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ベリナートP静注用500

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
17.2製造販売後調査等
18.薬効薬理
18.1作用機序
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

ベリナートP静注用500

添付文書番号

6343426F1032_1_14

企業コード

100806

作成又は改訂年月

2024年10月改訂(第2版)
2023年12月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

876343

薬効分類名

血漿分画製剤(乾燥濃縮人C1-インアクチベーター製剤)

承認等

ベリナートP静注用500

販売名コード

YJコード

6343426F1032

販売名英語表記

Berinert P I.V.Injection 500

販売名ひらがな

べりなーとPじょうちゅうよう500

承認番号等

承認番号

22100AMX00056

販売開始年月

1990年9月

貯法・有効期間

貯法

凍結を避けて30℃以下で保存

有効期間

36箇月

規制区分

一般的名称

乾燥濃縮人C1-インアクチベーター

本剤は、貴重なヒト血液を原料として製剤化したものである。原料となった血液を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施するとともに、製造工程における一定の不活化・除去処理などを実施し、感染症に対する安全対策を講じているが、ヒト血液を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめること。

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

ベリナートP静注用500

有効成分人C1-インアクチベーター1)   500国際単位
添加剤グリシン   100mg
クエン酸ナトリウム水和物   30mg
塩化ナトリウム   85mg
添付溶解液
(日局注射用水)
  10mL
1バイアル中の分量

1) ヒト血液由来成分
採血国:米国、ドイツ、オーストリア
採血の区分2) :非献血
2) 「献血又は非献血の区別の考え方」参照

3.2 製剤の性状

ベリナートP静注用500

pH6.5~7.5
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
性状本剤は、白色ないし淡黄色の粉末であり、表示量に従い添付の注射用水で溶解した場合、無色ないし淡黄色の澄明な液剤となる。

4. 効能又は効果

  • 遺伝性血管性浮腫の急性発作
  • 侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制

6. 用法及び用量

  • 〈効能共通〉

    本剤を添付の日局注射用水全量で徐々に溶解し、直接静注するか、点滴静注する。直接静注の場合は、緩徐に行う。

  • 〈遺伝性血管性浮腫の急性発作〉

    通常、成人には1,000~1,500国際単位を投与する。本剤投与後、数時間以内に効果の発現が認められないか、あるいは、不十分な場合には、500~1,000国際単位を追加投与する。また、24時間後でも症状の改善が不十分な場合には、その症状に応じて繰り返し投与する。

  • 〈侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制〉

    通常、成人には侵襲を伴う処置前の6時間以内に1,000~1,500国際単位を投与する。

8. 重要な基本的注意

  • 〈効能共通〉
    1. 8.1 本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。
    2. 8.2 本剤の原材料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HIV、HBV、HCV及びHAVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。また、ヒトパルボウイルスB19についてもNATによるスクリーニングを実施し、適合した血漿を用いている。
      その後の製造工程である60℃、10時間液状加熱処理及びナノフィルトレーションは、HIV、HBV、HCV等のエンベロープを有するウイルス及びエンベロープを有しないHAV、ヒトパルボウイルスB19をはじめとする各種ウイルス除去・不活化効果が確認されているが、投与に際しては、次の点に十分に注意すること。
      血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。,,
    3. 8.3 現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
    4. 8.4 肝炎ウイルス等の感染症の危険性を完全に否定できないので、観察を十分に行い、肝障害があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
    5. 8.5 頻回輸注した場合、患者の血清中にC1-インアクチベーターに対するインヒビターの発生を完全に否定できないので、観察を十分に行うこと。
  • 〈侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制〉
    1. 8.6 処置中及び処置後も患者の状態を慎重に観察するとともに、発作に備え適切な対応がとれるよう体制を整えておくこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 溶血性・失血性貧血の患者

    ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。

  2. 9.1.2 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者

    ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。生殖発生毒性試験は実施していない。また、本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児を対象とした臨床試験成績は得られていない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)

    頻脈、血圧上昇、血圧低下、潮紅、じん麻疹、呼吸困難、頭痛、めまい、悪心等が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、アナフィラキシーは遺伝性血管性浮腫の発作と同様の症状を示すため、観察を十分に行うこと。

