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処方箋医薬品注)
脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等との併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがある。併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。
静脈血栓塞栓症の発現リスクの高い、次の患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制
腹部手術のうち帝王切開術施行患者における有効性・安全性は確立していないため、これらの患者に投与する場合には、リスクとベネフィットを十分考慮すること(使用経験は少ない)。
通常、成人には、フォンダパリヌクスナトリウムとして2.5mgを1日1回皮下投与する。なお、腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて1.5mg1日1回に減量する。
出血を生じるおそれがある。
本剤の全身クリアランスは体重の低下に伴って低下する傾向がみられるため、低体重の患者に投与する場合には本剤の血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある。海外臨床試験において、体重50kg未満の患者に出血の危険性が増大したとの報告がある。なお、国内臨床試験においては、体重40kg未満の患者への使用経験がほとんどない。
HIT抗体との交差反応性は認められていないが、使用経験が少なく、安全性は確立していない。
投与しないこと。本剤は腎臓を介して排泄されるので、血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある。,
本剤は腎臓を介して排泄されるので、血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある。,
凝固因子の産生が低下していることがあるので、出血の危険性が増大するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ヒト胎盤を用いたin vitro試験では胎盤通過性はみられていないものの、妊娠ラットの反復静脈内投与試験では、わずかに胎児への移行が確認されている1)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットにおいて乳汁への移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に腎機能が低下し本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
抗凝固剤
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
血栓溶解剤
これらの薬剤との併用により、出血の危険性を増大させるおそれがある。併用する場合には、患者の状態を十分に観察するなど注意すること。
相互に抗凝固作用を増強することが考えられる。
まれに後腹膜出血、頭蓋内・脳内出血を生じるおそれがある。
AST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。
血圧低下、頻脈、蕁麻疹等があらわれることがある。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
血液
血小板数増加
貧血
凝固障害、血小板減少症
紫斑、血小板異常
肝臓
肝機能障害
高ビリルビン血症
精神神経系
頭痛、めまい、不安、傾眠
錯乱
循環器
低血圧
消化器
便秘、消化不良、下痢、嘔気、腹痛、嘔吐、胃炎
皮膚
発疹
そう痒
注射部位
局所反応
全身症状
発熱
浮腫、胸痛、下肢痛、潮紅、疲労
失神
その他
咳嗽、創部分泌、手術部位感染、低カリウム血症
アレルギー反応、呼吸困難
本剤は1回投与分の規定量を充填したプレフィルドシリンジである。シリンジから気泡を除去する際に薬液を減じるおそれがあるので、気泡を除去しないことが望ましいが、もし除去する場合には、薬液を減じないよう注意すること。
連日皮下注射する場合には、例えば左右の前側腹部と後側腹部に交互に投与するなど、注射部位を変えて行うこと。
健康成人にフォンダパリヌクスナトリウム0.75、2.5、8mg注)を単回皮下投与した時の薬物動態パラメータ及び血中濃度推移は以下のとおりであった。フォンダパリヌクスは皮下投与後速やかに吸収され、投与後約2時間で最高血中濃度に達し、消失半減期は約14~17時間であった。
