独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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安全対策業務

別添4 医療機器の安全使用に関する製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例

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別添4 医療機器の安全使用に関する製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例

(*第7回報告書より、**第8回報告書より)

    具体的内容 背景・要因 改善策 影響を与えた医療機器 検討案
1

人工呼吸器(電源関連) 救急病棟から一般病棟にニューポート(人工呼吸器)を装着した患者の転室があった。主治医と看護師で迎えに行った。 転入時ニューポートの電源は差し込んだつもりでいた。約8時間後にバッテリー切れのアラームが鳴り、機械の主電源が 入っていないことに気付いた。看護師は、加湿器の電源を入れた時、主電源も差し込んだと勘違いしていた。 人工呼吸器の電源は、機械からコンセント、コンセントから機械側へとダブルチェックするようになっていたが、当該事例では行っていなかった。 主治医も看護師も責任を持って確認していない。ニューポートは院内に2台しか保有しておらず、当該病棟での使用頻度は少なく、医療スタッフは、 使用方法を熟知していなかった。
  • 人工呼吸器の電源、酸素コンプレッサーの接続、回路の状態、接続はずれの有無など機械全体を見て指差し声だし確認をする。
  • 複数人でのチェックを行うことを徹底する。
  • 人工呼吸器装着患者の管理の経験の少ない部署は、事前に勉強会等を持ち、看護師をトレーニングする(重症集中ケア認定看護師を活用する)。
  • 臨床工学技士が病室を巡回し、機器の作動状況を点検する等の体制を検討する。
  • 人工呼吸器使用中のチェックリストを作成し、一項目ずつチェックし確認する。
  • チェックリストの作成を検討中である。
人工呼吸器 人工呼吸器の駆動電源の確認を電源インジケーター等の人工呼吸器本体のシグナルで確認することが必要であったと考えられる。 機種により表示方法は様々であるが、通常はAC駆動・DC駆動等駆動電源のステータスが表示されるようになっている。
よって、駆動電源のステータスについても開始時、使用中の確認項目に入れ意識的に確認を行うことが望ましい。
なお本件に関しては、人工呼吸器委員会の協力を得て、医薬品医療機器総合機構情報提供ホームページに掲載し、医療機関へ向けての発進を予定している。
2
人工呼吸器(回路関連) Tバード(人工呼吸器)の低圧アラームが鳴るため、回路・カニューレのカフなど空気漏れがないか点検したが、 異常を発見できずTバードを交換した。その後、再点検するとウォータートラップ(水受け)が斜めに接続されており、 接続部に隙間があった事がわかった。アラーム発生10分前に水抜きを行い、ウォータートラップを接続していた。 最初の点検では、ウォータートラップを見ただけで、接続し直さなかった。 人工呼吸器の研修会は、新採用者には参加を義務付けているが、その他の職員は自由参加であり、2度・3度と参加する スタッフは少ない。
  • ウォータートラップの水抜き、接続は慌てず慎重に行う。接続後は空気漏れがないか、音や換気量の変化に注意して確認する。
  • 全職員を対象に、病棟内で人工呼吸器のトラブル内容に応じた確認場所、対処方法の知識や技術チェックを実施する。
人工呼吸回路
(ウォータートラップ)
ウォータートラップの取り付けが正確に行われなかった場合、バルブが開放し、トラップ取り付け部に隙間が空いているので、 リークを起こすが、リークアラームの発生原因にウォータートラップのずれがあることに気づかれないことがあるため、 リークアラーム発生時の原因の一つとして認識し、確認することが望ましい。
3
人工呼吸器(回路関連) 咳嗽があり、人工呼吸器回路内の水をはらい、気管チューブから吸引を行った。SpO2の低下を認め、主治医に報告し アンビューによる加圧を行った。血液ガス等検査及び酸素増量の処置でSpO2は改善したが、人工呼吸器のLOW(低換気) アラーム状態が持続し、ME(臨床工学士)へ点検を依頼した所「水受け」からの漏れと判明した。 バイタルサイン計測後、人工呼吸器のLOWアラームの点検をしないで吸引をした。痰が吸引されなかったので回路の水を捨てた。 その間患者のSpO2が70%に低下した。アラームが鳴ったが正しい判断が出来なかった。水受けに触れたか否か当事者はパニックに なってわからない。
  • LOWアラームの表示が出た際は呼吸器回路の漏れ、特に水受けや各接続部、1回換気量をチェックする事を指導した。
  • LOWアラームの対応が判断できない時はスタッフの応援を求める事を指導した。
人工呼吸回路
(ウォータートラップ)
ウォータートラップの取り付けが正確に行われなかった場合、バルブが開放し、トラップ取り付け部に隙間が空いているので、 リークを起こすが、リークアラームの発生原因にウォータートラップのずれがあることに気づかれないことがあるため、 リークアラーム発生時の原因の一つとして認識し、確認することが望ましい。
4

