当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
処方箋医薬品注)
レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)の改善
本剤は経口レボドパ含有製剤に対する治療反応性及び忍容性が認められるパーキンソン病患者に対して使用すること。
本剤投与前の経口レボドパ量に応じて初回投与量を決定し、朝の投与及び持続投与に分けて胃瘻を通じて空腸に直接投与する。その後は患者の症状により、以下の用量範囲で投与量を調整する。なお、必要に応じて持続投与中に追加投与を行うことができる。
通常、成人には、朝の投与として5~10mL(レボドパ/カルビドパ水和物として100/25~200/50mg)を10~30分かけて投与した後、2~6mL/時間(レボドパ/カルビドパ水和物として40/10~120/30mg/時間)で持続投与する。なお、1日の最大投与時間は16時間とする。1回あたりの追加投与は0.5~2.0mL(レボドパ/カルビドパ水和物として10/2.5~40/10mg)とする。
本剤の投与量は症状により適宜増減するが、朝の投与は15mL(レボドパ/カルビドパ水和物として300/75mg)、持続投与は10mL/時間(レボドパ/カルビドパ水和物として200/50mg/時間)を超えないこととする。また、1日総投与量は100mL(レボドパ/カルビドパ水和物として2000/500mg)を超えないこととする。
前日の朝に使用した経口レボドパ・カルビドパ水和物製剤のレボドパ量に応じ、以下に従って算出すること。
前日朝のレボドパ量
本剤投与開始日の朝の投与量
0~200mg
[前日朝の経口レボドパ量(mg)×0.8÷20(mg/mL)](mL)
201~399mg
[前日朝の経口レボドパ量(mg)×0.7÷20(mg/mL)](mL)
400mg以上
[前日朝の経口レボドパ量(mg)×0.6÷20(mg/mL)](mL)
本剤を経胃瘻空腸内投与する場合、毎日、朝の投与量とともにチューブ充填量を投与すること。本剤を経鼻空腸内投与する場合は、本剤投与開始日のみ、朝の投与量とともにチューブ充填量を投与すること。なお、チューブ充填量は、以下のとおりである。
チューブの種類
チューブ充填量
経胃瘻空腸内投与用チューブ(アッヴィJチューブ又はL-ドパ持続経腸療法用Jチューブ)
3mL
経鼻空腸内投与用チューブ(アッヴィNJチューブ)
5mL
前日の朝の投与後1時間以内の臨床反応が不十分な場合、以下に従って朝の投与量を調整すること。
前日に使用したレボドパ量に応じ、下式に従って算出すること。1時間あたりの投与速度(mL/時間)=[前日の日中16時間の経口レボドパ・カルビドパ水和物製剤のレボドパ量(mg)-前日朝の経口レボドパ・カルビドパ水和物製剤のレボドパ量(mg)]×0.9÷20(mg/mL)÷16(時間)
持続投与速度の調整は0.1mL/時間(レボドパとして2mg/時間)毎を目安とすること。
症状が悪化するおそれがある。
眼圧上昇を起こし、緑内障が悪化するおそれがある。
精神症状が悪化するおそれがある。
血糖値の上昇を誘発し、インスリン必要量を増大させるとの報告がある。
副作用の発現が増加するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ウサギ)で催奇形性が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。乳汁分泌が抑制されるおそれがある。レボドパはヒト乳汁中に分泌される。また、動物実験(ラット)でカルビドパの乳汁移行が報告されている。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
血圧降下剤
起立性低血圧等の症候性低血圧が発現するおそれがある。本剤開始時や増量時には血圧降下剤の減量を考慮すること。
レボドパの血圧降下作用により、相加的に血圧降下作用が増強すると考えられている。
レセルピン製剤テトラベナジン
