体外診断用医薬品 詳細表示

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MEBRIGHT ジェニタリウム Plus DR キット


作成・改訂年月
薬効分類名
一般的注意事項
承認・届出等
販売名MEBRIGHT ジェニタリウム Plus DR キット
商品コード(JAN)(品番)
添付文書管理コード
製造販売承認番号
承認・認証年月等
一般的名称
一般的名称
警告
重要な基本的注意
全般的な注意
形状・構造等(キットの構成)
使用目的
測定原理
操作上の注意
用法・用量(操作方法)
測定結果の判定法
臨床的意義
性能
使用上又は取扱い上の注意
貯蔵方法、有効期間
貯蔵方法
有効期間
包装単位
主要文献
主要文献
製造販売業者の氏名又は名称及び住所
氏名又は名称(製造販売業の種別)
住所等
電話番号
問い合わせ先
氏名又は名称
住所等
電話番号
その他の安全性情報
備考

マイコプラズマジェニタリウム核酸キット

MEBRIGHT ジェニタリウム Plus DR キット


作成・改訂年月

2024年5月作成(第1版)

薬効分類名

体外診断用医薬品

一般的注意事項

使用の前に本電子化された添付文書をよく読んでください。

承認・届出等

販売名

MEBRIGHT ジェニタリウム Plus DR キット

商品コード(JAN)(品番)
4987506017298

添付文書管理コード

30500EZX00055000_A_01

製造販売承認番号

30500EZX00055000

承認・認証年月等

令和5年12月

一般的名称

一般的名称
84123000
マイコプラズマジェニタリウム核酸キット

警告

(記載なし)

重要な基本的注意

 本品の検査結果を用いて、薬剤感受性について判断する場合は、診療ガイドラインを参照の上、慎重に判断してください。

全般的な注意

1.
本品は体外診断用です。それ以外の目的で使用しないでください。

2.
本品は、尿又は子宮頸管擦過物中のマイコプラズマジェニタリウム(以下、MG)及びその23S rRNA遺伝子ドメインV領域の主要な変異(以下、DR:MG 23S rRNA遺伝子中のA2071G、A2071C、A2071T、A2072G、A2072C、A2072T)DNAの有無を検出する試薬です。本品で判定が陰性であっても、MGの感染やDRの存在を否定するものではありません。

3.
本品の検出対象ではないDRを有する場合や、プライマー、プローブ設計領域に予期せぬ変異がある場合等においては正しく判定されない可能性があります。

4.
結果に基づく治療方針の決定は、他の関連する検査結果や臨床症状などとあわせて医師が総合的に判断してください。

5.
添付文書に記載された使用方法に従って使用してください。また、使用する機器の添付文書及び取扱説明書をよく読んでから使用してください。測定に使用するための器具・器材は適正に整備されたものを使用してください。記載された方法及び目的以外での使用については、判定結果の信頼性を保証いたしません。

形状・構造等(キットの構成)


構成試薬 96回包装 
容量 数量 
(1)マスターミックス 1.4 mL 
 dATP、dCTP、dGTP、dUTP 
(2)オリゴミックス 100μL 
 MG_F3プライマー、MG_R10プライマー、
 23s_1s_YAKプローブ、MG_1gm8s_FAMプローブ、
 MG _1cm5s_FAMプローブ、MG _1tm8s_FAMプローブ、
 MG _2gm5s_FAMプローブ、MG _2cm6s_FAMプローブ、
 MG _2tm13s_FAMプローブ 
(3)Taq DNAポリメラーゼ 15μL 
 Taq DNAポリメラーゼ 
(4)CALコントロール 150μL 

全て−15〜−35℃保存品。(1)、(2)は遮光保存品。


使用目的

 尿又は子宮頸管擦過物中のマイコプラズマジェニタリウムDNA及びマイコプラズマジェニタリウム23S rRNA遺伝子ドメインV領域の変異の検出(マイコプラズマジェニタリウム感染の診断補助)

