体外診断用医薬品 詳細表示

販売中

KBM ラインチェック nCoV/Flu


作成・改訂年月
薬効分類名
一般的注意事項
承認・届出等
販売名KBM ラインチェック nCoV/Flu
添付文書管理コード
製造販売承認番号
承認・認証年月等
一般的名称
一般的名称
警告
重要な基本的注意
全般的な注意*
形状・構造等(キットの構成)
使用目的
測定原理
操作上の注意
用法・用量(操作方法)
測定結果の判定法
臨床的意義
性能
使用上又は取扱い上の注意
取扱い上(危険防止)の注意
使用上の注意
廃棄上の注意
その他の注意
貯蔵方法、有効期間
保管方法
有効期間
包装単位
主要文献
主要文献
製造販売業者の氏名又は名称及び住所
氏名又は名称(製造販売業の種別)
住所等
電話番号
問い合わせ先
氏名又は名称
住所等
電話番号
その他の安全性情報
備考

インフルエンザウイルスキット

KBM ラインチェック nCoV/Flu


作成・改訂年月

**2024年 12月改訂(第7版)

 *2024年 2月改訂(第6版)

薬効分類名

体外診断用医薬品

一般的注意事項

この添付文書をよく読んでから使用してください。

承認・届出等

販売名

KBM ラインチェック nCoV/Flu

添付文書管理コード

30300EZX00087000_A_01

製造販売承認番号

30300EZX00087000

承認・認証年月等

令和3年11月

一般的名称

一般的名称
30813000
インフルエンザウイルスキット

警告

(記載なし)

重要な基本的注意

1.
本品の判定が陰性であっても、SARS-CoV-2感染又はインフルエンザウイルス感染を否定するものではありません。

2.
検査に用いる検体については、厚生労働省より公表されている「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」を参照してください。

3.
SARS-CoV-2感染及びインフルエンザウイルス感染の診断は厚生労働省より発表されている医療機関・検査機関向けの最新情報を参照し、本品による検査結果のみで行わず、他の検査結果及び臨床症状を考慮して総合的に判断してください。

4.
SARS-CoV-2抗原の検出において、鼻腔ぬぐい液を検体とした場合、鼻咽頭ぬぐい液に比べ感度が低い傾向が認められているため、検体の採取に際して留意してください。

5.
検体採取、取り扱いについては必要なバイオハザード対策を講じてください。

全般的な注意*

1.
本品は体外診断用であり、それ以外の目的に使用しないでください。

2.
本添付文書に記載された操作方法に従って使用してください。記載された操作方法及び使用目的以外での使用については結果の信頼性を保証しません。

3.
検体採取に際し、抗原抽出液に浸した綿棒は絶対に使用しないでください。

4.
検査に使用した抗原抽出液容器、滴下ノズル、綿棒、テストデバイスの再利用はしないでください。

5.
抗原抽出液にはアジ化ナトリウム等が含まれていますので、誤って目や口に入ったり、皮膚に付着したりした場合には水で十分に洗い流す等の応急処置を行い、必要があれば医師の手当て等を受けてください。

6.
すべての検体は感染の危険性があるものとして、十分注意して取り扱ってください。また、使用済みの構成試薬、綿棒等は使用後速やかに処理してください。

7.
本品はSARS-CoVとの反応性が確認されています。

形状・構造等(キットの構成)

1. テストデバイス
金コロイド標識抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)

金コロイド標識抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)

金コロイド標識抗nCoVモノクローナル抗体(マウス)

抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)

抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)

抗nCoVモノクローナル抗体(マウス)

2. 抗原抽出液
界面活性剤を含む緩衝液(0.09%アジ化ナトリウム含有)

使用目的

鼻咽頭拭い液又は鼻腔拭い液中のSARS-CoV-2抗原、A型インフルエンザウイルス抗原及びB型インフルエンザウイルス抗原の検出

(SARS-CoV-2感染又はインフルエンザウイルス感染の診断の補助)

