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日本薬局方
アザチオプリン錠
処方箋医薬品注)
通常、成人及び小児において、下記量を1日量として経口投与する。しかし、本剤の耐薬量及び有効量は患者によって異なるので、最適の治療効果を得るために用量の注意深い増減が必要である。
通常、成人及び小児には、1日量としてアザチオプリン1~2mg/kg相当量(通常、成人には50~100mg)を経口投与する。
通常、成人及び小児には、1日量として1~2mg/kg相当量を経口投与する。なお、症状により適宜増減可能であるが1日量として3mg/kgを超えないこと。
骨髄機能を更に抑制するおそれがある。
免疫能を低下させ、感染症を増悪させるおそれがある。
骨髄機能を抑制し、出血傾向を増悪させるおそれがある。
致命的な全身症状があらわれるおそれがある。
肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。
本剤投与後に白血球減少等の発現の可能性が高くなるとの報告があるので、他の薬剤の使用を考慮する等、投与には十分に注意すること。
骨髄機能抑制があらわれるおそれがある。
肝機能障害又は肝炎の病歴のある患者では肝機能障害の発現・増悪又は骨髄機能抑制があらわれるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
生ワクチン
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがある。
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性を表す可能性がある。
フェブキソスタット(フェブリク)トピロキソスタット(トピロリック、ウリアデック)
骨髄抑制等の副作用を増強する可能性がある。
本剤の代謝物6-メルカプトプリン(6-MP)の代謝酵素であるキサンチンオキシダーゼが阻害されることにより、6-MPの血中濃度が上昇することがアロプリノールで知られている。フェブキソスタット及びトピロキソスタットもキサンチンオキシダーゼ阻害作用をもつことから、同様の可能性がある。
アロプリノール
骨髄抑制等の副作用を増強する。併用する場合には、本剤を通常投与量の1/3~1/4に減量すること。
アロプリノールが本剤の代謝酵素であるキサンチンオキシダーゼを阻害する。その結果、6-MPの血中濃度が上昇する。
ワルファリン
抗凝血作用が減弱することがある。併用する場合には凝固能の変動に十分注意しながら投与すること。
ワルファリンの代謝を促進させることが考えられている。
不活化ワクチン
不活化ワクチンの作用を減弱させるとの報告がある。
免疫抑制作用によってワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。
細胞障害又は骨髄抑制作用のある薬剤
骨髄抑制が起こるおそれがある。
各薬剤とも骨髄機能抑制作用が報告されている。
カプトプリルエナラプリル
併用により骨髄機能抑制に伴う症状が報告されている。
アミノサリチル酸誘導体
骨髄抑制が起こるおそれがある。併用する場合には、本剤の減量を考慮すること。
アミノサリチル酸誘導体が本剤の代謝酵素であるチオプリンメチルトランスフェラーゼ(TPMT)を阻害するとの報告がある13),14)。
リバビリン
リバビリンはイノシン一リン酸脱水素酵素(IMPDH)を阻害することにより、6-チオグアニンヌクレオチド(6-TGN)の産生が低下し、代謝産物のメチルチオイノシン一リン酸(meTIMP)が蓄積すると考えられる。
メトトレキサート
併用する場合には、適切な白血球数を維持するよう用量を調節すること。
6-MPと高用量のメトトレキサート(20mg/m2経口)と併用した場合、6-MPのAUCが約31%上昇したとの報告がある15)。
再生不良性貧血、汎血球減少、貧血、巨赤芽球性貧血、赤血球形成不全、無顆粒球症、血小板減少、出血があらわれることがある。
悪寒、戦慄、血圧降下等があらわれることがある16)。
悪性リンパ腫、皮膚癌、肉腫、子宮頸癌、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群等があらわれることがある。
肺炎、敗血症があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎やC型肝炎の悪化があらわれることがある。
発熱、咳嗽、呼吸困難、捻髪音、胸部X線異常、動脈血酸素分圧低下等を伴う間質性肺炎があらわれた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤投与等の適切な処置を行うこと。