11.2 その他の副作用

頻度不明

過敏症

発疹、発熱、発赤等

投与部位

注射部位反応

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

  1. 14.1.1 「ベリナートP静注用500の使用方法」に従い調製を行うこと。
  2. 14.1.2 他剤との混合注射は避けることが望ましい。
  3. 14.1.3 本剤は溶解後ただちに使用すること。
  4. 14.1.4 一部を使用した残液は、細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。

14.2 薬剤投与時の注意

溶解時に著しい沈殿の認められるものは投与しないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

海外において、体外循環下の心臓外科手術の前後でのCapillary Leak Syndrome(毛細血管漏出症候群)を予防又は治療するために本剤を投与した場合において、致死的な血栓症を発現したとの報告がある。(承認外用法・用量)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

遺伝性血管性浮腫患者に本剤を投与したときの最高血中濃度到達時間、血中半減期、回収率、上昇率は以下のとおりである1) (外国人データ)。

18歳未満(6例)

18歳以上(19例)

投与量
(国際単位/kg)

平均±標準偏差

16.2±4.9

15.2±3.3

最高血中濃度到達時間(hr)

中央値
(範囲)

0.6
(0.1-2.0)

1.0
(0.3-32.0)

血中半減期(hr)

32.9
(7.3-70.5)

39.1
(19.4-90.4)

回収率(%)3)

98.2
(69.2-106.8)

74.8
(57.2-195.9)

上昇率(%/国際単位/kg)4)

2.2
(1.7-2.6)

2.0
(1.5-5.1)

3) 理論的上昇期待値に対する実測上昇値の百分率
4) 投与後のC1-インアクチベーター活性が最高に達した時点の上昇率

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国内臨床試験

    遺伝性血管性浮腫の急性発作治療を対象とした国内臨床試験において、急性発作を発症した患者3例に1,000~2,500国際単位を投与した結果、全症例とも有効以上であった。
    総投与例7例中、本剤との因果関係が疑われる副作用は認められなかった。また、本剤に起因すると思われる臨床検査値異常も認められなかった2),3)

17.2 製造販売後調査等

  1. 17.2.1 国内使用成績調査

    遺伝性血管性浮腫の急性発作治療を対象とした市販後の使用成績調査において、有効性及び有用性解析対象症例70例における改善率は87.1%(61/70例)、有用率は92.9%(65/70例)であった。
    安全性解析対象症例77例における副作用発現頻度は2.6%(2/77例)であり、発現した副作用はALT、Al-Pの上昇各2件、AST、γ-GTPの上昇、好酸球増多各1件であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

C1-インアクチベーターは分子量105kDaの糖蛋白であり、プロテアーゼC1r及びC1sを不活化することで補体活性化経路を阻害する。また、血液凝固第XIIa因子、血漿カリクレインに対して阻害作用を有する。本剤は遺伝性血管性浮腫において欠如しているC1-インアクチベーターを補充することにより治療効果を示す4),5)

20. 取扱い上の注意

本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与又は処方した場合は、医薬品名(販売名)、その製造番号(ロット番号)、投与又は処方した日、投与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し、使用日から少なくとも20年間保存すること。

22. 包装

1バイアル(日局注射用水10mL×1バイアル、薬液用両刃針添付)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

CSLベーリング株式会社
くすり相談窓口

〒107-0061 東京都港区北青山一丁目2番3号

電話:0120-534-587

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売(輸入)

CSLベーリング株式会社

東京都港区北青山一丁目2番3号



  • [献血又は非献血の区別の考え方]

    献血又は非献血の区別は製剤の安全性の優劣を示すものではありません。この表示区別は、下記の手順に従って決められています。

  • [ベリナートP静注用500の使用方法(薬液用両刃針がCSLベーリングトランスファーセットの場合)]

    注意:添付の薬液用両刃針の包装に表示されている名称を確認の上、該当する使用方法を参照すること。(nextaroトランスファーシステムの場合は次頁へ)

    • 1. 薬剤バイアル及び溶解液バイアルを室温に戻す。両バイアルのプラスチックキャップをはずし、ゴム栓をアルコール綿等で消毒する。
    • 2. 溶解器(薬液用両刃針:CSLベーリングトランスファーセット注))のシールを完全にはがして開封する。ブリスター包装から取り出さないこと。(図1)

