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ネクサバール錠200mg


処方せん医薬品


作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
日本標準商品分類番号等
薬効分類名
承認等
販売名 ネクサバール錠200mg
承認・許可番号
薬価基準収載年月
販売開始年月
貯法・使用期限等
規制区分
組成
性状
一般的名称
警告
禁忌
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
効能又は効果に関連する使用上の注意
用法及び用量
用法及び用量に関連する使用上の注意
使用上の注意
慎重投与
重要な基本的注意
相互作用
併用注意
副作用
副作用等発現状況の概要
重大な副作用
その他の副作用
高齢者への投与
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
小児等への投与
過量投与
適用上の注意
その他の注意
薬物動態
臨床成績
薬効薬理
有効成分に関する理化学的知見
取扱い上の注意
承認条件
包装
主要文献及び文献請求先
主要文献
文献請求先
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

ネクサバール錠200mg


作成又は改訂年月

** 2016年2月改訂 (第16版)

* 2015年6月改訂

日本標準商品分類番号

874291

日本標準商品分類番号等

効能又は効果追加承認年月(最新)
**2016年2月

国際誕生年月
2005年12月

薬効分類名

抗悪性腫瘍剤/キナーゼ阻害剤

承認等

販売名
ネクサバール錠200mg

販売名コード

4291017F1025

承認・許可番号

承認番号
22000AMX00014
商標名
Nexavar 200mg

薬価基準収載年月

2008年4月

販売開始年月

2008年4月

貯法・使用期限等

貯法

気密容器・室温保存
(取扱い上の注意の項参照)

使用期限

外箱に表示

規制区分

劇薬

処方箋医薬品注)

注)注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

成分・含量

1錠中,ソラフェニブ200mg(ソラフェニブトシル酸塩として274.0mg)含有

添加物

クロスカルメロースナトリウム,結晶セルロース,ヒプロメロース,ラウリル硫酸ナトリウム,ステアリン酸マグネシウム,マクロゴール4000,酸化チタン,三二酸化鉄

性状

色・剤形

赤色のフィルムコーティング錠

外形(識別コード)

直径(mm)

10

厚さ(mm)

4.5

重さ(mg)

349.85

一般的名称

ソラフェニブトシル酸塩錠

警告

本剤は,緊急時に十分対応できる医療施設において,がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで,本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること.また,治療開始に先立ち,患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性を十分説明し,同意を得てから投与すること.

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

1.
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

2.
妊婦又は妊娠している可能性のある女性[「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照]

効能又は効果

効能又は効果/用法及び用量

**根治切除不能又は転移性の腎細胞癌,切除不能な肝細胞癌,根治切除不能な甲状腺癌

効能又は効果に関連する使用上の注意

1. 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に対して

(1)
サイトカイン製剤による治療歴のない根治切除不能又は転移性の腎細胞癌患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない.[「臨床成績」の項参照]

(2)
本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない.

2. 切除不能な肝細胞癌に対して

(1)
局所療法(経皮的エタノール注入療法,ラジオ波焼灼療法,マイクロ波凝固療法,肝動脈塞栓療法/肝動脈化学塞栓療法,放射線療法等)の適応となる肝細胞癌患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない.

(2)
肝細胞癌に対する切除及び局所療法後の補助化学療法における本剤の有効性及び安全性は確立していない.

(3)
肝細胞癌患者に本剤を使用する場合には,肝機能障害の程度,局所療法の適応の有無,全身化学療法歴等について,「臨床成績」の項の内容に準じて,適応患者の選択を行うこと.

3. **根治切除不能な甲状腺癌に対して

(1)
臨床試験に組み入れられた患者の病理組織型等について,「臨床成績」の項の内容を熟知し,本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で,適応患者の選択を行うこと.

(2)
甲状腺未分化癌患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない.

(3)
放射性ヨウ素による治療歴のない分化型甲状腺癌患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない.

用法及び用量

通常,成人にはソラフェニブとして1回400mgを1日2回経口投与する.なお,患者の状態により適宜減量する.

用法及び用量に関連する使用上の注意

1.
サイトカイン製剤を含む他の抗悪性腫瘍剤との併用について,有効性及び安全性は確立していない.[「臨床成績」の項参照]

2.
肝細胞癌に対する局所療法との併用について,有効性及び安全性は確立していない.

3.
高脂肪食の食後に本剤を投与した場合,血漿中濃度が低下するとの報告がある.高脂肪食摂取時には食事の1時間前から食後2時間までの間を避けて服用すること.[「薬物動態」の項参照]

4.
副作用により本剤を減量,休薬又は中止する場合には,副作用の症状,重症度等に応じて以下の基準を考慮すること.

(1) 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌,切除不能な肝細胞癌に対して
減量基準
用量調節段階:通常投与量
投与量:1回400mgを1日2回経口投与

用量調節段階:1段階減量
投与量:1回400mgを1日1回経口投与

用量調節段階:2段階減量
投与量:1回400mgを隔日経口投与

皮膚毒性
皮膚の副作用のグレード
グレード1:手足の皮膚の感覚障害,刺痛,痛みを伴わない腫脹や紅斑,日常生活に支障を来さない程度の不快な症状

発現回数:回数問わず
投与量の調節:本剤の投与を継続し,症状緩和のための局所療法を考慮する.

皮膚の副作用のグレード
グレード2:手足の皮膚の痛みを伴う紅斑や腫脹,日常生活に支障を来す不快な症状

発現回数:1回目
投与量の調節:本剤の投与を継続し,症状緩和のための局所療法を考慮する.
7日以内に改善が見られない場合は下記参照.

発現回数:7日以内に改善が見られない場合あるいは2回目又は3回目
投与量の調節:グレード0〜1に軽快するまで休薬する.
本剤の投与を再開する場合は投与量を1段階下げる.(400mg1日1回又は400mg隔日1回)

発現回数:4回目
投与量の調節:本剤の投与を中止する.

