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日本薬局方
ラベタロール塩酸塩錠
劇薬
処方箋医薬品注)
本態性高血圧症褐色細胞腫による高血圧症
通常、成人にはラベタロール塩酸塩として1日150mgより投与を開始し、効果不十分な場合には1日450mgまで漸増し、1日3回に分割、経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
観察を十分に行い、ジギタリス剤を併用するなど慎重に投与すること。心機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。
β遮断剤において房室伝導時間が延長するとの報告がある。
末梢循環障害の症状を悪化させるおそれがある。
低血糖の前駆症状である頻脈等の交感神経系反応をマスクしやすいので血糖値に注意すること。
休薬を要する場合には徐々に減量し、観察を十分に行うこと。急に投与を中止すると、症状を悪化させることがある。また、β遮断剤において中毒症状をマスクすることがあるとの報告がある。
降圧に伴う腎潅流圧の低下により、症状を悪化させるおそれがある。また、腎臓は主要な排泄経路であるので、血中濃度が上昇するおそれがある。
低用量から投与を開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら行うこと。本剤は主として肝臓で代謝されるので、代謝速度が低下して血中濃度が上昇するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。投与に際しては、母体及び胎児の状態を十分に観察し、過度の血圧低下とならないよう注意すること。胎児及び新生児に血圧低下、徐脈等の異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。妊婦への投与例において、胎児に徐脈等、新生児に血圧低下、徐脈等の症状が認められたとの報告がある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
交感神経系に抑制的に作用する他の薬剤
過剰の交感神経抑制をきたすことがあるので、減量するなど注意する。
相加的に作用(交感神経抑制作用)を増強させる。
血糖降下剤
血糖降下作用が増強することがある。また、低血糖症状(頻脈、発汗等)をマスクすることがあるので、血糖値に注意する。
低血糖に伴う交感神経系の症状をマスクしたり、β遮断作用により低血糖の回復を遅らせる。
麻酔剤
過剰の交感神経抑制をきたすおそれがあるので、減量するなど注意する。又は麻酔の導入前にアトロピンを静脈内投与しておくこと。
カルシウム拮抗剤
徐脈、房室ブロック等の伝導障害、うっ血性心不全があらわれることがある。併用する場合には、用量に注意する。
相加的に作用(陰性変力作用、心刺激伝導抑制作用、降圧作用)を増強させる。
抗不整脈剤
過度の心機能抑制があらわれることがあるので、減量するなど注意する。
相加的に作用(心機能抑制作用)を増強させる。
三環系抗うつ剤
併用により振戦があらわれやすいとの報告がある。
本剤との併用によりイミプラミンの水酸化が阻害され、イミプラミンのAUCが増加したとの報告がある1)。
シメチジン
併用により本剤の血中濃度が上昇したとの報告があるので、併用する場合には減量するなど慎重に投与すること。
シメチジンが本剤の肝での代謝を抑制し、本剤のクリアランスが減少し、血中濃度が上昇する。
ジギタリス製剤
心刺激伝導障害(徐脈、房室ブロック等)があらわれることがあるので注意すること。
相加的に作用(心刺激伝導抑制作用)を増強させる。
非ステロイド性抗炎症剤
本剤の降圧作用が減弱するおそれがある。併用する場合には、必要に応じて用量調整を行うこと。
非ステロイド性抗炎症剤は、血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成・遊離を阻害する。
交感神経刺激剤
本剤との相互作用により高血圧症、徐脈が発現するおそれがあるので注意すること。
本剤のβ遮断作用により交感神経刺激剤のα刺激作用が優位となる。
定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し適切な処置を行うこと。なお、このような患者には再投与しないこと。
1%~5%
1%未満
頻度不明
過敏症
瘙痒、呼吸困難
発疹、発熱、血管浮腫
皮膚
苔癬様皮疹
精神神経系
頭痛、不眠、眠気
しびれ感、振戦、抑うつ
循環器
めまい・たちくらみ
徐脈
胸痛、房室ブロック、末梢循環障害(レイノー症状の悪化、冷感等)
呼吸器
喘息様症状、気管支痙攣
消化器
悪心・嘔吐、胃痛
便秘
腹痛、消化不良、口渇
泌尿器
尿閉
肝臓
AST、ALT、γ-GTP、Al-P等の上昇
腎臓
BUNの上昇
眼
霧視、また、β遮断剤の投与により、涙液分泌減少等があらわれたとの報告がある。注)
その他
倦怠感
鼻閉
頭皮異常感、浮腫、筋肉痛、CKの上昇、疲労感、発汗、悪寒、陰萎、勃起不全、性欲減退、射精不能
本剤の過量投与により、過度の起立性低血圧、徐脈などの重度の心血管系作用が発現する可能性がある。本剤の過量投与後の乏尿性腎不全が報告されている。
下肢を挙上させ患者を仰臥位にし、必要に応じて次のような処置を行う。・心不全:強心配糖体や利尿薬を投与する。・気管支痙攣:吸入β2刺激薬を投与する。・徐脈:アトロピン硫酸塩水和物を静注する。血液循環を改善させるため、反応をみながらノルアドレナリン投与を繰り返す。必要に応じて、心臓ペーシングを適用すること。なお、透析により血中から除去できるラベタロール塩酸塩は1%以下である。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人に本剤50mg又は100mgを単回経口投与した時の血中ラベタロール濃度は図1のとおりであり、用量依存性を示す6)。