クローン病又は潰瘍性大腸炎患者への本剤の再投与により重度の下痢が再発し、本剤との関連性が疑われた報告がある。
本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
頻度不明
皮膚
発疹注1)、血管炎注1)
腎臓
腎機能障害注1)
膵臓
膵炎
消化器
食欲不振注2)、悪心・嘔吐注2)、下痢
循環器
心悸亢進
全身症状
全身倦怠感注1)、筋痛注1)、関節痛注1)、発熱注1)、悪寒注1)
その他
脱毛、口内炎、舌炎、めまい注1)
本剤の長期過量投与による骨髄抑制の結果、感染症、咽頭の潰瘍形成、内出血及び出血が発現する。また、本剤7.5gを服用した後、悪心・嘔吐、下痢に引き続き軽度の白血球減少及び軽度の肝機能障害が発現し、回復した症例が報告されている。
胃洗浄・対症療法などの適切な処置を行うこと。その後、頻回に検査を行うなど患者の状態を注意深く観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。なお、本剤は血液透析により一部除去可能ではあるが(8時間の血液透析により約43%除去されることが報告されている17))、過量投与に対する血液透析の有用性は不明である。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。
7名の腎移植患者にアザチオプリンを1.3~2.8mg/kg注1)の投与量で1日1回反復経口投与した時の6-MP及び6-チオ尿酸(6-TU)の薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は以下のとおりであった24)(外国人データ)。
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
t1/2(hr)
AUC0-24(ng・hr/mL)
6 -MP
73.7±23.7
1.8±1.1
1.9±0.6
―
6 -TU
1210±785
3.5±0.6
3.4±1.0
7860±5210
(n=6)
注1)本剤の腎移植における拒絶反応の抑制に対する承認用量(1日量)は、初期量としてアザチオプリン2~3mg/kg相当量、維持量としてアザチオプリン0.5~1mg/kg相当量である。
白血病患者注2)に経口投与された35S標識アザチオプリンは、胃腸管から速やかに吸収される25)(外国人データ)。注2)イムラン錠は白血病の適応は有していない。
アザチオプリンは生体内ですみやかに6-MPに分解され、さらにキサンチンオキシダーゼ及びTPMTによって代謝された後、尿中に排泄される。一方、細胞内に入った6-MPはヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)によってチオイノシン酸に代謝された後、6-TGNあるいはmeTIMPに変換される26)(外国人データ)。
35S標識アザチオプリン(100mg)を3名の白血病患者注2)に経口投与したとき、24時間尿中に投与量の約50%、48時間尿中に約70%の放射能がおもに6-TU及び無機硫酸塩として排泄された25)(外国人データ)。注2)イムラン錠は白血病の適応は有していない。
6-MP及びチオイノシン酸のメチル化反応に関与するTPMTには遺伝多型が報告されている。38名の腎又は心移植患者にアザチオプリンを投与したとき、赤血球中TPMT活性と6-TGN濃度の間に有意な負の相関性が認められた(r=-0.785、p<0.01)27)(外国人データ)。
1983年から1994年に施行された腎移植症例についての日本移植学会による集計より28)
1985年から1989年までに肝移植術を受けた164例を対象として、アザチオプリン(2mg/kg)にシクロスポリン及びプレドニゾンを併用した三剤併用群(98例)とシクロスポリンとプレドニゾンを併用した二剤併用群(66例)を比較検討した。慢性拒絶反応である胆管の脱落率は、二剤併用群(21%)に比し三剤併用群(1%)で有意に低く、本剤の有用性が示された(p=0.0005)29)(外国人データ)。
1983年から1988年までに心移植術を受けた77例を対象として、アザチオプリン(2mg/kg/日)にシクロスポリン及びプレドニゾンを併用した三剤併用群(23例)とシクロスポリンとプレドニゾンを併用した二剤併用群(54例)を比較検討した結果、2年生存率はそれぞれ92%、75%であった。また、二剤併用群に比べ、三剤併用群では、移植後早期(3ヵ月以内)の拒絶反応発現率は有意に低かった(p=0.05)。移植後早期(3ヵ月以内)の感染症発症率は三剤併用群の方が二剤併用群よりも有意に高かった(p=0.05)が、重篤なものはなく、移植後3ヵ月以降では有意差は認められなかった30)(外国人データ)。