皮膚の副作用のグレード
グレード3:手足の皮膚の湿性落屑,潰瘍形成,水疱形成,激しい痛み,仕事や日常生活が不可能になる重度の不快な症状

発現回数:1回目又は2回目
投与量の調節:グレード0〜1に軽快するまで休薬する.
本剤の投与を再開する場合は投与量を1段階下げる.(400mg1日1回又は400mg隔日1回)

発現回数:3回目
投与量の調節:本剤の投与を中止する.

血液学的毒性
グレード:グレード0〜2
投与継続の可否:投与継続
用量調節:変更なし

グレード:グレード3
投与継続の可否:投与継続
用量調節:1段階下げる b

グレード:グレード4
投与継続の可否:グレード0〜2に軽快するまで休薬 a
用量調節:1段階下げる b

a.30日を超える休薬が必要となり,投与の継続について臨床的に意義がないと判断された場合,投与中止とする.

b.2段階を超える減量が必要な場合,投与中止とする.

非血液学的毒性 a
グレード:グレード0〜2
投与継続の可否:投与継続
用量調節:変更なし

グレード:グレード3
投与継続の可否:グレード0〜2に軽快するまで休薬 b
用量調節:1段階下げる c

グレード:グレード4
投与継続の可否:投与中止
用量調節:投与中止

a.薬物治療を行っていない嘔気/嘔吐又は下痢は除く.

b.30日を超える休薬が必要となり,投与の継続について臨床的に意義がないと判断された場合,投与中止とする.

c.2段階を超える減量が必要な場合,投与中止とする.

(2) **根治切除不能な甲状腺癌に対して
減量基準
用量調節段階:通常投与量
投与量:1回400mgを1日2回経口投与

用量調節段階:1段階減量
投与量:1回400mgと1回200mgとを交互に12時間間隔で経口投与

用量調節段階:2段階減量
投与量:1回200mgを1日2回経口投与

用量調節段階:3段階減量
投与量:1回200mgを1日1回経口投与

皮膚毒性
皮膚の副作用のグレード
グレード1:手足の皮膚の感覚障害,刺痛,痛みを伴わない腫脹や紅斑,日常生活に支障を来さない程度の不快な症状

発現回数:回数問わず
投与量の調節 a:本剤の投与を継続し,症状緩和のための局所療法を考慮する.

皮膚の副作用のグレード
グレード2:手足の皮膚の痛みを伴う紅斑や腫脹,日常生活に支障を来す不快な症状

発現回数:1回目
投与量の調節 a:本剤の投与を継続し,症状緩和のための局所療法及び1段階減量を考慮する.
7日以内に改善が見られない場合は下記参照.

発現回数:7日以内に改善が見られない場合又は2回目
投与量の調節 a:グレード0〜1に軽快するまで休薬する.
本剤の投与を再開する場合は投与量を1段階下げる.

発現回数:3回目
投与量の調節 a:グレード0〜1に軽快するまで休薬する.
本剤の投与を再開する場合は投与量を2段階下げる. b

発現回数:4回目
投与量の調節 a:本剤の投与を中止する.

皮膚の副作用のグレード
グレード3:手足の皮膚の湿性落屑,潰瘍形成,水疱形成,激しい痛み,仕事や日常生活が不可能になる重度の不快な症状

発現回数:1回目
投与量の調節 a:グレード0〜1に軽快するまで休薬する.
本剤の投与を再開する場合は投与量を1段階下げる.

発現回数:2回目
投与量の調節 a:グレード0〜1に軽快するまで休薬する.
本剤の投与を再開する場合は投与量を2段階下げる.

発現回数:3回目
投与量の調節 a:本剤の投与を中止する.

a.グレード2又は3の副作用により減量し,減量後の用量でグレード2以上の副作用が少なくとも28日間認められない場合は,開始時の用量に増量することができる.

b.3段階を超える減量が必要な場合,投与中止とする.

血液学的毒性
グレード:グレード0〜2
投与継続の可否:投与継続
用量調節:変更なし

グレード:グレード3
投与継続の可否:投与継続
用量調節:1段階下げる b

グレード:グレード4
投与継続の可否:グレード0〜2に軽快するまで休薬 a
用量調節:2段階下げる b

a.30日を超える休薬が必要となり,投与の継続について臨床的に意義がないと判断された場合,投与中止とする.

b.3段階を超える減量が必要な場合,投与中止とする.

非血液学的毒性 a
グレード:グレード0〜1
発現回数:回数問わず
投与継続の可否:投与継続
用量調節:変更なし

グレード:グレード2
発現回数:回数問わず
投与継続の可否:投与継続
用量調節:1段階下げるc,d

グレード:グレード3

発現回数:1回目
投与継続の可否:グレード0〜2に軽快するまで休薬 b
7日以内に改善が見られない場合は下記参照.
用量調節:1段階下げるc,d

発現回数:7日以内に改善が見られない場合あるいは2回目又は3回目
投与継続の可否:グレード0〜2に軽快するまで休薬 b
用量調節:2段階下げるc,d

発現回数:4回目
投与継続の可否:グレード0〜2に軽快するまで休薬 b
用量調節:3段階下げるc,d

グレード:グレード4
発現回数:回数問わず
投与継続の可否:投与中止
用量調節:投与中止

a.薬物治療を行っていない嘔気/嘔吐又は下痢は除く.

b.30日を超える休薬が必要となり,投与の継続について臨床的に意義がないと判断された場合,投与中止とする.

c.3段階を超える減量が必要な場合,投与中止とする.

d.グレード2又は3の副作用により減量し,減量後の用量でグレード2以上の副作用が少なくとも28日間認められない場合は,開始時の用量に増量又は1段階増量することができる.

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)

1.
重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者[使用経験がない.]

2.
高血圧症の患者[高血圧が悪化するおそれがある.]