本剤の作用が減弱するおそれがある。パーキンソン症状の悪化についてモニタリングすること。
左記薬剤の脳内ドパミン減少作用により、パーキンソン症状が悪化する。
ドパミンD2受容体遮断作用を有する薬剤(抗精神病薬等)
ドパミン作動性神経において本剤と作用が拮抗するため。
鉄剤
キレートを形成し、本剤の吸収が減少する。
イソニアジド
機序不明であるが、イソニアジドによるドパ脱炭酸酵素阻害により脳内でのドパミンへの変換が抑制されるためと考えられている。
パパベリン塩酸塩
機序不明
スピラマイシン
レボドパの血中濃度が低下し、本剤の作用が減弱するおそれがある。
カルビドパの吸収が阻害されることにより、レボドパの血中濃度が低下したとの報告がある。
NMDA受容体拮抗剤
メマンチン塩酸塩 等
本剤の作用を増強するおそれがある。
左記薬剤がドパミン遊離を促進する可能性がある。
他の抗パーキンソン剤
精神神経系等の副作用が増強することがある。
併用によりレボドパの効果増強につながるが、同時に精神神経系等の副作用が増強する可能性がある。
急激な減量又は投与中止により、高熱、意識障害、高度の筋強剛、不随意運動、ショック状態、精神状態変化(激越、錯乱、昏睡等)、自律神経症状、CK上昇等があらわれ、まれに横紋筋融解症を続発するおそれがある。本剤の急激な減量又は中止は避けるとともに、このような症状が認められた場合には、再投与後、漸減し、体冷却、水分補給等適切な処置を行うこと。
前兆のない突発的睡眠があらわれることがある。
急激な眼圧上昇を伴う閉塞隅角緑内障を起こすことがあるので、霧視、眼痛、充血、頭痛、嘔気等が認められた場合には、投与を中止し、直ちに適切な処置を行うこと。,
5%以上
5%未満
頻度不明
消化器
腹痛、便秘、口腔咽頭痛
下痢、悪心、腹部不快感、腹部膨満、消化管穿孔、気腹
放屁、虚血性大腸炎、上腹部痛、嚥下障害、口内乾燥、流涎過多、胃腸出血、食欲不振、胸やけ、口内炎
肝臓
―
ALT上昇、AST上昇、血中アルカリホスファターゼ増加、LDH上昇
皮膚
皮膚潰瘍
発疹、蕁麻疹、脱毛症
精神・神経
ジスキネジア、頭痛
不眠症
激越、精神病性障害、失見当識、自殺企図、多発ニューロパチー、睡眠発作、睡眠障害、不随意運動、病的賭博、病的性欲亢進、不安・焦燥感、歩行障害、傾眠、めまい、味覚異常、興奮、振戦の増強、しびれ感、ドパミン調節障害症候群
呼吸器
鼻出血
誤嚥性肺炎
循環器
血圧低下、血圧上昇
心拍数不整、動悸、 低血圧、起立性低血圧
代謝・栄養
体重減少、食欲減退
血中ホモシステイン増加、高ホモシステイン血症、ビタミンB12減少、ビタミンB12欠乏、ビタミンB6減少、ビタミンB6欠乏
筋骨格
筋骨格系胸痛、筋骨格痛
筋痙縮、筋肉痛
感覚器
視覚異常
泌尿器・生殖器
排尿異常、BUN上昇
血液・リンパ
顆粒球減少、貧血
全身症状
異常高熱
転倒
疲労、無力症、胸痛、浮腫、倦怠・脱力感
*感染症
ー
尿路感染
その他
抗DNA抗体・クームス試験の陽性例、のぼせ感、発汗、嗄声、唾液・痰・口腔内粘膜・汗・便・尿の変色(黒色等)
投与部位
切開部位痛、過剰肉芽組織、術後疼痛、切開部位紅斑、医療機器挿入合併症(腹痛、腹部不快感、腹部膨満、気腹等)、ストーマ部感染、切開部位発疹、縫合関連合併症
チューブ留置部位疼痛、チューブ留置部位そう痒感、チューブ位置異常、チューブ屈曲、チューブ留置部位感染、切開部位蜂巣炎、切開部位皮膚炎、切開部位感染、ストーマ部蜂巣炎、術後イレウス、ストーマ部紅斑、創合併症
異常な不随意運動、混乱、不眠、まれに悪心、嘔吐、不整脈等が起こるおそれがある。
速やかに投与を中止しポンプを外すこと。ピリドキシンは本剤の作用反転に有用でない。透析による除去効果は明らかでない。
本剤の投与は専用の治療システムと組み合わせて行うため、ポンプ及びチューブ等の専用機器の電子添文、説明書等を熟読し、これらの指示及び注意に従い適切に投与すること。
経胃瘻空腸投与する場合は、本剤の投与終了後、毎日、アッヴィJチューブ又はL-ドパ持続経腸療法用Jチューブをフラッシングすること。本剤を長期投与することによりチューブが閉塞するおそれがある。
