正しい量のものと交換した。幸い服用しておらず、大事にはいたらなかった。

電子天秤の精度限界が0.3gであるにもかかわらず、0.0028gを秤った薬剤師の機器への認識が不足していた。秤量が少ないと疑問を感じながらもあいまいにしてしまった。

  • 麻薬の秤量は特定者に限定する。
  • 調剤開始前に準備された薬剤の内容確認を第三者が行い、その記録を残す。

塩酸モルヒネ

 

811 あへんアルカロイド系麻薬

135

検査で延食となっていた患者に、同様の検査で延食となっていた患者のオキシコンチン(癌疼痛治療剤)35mgを与薬した。薬袋から出してテープに名前を書く際に、名前を書き間違えた。

 

 

オキシコンチン錠

 

811 あへんアルカロイド系麻薬

136


A氏へ21時にMSコンチン内服の指示があった。伝票と薬を一緒に持って病室へ入った。その時、部屋ネームとベッドネームの確認はしなかった。「Aさんお薬をお持ちしました。」と声をかけると「薬ね。」と答えられた。B氏にA氏の伝票を見せながら、薬名・薬効を説明した。B氏は「現在その薬は飲んでいない」と言われた。そのため1度ナースステーションへ戻り、パソコン上にてA氏の内服指示を確認し処方があることを伝えた。内服する際に処方箋をB氏に見せながら、再度氏名・薬品名・内服時間を確認した。その際、B氏本人が名前が異なる事に気付いた。そのため、患者間違いだと気付き、口に入れたものをだしてもらい、うがいをするよう声をかけた。B氏に謝罪をし、夜勤帯の看護師、副師長へ報告した。

本人がB患者をA患者と思い込んだ為、病室の入り口、ベッドネーム、患者から「その薬は飲んでいない。」といわれても、間違ったことに気が付いていない。当院に採用されてから期間が短い看護師であった。

  • 当院に採用されてから期間が短い看護師であり、正しい患者確認方法を身につけさせる必要がある。
  • 患者に参加してもらって、間違いを防止する方法も、自分で理解できていなければ効果は出ないことを、指導者は考えて指導する。

MSコンチン錠

 

811 あへんアルカロイド系麻薬

137

抗痙攣剤100mg 1錠を1日3回服用の指示であったが、薬包の記載が200mg 1錠になっていることを看護師が発見。薬剤科に確認の結果、調剤ミス(1錠 200mg で調剤)が判明。24日間間違いに気付かず、誤った量で与薬されていた。

投与量として許容範囲内であった。

薬剤科のコンピューター入力ミス。

通常は200mgで処方されることが多いため、思い込みがあった。2回処方箋が出されていたが、2回とも用量の間違いに気付かなかった。最終監査でも間違いに気付かず、病棟に払い出した。病棟看護師も気付かなかった。

  • コンピューター入力前後の確認の徹底。
  • 特に2種類以上の規格が採用されている薬の調剤時には注意する。
  • 病棟側では、薬剤科から薬を受領時に、確認を注意深く行っていく。

 

138

病棟で薬局より払い出された定期薬整理時、朝1回処方指示の患者の薬が朝・夕と2包になって薬袋に入って払い出されているのを発見。

数回に渡り、服用変更指示があった際のコンピューター入力間違い。調剤時の処方箋確認不十分。調剤後の処方箋と薬の照合確認不十分。監査不十分。

  • コンピューター入力後の処方箋指示との確認実施。
  • 処方箋確認後調剤する。
  • 調剤後の処方箋と薬の照合確認実施。
  • 確実な監査実施。

 

139

医師より抗癌剤の投与中止の連絡を受けたが、患者IDと患者氏名をメモに記載するところ、医師氏名を記載してしまった。当日、メモに該当する患者氏名は見当たらず、製剤室の担当者は抗癌剤を無菌調製し、病棟へ搬送した。その後病棟看護師より電話があり、中止の連絡をしたものが搬送されてきたとのクレームあり。メモを確認し、患者IDよりオーダーを参照したところ、氏名の間違いが判明した。

端末画面上で患者氏名を写したつもりが、医師氏名を記載していた。

  • 連絡を受けた際、連絡してきた医師氏名、患者氏名、中止した薬剤名をきちんと確認し、専用の中止連絡表に記載する。
  • 注射臨時処方が自由に削除でき、削除後は参照できない。
  • 必要に応じて削除したものを確認できるシステムが望ましい。

 

140

抗悪性腫瘍剤を末梢血管より施行していた。この際点滴針と延長チューブの接続より少量液漏れあり、皮膚汚染したため、即点滴中止をし抜針した。主治医報告を行い反対側にルートを取り直し点滴終了となった。翌日も皮膚に発赤を認め軟膏処方された。