測定原理

イムノクロマト法(Immunochromatographic Assay)の原理に基づいた毛細管現象と抗原抗体反応を測定原理としています。

 試料をテストデバイスの試料滴下部に滴下すると、テストストリップのサンプルパット内を毛細管現象によりコンジュゲーションパッドヘ移行します。そこで金コロイド標識抗A型、抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体、及び金コロイド標識抗nCoVモノクローナル抗体を溶解し、試料中のA型又はB型インフルエンザウイルス抗原、SARS-CoV-2抗原と免疫複合体を形成しながら展開部を移動します。これが展開部に固定化された抗A型、抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体、又は抗nCoVモノクローナル抗体に捕捉され、インフルエンザウイルス抗原判定部又はSARS-CoV-2抗原判定部のテストライン出現位置に赤紫色のラインを形成します。本品はこの赤紫色のラインを目視で確認し、試料中のインフルエンザウイルス抗原又はSARS-CoV-2抗原の有無を判定します。

 一方、試料中のA型又はB型インフルエンザウイルス抗原、SARS-CoV-2抗原の有無に関わらず、余剰の金コロイド標識抗A型、抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体、及び金コロイド標識抗nCoVモノクローナル抗体は展開部をさらに移動し、展開部に固定化された抗マウス免疫グロブリン抗体に捕捉され、コントロール判定部のコントロールライン出現位置に紫色のラインが出現します。これはテストスティック上で反応が正常に進んだことを示します。

テストデバイス各部の名称

テストストリップ及び原理図

操作上の注意

1.測定試料の性質、採取法

(1)検体
鼻咽頭拭い液、鼻腔拭い液が使用できます。

(2)検体の採取に必要な器具
検体採取用滅菌綿棒:キット付属の綿棒を使用してください。

(3)検体の採取法
1)鼻咽頭拭い液:
検体採取用滅菌綿棒(キット付属品)を鼻孔から鼻腔底に沿って挿入し、上咽頭を数回擦るようにして採取します。 
 
2)鼻腔拭い液:
検体採取用滅菌綿棒(キット付属品)を鼻孔から鼻腔に沿って2cm程度挿入し、5回程度回転させ、5秒程度静置し採取します。 
 


(4)検体取扱い上の注意事項
1)検体には鼻咽頭拭い液又は鼻腔拭い液を使用してください。

2)下気道由来検体(喀痰及び気管吸引液)、唾液は検体として使用しないでください。

3)採取した検体は、できるだけ早く【用法・用量(操作方法)】に従い、前処理を行い、検査してください。

4)本品はA型インフルエンザウイルス抗原又はB型インフルエンザウイルス抗原、SARS-CoV-2抗原を免疫学的に検出しますので、ウイルスが死滅した場合でも抗原がキットの検出限界以上存在すれば陽性となります。

5)検体の採取、取扱い、又は輸送が不適切であった場合は、正しい検査結果が得られないことがあります。

(5)検体採取上の注意事項
1)綿棒は滅菌済みですので、個別包装の包材に破れや穴などがあった場合、又は綿棒に破損、折れ、曲がりなどがあった場合は、使用しないでください。

2)綿棒の使用は1回限りです。再使用しないでください。

3)綿棒による検体の採取は、十分習熟した人の指示のもとに実施してください。

4)綿棒で検体を直接採取する時、採取する粘膜などの部位を傷つけないよう無理な力をかけないでください。

5)綿棒は、鼻咽頭及び鼻腔中の検体を採取するものです。

2.妨害物質
血液及び以下の一般用医薬品は、下記濃度において、本品における判定の影響は認められませんでした。

アセチルサリチル酸 20mg/mL, アンブロキソール塩酸塩 375ng/mL, オキシメタゾリン塩酸塩 100ng/mL, クロモグリク酸ナトリウム 5mg/mL, ジフェンヒドラミン塩酸塩 10mg/mL, シプロヘプタジン塩酸塩 200ng/mL, デキストロメトルファン臭化水素酸塩一水和物 10mg/mL, ナファゾリン硝酸塩 125ng/mL, マレイン酸クロルフェニラミン 5mg/mL, 市販点鼻薬(1)(クロルフェニラミンマレイン酸塩, ナファゾリン塩酸塩含有) 10%, 市販点鼻薬(2)(クロルフェニラミンマレイン酸塩, 塩酸テトラヒドロゾリン含有) 10%, 市販うがい薬(1)(ポビドンヨード含有) 10%, 市販うがい薬(2)(セチルピリジニウム塩化物水和物, グリチルリチン酸二カリウム含有) 10%, 市販スプレー式のど薬(アズレンスルホン酸ナトリウム水和物含有) 10%, 血液 5%