3.
血栓塞栓症の既往のある患者[心筋虚血,心筋梗塞などがあらわれるおそれがある.]

4.
脳転移のある患者[脳出血があらわれるおそれがある.]

5.
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]

重要な基本的注意

1.
手足症候群,はく脱性皮膚炎,中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),多形紅斑,ケラトアカントーマ,皮膚有棘細胞癌があらわれることがあるので,必要に応じて皮膚科を受診するよう,患者に指導すること.[「重大な副作用」の項参照]

2.
AST(GOT),ALT(GPT)の上昇を伴う肝機能障害,黄疸,肝不全があらわれることがあるので,本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い,患者の状態を十分に観察すること.
なお,主に肝細胞癌又は肝硬変のある患者において肝性脳症が報告されているので,これらの患者に投与する際は,血中アンモニア値等の検査を行うとともに,意識障害等の臨床症状を十分に観察すること.[「重大な副作用」の項参照]

3.
急性肺障害,間質性肺炎があらわれることがあるので,本剤の投与にあたっては,呼吸困難,発熱,咳嗽等の臨床症状を十分に観察し,異常が認められた場合には,速やかに胸部X線検査等を実施すること.急性肺障害,間質性肺炎が疑われる場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと.
また,呼吸困難,発熱,咳嗽等の症状があらわれた場合には速やかに連絡するよう患者に説明すること.[「重大な副作用」の項参照]

4.
血圧の上昇が認められることがあるので,本剤投与中は定期的に血圧測定を行うことが望ましい.高血圧があらわれた場合には,降圧剤の投与など適切な処置を行うこと.重症,持続性あるいは通常の降圧治療でコントロールできない高血圧があらわれた場合には,投与の中止を考慮すること.[「重大な副作用」の項参照]

5.
白血球減少,好中球減少,リンパ球減少,血小板減少,貧血があらわれることがあるので,定期的に白血球分画を含む血液学的検査を行うなど,患者の状態を十分に観察し,感染症,出血傾向等の発現に留意すること.[「重大な副作用」の項参照]

6.
血清アミラーゼや血清リパーゼの上昇があらわれることがあるので,本剤投与中は定期的に膵酵素を含む血液検査を行い,腹痛等の膵炎を示唆する症状が認められた場合や膵酵素上昇が持続する場合には画像診断等を行うこと.[「重大な副作用」の項参照]

7.
創傷治癒を遅らせる可能性があるので,手術時は投与を中断することが望ましい.手術後の投与再開は患者の状態に応じて判断すること.

8.
甲状腺癌患者に投与する際は,定期的に血清カルシウム濃度を測定すること.

9.
甲状腺癌患者に投与する際は,定期的に甲状腺刺激ホルモン濃度を測定すること.

相互作用

In vitro試験において,本剤は薬物代謝酵素チトクロームP450 3A4(CYP3A4)による酸化的代謝とグルクロン酸転移酵素(UGT1A9)によるグルクロン酸抱合により代謝されることが示されているので,本酵素の活性に影響を及ぼす薬剤と併用する場合には,注意して投与すること.また,in vitro試験で,本剤のUGT1A1,UGT1A9,CYP2B6,CYP2C9及びCYP2C8に対する阻害活性が示されており,これらの酵素により代謝される他の薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある.

併用注意

(併用に注意すること)

薬剤名等 イリノテカン

臨床症状・措置方法
イリノテカン及びその活性代謝物であるSN-38のAUCがそれぞれ26〜42%及び67〜120%増加するとの報告がある1)

機序・危険因子
本剤はUGT1A1によるグルクロン酸抱合を阻害することにより,SN-38の代謝を阻害し,血中濃度を上昇させる可能性がある.

薬剤名等 ドキソルビシン

臨床症状・措置方法
ドキソルビシンのAUCが21%増加したとの報告がある2)

機序・危険因子
機序不明

薬剤名等 CYP3A4誘導薬(リファンピシン,フェノバルビタール,フェニトイン,カルバマゼピン,デキサメタゾン等)及びセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品

臨床症状・措置方法
リファンピシンとの併用により本剤のAUCが37%減少したとの報告がある3)
CYP3A4誘導薬等の併用により本剤の血漿中濃度が低下する可能性がある.

機序・危険因子
In vitro試験において,本剤はCYP3A4によって代謝されることが示唆されている.

薬剤名等 ワルファリン

臨床症状・措置方法
ワルファリンを併用した症例において,出血又はプロトロンビン時間の延長(INR値の上昇)の報告がある4)
本剤とワルファリンを併用する場合には,定期的にプロトロンビン時間又はINRのモニタリングを行うこと.

機序・危険因子
機序不明

薬剤名等 ドセタキセル

臨床症状・措置方法
ドセタキセルのAUCが36〜80%増加したとの報告がある5)

機序・危険因子
機序不明

薬剤名等 パクリタキセル/カルボプラチン

臨床症状・措置方法
パクリタキセル及びカルボプラチンとの併用により本剤のAUCが47%増加し,パクリタキセル及びその活性代謝物である6-OHパクリタキセルのAUCがそれぞれ29%及び50%増加したとの報告がある.

機序・危険因子
機序不明

薬剤名等 カペシタビン

臨床症状・措置方法
カペシタビン及びその活性代謝物であるフルオロウラシルのAUCがそれぞれ50%及び52%増加したとの報告がある.

機序・危険因子
機序不明

薬剤名等 フラジオマイシン(経口剤:国内未発売)

臨床症状・措置方法
フラジオマイシンとの併用により本剤のAUCが54%低下したとの報告がある6).抗生物質との併用により本剤の血漿中濃度が低下する可能性がある.

機序・危険因子
フラジオマイシンの腸内細菌叢への影響により,本剤の腸肝循環が抑制される.