本剤には、カルビドパの分解物であるヒドラジンが含有されており、ヒドラジンは動物試験において遺伝毒性及びがん原性を示すことが報告されている。
日本人の進行期パーキンソン病患者による第Ⅱ相臨床試験において本剤を空腸内投与したところ、レボドパは迅速に治療血漿中濃度に達し、投与時間を通して安定した濃度を維持した(下図)。本剤投与後の血漿中レボドパ濃度の被験者内変動は、レボドパ・カルビドパ水和物錠投与時に比べ約1/4に低下した(それぞれ10%及び38%)1)。
(n= 5、用量:レボドパ1370±353mg、カルビドパ342±88mg)
本剤は空腸に直接投与される。レボドパは高分子量の中性アミノ酸(LNAA)輸送体を介し、腸管より速やかにかつ効率的に吸収される2),3)(外国人データ及びin vitro)。
赤血球及び血漿間のレボドパの分配比は約1である4)。レボドパの血漿蛋白結合率はごくわずかである(約10~30%)5)。カルビドパは血漿蛋白に約36%結合する6)(in vitro)。ラットにおいてレボドパはLNAA輸送体により脳内に移行し、カルビドパは脳血液関門を透過しなかった。
カルビドパとの併用時、レボドパの消失半減期は約1.5時間であった7)。レボドパは代謝によって完全に消失し、生成した代謝物は主として尿中に排泄された。レボドパは主として芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AAAD)及びカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)による代謝を介して消失する。その他の代謝経路としてアミノ基転移及び酸化がある8)。酵素阻害剤を併用投与しないとき、AAADを介するレボドパからドパミンへの脱炭酸が主代謝経路になる。COMTを介するレボドパのO-メチル化により3-O-メチルドパが生成する。カルビドパは2種類の主代謝物(α-メチル-3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルプロピオン酸及びα-メチル-3,4-ジヒドロキシフェニルプロピオン酸)に代謝される。これら2種類の代謝物は未変化体又はグルクロン酸抱合体として主として尿中に排泄される9)。カルビドパの消失半減期は約2時間であった7)(外国人データ)。
パーキンソン病患者に放射能標識したレボドパを経口投与したところ、24時間までに投与量の約85%の放射能及び0.8%の未変化体が尿中に排泄された。糞中の放射能排泄率は2%未満であった10)。パーキンソン病患者に放射能標識したカルビドパを経口投与したところ、投与量の約50%及び35%の放射能がそれぞれ尿中及び糞中に排泄された。尿中の標識物質の32%が未変化体であった6)(外国人データ)。
レボドパは、LNAA輸送体の基質の一種であり、この輸送体が腸における吸収及び脳への輸送を促進している11)。COMT阻害剤であるエンタカポンとの併用経口投与は血漿中濃度を増加させなかった12)(外国人データ)。
既存治療で十分な効果が得られない、継続した重度の運動合併症を有する日本人を含む進行期パーキンソン病患者(オフ時のHoehn & Yahrの重症度分類Ⅳ及びⅤ)を対象として本剤を非盲検で単独投与した。短期間(平均6.9日間)の経鼻空腸内投与の後、胃瘻が造設され、12週間経胃瘻空腸内投与された。経胃瘻空腸内投与12週時の1日あたりの本剤の投与量(レボドパ量)(平均値±標準偏差)は、朝の投与量120.9±64.45mg、維持投与量976.1±410.91mg、追加投与量72.6±65.19mg、総投与量1206.3±493.62mgであった。有効性評価対象(29例[日本人22例])における標準化した1日あたりの平均オフ時間のベースラインからの変化量は下表のとおりであり、有意な減少が認められた。
オフ時間(時間)※
ベースラインからの変化量(時間)
95%信頼区間
p値§
ベースライン
最終評価時
7.37±2.263