投与量
Cmax(mg/L)
tmax(hr)
AUC0-∞(mg・hr/L)
t1/2(hr)
0.75mg
0.127±0.015
1.8(1.5-2.5)
-a)
17.4±4.47
2.5mg
0.335±0.030
2.0(1.5-2.5)
6.62±1.10b)
16.1±2.50
8mg
0.971±0.125
2.0(1.5-2.0)
16.8±1.54
13.8±0.660
Mean±SD、n=6、tmax:中央値(範囲)、a)算出できず、b)n=5
フォンダパリヌクスナトリウム0.75~8mg注)の単回皮下投与において、フォンダパリヌクスの薬物動態はほぼ線形性を示した2)。
健康高齢者にフォンダパリヌクスナトリウム0.75~3mg注)を1日1回反復皮下投与した結果、フォンダパリヌクスは投与3日目に定常状態に到達し、反復投与による薬物動態の変化はみられなかった2)。
健康成人男性にフォンダパリヌクスナトリウムを8mg注)まで皮下投与した時の吸収は速やかで、2.5mgを単回皮下投与した時のtmaxは約2時間、Cmaxは0.335mg/L、AUC0-∞は6.62mg・hr/Lであった。tmaxは各用量でほぼ類似しており、8mg注)でCmaxは用量比例値よりわずかに低い値を示したが、Cmax及びAUCは用量の増加にほぼ比例して増加した。2.5mgを単回皮下投与した時の絶対的生物学的利用率は101%であった2)。
健康成人に本剤を単回で皮下及び静脈内投与した時の分布容積は7~10Lであり、両投与間に差は認められず、フォンダパリヌクスの大部分が血液に分布することが示された2)。臨床血中濃度(2μg/mL以下)での血漿蛋白結合率は97~98.6%であり、フォンダパリヌクスは主に血漿中のアンチトロンビンⅢ(ATⅢ)と結合した3)。
フォンダパリヌクスナトリウムはCYP1A2、2A6、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4活性を阻害しない4)(in vitro)。
フォンダパリヌクスナトリウムは皮下投与後、投与量の大部分が未変化体のまま尿中に排泄される。健康成人に単回皮下投与した時の投与後120時間までのフォンダパリヌクスの尿中排泄率(投与量に対する%)は、約80%であった。下肢整形外科手術施行患者を対象とした海外臨床試験における母集団薬物動態解析の結果、フォンダパリヌクスの全身クリアランスは体重の低下に伴って低下する傾向がみられた2)。
腎機能障害患者にフォンダパリヌクスナトリウム4mgを単回静脈内投与注)した結果、クレアチニンクリアランスの低下に伴いフォンダパリヌクスのAUC0-∞が増加し、消失半減期は延長した2)(外国人データ)。
クレアチニンクリアランス(mL/min)(被験者数)
>90(n=5)
61-90(n=5)
31-60(n=5)
10-30(n=5)
0.914±0.207
1.063±0.240
1.052±0.179
1.009±0.175
7.6±1.2
11.5±2.0
18.3±4.7
43.8±8.7
13.1±3.6
17.9±0.94
28.7±7.5
71.5±11.7
CL(mL/min)
7.82±1.21
5.22±1.15
3.35±0.85
1.37±0.29
CLr(mL/min)
5.51±0.54
3.77±1.24
2.16±0.59
0.54±0.27
Mean±SD
下肢整形外科手術施行患者を、クレアチニンクリアランスを指標として3段階(50mL/min未満、50mL/min以上80mL/min以下、80mL/min超)に分け母集団薬物動態解析した結果、80mL/min超の患者に対する全身クリアランスは、50mL/min以上80mL/min以下の患者で20~28%、50mL/min未満の患者で37~57%低下した2)(外国人データ)。,,,
中等度肝機能障害患者にフォンダパリヌクスナトリウム7.5mg注)を単回皮下投与した時の薬物動態は、肝機能による影響を受けなかった2)(外国人データ)。
健康高齢者にフォンダパリヌクスナトリウム2.5mgを単回皮下投与した時の薬物動態は、健康成人とほぼ類似していた2)。
ワルファリン、アスピリン、ピロキシカム(NSAID)、又はジゴキシンと併用投与した時、フォンダパリヌクスナトリウムはいずれの併用薬物の血液凝固系の薬力学活性パラメータにも影響を及ぼさず、またジゴキシンの薬物動態にも影響を与えなかった。また、フォンダパリヌクスの薬物動態は、いずれの併用薬物による影響も受けなかった2)(外国人データ)。注)本剤の承認された用法・用量は、2.5mgを1日1回皮下投与、腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて1.5mgを1日1回皮下投与である。
