当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
処方箋医薬品注)
生物由来製品
汎発性血管内血液凝固症(DIC)
通常、成人には、トロンボモデュリン アルファとして1日1回380U/kgを約30分かけて点滴静注する。なお、症状に応じ適宜減量する。
再出血、出血性脳梗塞を起こした場合、重篤な転帰をたどるおそれがある。
一般に重篤な出血有害事象の発現率が高いことが報告されている。
leukostasisを発現する頻度が高いため、脳等重要臓器での出血が発現するおそれがある。
出血を助長する可能性がある。
第Ⅲ相臨床試験において、本剤投与前及び投与中に血小板数が50,000/μL以下となった患者では、50,000/μLを超える患者に比べ出血有害事象の発現率が高かった。また、一般に凝血学的検査において線溶系が過度に活性化している状態では、出血のリスクは高くなる。
可能な限り本剤投与前、又は投与開始後早期にプロテインC濃度を測定し、10%以下の低値であり、かつDICの改善がみられない場合は速やかに他剤での治療に切り替えること。プロテインCの濃度が検出限界以下(10%以下)に低下した患者では薬効が減じるおそれがある。第Ⅲ相臨床試験において、プロテインC濃度が10%以下に低下した患者4例はいずれも本剤投与後DICから非離脱であった。
,
一般に肝機能障害が高度の患者では全身状態は悪化し易い。
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
投与しないこと。動物実験で大量投与により、膣からの出血(ラット、サル)、母動物の死亡(ラット)、及び胎児の死亡(サル)が報告されている2),3),4) 。
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。大出血を伴う産婦には、他剤で効果が不十分な場合のみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットに静脈内投与した実験で乳汁中への移行が報告されている5) 。
*抗凝固剤
本剤の作用が増強するおそれがある。他の抗凝固剤と本剤との併用の安全性は明らかになっておらず、併用に際しては慎重に投与の判断を行うこと。
併用により、抗凝固作用が相加的に作用する6),7),8),9),10) 。
血栓溶解剤
他の抗凝固剤(ヘパリン)でその作用を増強することが報告されている。
本剤の抗凝固作用とこれら薬剤のフィブリン溶解作用により出血傾向が増強するおそれがある。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
本剤の抗凝固作用とこれら薬剤の血小板凝集抑制作用により出血傾向が増強するおそれがある。
デフィブロチドナトリウム
出血傾向が増強するおそれがある。
頭蓋内出血(頻度不明)、肺出血(0.9%)、消化管出血(頻度不明)等の重篤な出血があらわれることがあるので、徴候がみられた場合には画像診断等により確認し、投与を中止する等、適切な処置を行うこと。
5%以上
5%未満
頻度不明
出血障害
穿刺部位出血
口内出血、紫斑(病)、血尿、鼻出血、下血、血腫
消化管出血、便潜血陽性、皮下出血、腹腔内出血、気道出血、創傷出血、筋肉内出血、胸腔内出血
皮膚・皮膚付属器障害
発疹
多形滲出性紅斑様皮疹、丘疹
消化管障害
胃潰瘍
肝臓・胆管系障害
血清AST上昇、血清ALT上昇
黄疸、ビリルビン血症
代謝・栄養障害
アルカリフォスファターゼ上昇、高コレステロール血症、低カリウム血症、低クロール血症、低コレステロール血症、糖尿、コリンエステラーゼ低下、血中尿酸低下、高トリグリセライド血症
LDH上昇、高カリウム血症、高クロール血症、低血糖、高ナトリウム血症
血管(心臓外)障害
アレルギー紫斑病
呼吸器系障害
呼吸困難
赤血球障害
貧血
泌尿器系障害
蛋白尿、尿円柱、尿沈渣白血球、尿潜血陽性、尿沈渣赤血球
一般的全身障害
胸痛、浮腫
発熱
誤って過量投与した場合には、その後の投与を中止し、出血傾向の増悪等十分に観察を行い、凝血能の変動に注意する。本剤の抗凝固作用を中和する薬剤は知られていない。
健康成人男性に本剤1,900U/人(0.3mg/人)を2時間かけて点滴静注注)したとき、血漿中のトロンボモデュリン アルファは投与終了後にCmaxに達し、その後2相性で消失した(T1/2α約4時間、T1/2β約20時間)11) 。薬物速度論的パラメータを以下に示す。
投与量
薬物速度論的パラメータ(4例の平均値±標準偏差)
Cmax(ng/mL)
AUCa)(ng・hr/mL)
T1/2α(hr)
T1/2β(hr)
CLtot(mL/hr/kg)
1,900U(0.3mg)
121.75±5.16
3030.89±291.62
3.97±1.96
20.48±2.22
1.52±0.25
a)時間0~無限大の値