測定原理

 本品は、リアルタイムPCR法によって尿又は子宮頸管スワブから抽出したDNA中のMGの23S rRNA遺伝子領域を特異的にPCR増幅・検出する試薬です。また、同時に23S rRNA遺伝子領域の2071、2072番目の変異A2071G、A2071C、A2071T、A2072G、A2072C、A2072Tを検出します。
 検体又はCALコントロール、マスターミックス、オリゴミックス、Taq DNAポリメラーゼを混合し、リアルタイムPCR装置を用いてPCRを行います。PCRは、検体又はCALコントロール中に含まれるDNAを鋳型として、マスターミックスに含まれるdNTPs(dATP、dCTP、dGTP、dUTP)、オリゴミックスに含まれるMGの増幅プライマー及びTaq DNAポリメラーゼによって、MG 23S rRNA遺伝子を増幅させます。本品のオリゴミックスには、MGの増幅プライマー及びプローブと、人工合成遺伝子であるインターナルコントロール(以下、IC)の増幅プライマー及びプローブが含まれており、マスターミックスにはICのテンプレートが含まれています。このICは検体と同時に増幅されます。
 測定には、蛍光色素及び消光物質(クエンチャー)で標識した、MG、DR及びICの各配列に対応するプローブを用います。これらのプローブは異なる波長の蛍光色素で標識されています。蛍光色素は、クエンチャーが近傍に存在すると消光されるため強い蛍光を発しませんが、プローブが検出対象となる塩基配列にハイブリダイズし、PCRにおける伸長反応の際にTaq DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性によって分解されると、蛍光を発します。PCRの各サイクルにおける蛍光強度をリアルタイムPCR装置で測定し、MG及びDRを検出するプローブの蛍光色素のCt値と、ICを検出するプローブの蛍光色素のCt値から、検体中のMG及びDRのDNA有無を判定します。

操作上の注意

1. コンタミネーションの防止方法
本品はPCR増幅を伴うため、コンタミネーションに十分注意する必要があります。コンタミネーションは、主にエアロゾル、検体などで汚染されたピペットの使用が原因となりますので、検査区域の分割やピペットの専用化がコンタミネーションの防止に効果的です。更に、紫外線照射や0.1%次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度 約1,000 ppm)などを用いて作業環境を清浄化することで、コンタミネーションの危険を最小限にすることができます。したがって、次の事項に従うことを推奨しますが、以下の事項に従ってもコンタミネーションが起こる可能性がありますので、十分注意してください。

(1)
操作を行う場所は、エリア1、エリア2及びエリア3の3区域に分けてください。各エリア専用のピペットとチップなどの器具を用意し、他のエリアとの共用はしないでください。

(2)
エリア1では、PCR増幅に用いる試薬の調製と分注を行います。紫外線照射可能なクリーンベンチなどをエリア1として利用すると便利です。

(3)
エリア2では、測定試料からのDNA抽出と調製を行います。検体を扱うチップはフィルター付きのものを用いてください。

(4)
エリア3では、PCR増幅及び検出を行います。このエリアで使用する器具や保護衣及びPCR増幅産物は、他のエリアに持ち込まないでください。PCR増幅後のプレートは、キャリーオーバーコンタミネーションの原因となるため、蓋を開けずにそのまま廃棄してください。

(5)
実験台、使用器具などが検体やPCR増幅産物で汚染された場合は、用時調製した0.1%次亜塩素酸ナトリウム溶液でよく拭き取ってください。ピペットなどの器具外部の汚染には、0.1%次亜塩素酸ナトリウム溶液による拭き取り、あるいは紫外線照射を行ってください。ピペットなどの内部が汚染された場合は、直ちに使用を中止してください。

(6)
使い捨ての手袋はパウダーフリーの製品を使用してください。手袋のパウダーは酵素反応を阻害する物質を含むものがあり、反応溶液中に混在すると判定結果に影響を及ぼす可能性があります。


2. 試料及び検体
本品の測定では、尿又は子宮頸管擦過物を試料とし、それらから抽出したDNAを検体として用います。DNA抽出は、遺伝子検査に適したDNA抽出試薬を用いて行ってください。本品での測定にはDNA溶液を10μL使用します。DNA濃度は、50 ng/μL以下を推奨します。
 