3.交差反応性

(1)コロナウイルス及びインフルエンザウイルス以外のウイルスとの反応性

下記ウイルスとの反応性は認められませんでした。

ウイルス株 濃度 
Human parainfluenza virus 1 7.84×104PFU/mL 
Human parainfluenza virus 2 4.42×105PFU/mL 
Human parainfluenza virus 3 4.43×105PFU/mL 
Human respiratory suncytial virus A2 7.87×104PFU/mL 
Human respiratory suncytial virus 9320 2.21×103PFU/mL 
Human adenovirus 1 4.43×105PFU/mL 
Human adenovirus 2 7.84×105PFU/mL 
Human adenovirus 3 4.43×106PFU/mL 
Human adenovirus 4 8.85×104PFU/mL 
Human adenovirus 5 3.92×103PFU/mL 
Human adenovirus 6 4.48×107PFU/mL 
Human adenovirus 7 7.84×104PFU/mL 
Human adenovirus 11 4.48×105PFU/mL 
Human adenovirus 31 4.48×106PFU/mL 
Human adenovirus 37 2.49×104PFU/mL 
Human adenovirus 41 4.48×106PFU/mL 
Human rhinovirus 1A 4.42×106PFU/mL 
Human coxsackievirus B1 4.43×106PFU/mL 
Human coxsackievirus A9 4.43×103PFU/mL 
Human herpesvirus 1 2.49×106PFU/mL 
Human echovirus 2 8.85×104PFU/mL 
Human echovitus 3 2.84×103PFU/mL 

(2)コロナウイルスとの反応性
下記のSARS-CoV-2変異株との反応性が認められました。

・B.1.1.7系統の変異株(アルファ株)

hCoV-19/Japan/QK002/2020:6.25×102TCID50/mL

hCoV-19/Japan/QHN001/2020:6.25×102TCID50/mL

hCoV-19/Japan/QHN002/2020:1.95×102TCID50/mL

・B.1.351系統の変異株(ベータ株)

hCoV-19/Japan/TY8-612-P1/2021:6.16×102TCID50/mL

・P.1系統の変異株(ガンマ株)

hCoV-19/Japan/TY7-501/2021:4.48×102TCID50/mL

hCoV-19/Japan/TY7-503/2021:6.13×102TCID50/mL

下記のコロナウイルスとの反応性は認められませんでした。

Human coronavirus OC43:4.48×104PFU/mL

Human coronavirus 229E:3.94×103PFU/mL

リコンビナントN蛋白との反応性は下記のとおりです。

・反応性あり(SARS-CoV-2抗原判定部)

SARS coronavirus:100ng/mL

・反応性なし

MERS coronavirus:100ng/mL

Human coronavirus 229E:100ng/mL

Human coronavirus OC43:100ng/mL

(3)インフルエンザウイルスとの反応性
下記のインフルエンザウイルスについて、SARS-CoV-2抗原判定部での交差反応性は認められませんでした。

Influenza A virus(H1N1), A/New Jersey/8/76(Hsw N1):4.43×106PFU/mL

Influenza A virus(H1N1), A/Virginia/ATCC1/2009:1.04×104PFU/mL

Influenza A virus(H1N1), A/Swine/1976/31:4.43×106PFU/mL

Influenza A virus(H1N1); A/Swine/Iowa/15/30:4.43×106PFU/mL

Influenza A virus(H3N2), A/Hong Kong/8/68:4.43×104PFU/mL

Influenza B virus, B/Taiwan/2/62:7.87×105PFU/mL

Influenza B virus, B/Lee/40:7.87×104PFU/mL

(4)細菌及び真菌

下記の細菌及び真菌との反応性は認められませんでした。

Escherichia coli Peptostreptococcus anaerobius 
Klebsiella pneumoniae Neisseria gonorrhoeae 
Proteus vulgaris Staphylococcus aureus 
Proteus mirabilis Staphylococcus epidermidis 
Yersinia enterocolitica Enterococcus faecalis 
Serratia marcescens Streptococcus agalactiae 
Haemophilus influenzae Streptococcus pneumoniae 
Haemophilus parainfluenzae Streptococcus pyogenes 
Pseudomonas aeruginosa Lactobacillus fermentum 
Pseudomonas fluorescens Corynebacterium diphtheriae 
Bordetella pertussis Candida albicans 
Acinetobacter baumannii Candida glabrata 
Legionella pneumophila Candida krusei 
Bacteroides fragilis Mycobacterium fortuitum 
Porphyromonas gingivalis Mycoplasma pneumoniae 
Veillonella sp.  

