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劇薬
処方箋医薬品注)
脊椎麻酔(腰椎麻酔)
以下に示す本剤の等比重製剤、高比重製剤の特性並びに手術部位及び患者の状態を十分考慮して適宜、製剤を選択すること。等比重製剤:麻酔範囲の広がりが緩徐で、高比重製剤に比べて作用発現時間が遅く、作用持続時間が長い。高比重製剤:麻酔範囲の広がりが比重に依存しているため手術台の傾斜によりある程度の麻酔範囲の調節が可能である。等比重製剤に比べて作用発現時間が早く、作用持続時間が短い。
通常、成人にはブピバカイン塩酸塩水和物(無水物として)1回10~20mg(2~4mL)を脊髄クモ膜下腔に注入する。なお、年齢、身長、麻酔領域、部位、組織、症状、体質に応じ適宜増減するが、1回20mg(4mL)を超えないこと。
20mg(4mL)を超えて投与しないこと。20mgを超えて投与された場合の有効性・安全性が評価されていない。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。脊椎麻酔により神経障害があらわれることがある。
投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと。麻酔範囲が広がりやすいという報告がある。
投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと。仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい。麻酔中はさらに増悪することがある。
投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと。血圧低下の発現率が高くなる傾向がある。また、麻酔範囲が広がりやすい。
やむを得ず投与する場合は観察を十分に行うこと。出血しやすく、血腫形成や脊髄への障害を起こすことがある。
患者の全身状態の観察を十分に行うこと。脊椎麻酔により循環動態が急変しやすく、血圧低下や病状の悪化が起こりやすい。
やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行うこと。脊髄や神経根の損傷のおそれがあり、また麻酔範囲の予測も困難である。
生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある。
症状を悪化させることがある。
症状が悪化することがある。
中毒症状が発現しやすくなる。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等慎重に投与すること。一般に麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下している。
アミド型局所麻酔剤
中毒症状が相加的に起こるおそれがある。
他の局所麻酔剤との併用で中毒症状が相加的に起こることが考えられる。
クラスⅢ抗不整脈剤
心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと。
作用が増強することが考えられる。
過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制、心停止等があらわれることがある。また、まれにアナフィラキシーショックがあらわれることがある。,
振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は、直ちにジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)の投与等の適切な処置を行うこと。
注射針の留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性の異常感覚が発現することがある。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的な異常感覚、疼痛、知覚障害、筋脱力、運動障害、膀胱直腸障害等の神経学的疾患があらわれることがある。
5%以上
1~5%
1%未満
頻度不明
循環器
血圧低下注1)、徐脈注1)
洞性不整脈注1)
消化器
嘔気注1)
嘔吐注1)
中枢・末梢神経系
下肢しびれ感
呼吸器
動脈血酸素飽和度低下注1)
呼吸困難注1)
過敏症
発疹、そう痒
その他
くも膜炎
局所麻酔剤の過量投与や血管内誤投与又は非常に急速な吸収等による血中濃度の上昇に伴い、中毒症状が発現する。特に血管内誤投与となった場合には、数分以内に発現することがある。その症状は、主に中枢神経系及び心血管系の症状としてあらわれる。また、腕神経叢ブロックや坐骨神経ブロック等の伝達麻酔や硬膜外麻酔で、人工蘇生術が困難及び死亡に至った報告がある。
初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲の知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦等があらわれる。症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがある。より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある。
血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系の抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。これらの心血管系の症状は、鎮静下又は全身麻酔下において、中枢神経系症状を伴わずに発生することがある。
振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。
成人男性にブピバカイン塩酸塩(0.5%等比重液又は高比重液、4mL)を脊髄クモ膜下腔(L3-4)に投与後の血液中未変化体濃度は、投与約2時間後にCmax(約55ng/mL)を示し、その後、約6時間の半減期で減少した。高比重液投与時の最高血中濃度到達時間は、等比重液に比べて約0.5時間早まったが、Cmax及びAUCにほとんど差は認められなかった1)(外国人データ)。
投与液濃度、比重及び投与液量
n
tmax(h)
Cmax(ng/mL)
t1/2(h)
AUC0-8h(μg・min/mL)
0.5%、等比重、4mL
11
2.2±0.5
52.8±11.6
6.1±2.4
17.0±4.5
0.5%、高比重、4mL
1.6±0.9
56.2±15.4
6.6±3.3
17.3±2.0