2.72±2.320
–4.64±2.992
[–5.78、–3.50]
<0.001
平均値±標準偏差※1日を16時間(起きている時間)として補正した数値§一標本t検定
安全性評価対象31例(日本人23例)のうち、30例(96.8%)で副作用が認められた。主な副作用は切開部位痛13例(41.9%)、過剰肉芽組織10例(32.3%)、術後疼痛5例(16.1%)、切開部位紅斑、ジスキネジア各4例(12.9%)であった。
ドパミンの前駆体であるレボドパは、血液脳関門を通過し、脳内でドパミンに変換され、レボドパがパーキンソン病の症状を軽減すると考えられる。レボドパは末梢でDDC及びCOMTにより大部分が代謝されるため、代謝酵素阻害剤を併用しない場合、脳内に取り込まれるレボドパ量はごくわずかである。
カルビドパは末梢性ドパ脱炭酸阻害薬である。カルビドパの脱炭酸酵素阻害活性は脳外組織に限定されるため、カルビドパとレボドパとの併用投与によって、カルビドパは末梢におけるレボドパの脱炭酸化を阻害し、脳内に移行するレボドパ量を増加させ、また、レボドパの脱炭酸反応に起因する末梢作用(悪心、嘔吐など)を軽減する。
レボドパ(Levodopa)[JAN]
3-Hydroxy-L-tyrosine
C9H11NO4
197.19
白色又はわずかに灰色を帯びた白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。ギ酸に溶けやすく、水に溶けにくく、エタノール(95)にほとんど溶けない。希塩酸に溶ける。
カルビドパ水和物(Carbidopa Hydrate)[JAN]
(2S)-2-(3,4-Dihydroxybenzyl)-2-hydrazinopropanoic acid monohydrate
C10H14N2O4・H2O
244.24
白色~帯黄白色の粉末である。メタノールにやや溶けにくく、水に溶けにくく、エタノール(95)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
冷蔵庫内では外箱に入れて保存すること。
デュオドーパ配合経腸用液:7カセット
1) Othman AA, et al. : Clin. Pharmacokinet., 2015;54:975-984.
2) Lennernäs H, et al. : Br. J. Clin. Pharmacol., 1993;35:243-250.
3) Wade DN, et al. : Nature, 1973;242:463-465.
4) Floud A, et al. : Biochim. Biophys. Acta, 1981;645:165-169.
5) Hinterberger H, et al. : Arch. Neurol., 1972;26:245-252.
6) Vickers S, et al. : Drug Metab. Dispos., 1974;2:9-22.
7) Yeh KC, et al. : Neurology, 1989;39(Suppl 2):25-38.
8) Nutt JG, et al. : Clin. Neuropharmacol., 1984;7:35-49.
9) Vickers S, et al. : J. Med. Chem., 1975;18:134-138.
10) Morgan JP, et al. : Arch. Neurol., 1971;25:39-44.
11) Wade L, et al. : Life Sci. 1975;17:131-136.
12) Nutt JG, et al.: Advances in Neurology, 1996;69:493-496.
アッヴィ合同会社 くすり相談室
〒108-0023 東京都港区芝浦3-1-21
フリーダイヤル 0120-587-874
アッヴィ合同会社
東京都港区芝浦3-1-21
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.