副作用

副作用等発現状況の概要

**腎細胞癌患者を対象とした国内第II相臨床試験7),肝細胞癌患者を対象とした国内第I相臨床試験8)分化型甲状腺癌患者を対象とした国際共同第III相臨床試験9)並びに甲状腺未分化癌及び甲状腺髄様癌患者を対象とした国内第II相臨床試験10)において,370例(日本人175例を含む)中359例(97.0%)に副作用が認められた.主な副作用の発現例数(発現率)は,手足症候群250例(67.6%),脱毛202例(54.6%),下痢190例(51.4%),発疹・皮膚落屑166例(44.9%),疼痛(口内疼痛,腹痛,骨痛,頭痛及びがん疼痛を含む)126例(34.1%),高血圧126例(34.1%),疲労116例(31.4%),体重減少95例(25.7%),リパーゼ上昇87例(23.5%),口内炎(口内乾燥及び舌痛を含む)85例(23.0%),食欲不振83例(22.4%),アミラーゼ上昇65例(17.6%),そう63例(17.0%),悪心46例(12.4%),ALT(GPT)上昇39例(10.5%)等であった.(甲状腺癌効能追加承認時

重大な副作用

1. 手足症候群(10%以上),はく脱性皮膚炎(1〜10%未満)
手足症候群,はく脱性皮膚炎があらわれることがあるので,皮膚症状があらわれた場合には対症療法,減量,休薬又は投与の中止を考慮すること.

2. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明),多形紅斑(1〜10%未満)
中毒性表皮壊死融解症,皮膚粘膜眼症候群,多形紅斑があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.

3. ケラトアカントーマ,皮膚有棘細胞癌(1〜10%未満)
ケラトアカントーマ,皮膚有棘細胞癌があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.

4. 出血(消化管出血,気道出血,脳出血,口腔内出血,鼻出血,爪床出血,血腫,腫瘍出血)(10%以上)
消化管出血,気道出血,脳出血,腫瘍出血等の重篤な出血があらわれることがあり,死亡に至る例が報告されている.本剤投与中は観察を十分に行い,重篤な出血が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.

5. 劇症肝炎(頻度不明),肝機能障害・黄疸(1〜10%未満),肝不全(頻度不明),肝性脳症(頻度不明)
劇症肝炎,AST(GOT),ALT(GPT)の上昇を伴う肝機能障害,黄疸,肝不全,肝性脳症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には本剤を減量,休薬又は投与中止し,適切な処置を行うこと.なお,肝性脳症は主に肝細胞癌又は肝硬変のある患者において報告されているので,これらの患者に投与する際は,意識障害等の臨床症状を十分に観察すること.

6. 急性肺障害,間質性肺炎(頻度不明)
急性肺障害,間質性肺炎があらわれることがあるので,呼吸困難,発熱,咳嗽等の臨床症状を十分に観察し,異常が認められた場合には速やかに胸部X線検査等を実施すること.急性肺障害,間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと.

7. 高血圧クリーゼ(0.1〜1%未満)
高血圧クリーゼがあらわれることがあるので,血圧の推移等に十分注意しながら投与すること.高血圧クリーゼがあらわれた場合は,投与を中止し,適切な処置を行うこと.

8. **可逆性後白質脳症症候群(0.1〜1%未満)
可逆性後白質脳症症候群があらわれることがあるので,観察を十分に行い,可逆性後白質脳症症候群が疑われた場合は,本剤の投与を中止し,血圧のコントロール,抗痙攣薬の投与等の適切な処置を行うこと.

9. 心筋虚血・心筋梗塞(1〜10%未満)
心筋虚血・心筋梗塞があらわれることがあり,死亡に至る例が報告されているので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.

10. うっ血性心不全(1〜10%未満)
うっ血性心不全があらわれることがあり,死亡に至る例が報告されているので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.

11. 消化管穿孔(0.1〜1%未満),消化管潰瘍(頻度不明)
消化管穿孔,消化管潰瘍があらわれることがあり,消化管穿孔により死亡に至る例が報告されているので,消化管穿孔,消化管潰瘍が疑われた場合には,本剤の投与を中止するなど,適切な処置を行うこと.

12. 出血性腸炎,虚血性腸炎(頻度不明)
出血性腸炎,虚血性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,激しい腹痛・下痢・血便等の症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.

13. 白血球減少,好中球減少,リンパ球減少,血小板減少,貧血(頻度不明)
白血球減少,好中球減少,リンパ球減少,血小板減少,貧血があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には本剤を減量,休薬又は投与中止し,適切な処置を行うこと.

14. 膵炎(0.1〜1%未満)
膵炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,腹痛等の膵炎を示唆する症状が認められた場合や膵酵素上昇が持続する場合には,本剤を休薬又は投与中止し,適切な処置を行うこと.

15. 腎不全(頻度不明)
腎不全があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.

16. ネフローゼ症候群,蛋白尿(頻度不明)
ネフローゼ症候群,蛋白尿があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど,適切な処置を行うこと.

17. 低ナトリウム血症(頻度不明)
意識障害,全身倦怠感,嘔吐等を伴う低ナトリウム血症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど,適切な処置を行うこと.

18. ショック,アナフィラキシー(頻度不明)
ショック,アナフィラキシー(呼吸困難,血管浮腫,発疹,血圧低下等)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,本剤の投与を中止し,適切な処置を行うこと.

19. 横紋筋融解症(頻度不明)
横紋筋融解症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.また,横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること.

20. 低カルシウム血症(1〜10%未満)
低カルシウム血症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,血清カルシウム濃度を確認し,カルシウム剤やビタミンD製剤の投与等の適切な処置を行うこと.また必要に応じて,減量,休薬又は投与中止を考慮すること.