1988年から1992年までに一側肺移植73例、両側肺移植58例の計131例に対し、アザチオプリン(2mg/kg)注1)とシクロスポリン及びプレドニゾンの併用を中心とした免疫抑制療法が実施された結果、1 年生存率82%、2 年生存率81%の成績であった31)(外国人データ)。注1)注射剤を用いた成績である。
アザチオプリン(2.5mg/kg)注2)にプレドニゾロン(初期用量として60mg)を併用投与した群(21例)とプレドニゾロン単独投与群(21例)を比較検討した。16週後の寛解率はアザチオプリン併用群(76%)がプレドニゾロン単独投与群(38%)に比べ有意に高く(p=0.03)、また試験期間中の平均プレドニゾロン投与量も有意な低値を示した(p=0.02)。アザチオプリン併用群では嘔気・嘔吐及び血清リパーゼ濃度の上昇が各1 例でみられたが、前者は投与中止により、また後者は投与継続中にそれぞれ消失した32)(外国人データ)。注2)本剤のステロイド依存性のクローン病の寛解導入及び寛解維持に対する用法・用量は、「通常、成人及び小児には、1日量としてアザチオプリン1~2mg/kg相当量(通常、成人には50~100mg)を経口投与する。」である。
重度の初発患者を対象にステロイドの非経口投与及び経口投与によって寛解導入し、サラゾスルファピリジンにアザチオプリン(2.5mg/kg/日)注3)を併用した群(17例)とサラゾスルファピリジンのみの群(18例)でアザチオプリンの寛解維持効果を比較検討した。その結果、1 年後までの再燃率はアザチオプリン併用群では23.5%、サラゾスルファピリジン単独投与群では55.6%であり、アザチオプリン併用群で有意に低い再燃を示した(p=0.05)33)(外国人データ)。注3)本剤のステロイド依存性の潰瘍性大腸炎の寛解維持に対する用法・用量は、「通常、成人及び小児には、1日量としてアザチオプリン1~2mg/kg相当量(通常、成人には50~100mg)を経口投与する。」である。
生体内で6-MPに分解され、核酸合成を阻害することにより免疫抑制作用をあらわす。細胞内に取り込まれた6-MPは、チオイノシン酸から6-TGNに変換され、DNAへ取り込まれて細胞障害作用を発揮すると考えられている。また、チオイノシン酸及びそのメチル化体は、5-ホスホリボシル-1-ピロリン酸(PRPP)から5-ホスホリボシルアミンへの形成反応等プリンヌクレオチド合成に不可欠な反応を阻害する26),34)。
アザチオプリンは生体内で6-MPに変換されて作用するが、マウスにおけるアザチオプリンの抗体産生抑制作用の強さは、6-MPの約4 倍である34)。
アカゲザル腎移植モデルを用いた検討において、シクロスポリン(10mg/kg/日又は25mg/kg/日)にアザチオプリン( 2 mg/kg/日)及びプレドニゾロン(1mg/kg)の併用投与群はシクロスポリン(10mg/kg/日又は25mg/kg/日)の単独投与群に比し、移植腎の生着期間は同程度以上であり、腎毒性或いは易感染性の徴候は観察されなかった35)。
イヌ同種肺移植モデルにアザチオプリン(2mg/kg/日)及びシクロスポリン(17mg/kg/日)をそれぞれ14日間及び35日間経口投与し、その後シクロスポリンを漸減したところ、5頭の内2頭はそれぞれ13ヵ月及び6ヵ月生存し、正常な肺機能を維持すると共に明確な拒絶反応を示さず、3頭は拒絶反応を示したもののメチルプレドニゾロンのパルス療法により回復し、5ヵ月以上生存した36)。
モルモット免疫性大腸炎モデルにおいて、アザチオプリン(100mg/kg/日の腹腔内投与)は下痢、直腸出血等の発生率を低下させ、結腸における炎症性病変及び浮腫の形成を抑制した37)。ラット免疫複合体・ホルムアルデヒド誘発大腸炎モデルにおいて、アザチオプリン(1mg/kg/日の腹腔内投与)は結腸での血漿滲出、好中球浸潤及び浮腫形成を抑制した38)。
アザチオプリン(Azathioprine)
6-(1-Methyl-4-nitro-1H-imidazol-5-ylthio)purine
C9H7N7O2S
277.26
淡黄色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。ピリジン又はN,N-ジメチルホルムアミドにやや溶けにくく、水又はエタノール(99.5)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテル又はクロロホルムにほとんど溶けない。水酸化ナトリウム試液又はアンモニア試液に溶ける。光によって徐々に着色する。
約240℃(分解)
開封後は光を避けて保存すること。
PTP:100錠(10錠×10)
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