後期第Ⅱ相臨床試験時の投与前、1日目投与終了時、6日目投与終了時、及び6日目投与後24時間(7日目)の血漿中濃度を測定したところ、各血漿中濃度は用量依存的な増加がみられ6日目投与終了時に最高濃度に達した後、6日目投与後24時間で低下した12) 。各時点の血漿中濃度を以下に示す。なお、トロンボモデュリン アルファの動態に性差は認められなかった13) 。
ラットに125I-トロンボモデュリン アルファを静脈内投与した際の放射能の溶出パターンをゲルろ過クロマトグラフィにより調べたところ、いずれの時点も血漿中には、未変化体と同じ溶出位置にのみ放射能ピークが検出されたことから、トロンボモデュリン アルファは血漿蛋白質との結合はほとんどないものと考えられた5) 。
ラットに125I-トロンボモデュリン アルファを静脈内急速投与した際の組織内放射能濃度は血漿で最も高く、肝臓、腎臓、脾臓等の組織はいずれも血漿中濃度の21%以下で、組織移行性は低かった。血球移行性も低く、測定したいずれの時点も血球移行率は5.3%以下であった。消失はいずれの組織も血漿とほぼ同様の減衰を示したことから、残留性は認められなかった5) 。
健康成人男性にトロンボモデュリン アルファを静脈内投与した試験において、投与終了後48時間までの尿中に、投与した量の54~74%のトロンボモデュリン アルファ(ELISAにて検出)が回収されたことから、静脈内投与されたトロンボモデュリン アルファはその多くが代謝を受けず、未変化体のまま尿中に排泄されるものと考えられた11) 。
健康成人男性にトロンボモデュリン アルファ1,300U/人(0.2mg/人)を2時間かけて1日1回3日間反復点滴静注注)したところ、最終投与後48時間までに総投与量の73.6%が尿中に排泄された11) 。
製造販売後臨床試験において、腎機能障害を伴うDIC患者に本剤380U/kg(0.06mg/kg)あるいは130U/kg(0.02mg/kg)を1日1回30分かけて6日間点滴静注したときの初回投与後のデータ(表、図)を以下に示す14) 。,
実測24時間Ccr(mL/min)
na)
薬物速度論的パラメータ(平均値±標準偏差)
最小~最大平均値
AUC0-24(ng・hr/mL)
T1/2(hr)
380U/kg
60≤
60.5~97.478.4
10(0)
807±160
11,100±1,700
16.2±3.52
3.56±0.697
30≤ <60
35.3~55.147.9
6(2)
987±294
14,300±3,010
22.0±2.93
2.29±0.515
10≤ <30
13.6~23.218.1
1,110±460
14,400±4,480
16.8±2.03
2.76±0.731
<10
0~9.95.6
9(8)
828±156
12,900±2,910
27.3±12.0
2.39±0.988
130U/kg
92.3
1(0)
221
2,910
14
4.85
-
0
11.7~26.920.5
3(1)
390±95.0
5,580±1,000
19.9±4.25
2.16±0.605
0.4~5.43.3
4(4)
287±41.6
4,580±847
23.0±5.72
2.40±0.720
a):( )内は持続的血液濾過透析実施症例数
肝機能障害患者においては、トロンボモデュリン アルファの動態に変化は認められなかった13) 。
65歳以上の高齢者では、非高齢者と比較してトロンボモデュリン アルファのクリアランスに統計学的に有意な低下(16%程度)がみられたが、投与量補正を必要とする程度のものではないと考えられた13) 。
後期第Ⅱ相臨床試験において併用率の高かった(15%以上)薬剤(ファモチジン、フロセミド、フルコナゾール、アロプリノール等)についてそれらの併用によるトロンボモデュリン アルファの動態への影響を検討した結果、いずれもトロンボモデュリン アルファの動態には影響がないことが確認された13) 。注)本剤の承認された用法・用量は、「通常、成人には、トロンボモデュリン アルファとして1日1回380U/kgを約30分かけて点滴静注する。なお、症状に応じ適宜減量する。」である。
造血器悪性腫瘍・感染症を基礎疾患とするDIC患者を対象に、本剤(1日1回380U/kg)又は対照薬としてヘパリンナトリウムを6日間投与した二重盲検比較試験における232例の成績の概要は次のとおりである15) 。
固形癌を基礎疾患とするDIC患者を対象に、本剤(1日1回380U/kg)を投与した非盲検非対照製造販売後臨床試験における101例の成績の概要は、次のとおりである。なお、本剤の投与期間は6日間を基本とし、最長14日間の投与を可能とした。投与期間の内訳は、1~6日間が38例、7~14日間が63例であった16) 。
本剤は、トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する。生成した活性化プロテインCは、活性化第Ⅴ因子及び活性化第Ⅷ因子を不活化することによってトロンビンの生成を抑制し、血液凝固系の活性化を阻害する。本剤は、トロンビンの生成阻害作用に基づいた抗凝固作用により、DICの発症を抑制する。