その他の副作用

次のような副作用が認められた場合には,必要に応じ,減量,休薬又は投与中止等の適切な処置を行うこと.
過敏症
1〜10%未満 
過敏性反応(皮膚反応及び蕁麻疹を含む)

血液
0.1〜1%未満 
プロトロンビン時間延長,INR上昇

皮膚
10%以上 
脱毛,発疹・皮膚落屑,そう痒,皮膚乾燥,紅斑

皮膚
1〜10%未満 
潮紅,瘡,過角化

皮膚
0.1〜1%未満 
湿疹

皮膚
頻度不明 
白血球破砕性血管炎

精神神経系
1〜10%未満 
末梢感覚神経障害,浮動性めまい,うつ,耳鳴

筋・骨格系
10%以上 
関節痛

筋・骨格系
1〜10%未満 
筋痛,筋痙縮

呼吸器
1〜10%未満 
嗄声,鼻漏

循環器
10%以上 
高血圧

循環器
頻度不明 
QT延長

消化器
10%以上 
下痢,リパーゼ上昇,口内炎(口内乾燥及び舌痛を含む),食欲不振,アミラーゼ上昇,悪心,便秘,嘔吐

消化器
1〜10%未満 
消化不良,嚥下障害,胃食道逆流性疾患

消化器
0.1〜1%未満 
胃炎

肝臓
10%以上 
ALT(GPT)上昇

肝臓
1〜10%未満 
AST(GOT)上昇,Al-P上昇,ビリルビン上昇

肝臓
0.1〜1%未満 
のう炎,胆管炎

肝臓
頻度不明 
LDH上昇

その他
10%以上 
疼痛(口内疼痛,腹痛,骨痛,頭痛及びがん疼痛を含む),疲労,体重減少,感染,発熱,低リン酸血症

その他
1〜10%未満 
浮腫,味覚異常,粘膜の炎症,低カリウム血症,インフルエンザ様症状,無力症,甲状腺機能低下,勃起不全,毛包炎

その他
0.1〜1%未満 
脱水,甲状腺機能亢進,高カリウム血症,女性化乳房

その他
頻度不明 
放射線照射リコール反応

高齢者への投与

本剤の臨床試験成績から,高齢者に対する用量調節の必要性を示唆する所見はみられていない.しかし,一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いので,患者の状態を観察しながら慎重に投与すること.

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと.また妊娠可能な女性に対しては,投与中及び投与中止後少なくとも2週間は有効な避妊を行うよう指導すること.[動物実験(ラット,ウサギ)でヒトの臨床用量を下回る用量で胚・胎児毒性及び催奇形作用が報告されている11,12).]

2.
授乳中の女性への投与は避けること.やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること.[動物実験(ラット,経口)で乳汁中へ移行することが報告されている.]

小児等への投与

低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児に対する安全性は確立していない.[小児等に対する使用経験がない.動物実験で成長段階の若齢イヌに骨及び歯への影響が報告されている13).]

過量投与

国外臨床試験において投与された最高用量は,800mg1日2回である.この際に観察された副作用は主として下痢と皮膚障害であった.過量投与が疑われた場合には,投与を中止し,症状に応じ適切な処置を行うこと.

適用上の注意

薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること.[PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている.]

その他の注意

反復投与毒性試験の病理組織学的検査で,ラット及びイヌにおいて精細管変性及び精巣上体の精子減少等,ラットにおいて黄体の中心壊死,卵胞の成熟抑制等が認められており,生殖機能及び受胎能に障害を及ぼす可能性が示唆されている14〜16)

薬物動態

1. 血中濃度17)

(1) 日本人固形癌患者に本剤400mgを単回投与した際の血漿中濃度
日本人固形癌患者6例に本剤400mgを単回経口投与した際の血漿中濃度は,投与8時間後に最高血漿中濃度(Cmax)1.21mg/Lに達した.消失半減期(t1/2)は25.5時間であり,血漿中濃度時間曲線下面積(AUC)は35.4mg・h/Lであった.


日本人固形癌患者に本剤400mgを単回経口投与した際の血漿中濃度推移(n=6,幾何平均値/幾何標準偏差,片対数表示)
(表1参照)

(2) 日本人固形癌患者に本剤400mgを1日2回反復投与した際の血漿中濃度
日本人固形癌患者6例に本剤400mgを1日2回反復投与した際,投与開始後10日後には定常状態に達した.定常状態における血漿中濃度推移は平坦であり,一定の濃度を維持していた.反復投与開始から14日後のCmax及びAUCは,それぞれ,4.9mg/L及び36.7mg・h/Lであった.


日本人固形癌患者に本剤400mgを1日2回反復投与した際の血漿中濃度推移(n=6,幾何平均値/幾何標準偏差,片対数表示)
(表2参照)

2. 食事の影響(外国人における成績)18)
健康成人15例に,高脂肪食(約900〜1000kcal,脂肪含量50〜60%)摂取直後,中脂肪食(約700kcal,脂肪含量30%)摂取直後及び空腹時に本剤400mgを単回経口投与した場合,中脂肪食後に投与した際のAUCは,空腹時と比較し14%増加し,高脂肪食後に投与した際は29%低下した.

3. 腎機能障害を伴う被験者における薬物動態(外国人における成績)19)
軽度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス(Ccr)50〜80mL/min),中等度の腎機能障害(Ccr30〜<50mL/min)及び,重度の腎機能障害(Ccr<30mL/min)を有する被験者に,本剤400mgを経口投与した場合,腎機能低下による本剤の薬物動態への影響は見られなかった.なお,腎透析を受けている患者における検討は行っていない.

4. 肝機能障害を伴う固形癌患者における薬物動態8)
日本人固形癌患者において,軽度の肝機能障害(Child-Pugh分類A)患者6例及び中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)患者6例に本剤400mgを1日2回経口投与した場合,本剤のAUCは,それぞれ,33.47mg・h/L及び29.45mg・h/Lであり,肝機能障害のない固形癌患者と比較し,それぞれ9%及び20%減少した.なお,重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)患者での検討は行っていない.