待機的膝関節全置換術施行患者426例を対象として、フォンダパリヌクスナトリウム0.75、1.5、2.5、3.0mg注)又はプラセボを1日1回10~14日間皮下投与した。各投与群における静脈血栓塞栓症の発現頻度は、フォンダパリヌクスナトリウム0.75mg群で34.2%、1.5mg群で21.3%、2.5mg群で16.2%、3.0mg群で9.5%、プラセボ群で65.3%であり、フォンダパリヌクスナトリウム群ではプラセボ群に比べて有意に静脈血栓塞栓症の発現頻度が減少した。
項目
プラセボ群
フォンダパリヌクスナトリウム群
1.5mg
3.0mg
発現頻度(例数)
65.3%(49/75)
34.2%(27/79)
21.3%(16/75)
16.2%(12/74)
9.5%(7/74)
95%信頼区間
53.5-76.0
23.9-45.7
12.7-32.3
8.7-26.6
3.9-18.5
Cochran-Armitage傾向性検定(p)
1×10-14
Fisherの直接確率検定(p)*
-
0.0002
8×10-8
9×10-10
6×10-13
*プラセボ群との比較
なお、Major bleedingはフォンダパリヌクスナトリウム2.5mg群で1例、3.0mg群で1例、プラセボ群で1例に認められたが、その内訳は、2単位以上の輸血を必要とした症例が2例(2.5mg群、3.0mg群各1例)、2単位以上の輸血を必要とし、かつヘモグロビン値が2g/dL以上低下した症例が1例(プラセボ群)であり、フォンダパリヌクスナトリウム群とプラセボ群に有意な差は認められなかった5)。
待機的股関節全置換術施行患者406例を対象として、フォンダパリヌクスナトリウム0.75、1.5、2.5、3.0mg注)又はプラセボを1日1回10~14日間皮下投与した。各投与群における静脈血栓塞栓症の発現頻度は、フォンダパリヌクスナトリウム0.75mg群で24.2%、1.5mg群で4.6%、2.5mg群で7.4%、3.0mg群で14.3%、プラセボ群で33.8%であり、0.75mg群を除き、フォンダパリヌクスナトリウム群ではプラセボ群に比べて有意に静脈血栓塞栓症の発現頻度が減少した。
33.8%(25/74)
24.2%(15/62)
4.6%(3/65)
7.4%(5/68)
14.3%(10/70)
23.2-45.7
14.2-36.7
1.0-12.9
2.4-16.3
7.1-24.7
0.0001
0.26
1×10-5
0.0069
なお、Major bleedingはフォンダパリヌクスナトリウム0.75mg群で1例、2.5mg群で2例に認められたが、その内訳は、2単位以上の輸血を必要とした症例が2例(0.75mg群、2.5mg群各1例)、ヘモグロビン値が2g/dL以上低下した症例が1例(2.5mg群)であり、フォンダパリヌクスナトリウム群とプラセボ群に有意な差は認められなかった6)。
待機的股関節全置換術施行患者114例を対象として、フォンダパリヌクスナトリウム1.5又は2.5mgを1日1回10~14日間皮下投与した。各投与群における静脈血栓塞栓症の発現頻度は、フォンダパリヌクスナトリウム1.5mg群で8.3%、2.5mg群で2.2%であった。
フォンダパリヌクスナトリウム1.5mg群
フォンダパリヌクスナトリウム2.5mg群
8.3%(4/48)
2.2%(1/46)
2.3-20.0
0.1-11.5
なお、Major bleedingが認められた症例はなかった7)。
股関節(大腿骨近位部)骨折手術施行患者48例を対象として、フォンダパリヌクスナトリウム2.5mgを1日1回10~14日間皮下投与した。フォンダパリヌクスナトリウム2.5mg群における静脈血栓塞栓症の発現頻度は、21.6%であった。
21.6%(8/37)
9.8-38.2
なお、Major bleedingが認められた症例はなかった8)。
腹部の癌の大手術又は骨盤内悪性腫瘍根治術施行患者120例を対象として、フォンダパリヌクスナトリウム2.5mgを1日1回4~8日間皮下投与又は間欠的空気圧迫法を実施した。間欠的空気圧迫法は一律の使用規定を設けず各医療機関の通常の使用法に従った。各群における静脈血栓塞栓症の発現頻度は、フォンダパリヌクスナトリウム2.5mg群で10.8%、間欠的空気圧迫法群で17.6%であった。
間欠的空気圧迫法群*
10.8%(7/65)
17.6%(6/34)
4.4-20.9
6.8-34.5
*間欠的空気圧迫法群は参考として設定したものであり、統計学的な比較対照群ではない。