トロンビンによるプロテインC活性化を促進した(in vitro)17) 。
ヒト正常血漿におけるトロンビン凝固時間を延長した(in vitro)18) 。
トロンボモデュリン アルファ(遺伝子組換え)(JAN)
ヒトトロンボモデュリンの1-498番目のアミノ酸残基をコードするcDNAの発現により、チャイニーズハムスター卵巣細胞で産生される498個のアミノ酸残基(C2230H3357N633O718S50;分子量:52,124.58)からなる糖タンパク質(分子量:約64,000)
外箱開封後は遮光して保存すること。
1バイアル、10バイアル
1) Niimi S.et al.:Biologicals.2002;30(1),69-76
2) 高橋弘樹他:薬理と治療 2007;35(12),1173-1199
3) 高橋弘樹他:薬理と治療 2007;35(12),1211-1226
4) 尾根田暁他:薬理と治療 2007;35(12),1201-1209
5) 社内資料:AT-908の体内動態試験(I)ラットにおける分布、代謝、排泄(2008年1月25日承認、CTD2.6.4.4)
6) 社内資料:ART-123とヘパリンのAPTT延長作用における薬力学的薬物相互作用の検討(2008年1月25日承認、CTD2.6.2.5)
7) 社内資料:ART-123とダルテパリンのAPTT延長作用における薬力学的薬物相互作用の検討(2008年1月25日承認、CTD2.6.2.5)
8) 社内資料:ART-123のトロンビン生成阻害作用に対するヘパリン、ダルテパリン、メシル酸ガベキサート、及びメシル酸ナファモスタットの作用(2008年1月25日承認、CTD2.6.2.5)
9) 社内資料:ART-123とメシル酸ガベキサートのAPTT延長作用における薬力学的薬物相互作用の検討(2008年1月25日承認、CTD2.6.2.5)
10) 社内資料:ART-123とメシル酸ナファモスタットのAPTT延長作用における薬力学的薬物相互作用の検討(2008年1月25日承認、CTD2.6.2.5)
11) Nakashima M.et al.:J. Clin. Pharmacol.1998;38(1),40-44
12) 社内資料:後期第2相臨床試験(2008年1月25日承認、CTD2.7.6.4)
13) 社内資料:ART-123のpopulation pharmacokinetics解析(2008年1月25日承認、CTD2.7.2.2)
14) Hayakawa M.et al.:Thromb Haemost.2017;117(5),851-859
15) Saito H.et al.:J Thromb Haemost.2007;5(1),31-41
16) Tamura K.et al.:Int. J. Clin. Oncl.2015;20(4),821-828
17) 中薗修他:薬理と治療 2006;34(4),347-353
18) Mohri M.et al.:Thromb. Haemost.1999;82(6),1687-1693
19) Mohri M.et al.:Am. J. Hematol.1994;45(4),298-303
20) Mohri M.et al.:Blood Coagul. Fibrinolysis 1997;8(5),274-283
21) Gonda Y.et al.:Thromb. Res.1993;71(4),325-335
22) Aoki Y.et al.:Thromb. Haemost.1994;71(4),452-455
23) 中薗修他:薬理と治療 2006;34(4),355-360
24) 中薗修他:薬理と治療 2006;34(4),361-365
旭化成ファーマ株式会社 くすり相談窓口
〒100-0006 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号
フリーダイヤル0120-114-936(9:00~17:45/土日祝、休業日を除く)
旭化成ファーマ株式会社
東京都千代田区有楽町一丁目1番2号
〈参考〉
力価単位について 主要文献2)~4)では、トロンボモデュリン アルファの力価は社内力価測定法に基づいた単位で表示されている。社内力価測定法に基づく単位「1U」は、現測定法の「0.10U」に相当し、本剤1バイアルの含有量12,800Uは、社内力価測定法では128,000Uとなる。
投与量について 主要文献2)~24)では、トロンボモデュリン アルファの投与量(あるいは設定濃度)は重量表示(mg等)で表示されている。「1mg」は「6,400U」に相当し、本剤1バイアルの含有量12,800Uは、2mgとなる。
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.