5. 代謝17,20,21)
マスバランス試験の結果,8種の代謝物が同定され,うち5種が血漿中に検出された.日本人固形癌患者に本剤を1日2回反復投与した際,定常状態における未変化体AUCが占める割合は,総AUCに対して約74〜90%であった.血漿中主代謝物(ピリジン基のN-酸化体)の定常状態におけるAUCは総AUCの約6〜12%であった.

6. 排泄(外国人における成績)21)
健康成人4例に14C標識ソラフェニブ100mgを溶液にて単回経口投与した場合,投与14日目までに糞中に77%,尿中に19%が回収され合計96%が排泄された.糞中には未変化体として50.7%が,カルボン酸体として19.1%が排泄された.尿中にはソラフェニブのグルクロン酸抱合体が14.8%,ピリジン基のN-酸化体のグルクロン酸抱合体が2.7%排泄された.

7. 薬物間相互作用(in vitro試験及び外国人における成績)
本剤はCYP3A4及びUGT1A9により代謝されるが,健康成人16例に,ケトコナゾール(400mg)を1日1回7日間反復投与中に,本剤50mgを単回経口投与した際のAUCに変化は認められなかった22)
本剤はCYP2C19,2D6及び3A4をKi値17,22及び29μMで阻害したが23, 24),それぞれのプローブ基質であるミダゾラム,デキストロメトルファン及びオメプラゾールを本剤400mg1日2回28日間反復投与時に併用しても,これら薬物の曝露量に変化は認められなかった25)
本剤はCYP2C9をKi値7〜8μMで阻害したが23,24),CYP2C9の基質であるワルファリンを併用投与した患者のPT-INRの最大変化率は,プラセボ群を超えるものではなかった4)
本剤は,CYP2B6及びCYP2C8をKi値5〜6μM及び1〜2μMで阻害した23,24,26,27)
本剤の血中薬物動態に対する腸肝循環の寄与を評価するため,健康成人にフラジオマイシンを5日間反復経口投与して腸内細菌叢を死滅させたのち,本剤を経口投与したところ,本剤のAUCが54%減少した6).フラジオマイシン以外の抗生物質との相互作用については検討していない.

8. 蛋白結合率
本剤は血漿蛋白と高い結合能を示し,ヒト血漿蛋白結合率は99.5%であった.主にアルブミンと結合し,その他にα-グロブリン,β-グロブリン及び低比重リポ蛋白(LDL)にも結合した28,29)

9. QT間隔に対する影響(外国人における成績)
固形癌患者31例に本剤400mgを1日2回28日間経口投与し,QT間隔延長の評価を行った.本剤の最高血中濃度到達時における,QTcF間隔のベースラインからの変化の平均値(±標準偏差)は,9.0(±18.0)msecであった.陽性対照として使用したモキシフロキサシン(400mg)の投与2時間後における,QTcF間隔のベースラインからの変化の平均値(±標準偏差)は,4.9(±13.7)msecであった.なお,QTcFが500msecを超えた例はなかった.

表1 日本人固形癌患者に本剤400mgを単回投与した際の薬物動態学的パラメータ[n=6,幾何平均値(幾何標準偏差)]

投与量 AUC0-∞
(mg・h/L) 
Cmax
(mg/L) 
tmax
(h) 
t1/2
(h) 
CL/f
(L/h) 
400mg 35.4
(3.50) 
1.21
(3.57) 
8
[3〜24] 
25.5
(1.47) 
11.3
(3.50) 

※:中央値[範囲]
tmax:最高血漿中濃度到達時間  CL/f:全身クリアランス


表2 日本人固形癌患者に本剤400mgを1日2回反復投与した際の薬物動態学的パラメータ[n=6,幾何平均値(幾何標準偏差)]

投与量 AUC0-12
(mg・h/L) 
Cmax
(mg/L) 
400mg 36.7
(1.92) 
4.9
(1.96) 

臨床成績

<根治切除不能又は転移性の腎細胞癌>

(1) 国内第II相臨床試験データ
II相臨床試験7)はサイトカイン製剤(インターフェロンα,インターフェロンγ,インターロイキン2)及び腎摘出の治療歴のある切除不能又は転移性腎細胞癌患者を対象とし,RECISTによる奏効率を有効性の主要評価項目として実施した.本試験における有効性評価対象例129例のうち,組織型分類では淡明細胞癌が112例(86.8%)であり,Motzerリスク分類では低リスク患者が52例(40.3%),中等度リスク患者が77例(59.7%)であった.腫瘍評価判定委員会により16例が奏効と判定された(奏効率:12.4%[95%信頼区間:7.3〜19.4%]).

(2) 海外第III相臨床試験データ
全身投与による治療1レジメン(インターフェロンα,インターロイキン2等)の治療歴がある切除不能又は転移性腎細胞癌患者を対象として,プラセボ対照,無作為化,二重盲検により,全生存期間(OS)を主要評価項目,無増悪生存期間(PFS),奏効率等を副次的評価項目とする第III相臨床試験30)が実施された.有効性評価対象となったのは,769例(ソラフェニブ群384例,プラセボ群385例)であり,組織型分類では,ソラフェニブ群377例(98.2%),プラセボ群380例(98.7%)が淡明細胞癌であった.Motzerリスク分類では,ソラフェニブ群の200例(52.1%),プラセボ群の194例(50.4%)が低リスク患者であり,他は中等度リスク患者であった.有効性評価対象例において,PFSの中央値はプラセボ群で84日,ソラフェニブ群で168日であった.PFSに関する解析はMotzerリスク分類及び国による層別Log-rank検定により行い,その結果,ソラフェニブのPFSに対する効果は有意であった(p<0.000001).ハザード比(ソラフェニブ/プラセボ)は0.51(95%信頼区間:0.43〜0.60)であった.また,OSについて,イベント(死亡)数が220にて中間解析を行った結果,層別Log-rank検定のp値は0.015であり,中間解析の有意水準として設定された0.0005には至らなかったものの,ハザード比(ソラフェニブ/プラセボ)は0.71(95%信頼区間:0.54〜0.94)であり,ソラフェニブ群ではプラセボ群に比して39%の延長を示した.