採取後の試料を保存する場合、DNA抽出を行うまで冷蔵(2〜8℃)で保管してください。なお、保存可能な期間は次のとおりです。

・尿:採取後、速やかにDNA抽出することを推奨します。すぐにDNA抽出できないときは、冷蔵で保管し、7日以内にDNA抽出してください。

・子宮頸管擦過物:採取後、速やかにDNA抽出してください。


3. 検体の保管法
抽出したDNAは、DNaseなどのコンタミネーションを避け、−20℃以下で凍結して保管してください。

4. 妨害物質
尿及び子宮頸管擦過物に存在する可能性のある合計22種類の物質(一般用医薬品及び医療用医薬品等)について、本品の測定に与える影響を検討しました。

(1) 尿
潤滑剤を除く16種類の物質について、表1の濃度で影響がないことを確認しました。また、尿試料はpH4及びpH9でも影響がないことを確認しました。
 
潤滑剤については、表2に示す濃度において判定への影響を確認しました。


表1. 本品への影響が確認されなかった物質(尿)

物質名 濃度 
全血 5%(v/v) 
ビリルビン・F 20.1 mg/dL 
ビリルビン・C 20.2 mg/dL 
溶血ヘモグロビン 450 mg/dL 
乳び 1770 FTU 
アルブミン 50 mg/mL 
グルコース 50 mg/mL 
エクオール含有大豆胚芽抽出発酵物 32 mg/mL 
アジスロマイシン水和物 1 mg/mL 
シタフロキサシン水和物 1 mg/mL 
トスフロキサシントシル酸塩水和物 1 mg/mL 
ラミシールクリーム1% 10 mg/mL 
鎮痒消炎薬(市販薬) 10 mg/mL 
腟洗浄液 10 mg/mL 
デリケートゾーンケア用品 10 mg/mL 
うがい薬 1%(v/v) 



表2. 本品への影響が確認された物質(尿)

物質名 濃度 
潤滑剤 1 mg/mL 


(2) 子宮頸管擦過物
ラミシールクリーム1%、潤滑剤及びデリケートゾーンケア用品を除く13種類の物質について、表3の濃度で影響がないことを確認しました。
ラミシールクリーム1%、潤滑剤及びデリケートゾーンケア用品については、表4に示す濃度において判定への影響を確認しました。なお、ラミシールクリーム1%及びデリケートゾーンケア用品は、いずれも25 mg/mLでは影響がないことを確認しました。


表3. 本品への影響が確認されなかった物質(子宮頸管擦過物)

物質名 濃度 
全血 25%(v/v) 
ビリルビン・F 20.1 mg/dL 
ビリルビン・C 20.2 mg/dL 
溶血ヘモグロビン 450 mg/dL 
乳び 1770 FTU 
フラジール腟錠250 mg
 (※)メトロニダゾール 
(※)6.25 mg/mL 
オキナゾール腟錠100 mg
 (※)オキシコナゾール硝酸塩 
(※)2.5 mg/mL 
エンペシド腟錠100 mg
 (※)クロトリマゾール 
(※)2.5 mg/mL 
クロマイ腟錠100 mg
 (※)クロラムフェニコール 
(※)2.5 mg/mL 
エストリール腟錠0.5 mg
 (※)エストリオール 
(※)0.125 mg/mL 
鎮痒消炎薬(市販薬) 250 mg/mL 
腟洗浄液 250 mg/mL 
うがい薬 25%(v/v) 

(※)有効成分




表4. 本品への影響が確認された物質(子宮頸管擦過物)

物質名 濃度 
ラミシールクリーム1% 250 mg/mL 
潤滑剤 25 mg/mL 
デリケートゾーンケア用品 250 mg/mL 


5. 交差反応性
本品に含まれるプライマー及びプローブの配列を用いてBLAST検索を行い、交差反応性の可能性を検討しました。その結果、プライマーが測定対象以外の配列を増幅する可能性は極めて低いと判断しました。プローブについては、BLAST検索で該当した細菌を考慮し、下記に示す19種類の細菌及びウイルスについて検討した結果、いずれも1×105コピー/テストの濃度までMG判定及びDR判定は陰性となり、本品への影響は確認されませんでした。
 
Neisseria gonorrhoeaeChlamydia trachomatisTrichomonas vaginalisUreaplasma urealyticumHaemophilus influenzaeNeisseria meningitidis serogroup ANeisseria meningitidis serogroup BNeisseria meningitidis serogroup CMycoplasma hominisMycoplasma pneumoniaeTreponema pallidumEscherichia coliMycoplasma gallisepticum(※)、Mycoplasma muris(※)、Mycoplasma alvi(※)、Ureaplasma parvum(※)、Adenoviridae、Herpes Simplex Virus Type1、Herpes Simplex Virus Type2
(※)人工合成遺伝子を使用