用法・用量(操作方法)

1. 試薬の調製方法
本品を冷蔵保管していた場合は、冷蔵庫から取り出し、15〜30℃にしてから使用してください。

(1)テストデバイス
:そのまま使用します。

(2)抗原抽出液
:そのまま使用します。

*注)本品と下記品目の抗原抽出駅は共通試薬です。

*・SARSコロナウイルス抗原キット

*KBM ラインチェック nCoV

*(製造販売承認番号:30400EZX0045000)

2. 検体の前処理方法
抗原抽出液を用いて検体の前処理を行います。抗原抽出液容器を2〜3度振り、抗原抽出液を容器底部に落とします。容器のふたを開け、鼻咽頭拭い液又は鼻腔拭い液を採取した綿棒(検体)を入れて容器を指で押しながら上下に数回しごき、綿球内の検体をよく搾り出します。撹拌後、再度綿球を搾りながら引き抜き、容器に滴下ノズルを取り付け、試料とします。

3. 操作方法

(1)
テストデバイスをアルミ包装袋から取り出し、試料3滴(80〜100μL)を試料滴下部に滴下します。

(2)
15〜30℃で静置します。ただし、滴下後1分以降にコントロールラインとテストライン(SARS-CoV-2、インフルエンザ又はその両方)にラインが認められた場合、その時点で陽性と判定することができます。

(3)
テストデバイス上の判定部に現れる赤紫色のラインで判定します。

4. 操作上の注意事項

(1)
検体の前処理時に抗原抽出液をしっかりと容器底部に落としてください。抗原抽出液がふたの内側等に残っている場合、正確な結果が得られない可能性がございます。

(2)
テストデバイスの入ったアルミ袋は使用時まで開封しないでください。アルミ袋開封後は、30分以内に使用するようにしてください。

(3)
操作中テストデバイスの判定部を直接手などで触れないでください。

(4)
検体の粘性が高い場合、滴下ノズルが詰まることがあります。目詰まりするほどの強粘性の試料は、生理食塩液で2倍希釈して使用してください。

(5)
試料の滴下は、抗原抽出液容器を垂直にし、試料滴下部に近づけすぎないようにして、ゆっくりと所定の量(3滴、80〜100μL)を滴下してください。所定量以外の場合、正確な結果が得られない可能性があります。

(6)
滴下ノズルを装着しないで試料をテストデバイスに滴下すると、正確な結果が得られない可能性があります。

(7)
試料をテストデバイスに滴下後、5分経過しても試料が展開しない場合には、テストデバイスの不良が考えられますので、別のテストデバイスで再検査してください。

(8)
テストデバイスの判定部に試料を滴下すると、正確な結果が得られません。

*(9)
*本品付属の抗原抽出液のKBMラインチェック製品における共通使用に関しては、下記を参照してください。

検体 nCoV nCoV
/Flu 
nCoV
(スティックタイプ) 
Flu AB RSV 
鼻腔拭い液 ○  × × × 
鼻咽頭拭い液 ○  × × × 


*(10)
*共通使用が可能なKBMラインチェック製品以外の抗原抽出液は本品に使用できません。

測定結果の判定法

1. 判定方法
(1)SARS-CoV-2陽性
:試料滴下後1分から15分の間にコントロールラインとCoVテストラインが出現した時点で、SARS-CoV-2陽性と判断します。

(2)インフルエンザウイルス陽性
:試料滴下後1分から15分の間にコントロールラインとFluテストラインが出現した時点で、インフルエンザウイルス陽性と判断します。

(3)陰性
:15分経過後の時点でコントロールラインのみが出現した場合、陰性と判断します。

(4)無効
:テストラインの出現の有無によらず、コントロールラインが出現しない場合、検査は無効と判断し、再検査を行います。


2. 判定上の注意事項
(1)
試料滴下後1分から15分の間に一方のテストラインとコントロールラインが認められた場合でも、もう一方の感染を否定するものではありません。

(2)
判定部にテストラインと垂直な赤紫色の薄いスジ状のラインや斑点状の滲みが出現したり、展開部全体が薄くまばらな赤色に色づいたりすることがありますが、判定結果に影響はありませんので、コントロールラインが認められる場合はそのまま判定してください。

(3)
試料滴下後30分以上経過したときに判定部に不均一なラインが出現する場合がありますが、抗原抗体反応とは無関係である可能性がありますので、この時点での判定は無効となります。