<切除不能な肝細胞癌>

(1) 承認時までの海外第III相臨床試験データ
全身化学療法歴のない切除又は局所療法(経皮的エタノール注入療法,ラジオ波焼灼療法,マイクロ波凝固療法,肝動脈塞栓療法/肝動脈化学塞栓療法,放射線療法等)が適用されない,Child-Pugh分類Aの肝細胞癌患者を対象として,プラセボ対照,無作為化,二重盲検により,OS等を主要評価項目,TTP(time to progression)等を副次評価項目とする第III相臨床試験31)が実施された.有効性評価対象となったのは,602例(ソラフェニブ群299例,プラセボ群303例)であった.OSの中央値はプラセボ群241日,ソラフェニブ群324日であり,プラセボ群と比較しソラフェニブ群で有意なOSの延長が認められた(p=0.000583).ハザード比(ソラフェニブ/プラセボ)は0.6931(95%信頼区間:0.5549〜0.8658)であった.

(2) 市販後の日韓共同第III相臨床試験データ
根治的治療不能の進行性肝細胞癌に対して肝動脈化学塞栓療法(TACE)を施行し,治療効果(腫瘍壊死効果25%以上又は腫瘍縮小率25%以上)が認められた,Child-Pugh分類Aの肝細胞癌患者を対象として,プラセボ対照,無作為化,二重盲検により,TTPを主要評価項目,OSを副次評価項目とする第III相臨床試験32)が実施された.有効性評価対象となったのは,458例(ソラフェニブ群229例,プラセボ群229例)であり,日本人患者387例(ソラフェニブ群196例,プラセボ群191例)が含まれた.TTPの中央値はプラセボ群3.7ヵ月,ソラフェニブ群5.4ヵ月であり,プラセボ群と比較しソラフェニブ群で有意なTTPの延長は認められなかった(p=0.252).ハザード比(ソラフェニブ/プラセボ)は0.87(95%信頼区間:0.70〜1.09)であった.

(3) 市販後の国際共同第III相臨床試験データ
外科的切除術又は局所療法(ラジオ波焼灼療法又は経皮的エタノール注入療法)による根治的治療施行後に完全奏効が得られた,Child-Pugh分類A又はB(7点以下)の肝細胞癌患者を対象とした術後補助化学療法として,プラセボ対照,無作為化,二重盲検により,無再発生存期間(RFS)を主要評価項目,TTR,OSを副次評価項目とする第III相臨床試験33)が実施された.有効性評価対象となったのは,1114例(ソラフェニブ群556例,プラセボ群558例)であり,日本人患者149例(ソラフェニブ群72例,プラセボ群77例)が含まれた.RFSの中央値はプラセボ群33.8ヵ月,ソラフェニブ群33.4ヵ月であり,プラセボ群と比較しソラフェニブ群で有意なRFSの延長は認められなかった(p=0.26).ハザード比(ソラフェニブ/プラセボ)は0.940(95%信頼区間:0.780〜1.134)であった.

**<根治切除不能な甲状腺癌

(1) 国際共同第III相臨床試験データ
本試験への組入れ前14ヵ月以内に病勢進行が確認された局所進行又は転移性の分化型甲状腺癌(乳頭癌,濾胞癌,Hurthle細胞癌,及び低分化癌),未分化癌又は髄様癌の所見が認められない甲状腺癌の特殊型の患者で,かつ放射性ヨウ素治療抵抗性(標的病変にヨウ素の取り込みが認められない,放射性ヨウ素治療後も標的病変における病勢進行が認められる,又は累積線量で22.2Gbq(600mCi)以上の放射性ヨウ素治療を受けている)の患者を対象として,プラセボ対照,無作為化,二重盲検により,PFSを主要評価項目,OS,TTP等を副次評価項目とする第III相臨床試験9)を実施した.なお,適切な局所治療がなされていない気管,気管支,又は食道への出血の危険性を伴う腫瘍の浸潤を認める患者は除外された.有効性評価対象となったのは,417例(ソラフェニブ群207例,プラセボ群210例)であり,日本人患者22例(ソラフェニブ群12例,プラセボ群10例)が含まれた.PFSの中央値はプラセボ群で175日,ソラフェニブ群で329日であり,プラセボ群と比較しソラフェニブ群で有意なPFSの延長が認められた(p<0.0001).ハザード比(ソラフェニブ/プラセボ)は0.587(95%信頼区間:0.454〜0.758)であった.

(2) **国内第II相臨床試験データ
根治切除不能な甲状腺未分化癌,又は局所進行若しくは転移性の甲状腺髄様癌患者を対象として,安全性評価を主目的とした第II相臨床試験10)を実施した.有効性評価対象となったのは,それぞれ10例及び8例であり,治験担当医師によるRECISTに基づく奏効率は,それぞれ0%及び25.0%(95%信頼区間:3.2〜65.1%)であった.

薬効薬理

1. 抗腫瘍効果34〜36)
本剤は腎細胞癌細胞株(RENCA,786-O)及び肝細胞癌細胞株(PLC/PRF/5)を移植したマウスにおいて腫瘍の増殖を抑制した.さらに,k-ras又はb-rafの変異を有するヒト由来腫瘍の他,EGFR等の増殖因子受容体を過剰発現している腫瘍の担癌マウスにおいても,腫瘍増殖を抑制した.

2. 作用機序34〜36)
In vitro試験において,本剤は腫瘍進行に関与するC-Raf,正常型及び変異型B-Rafキナーゼ活性,並びにFLT-3,c-KITなどの受容体チロシンキナーゼ活性を阻害した.さらに,本剤は腫瘍血管新生に関与する血管内皮増殖因子(VEGF)受容体,血小板由来成長因子(PDGF)受容体などのチロシンキナーゼ活性を阻害した.
In vivo試験では,本剤は腎細胞癌及び肝細胞癌細胞株を用いた担癌マウスにおいて,腫瘍組織中の血管新生を抑制した.また,肝細胞癌細胞株を用いた担癌マウスでは,腫瘍細胞のERKリン酸化を抑制し,アポトーシスを誘導した.