人工呼吸器(回路関連) ウォータートラップ(水受け)の水を捨て、PG(気道内圧)20・SpO2(動脈血酸素飽和度)値98-99%と異常ないことを確認。 約30分後、パルスオキシメーターのアラームが鳴り訪室すると、SpO2 93%・PG13まで低下していたためアンビューにて 補助呼吸を行った。呼吸苦なし。蛇管等に異常なく、ウォータートラップを接続し直すとSpO2値は上昇した。 ウォータートラップを閉めた際、しっかり閉まったことを確認せずに離れてしまった。閉めた後、わずかな緩みだったのか、 すぐにSpO2値・PGが下がらず、徐々に低下したため30分後の発見となった。
  • ウォータートラップを外した際は、ウォータートラップがしっかり閉まったことを目と手で確認してから側を離れる。
  • ウォータートラップを閉めた後はSpO2値・PGに注意してラウンドを行う。
人工呼吸回路 ウォータートラップの取り付けが正確に行われなかった場合、バルブが開放し、トラップ取り付け部に隙間が空いているので、 リークを起こすが、リークアラームの発生原因にウォータートラップのずれがあることに気づかないことがあるため、 リークアラーム発生時の原因の一つとして認識し、確認することが望ましい。
5

人工呼吸器(回路関連) フィルターをつけたままベネット840(人工呼吸器)を装着した。主治医も看護師もフィルターが付いたままの状態に気が付かず、 約15時間後に担当の看護師が気付いてはずした。換気量、血ガスデータ等に変化は無かった。加湿機能のある人工呼吸器にフィルターを 装着したままにしていると、窒息の危険がある。 受持ち看護師の知識不足。CCUはサーボiを保有しており、ベネット840は使用頻度が少ない他のスタッフが人工呼吸器を装着してくれたのを、 それで合っていると思い込んでいた。人工呼吸器装着後の複数人によるチェックをしていない。
  • 看護師のトレーニング(勉強会を開催した)。
  • ダブルチェックの徹底。人工呼吸器が複数種類病院内に存在することに関連した事故発生のリスクについて検討する予定。
  • 看護部内で事例を紹介し、情報共有を行なった。
加温加湿器
人工鼻
フィルターと本事例でいわれているものが、患者への送気を加湿する目的で装着された人工鼻なのか、人工呼吸器を異物や水等から守る目的で装着している 人工呼吸器フィルターなのか定かではないが、両者は外観が酷似しているものや、両者の機能を併せもった単回使用人工鼻用フィルターもあるため、本来の 使用目的が不明確なまま使用されている可能性も否定できない。
なお、人工鼻と加温加湿器は併用禁忌ということで添付文書にも記載されているものもあるが、“なぜ併用禁忌なのか”その理由等も明確に記載する等、 添付文書の記載内容についても検討していく必要があると考える。
6
輸液ポンプ(材料関連) フローランのシリンジを交換。シリンジがその機器に対応するものであることを確認しないまま患者に接続した。約7時間後、シリンジポンプのアラームが鳴り、 故障を疑いME室(臨床工学室)に報告した。ME(臨床工学士)と共に、確認したところ、アラームは、シリンジポンプに対応しないシリンジの使用によるものであった。 輸液の残量はテルモのシリンジ使用時と同じであった。すぐに規定のシリンジと交換した。患者の状態に変化はなかった。 今までシリンジは50mlばかり使用していたため、20mlのシリンジに種類があったことに気付かずにいた。
  • シリンジ接続時は常にロック付きであることを念頭に置き、接続する(トップのシリンジはロック付きでないため)。
注射筒輸液ポンプ シリンジポンプはシリンジメーカを予め設定して使用することとなっており、添付文書及び取扱説明書にその旨が記載されている。 使用するシリンジやプレフィルドシリンジがどの設定かを必ず確認して使用する必要がある。
また、ポンプに装填して用いられるプレフィルドシリンジ等でシリンジに関する情報提供を行ってないものは、シリンジに関する情報提供が必要と考える。
7

事故事例(シリンジポンプ関連) 急性腎不全に対してCHDF(持続的血液透析濾過透析)を施行する際、抗凝固薬としてフサンをシリンジポンプにて投与する予定であったが、 接続を確認しないまま透析開始としたため、約150mgのフサンが短時間に投与されてしまった。     人工透析回路
シリンジポンプ
本事例の原因等の詳細は不明であるが、抗血液凝固剤の投与ルートが透析回路の動脈側ポンプより動脈側にあるか、ダイアライザ側にあるかで、挙動が異なる。 動脈側にあるタイプでは、回路内の陰圧のため、シリンジポンプとのシリンジのプランジャーが適切にセットされていないと、落差等に関係なく、透析回路内の 陰圧に引かれて急速注入が発生したことなどが考えられる。
(財)日本臨床工学技士会がまとめた「透析用血液回路の標準化に関する報告書2006」の中で「抗凝固薬注入ラインの設置部位は、抗凝固薬注射器のセットミス(離落等)や ライン断裂時に、エアーの吸入を防止するため、血液ポンプと動脈側エアートラップチャンバー間に設ける。」とされており、今後も引き続き回路内の注射器の適切なセット 位置について周知を図っていく必要があると考える。