当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
日本薬局方
注射用ドキソルビシン塩酸塩
劇薬
処方箋医薬品注)
骨髄機能をより強く抑制するおそれがある。
骨髄機能抑制により感染症が悪化するおそれがある。
致命的な全身障害があらわれるおそれがある。
副作用が強くあらわれるおそれがある。
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット)で、消化器系、泌尿器系及び心臓血管系に催奇形作用が報告されている。
授乳を避けさせること。ヒト乳汁中へ移行することが報告されている1)。
用量に留意して患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。高齢者では特に心毒性、骨髄機能抑制があらわれやすく、また、本剤は主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。
投与前の心臓部あるいは縦隔への放射線照射潜在的に心毒性を有する抗悪性腫瘍剤
心筋障害が増強されるおそれがある。
心筋に対する蓄積毒性が増強される。
他の抗悪性腫瘍剤放射線照射
骨髄機能抑制等の副作用が増強することがある。
副作用が相互に増強される。
パクリタキセル
本剤投与前にパクリタキセルを投与すると、骨髄抑制等の副作用が増強されるおそれがあるので、併用する場合は、パクリタキセルの前に本剤を投与すること。
本剤投与前にパクリタキセルを投与すると、本剤の未変化体の血漿中濃度が上昇する。
汎血球減少、貧血、白血球減少、好中球減少、血小板減少等の骨髄機能抑制及び出血があらわれることがある。
咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状を十分に観察し、異常が認められた場合には、胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
5%以上
0.1~5%未満
頻度不明
心臓
心電図異常
頻脈、不整脈、胸痛
肝臓
肝障害
腎臓
蛋白尿
消化器
食欲不振、悪心・嘔吐、口内炎
下痢
皮膚
脱毛
色素沈着
精神神経系
倦怠感、頭痛
泌尿器(膀注時)
頻尿、排尿痛、膀胱炎
血尿
残尿感
呼吸器
気胸・血胸(肺転移症例)
過敏症
発疹
その他
発熱
鼻出血
本剤の尿中排泄により尿が赤色になることがある。
ラットに静脈内投与した実験で乳腺腫瘍が発生したとの報告がある。
癌患者8名にアドリアマイシン(ADM)50mg/m2を急速静脈内投与した場合の未変化体(ADM)と活性代謝物アドリアマイシノール(ADM-OH)の血中濃度推移及び薬物動態パラメータは下記のとおりである2)(外国人データ)。(ただし、血中濃度推移は代表的患者の成績である。)
半減期(hr)
CL(L/hr)
Vd(L/kg)
AUC0~∞(nmol・min/mL)
T1/2α
T1/2β
T1/2γ
0.041±0.02
0.79±1.13
25.8±11.4
60.4±23.4
24.0±12.0
1.79±1.17
mean±S.D.
ラットに3H-アドリアマイシン(2.3μCi/mg)を静脈内投与し経時的に臓器内濃度を測定した。臓器内濃度は脾臓>肺>腎臓>肝臓>心臓の順に高く、脳への分布は極めて少なかったが、他の臓器へは強く吸着され、持続的であった3)。
添加濃度(μg/mL)
0.1
1
血漿蛋白結合率(%)
83.0
83.9
アドリアマイシンは、細胞内に存在するNADPH依存性のaldo-ketoreductase及びmicrosomal glycosidaseによりそれぞれadriamycinolとdeoxyadriamycin aglyconeを生じる。更にdeoxyadriamycinol aglycone、demethyldeoxyadriamycinol aglyconeに代謝され、硫酸、グルクロン酸抱合体を形成する。なお、in vitroにおいて、adriamycinolは未変化体よりも弱い活性を有する4)。また、代謝物は投与後速やかに血中に出現する5),6)(外国人データ)。
癌患者7名に3H-アドリアマイシン0.5mg/kgを静脈内投与し、尿中及び糞中の放射能を測定したところ、尿中排泄は最初の24時間で投与量の11.5%、次の24時間で3.5%が排泄され、7日間の総排泄率は22.7%であった。また、糞中への7日間の総排泄率は14~45%であった7)(外国人データ)。
肝機能障害を有する患者では未変化体及び代謝物の血中濃度が肝機能障害のない患者に比して高く、かつ持続することが認められている5),6)(外国人データ)。
本剤単独使用例の疾患別の臨床成績の概要は次のとおりである。なお、有効率はKarnofsky判定基準の「0-C」以上、日本癌治療学会判定基準及び腫瘍縮小効果に自覚症状の改善を加味した施設毎の判定基準の「やや有効」以上を有効として算定した。他剤併用投与例を含む副作用発現率は93.0%(398/428例)で、主な副作用は脱毛40.9%(175/428例)、白血球減少32.0%(137/428例)、口内炎20.8%(89/428例)、心電図異常16.4%(70/428例)、悪心・嘔吐15.4%(66/428例)であった8),9),10)。
対象疾患
有効率(有効例/評価例)
悪性リンパ腫