なお、Major bleedingが認められた症例はなかった。78例中13例(16.7%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。その主なものは、出血4例(5.1%)、肝機能障害3例(3.8%)、発疹3例(3.8%)であった。
フォンダパリヌクスはATⅢに高親和性に結合し、ATⅢの抗第Xa因子活性を顕著に増強させる9)ことにより、トロンビン産生を阻害する。フォンダパリヌクスの作用は第Xa因子に対して選択的であり、ヘパリンとは異なり、ATⅢの抗トロンビン活性をほとんど増強しない9)。
ラットのトロンボプラスチン誘発静脈血栓症モデルにおいて、フォンダパリヌクスナトリウムは皮下投与により大静脈内の血栓形成を抑制し、そのED50は0.20mg/kgであった。ラットの大静脈狭窄血栓症モデル及び大静脈非狭窄血栓症モデルにおいて、静脈内投与により血栓形成を抑制し、それらのED50は0.028mg/kg及び0.074mg/kgであった。ウサギのWesslerうっ血性血栓症モデルにおいて、0.17mg/kg以上の皮下投与により、頸静脈内の血栓形成を抑制した10)。
ラットの皮下出血モデルにおいて、フォンダパリヌクスナトリウムはヘパリンより軽度の、用量依存性のない出血率の増加を示したが、ラットにおける治療係数(皮下出血率を3倍に増加させる用量/血栓形成を50%抑制する用量)はヘパリンや低分子ヘパリンより高値を示した。フォンダパリヌクスナトリウムはマウス及びラットの尾先端切断による出血を増大させたが、その作用はプロタミン硫酸塩の投与により、血栓形成抑制作用に影響することなく抑制された11)。
フォンダパリヌクスは血小板第4因子に対してほとんど結合せず、ヘパリン起因性血小板減少症患者血清と交差反応性を示さなかった12)。
フォンダパリヌクスナトリウム2.5mg投与により、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、活性化凝固時間(ACT)、プロトロンビン時間(PT-INR)、出血時間、線溶活性といった通常の凝固能検査に臨床上有意な影響はみられなかった13)。
フォンダパリヌクスナトリウム(Fondaparinux Sodium)
Decasodium methylO-(2-deoxy-6-O-sulfo-2-sulfoamino-α-D-glucopyranosyl)-(1→4)-O-(β-D-glucopyranosyluronic acid)-(1→4)-O-(2-deoxy-3,6-di-O-sulfo-2-sulfoamino-α-D-glucopyranosyl)-(1→4)-O-(2-O-sulfo-α-L-idopyranosyluronic acid)-(1→4)-2-deoxy-6-O-sulfo-2-sulfoamino-α-D-glucopyranoside
C31H43N3Na10O49S8
1728.08
白色の粉末である。
内容液に着色や浮遊物等の異常が認められないことを確認すること。
10シリンジ(0.3mL)[注射針:27ゲージ]
10シリンジ(0.5mL)[注射針:27ゲージ]
1) Lagrange F, et al.:Thromb Haemost. 2002;87:831-835
2) 社内資料:薬物動態試験(2007年4月18日承認、CTD2.7.2.3.1)
3) Paolucci F, et al.:Clin Pharmacokinet. 2002;41:11-18
4) Lieu C, et al.:Clin Pharmacokinet. 2002;41:19-26
5) 社内資料:待機的膝関節全置換術施行患者を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(2007年4月18日承認、CTD2.7.6.3.1.1)
6) 社内資料:待機的股関節全置換術施行患者を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(2007年4月18日承認、CTD2.7.6.3.1.2)
7) 社内資料:待機的股関節全置換術施行患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(2007年4月18日承認、CTD2.7.6.3.1.10)
8) 社内資料:股関節骨折手術施行患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(2007年4月18日承認、CTD2.7.6.3.2.1)
9) Olson ST, et al.:J Biol Chem. 1992;267:12528-12538