有効成分に関する理化学的知見

構造式

一般名
ソラフェニブトシル酸塩(Sorafenib Tosilate)JAN
(Sorafenib)INN

化学名
4-{4-[3-(4-Chloro-3-trifluoromethylphenyl)ureido]phenoxy}-N2-methylpyridine-2-carboxamide mono(4-methylbenzenesulfonate)

分子式
C21H16ClF3N4O3・C7H8O3S

分子量
637.03

融点
223〜231℃

性状
本品は白色〜帯黄白色又は帯褐白色の粉末である.
本品はジメチルスルホキシド又はN,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく,メタノール又はエタノール(99.5)に溶けにくく,水にほとんど溶けない.

分配係数
本品はオクタノール/水及びオクタノール/リン酸塩緩衝液にほとんど溶けないため,分配係数を測定することはできなかった.

取扱い上の注意

アルミ袋の開封後は吸湿により製剤の溶出性が低下することがあるので,湿気を避けて保存すること.

承認条件

**医薬品リスク管理計画を策定の上,適切に実施すること.

**<根治切除不能な甲状腺癌
国内での治験症例が極めて限られていることから,製造販売後,一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は,全症例を対象に使用成績調査を実施することにより,本剤使用患者の背景情報を把握するとともに,本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し,本剤の適正使用に必要な措置を講じること.

包装

錠剤 PTP包装 56錠(28錠×2)

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
Mross, K. et al.:Eur. J. Cancer, 43, 55(2007)

2)
Christensen, O. et al.:バイエル薬品社内資料[ドキソルビシンとの相互作用](2007)

3)
Lettieri, J. et al.:バイエル薬品社内資料[リファンピシンとの相互作用](2006)

4)
Anderson, S. et al.:バイエル薬品社内資料[ワルファリンとの相互作用](2007)

5)
Christensen, O. et al.:バイエル薬品社内資料[ドセタキセルとの相互作用](2005)

6)
Lettieri, J. et al.:バイエル薬品社内資料[フラジオマイシン(ネオマイシン)との相互作用](2008)

7)
中島圭子:バイエル薬品社内資料[腎細胞癌患者を対象とした第II相臨床試験](2007)

8)
Furuse, J. et al.:Cancer Sci., 99(1), 159(2008)

9)
Molnar I. et al.:バイエル薬品社内資料[甲状腺癌患者を対象とした第III相臨床試験](2013)

10)
**塚田克也:バイエル薬品社内資料[甲状腺未分化癌及び甲状腺髄様癌患者を対象とした第II相臨床試験](2015)

11)
Klaus, A. M. et al.:バイエル薬品社内資料[ラットにおける生殖発生毒性試験](2004)

12)
Langewische, F. W. et al.:バイエル薬品社内資料[ウサギにおける生殖発生毒性試験](2004)

13)
Ruf, J. et al.:バイエル薬品社内資料[イヌにおける反復投与毒性試験](2000)

14)
Renhof, M. et al.:バイエル薬品社内資料[ラットにおける反復投与毒性試験](2000)

15)
Wahle, B. S.:バイエル薬品社内資料[ラットにおける反復投与毒性試験](2003)

16)
Wetzig, H. et al.:バイエル薬品社内資料[イヌにおける反復投与毒性試験](2004)

17)
中島圭子:バイエル薬品社内資料[薬物動態](2006)

18)
Smith, W. B.:バイエル薬品社内資料[食事の影響(外国人)](2003)

19)
Mazzu, A. et al.:バイエル薬品社内資料[腎機能障害のある被験者における薬物動態(外国人)](2006)

20)
中島圭子:バイエル薬品社内資料[薬物動態](2006)

21)
Christensen, O. et al.:バイエル薬品社内資料[薬物動態(外国人)](2005)

22)
Lathia, C. et al.:Cancer Chemother. Pharmacol., 57(5), 685(2006)

23)
Stresser, D. M.:バイエル薬品社内資料[薬物間相互作用(in vitro)](2000)

24)
Radtke, M.:バイエル薬品社内資料[薬物間相互作用(in vitro)](2004)

25)
Lathia, C. et al.:バイエル薬品社内資料[薬物間相互作用(外国人)](2005)

26)
Radtke, M.:バイエル薬品社内資料[薬物間相互作用(in vitro)](2000)

27)
Radtke, M.:バイエル薬品社内資料[薬物間相互作用(in vitro)](2005)

28)
Kohlsdorfer, C. et al.:バイエル薬品社内資料[蛋白結合](2004)

29)
Kohlsdorfer, C.:バイエル薬品社内資料[蛋白結合](2004)

30)
Escudier, B. et al.:N. Engl. J. Med., 356, 125(2007)

31)
Llovet, J. M. et al.:N. Engl. J. Med., 359, 378(2008)

32)
Kudo, M. et al.:Eur. J. Cancer, 47, 2117(2011)

33)
Gerold, M. et al.:バイエル薬品社内資料[肝細胞癌患者を対象とした市販後の国際共同第III相臨床試験](2014)

34)
Wilhelm, S. et al.:Cancer Research, 64, 7099(2004)

35)
Chang, Y. S. et al.:Cancer Chemother. Pharmacol., 59(5), 561(2007)

36)
Liu, L. et al.:Cancer Research, 66, 11851(2006)

文献請求先

主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい.

バイエル薬品株式会社・メディカルインフォメーション

〒530-0001 大阪市北区梅田二丁目4番9号

バイエル医療用医薬品のお問い合わせ先
バイエル薬品株式会社・くすり相談

フリーダイヤル 0120-106-398

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

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