パラメータ
50mg
100mg
Tmax(hr)
0.97
1.22
T1/2(hr)
17.22
17.65
Cmax(ng/mL)
21.77
59.73
AUC(hr・ng/mL)
198.81
533.98
Ka(/hr)
2.89
7.52
Kel(/hr)
0.17
0.15
ラットに14C-ラベタロール20mg/kgを経口投与した結果、組織内濃度は各組織において投与後1.5時間に最高濃度に達し、以降速やかに減少した。投与後1.5時間の組織内濃度は、特に肝臓と腎臓で高く、脳への移行は低かった。また、妊娠18日目のラットに14C-ラベタロール20mg/kgを経口投与したところ、胎仔の組織内濃度は1.5時間後で母動物血液中濃度の1/3、胎盤の1/4以下であった7)。
約50%8)(外国人データ)
健康成人に3H-ラベタロール200mg注)を経口投与した結果、主な代謝産物は、ラベタロールのo-フェニルグルクロン酸抱合体が投与量の15%、その他のラベタロールの抱合体が45%であった8)(外国人データ)。
健康成人に3H-ラベタロール200mg注)を経口投与した結果、投与後24時間までの尿中排泄率は約60%であった8)(外国人データ)。注)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人にはラベタロール塩酸塩として1日150mgより投与を開始し、効果不十分な場合には1日450mgまで漸増し、1日3回に分割、経口投与する。」である。
本態性高血圧症の患者259例を対象に、本剤又はプロプラノロールを1日3回12週間投与した試験において、両群とも有意な血圧の低下が認められ、本剤投与群の有効率は52.0%であった。副作用発現頻度は18.3%(23/126例)で、主な副作用は倦怠感4.0%(5/126例)、立ちくらみ3.2%(4/126例)、頭痛2.4%(3/126例)、眠気2.4%(3/126例)であった。
ラベタロールはβ受容体遮断作用に加えて、α受容体遮断作用を併せ持ち、心拍出量にほとんど影響を及ぼさずに全末梢血管抵抗を減少し、血圧を降下させる。
健康成人における検討で、本剤はβ受容体遮断作用に加えて、α受容体遮断作用を併せ持つことが認められている9)。また、ネコの摘出脾臓を用いたin vitroの実験で本剤のα受容体遮断作用はα1受容体に選択的であることが確認されている10)。
成人高血圧症患者に投与した場合、心拍出量にほとんど影響を及ぼさずに全末梢血管抵抗を減少し、血圧を降下させる。なお心拍数はわずかに減少する11)。また本剤は、早朝の急激な血圧上昇を抑制することが認められている12)。
成人高血圧症患者における検討で、本剤は腎血管抵抗を減少させ、腎血流量、糸球体ろ過値を増加又は維持することが認められている13)。また脳循環、末梢循環及び冠循環を維持することが認められている11),14),15),16)。
ラベタロール塩酸塩(Labetalol Hydrochloride)
2-Hydroxy-5-{(1RS)-1-hydroxy-2-[(1RS)-1-methyl-3-phenylpropylamino]ethyl}benzamide monohydrochloride2-Hydroxy-5-{(1RS)-1-hydroxy-2-[(1SR)-1-methyl-3-phenylpropylamino]ethyl}benzamide monohydrochloride
C19H24N2O3・HCl
364.87
白色の結晶性の粉末である。メタノールに溶けやすく、水又はエタノール(99.5)にやや溶けにくい。0.05mol/L硫酸試液に溶ける。
約181℃(分解)
0.93(pH7.1、1-オクタノール/水系)
*100錠[10錠(PTP)×10]
1) Hermann DJ, et al.:J Clin Pharmacol. 1992;32:176-183
2) Brown RC, et al.:Postgrad Med J. 1981;57:189-190
3) Savola J, et al.:Br Med J. 1987;295:637
4) Kobayashi K, et al.:Tohoku J Exp Med. 1979;127:63-69
5) 古田豊ほか:薬理と治療. 1982;10:3965-3969
6) 海老原昭夫ほか:臨床薬理. 1981;12:411-419
7) 藤野明治ほか:応用薬理. 1981;21:817-833
8) Martin LE, et al.:Br J Clin Pharmacol. 1976;3(Suppl. 3):695-710
9) Richards DA, et al.:Br J Clin Pharmacol. 1976;3:849-855
10) Blakeley AGH, et al.:Br J Pharmacol. 1977;59:643-650
11) 築山久一郎ほか:心臓. 1981;13:1337-1344
12) Raftery EB, et al.:Biotelem Patient Monit. 1981;8:113-120
13) Malini PL, et al.:Br J Clin Pharmacol. 1982;13(Suppl. 1):123S-126S
14) Pearson RM, et al.:Br J Clin Pharmacol. 1979;8(Suppl. 2):195S-198S
15) Bolli P, et al.:N Z Med J. 1977;86:557-563
16) Gagnon RM, et al.:Am J Cardiol. 1982;49:1267-1269
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