(4)
テストデバイスの展開部全体が赤紫色に着色した場合、検体の非特異反応が考えられますので、無効と判定し、他の方法で確認してください。

(5)
判定部のライン出現位置が白色に抜けて見える場合がありますが、陰性と判定してください。

(6)
本試験はSARS-CoV-2感染又はインフルエンザウイルス感染の診断の補助となるものです。検体中のウイルス量が少なく本キットの検出感度に満たない場合には偽陰性となる場合があります。また、検体中に金コロイド標識抗体と凝集しやすい物質や、展開部に物理的に吸着しやすい物質が存在する又は検体の粘性が高い場合には、偽陽性となることがありますので、確定診断は臨床症状などを加味し、総合的に診断してください。

(7)
抗原量が異常に多い場合、コントロールラインの発色が認められず、試験無効の判定となることがあります。この場合は、試料を抗原抽出液で希釈し、再検査してください。

(8)
検体量が多い場合、又は検体の粘性が高い場合は、ラインの発色が薄い、ライン出現が遅い又は出ない、もしくは滞留による非特異的反応が生じ、ラインの間の位置等にライン状の発色が認められることがあります。この場合は、試料を抗原抽出液で希釈し、再検査してください。

**(9)
**経鼻弱毒生インフルエンザワクチン接種後の一定期間は、ワクチン由来のインフルエンザウイルスで本品が陽性反応を示す可能性があります。

臨床的意義

 国内においてSARS-CoV-2感染の診断にはPCR法の原理に基づくSARS-CoV-2核酸検査によって診断が行われておりますが、核酸検査は高感度にSARS-CoV-2遺伝子を検出できる一方で、煩雑な操作や検査装置、長時間の測定時間を必要とします。一方、イムノクロマトグラフィー法による抗原定性検査は簡便・迅速なポイントオブケア・デバイスであり、外来やベッドサイドにおける有症状者のスクリーニング等に用いることが可能です。
 インフルエンザウイルス感染症と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はともに発熱症状を引き起こすため、季節性インフルエンザウイルス流行期には判別が困難となります。本品はSARS-CoV-2とインフルエンザウイルスを同時に検出することを目的としており、SARS-CoV-2感染又はインフルエンザウイルス感染の診断の補助に有用と考えられます。

〈臨床検体を用いた性能評価試験〉

1. KBM ラインチェック nCoV/Fluの臨床性能
(1)国内臨床検体を用いたRT-PCR法との相関性評価(SARS-CoV-2)
国内臨床検体(ウイルス輸送液、PBS又は生理食塩水に懸濁されたもの)を用いたRT-PCR法との相関性評価試験結果(n=100)は下記のとおりでした。

 RT-PCR法 
陽性 陰性 合計 
本品 陽性 38 38 
陰性 61 62 
合計 39 61 100 
陽性一致率: 97.4% 
陰性一致率:100.0% 
全体一致率: 99.0% 


RT-PCR陽性検体39例のウイルス量(RNAコピー/テスト)毎の結果は以下のとおりでした。

ウイルス量
(RNAコピー/テスト) 
本品陽性数
/検体数 
陽性一致率 
107以上 4/4 100% 
106〜107 15/15 100% 
105〜106 15/15 100% 
104〜105 4/4 100% 
104未満 0/1 0% 

※ウイルス量は、病原体検出マニュアル2019-nCoV(国立感染症研究所)にて示されるN2セットのプローブを用いたRT-PCR法からCt値から換算した推定値です。


(2)国内臨床検体を用いた既承認品との相関性評価(インフルエンザウイルス)

1)A型インフルエンザウイルス
国内臨床検体(ウイルス輸送液、PBS又は生理食塩水に懸濁されたもの)を用いた既承認品との相関性評価試験結果(n=103)は下記のとおりでした。

 既承認品 
陽性 陰性 合計 
本品 陽性 42 42 
陰性 61 61 
合計 42 61 103 
陽性一致率:100.0% 
陰性一致率:100.0% 
全体一致率:100.0% 


2)B型インフルエンザウイルス
国内臨床検体(ウイルス輸送液、PBS又は生理食塩水に懸濁されたもの)を用いた既承認品との相関性評価試験結果(n=111)は下記のとおりでした。

 既承認品 
陽性 陰性 合計 
本品 陽性 50 50 
陰性 61 61 
合計 50 61 111 
陽性一致率:100.0% 
陰性一致率:100.0% 
全体一致率:100.0% 