6. その他

(1)
マスターミックス及びオリゴミックスには、蛍光色素が含まれています。光によって退色するため、試薬調製時以外は遮光してください。

(2)
全ての構成試薬は、使用時以外は、貯蔵方法に従って保管してください。

用法・用量(操作方法)

 本検査は熟練を要するため、検体の調製及び操作法を十分に修得するまでは2重測定することを推奨します。なお、エリア1〜3については[操作上の注意]を参照してください。

1. 本品以外に必要な器具・器材・試薬

(1) DNA抽出

1)
DNA抽出用試薬

2)
DNA抽出に必要な器具・器材

3)
滅菌精製水(RNA、RNase、DNA及びDNase free)又はDNA溶解液(1 mmol/L Tris-HCl(pH 8.0)、0.1 mmol/L EDTA)


(2) リアルタイムPCR

1)
クリーンベンチ(溶液調製用)

2)
マイクロピペット

3)
フィルター付きチップ

4)
マイクロチューブ

5)
PCRプレート(※)

6)
プレートシール(※)

7)
リアルタイムPCR装置(アプライドバイオシステムズ 7500 Fast Dx(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)、アプライドバイオシステムズ QuantStudio 5 Dx(ライフテクノロジーズジャパン株式会社))

8)
プレートミキサー又はボルテックスミキサー

9)
遠心機


(3)
滅菌精製水(RNA、RNase、DNA及びDNase Free)

(4) その他

1)
紫外線照射箱(コンタミネーション防止用)

2)
0.1%次亜塩素酸ナトリウム溶液(コンタミネーション防止用)


※使用するリアルタイムPCR装置のメーカーが推奨するものを使用してください。


必要な器材・試薬の詳細については[問い合わせ先]にお問い合わせください。

2. リアルタイムPCR装置の設定

(1) 反応設定
(Stage1:Pre Heat)   40℃ 5分、95℃ 2分
(Stage2:PCR Cycle) 95℃ 20秒、61℃ 35秒(Data collection)(50サイクル)

(2) 検出設定
PCR Cycle ステージの61℃のアニーリング・伸長反応時に次の蛍光を検出できるように設定してください。

(例1)アプライドバイオシステムズ 7500 Fast Dxの場合

<New Document Wizard/Define Document>
Assay  :Standard Curve(Absolute Quantitation)
Container:96-Well Clear
Template :Blank Document
Run Mode:Fast 7500

<New Document Wizard/Select Detectors>
Passive Reference :ROX

[New Detector]
MG検出 Reporter Dye:VIC, Quencher Dye:(none)
DR検出 Reporter Dye:FAM, Quencher Dye:(none)
IC検出 Reporter Dye :Cy5, Quencher Dye:(none)


(例2)アプライドバイオシステムズ QuantStudio 5 Dxの場合

<Properties/Experiment Properties>
Experiment type:Standard Curve
Chemistry   :TaqMan Reagents
Run mode   :Fast

<Plate/Assign Targets and Samples>
[Quick Setup]
Passive Reference:ROX

[Advanced Setup]
MG検出 Reporter:VIC, Quencher:None
DR検出 Reporter:FAM, Quencher:None
IC検出 Reporter :CY5, Quencher:None


注意:
リアルタイムPCR装置によって蛍光検出の設定が異なる場合があるため、使用する装置の取扱説明書等を確認してください。


3. 試薬の調製法
Taq DNAポリメラーゼは、スピンダウンしてから使用してください。Taq DNAポリメラーゼ以外の構成試薬は、室温(20〜30℃)に戻してボルテックスミキサーで混和したのち、スピンダウンしてから使用してください。
この操作はエリア1で行ってください。
なお、スピンダウンとは、チューブ又はプレート内の少量の溶液をチューブの底に集めるための操作であり、遠心機で約5秒間遠心することを指します。
マスターミックス及びオリゴミックスは蛍光物質を含みますので、試薬調製時以外は遮光してください。

4. 検体の調製
[操作上の注意]2.試料及び検体の注意事項に留意して抽出したDNAを検体として用います。
DNAは遺伝子検査に適した方法で抽出してください。抽出したDNAは、滅菌精製水(RNA、RNase、DNA及びDNase free)又はDNA溶解液で50 ng/μL以下に調製することを推奨します。
コンタミネーション防止のため、検体の調製はエリア2で行ってください。