      注)シールに記載されている販売名を確認すること。

    • 3. 溶解液バイアルを水平の台に置き、しっかりと握る。溶解器をブリスター包装に入れたままの状態で取り、青色側アダプターの穿刺部を、溶解液バイアルのゴム栓にまっすぐ下向きに刺しこむ。(図2)
    • 4. ブリスター包装の縁をつかみ、ブリスター包装のみを垂直に引き上げ、溶解器から慎重に取り外す。このとき、溶解器を一緒に引き上げないよう注意する。(図3)
    • 5. 薬剤バイアルを水平の台に置き、しっかりと握る。溶解器を付けた溶解液バイアルを逆さまにして、バイアル全体をしっかりと握り、溶解器の透明側アダプターの穿刺部を薬剤バイアルのゴム栓にまっすぐ下向きに刺し込む。このとき溶解液が薬剤バイアル中に移行します。(図4)
    • 6. 片手で青色の部分をつかみ、もう片方の手で透明な部分をつかみ、慎重に回して二つに分ける。(図5)
    • 7. 透明な部分を付けたまま、薬剤バイアルを泡立てないように緩やかに揺り動かして完全に溶解する。バイアルを振らないこと。(図6)
    • 8. 空の滅菌済注射器に空気を吸い込む。薬剤バイアルが直立した状態で、注射器を溶解器のルアーロックに接続し、薬剤バイアルの中に空気を注入する。(図7)
    • 9. 注射器のプランジャーを押したまま、薬剤バイアルごと全体を上下逆さまにして、プランジャーをゆっくりと引っ張りながら、薬液を注射器の中に吸引する。(図8)
    • 10. 薬液が注射器の中に移行したら、注射器のプランジャーを下向きにしたままの状態で、溶解器を注射器から取り外す。(図9)
  • *[ベリナートP静注用500の使用方法(薬液用両刃針がnextaroトランスファーシステムの場合)]

    注意:添付の薬液用両刃針の包装に表示されている名称を確認の上、該当する使用方法を参照すること。(CSLベーリングトランスファーセットの場合は前頁へ)

    • 1. 薬剤バイアル及び溶解液バイアルを室温に戻す。両バイアルのプラスチックキャップをはずし、ゴム栓をアルコール綿等で消毒する。
    • 2. トランスファーシステムの包装を開封する。
      • トランスファーシステム(薬液用両刃針:nextaroトランスファーシステム注))のシールを完全にはがして開封する。
        ブリスター包装から取り出さないこと。

        注)シールに記載されている販売名を確認すること。

    • 3. トランスファーシステムを溶解液バイアルに取り付ける。
      • 溶解液バイアルを水平の台に置き、しっかりと握る。
      • トランスファーシステムをブリスター包装に入れたままの状態で取り、アダプターの穿刺部を、溶解液バイアルのゴム栓にまっすぐ下向きに刺しこむ。
      • ブリスター包装のみを垂直に引き上げ、トランスファーシステムから慎重に取り外す。
    • 4. トランスファーシステムを薬剤バイアルに取り付ける。
      • 薬剤バイアルを水平の台に置き、しっかりと握る。
      • トランスファーシステムを付けた溶解液バイアルを逆さまにして、バイアル全体をしっかりと握り、トランスファーシステムのアダプターの穿刺部を薬剤バイアルのゴム栓にまっすぐ下向きに刺し込む。
        このとき溶解液が薬剤バイアル中に移行します。
    • 5. 薬剤の溶解を行う。
      • 薬剤バイアルを泡立てないように緩やかに揺り動かして完全に溶解する。
        バイアルを激しく振らないこと。
    • 6. トランスファーシステムを外し薬液採取の準備を行う。
      • 片手で薬剤バイアルをつかみ、もう片方の手でトランスファーシステムの青い部分をつかみ、慎重に反時計回りに回して溶解液バイアルとともに取り外す。
        薬剤バイアルの上部にシリンジと接続するルアーロックアダプターが確認できます。
    • 7. 薬液を採取する。
      • 空の滅菌済注射器に空気を吸い込む。薬剤バイアルが直立した状態で、注射器をトランスファーシステムのルアーロックアダプターに接続し、薬剤バイアルの中に空気を注入する。
      • 注射器のプランジャーを押したまま、薬剤バイアルごと全体を上下逆さまにして、プランジャーをゆっくりと引っ張りながら、薬液を注射器の中に吸引する。
      • 薬液が注射器の中に移行したら、注射器のプランジャーを下向きにしたままの状態で、トランスファーシステムを注射器から取り外す。

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