(3)鼻咽頭拭い液へのウイルス培養液添加試験成績(インフルエンザウイルス)

1)A型インフルエンザウイルス
検出限界(以下、LOD)付近の4濃度のA型インフルエンザウイルス(A/New Jersey/8/76(H1N1))培養液を添加した鼻咽頭拭い液を用いた本品および既承認品の試験結果は以下のとおりでした。


培養ウイルス 未添加 添加
(0.5×
LOD) 
添加
(1×
LOD) 
添加
(2×
LOD) 
添加
(8×
LOD) 
濃度
(PFU/mL) 
6.05
×100 
1.21
×101 
2.42
×101 
9.69
×101 
検体数 20 20 20 20 20 
既承認品
陽性数 
20 
本品陽性数 20 20 20 
本品陽性率 0% 15% 100% 100% 100% 

2)B型インフルエンザウイルス
検出限界(以下、LOD)付近の4濃度のB型インフルエンザウイルス(B/Taiwan/2/62)培養液を添加した鼻咽頭拭い液を用いた本品および既承認品の試験結果は以下のとおりでした。


培養ウイルス 未添加 添加
(0.5×
LOD) 
添加
(1×
LOD) 
添加
(2×
LOD) 
添加
(32×
LOD) 
濃度
(PFU/mL) 
8.40
×100 
1.68
×101 
3.36
×101 
5.38
×102 
検体数 20 20 20 20 20 
既承認品
陽性数 
20 
本品陽性数 20 20 20 
本品陽性率 0% 10% 100% 100% 100% 


(4)鼻腔拭い液へのウイルス培養液添加試験成績(インフルエンザウイルス)

1)A型インフルエンザウイルス
検出限界(以下、LOD)付近の4濃度のA型インフルエンザウイルス(A/New Jersey/8/76(H1N1))培養液を添加した鼻腔拭い液を用いた本品および既承認品の試験結果は以下のとおりでした。


培養ウイルス 未添加 添加
(0.5×
LOD) 
添加
(1×
LOD) 
添加
(2×
LOD) 
添加
(8×
LOD) 
濃度
(PFU/mL) 
6.05
×100 
1.21
×101 
2.42
×101 
9.69
×101 
検体数 20 20 20 20 20 
既承認品
陽性数 
20 
本品陽性数 20 20 20 
本品陽性率 0% 15% 100% 100% 100% 

2)B型インフルエンザウイルス
検出限界(以下、LOD)付近の4濃度のB型インフルエンザウイルス(B/Taiwan/2/62)培養液を添加した鼻腔拭い液を用いた本品および既承認品の試験結果は以下のとおりでした。


培養ウイルス 未添加 添加
(0.5×
LOD) 
添加
(1×
LOD) 
添加
(2×
LOD) 
添加
(32×
LOD) 
濃度
(PFU/mL) 
8.40
×100 
1.68
×101 
3.36
×101 
5.38
×102 
検体数 20 20 20 20 20 
既承認品
陽性数 
20 
本品陽性数 20 20 20 
本品陽性率 0% 10% 100% 100% 100% 

2. KBM ラインチェック nCoVの臨床性能
本品と測定原理、本品の測定目的の一つであるSARS-CoV-2の検出に関与する成分及びその分量、使用方法が同一であり、SARS-CoV-2への最小検出感度試験にて同等の試験成績を示した既承認品「KBM ラインチェック nCoV」の臨床性能を参考として示します。
(1)鼻腔拭い液による既承認品との相関性評価
鼻腔拭い液を用いた本品とイムノクロマト法を原理とする既承認品の相関性評価結果(n=53)は以下のとおりでした。

 既承認 
陽性 陰性 合計 
本品 陽性 27 28 
陰性 25 25 
合計 27 26 53 
陽性一致率: 100.0% 
陰性一致率:96.2% 
全体一致率: 98.1% 


性能

【用法・用量(操作方法)】により陽性コントロール(A型インフルエンザウイルス抗原、B型インフルエンザウイルス抗原、SARS-CoV-2抗原)、弱陽性コントロール(A型インフルエンザウイルス抗原、B型インフルエンザウイルス抗原、SARS-CoV-2抗原)及び陰性コントロール(抗原抽出液)を用いて感度、正確性、同時再現性の各試験を行った場合、以下の規格に適合する。
1. 感度試験
陽性コントロール及び弱陽性コントロールを試料として試験したとき、陽性が確認される。

