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フィブロガミンP静注用

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.7小児等
9.8高齢者
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
16.薬物動態
16.1血中濃度
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

フィブロガミンP静注用

添付文書番号

6343431D2020_1_09

企業コード

100806

作成又は改訂年月

2023年12月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

876343

薬効分類名

血漿分画製剤(乾燥濃縮人血液凝固第XIII因子製剤)

承認等

フィブロガミンP静注用

販売名コード

YJコード

6343431D2020

販売名英語表記

Fibrogammin P I.V.Injection

販売名ひらがな

ふぃぶろがみんPじょうちゅうよう

承認番号等

承認番号

22100AMX00055

販売開始年月

1994年9月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃

有効期間

30箇月

規制区分

一般的名称

ヒト血漿由来乾燥血液凝固第XIII因子

本剤は、貴重なヒト血液を原料として製剤化したものである。原料となった血液を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施するとともに、製造工程における一定の不活化・除去処理などを実施し、感染症に対する安全対策を講じているが、ヒト血液を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめること。

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

フィブロガミンP静注用

有効成分ヒト血漿由来の血液凝固第XIII因子   240国際単位以上
添加剤人血清アルブミン   0.8w/v%
ブドウ糖水和物   0.55w/v%
塩化ナトリウム   0.85w/v%
添付溶解液(日局注射用水)  4mL
備考  ヒト血液由来成分
採血国:米国、ドイツ、オーストリア
採血の区分1) :非献血
1バイアル中の分量

1) 「献血又は非献血の区別の考え方」参照

3.2 製剤の性状

フィブロガミンP静注用

pH6.5~7.5
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
性状本剤は白色ないし淡黄色の粉末であり、添付の溶解液(日局注射用水4mL)全量で徐々に溶解した場合、無色ないし淡黄色のほとんど澄明な液剤となる。

4. 効能又は効果

  • 先天性及び後天性血液凝固第XIII因子欠乏による出血傾向
  • 血液凝固第XIII因子低下に伴う縫合不全及び瘻孔
  • IgA血管炎における下記症状の改善
    • 腹部症状、関節症状

5. 効能又は効果に関連する注意

  • 〈IgA血管炎〉
    1. 5.1 以下の点に留意すること。
      1. 5.1.1 腹部症状もしくは関節症状を呈している患者に投与すること(本剤は、腹部症状、関節症状以外の症状に対して効果は確認されていない)。
      2. 5.1.2 原則として入院を必要とする比較的症状の重い患者

6. 用法及び用量

  • 〈効能共通〉

    本品を添付の日局注射用水に溶解する。

  • 〈先天性及び後天性血液凝固第XIII因子欠乏による出血傾向〉

    1日量4~20mLを緩徐に静脈内投与する。
    なお、年齢、症状などにより適宜増減する。

  • 〈血液凝固第XIII因子低下に伴う縫合不全及び瘻孔〉

    通常、成人に対して1日量12~24mLを緩徐に静脈内投与する。
    ただし、本剤は急性炎症、急性感染の消褪した後で、血清総タンパク、血清アルブミン等に異常が無く、縫合不全、瘻孔が存続し、血液凝固第XIII因子が70%以下に低下している患者に投与すること。なお、5日間投与しても症状に改善が認められない場合には、投与を中止すること。

  • 〈IgA血管炎における下記症状の改善〉

    通常、1日1回12~20mLを緩徐に静脈内投与する。
    なお、年齢、症状により適宜増減する。
    ただし、血液凝固第XIII因子が90%以下に低下している患者に投与すること。
    原則的に3日間の投与とする。