針と延長チューブ間の接続確認を怠った。

  • 医師が点滴施行時針と延長間との接続が確実に行われているか確認する。
  • テープ固定を確実に行う。
  • 延長チューブのねじ部分をはずしておき固定後ロックをかける。

 

141

内視鏡検査前処置としてグリセリン浣腸の指示が出たので実施した。

1回目反応便がなく、2回実施の指示が出たため、施行した。施行後少量の出血があった。内視鏡の結果、粘膜の損傷が確認され止血処置をした。グリセリン浣腸の手技は間違っていなかった。また容器の血液付着も見られなかった。

患者自身下剤や浣腸を乱用し粘膜が脆弱していた。直腸診をした医師からの注意喚起がなかった。

  • 処置時、特に注意が必要な患者と判断した場合指示簿に記入する。

 

142


前医での処方は「成分量」による記載であったが「製剤量」と思い込み、そのまま処方したため、過剰投与となった。当該医療機関では「製剤量」で処方する取り決めがあった。

 

 

 

143


処置室に準備されていたシリンジを確認後、誤って別の患者のシリンジを持って病室に行き、本来別の患者に投与される利尿剤を誤って投与した。ベッドサイドでの確認を怠った。

 

 

 

144


患者に名前の似ている別の患者の内服薬を間違って内服させた。高齢、認知症であり、本人へ氏名を確認することができない患者であった。

 

 

 

145


オメプラール坐薬2個の入院処方オーダーがあり、集薬係が調剤し薬剤師が監査して病棟へ払い出した。翌日、病棟看護師が患者へ挿入しようと薬袋から取り出した際「五苓散坐薬」と表示してあったため薬剤部に連絡があり、すぐに五苓散坐薬とオメプラール坐薬を交換した。患者にはまだ投与されていなかった。

2剤とも院内製剤であり、薬剤の色や形態が似ていた。(パッケージの色は同じ白色。五苓散SPの方がやや小さい。双方に薬品名のラベルが小さく貼ってあるが見えにくい。オメプラールSPのパッケージには一部小さく黄色の線が入っている。)監査の最中に面会者があったため、早く対応しようとして、薬剤ラベルを十分に確認せずに薬袋に急いで入れ、監査を終わらせた。夕方の搬送に間に合わせようと急いだ。作業中断カードを使用しなかった。

  • 急いでいても監査は、処方箋に記載してある薬剤名と用意してある薬剤の薬品名を声に出して確認する。
  • 短時間でも中断して離れる場合は、急いで終わらせずに、作業中断カードを使用する。
  • 急いでいる場合は監査を優先し、可能であれば面会者に時間をずらしてもらうよう伝える。

(院内製剤)

146


自動分包器で散剤を調剤したところ、1包にのみ錠剤が混入した。患者が服薬時、口に入れたところ錠剤が入っていることがわかった。錠剤が何であったかは不明で、患者への影響はなかった。

原因を調査したが不明であった。物理的に錠剤が混入することがない構造になっていた。但し、この自動分包器は散剤も錠剤も両方使用できるタイプであった。

  • この自動分包器は散剤専用とし、錠剤の分包機能は使用中止とした。

 

147


FOLFOX6(アイソボリン+5-FU+エルプラット)開始患者。体表面積が大きい患者で、持続のバクスターポンプは300mlのタイプのものを使用した。残量計測用のバネ秤がなかったのに気が付かずに残量と投与量の計測ができなかった(翌日日勤で、他病棟より秤を借りる)。

普段使用しない300mlタイプのポンプを使用していた。秤が必要な事は知っていたが、当日は忙しく秤が病棟にあるか確認できなかった。バネばかりの存在を知らないスタッフもいるため、忘れずに確認・指導する必要があった。

  • 化学療法時、特に普段と違うところは、声を出して次勤務のスタッフに申し送り・確認を行う。
  • 忙しいときには他の看護師に依頼する。

 

148


前医での処方箋の写しが「フェノバール剤10%(催眠・鎮静・抗痙攣剤)1.5g/日」とあり、医師は病院のコンピューターで、「フェノバール剤10%1500mg/日」と処方した。前医では「フェノバール150mg/日」であったが、当該病院では「1500mg/日」の過剰投与となった。患者に呂律が回らなく過剰投与によると考えられる症状が出たため気付いた。当該病院の薬局ではグラム表示の場合には全量(薬と混合物)の重さを示し、ミリグラム表示の場合は薬の量を示すことが多いため、指示の1500mgとは薬の量を意味していると誤解した。