10) 社内資料:静脈血栓症モデルに対する効果(2007年4月18日承認、CTD2.6.2.2)
11) 社内資料:止血に及ぼす影響(2007年4月18日承認、CTD2.6.2.3)
12) 社内資料:PF4との結合親和性及びHIT抗体に対する交差反応性(2007年4月18日承認、CTD2.6.2.3)
13) 社内資料:臨床薬力学試験(2007年4月18日承認、CTD2.7.2.3.2)
サンド株式会社 カスタマーケアグループ
〒105-6333 東京都港区虎ノ門1-23-1
TEL 0120-982-001FAX 03-6257-3633
サンドファーマ株式会社
東京都港区虎ノ門1-23-1URL:https://www.sandoz.jp/
サンド株式会社
リスクレベル
一般外科
泌尿器科
婦人科
産科
予防法
整形外科
低リスク
60歳未満の非大手術40歳未満の大手術
30分以内の小手術
正常分娩
早期離床および積極的な運動
上肢の手術
早期離床および積極的な運動(特別な予防の必要なし)
中リスク
60歳以上、あるいは危険因子がある非大手術40歳以上、あるいは危険因子がある大手術
良性疾患手術(開腹、経膣、腹腔鏡)悪性疾患で良性疾患に準じる手術ホルモン療法中の患者に対する手術
帝王切開術(高リスク以外)
弾性ストッキングあるいは間欠的空気圧迫法
脊椎手術骨盤・下肢手術*(THR、TKR、股関節骨折手術を除く)
弾性ストッキングあるいは間欠的空気圧迫法☆
高リスク
40歳以上の癌の大手術
骨盤内悪性腫瘍根治術(静脈血栓塞栓症の既往あるいは血栓性素因のある)良性疾患手術
高齢肥満妊婦の帝王切開術
間欠的空気圧迫法あるいは低用量未分画ヘパリン
THRTKR股関節骨折手術**
間欠的空気圧迫法あるいは抗凝固療法☆☆(低用量未分画ヘパリンなど)
最高リスク
静脈血栓塞栓症の既往あるいは血栓性素因のある大手術
静脈血栓塞栓症の既往あるいは血栓性素因のある帝王切開術
(低用量未分画ヘパリンと間欠的空気圧迫法の併用)あるいは(低用量未分画ヘパリンと弾性ストッキングの併用)
「高」リスクの手術を受ける患者に、静脈血栓塞栓症の既往、血栓性素因が存在する場合
[抗凝固療法(低用量未分画ヘパリンなど)と間欠的空気圧迫法の併用]あるいは[抗凝固療法(低用量未分画ヘパリンなど)と弾性ストッキングの併用]
総合的なリスクレベルは、予防の対象となる疾患や手術・処置や疾患のリスクに、付加的な危険因子を加味して決定される。例えば、強い付加的な危険因子をもつ場合にはリスクレベルを上げる必要があり、弱い付加的な危険因子の場合でも複数個重なればリスクレベルを上げることを考慮する。婦人科・産科ではBMI、年齢、合併症等の他の危険因子により、全体のリスクを上げる必要がある。(BMI:body mass index)リスクを高める付加的な危険因子:血栓性素因、静脈血栓塞栓症の既往、悪性疾患、癌化学療法、重症感染症、中心静脈カテーテル留置、長期臥床、下肢麻痺、下肢ギプス包帯固定、ホルモン療法、肥満、下肢静脈瘤など。(血栓性素因:先天性素因としてアンチトロンビン欠損症、プロテインC欠損症、プロテインS欠損症など、後天性素因として抗リン脂質抗体症候群などを示す。)大手術の厳密な定義はないが、すべての腹部手術あるいはその他の45分以上要する手術を大手術の基本とし、麻酔法、出血量、輸血量、手術時間などを参考として総合的に評価する。(低用量未分画ヘパリンと間欠的空気圧迫法の併用)や(低用量未分画ヘパリンと弾性ストッキングの併用)の代わりに、用量調節未分画ヘパリンや用量調節ワルファリンを選択してもよい。THR:股関節全置換術、TKR:膝関節全置換術*骨盤・下肢手術における弾性ストッキングや間欠的空気圧迫法は、部位によっては施行不能であるため、早期離床・早期荷重・積極的運動のみでの予防もやむを得ない。**股関節骨折手術においては確立した予防法がないため、本文を参考に可能な予防法を実施する。なお、キアリ骨盤骨切り術や寛骨臼回転骨切り術については、THRでの予防に準じる。間欠的空気圧迫法☆の使用は肺血栓塞栓症誘発のリスクを考慮し、また抗凝固療法☆☆は出血性合併症のリスクを考慮して、十分に説明し同意を得たうえで実施する。実施にあたっては本文を参照すること。注)肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン第1版(肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン作成委員会)より抜粋
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