リンパ肉腫
46.7%(7/15)
細網肉腫
23.1%(6/26)
ホジキン病
40.0%(2/5)
肺癌
34.2%(25/73)
胃癌
29.7%(22/74)
胆のう・胆管癌
60.0%(3/5)
直腸癌
9.1%(1/11)
結腸癌
22.2%(2/9)
肝臓癌
16.7%(1/6)
膵臓癌
乳癌
50.0%(10/20)
膀胱腫瘍に対する膀胱腔内注入法において、本剤単独使用例の有効率(有効例/評価例)は59.3%(102/172例)であった。なお、膀胱鏡所見に基づき腫瘍縮小効果の統一基準を設定し、50%以上の腫瘍縮小を有効例として算定した。副作用発現率は45.7%(80/175例)で、主な副作用は頻尿42.9%(75/175例)、排尿痛33.7%(59/175例)、膀胱炎16.6%(29/175例)であった11),12)。
骨肉腫の肺転移例において、本剤単独使用例の有効率(有効例/評価例)は25.9%(7/27例)であった。なお、Karnofsky判定基準の「1-A」以上を有効例として算定した。副作用発現率は100%(27/27例)で、主な副作用は脱毛100%(27/27例)、食欲不振74.1%(20/27例)、悪心・嘔吐74.1%(20/27例)、白血球減少59.3%(16/27例)であった13),14),15)。
腫瘍細胞のDNAとcomplexを形成することによって、DNA polymerase反応、RNA polymerase反応を阻害し、DNA、RNAの双方の生合成を抑制することによって抗腫瘍効果を示す16),17)。
動物実験(マウス、ラット)において移植癌に対して広い抗癌スペクトラムを有し、Ehrlich ascites carcinoma、Sarcoma180、Hepatoma MH-134、Lymphoma6C3HED・OG、L-1210、吉田肉腫に対して強い抗腫瘍効果を示した18)。また、動物実験(ラット)においてマイトマイシンC、5-FU等の他剤に耐性となった吉田肉腫に対しても抗腫瘍効果を示した19)。
ドキソルビシン塩酸塩(Doxorubicin Hydrochloride)(JAN)
(2S,4S)-4-(3-Amino-2,3,6-trideoxy-α-L-lyxo-hexopyranosyloxy)-2,5,12-trihydroxy-2-hydroxyacetyl-7-methoxy-1,2,3,4-tetrahydrotetracene-6,11-dione monohydrochloride
C27H29NO11・HCI=579.98
赤だいだい色の結晶性の粉末である。水にやや溶けにくく、メタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
logP′OCT=1.4〔測定法:フラスコシェイキング法 n-オクタノール/pH7.4緩衝溶液〕
アドリアマイシン Adriamycin
10バイアル
1バイアル
1) Egan PC.,et al.:Cancer Treat. Rep. 1985;69(12):1387-1389
2) Mross K.,et al.:J. Clin. Oncol. 1998;6(3):517-526
3) 根岸嗣治,他:基礎と臨床. 1973;7(3):425-431
4) Takanashi S.,et al.:Drug Metab. Disp. 1976;4(1):79-87
5) Benjamin R. S.,et al.:Cancer Res. 1977;37:1416-1420
6) Benjamin R. S.:Cancer Chemother. Rep. 1974;58(2):271-273
7) Di Fronzo G.,et al.:Biomedicine. 1973;19:169-171
8) 小川一誠,他:癌の臨床. 1972;18(11):806-812
9) 横山正和,他:癌の臨床. 1974;20(7):536-544
10) 伊勢泰,他:小児科診療. 1974;37(5):576-584
11) 宇山健,他:西日本泌尿器科. 1977;39(6):916-924
12) 窪田吉信,他:癌と化学療法. 1978;5(suppl.1):275-281
13) 山脇慎也,他:癌の臨床. 1976;22(11):848-855
14) 阿部光俊,他:整形外科. 1976;27(2):119-125
15) 前山巌,他:癌と化学療法. 1980;7(10):1832-1839
16) Di Marco A.:Cancer Chemother. Rep. 1975;6(2):91-106
17) 根岸嗣治,他:薬学雑誌. 1973;93(11):1498-1508
18) 北浦晧三,他:Jpn. J. Antibiotics. 1972;25(2):65-71
19) 太田和雄,他:医学のあゆみ. 1974;91(4):161-166
サンド株式会社 カスタマーケアグループ
〒105-6333 東京都港区虎ノ門1-23-1
フリーコール 0120-982-001FAX 03-6257-3633
サンドファーマ株式会社
東京都港区虎ノ門1-23-1URL:https://www.sandoz.jp
サンド株式会社
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.