2. 正確性試験
陽性コントロール、弱陽性コントロール及び陰性コントロールを試料として試験したとき、陽性コントロール、弱陽性コントロールに対しては陽性、陰性コントロールに対しては陰性が確認される。

3. 同時再現性試験
陽性コントロール、弱陽性コントロール及び陰性コントロールを試料として各3回同時に試験したとき、陽性コントロール、弱陽性コントロールに対しては全て陽性、陰性コントロールに対しては全て陰性が確認される。

4. 最小検出感度(例示)

(1)SARS-CoV-2
SARS-CoV-2(2019-nCoV/JPN/TY/WK-521):7.81×102TCID50/mL

(2)A型インフルエンザウイルス
A/New Jersey/8/76(H1N1):1.21×101PFU/mL

(3)B型インフルエンザウイルス
B/Taiwan/2/62:1.68×101PFU/mL

5. 較正用基準物質
社内標準物質:不活化A型インフルエンザウイルス抗原

不活化B型インフルエンザウイルス抗原

Recombinant SARS-CoV-2抗原

使用上又は取扱い上の注意

取扱い上(危険防止)の注意

(1)
検体はHIV、HBV、HCV等の感染の恐れがあるものとして取り扱ってください。検査にあたっては感染の危険を避けるため、使い捨て手袋を着用してください。

(2)
本品の抗原抽出液には防腐剤としてアジ化ナトリウムが含まれておりますので、誤って目や口に入る、皮膚に付着するなどした場合には、速やかに水で洗い流す等の応急処置を行い、必要であれば医師の手当てを受けてください。

(3)
テストデバイスにはニトロセルロース膜を使用しています。ニトロセルロースは極めて燃焼性が高いので、火気の近くでは操作を行わないようにしてください。

使用上の注意

(1)
本品は、品質の低下を防ぐため、高温多湿及び直射日光を避け、2〜30℃で保存してください。また、凍結した試薬は使用できません。

(2)
使用期限を過ぎた試薬は、測定結果の信頼性を保証しかねますので、使用しないでください。

(3)
各構成試薬は別途補充用として、製造販売することがあります。

廃棄上の注意

(1)
使用済のテストデバイス、綿棒及び抗原抽出液容器などを廃棄する前に0.1%濃度以上の次亜塩素酸ナトリウム溶液に1時間以上浸すか、又はオートクレーブ(121℃、20分間)で処理してください。

(2)
本品の抗原抽出液には防腐剤としてアジ化ナトリウムが含まれております。アジ化ナトリウムは、銅管、鉛管と反応して爆発性の強い金属アジドを生成することがありますので、廃棄の際には大量の水と共に洗い流してください。

(3)
検体又は検体を含む溶液が飛散した場合、感染を防止するため、0.1%濃度以上の次亜塩素酸ナトリウム溶液等でよく拭き取ってください。

(4)
試薬、処理した検体及び綿棒などを廃棄する場合には、廃棄物に関する規定に従い、医療廃棄物又は産業廃棄物などとして処理してください。

その他の注意

(1)
容器等は他の目的に転用しないでください。

貯蔵方法、有効期間

保管方法

2〜30℃

有効期間

製造後24ヶ月間

  (外箱に表示の使用期限内にご使用ください)

包装単位

KBM ラインチェック nCoV/Flu 10回用

(製品コード:80510)

〈付属品〉

 ・検体採取用滅菌綿棒.......................................10本

 ・滴下ノズル.....................................................10個

 ・抽出液容器立て..............................................1枚

主要文献

主要文献

(1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針

(2)金井正光:臨床検査法提要 改定第34版:1115-1159

(3)国立感染症研究所編:インフルエンザ診断マニュアル(第4版), PartII:ウイルス分離と同定, 6-35(平成30年)

製造販売業者の氏名又は名称及び住所

氏名又は名称(製造販売業の種別)

コージンバイオ株式会社

体外診断用医薬品製造販売業

住所等

埼玉県坂戸市千代田5丁目1番地3

電話番号

049-284-3781

問い合わせ先

氏名又は名称
コージンバイオ株式会社

住所等
埼玉県坂戸市千代田5丁目1番地3

電話番号
049-284-3781

その他の安全性情報

備考

SARSコロナウイルス抗原キット 84110000

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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