5. 操作法

注意:
本品はPCR増幅を伴うため、検体やPCR増幅産物のコンタミネーションに注意してください。

(1) PCR溶液の調製[用時調製]
1テストあたり、マスターミックス14μL、オリゴミックス1μL、Taq DNAポリメラーゼ0.15μLを、よく混和します。試薬の調製後はすぐに使用してください。

(2) PCR溶液の分注
PCRプレートに(1)で調製したPCR溶液を1ウェルあたり15μL分注します。

(3) 検体の添加(エリア2で行ってください)
CR溶液を分注した増幅反応用PCRプレートの各ウェルに、検体又はCALコントロール(※)を10μL加え、蓋をして十分に混和し、軽い遠心などで溶液をプレートの底に集めます。この時、ウェルの底に空気が入らないようにしてください。
必要に応じて、陰性コントロール検体として滅菌精製水(RNA、RNase、DNA及びDNase free)などを測定してください。
※CALコントロールはプレートごとに必ず測定してください。

(4) 測定
「2.リアルタイムPCR装置の設定」で設定した条件で測定します。

測定結果の判定法

 判定は、以下のように行います。

1. キャリブレーション

プレートごとに測定したCALコントロールの蛍光値から、当該プレートの検査成立又は不成立を判定します。次の手順でCALコントロールの蛍光値を確認し、検査成立となった場合に2.検体の判定を行います。

(1) VIC
Threshold line値:0.2として、CALコントロールのVICのCt値を算出してください。VICのCt値が算出されなかった場合、(2)へ進んでください。VICのCt値が算出された場合、当該プレートは検査不成立(CTR ERROR)です。

(2) Cy5
Threshold line値:0.2として、CALコントロールのCy5のCt値を算出してください。Cy5のCt値が27.0以上34.0以下の場合、(3)へ進んでください。Cy5のCt値が27.0未満又は34.0より大きい場合、当該プレートは検査不成立(CTR ERROR)です。

(3) FAM
CALコントロールの50サイクル目のFAMのΔRn値を確認してください。FAMのΔRn値が0.1以上0.6以下の場合、検査成立(CTR)です。2.へ進み、検体の判定を行ってください。ΔRn値が0.1より小さい、又は0.6より大きい場合、当該プレートは検査不成立(CTR ERROR)です。


2. 検体の判定
1.において当該プレートが検査成立となった場合に、次の手順で各検体の判定を行います。

(1) 下記のThreshold line値に基づき、検体ごとにVIC、Cy5、FAMのCt値を算出します。
VIC:0.2
Cy5:0.2
FAM:当該プレートのCALコントロールの50サイクル目のΔRn値を2.5倍した値

(2) Ct値の判定

1) FAM及びVICの両方でCt値が算出された場合
FAM及びVICのCt値が15.0より大きい場合、(3)へ進みます。
FAM及びVICのいずれか又は両方のCt値が15.0以下の場合、当該検体は判定不成立です。

2) FAM又はVICのいずれかでCt値が算出された場合
FAMのCt値のみが算出された場合、当該検体は判定不成立です。
VICのCt値が15.0以下の場合、当該検体は判定不成立です。
VICのCt値が15.0より大きい場合、MG陽性かつDR陰性と判定します。

3) FAM及びVICのいずれもCt値が算出されなかった場合
Cy5のCt値が算出され、かつCt値が30.0以下の場合、当該検体はMG陰性(N.D.)と判定します。
Cy5のCt値が算出され、かつCt値が30.0より大きい場合、当該検体は判定不成立です。
Cy5のCt値が算出されなかった場合、当該検体は判定不成立です。


(3) ΔCt値の算出
(2)において1)に該当し、FAM及びVICのCt値が15.0より大きかった検体については、FAMのCt値からVICのCt値を引いた値(ΔCt値)を算出し、当該検体の判定に用います。

ΔCt値が−2.0以上14.0以下の場合、当該検体はMG陽性かつDR陽性と判定します。
ΔCt値が14.0より大きい場合、当該検体はMG陽性かつDR陰性と判定します。
ΔCt値が−2.0より小さい場合、当該検体は判定不成立です。