(平均値±標準偏差)
分娩患者にブピバカイン塩酸塩を硬膜外投与注2)後の血漿におけるブピバカイン(濃度:0.1~1.2μg/mL)の蛋白結合率は、約90%であった2)。ブピバカインの結合蛋白は、血清アルブミンとα1-酸性糖蛋白であった3)。
分娩患者にブピバカイン塩酸塩を硬膜外投与注2)した場合の臍帯静脈血中濃度/母体静脈血中濃度比は、投与量に依存せずほぼ一定で、約0.25であった2)。
授乳中の患者の胸膜腔にブピバカイン塩酸塩を持続注入注2)したとき、乳汁中未変化体の最高濃度は血液中最高濃度の約1/8であった4)(外国人データ)。
患者の腕神経叢にブピバカイン塩酸塩を12~23mg/hの速度で24時間持続注入注2)したとき、血漿中代謝物として、脱ブチル体及び4位水酸化体が検出され、それぞれ未変化体濃度の1/5以下であった5)。
外国人健康成人男子にブピバカイン塩酸塩を静脈内投与注2)後24時間までの尿中に検出された未変化体は投与量の6%で、脱ブチル体は5%であった6)。
慢性腎不全患者の鎖骨上部神経叢周辺にブピバカイン塩酸塩(0.5%、30mL)を投与注2)後のCmax及びAUCには、健康人に比べて有意な差は認められなかった7)(外国人データ)。
高齢手術患者(65歳以上)にブピバカイン塩酸塩を静脈内投与注2)後の血漿クリアランスは、若年成人に比して約1/2に低下した8)(外国人データ)。
下腹部以下の手術施行患者64例を対象に等比重製剤2.0~4.0mLを投与した試験の結果を以下に示す。副作用発現頻度は22.6%(14/62例)で、主な副作用は血圧低下11.3%(7/62例)、徐脈11.3%(7/62例)であった9)。
投与量
2.0mL投与
3.0mL投与
4.0mL投与
投与30分以内の最高痛覚遮断域
Th9.0±3.6
Th8.2±3.9
Th6.8±3.1
L2での痛覚遮断持続時間(分)
225.5±56.3
262.7±84.1
313.3±78.4
完全運動神経遮断の持続時間(分)
143.8±65.5
225.5±72.3
265.2±100.8
下腹部以下の手術施行患者42例を対象に高比重製剤2.0mLもしくは3.0mLを投与した試験及び下腹部以下の手術施行患者15例を対象に高比重製剤4.0mLを投与した試験の結果を以下に示す。2.0mLもしくは3.0mL投与での副作用発現頻度は21.4%(9/42例)で、主な副作用は血圧低下9.5%(4/42例)、徐脈7.1%(3/42例)であった。4.0mL投与での副作用発現頻度は40.0%(6/15例)で、主な副作用は徐脈40.0%(6/15例)、血圧低下33.3%(5/15例)であった9)。
Th7.2±3.0
Th5.8±2.8
Th3.9±3.9
199.7±71.2
194.3±52.5
226.0±82.0
86.7±63.5
138.7±43.3
137.7±83.9
ブピバカイン塩酸塩は長時間作用性の局所麻酔薬であり、神経膜のナトリウムチャネルをブロックし、神経における活動電位の伝導を可逆的に抑制し、知覚神経及び運動神経を遮断する局所麻酔薬である。
ブピバカインは、神経活動電位伝導の遮断によって脊椎麻酔作用を発揮するが、その活動電位伝導遮断作用はリドカインに比べて約8倍強力であった10)。
ウサギにおける各種局所麻酔薬の等比重液の脊椎麻酔作用の持続時間は、プロカイン<リドカイン<ブピバカイン<テトラカインの順に長く、ブピバカイン塩酸塩はテトラカイン塩酸塩と同様、長時間作用性の脊椎麻酔薬に属する11)。
マウスにおいて、ブピバカイン塩酸塩の等比重液(0.25~0.75%)は迅速かつ用量依存的な脊椎麻酔作用を示した12)。臨床使用濃度(0.5%)における作用持続時間は、約7倍高濃度のリドカイン塩酸塩の等比重液とほぼ同等であった12)。イヌにおいて、ブピバカイン塩酸塩の高比重液(0.5%)の脊椎麻酔における運動神経遮断作用の持続時間は、リドカイン塩酸塩の高比重液(5%)に比べて長かった13)。また、ブピバカイン塩酸塩の高比重液(0.5%)の脊椎麻酔作用発現時間は等比重液(0.5%)よりも早く、持続時間は短い傾向にあった13)。
ブピバカイン塩酸塩水和物(Bupivacaine Hydrochloride Hydrate)(JAN)
(2RS)-1-Butyl-N-(2,6-dimethylphenyl)piperidine-2-carboxamide monohydrochloride monohydrate
C18H28N2O・HCl・H2O
342.90
ブピバカイン塩酸塩水和物は白色の結晶性の粉末である。本品は酢酸(100)に溶けやすく、水、メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けやすい。本品は0.01mol/L塩酸試液に溶ける。本品0.5gをエタノール(99.5)/水/5mol/L水酸化ナトリウム試液混液(34:15:1)50mLに溶かした液は旋光性を示さない。
約252℃(分解)
[アンプル]4mL×10管
1) 社内資料:ブピバカインの脊髄クモ膜下腔投与後の静脈血液中濃度(2000年1月18日承認、申請資料概要ヘ.3.1))
2) 木阪義憲:麻酔と蘇生. 1988;24:321-334
3) Denson, D.:Clin. Pharmacol. Ther. 1984;35:409-415
4) Baker, P.A. et al.:Anesth. Analg. 1989;69:400-402
5) Pere, P. et al.:Acta Anaesthesiol. Scand. 1991;35:647-650
6) Reynolds, F.:Br. J. Anaesth. 1971;43:33-37
7) Rice, A.S.C. et al.:Anaesthesia. 1991;46:354-357
8) Veering, B.T. et al.:Anesthesiology. 1991;74:250-257
9) 鈴木太 他:麻酔. 1998;47:447-465
10) 社内資料:カエル坐骨神経標本における活動電位伝導に対する影響(2000年1月18日承認、申請資料概要ホ.Ⅰ.3)
11) Langerman, L. et al.:Br. J. Anaesth. 1994;72:456-459
12) Åkerman, S.B.A.:Br. J. Anaesth. 1985;57:329-332
13) 社内資料:イヌにおける高比重液及び等比重液での脊椎麻酔作用(2000年1月18日承認、申請資料概要ホ.Ⅰ.1.)
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