7. 用法及び用量に関連する注意

後天性血液凝固第XIII因子欠乏症に対して本剤の用量を増減する場合は、関連文献1) を参考に欠乏の原因(インヒビターなど)についても考慮すること。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤の使用にあたっては疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。
  2. 8.2 本剤の原材料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HIV、HBV、HCV及びHAVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。また、ヒトパルボウイルスB19についてもNATによるスクリーニングを実施し、適合した血漿を用いている。
    その後の製造工程である60℃、10時間液状加熱処理及びナノフィルトレーションは、HIVをはじめとする各種ウイルス除去・不活化効果を有することが確認されているが、投与に際しては、次の点に十分注意すること。
    血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。,,
  3. 8.3 現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
  4. 8.4 頻回輸注した場合、患者の血清中に血液凝固第XIII因子に対するインヒビターの発生を否定できないので、観察を十分に行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 新鮮血栓症の患者

    投与により症状を悪化させるおそれがある。

  2. 9.1.2 溶血性・失血性貧血の患者

    ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。

  3. 9.1.3 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者

    ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 ショック(頻度不明)

11.2 その他の副作用

頻度不明または5%以上

0.1~5%未満

0.1%未満

過敏症

発疹、発熱等

消化器

悪心、嘔吐

精神神経系

頭痛、めまい

血液

血小板減少、好酸球増多

肝臓

AST、ALT上昇

γ-GTP、Al-P、ビリルビン、LDH上昇

腎臓

BUN、クレアチニン上昇

その他

倦怠感

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

  1. 14.1.1 本剤添付の溶解液(日局注射用水)を注入後、速やかにバイアルを横にゆるやかに振り泡立たない様に溶解する。
  2. 14.1.2 他の製剤との混注は避けることが望ましい。
  3. 14.1.3 溶解後は直ちに使用すること。
  4. 14.1.4 一部を使用した残液は、細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。

14.2 薬剤投与時の注意

溶解時に著しい沈殿の認められるものは投与しないこと。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

先天性血液凝固第XIII因子欠乏症患者4例(年齢26~43歳:平均37.8歳)に本剤16mLを投与し、血中の第XIII因子活性を経時的に測定した。第XIII因子活性が最高値となった時の上昇率(本剤を1国際単位/kg投与したと仮定した時の第XIII因子活性の上昇率)は、0.84~2.13%(平均1.52%)であった。
各症例について投与後7日目まで第XIII因子活性を経時的に測定し、その理論曲線から生物学的半減期(t1/2)を求めると、6.9~13.2日(平均10.1日)であった2)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  • 〈先天性血液凝固第XIII因子欠乏による出血傾向〉
    1. 17.1.1 国内臨床試験

      先天性血液凝固第XIII因子欠乏患者を対象とした国内臨床試験において、1回あたり16mLを目安として本剤を緩徐に静脈内投与した。有効率は100%(4例/4例)であった2)

  • 〈血液凝固第XIII因子低下に伴う縫合不全及び瘻孔〉
    1. 17.1.2 国内臨床試験

      消化器外科手術後の縫合不全あるいは瘻孔の患者を対象とした国内臨床試験において、総症例46例に本剤を1日量24mL投与し、効果を判定した。評価可能例38例に対する改善率(中央委員会判定)は、縫合不全で改善率68.2%(15例/22例)、瘻孔で81.3%(13例/16例)であった3)

  • 〈IgA血管炎〉
    1. 17.1.3 国内臨床試験

      IgA血管炎の患者を対象とした国内臨床試験において、本剤を1日1回、12~20mL2) を3日間連続投与し、効果を判定した。解析対象12例でのIgA血管炎重症度スコアの推移において、有意な改善が認められた(Friedmanの順位検定)4),5)

      2) 第XIII因子活性として30~50国際単位/kgに相当する。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

  1. 18.1.1 止血作用

    本剤は、先天性及び後天性血液凝固第XIII因子欠乏による出血傾向を速やかに改善する6),7),8),9),10),11) 。その作用は、ヒト血漿を用いたin vitroの試験により第XIII因子のもつフィブリン網の安定化作用にあると考えられる12)