(4) 判定結果

1)
CALコントロールの判定は下表を参照してください。


MG検出
(VIC) 
IC検出
(Cy5) 
DR検出※
(FAM) 
判定結果 
Ct値あり Ct値<27.0,
34.0<Ct値 
50ΔRn<0.1,
0.6<50ΔRn 
検査不成立
(CTR ERROR) 
Ct値あり Ct値<27.0,
34.0<Ct値 
0.1≦50ΔRn≦0.6 
Ct値あり 27.0≦Ct値≦34.0 50ΔRn<0.1,
0.6<50ΔRn 
Ct値あり 27.0≦Ct値≦34.0 0.1≦50ΔRn≦0.6 
− Ct値<27.0,
34.0<Ct値 
50ΔRn<0.1,
0.6<50ΔRn 
− Ct値<27.0,
34.0<Ct値 
0.1≦50ΔRn≦0.6 
− 27.0≦Ct値≦34.0 50ΔRn<0.1,
0.6<50ΔRn 
− 27.0≦Ct値≦34.0 0.1≦50ΔRn≦0.6 検査成立
(CTR) 

※50サイクル目のΔRn値を用いてください。



2)
検体の判定は附表1を参照してください。
判定の補助として、解析ソフトウェア「UniMAG for Real-time PCR」を使用することで、迅速に判定結果を得ることも可能です。対応可能な解析ソフトウェアのバージョンについては、[問い合わせ先]にお問い合わせください。


「判定上の注意」
1.
リアルタイムPCR装置の測定が正常に終了していることを確認してから判定してください。エラー表示がある場合は正しい判定結果を得られない可能性があります。

2.
検査不成立又は判定不成立であった場合は、本添付文書の[全般的な注意]及び[操作上の注意]を十分に確認し、必要に応じて再検査を行ってください。

3.
試料中に本品の標的配列が存在している場合でも、最小検出感度未満である場合にはMG検出・DR検出の結果が正しく判定されない可能性があります。

4.
DR陰性は、変異型配列が検出されなかったことを示します。検体中の野生型配列の存在やDRの存在を否定するものではありません。

5.
本品の判定対象外の変異を有する場合、正しく判定されない可能性があります。

6.
CALコントロールが検体等により汚染された場合、判定に影響を及ぼす可能性があります。

7.
検体に過剰量のヒトゲノムDNAや夾雑物等が含まれる場合、正しく判定されない場合があります。

臨床的意義

1. 臨床的意義
性感染症は、性行為によって伝搬される感染症です。1日あたりの世界の感染者数は100万人を超えるとされ、生活の質の低下や深刻な病状を示すことに加え、将来的な合併症を引き起こす可能性を持つことから、世界的な公衆衛生の課題となっています。
性感染症は男性では尿道炎、女性では子宮頸管炎に代表され、これらの原因微生物としては淋菌及びクラミジアがよく知られています1)。しかしながら、いずれの病原菌も検出されない症例も多く存在しています。近年の研究により、マイコプラズマジェニタリウム(MG)のヒトに対する病原性が明らかとなり、尿道炎及び子宮頸管炎を引き起こすことが示されました。加えて、近年では、MG治療の第一選択であるマクロライド系抗菌薬、及び第二選択であるニューキノロン系抗菌薬に対する薬剤耐性変異の獲得が進んでおり、薬剤耐性変異の拡大阻止も急務となっています2)
そのため、尿道炎患者及び子宮頸管炎患者の尿や子宮頸管擦過物からMGや薬剤耐性変異を検出し、診断及び治療方針の決定を行うことが重要ですが、MGは一般的な培養検査では増やすことができず、核酸増幅法での診断が求められていました。
本品は、尿又は子宮頸管擦過物から抽出したDNAを用いて、MG及びその23S rRNA遺伝子ドメインV領域の主要な変異(A2071G、A2071C、A2071T、A2072G、A2072C、A2072Tの6種3))を検出することができる核酸増幅検査試薬です。MG検出はMG感染の診断において重要な情報となり、また同時にその23S rRNA遺伝子ドメインV領域の変異の有無を検出することにより、早期の治療方針の決定に役立てることが可能です。

2. 臨床性能試験結果
尿道炎、子宮頸管炎に由来する検体を用いて、MG検出及びDR検出に関し、対照法(ダイレクトシークエンス法)との一致率を確認しました。各疾患、検体種における全体一致率、陽性一致率、陰性一致率は次のとおりです。なお、各疾患にはその疑いがある症例も含まれます。


<MG検出>

尿道炎
(尿検体) 
対照法
(ダイレクトシークエンス法) 
陽性 陰性 合計 
本品 陽性 21 23 
陰性 141 141 
判定不成立 
合計 21 144 165 

全体一致率98.2%、陽性一致率100%、陰性一致率97.9%




子宮頸管炎
(尿検体) 
対照法
(ダイレクトシークエンス法) 
陽性 陰性 合計 
本品 陽性 10 11 
陰性 79 79 
判定不成立 
合計 11 80 91 

全体一致率97.8%、陽性一致率90.9%、陰性一致率98.8%




子宮頸管炎
(子宮頸管擦過物) 
対照法
(ダイレクトシークエンス法) 
陽性 陰性 合計 
本品 陽性 17 19 
陰性 79 81 
判定不成立 
合計 19 81 100 

全体一致率96.0%、陽性一致率89.5%、陰性一致率97.5%




<DR検出>

尿道炎
(尿検体) 
対照法
(ダイレクトシークエンス法) 
陽性 陰性 合計 
本品 陽性 17 17 
陰性 
判定不成立 
合計 17 21 

全体一致率100%、陽性一致率100%、陰性一致率100%




子宮頸管炎
(尿検体) 
対照法
(ダイレクトシークエンス法) 
陽性 陰性 合計 
本品 陽性 
陰性 
判定不成立 
合計 11 

全体一致率90.9%、陽性一致率88.9%、陰性一致率100%




子宮頸管炎
(子宮頸管擦過物) 
対照法
(ダイレクトシークエンス法) 
陽性 陰性 合計 
本品 陽性 14 14 
陰性 
判定不成立 
合計 17 19 

全体一致率84.2%、陽性一致率82.4%、陰性一致率100%


性能

1. 性能試験には以下の管理検体を用いました。

管理検体1:MG陽性、DR陰性

管理検体2〜7:MG陽性、DR陽性

管理検体8:MG陰性、DR陰性

(1) 感度試験

1)
管理検体1を50コピー/テストの濃度で測定したとき、MG検出及びIC検出でCt値が算出され、MG陽性を示します。

2)
管理検体2〜7を50コピー/テストの濃度で測定したとき、MG検出、DR検出及びIC検出でCt値が算出され、MG陽性かつDR陽性を示します。


(2) 正確性試験

1)
管理検体1を50コピー/テストの濃度で測定したとき、MG陽性かつDR陰性と判定されます。

2)
管理検体2〜7を50コピー/テストの濃度で測定したとき、いずれもMG陽性かつDR陽性と判定されます。

3)
管理検体8を測定したとき、MG陰性かつDR陰性と判定されます。


(3) 同時再現性試験

1)
管理検体1を50コピー/テストの濃度で3回同時に測定したとき、全てMG陽性かつDR陰性と判定されます。

2)
管理検体2〜7を50コピー/テストの濃度でそれぞれ3回同時に測定したとき、全てMG陽性かつDR陽性と判定されます。

3)
管理検体8を3回同時に測定したとき、全てMG陰性かつDR陰性と判定されます。


2. 最小検出感度
50コピー/テスト(2本鎖DNAとして)

3. 較正用基準物質
自社調製品

使用上又は取扱い上の注意

1. 取扱い上の注意

(1)
コンタミネーションを防止するために紫外線を照射する場合は、紫外線ランプを直視しないでください。また、紫外線を照射したまま作業しないでください。

(2)
試薬の使用時は、保護眼鏡と使い捨て手袋(パウダーフリー)を着用し、試薬が目、皮膚、粘膜に触れないように注意してください。このようなことが起きた場合は、大量の水で十分に洗い流し、必要があれば医師の手当てなどを受けてください。こぼした場合は、水で希釈してから拭き取ってください。

(3)
試薬や検体を調製する際に、口でピペットを扱わないでください。

(4)
検体を取り扱う際は、感染の危険性がありますので、必要なバイオハザード対策をとってください。

2. 使用上の注意

(1)
外箱記載の使用期限を過ぎた試薬は、結果の信頼性を保証できませんので、使用しないでください。

(2)
異なる製品ロットの試薬を混合したり、組み合わせたりして使用しないでください。また、同一の製品ロットであっても試薬を注ぎ足すことはしないでください。

(3)
開封後はなるべく早く使用し、保存する場合は蓋を閉めて指定の方法で保存してください。各構成試薬は−15〜−35℃で保存できますが、凍結融解回数は6回以内としてください。Taq DNAポリメラーゼは室温に放置すると失活する可能性がありますので、使用後は−15〜−35℃で保存してください。