  2. 18.1.2 縫合不全・瘻孔の改善作用

    本剤は外科手術等により血液凝固第XIII因子が低下した際に起こる縫合不全、瘻孔を改善する3),13),14),15) 。その作用はマウスの線維芽細胞を用いたin vitroの試験により、第XIII因子が線維芽細胞の増殖担体であるフィブリンを架橋し、フィブリン網の構造を変えることにより線維芽細胞増殖を促進するものと考えられる16),17),18) 。また、ラットを用いたin vivoの試験により、第XIII因子は創部におけるコラーゲン合成の促進作用を有することが認められた19)

  3. 18.1.3 IgA血管炎における症状の改善

    本剤は、血液凝固第XIII因子の低下を伴うIgA血管炎の腹部・関節症状を改善する。その作用は血液凝固第XIII因子が血管破綻部に生じたフィブリンクロットを強固なものにすることにより、消化管からの出血を抑制し、腹部症状(腹痛、血便)の改善に効果を示すものと考えられる4),5) 。ラットを用いた胃出血モデルにおいても第XIII因子が胃出血を抑制することが明らかとなっている20) 。更に、こうして生じた強固なクロット上で線維芽細胞の増殖を促進させることにより16),17),18) 消化管、腎等の侵襲部位の組織修復を促進し、効果を示すものと考えられる。また第XIII因子はフィブロネクチン分子間にも架橋結合を形成することから21) 、細胞間接着を安定化させることにより血管透過性亢進を抑制することが示唆されており22) 、関節症状の改善に効果を示すものと考えられる。

20. 取扱い上の注意

本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与又は処方した場合は、医薬品名(販売名)、その製造番号(ロット番号)、投与又は処方した日、投与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し、使用日から少なくとも20年間保存すること。

22. 包装

1バイアル(日局注射用水4mL×1バイアル付)
6バイアル(日局注射用水4mL×6バイアル付)

23. 主要文献

1) 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:人血液凝固第XIII因子 後天性血液凝固第XIII因子欠乏症による出血傾向

2) 杉村大作 他:新薬と臨床,42(7),1368,1993

3) 武藤輝一 他:新薬と臨床,44(1),26,1995

4) 大国真彦 他:新薬と臨床,44(8),1310,1995

5) 大国真彦 他:新薬と臨床,48(2),165,1999

6) 福井 弘 他:基礎と臨床,8(10),3203,1974

7) 三上俊衛 他:薬理と治療,4(8),1963,1976

8) 中村克己 他:臨床血液,18(5),636,1977

9) 武 弘道 他:日本小児科学会雑誌,81(5),380,1977

10) 塚田理康:共済医報,26(2),138,1977

11) Ichinose, A., et al.:Thromb. Haemost., 105(5), 925, 2011

12) Mckee, P. A., et al.:Ann. N. Y. Acad. Sci., 202, 127, 1972

13) 第XIII因子研究会(第一報):最新医学,36(12),2492,1981

14) 第XIII因子研究会(第二報):最新医学,36(12),2496,1981

15) 第XIII因子研究会(第三報):最新医学,39(10),2132,1984

16) Ueyama, M., et al.:Japan. J. Exp. Med., 48(2), 135, 1978

17) 上山 護 他:血液と脈管,10(4),505,1979

18) 宮地就久 他:薬理と治療,21(6),1721,1993

19) 磯部 潔 他:応用薬理,22(5),709,1981

20) 田中俊三 他:薬理と治療,18(3),205,1990

21) Mosher, D. F., et al.:J. Biol. Chem., 250, 6614, 1975

22) Hirahara, K., et al.:Thromb. Res., 71, 139, 1993

24. 文献請求先及び問い合わせ先

CSLベーリング株式会社
くすり相談窓口

〒107-0061 東京都港区北青山一丁目2番3号

電話:0120-534-587

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売(輸入)

CSLベーリング株式会社

東京都港区北青山一丁目2番3号



  • [献血又は非献血の区別の考え方]

    献血又は非献血の区別は製剤の安全性の優劣を示すものではありません。この表示区別は、下記の手順に従って決められています。

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