(4)
試薬の調製に使用する容器や器具は、清浄なものを使用してください。

3. 廃棄上の注意

検体は感染の可能性があるものとして注意して取り扱ってください。検査に使用した器具は、次のいずれかの方法で処理してください。

・2%グルタルアルデヒド溶液に1時間以上浸漬する。

・0.1%次亜塩素酸ナトリウム溶液に1時間以上浸漬する。


試薬や器具などを廃棄する場合は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、水質汚濁防止法などの規定に従ってください。

貯蔵方法、有効期間

貯蔵方法

全ての構成試薬は−15〜−35℃で保存してください。マスターミックスとオリゴミックスは遮光保存してください。

有効期間

24箇月(使用期限は外箱に記載されています。)

包装単位

製品コード       製品名             包装
GS-R0121 MEBRIGHT ジェニタリウム Plus DR キット 96回包装

主要文献

主要文献

1.
一般社団法人日本感染症学会・公益社団法人日本化学療法学会 JAID/JSC 感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会 性感染症ワーキンググループ. JAID/JSC感染症治療ガイドライン

2.
日本性感染症学会. 性感染症 診断・治療ガイドライン 2020

3.
Jensen, J. S. Methods Mol Biol. 2012, vol. 903, p. 129-139.

製造販売業者の氏名又は名称及び住所

氏名又は名称(製造販売業の種別)

株式会社医学生物学研究所

体外診断用医薬品製造販売業

住所等

〒105-0012 東京都港区芝大門二丁目11番8号 住友不動産芝大門二丁目ビル

電話番号

TEL:03-6684-6860 FAX:03-6854-3615

問い合わせ先

氏名又は名称
株式会社医学生物学研究所 学術部

住所等
〒105-0012 東京都港区芝大門二丁目11番8号 住友不動産芝大門二丁目ビル

電話番号
TEL:03-6854-3613 E-mail:kensa@mbl.co.jp

その他の安全性情報

備考

下記は株式会社医学生物学研究所の登録商標です。
「MEBRIGHT」(登録商標 第6303746号)
「UniMAG」(登録商標 第5521789号)


(附表1)検体の判定

MG検出(VIC) DR検出(FAM) IC検出(Cy5) ΔCt値 判定結果(判定表記) 
Ct値>15.0 Ct値>15.0 Ct値あり −2.0≦ΔCt値≦14.0 MG陽性/DR陽性 
Ct値>15.0 Ct値>15.0 Ct値あり 14.0<ΔCt値 MG陽性/DR陰性 
Ct値>15.0 Ct値>15.0 Ct値あり ΔCt値<−2.0 判定不成立 
Ct値>15.0 Ct値≦15.0 Ct値あり / 判定不成立 
Ct値≦15.0 Ct値>15.0 Ct値あり / 判定不成立 
Ct値≦15.0 Ct値≦15.0 Ct値あり / 判定不成立 
Ct値>15.0 Ct値>15.0 − −2.0≦ΔCt値≦14.0 MG陽性/DR陽性 
Ct値>15.0 Ct値>15.0 − 14.0<ΔCt値 MG陽性/DR陰性 
Ct値>15.0 Ct値>15.0 − ΔCt値<−2.0 判定不成立 
Ct値>15.0 Ct値≦15.0 − / 判定不成立 
Ct値≦15.0 Ct値>15.0 − / 判定不成立 
Ct値≦15.0 Ct値≦15.0 − / 判定不成立 
Ct値>15.0 − Ct値あり − MG陽性/DR陰性 
Ct値≦15.0 − Ct値あり − 判定不成立 
Ct値>15.0 − − − MG陽性/DR陰性 
Ct値≦15.0 − − − 判定不成立 
− − Ct値≦30.0 − N.D. 
− − Ct値>30.0 − 判定不成立 
− − − − 判定不成立 
− Ct値あり Ct値あり − 判定不成立 
− Ct値あり − − 判定不成立 

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